JP2719420B2 - 加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造方法

Info

Publication number
JP2719420B2
JP2719420B2 JP1272938A JP27293889A JP2719420B2 JP 2719420 B2 JP2719420 B2 JP 2719420B2 JP 1272938 A JP1272938 A JP 1272938A JP 27293889 A JP27293889 A JP 27293889A JP 2719420 B2 JP2719420 B2 JP 2719420B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
hydrolyzable silyl
vinyl
silyl group
azo compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1272938A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02196801A (ja
Inventor
久夫 古川
克彦 諫山
康 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP1272938A priority Critical patent/JP2719420B2/ja
Publication of JPH02196801A publication Critical patent/JPH02196801A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2719420B2 publication Critical patent/JP2719420B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerization Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、加水分解性シリル基含有アゾ系化合物を重
合開始剤として用い、ビニル系モノマーを重合させてえ
られる加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造方
法に関する。
[従来の技術・発明が解決しようとする課題] ビニル系重合体の分子末端に種々の官能基を導入し、
その官能基をビニル系重合体の架橋や分散粒子化などす
る際に利用し、ビニル系重合体を機能化することが知ら
れている。
たとえば特公昭43−16147号公報では、4,4′−アゾビ
ス(シアノバレリン酸)およびチオグリコール酸を各々
重合開始剤および連鎖移動剤として用い、分子末端にカ
ルボキシル基を有するアクリル系共重合体を合成し、該
共重合体の分散粒子の安定化や、架橋反応に利用したり
している。
一方、加水分解性シリル基含有ビニル系共重合体につ
いて、本発明者らは特開昭57−36109号公報にてメルカ
プトアルキルシランを連鎖移動剤として用いる方法を提
案している。しかしながら、連鎖移動剤のみではビニル
系重合体の分子末端に導入される加水分解性シリル基の
量に限界があること、またメルカプトアルキルシランを
大量に使用してえられたビニル系重合体は耐候性が低下
する傾向があることなどの問題がある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは前記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた
結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、一般式(I): (式中、Aは活性水素基を有するアゾ系化合物に由来す
る基、R1は1価の有機基、R2は2価の有機基、Xは加水
分解性基、mは1〜3の整数、nは1〜2の整数を示
す)で表わされる加水分解性シリル基含有アゾ系化合物
をラジカル重合開始剤として用い、ビニル系モノマーを
重合してえられる加水分解性シリル基含有ビニル系重合
体の製造方法に関する。
[実施例] 本発明においては、一般式(I): で表わされる化合物がラジカル重合開始剤として使用さ
れる。前記一般式(I)で表わされる化合物は、通常、
活性水素基を有するアゾ系化合物と加水分解性シリル基
含有イソシアナート化合物とを反応させることにより調
製される。
一般式(I)中のA基は、活性水素基を有するアゾ系
化合物と加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物
とが反応した際のアゾ系化合物に由来する基である。
A基のもとになる活性水素基を有するアゾ系化合物と
しては、アゾ系化合物であって、たとえば1級アミノ
基、2級アミノ基、水酸基、アルボキシル基、チオール
基、アミド基などの活性水素基を有する化合物であるか
ぎりとくに限定はないが、活性水素基の数は1〜8個で
あるのが好ましい。
前記アゾ系化合物の具体例としては、たとえば などがあげられるが、これらに限定されるものではな
い。
前記一般式(I)中の一般式(II): で表わされる基は、活性水素基を有するアゾ系化合物と
加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物とが反応
した際の加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物
に由来する基であり、活性水素基を有するアゾ系化合物
に由来する基(A)1個当り1個以上で、A基のもとに
なる活性水素基を有するアゾ系化合物に存在する活性水
素基の数以下の整数個、すなわちn個結合しており、通
常その数は1〜2個である。
前記一般式(II)中のR1は、たとえば炭素数1〜10の
アルキル基、アリール基、アラルキル基などの1価の有
機基であり、R1が2個存在するばあい、これらは同じで
あってもよく、異なっていてもよい。
前記炭素数1〜10の1価のアルキル基の具体例として
は、たとえばメチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘ
キシル基など、アリール基の具体例としては、たとえば
フェニル基など、またアラルキル基の具体例としては、
たとえばベンジル基などがあげられる。
また、前記一般式(II)中のR2は、たとえば炭素数1
〜10のアルキレン基、アリーレン基または2価のアラル
キル基などの2価の有機基である。
前記炭素数1〜10のアルキレン基の具体例としては、
たとえばメチレン基、エチレン基、プロピレン基などが
あげられる。
前記一般式(II)中のXは、たとえばハロゲン原子、
アルコキシ基、フェノキシ基、アシロキシ基、RS−基
(Rはアルキル基などを示す)、アルケニルオキシ基な
どの加水分解性基であり、Xが2〜3個存在するばあ
い、これらは同じであってもよく、異なっていてもよ
い。
前記アルコキシ基の具体例としては、たとえばメトキ
シ基、エトキシ基などがあげられる。
前記一般式(II)中のmは1〜3の整数である。
前記活性水素基を有するアゾ系化合物と反応すること
により前記一般式(II)で表わされる基となる加水分解
性シリル基含有イソシアナート化合物の具体例として
は、たとえばγ−イソシアナートプロピルトリメトキシ
シラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラ
ンなどがあげられるが、これらに限定されるものではな
い。
活性水素基を有するアゾ系化合物と加水分解性シリル
基含有イソシアナート化合物との反応は、アゾ系化合物
のアゾ基のラジカル分解をできるだけ押さえるために、
反応に使用するアゾ系化合物の10時間半減期温度以下の
できるだけ低温で行なうことが好ましい。
反応温度を下げるために、活性水素基とイソシアナー
ト基との反応を促進する触媒、たとえばジメチルドデシ
ルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンな
どの3級アミン、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸
錫などの有機スズ化合物などを用いてもよい。
前記反応においては、アゾ系化合物に存在する活性水
素基1モルに対して、加水分解性シリル基含有イソシア
ナート化合物に存在するイソシアナート基が0.8〜1.2モ
ルの割合になるように反応させるのが好ましい。
前記反応を行なうに際し、溶剤は用いてもよく、用い
なくてもよいが、溶剤を用いるばあいには活性水素基を
有しない溶剤、たとえばトルエン、キシレン、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトンなどの溶剤を用いるのが好まし
い。またトルエンなどの芳香族系溶剤を用いると、反応
前に予め共沸蒸留により水分を除いておくことができ
る。
用いるアゾ系化合物の活性水素基の種類により、えら
れる加水分解性シリル基含有アゾ系化合物のシリル基と
アゾ系化合物を結合する化学結合の種類はかわり、たと
えば活性水素基が1級または2級アミノ基のばあいには
尿素結合、水酸基のばあいにはウレタン結合、チオール
基のばあいにはチオカルバミン酸エステル結合、カルボ
キシル基またはアミド基のばあいにはアミド結合とな
る。
このようにして本発明に用いる加水分解性シリル基含
有アゾ系化合物が合成される。
えられた加水分解性シリル基含有アゾ系化合物は新規
な化合物であり、この化合物をラジカル重合の開始剤と
して用いることにより、また必要に応じて加水分解性シ
リル基を有する連鎖移動剤(以下、特定の連鎖移動剤と
もいう)を併用することにより、加水分解性シリル基を
分子末端に要する新規なテレケリックビニル系重合体を
うることが可能となる。
テレケリック構造はそれを有する重合体から架橋ポリ
マーをうるばあい、ペンダントに架橋点を有する構造よ
りも均一な架橋構造がえられる、分子末端に位置する架
橋性官能基がより効率よく架橋に関与しうるなどの特徴
を有する。
一方、加水分解性シリル基は加水分解および縮合の2
段階の反応により安定なシロキサン結合を形成しながら
架橋構造を形成するため、耐候性、耐熱性が良好になる
という特徴を有する。
本発明による加水分解性シリル基含有ビニル系重合体
は、前記加水分解性シリル基含有アゾ系化合物を重合開
始剤として用い、また必要に応じて特定の連鎖移動剤を
用い、ビニル系モノマーをラジカル重合またはラジカル
共重合させることにより製造される。
重合は塊状重合、溶液重合、非水分散型重合および乳
化重合のいずれでもよい。
本発明によりビニル系重合体を製造する際に用いられ
るビニル系モノマーにはとくに限定はないが、具体的に
はメチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリレート
はアクリレートまたはメタクリレートを示す、以下同
様)、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシ
ャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタ
フルオロプロピル(メタ)アクリレート、不飽和ポリカ
ルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸など)と
炭素数1〜20の直鎖または分岐を有するアルコールとの
ジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン
酸のエステル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロ
スチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレ
ン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合
物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレ
ートなどのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)ア
クリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル化合物;グ
リシジル(メタ)アクリレート、などのエポキシ基含有
ビニル化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビ
ニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミ
ノ基など含有ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、
ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アタコン酸ジアミ
ド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミ
ド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニ
ルピロリドン、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルア
ミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアク
リルアミド、アクリロイルモルホリンなどのアミド基な
ど含有ビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチル
ロール(メタ)アクリルアミド、アロニクス5700(東亜
合成化学工業(株)製)、Placcel FA−1、Placcel FA
−4、Placcel FM−1、Placcel FM−4(以上、ダイセ
ル(株)製)などの水酸基含有ビニル化合物;(メタ)
アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、それ
らの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩な
ど)、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレ
ン、ブタジエン、エチレン、イソブチレン、イソプレ
ン、マレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスル
ホン酸などのその他のビニル化合物; CF2=CF2、CHF=CF2、CH2=CF2、 CH2=CHF、CClF=CF2、CHCl=CF2、 CCl2=CF2、CClF=CClF、CHF=CCl2、 CH2=CClF、CCl2=CClF、CF3CF=CF2、 CF3CF=CHF、CF3CH=CF2、CF3CF=CF2、 CF3CF=CHF、CHF2CF=CHF、CF3CH=CH2、 CH3CF=CF2、CH3CH=CF2、CH3CF=CH2、 CF2ClCF=CF2、CF3CCl=CF2、CF3CF=CFCl、 CF2ClCCl=CF2、CF2ClCF=CFCl、 CFCl2CF=CF2、CF3CCl=CC1F、 CF3CCl=CCl2、CClF2CF=CCl2、 CCl3CF=CF2、CF2ClCCl=CCl2、 CFCl2CCl=CCl2、CF3CF=CHCl、 CClF2CF=CHCl、CF3CCl=CHCl、 CHF2CC1=CCl2、CF2C1CH=CCl2、 CHF2C1CC1=CHCl、CCl3CF=CHCl、 CF2ICF=CF2、CF2BrCH=CF2、 CF3CBr=CHBr、CF2ClCBr=CH2、 CH2BrCF=CCl2、CF3CBr=CH2、 CF2CH=CHBr、CF2BrCH=CHF CF2BrCF=CF2、CF3CF2CF=CF2、 CF3CF=CFCF3、CF3CH=CFCF3、 CF2=CFCF2CHF2、CF3CF2CF=CH2、 CF3CH=CHCF3、CF2=CFCF2CH3、 CF2=CFCH2CH3、CF3CH2CH=CH2、 CF3CH=CHCH3、CF2=CHCH2CH3、 CH3CF2CH=CH2、CFH2CH=CHCFH2、 CH3CF2CH=CH2、CH2=CFCH2CH3、 CF3(CF2)2CF=CF2、CF3(CF2)3CF=CF2などのフルオロオ
レフィン;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエー
テル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエー
テル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテ
ル、イソヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエー
テル、4−メチル−1−ペンチルビニルエーテルなどの
鎖状アルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニル
エーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロ
アルキルビニルエーテル類、フェニルビニルエーテル、
o−,m−,p−トリビニルエーテルなどのアリールビニル
エーテル類、ベンジルビニルエーテル、フエネチルビニ
ルエーテルなどのビニルエーテル化合物;一般式(II
I): (式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基お
よびアラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、R4
重合性二重結合を有する有機基、X、mは前記に同じ)
で示される加水分解性シリル基含有ビニル化合物などが
あげられる。これらのビニル系モノマーは単独で用いて
もよく、2種以上併用してもよい。とくに加水分解性シ
リル基含有ビニル化合物を使用することにより、本発明
によるビニル系重合体の側鎖にも加水分解性シリル基を
導入することができる。
前記一般式(III)で示される加水分解性シリル基含
有ビニル化合物の具体例としては、たとえば などがあげられる。
前記加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤の具体例
としては、たとえばγ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプロプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、
(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH3)3、 (CH3O)3SiCH2 3S−SCH2 3Si(OCH3)3、トリクロ
ロシランなどがあげられる。
本発明によるビニル系重合体の製造において、一般式
(I)で表わされるアゾ系化合物の使用割合は、モノマ
ー混合物100部(重量部、以下同様)に対して0.1〜20部
が好ましい。また、前記特定の連鎖移動剤を用いるばあ
いは、その使用割合は、モノマー混合物100部に対して
0.1〜10部が好ましい。
重合温度は重合開始剤として使用される一般式(I)
で表わされるアゾ系化合物の分解温度にあわせて設定さ
れ、通常は0〜200℃の間で設定される。
溶液重合を行なうばあいには、トルエン、キシレン、
シクロヘキサン、n−オクタンなどの炭化水素系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセト
ン、メチルエチルエトン、メチルイソブチルケトンなど
のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミドなどのアミド系溶剤;メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリ
コールモノアルキルエーテルなどのアルコール系溶剤ま
たはこれらの混合物が用いられうる。とくにアルコール
系溶剤は、重合体の保存安定性を向上させる効果がある
ので好ましい。
本発明によるビニル系重合体は、前記の新規なラジカ
ル重合開始剤および必要に応じて使用される特定の連鎖
移動剤により加水分解性シリル基を導入した新規なビニ
ル系重合体である。
重合反応において、ビニル系モノマーを用いたばあい
の重合反応の停止には不均化反応と再結合反応の2種あ
ることが知られている。
本発明によるビニル系重合体の両分子末端に、定量的
に加水分解性シリル基を導入したばあい、つまりテレケ
リック化の必要なばあい、スチレン、ブタジエン、アク
リロニトリル、フルオロオレフィン/ビニルエーテル系
のような再結合停止がおこるモノマーでは、一般式
(I)で表わされるアゾ系化合物(ラジカル重合開始
剤)を用いることにより、テレケリック構造のビニル系
重合体がえられる。
一方、アクリル系モノマーのように不均化停止が優先
するモノマーでも一般式(I)で表わされるアゾ系化合
物と特定の連鎖移動剤のうちのある種のものとを併用す
ることにより、重合体の分子末端へのシリル基の導入率
を上げることができ、テレケリック構造のビニル系重合
体がえられる。
このようにしてえられる本発明によるビニル系重合体
は、塗料、フィルム、成形材料用として用いられるばあ
いには、数平均分子量1,000〜100,000、さらには、1,00
0〜50,000であるのが好ましく、シーラント、ゴム材料
として用いるばあいには、数平均分子量4,000〜100,00
0、さらには6,000〜100,000であるのが好ましい。
分子末端に架橋反応性の官能基を有する重合体やその
官能基をテレケリックに有する重合体が、たとえばゴム
弾性の必要な領域、たとえばゴム材料やシーラントなど
の分野に用いられたばあいには、均一な架橋構造を有す
る硬化物が形成されるため、良好なゴム弾性がえられる
ことが知られている。また分子末端に位置する架橋反応
性の官能基は、それらが側鎖に位置するばあいよりも効
率よく架橋反応に関与することが知られている。
本発明によるビニル系重合体は安定なシロキサン結合
を形成しながら架橋、硬化するため、ゴム材料、シーラ
ント、フィルム、塗料、接着剤、粘着剤、ポッティング
剤、成形材料などとして有用である。
本発明によるビニル系重合体を硬化させるにあたって
硬化触媒を用いても、用いなくてもよいが、用いるばあ
いにはアルキルチタン酸塩;リン酸、p−トルエンスル
ホン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性化合物;エチレ
ンジアミン、テトラエチレンペンタミンなどのアミン
類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートなど
の有機スズ化合物;水酸化ナトリウム、ナトリウムメチ
ラートなどの塩基性化合物のほか、特開昭57−105446号
公報、同59−124954号公報などに示されているものなど
が使用されうる。
硬化触媒を使用するばあいの使用量は、硬化性重合体
100部に対して0.005〜10部、好ましくは0.1〜8部であ
る。
硬化は常温で進行するが、100〜200℃の高温で短時間
に硬化させることも可能である。
本発明によるビニル系重合体に、たとえばγ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−[β−アミノエチ
ル]−γ−アミノプロピルトリメトキシシランのような
アミノシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランのようなエポキシシラン、アミノシランとエピコ
ート828のようなエポキシ化合物やエポキシシランとの
反応物、メチルオルトシリケート、エチルオルトシリケ
ート、メチルトリメトキシシランなどの部分加水分解物
を添加することにより、各種基材に対する密着性を向上
させることができる。
本発明によるビニル系重合体には安定化のために、オ
ルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メチルオルトリメ
トキシシランなどの加水分解性エステルを脱水剤として
用いてもよい。
本発明によるビニル系重合体は、ゴム材料、シーラン
ト、塗料、接着剤、粘着剤、フイルム、ポッティング
材、成形材料などの用途に有用である。
つぎに本発明を実施例により説明するが、本発明はこ
れら実施例のみに限定されるものではなく、本発明の目
的を損なわない範囲でいかなる態様も可能である。
製造例1(加水分解性シリル基含有アゾ系化合物の合
成) 攪拌器、チッ素導入管、温度計およびコンデンサーを
備えた反応器に、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−
(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](淡黄色
結晶)20gを入れ、トルエン5gを加えたのち、50℃、真
空下でトルエンを完全に留去させた。そののち、γ−イ
ソシアナートプロピルトリエトキシシラン35gおよびジ
ブチルスズジラウレート0.1gを加え、攪拌下、チッ素雰
囲気中、50℃で5時間反応させた。反応の進行とともに
淡黄色結晶が溶解し、反応終了後、微量の結晶が残存し
た淡黄緑色の液体をえた。
えられた液体を赤外吸収スペクトル分析法により分析
したところ、2270cm-1のイソシアナート基の吸収は消失
していた。
反応器にトルエンを加えて不溶の未反応アゾ化合物を
ろ別により取除いたのち、真空下でトルエンを留去さ
せ、53gを淡黄緑色液状物をえた。
えられた液状物について赤外吸収スペクトル分析(岩
塩板上で測定)を行なったところ、1530cm-1にウレタン
結合の吸収、950cm-1に−Si−O−C2H5の吸収が認めら
れた。該赤外吸収スペクトル測定結果を第1図に示す。
また、GPC法により前記液状物を分析したところ、面
積比で92%の単一ピークが認められた。またVPO(蒸気
圧法)法による分子量は775であった。
これらの結果から、えられた液状物が下記構造の加水
分解性シリル基含有アゾ化合物(a)であることを確認
した。
実施例1(加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の合
成) 攪拌器、チッ素導入管および温度計を備えた反応器
に、スチレン3.2g、n−ブチルアクリレート10.3g、メ
チルメタクリレート11.5g、製造例1でえられたアゾ系
化合物(a)1.5gおよびキシレン11.4gを加え、攪拌
下、チッ素雰囲気中、110℃で4時間重合させ、無色透
明の重合体溶液をえた。
重合転化率は99%、えられた重合体の数平均分子量は
18,000であった。
つぎにえられた重合体100部(固形分)に対し、硬化
触媒(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート/N,N−
ジメチルドデシルアミン=2/1(重量比)の混合物)2
部を加え、テフロン板上にスパチュラで厚さ約100μの
フィルムを形成させたのち、120℃で60分間焼付けた。
硬化したフィルムは無色透明であり、アセトン抽出法
によるゲル分率は75%であった。
一方、焼付けずに常温で24時間放置したフィルムも硬
化していた。
実施例2(加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の合
成) 100ccのステンレス製オートクレーブにキシレン11.4
g、エチルビニルエーテル10gおよび製造例1でえられた
アゾ系化合物(a)2.0gを仕込み、ドライアイス−メタ
ノールで−78℃に冷却し、オートクレーブを減圧脱気し
たのちにクロロトリフルオロエチレン15gをオートクレ
ーブ内に導入し、100℃に昇温し、5時間反応させた。
冷却後、未反応モノマーを除去し、無色透明の重合体溶
液をえた。
えられた重合体の数平均分子量は12,000であった。
つぎにえられた重合体100部(固形分)に対し、硬化
触媒(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート/N,N−
ジメチルドデシルアミン=2/1(重量比)の混合物)2
部を加え、テフロン板上にスパチュラで厚さ約100μの
フィルムを形成させたのち、120℃で60分間焼付けた。
硬化したフィルムは無色透明で、ゴム状の強靱なフィ
ルムであり、アセトン抽出法によるゲル分率は95%であ
った。
一方、焼付けずに常温で24時間放置したフィルムも硬
化していた。
[発明の効果] 本発明に用いる加水分解性シリル基含有アゾ系化合物
は新規な化合物であり、ラジカル重合開始剤として使用
しうる。該化合物を用いることにより、本発明により加
水分解性シリル基含有ビニル系重合体、好ましくはテレ
ケリック重合体を容易に製造することができる。そし
て、えられた重合体は耐候性に優れ、ゴム材料、シーラ
ント、塗料、接着剤、粘着剤、フィルム、ポッティング
剤、成形材料などに好適に使用されうる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、製造例1でえられた本発明に用いるアゾ系化
合物の一例の赤外線吸収スペクトル分析結果を示すチャ
ートである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): (式中、Aは活性水素基を有するアゾ系化合物に由来す
    る基、R1は1価の有機基、R2は2価の有機基、Xは加水
    分解性基、mは1〜3の整数、nは1〜2の整数を示
    す)で表わされる加水分解性シリル基含有アゾ系化合物
    をラジカル重合開始剤として用い、ビニル系モノマーを
    重合してえられる加水分解性シリル基含有ビニル系重合
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記重合に際し、さらに加水分解性シリル
    基を有する連鎖移動剤を用いてビニル系モノマーを重合
    してえられる請求項1記載の加水分解性シリル基含有ビ
    ニル系重合体の製造方法。
JP1272938A 1989-10-19 1989-10-19 加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造方法 Expired - Lifetime JP2719420B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1272938A JP2719420B2 (ja) 1989-10-19 1989-10-19 加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1272938A JP2719420B2 (ja) 1989-10-19 1989-10-19 加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63265662 Division 1988-10-20 1988-10-20

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02196801A JPH02196801A (ja) 1990-08-03
JP2719420B2 true JP2719420B2 (ja) 1998-02-25

Family

ID=17520860

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1272938A Expired - Lifetime JP2719420B2 (ja) 1989-10-19 1989-10-19 加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2719420B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PL2102263T3 (pl) * 2006-12-19 2011-12-30 Basf Coatings Gmbh Środek powłokowy o wysokiej odporności na zadrapania i odporności na działanie czynników atmosferycznych
JP6113583B2 (ja) * 2013-06-20 2017-04-12 東洋ゴム工業株式会社 ゴム組成物の製造方法及び空気入りタイヤ
JP6899095B2 (ja) * 2017-07-26 2021-07-07 日油株式会社 パーオキシカーバメート化合物

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6023405A (ja) * 1983-07-19 1985-02-06 Sunstar Giken Kk 室温硬化性弾性組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02196801A (ja) 1990-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7129294B2 (en) Functional groups-terminated vinyl polymers
JP2833645B2 (ja) 含フッ素エラストマー組成物
US5986014A (en) Processes for preparing (meth)acrylic polymers having functional groups at the chain ends
JPS6365086B2 (ja)
US7655591B2 (en) Catalyst for making fluoroelastomer compositions and methods of using the same
JPH06172631A (ja) 硬化性組成物
US7202310B2 (en) Polymers, processes for producing the same, and curable compositions produced therefrom
KR20070093083A (ko) 현수 아미독심 또는 아미드라존 구조를 갖는플루오로중합체
US5136029A (en) Hydrolyzable silyl group-containing azo compound
JPH07505664A (ja) フッ素含有ポリマー並びにその製造及び利用
JPH0615594B2 (ja) 新規硬化性樹脂
JP3808622B2 (ja) 重合体、該重合体の製造方法、及び、該重合体を用いた硬化性組成物
JP3895460B2 (ja) 重合体、該重合体の製造方法、及び、該重合体を用いた硬化性組成物
JP4098890B2 (ja) 重合体及び用途
JP2719420B2 (ja) 加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造方法
JP2788076B2 (ja) 加水分解性シリル基含有アゾ系化合物
CN100471877C (zh) 含氟聚合物的凝聚方法及组合物
US5185418A (en) Hydrolyzable silyl group-containing azo compound, process for producing the same and silyl group-containing vinyl polymer produced by using the same
EP2559712A1 (en) Method for reacting ethylene/terafluoroethylene copolymer having functional group
JP2000038404A (ja) 末端にアルケニル基を有する重合体の製造方法及び該重合体を用いた硬化性組成物
JP2754254B2 (ja) 加水分解性シリル基含有ビニル系重合体
JPS6281409A (ja) 加水分解性シリル基含有フルオロオレフイン共重合体の製造方法
JP2003096130A (ja) ビニル系重合体の精製方法
JP6667124B2 (ja) 貯蔵安定性に優れた硬化性組成物
WO1992000352A1 (fr) Composition du type monoliquide