JP2787901B2 - 電界放射冷陰極の製造方法 - Google Patents

電界放射冷陰極の製造方法

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JP2787901B2
JP2787901B2 JP19369695A JP19369695A JP2787901B2 JP 2787901 B2 JP2787901 B2 JP 2787901B2 JP 19369695 A JP19369695 A JP 19369695A JP 19369695 A JP19369695 A JP 19369695A JP 2787901 B2 JP2787901 B2 JP 2787901B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放射冷陰極の
製造方法に関し、特に放出される電子ビームの発散角が
小さく抑えられた電界放射冷陰極の構造及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電子放出を利用した熱陰極に代わる電
子源として、電界放射冷陰極が開発されている。電界放
射冷陰極は先鋭な突起を持つ電極の先端に、高電界(2
〜5×107 V/cm以上)を発生させることで電子を
空間に放出させる。このため、先端の先鋭度がデバイス
の特性を左右する条件であるが、おおよそ数百オングス
トローム以下の曲率半径が必要であると言われている。
また、電界発生のためには電極を1μm程度あるいはそ
れ以下の近接した位置に配して、数10〜数100Vの
電圧を印加する必要がある。また、実際にはこのような
素子が、同一の基板上に数千〜数万個形成され、並列に
接続されたアレイとして使用されることが多い。このよ
うなことから、一般的に半導体の微細加工技術を応用し
て製造される。
【0003】このような電界放射冷陰極の具体的な製造
方法の一つは、アメリカのSRI(Stanford
Reserch Institute)のスピント(S
pindt)らによって開発された方法(J.App
l.Phys.39,p3504,1968)で、導電
性の基板上にモリブデンのような高融点金属を堆積させ
て先端形状の先鋭な構造を得るものである。この製造方
法を図13に示す。まず、シリコン基板61を用意し、
酸化膜を成長させ絶縁層62とする。続いてゲート層6
3としてモリブデンを真空蒸着により堆積する。その
後、フォトリソグラフィーにより直径約1μmの開口6
6を持つフォトレジスト層65を形成する(図13
(a))。このフォトレジスト層65をマスクとしてゲ
ート層63と絶縁層62をエッチングする(図13
(b))。次に、フォトレジスト層65を除去した後
に、回転斜め蒸着を行いアルミニウムの犠牲層64を形
成し、続いて、モリブデンを垂直方向から真空蒸着し
て、エミッタ電極65を堆積させる(図13(c))。
最後に、犠牲層64の上に堆積したモリブデン膜67
を、犠牲層64を選択エッチングする事によりリフトオ
フし、デバイスの構造を得る(図13(d))。
【0004】こうして作られた素子はエミッタ電極65
に負、ゲート層63が正となるように電圧を印加するこ
とで、エミッタ電極65の先端から、シリコン基板61
と垂直な方向に電子が放射される。このような構造は一
般に縦型電界放射冷陰極と呼ばれている。このような素
子の応用としては、平面型ディスプレー、微小真空管、
およびマイクロ波管、ブラウン管等の電子管の電子源等
が提案されてる。
【0005】電界放射冷陰極は一般的に平面上の基板の
上に形成されるが、曲面上の基板に電界放射エミッタを
形成する技術が特開平6−290702に開示されてい
る。これは、図14に示すように基板71が曲率半径R
をもつ球面あるいは円筒面になっており、この曲率中心
側の面に絶縁層72、ゲート層73が積層され、エミッ
タ電極75を形成すべき空洞78がゲート層73、絶縁
層72にあけられている。このような基板の曲率中心0
に蒸発源79を置いて基板71上にエミッタ電極75を
堆積させようというものである。図14の製造方法によ
ると、蒸発源79から出たエミッタ電極材料は基板に対
して垂直に入射するので、基板全体にわたってエミッタ
電極75が基板に垂直に形成され、特性の揃った素子を
得ることができる。
【0006】また、特開平4−249841には図15
に示すように、平面ディスプレーに球面上の電界放射冷
陰極を使用した構造が提案されている。これは、図15
のように球面形状のディスプレーの前面ガラス87に沿
うように、基板81を球面にし、この上にゲート電極8
3、エミッタ電極85等を形成する。このような構造を
採ることにより、外囲器を球面状にする事で、真空と大
気との差圧に耐え、しかも電界放射冷陰極89と蛍光体
86が塗布された前面ガラス87との距離を一定に保つ
ことができ、ディスプレーの大型化を可能にしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】電界放射冷陰極は安定
した電流を取り出すために、多数の電界放射エミッタを
平面上に配置し並列に接続したアレイで使用されること
が多い。個々のエミッタ電極先端から放出される電子の
軌道は半角で20〜30度程度の範囲に分布しており、
ビーム全体では電子放出領域よりも広がってしまう。こ
れを電子管に搭載し、電子ビーム源として使用する場合
には、ビームの集束、電流密度の向上の妨げになる。
【0008】熱電子源ではPierce電子銃と称され
る集束型の電子源が提案されている(J.R.Pier
ce,“Theory and design of
electron beams”,2nd ed.Va
n Nostrand,New York,195
4)。この電子源は、図16の集束電極92を含む断面
図に示すように電子放出面90を球面とし、同心球面状
の等電位面を形成することにより、ラミナー状の電子ビ
ーム93を得るものであるが、熱陰極を使用しているた
めに、ヒータが必要であり、その電力および電源投入か
ら安定動作まで数10秒かかる。また、陰極周辺の材料
は700℃〜1000℃程度の高温に長時間耐えうるこ
とが要求されるなどの問題がある。
【0009】一方、凹面に形成された電界放射冷陰極で
は、図14のような構造が公知であるが、この場合の目
的は基板全体に均一なエミッタ電極75を形成すること
であるために、曲率中心Oは蒸着装置の蒸発源の位置に
ある。この電界放射冷陰極を電子管に搭載することを考
えると、電子管の大きさはせいぜい数10mm〜100
mm程度の大きさであり、多数の電界放射エミッタ群か
らの個々の放射電子ビームをひとつの電子ビーム束とし
て利用するための集束を目的とした場合には、曲率半径
は電子管の大きさと同等かそれよりも小さいことが必要
である。この場合に、図14の方法を採るには、蒸発源
と基板を数10mm〜100mmの位置に配さなければ
ならない。一般的な真空蒸着装置の蒸発源と、基板の距
離は数100mmである。エミッタ電極に使用されるモ
リブデン等の高融点金属の蒸着は、電子銃を使用した電
子ビーム蒸着を用いておこなうが、蒸発源と基板間の距
離が100mm程度で電子ビーム蒸着を行うことは困難
である。また、可能であったとしても2000℃以上の
蒸発源からの輻射熱で、基板が高温にさらされるといっ
た問題がある。また、エミッタ電極75を形成する空洞
78を作るにはフォトリソグラフィーを使用するが、通
常考えられる露光技術で曲面上の基板に、1μm以下の
パターンを均一に形成するのは困難である。また、図1
4の構成では1枚の基板上に多数のエミッタアレイを形
成することも可能ではあるが、曲率半径100mmとし
て、4インチウェハ内にエミッタアレイを配置した場合
を想定すると、ウェハの外周と中央では10mmを越え
る高低差が生じる。このような基板は実現できたとして
も、材料の歩留まり、加工工数、管理等の面で非効率的
である。
【0010】また、図15のように球面状の基板81上
に電界放射冷陰極を形成するアイデアが特開平4−24
9841に示されているが、同公報にも記載されるよう
に、「製造プロセス的に見て実現が極めて困難」であ
る。
【0011】本発明の目的は、平面上の基板を用いるこ
とにより、従来の成膜、フォトリソグラフィー、エッチ
ング等の技術、および装置が使用できるプロセスによっ
て、電子放出領域を曲面形状とし、電子ビームの集束が
可能な電界放射冷陰極の製造を可能にすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の電界放射冷陰極
の製造方法は、あらかじめ、平面上基板の上に電界放射
冷陰極の構造を形成した後に、電子放出領域およびその
周辺部の基板表層部に凹部を形成または、凹部を形成し
た基板上に移し、電界放射冷陰極を凹部へ向けて撓ま
せ、その状態で固定することにより、電子放出領域の表
面を凹面とすることを特徴としている。具体的には、あ
らかじめ基板に裏面と貫通する凹部を形成した後に、凹
部に流動化させることができる材料を充填し平坦化した
基板を使用し、電界放射冷陰極の構造を形成した後に充
填物を流動化させることにより凹部を形成し、充填物を
再度硬化させて電界放射冷陰極の構造を固定することを
特徴とする。なお、電界放射冷陰極の構造を撓ませるに
は圧力差を利用することができる。
【0013】電界放射冷陰極を凹面に形成することによ
り、各エミッタ電極からの放出電子の主成分が曲率中心
へ集束する方向を向き、かつ、ゲート電極表面の等電位
面が陰極側に凸にあり、ビーム全体を集束させる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を参照
して説明する。図1〜図4は本発明の電界放射冷陰極の
製造方法の第1の発明の実施の形態を概略的に示す断面
図である。図2に示すように第1のプロセスとして、基
板の加工を行う。まず、シリコン基板11の各チップの
エミッタ領域が形成される位置に、エミッタ領域より大
きな直径の貫通穴12をサンドブラストや研削加工によ
ってチップの個数分あける。ここでは穴の直径は0.4
mmφとする(図2(b))。次にこの貫通穴12を軟
化点500℃程度で600℃までの温度で流動する低融
点ガラス13で充填する(図2(c))。続いて、エミ
ッタ形成側の表面14を研磨し、平坦化する(図2
(d))。ここで使用する低融点ガラス13の温度−粘
度特性は、電界放射冷陰極を、電子管等に搭載する際
に、脱ガス、封入、排気等の加熱工程で500℃程度ま
での温度にさらされるので、このときに再変形しないこ
と、そして、600℃を越える温度では素子自体の耐熱
性に問題が出始める、ということを考慮して決めてい
る。
【0015】このように加工した基板を用いて、第2の
プロセスでは、低融点ガラス13の充填された領域の内
側に電子放出領域10が位置するようにこの上に電界放
射冷陰極を形成する(図2(e))。その方法を図4に
示す。まず、エミッタ電極への給電のための導電層15
となるモリブデンを4000オングストローム(以下、
Aと記す)真空蒸着により成膜する。その上に絶縁層1
6として二酸化シリコンをCVDで8000A積層し、
さらにゲート層17となるモリブデンを2000A真空
蒸着で成膜する。次に、先に形成してある低融点ガラス
13が充填された貫通穴の外周より内側の直径0.1m
mの領域を電子放出領域10とするように、フォトリソ
グラフィーにより直径約1μmの開口径を持つフォトレ
ジスト層(図示せず)を形成する。この開口をマスクと
して四フッ化炭素等を用いたRIE(反応性イオンエッ
チング)により、ゲート層17、絶縁層16をエッチン
グし、エミッタ電極を形成するための空洞18を形成す
る(図4(a))。続いて、基板を回転させながら斜め
方向から、アルミニウムを真空蒸着し犠牲層19を形成
する。さらに、基板の正面からモリブデンを真空蒸着し
てエミッタ電極20を形成する(図4(b))。最後に
犠牲層19をリン酸でエッチングして、ゲート上のモリ
ブデン膜21を除去する。空洞のピッチを2μmとする
と、0.1mmφの領域に約2000個のエミッタ電極
20が形成された電子放出領域をもつ電界放射冷陰極が
できあがる。
【0016】第2のプロセスでできあがった電子放出領
域10は、先に形成してある低融点ガラス13が充填さ
れた貫通穴12と図1(a)のような位置関係にある。
第3のプロセスでは、図3に示すように、基板11の裏
面を治具22と密着させておき、真空排気後アルゴン等
の不活性ガスで置換した雰囲気で低融点ガラス13が流
動する温度まで加熱して、治具22側を排気し、低融点
ガラス13を基板11の裏面側に吸い出す。この治具2
2は、表面側には基板11の貫通穴12に相当する位置
に吸引用の開口23を持ち、密着させた基板11をその
表面で支えながら、裏面側の排気口24に接続された真
空ポンプ(図示せず)により、吸引用の開口23から低
融点ガラス13を吸引するために使用する。基板の両面
に1×104 Pa程度の圧力差を持たせると、加熱され
た低融点ガラス13は流動し、電子放出領域10は、図
1(b)のように中央部分で約20μm程度の深さを持
った凹状の撓みを生じ、電子放出領域10とその近傍は
略球面状の断面形状となる。この時点で貫通穴12に充
填されている低融点ガラス13と導電層15の界面には
反応層が形成されているため、この状態で温度を下げる
と、低融点ガラスが固化することにより、電子放出領域
10は撓みを生じたままの形状で固定される。撓み量す
なわち曲率は基板両面の圧力差によりコントトールでき
るが、レーザー光を使用した撓み量(変位)の測定や、
電子放出領域周辺の傾き角の測定によりフィードバック
をかけることで、精度よく制御することができる。
【0017】ここでは最大の撓み量は約20μmである
が、導電層15,絶縁層16,ゲート層17の合計の厚
さは1.4μmと薄く、貫通穴12の直径は0.4mm
(400μm)で撓みの約20倍あるために、変形の程
度としてはごく軽微である。したがって、あらかじめ形
成した電界放射冷陰極の構造が、層間の剥離等により機
能を損なわれることはない。最後に基板を個々のチップ
に切り離すことにより、多数の電界放射冷陰極が完成す
る。
【0018】この電界放射冷陰極を動作させると、個々
のエミッタ電極から放射される電子の放射角度は、電子
放出領域10の法線方向すなわち集束する方向にピーク
を持っており、しかも、電子放出領域近傍の等電位面の
形状により電子ビーム全体も図1(b)のように集束さ
れ、細く絞られた高密度な電子ビーム源として利用する
ことが可能である。
【0019】この発明の実施の形態では、電子放出領域
10を撓ませるために、基板の裏面側を排気したが、表
面側の圧力を高めてやっても同様な効果が得られる。ま
た、撓ませた基板は貫通穴12の角24で折れ曲がるよ
うな力を受けるため、貫通穴12の基板表面側断面は、
図5(a),(b)のように低融点ガラス(図示せず)
を充填して研磨した時点で、Rあるいは面取りされた形
状となるようにしておくことで、電子放出領域周辺部の
破損を防止できる。なお、ここでは、電子ビームの集束
を目的としているので、電子放出領域を凹面にしている
が、用途によっては、圧力差を逆にすることで図1
(c)のように凸面状に電子放出領域を形成することも
可能である。
【0020】基板材料としてはシリコンを使用する例を
説明したが、エミッタ電極側の電極取り出しを基板裏面
から行わないのであれば、基板としては絶縁性のセラミ
ック材料も使用することができ、低融点ガラスとの熱膨
張係数の整合を取るための材料選定が容易になる。ま
た、電子放出領域10および貫通穴12の寸法設定は、
上記した値に限らず、所望の特性に応じて任意に設定が
可能である。
【0021】図6,図7は本発明の電界放射冷陰極の製
造方法の第2の発明の実施の形態を概略的に示す断面図
である。第1の発明の実施の形態では、第1のプロセス
で基板表面に電子放出領域の最終形状に相当する凹部を
形成しておき、第3のプロセスで電子放出領域をこの凹
部に沿って撓ませることにより、電子放出領域の断面形
状を所望の形状にする方法を採る。
【0022】製造方法の詳細は以下の通りである。ま
ず、シリコン基板11の表面側には、所望の断面形状を
持った研削砥石30により、図6のようにして凹部31
を形成し、裏面には表面側の凹部31の底との間に数1
0μm程度の厚さを残してサンドブラストにより排気穴
32をあける(図7(a))。次にフォトリソグラフィ
ーとエッチングにより基板表面側から凹部31と排気穴
32を貫通させる(図7(b))。続いて、第1の実施
の形態と同様に表面側の凹部31から排気穴32に至る
部分を軟化点500℃程度で600℃までの温度で流動
する低融点ガラス13で充填する(図7(c))。続い
て、エミッタ形成側の表面を研磨し、平坦化する(図7
(d))。図7(a)であける凹部はこのときの研磨し
ろを考慮して、研磨仕上がり面で直径を制御するように
加工しておく。ここでは直径を0.4mmとする。
【0023】このように加工した基板を用いて、第2の
プロセスでは、第1の発明の実施の形態と同様にして、
低融点ガラスの充填された領域の内側に電子放出領域が
位置するように、この上に直径0.1mmの電界放射冷
陰極を形成する。
【0024】第2のプロセスでできあがった電子放出領
域10は、先に形成してある低融点ガラス13が充填さ
れた凹部31と図8(a)のような位置関係にある。第
3のプロセスでは、第1の発明の実施の形態と同様にし
て、基板の両面に圧力差を持たせると、電子放出領域1
0は、図8(b)のようにあらかじめ形成した凹部31
の断面形状に沿って撓みを生じる。この状態で温度を下
げると、電子放出領域10は凹部31の形状に沿って固
定される。このようにして、電子放出面10の断面を再
現性よく制御する事が可能である。
【0025】図9,図10は本発明の電界放射冷陰極の
製造方法の第3の発明の実施の形態を概略的に示す断面
図である。この実施の形態では、まず第1のプロセスで
仮の基板上に電界放射冷陰極の構造を形成し、次の第2
のプロセスで、電界放射冷陰極の表層部を仮の基板から
分離して、凹面を形成した基板上に位置決めし固定する
方法を採る。
【0026】製造方法の詳細は以下の通りである。第1
のプロセスでは、まず、仮の基板41上に剥離層42と
して酸化マグネシウム(MgO)を2000A真空蒸着
で成膜する。次に接合層43として金を5000A、エ
ミッタ電極への給電のための導電層15となるモリブデ
ンを4000A真空蒸着により成膜する。その上に絶縁
層16として二酸化シリコンをCVDで8000A積層
し、さらにゲート層17となるモリブデンを2000A
真空蒸着で成膜する。次に、直径0.1mmの領域を電
子放出領域とするように、フォトリソグラフィーにより
直径約1μmの開口径を持つフォトレジスト層(図示せ
ず)を形成する。この開口をマスクとして四フッ化炭素
等を用いたRIE(反応性イオンエッチング)により、
ゲート層17、絶縁層16をエッチングし、エミッタ電
極を形成するための空洞18を形成する(図9
(a))。続いて、基板を回転させながら斜め方向か
ら、酸化マグネシウムを真空蒸着し犠牲層44を形成す
る。さらに、基板の正面からモリブデンを真空蒸着して
エミッタ電極20を形成すると、電界放射冷陰極の構造
が仮の基板41上にできあがる(図9(b))。
【0027】第2のプロセスでは、犠牲層44及び剥離
層42のMgOを酢酸でエッチングして、ゲート上のモ
リブデン膜21を除去するとともに、電界放射冷陰極の
構造45を仮の基板41から分離する(図9(c))。
この電界放射冷陰極の構造45を基板に固定するわけで
あるが、基板46としては、シリコンウェハを図7
(b)の形状に加工したものを使用する。加工方法は、
第2の発明の実施の形態の第1のプロセスと同様であ
る。基板46の凹部31と電界放射冷陰極の構造45の
電子放出領域10は、あらかじめ同じ間隔で形成してお
き、図10(a)のように基板46の表面側に電界放射
冷陰極の構造45の裏面側の接合層43が接するように
重ね、電子放出領域10と凹部31を位置合わせする。
この作業は、エッチング後の洗浄から連続して純水中で
行うと良い。水分を取り去った後に、450℃程度の温
度で基板の裏面側を減圧しながら熱処理を行うと、接合
層43の金と、基板のシリコンが共晶を形成して電界放
射冷陰極の構造45は基板46の表面に固定され電子放
出領域10は凹面となる(図10(b))。この発明の
実施の形態によれば、第1,第2の発明の実施の形態の
ような低融点ガラスの埋め込み、研磨という工程が不要
である。
【0028】図11,12は本発明の電界放射冷陰極の
製造方法の第4の発明の実施の形態を概略的に示す断面
図である。この実施の形態では、基板を薄くした電界放
射冷陰極のチップを曲面を持った基台にマウントするこ
とにより電子放出領域を凹面にする方法を採る。
【0029】まず第1のプロセスで、シリコン基板51
を用意し、熱酸化膜を成長させ絶縁層52とする。続い
てゲート層53としてモリブデンを真空蒸着により堆積
する。その後、直径0.1mmの領域を電子放出領域と
するように、フォトリソグラフィーにより直径約1μm
の開口を持つフォトレジスト層(図示せず)を形成す
る。このフォトレジスト層をマスクとして、ゲート層5
3と絶縁層52を四フッ化炭素等を用いたRIE(反応
性イオンエッチング)によりエッチングする(図11
(a))。次に、フォトレジスト層を除去した後に、回
転斜め蒸着を行いアルミニウムの犠牲層54を形成し、
続いて、モリブデンを垂直方向から真空蒸着して、エミ
ッタ電極20を堆積させる(図11(b))。さらに、
犠牲層54の上に堆積したモリブデン膜21を、犠牲層
54を選択エッチングする事によりリフトオフし、デバ
イスの構造を得る(図11(c))。
【0030】図12(a)は、このようにして製造した
電界放射冷陰極のチップ1個分を拡大して示す断面図で
あり、表面側の中央部に電子放出領域10が形成されて
いる。次に第2のプロセスでは、この基板51の裏面側
を研削加工により厚さ20μmまで研削する(図12
(b))。続いて、ダイシングにより切断位置59で個
々のチップに分離した後、曲面に加工した基台55にマ
ウントする。この基台はチップ搭載面56が所望の曲面
に加工されたステンレスやコバール製で、電界放射冷陰
極を搭載するデバイスの一部であり、チップ搭載面56
には吸引穴57が設けられ、表面には厚さ約5000A
の金メッキが施されている。この基台55のチップ搭載
面56に電界放射冷陰極58を載せ、真空ポンプ(図示
せず)により吸引穴57から吸引しながら450℃程度
の温度で熱処理を行うと、チップ搭載面56の表面にメ
ッキされた金と、電界放射例陰極58の基板がシリコン
が共晶を形成して、電界放射冷陰極58は基台55のチ
ップ搭載面56の断面形状に沿って撓んだ形状で固定さ
れる。
【0031】この発明の実施の形態では、デバイスに搭
載する際に曲面形状を得る方法を説明したが、あらかじ
め、別の部品に曲面を形成しておき、その面に電界放射
冷陰極58を固定して曲面形状を得た後に、デバイスに
搭載する方法を採っても良い。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子放出領域が凹面で、電子ビームの集束効果が得られ
る電界放射冷陰極が、特殊な装置を開発することなく、
従来の平面基板を使用した、精度の高い露光技術と、電
子ビーム蒸着等、通常の成膜技術、エッチング技術など
を利用して、大量にかつ容易に製造することが出来る。
そのため、各種電子管や、電子ビーム装置の電子源とし
て、高電流密度の冷陰極を安価に提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の発明の実施の
形態による電界放射冷陰極の製造工程の第3のプロセス
を説明する部分的断面図である。
【図2】(a)〜(e)は本発明の第1の発明の実施の
形態による電界放射冷陰極の製造工程の第1のプロセス
を説明する部分的断面図である。
【図3】本発明の第1の発明の実施の形態による電界放
射冷陰極の製造工程の第3のプロセスで使用する治具を
説明する部分的断面図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明の第1の発明の実施の
形態による電界放射冷陰極の製造工程の第2のプロセス
を説明する部分的断面図である。
【図5】(a),(b)は本発明の第1の発明の実施の
形態で使用する基板の断面形状の変形例を説明する部分
的断面図である。
【図6】本発明の第2の発明の実施の形態による電界放
射冷陰極の製造工程の第1のプロセスにおいて凹部を形
成する方法を説明する斜視図である。
【図7】(a)〜(d)は本発明の第2の発明の実施の
形態による電界放射冷陰極の第1のプロセスを説明する
部分的断面図である。
【図8】(a),(b)は第2の発明の実施の形態によ
る電界放射冷陰極の製造工程の第3のプロセスを説明す
る部分的断面図である。
【図9】(a)〜(c)は本発明の第3の発明の実施の
形態による電界放射冷陰極の製造工程の第1のプロセス
を説明する部分的断面図である。
【図10】(a),(b)は本発明の第3の発明の実施
の形態による電界放射冷陰極の製造工程の第2のプロセ
スを説明する部分的断面図である。
【図11】(a)〜(c)は本発明の第4の発明の実施
の形態による電界放射冷陰極の製造工程の第1のプロセ
スを説明する部分的断面図である。
【図12】(a)〜(c)は本発明の第4の発明の実施
の形態による電界放射冷陰極の製造工程の第2のプロセ
スを説明する部分的断面図である。
【図13】(a)〜(d)は従来例による電界放射冷陰
極の製造工程を示す部分的断面図である。
【図14】特開平6−290702に開示されている、
曲面状の基板に電界放射エミッタを形成する方法を説明
する部分的断面図である。
【図15】特開平4−249841に開示されている、
球面状電界放射カソードを使用したディスプレーを説明
する部分的断面図である。
【図16】従来技術である、Pierce電子銃を説明
する部分的断面図である。
【符号の説明】
10 電子放出領域 11,51 シリコン基板 12 貫通穴 13 低融点ガラス 15 導電層 16,52 絶縁層 17,53 ゲート層 18 空洞 19 犠牲層 20 エミッタ電極 22 治具 30 研削砥石 31 凹部 32 排気穴 41 仮の基板 42 剥離層 43 接合層 44 犠牲層 45 電界放射冷陰極の構造 46 基板 55 基台 56 チップ搭載面 57 吸引穴

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板、あるいは導電性または絶縁
    性基板上に導電層を積層し、その上に堆積した絶縁層と
    導電性のゲート層、およびその絶縁層とゲート層に形成
    した空洞内に設けられた、先端の先鋭な略円錐状のエミ
    ッタ電極から構成されてなる電界放射エミッタが、多数
    個配置された電子放出領域を有する電界放射冷陰極の製
    造方法において、平面状基板に前記電子放出領域が複数
    個配置された電界放射冷陰極の構造を形成した後に、前
    記電子放出領域を撓ませ、その状態で固定することによ
    り、電子放出領域の断面形状を曲面とすることを特徴と
    する電子放射冷陰極の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電界放射冷陰極の製造方
    法において、導電性または絶縁性基板上に導電層を積層
    した平面上基板に電界放射冷陰極の構造を形成した後
    に、電子放出領域およびその周辺部の導電層の下層にあ
    る基板表面部に凹部を形成し、電子放出領域を凹部へ向
    けて撓ませることを特徴とする電界放射冷陰極の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電界放射冷陰極の製造方
    法において、あらかじめ平面基板上に形成した電界放射
    冷陰極の一部分あるいは全体を分離して、所望の形状の
    凹部を持つ別の基板上あるいは同一基板の凹部上にこれ
    を固定することを特徴とする電界放射冷陰極の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の電界放射冷陰極の製造方
    法において、あらかじめ基板に裏面と貫通する凹部を形
    成した後に、凹部に流動化させることができる材料を充
    填し平坦化した基板を使用し、電界放射冷陰極の構造を
    形成した後に充填物を流動化させることにより凹部を形
    成し、充填物を再度硬化させて放射冷陰極の構造を固定
    することを特徴とする電界放射冷陰極の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の電界放射冷陰極の製造方
    法において、凹部の断面形状を所望の形状とし、この形
    状に電界放射冷陰極の構造を倣わせることを特徴とする
    電界放射冷陰極の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1,2,3,4および5記載の電
    界放射冷陰極の製造方法において、電界放射冷陰極の表
    面側と裏面側の圧力差によって電界放射冷陰極の構造を
    撓ませることを特徴とする電界放射冷陰極の製造方法。
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