JP2787790B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電磁変換特性の優れた高
密度記録用の強磁性金属薄膜に関し、特に耐蝕性を改良
し、広範囲の温湿度条件及び低速から高速までの広範囲
の記録再生条件で走行性及び耐摩耗性に優れる磁気記録
媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非磁性支持体上に真空蒸着法、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法によ
り強磁性金属薄膜の磁性層を形成したいわゆる強磁性金
属薄膜型磁気記録媒体は、磁性層が強磁性粉末と結合剤
樹脂を主体とする塗布型の磁気記録媒体に比較して、磁
性層に結合剤樹脂がないだけに優れた電磁変換特性を有
し、高密度記録用の磁気記録媒体として注目され、一部
実用化されている。
【0003】特に、真空蒸着法は、他の真空成膜法に比
し、乾式で処理できること、成膜速度が比較的大きいこ
と、製造工程が比較的簡易であること等の利点を有す
る。真空蒸着法による強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の
改良に関しては、例えば、米国特許公報3342632
号、同3342633号等を始めとして古くから種々の
提案がなされている。
【0004】この強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の実用
化上の大きな問題点として、走行性、耐久性及び耐食性
の問題がある。磁気記録において信号の記録、再生及び
消去の過程において磁気記録媒体と磁気ヘッドとは互い
に高速で摺動しているが、その際、磁気記録媒体は、磁
性層の摩耗及び破壊があってはならないだけではなく、
スムーズに安定に走行することが要求される。
【0005】この要求に対処するために、強磁性金属薄
膜型磁気記録媒体の磁性層の保護層もしくは潤滑層とし
て、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、脂肪酸、脂肪酸の金
属塩、脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルの層を磁
性層表面に形成する方法が、特開昭60−69824号
公報、特開昭60−85427号公報等に開示されてい
る。
【0006】また、フッ素含有化合物を保護層用素材と
して利用する方法も各種提案されている。例えば、特開
昭61−107528号公報には、分岐パーフルオロア
ルケニル基を有する化合物を耐久性の向上に利用した
り、米国特許3778308号には、パーフルオロアル
キルポリエーテル系の化合物を利用する方法が提案され
ている。また、特公昭60−10368号公報には、
フルオロアルキルポリエーテル分子鎖の一端または両
端をカルボキシル基などの極性基で修飾した末端変性タ
イプのパーフルオロアルキルポリエーテルを保護層用化
合物として利用する方法が提案されている。
【0007】さらに、ディスク状の強磁性金属薄膜型磁
気記録媒体用の潤滑剤として、複数のアミノ基を有する
化合物とパーフルオロアルキルポリエーテル鎖を持つカ
ルボン酸を脱水縮合して得られる多鎖型パーフルオロア
ルキルポリエーテルアミドを利用した研究も報告されて
いる(杉山等:日本潤滑学会第34回全国大会、B・2
8;予稿集、425頁)。また、特開昭64−3371
3号公報、特開平1−112516号公報、特開平3−
102614号公報、特開平1−112528号公報、
特開昭62−192029号公報には、イソシアネー
ト、オキソ酸等の極性基を持つ化合物が走行耐久性を改
善することが開示されている。
【0008】以上の保護層用化合物の中でも末端変性タ
イプのパーフルオロアルキルポリエーテルは、特に潤滑
効果が優れており、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の保
護層用素材として有用である。更に、最近は磁気記録媒
体は、広い地域で使用されるようになってきており、高
温度・高湿度から低温度・低湿度までの広範囲の温度及
び湿度領域での走行耐久性が望まれるようになった。こ
のような要求に応えるためには、従来の技術では必ずし
も充分に対応できなくなってきた。
【0009】そして、以下の耐食性の問題を考慮すると
上記の使用環境条件の問題に対しては、従来の技術は更
に不充分なものとなっている。耐食性の問題は、磁性層
が金属薄膜であるために、保存中に大気中の酸素や水分
の影響で磁性層そのものが変質するという強磁性金属薄
膜型磁気記録媒体の本質的な問題であった。耐蝕性の改
良は以下の問題に対処することであった。 水分が強磁性金属薄膜上で、結露,乾燥することで錆
が発生する。 高温、高湿下に保存しているうちに、次第に強磁性金
属薄膜の磁束量が減少してしまう。(減磁) 空気中に存在する亜硫酸ガス,酸化窒素ガスなどによ
って、強磁性金属薄膜表面に錆が発生する。 海岸付近では、海水の微粒中に含まれるNaCl、M
gCl2 などの塩が強磁性金属薄膜表面に付着し、ここ
を起点にして錆が発生する。(塩害) この内、前記、前記及び前記については、実用上
問題のないレベルにまで強磁性金属薄膜の耐食性を向上
させる技術が、種々提案されているが、前記の塩害に
ついてはいまだ適切な手段が見いだされていない。前記
、前記及び前記の観点で蒸着テープの耐食性に対
して有効な技術であっても、全てに対して有効でなかっ
たり、他の新たな問題を引き起こしたりするなど磁気記
録媒体の特性全体からみて充分な技術と言えるものはな
かった。
【0010】例えば、SiO2 ,C,TiO2 などの無
機保護層を強磁性金属薄膜上に設ける方法では、必要な
耐蝕性を得るために300A(オングストローム)以上
の保護層厚が必要であり、スペーシング・ロスのため、
再生出力の低下を招いてしまう。特に、金属薄膜媒体が
使用されるような短波長記録領域では、この出力低下は
好ましくない。また、種々の後処理によって、強磁性金
属薄膜の耐蝕性を付与する方法、例えば、一定の温湿度
雰囲気に磁気記録媒体を放置する方法、電気化学的手法
で不働態膜を設ける方法、蒸着原反に酸化処理を施す方
法等では、前記及び前記といった水分に対する耐蝕
性は向上するものの塩害による強磁性金属薄膜の錆の発
生を防止するには不十分であった。
【0011】更に、特開昭58−26319号公報,特
開昭58−26322号公報,特開昭58−60432
号公報、特開昭59−63031号公報及び特開昭59
−60738号公報等には、成膜中にオゾンに接触させ
たり、成膜後強磁性金属薄膜をオゾン雰囲気中に曝すこ
とによりその耐蝕性を向上させる方法が提案されてい
る。この方法は、従来の方法の中では、強磁性金属薄膜
の耐蝕性の向上に大きな効果があった。しかしながら、
前記の観点からのすなわち塩害に対する耐蝕性に対し
ては、前記の各公報に開示された方法だけでは充分とは
言えなかった。特に、耐食性を向上させる方法の多く
は、前記の走行耐久性を同時に向上させるものではなか
った。
【0012】また、特開平3−207019号公報に
は、強磁性金属薄膜の表面に極性基を有したパーフルオ
ロポリエーテルを特定量固定させることにより走行性や
耐久性を改良させる発明が開示されいてるが、その製造
方法およびその固定量の範囲では、まだ緻密な保護膜を
形成するという意味で不十分であるためか、前記の塩害
による耐食性の向上や使用環境が高温高湿、低温低湿な
ど更に厳しくなった場合の走行耐久性の改良までに対応
できるものではなかった。
【0013】以上のように電磁変換特性に優れ高密度記
録用として最適な強磁性金属薄膜型磁気記録媒体にあっ
ては、その問題のすべてに充分に対応する技術はいまだ
提案されておらず、特に近時の磁気記録媒体の使用環境
条件が拡大する傾向に対しては充分に対応できるもので
はなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点に鑑みなされたものであり、電磁変換特性を
低下させることなく、走行性、耐久性及び耐食性が共に
改良された、特に幅広い環境条件下での実用特性に優れ
酸素含有強磁性金属薄膜型磁気記録媒体及びその製造
方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、非
磁性支持体上に酸素含有強磁性金属薄膜(以下、単に強
磁性金属薄膜と称する)を有する磁気記録媒体におい
て、該強磁性金属薄膜はCoを主成分とし且つ、酸素を
15at%〜30at%含有し、該強磁性金属薄膜に対
する飽和吸着量(mg/m2)が4.0mg/m2以上である
キソ酸基、スルホ基、スルホキシド基及びジフェニルエ
ーテル基の少なくとも1つを極性基として含有する極性
基含有パーフルオロポリエーテルを該飽和吸着量の1乃
至5倍量該強磁性金属薄膜上に有することを特徴とする
金属薄膜型磁気記録媒体及び非磁性支持体上に酸素ガス
含有雰囲気中でCoを主体とする金属蒸気流を蒸着して
強磁性金属薄膜を成膜した後に、酸素もしくはオゾンガ
ス含有雰囲気中に該強磁性金属薄膜を晒した後に、該強
磁性金属薄膜上に極性基含有パーフルオロポリエーテル
を付与する方法、非磁性支持体上に酸素ガス含有雰囲気
中でCoを主体とする金属蒸気流を蒸着して強磁性金属
薄膜を成膜した後に、該強磁性金属薄膜を80乃至18
0℃、1秒乃至60秒間保持して熱処理した後に、該強
磁性金属薄膜上に極性基含有パーフルオロポリエーテル
を付与する方法並びに非磁性支持体上に酸素ガス含有雰
囲気中でCoを主体とする金属蒸気流を蒸着して強磁性
金属薄膜を成膜した後に、該強磁性金属薄膜を不活性ガ
ス中に保持する処理をした後に、該強磁性金属薄膜上に
オキソ酸基を有する極性基含有パーフルオロポリエーテ
ルを付与する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の製造方法
により達成される。
【0016】即ち、前記強磁性金属薄膜の表面に極性基
含有パーフルオロポリエーテルを含有させしかもそのパ
ーフルオロポリエーテルの強磁性金属薄膜に対する飽和
吸着量が4.0mg/m2以上とすることにより、安定で強
固な保護層を形成し、高速から低速までの媒体と磁気ヘ
ッドの幅広い相対速度の領域で、また静止状態からの起
動に対しても良好な耐久性とまた塩害までにも対処でき
る高耐食性を実現した。
【0017】本発明においては、強磁性金属薄膜上に付
与する化合物を極性基を含有したパーフルオロポリエー
テルに特定し、且つ強磁性金属薄膜に対する飽和吸着量
を4.0mg/m2以上と従来の方法によるよりも多くする
ことにより、強磁性金属薄膜の保護層として強固で安定
にしたことが上記の効果を奏するのに効果があったもの
と推定される。
【0018】本発明の磁気記録媒体及びその製造方法に
より、高速から低速まで更に静止状態からの起動におい
てまた幅広い温湿度条件下で走行耐久性に優れ、塩害ま
でも回避できるぐらい耐食性の良好な金属薄膜型磁気記
録媒体を得ることができる。本発明のこの効果は、強磁
性金属薄膜に強く結合したかなりの量のパーフルオロポ
リエーテルからなる層を強磁性金属薄膜上に形成したこ
とによってもたらされたものと推定される。
【0019】本発明でいう飽和吸着量とは、強磁性金属
薄膜の全表面を一分子層で覆う量を意味するが、極性基
含有パーフルオロポリエーテルを強磁性金属薄膜表面に
付与する際に使用するフッ素系溶剤(例えば、モンテフ
ルオス社製ZS100)を使用して25℃の吸着等温線
を求めたときの飽和吸着量である。極性基含有パーフル
オロポリエーテルの強磁性金属薄膜に対する吸着挙動
は、ラングミュアー型である。従って、この定義による
飽和吸着量は、極性基含有パーフルオロポリエーテルが
強磁性金属薄膜表面に一分子層を形成する量であると考
えられる。
【0020】飽和吸着量は、具体的には以下のようにし
て求める。 1)8×10-4重量%、2.4×10-3重量%、4.8
×10-3重量%の3種類の濃度の極性基含有パーフルオ
ロポリエーテルのZS100溶液中に、長さ1m、幅8
mmのバックコート層のない強磁性金属薄膜型テープを浸
漬して、25℃で48時間保持して強磁性金属薄膜上に
極性基含有パーフルオロポリエーテルを吸着させる。 2)前記磁気テープを溶液中から取り出し、蛍光X線分
析装置(島津製作所製、SXF−1000)で、磁気テ
ープの強磁性金属薄膜上のフッ素を定量して吸着量を求
める。そのときの溶液濃度を平衡濃度(C)を横軸に、
強磁性金属薄膜に対する吸着量(A)を縦軸にして、図
1のような吸着等温線を求める。 3)横軸に平衡濃度(C)、縦軸(C/A)をとってプ
ロットしたとき得られる図2のラングミュアープロット
の直線の傾きから下記のラングミュアーの吸着等温式に
基づいて、その傾きの逆数を飽和吸着量(a)として求
める。 C/A=1/(Ka)+aC (C:平衡濃度、A:吸着量、a:飽和吸着量、K:平
衡常数) なお、飽和吸着量の単位は、mg/m2であるが、分母のm2
は巨視的にみた媒体の表面積であって、強磁性金属薄膜
表面の微小な凹凸や強磁性金属薄膜を構成する結晶柱の
微細構造は考慮しない。
【0021】本発明における極性基含有パーフルオロポ
リエーテルの極性基は、オキソ酸基、スルホン基、スル
ホキシド基、またはジフェニルエーテル基である。中で
も特に好ましいのは、オキソ酸基である。オキソ酸は、
例えば理化学辞典(岩波書店発行)によれば、中心原子
に結合している原子がすべて酸素であって酸素の一部ま
たは全部に水素が結合して水酸基となりその水素が水溶
液中で水素イオンを生じて、酸の性質を示すものをい
う。但し、カルボン酸やスルホン酸などの中心原子に炭
素原子が結合したものもこの誘導体とするパーフルオ
ロポリエーテル分子中における極性基の位置及び数は、
特に限定されるものではない。
【0022】また、極性基と主鎖のパーフルオロポリエ
ーテルとの結合は、アミド、ベンゼン、アルキレン等の
他の分子鎖を介しても構わない。また、主鎖のパーフル
オロポリエーテルの大きさは炭素数が6以上150以下
であることが望ましく、特に、9以上50以下であるこ
とが望ましい。炭素数が余り小さいと磁気記録媒体の滑
り性が充分でなく、走行性に問題を生じるようになり、
逆に余り大きいと分子のモビリティが大きい為塗布の
際、分子同士が互いに阻害し合って、吸着しにくくな
る。従って、飽和吸着量が4.0mg/m2以上であって
も、塗布の際には短時間で磁性層表面に付与する必要が
あるので余計に前記モビリティーの影響が大きくなり易
い。その結果、耐久性が充分に付与できない可能性があ
るので望ましくない。パーフルオロポリエーテルの分子
鎖は直鎖であることが望ましいが、分岐があっても構わ
ない。分岐を有する場合その大きさは、分岐の炭素数が
2以下であることが望ましい。
【0023】分岐した分子鎖が余り大きいと分子の空間
に占める体積が大きくなるため緻密な保護層ができない
のと同時に分子の配向性も不規則になるので、耐食性も
充分でなく、また滑り性も悪くなるので望ましくない。
極性基含有パーフルオロポリエーテルの具体例として
は、例えば、化1及び化2の化合物1〜化合物8が挙げ
られる。本発明で極性基含有パーフルオロポリエーテル
として使用できる化合物がそれらに限定されないのは言
うまでもない。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】化合物1から化合物3は、E.I.Du Pont de
Nemours & Company (Inc.) ダイキン工業(株)及びモ
ンテカチーニ社から市販されている。本発明の磁気記録
媒体の強磁性金属薄膜表面に付与する極性基含有パーフ
ルオロポリエーテルの塗布量は、4.0mg/m2以上40
mg/m2であり、(塗布量/飽和吸着量)の重量比率が1
乃至5、好ましくは1乃至3、更に好ましくは1乃至2
である。ここでいう塗布量は、塗布後のサンプルを蛍光
X線分析装置(島津製作所製、SXF−1000)で、
磁気記録媒体の強磁性金属薄膜上のフッ素を定量して求
めた値である。強磁性金属薄膜表面に付与される極性基
含有パーフルオロポリエーテルの塗布量が少ないと、表
面に形成する保護層の形成が強固で緻密なものとはなら
ず、耐食性特に塩害に対処できずまた耐久性も不充分で
ある。また、多すぎると特に低速走行時の摩擦係数が大
きくなって貼り付きなどを起こし易くなる。
【0027】上記極性含有パーフルオロポリエーテル
は、単独で使用しても良いし他の潤滑剤と混合し使用し
ても良い。ほかに混入できる潤滑剤としては、脂肪酸、
金属石鹸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級脂肪族
アルコール、モノアルキルフォスフェート、ジアルキル
フォスフェート、トリアルキルフォスフェート、パラフ
ィン類、シリコーンオイル、動植物油、鉱油、高級脂肪
族アミン;グラファイト、シリカ、二硫化モリブデン、
二硫化タングステン等の無機微粉末;ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル
共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂微粉
末;αオレフィン重合物;常温で液体の不飽和脂肪族炭
化水素等があげられる。本発明において、表面保護・潤
滑層を形成する方法としては、材料を有機溶剤に溶解し
て基板に塗布あるいは噴霧したのち乾燥する方法、材料
を含浸した物体を基板に摩擦して塗着させる方法、有機
溶剤に材料を溶解した溶液に基板を浸漬して材料を基板
表面に吸着させる方法、ラングミュアーブロジェット法
などにより基板表面に材料の単分子膜を形成する方法等
が挙げられる。また本発明において、保護・潤滑層の下
地金属薄膜との密着を向上させるために、UV照射グロ
ー、プラズマ等の方法で強磁性金属薄膜表面を改質して
おくこともできる。また保護・潤滑層は1層でも良いし
複数の層からなっていても良い。
【0028】本発明においては、強磁性金属薄膜中の酸
素含有量は15at%以上、望ましくは20at%以上
であると効果的に発明の目的を達成できる。即ち、15
at%以下であると極性基含有パーフルオロポリエーテ
ルの飽和吸着量を大きくすることができず、また飽和吸
着量が大きくできたとしても吸着を強固にでなく、その
ため耐食性の改良効果及び走行性の向上が充分でない。
また、酸素含有量が30at%を越えるようになると非
磁性成分が増大して強磁性金属薄膜の電磁変換特性が高
いという特徴が喪失されるので好ましくない。更に、強
磁性金属薄膜中の酸素分布を、強磁性金属薄膜の厚さ方
向でみたとき、非磁性基体近傍ならびに磁性層表面近傍
における酸素含量量の方が、中央部近傍よりも多い方が
望ましい。
【0029】すなわち、AES(オージェ電子分光法)
深さ分析で強磁性金属薄膜の厚さ方向に5等分したと
き、表面から非磁性基体の方向に向けて全厚の5分の1
迄の領域を表面近傍、非磁性基体と強磁性金属薄膜との
界面から上方に向けて全厚の5分の1迄の領域を非磁性
基体近傍としときに、強磁性金属薄膜中における酸素は
前記表面近傍及び前記非磁性基体近傍以外の領域の中央
部の酸素含有量は、前記表面近傍の酸素含有量もしくは
前記非磁性基体近傍の酸素含有量のいずれよりも少ない
ような酸素分布を有していることが望ましい。更に、強
磁性金属薄膜の表面近傍の酸素含有量及び非磁性基体近
傍の酸素含有量は5at%以上、中央部の酸素含有量は
3乃至4at%であることが望ましい。
【0030】強磁性金属薄膜に対する飽和吸着量が4.
0mg/m2以上である極性基含有パーフルオロポリエーテ
ルを得るための方法は、種々考えられるが、本発明にお
いて、有効な好ましい方法として以下の方法がある。方
法1)強磁性金属薄膜のオゾンガス処理:非磁性支持体
上に酸素ガス含有雰囲気中でCoを主体とする金属蒸気
流を蒸着して強磁性金属薄膜を成膜した後に、酸素もし
くはオゾンガス含有雰囲気中に該強磁性金属薄膜を晒し
た後に、該強磁性金属薄膜上に極性基含有パーフルオロ
ポリエーテルを付与する方法、方法2)強磁性金属薄膜
の熱処理:非磁性支持体上に酸素ガス含有雰囲気中でC
oを主体とする金属蒸気流を蒸着して強磁性金属薄膜を
成膜した後に、該強磁性金属薄膜を80乃至180℃
望ましくは100乃至160℃、1秒乃至60秒間、
ましくは1乃至30秒間保持して熱処理した後に、該強
磁性金属薄膜上に極性基含有パーフルオロポリエーテル
を付与する方法、及び方法3)強磁性金属薄膜の不活性
ガス処理:非磁性支持体上に酸素ガス含有雰囲気中でC
oを主体とする金属蒸気流を蒸着して強磁性金属薄膜を
成膜した後に、該強磁性金属薄膜をアルゴン、ヘリウム
及び窒素等の不活性ガス中に保持する処理をした後に、
該強磁性金属薄膜上にオキソ酸誘導基を有する極性基含
有パーフルオロポリエーテルを付与する方法である。即
ち、極性基含有パーフルオロポリエーテルを付与する前
に強磁性金属薄膜を処理してパーフルオロポリエーテル
の吸着量を増大させたり、また特定の極性基を有したパ
ーフルオロポリエーテルと強磁性金属薄膜の表面の処理
を組み合わせた方法である。中でも最も好ましい方法
は、1)のオゾンガス雰囲気中で強磁性金属薄膜を処理
する方法である。
【0031】本発明に対してこの方法が特徴ある効果を
もたらす要因については、明確ではないが、オゾン含有
雰囲気中に曝すことによって、強磁性金属薄膜の表面に
従来の酸化処理によるよりも緻密な酸化膜が形成され、
かつ強磁性金属薄膜表面が活性化されて極性基含有パー
フルオロエーテルの吸着サイトが増大するためではない
かと推定される。
【0032】強磁性金属薄膜中の酸素含有量を表面近傍
及び非磁性基体近傍及び非磁性基体近傍における中央部
よりも多くすることによって、本発明の方法におけるオ
ゾン含有雰囲気中に強磁性金属薄膜を曝す処理を施す効
果がより一層顕著となって、前記の塩害に対して耐性の
大きい磁気記録媒体を得ることが出来る。
【0033】非磁性支持体上に一定の厚さの強磁性金属
薄膜を成膜した後に、オゾン含有雰囲気中に強磁性金属
薄膜を曝す処理を施し、磁気記録媒体が作成される。こ
のオゾン含有雰囲気中に曝す処理に際しては、強磁性金
属薄膜を保持する温度、雰囲気のオゾン濃度、処理時間
などを制御する必要かある。強磁性金属薄膜の温度に関
しては、その効果に対する臨界点といえるほどのクリテ
ィカルな点はなく、割合に緩慢であるが、例えば室温で
はより高濃度のオゾン雰囲気でより長時間の処理が必要
であり、効率的でない。
【0034】また、耐蝕性向上のみをみると温度は高い
ほど望ましいわけだが、140℃以上になると、高分子
ベースフィルムの耐熱性、特に磁気テープに多く用いら
れるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの
耐熱性の問題があり好ましくない。また、140℃以上
ではテープの逆カッピングが大きくなって、ヘッド当た
りが不良となるので好ましくない。
【0035】以上の諸点を考慮するとオゾン処理時の強
磁性金属薄膜の温度は、80℃以上で140℃を超えな
いこと、望ましくは90以上で130℃を越えないこと
である。さらに、濃度、処理時間に関しては、オゾン濃
度をxppm、処理時間をy秒としたとき、xとyの積
が150000以上であることが望ましい。これよりも
小さいと、強磁性金属薄膜の塩害に対する効果は不十分
である。さらに、オゾン雰囲気中に曝す処理を施す前に
強磁性金属薄膜の表面は、清浄にしておく必要がある。
強磁性金属薄膜の表面が汚染されているとオゾンの一部
が汚染物の除去に消費されてしまうためなのか、前記本
発明の効果が充分に現れない。従って、強磁性金属薄膜
は、例えば水の接触角で管理することが必要で、接触角
60度以下の表面状態を保った上で、前記のオゾン処理
を施すことが望ましい。
【0036】オゾン雰囲気としては、乾燥空気中にオゾ
ンを含有させた雰囲気でも良いし、窒素、アルゴン、ヘ
リウムなどの不活性ガス中にオゾンを含有させてもよ
い。前記オゾン処理は、強磁性金属膜をオゾナイザー等
のオゾン発生源で生成されたオゾンが導入されている処
理室に一定時間曝すことによりなされ、バッチ処理でも
また連続処理でも行うことができる。
【0037】例えば、図3にその要部の断面概略図を示
すバッチ処理装置では、ケーシング104で覆われた処
理ゾーンとなる上部空間を有するホットプレート106
上に非磁性基体上に成膜された強磁性金属薄膜の処理試
料105を強磁性金属薄膜を上に向けて固定し、前記ホ
ットプレートからの熱で一定温度に保持する。別途酸素
ボンベ100からオゾナイザー102へ酸素ガスを導き
オゾンを生成して、一部がオゾン化された酸素ガスを導
入管103を通じて前記処理試料105上に供給するこ
とによって強磁性金属薄膜のオゾン処理を行う。そし
て、一部がオゾン化されたガスは、排気管108を通っ
て触媒分解装置109に導かれそこで分解される。ま
た、107は、ケーシングテーブルである。
【0038】図4にその要部の断面概略図を示す連続処
理装置204では、送り出し巻取り室200a中の巻取
りロール205に巻取られている非磁性基体上に成膜さ
れた強磁性金属薄膜の長尺の処理試料207が、搬送ロ
ール210によって搬送され隔壁209を通過して処理
室200bに入り、加熱ロール203巻き付けられ再び
隔壁209を通過して前記搬送ロールで搬送されて巻取
りロール206に巻取られる。強磁性金属薄膜の前記長
尺試料207は、前記加熱ロール203に対し強磁性金
属薄膜の面が外側になるように搬送され、前記加熱ロー
ル203に巻き付けられている間に一定温度に加熱され
る。そして、前記加熱ロールの円周側面には、覆い21
2があり、別途オゾナイザー202で生成されたオゾン
を含有するガスが導入管213を通じて前記加熱ロール
上に巻き付けられながら搬送されている強磁性金属薄膜
の前記処理試料207の上に供給されて、オゾン処理が
なされる。そして、オゾン含有ガスは、排気管214か
ら触媒分解装置208に導かれて、そこで分解される。
【0039】前記2)の方法である熱処理については、
80℃から180℃での温度範囲で有ればどのような方
法でもかまわない。たとえば塗布機で塗布する加熱ロー
ルを用いてバック面からでも磁性層面からでも熱処理し
てもよいし、また図5のように巻き返し機に加熱ロール
310を付けバック面からでも磁性層面からでも熱処理
面からでも熱処理してもよい。またその場合、バック面
からのほうが好ましい。なぜなら磁性層面と加熱ロール
306が接触する際、金属ロール面に付着していた有機
物およびガスが磁性面に吸着し、潤滑剤の飽和吸着量を
減少させる可能性があるからである。また熱処理時間に
ついては秒以上10秒以下が好ましい。なぜなら処理
温度が低かったり熱処理時間が短すぎると処理の効果が
発現せず、また処理温度が高かったり熱処理温度が長す
ぎたらベースフィルム306の熱収縮によって磁性面に
亀裂が入るからである。この時加熱ロール本体306の
材料が金属であり、かつ該加熱ローラ306の被覆する
材料311がポリフッ化エチレン等の該加熱ローラ本体
の材料よりも熱伝導が低い材料が好ましい。なぜならこ
の表面被覆層によって加熱ローラ本体が生じる熱ショッ
クを緩和するため高温度で処理してもひび割れを押さえ
る事ができるからである。
【0040】前記3)の方法である不活性ガス処理につ
いては導入の仕方は、蒸着チャンバー内の真空を破ると
き、該不活性ガスで満たし、絶えず不活性ガスを吹き付
けながら該潤滑剤を塗布するあるいは不活性ガス中で保
存したサンプルに塗布機を用いて塗布するなどいろいろ
な方法が有るが、重要なのは該潤滑剤を磁性層表面に存
在させるまで大気に触れさせない事である。なぜなら金
属薄膜を成膜時が最も該潤滑剤に対しての吸着活性が高
く、それは不活性ガス中では保存される。しかしながら
ひとたびでも大気に触れると大気中のハイドロカーボ
ン、水分などのコンタミおよび中途半端な酸素酸化によ
り該潤滑剤の吸着活性点が被毒されてしまい飽和吸着量
が減少するからである。
【0041】本発明における強磁性金属薄膜の材料とし
てはCoを主成分とするものでCo−Fe,Co−N
i,Co−P,Co−B,Co−Y,Co−La,Co
−Ce,Co−Pt,Co−Sm,Co−Mn,Co−
Cr,Fe−Co−Ni,Co−Ni−P,Co−Ni
−B,Co−Ni−Ag,Co−Ni−Nd,Co−N
i−Ce,Co−Ni−Zn,Co−Ni−Cu,Co
−Ni−W,Co−Ni−Re等の強磁性合金を蒸着の
方法により形成せしめたもので、その膜厚は通常0.0
5−1.0μmの範囲であり望ましくは500乃至30
00オングストロームである。蒸気の強磁性金属薄膜は
他にO,N,Cr,Ga,As,Sr,Zr,Nb,M
o,Rh,Pd,Sn,Sb,Te,Pm,Re,O
s,Ir,Au,Hg,Pb,Mg,Bi等を含んでい
てもよい。
【0042】強磁性金属薄膜中の酸素含有量は、AES
(オージェ電子分光法)深さ分析にて算出する。本発明
の方法における磁気記録媒体の前記強磁性金属薄膜は、
真空蒸着法、スパッタリング法などの真空成膜法によっ
て非磁性基体上に成膜される。強磁性金属薄膜中に酸素
を所定量含有させるために、成膜室内には、同時に酸素
が導入される。前記強磁性金属薄膜の膜厚としては、特
に、500乃至3000オンク゛ストロームの範囲にあることが
望ましい。本発明に用いられる非磁性支持体としてはポ
リエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、
ポリ塩化ビニル、三酢酸セルロース、ポリカーボネー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルフ
ァイドのようなプラスチックベース、又はAl、Ti、
ステンレス鋼などが使用できる。走行耐久性を向上させ
るために、強磁性金属薄膜を形成する前に非磁性支持体
表面に微小突起を設けておくことが結果的に磁性層表面
に適度な凹凸を設けることになり効果的である。非磁性
支持体表面の微小突起の存在密度は2×106 〜2×1
8 個/mm2 であり、突起の高さは1〜50nmのもの
が好ましい。その厚さとしては、用途によって相違する
が、通常3〜50μmである。
【0043】更に、本発明の磁気記録媒体の走行性を高
めるために、非磁性基体の強磁性金属薄膜がある面とは
反対の面にカーボンブラック等の微粉末と結合剤樹脂と
を主体とする塗膜より成るバックコート層を設けること
もできる。又、前記強磁性金属薄膜の密着性を高めるた
めに非磁性基体と強磁性金属薄膜との間に中間層を設け
ることもできる。
【0044】
【実施例】本発明の新規な特徴を以下の実施例、比較例
によって更に具体的に説明する。
【0045】実施例1 図6に、その断面の要部断面の概略図を示した蒸着装置
1を用いて、以下の手順で磁気記録媒体の試料を作成し
た。送り出し巻取り室1a及び成膜室1bに取り付けら
れた排気口2及び16から排気を行って、前記成膜室1
b真空度を5×10-5Torr以下にした後、前記送り
出し巻取り室1aに設置されている送り出しロール3に
巻かれた幅100mm、厚さ9.7μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムの非磁性基体5を20m/分の搬
送速度で送り出し、搬送ロール6で搬送し、隔壁16と
冷却キャン8との間を通し、前記成膜室に入れ、冷却キ
ャン8に沿わせて再び前記冷却キャン8と隔壁17との
間を通して、前記送り出し巻取り室1b内に搬送し、搬
送ロール7で搬送して巻取りロール4に巻取る。別途、
第1酸素導入口9より毎分1000cc、第2酸素導入口
より毎分800cc酸素を導入し、坩堝12中にいれたC
oNi合金13を電子ビーム源14からの電子ビーム1
5により加熱して、シャッター11で入射角をコントロ
ールして入射角35度の斜め蒸着によって、蒸気流18
を前記冷却8上の前記非磁性基体5の上2200Åの厚
さに強磁性金属薄膜を成膜して、磁気記録媒体の原反ロ
ールを得た。
【0046】次に、前記磁気記録媒体から切り取った、
80mm角の大きさの試料に図3にその要部の断面図を示
したバッチ式オゾン処理装置を用いて、オゾン処理を施
した。この時の処理室内のオゾンの濃度は、28000
ppmであった。またホットプレートにより前記試料の
温度を120℃にした。処理時間は、30秒間、の条件
を選択し、オゾン処理を施した原反を調製した。
【0047】得られたオゾン処理を施した原反の強磁性
金属薄膜上に、第1表に記載した各種潤滑剤を溶剤ZS
100に溶解し乾燥後の塗布量が同表記載となるように
塗布、乾燥し、8mm巾にスリットして、表1の試料 No.
1〜8を作成した。
【0048】
【表1】
【0049】また得られた磁気テープの飽和吸着量を前
記方法により測定した。(表1参照)このようにして得
られた磁気テープの(A)40℃、70%相対湿度およ
び(B)10℃、15%相対湿度におけるステンレス棒
に対する摩擦係数すなわちμ値、8ミリ型VTRでの繰
り返し走行耐久性およびスチル耐久性、ジッターおよび
耐蝕性の程度を調べたところ表1のようになった。
【0050】〔ジッターの測定〕ここでジッターとは8
ミリ型VTR(富士写真フイルム(株);FUJIX-8 M6
型)でカラーバーを記録後、再生した時の水平同期信号
の時間間隔の平均からのずれ量を測定したものであり、
実際のジッターは、5℃10%相対湿度で目黒電波のM
K611(フィルター無し)を用いて測定した。
【0051】(摩擦係数の測定)摩擦係数(μ)は磁気
テープサンプルの磁性層面とステンレスポールとを50
gの張力(T1 )、巻つけ角180℃で接触させ、10
mm/秒の一定速度でテープを走行させるために必要な張
力(T2 )を測定し、この測定値より、下記式に基づき
各摩擦係数μを計算した。また、この時ステンレスポー
ルへの貼りつきの有無も調べた。 μ=(1/π)ln(T1 /T2 ) (スチル耐久性の測定)スチル耐久性は、8ミリ型VT
R(富士写真フイルム(株);FUJIX-8 M6型)(ただし
スチル再生時間を制限する機能を取り去ってある)で画
像再生時にポーズボタンを押し、画像が出なくなるまで
の時間を測定して評価した。
【0052】〔耐蝕性の測定〕前記磁気記録媒体の試料
の強磁性金属薄膜上に15重量%の食塩水をエアゾール
にして3分間吹き付け、ついで60℃80%RHの雰囲
気化に2日間放置し、放置後の強磁性金属薄膜表面の状
態を肉眼観察及び光学顕微鏡観察(倍率:50倍)をし
て、その錆の発生状況から以下のように評価点をつけ
た。 1点 … ほぼ全面にわたり錆の発生が確認できる。
(肉眼) 2点 … 錆の発生が肉眼で確認できる。 3点 … 肉眼では錆は確認できないが、光学顕微鏡で
観察するとかなりの錆の発生が確認できる。 4点 … 肉眼では錆は確認できないが、光学顕微鏡で
観察すると錆の発生が幾らか認められる。 5点 … 肉眼で錆は認められず、又光学顕微鏡でも錆
は殆ど認められない。 6点 … 光学顕微鏡でも錆はまったく認められない。
【0053】実施例2 実施例1で得られた前記磁気記録媒体11の原反ロール
を図5で示したような熱処理装置で処理した。前記磁気
記録媒体301の強磁性薄膜を外側の方向に向けて前記
加熱ローラ306に巻きつけ、毎分10mの一定速度で
搬送した。前記加熱ローラ306としては、外径200
mmのアルミニウム製であり、前記磁気記録媒体301が
接する表面には、厚さ30μmのポリフッ化エチレン
(テフロン(登録商標)(デュポン社製))の被覆層3
11が均一に設けられたものを用意した。そして、前記
加熱ローラ306の表面温度を115℃に設定した。表
面温度は接触式温度計の端子を前記加熱ローラ306の
表面に押しつけて測定した。前記磁気記録媒体301の
前記加熱ローラ306への巻きつけ角は、250°であ
った。以上の処理により熱処理した原反をえた。
【0054】得られた熱処理を施した原反の強磁性金属
薄膜上に表2に記載された各種潤滑剤を溶剤ZS100
に溶解し乾燥後の塗布量が同表記載となる様に塗布、乾
燥し、8mm幅にスリットして、調整した試料 No.9〜1
4を作成した。この得られた磁気テープの飽和吸着量、
(A)50℃、90%相対湿度および(B)5℃、15
%相対湿度におけるステンレス棒に対する摩擦係数すな
わちμ値、8ミリ型VTRでの繰り返し走行耐久性およ
びスチル耐久性、ジッターおよび耐蝕性の程度を実施例
1と同様な方法で調べたところ表2のようになった。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】上記結果を飽和吸着量と摩擦係数、ジッタ
ー、スチルおよび耐食性の観点でグラフ化すると図8−
11の関係が得られる。
【0058】実施例3 実施例1と同一の条件で強磁性金属薄膜を成膜したあ
と、真空を破る際、窒素ガスを導入して装置内を不活性
ガスでみたした。その後、得られた前記磁気記録媒体の
原反ロールを大気にふれさせないようにして密閉容器に
写しそれを図7で示す。密閉された塗布機の巻き取り側
に窒素ガスを系内を加圧し、大気にふれさせないように
容器TO容器でセットした後、搬送し表3に記載された
各種潤滑剤を溶剤ZS100に溶解し乾燥後の塗布量が
同表記載となる様に塗布、乾燥し、8mm幅にスリットし
て、調整した試料 No.15〜20を作成した。(表3)
この得られた磁気テープの飽和吸着量、(A)50℃、
70%相対湿度および(B)5℃、15%相対湿度にお
けるステンレス棒に対する摩擦係数すなわちμ値、8ミ
リ型VTRでの繰り返し走行耐久性およびスチル耐久
性、ジッターおよび耐蝕性の程度を実施例1と同様な方
法で調べたところ第3表のようになった。
【0059】比較例 実施例1と同一の条件で強磁性金属薄膜を成膜したあ
と、真空を大気中で破り、ついで日本モンテジソン社製
のフッ素オイル、フォンブリンZ−DEAL(化合物
C)を塗布したあと、60℃で24時間加熱処理を施し
たあと乾燥し8mm幅にスリットして調整した試料 No.2
1を作成した。化合物C:F(C3 6 O)C2 4
OOCH3
【0060】
【発明の効果】強磁性金属薄膜に対する飽和吸着量が
4.0mg/m2以上であるようにして極性基含有パーフル
オロポリエーテルを該強磁性金属薄膜上に付与すること
により幅広い環境条件下で走行耐久性に優れ且つ塩害に
対する耐食性にも優れた金属薄膜型磁気記録媒体を得る
ことができる。特に、前記強磁性金属薄膜はCoを主成
分であり且つ酸素を少なくとも15at%含有し、前記
極性基含有パーフルオロポリエーテルの極性基としてオ
キソ酸基、スルホン基、スルホキシド基及びジフェニル
エーテル基のうちの少なくともいずれか一つとすること
が効果的である。また、成膜後の強磁性金属薄膜の表面
をオゾンガス中で処理することも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】強磁性金属薄膜に対する極性基含有パーフルオ
ロポリエーテルの吸着等温線を示すグラフ。
【図2】強磁性金属薄膜に対する極性基含有パーフルオ
ロポリエーテルの吸着等温線から得られるラングミュア
ープロットを示すグラフ。
【図3】強磁性金属薄膜のオゾンガス処理のためのバッ
チ処理装置の要部断面概略図。
【図4】強磁性金属薄膜のオゾンガス処理のための連続
処理装置の要部断面概略図。
【図5】強磁性金属薄膜の熱処理装置の要部断面概略
図。
【図6】強磁性金属薄膜を成膜するための蒸着装置の要
部断面の概略図。
【図7】強磁性金属薄膜の不活性ガス処理のための処理
装置の要部断面概略図。
【図8】極性基含有パーフルオロポリエーテルの強磁性
金属薄膜に対する飽和吸着量と強磁性金属薄膜の摩擦係
数との関係を示すグラフ。
【図9】極性基含有パーフルオロポリエーテルの強磁性
金属薄膜に対する飽和吸着量と強磁性金属薄膜型磁気記
録媒体のスチル特性との関係を示すグラフ。
【図10】極性基含有パーフルオロポリエーテルの強磁
性金属薄膜に対する飽和吸着量と強磁性金属薄膜型磁気
記録媒体のジッターとの関係を示すグラフ。
【図11】極性基含有パーフルオロポリエーテルの強磁
性金属薄膜に対する飽和吸着量と強磁性金属薄膜の耐食
性との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
100 … 酸素ボンベ 102 … オゾナイザー 103 … 導入管 104 … ケーシング 105 … 磁気記録媒体 106 … ホットプレート 107 … 108 … 排気管 109 … 触媒分解装置 1 … 斜め真空蒸着装置 1a … 送り出し巻取り装置 1b … 成膜室 2 … 排気口 3 … 送り出しドラム 4 … 巻取りドラム 5 … 非磁性基体 6 … 搬送ロール 7 … 搬送ロール 8 … 冷却キャン 9 … 第1酸素導入口 10 … 第2酸素導入口 11 … 遮蔽板 200a… 送り出し巻取り室 200b… オゾン処理室 201 … 酸素導入管 202 … オゾナイザー 203 … 加熱ドラム 204 … 連続式オゾン処理装置 205 … 送り出しロール 206 … 巻取りロール 207 … 磁気記録媒体 208 … 触媒分解装置 209 … 隔壁 210 … 搬送ロール 211 … 搬送ロール 212 … 覆い 213 … オゾン導入管 214 … 排気管 301 … 磁気記録媒体 302 … 送り出し原反 303 … 送り出し軸 304 … ボビン 305 … パスロール 306 … 加熱ローラ 307 … パスロール 308 … 巻き取り軸 309 … ボビン 311 … 被覆層 400 … 密閉室 406 … コイルバー 407 … パスロール 408 … 巻き取り軸 409 … ボビン 411 … 不活性ガス導入口 412 … 送り出し原反 413 … 送り出し軸 414 … ボビン 415 … パスロール
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−109028(JP,A) 特開 平4−247318(JP,A) 特開 昭62−293509(JP,A) 特開 昭61−120340(JP,A) 特開 平1−256018(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 171/00 - 171/14 C09D 5/00 - 5/46 G11B 5/62 - 5/82

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に酸素含有強磁性金属薄
    膜を有する磁気記録媒体において、該酸素含有強磁性金
    属薄膜はCoを主成分とするものであり且つ酸素を15
    at% 〜30at%含有し、酸素含有強磁性金属薄膜
    に対する飽和吸着量(mg/m 2) が4 . 0 mg/m2以上であ
    る、オキソ酸基、スルホン基、スルホキシド基及びジフ
    ェニルエーテル基のうち少なくとも一つを極性基として
    有する極性基含有パーフルオロポリエーテルを該飽和吸
    着量の1乃至5倍量該酸素含有強磁性金属薄膜上に有す
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に酸素ガス含有雰囲気中
    でCoを主体とする金属蒸気流を蒸着して酸素含有強磁
    性金属薄膜を成膜した後に、酸素もしくはオゾンガス含
    有雰囲気中に該酸素含有強磁性金属薄膜を曝した後に、
    酸素含有強磁性金属薄膜上に極性基含有パーフルオロ
    ポリエーテルを付与することを特徴とする酸素含有強磁
    性金属薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に酸素ガス含有雰囲気中
    でCoを主体とする金属蒸気流を蒸着して酸素含有強磁
    性金属薄膜を成膜した後に、該酸素含有強磁性金属薄膜
    を80乃至180℃、1秒乃至60秒保持した後に、該
    酸素含有強磁性上に極性基含有パーフルオロポリエーテ
    ルを付与することを特徴とする酸素含有強磁性金属薄膜
    型磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に酸素ガス含有雰囲気中
    でCoを主体とする金属蒸気流を蒸着して酸素含有強磁
    性金属薄膜を成膜した後に、該酸素含有強磁性金属薄膜
    を不活性ガス中に保持する処理をした後に、該酸素含有
    強磁性金属薄膜上にオキソ酸基を有する極性基含有パー
    フルオロポリエーテルを付与することを特徴とする酸素
    含有強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
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