JP2964433B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP2964433B2 JP19133592A JP19133592A JP2964433B2 JP 2964433 B2 JP2964433 B2 JP 2964433B2 JP 19133592 A JP19133592 A JP 19133592A JP 19133592 A JP19133592 A JP 19133592A JP 2964433 B2 JP2964433 B2 JP 2964433B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電磁変換特性の優れた高
密度記録用の強磁性金属薄膜を担持した磁気記録媒体の
製造方法に関し、特に走行耐久性に優れる磁気記録媒体
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非磁性支持体上に真空蒸着法、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法によ
り強磁性金属薄膜の磁性層を形成したいわゆる強磁性金
属薄膜型磁気記録媒体は、磁性層が強磁性粉末と結合剤
樹脂を主体とする塗布型の磁気記録媒体に比較して、磁
性層に結合剤樹脂がないだけに優れた電磁変換特性を有
し、高密度記録用の磁気記録媒体として注目され、一部
実用化されている。
【0003】特に、真空蒸着法は、他の真空成膜法に比
し、乾式で処理できること、成膜速度が比較的大きいこ
と、製造工程が比較的簡易であること等の利点を有す
る。真空蒸着法による強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の
改良に関しては、例えば、米国特許公報3342632
号、同3342633号等を始めとして古くから種々の
提案がなされている。
【0004】この強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の実用
化上の大きな問題点として、走行性、耐久性の問題があ
る。磁気記録において信号の記録、再生及び消去の過程
において磁気記録媒体と磁気ヘッドとは互いに高速で摺
動しているが、その際、磁気記録媒体は、磁性層の摩耗
及び破壊があってはならないだけではなく、スムーズに
安定に走行することが要求される。
【0005】しかし、強磁性金属薄膜型の磁気記録テー
プは、塗布型に磁気記録テープに比べ、走行耐久性の確
保が難しい。これは、塗布型磁気記録媒体は磁性層中に
潤滑剤を有するために長時間にわたって表面潤滑が可能
であるのに対し、金属薄膜型磁気記録媒体では、その表
面に潤滑剤層を設けるために一度潤滑剤が剥離すると磁
性層がダメージを受けやすくなるためである。
【0006】この要求に対処するために、強磁性金属薄
膜型磁気記録媒体の磁性層の保護層もしくは潤滑層とし
て、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、脂肪酸、脂肪酸の金
属塩、脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルの層を磁
性層表面に形成する方法が、特開昭60−69824号
公報、特開昭60−85427号公報等に開示されてい
る。
【0007】また、フッ素含有化合物を保護層用素材と
して利用する方法も各種提案されている。例えば、特開
昭61−107528号公報には、分岐パーフルオロア
ルケニル基を有する化合物を耐久性の向上に利用した
り、米国特許3778308号には、パーフルオロアル
キルポリエーテル系の化合物を利用する方法が提案され
ている。
【0008】また、特公昭60−10368号公報に
は、パーフルオロアルキルポリエーテル分子鎖の一端ま
たは両端をカルボキシル基などの極性基で修飾した末端
変性タイプのパーフルオロアルキルポリエーテルを保護
層用化合物として利用する方法が提案されている。さら
に、ディスク状の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用の潤
滑剤として、複数のアミノ基を有する化合物とパーフル
オロアルキルポリエーテル鎖を持つカルボン酸を脱水縮
合して得られる多鎖型パーフルオロアルキルポリエーテ
ルアミドを利用した研究も報告されている(杉山等:日
本潤滑学会第34回全国大会、B・28;予稿集、42
5頁)。
【0009】また、特開昭64−33713号公報、特
開平1−112516号公報、特開平3−102614
号公報、特開平1−112528号公報、特開昭62−
192029号公報には、イソシアネート、オキソ酸等
の極性基を持つ化合物が走行耐久性を改善することが開
示されている。更に、特開平3−207021号公報に
は、金属薄膜上に極性基含有潤滑層を蒸着で形成した上
にそれよりも極性が弱い液体潤滑剤を形成することによ
り、スチル耐久性を向上させる方法が開示されている。
【0010】また、特開昭63−237216号公報
は、磁性層に保護膜を形成した後、親水基含有弗化化合
物の塗布膜上にパーフルオロポリエーテルを塗布するこ
とにより、磁気ディスクの磁気ヘッドに対する主として
メッキ膜磁性層の耐久性を向上させると記載している。
また、特開昭61−113126号公報は、極性基含有
パーフルオロポリエーテルと極性基不含パーフルオロポ
リエーテルを磁性層表面に混在して設けることにより、
走行時の鳴きの現象や磁気ヘッド目詰まりを解消した金
属薄膜型磁気記録媒体を提案している。
【0011】また、特開平4−76816号公報では、
粘度が30cSt以下の潤滑剤と30cSt以上の潤滑
剤を併用することにより、金属薄膜型磁気記録媒体の走
行性、耐久性を改善することを開示している。以上の従
来技術を総括すると、極性の弱いパーフルオロポリエー
テルのみを使用した磁気記録媒体は、走行時に潤滑剤が
簡単に剥離してしまう欠点があり、また、極性基含有パ
ーフルオロポリエーテルを使用した媒体では、流体潤滑
性が少ないためにスチル耐久性が不十分であったり、未
吸着の潤滑剤が原因と思われる目詰まりが多発するた
め、実際には極性基含有パーフルオロポリエーテルと極
性基の少ないパーフルオロポリエーテルを使用すること
によりこれら欠点を解消しようとする場合が多い。
【0012】即ち、特開昭63−23716号公報や特
開平3−207021号公報の開示する技術は、現在の
潤滑技術としては走行耐久性の改善に関し、かなり理想
的な系を提供していると考えられる。しかし、前者は、
保護膜上に限定されており、また塗布条件を適切に選ば
ないとその効力が十分でない場合があるという問題があ
り、後者は真空蒸着工程が必要なため工程が複雑にな
り、また特に広幅に拡張したときの蒸着膜厚の制御が困
難であるという問題がある。
【0013】また、強磁性金属薄膜上に上記潤滑剤を塗
布する方法は、その走行耐久性は吸着量および吸着状態
の良否に影響され、それらはまた強磁性金属薄膜の表面
状態とも関係する。従って、強磁性金属薄膜の表面を改
善するために種々の表面処理方法が行われてきた。例え
ば、以下の例を挙げることができる。 1)特開昭57−123533号公報 強磁性金属薄膜の表面に100℃以上の加熱水蒸気流を
差し向けることにより、耐蝕性を改善するための保護層
を形成する。 2)特開昭57−138053号公報 金属薄膜磁性層に水を接触させた状態で熱処理すること
により、耐腐食用の保護膜を形成する。 3)特開昭59−119542号公報 強磁性金属薄膜を水と窒素が共存する環境中でグロー放
電雰囲気下に曝して磁性薄膜上に酸化物層を形成するこ
とにより、耐腐食性、耐久性に優れた磁気記録媒体を得
る。 4)特開昭59−119543号公報 強磁性金属薄膜を水とアルゴンが共存する環境中でグロ
ー放電雰囲気したに曝して磁性薄膜上に酸化物層を形成
することにより、耐蝕性、耐久性に優れた磁気記録媒体
を得る。 5)特開昭63−9021号公報 磁性金属層を形成した後、巻き取った状態で酸素及び水
が存在する雰囲気下に曝して、加熱することにより、均
一な酸化被膜を形成して耐蝕性及び耐久性の向上を図
る。 6)特公昭49−29445号公報 Coを主体とする強磁性金属薄膜表面を200〜290
℃の温度で焼成して、酸化コバルトの被覆を形成し、耐
磨耗性の優れた表面にすると共に潤滑剤(シリコーン
油、ポリマーが例示されている。)が固着可能な面にす
る。 7)特開昭59−2231号公報 磁性金属薄膜層を水又は界面活性剤及び有機溶剤を含む
水溶液中で処理して、耐候性を向上させる。 8)特開昭63−229620号公報 強磁性金属薄膜表面を水を10〜80重量%含有するア
ルコールで処理して、その上に有機化合物からなる層を
設けることにより、耐久性及び耐候性を改良する。 9)特開昭62−287426号公報 強磁性金属薄膜の層を酸素と水分の存在下で熱処理する
ことにより、耐磨耗性を向上させる。処理条件として、
40℃40%RH〜90℃15%RHの条件が記載され
ている。潤滑剤としてパーフルオロポリエーテルを使用
している。
【0014】以上の従来技術において、1)〜5)、
7)、9)では、磁性層形成後、加熱あるいはグロー放
電など共に少なくとも水と接触処理することにより磁性
層表面に酸化物層等の保護層を形成する方法を開示して
いる。6)では、加熱処理して酸化コバルト被膜を形成
している。また、8)の特開昭59−229620号公
報では、水/有機溶剤の混合溶液で表面処理する方法を
開示している。
【0015】しかし、前者の方法では、磁性層の強度が
劣化して脆くなり、耐久性を悪化させる場合があるとい
う問題があり、また潤滑剤を十分に保持できにくいとい
う問題があり、目詰まりし易いという欠点があり、更に
処理工程が複雑でコスト高になるという問題がある。ま
た、後者では、処理した有機溶剤が磁性層表面に吸着
し、潤滑剤の磁性層への吸着を阻害するため、目詰まり
特性が悪化することがあった。 そして、未だ上記問題
を解決する有効な手段は見出せないでいた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点に鑑みなされたものであり、走行耐久性が改
良され、特にヘッド目詰まりが改善された強磁性金属薄
膜型磁気記録媒体をより容易な手法かつ低コストな装置
で製造できる方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、斜
方蒸着法により非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を成膜
した後に、該強磁性金属薄膜を相対湿度50〜90%、
10〜50℃の雰囲気中に接触させる高湿度処理を行
い、次いで前記強磁性金属薄膜上に分子内に極性基を有
した潤滑剤を付与することを特徴とする磁気記録媒体の
製造方法により達成できる。
【0018】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁
性支持体上に強磁性金属薄膜(以下、磁性層、磁性膜等
の用語も使用するが何れも強磁性金属薄膜と同意であ
る。)を設けた後、一定の高湿雰囲気中に原反表面をさ
らし、一定の親水性表面を形成した後、極性基を有する
潤滑剤を含む潤滑層を作製することを特徴としている。
本発明者等の実験によれば、磁性層上に極性基を有する
潤滑剤により潤滑層を作製する場合、潤滑剤の吸着量、
実際にVTRで長時間走行させた時の目詰まり特性など
は潤滑剤の塗布量を一定にしても、磁性層表面状態の差
によって大きく変化するため、潤滑層を作製する前に磁
性層の表面状態を一定に保つ必要がある。
【0019】そこで、本発明においては、磁性膜成膜
後、一定の高湿度雰囲気中に磁性層表面をさらすことに
よって、次いでその表面に極性基を有する潤滑剤(以
下、極性基含有潤滑剤ともいう)を付与することによ
り、吸着力が強く一定かつ潤滑剤吸着量の多い表面を作
製できる。本発明の製造方法は、磁性層極表面のみを制
御するため、耐蝕性が悪化したり、電磁変換特性を損な
うことはない。また、溶剤等も使用しないため潤滑剤の
吸着点を塞いでしまうこともない。
【0020】また、本発明の高湿度処理は、相対湿度5
0〜90%、好ましくは55〜85%、特に好ましく
は、60〜80%で、温度10〜50℃、好ましくは2
0〜40℃の雰囲気中に強磁性金属薄膜を接触させるこ
とにより行う。なお、湿度は磁性層表面に結露が生じな
い範囲が使用可能である。処理時間は、数秒あれば十分
であり、時間が長い分には結露しない限り問題はない。
処理後に乾燥を行っても良いが、乾燥を行わなくても問
題はない。
【0021】本発明における高湿度処理の具体的方法と
しては、磁性層成膜後、一定の湿度に保った装置内に磁
性層がさらされるように放置するか、ロール状に巻かれ
たものであれば、巻き替えを行えばよい。ただし、磁性
層成膜後直ちに高湿度処理を施すことを避ける場合やカ
ッピング修正等の他の処理をする場合は、高湿度環境下
に晒されないように管理することが必要である。
【0022】この時高湿度処理された表面は、例えば、
水との接触角が45°以下、好ましくは30〜35°か
つヨウ化メチレンとの接触角が25°以上、好ましくは
30〜40°であるような表面である。即ち、本発明に
おいては、高湿度処理が施された強磁性金属薄膜は、そ
の表面構造が少なくとも潤滑層形成まで保持されるよう
に保管されることが必要であり、該表面構造を劣化させ
るような環境に保管あるいは処理工程を設けるのは望ま
しくないが、本発明の範囲外の環境下での保管であるな
らば特に問題はない。例えば、真空条件下での保管であ
れば特に問題はないが、一般的には磁性層が過度に酸化
をしないうちに、処理後数時間以内に潤滑剤を強磁性金
属薄膜の上に設けることが好ましい。
【0023】また、本発明においては、高湿度処理が前
記強磁性金属薄膜の表面構造を少なくとも形成可能であ
るならば、基本的には強磁性金属薄膜表面の少なくとも
一部に対して任意の処理を施すことができる。本発明に
おける高湿度処理の作用機構を簡単に述べると、以下の
通りである。金属薄膜磁性層が高湿度処理において、水
分子と接触することにより、強磁性金属薄膜の表面に極
性基含有潤滑剤の極性基に対して活性な、親和性が高い
層が形成されるため、極性基含有潤滑剤の吸着がより強
固なものになるのではないかと推定される。この潤滑剤
の極性基に対して活性な、親和性が高い層の構造は、強
磁性金属薄膜に上にできた薄い酸化層の上に物理吸着し
た水の膜が存在するのではないかと推定される。
【0024】本発明における高湿度処理は、従来に比較
して温度条件が著しく緩やかであるため高湿度処理され
た強磁性金属薄膜の表面は従来のように一定の厚みを有
する保護層が形成されることはなく、単に強磁性金属薄
膜の表面構造が変性されるものであり、極性基含有潤滑
剤との相互作用が強化されるものである。水と酸素を使
用する従来の方法で形成される該一定厚みの保護層は、
本発明においては、むしろ膜質が劣化あるいは脆くなっ
て、耐久性が低下することが確認されている。
【0025】本発明は、高湿度処理を強磁性金属薄膜に
施すことにより強磁性金属薄膜表面を変性させて上記極
性基含有潤滑剤の該吸着作用を増進させる効果を有す
る。即ち、極性基含有潤滑剤は、元来、極性基を有する
ために金属との親和性が良好であることから、高湿度処
理された強磁性金属薄膜表面により強固に結合して安定
な潤滑層を形成する。しかも、極性基を強磁性金属薄膜
の方に向け、主鎖あるいは非極性部位を外側に揃えて向
けて配向するので、安定な境界潤滑膜を形成することが
でき、ヘッド目詰まりを効果的に低減するという効果が
初めて見出された。
【0026】本発明に使用される極性基含有潤滑剤とし
ては、有機酸、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、
ミリスチン酸等、及び前記有機酸の極性基以外の水素の
一部又は全部をフッ素で置換したフッ素含有の有機酸、
カルボキシル基等を有する極性基含有パーフルオロポリ
エーテル(極性基含有PFPE)等が挙げられる。極性
基としては、スルホン基、カルボキシル基、エステル
基、ヒドロキシル基、またはその塩等が好ましい。
【0027】本発明の磁気記録媒体の強磁性金属薄膜表
面に付与する極性基含有潤滑剤の量は、10mg/m2
〜30mg/m2 、好ましくは、15〜20mg/m2
であり、(塗布量/飽和吸着量)の重量比率は1/1〜
2/1が好ましい。本発明に使用される極性基含有潤滑
剤としては、特に、極性基含有PFPEが好ましい。
【0028】本発明に使用される極性基含有PFPE
は、具体的には、パーフルオロn−プロピレンオキシド
重合体〔(CF2 CF2 CF2 O)n 〕、パーフルオロ
イソプロピレンオキシド重合体〔(CF(CF3 )CF
2 O)n 〕、パーフルオロエチレンオキシド重合体
〔(CF2 CF2 O)n 〕、パーフルオロメチレンオキ
シド重合体〔(CF2 O)n 〕及びこれらの共重合体等
である。
【0029】該共重合体としては、パーフルオロイソプ
ロピレンオキシド−パーフルオロメチレンオキシド共重
合体〔(CF(CF3 )CF2 O)n −(CF
2 O)m 〕、パーフルオロエチレンオキシド−パーフル
オロメチレンオキシド共重合体〔(CF2 CF2 O)n
−(CF2 O)m 〕等が例示される。本発明における極
性基含有PFPEの極性基は、特に限定されるものでは
なく、例えば、オキソ酸基、スルホン基、スルホキシド
基、ジフェニルエーテル基、エポキシ基、アルコール水
酸基、エステル基、シランカップリング基、アルケン
基、キレート基、ヘテロ環基等が挙げられる。
【0030】そのうち好ましい極性基としては、オキソ
酸基、スルホン基、スルホキシド基及びジフェニルエー
テル基等である。中でも特に好ましいのは、オキソ酸基
である。オキソ酸は、例えば理化学辞典(岩波書店発
行)によれば、中心原子に結合している原子がすべて酸
素であって酸素の一部または全部に水素が結合して水酸
基となりその水素が水溶液中で水素イオンを生じて、酸
の性質を示すものをいう。但し、カルボン酸やスルホン
酸などの中心原子に炭素原子が結合したものもこの誘導
体とする。
【0031】本発明でいうオキソ酸基とは、カルボキシ
ル基等のオキソ酸誘導体や硫酸エステル等のオキソ酸エ
ステル基までを含めている。パーフルオロポリエーテル
分子中における極性基の位置及び数は、特に限定される
ものではない。また、極性基と主鎖のパーフルオロポリ
エーテルとの結合は、アミド、ベンゼン、アルキレン等
の他の分子鎖を介しても構わない。
【0032】また、主鎖のパーフルオロポリエーテルの
大きさは炭素数が6以上150以下であることが望まし
く、特に、9以上50以下であることが望ましい。炭素
数が余り小さいと前記条件を満足できず、走行性に問題
を生じるようになり、逆に余り大きいと分子のモビリテ
ィが大きい為塗布の際、分子同士が互いに阻害し合っ
て、吸着しにくくなる。塗布の際には短時間で磁性層表
面に付与する必要があるので余計に前記モビリティーの
影響が大きくなり易い。その結果、耐久性が充分に付与
できない可能性があるので望ましくない。
【0033】本発明においては、極性基含有PFPE
は、本発明の条件を満足するなら強磁性金属薄膜に十分
に吸着されるが、その吸着量としては、強磁性金属薄膜
の全表面を一分子層で覆う飽和吸着量で、4mg/m2
以上である。具体的測定法は、極性基含有PFPEを強
磁性金属薄膜に付与する際に使用するフッ素系溶剤(例
えば、モンテフルオス社製ZS100)を使用して25
℃の吸着等温線から求めることができる。
【0034】極性基含有PFPEの分子鎖は直鎖である
ことが望ましいが、分岐があっても構わない。分岐を有
する場合その大きさは、分岐の炭素数が2以下であるこ
とが望ましい。分岐した分子鎖が余り大きいと分子の空
間に占める体積が大きくなるため緻密な潤滑層ができな
いのと同時に分子の配向性も不規則になるので、耐蝕性
も充分でなく、また滑り性も悪くなるので望ましくな
い。
【0035】極性基含有PFPEの具体例としては、例
えば、化1及び化2の化合物1〜化合物8が挙げられ
る。本発明で極性基含有PFPEとして使用できる化合
物がそれらに限定されないのは言うまでもない。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】
【0038】化合物1から化合物3は、E.I.Du Pont de
Nemours & Company (Inc.) 、ダイキン工業(株)及び
モンテカチーニ社から市販されている。本発明の磁気記
録媒体の強磁性金属薄膜表面に付与する極性基含有PF
PEの量は、4.0mg/m2 〜40mg/m2 、好ま
しくは、10〜30mg/m2であり、(塗布量/飽和
吸着量)の重量比率は1〜3が好ましい。
【0039】ここでいう塗布量は、塗布後のサンプルを
蛍光X線分析装置(島津製作所製、SXF−1000)
で、磁気記録媒体の強磁性金属薄膜上のフッ素を定量し
て求めた値である。強磁性金属薄膜表面に付与される極
性基含有パーフルオロポリエーテルの量が少ないと、表
面に形成する潤滑層の形成が強固で緻密なものとなら
ず、耐久性が不十分である。
【0040】また、多すぎると特に低速走行時の摩擦係
数が大きくなって貼付きなどを起こし易くなる。本発明
においては、極性基含有潤滑剤は、単独で使用しても極
性基を持たない潤滑剤(極性基不含潤滑剤)と併用して
もよい。併用の態様は、各々混合して潤滑層単層を設け
ても、独立に設けて複層構造としてもかまわない。特
に、重層構造の場合、下層(強磁性金属薄膜側)に極性
基含有潤滑剤を上層に極性基不含潤滑剤が形成されるよ
うにすると顕著な効果を奏することができる。
【0041】これは、極性基不含潤滑剤は、強磁性金属
薄膜などに捕らわれることなくフリーな状態で挙動する
ので、極性基含有潤滑剤が分子配向による境界潤滑する
のとは異なり、潤滑作用としては液体潤滑的に作用する
ことができるためである。極性基不含潤滑剤としては、
特にパーフルオロポリエーテルが好ましい。このパーフ
ルオロポリエーテルは、基本的には上述した極性基含有
PFPEの主鎖構造のものが使用されるが、好ましく
は、極性基含有PFPEよりも低粘度のものが望まし
い。
【0042】潤滑層の下層および上層に基本骨格のPF
PEを使用すると、親和力が働くためか、パーフルオロ
ポリエーテルの付与量を増大させることができ、ひいて
は潤滑効果を向上することができる。その他、本発明の
目的、効果の範囲内で他の潤滑剤と混合し使用しても良
い。ほかに混入できる潤滑剤としては、金属石鹸、脂肪
酸アミド、脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコール、モ
ノアルキルフォスフェート、ジアルキルフォスフェー
ト、トリアルキルフォスフェート、パラフィン類、シリ
コーンオイル、動植物油、鉱油、高級脂肪族アミン;グ
ラファイト、シリカ、二硫化モリブデン、二硫化タング
ステン等の無機微粉末;ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、
ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂微粉末;αオレフ
ィン重合物;常温で液体の不飽和脂肪族炭化水素等が挙
げられる。
【0043】本発明においては、該高湿度処理に次いで
極性基含有潤滑剤からなる潤滑層の形成処理が行われ
る。本発明において、強磁性金属薄膜上に潤滑層を形成
する方法としては、材料(極性基含有潤滑剤等)を有機
溶剤に溶解して基板(高湿度処理強磁性金属薄膜担持非
磁性支持体等)に塗布あるいは噴霧したのち乾燥する方
法、材料を含浸した物体を基板に摩擦して塗着させる方
法、有機溶剤に材料を溶解した溶液に基板を浸漬して材
料を基板表面に吸着させる方法、ラングミュアーブロジ
ェット法などにより基板表面に材料の単分子膜を形成す
る方法等が挙げられる。
【0044】上記方法において、好ましくは潤滑層はデ
ィップ法またはコイルバー法やグラビア法により、塗
布、乾燥して設けられる。この場合の溶剤としては、特
に制限はないが、潤滑層を重層構成とする場合は、両者
に溶解する溶剤、例えば、極性基含有PFPEを下層に
極性基不含PFPEを上層にする場合は、フッ素系溶剤
などが好ましい。これは上層塗布時の塗布むらを防止す
ると同時に、上層塗布時に下層の余分な極性基含有PF
PEを除去するためである。このようなフッ素系溶剤の
例としては、特願平2−238880号明細書に記載の
ものを使用することができる。
【0045】本発明では、潤滑層の作製も従来の一般的
な塗布装置を流用できるため新たな設備を導入する事な
く、安定した生産が可能である。また本発明において、
潤滑層の下地金属薄膜との密着を向上させるために、高
湿度処理の前にUV照射、グロー、プラズマ等の方法で
強磁性金属薄膜表面を改質しておくこともできる。
【0046】また、その他、該高湿度処理の前に任意の
強磁性金属薄膜の処理工程を含んでもよい。例えば、こ
のような好ましい処理工程として以下の方法等がある。 方法1)防錆剤の形成処理:非磁性支持体上に酸素ガス
含有雰囲気中で金属、特にCoを主体とする金属蒸気流
を蒸着して強磁性金属薄膜を成膜した後に、公知の防錆
剤、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール
等とその誘導体等を含有する溶液を該強磁性金属薄膜上
に塗布して防錆層を形成する工程。 方法2)強磁性金属薄膜の熱処理:非磁性支持体上に酸
素ガス含有雰囲気中で金属、特にCoを主体とする金属
蒸気流を蒸着して強磁性金属薄膜を成膜した後に、該強
磁性金属薄膜を80乃至180℃、1秒乃至60秒間保
持して熱処理する工程。及び 方法3)強磁性金属薄膜の不活性ガス処理:非磁性支持
体上に酸素ガス含有雰囲気中で金属、特にCoを主体と
する金属蒸気流を蒸着して強磁性金属薄膜を成膜した後
に、該強磁性金属薄膜を不活性ガス中に保持する処理を
施す工程。
【0047】強磁性金属薄膜を設けた後、上記工程を所
望により施した後、本発明の高湿度処理が行われ、次い
で潤滑層形成処理が施される。例えば、1)の工程を選
択した場合、この時強磁性金属薄膜上に形成された防錆
層防錆剤の極性部と極性基含有潤滑剤とが相互作用する
ので、防錆層を設けないものに比べその吸着量が大幅に
低減することはない。
【0048】本発明における強磁性金属薄膜の材料とし
ては鉄、コバルト、ニッケルその他の強磁性金属あるい
はFe−Co,Fe−Ni,Co−Ni,Fe−Rh,
Co−P,Co−B,Co−Y,Co−La,Co−C
e,Co−Pt,Co−Sm,Co−Mn,Co−C
r,Fe−Co−Ni,Co−Ni−P,Co−Ni−
B,Co−Ni−Ag,Co−Ni−Nd,Co−Ni
−Ce,Co−Ni−Zn,Co−Ni−Cu,Co−
Ni−W,Co−Ni−Re等の強磁性合金を蒸着の方
法により形成せしめたもので、その膜厚は0.02〜2
μmの範囲であり、特に0.05〜1.0μmの範囲が
望ましい。
【0049】上記の強磁性金属薄膜は他にO,N,C
r,Ga,As,Sr,Zr,Nb,Mo,Rh,P
d,Sn,Sb,Te,Pm,Re,Os,Ir,A
u,Hg,Pb,Mg,Bi等を含んでいてもよい。本
発明の方法における磁気記録媒体の前記強磁性金属薄膜
は、真空蒸着法、スパッタリング法などの真空成膜法に
よって非磁性支持体上に成膜される。強磁性金属薄膜中
に酸素を所定量含有させるために、成膜室内には、同時
に酸素が導入される。
【0050】強磁性金属薄膜中の酸素含有量は、AES
(オージェ電子分光法)深さ分析にて算出する。本発明
においては、強磁性金属薄膜中の酸素含有量は15at
%以上、望ましくは20at%以上であると効果的に発
明の目的を達成できる。即ち、15at%以上であると
極性基含有潤滑剤の飽和吸着量を大きくし、かつ吸着を
強固にするうえで好ましい。
【0051】また、酸素含有量が30at%を越えるよ
うになると非磁性成分が増大して強磁性金属薄膜の電磁
変換特性が高いという特徴が喪失されるので好ましくな
い。更に、強磁性金属薄膜中の酸素分布を、強磁性金属
薄膜の厚さ方向でみたとき、非磁性支持体近傍ならびに
磁性層表面近傍における酸素含量量の方が、中央部近傍
よりも多い方が望ましい。
【0052】すなわち、AES(オージェ電子分光法)
深さ分析で強磁性金属薄膜の厚さ方向に5等分したと
き、表面から非磁性支持体の方向に向けて全厚の5分の
1迄の領域を表面近傍、非磁性支持体と強磁性金属薄膜
との界面から上方に向けて全厚の5分の1迄の領域を非
磁性支持体近傍としたときに、強磁性金属薄膜中におけ
る酸素は前記表面近傍及び前記非磁性支持体近傍以外の
領域の中央部の酸素含有量は、前記表面近傍の酸素含有
量もしくは前記非磁性支持体近傍の酸素含有量のいずれ
よりも少ないような酸素分布を有していることが望まし
い。
【0053】更に、強磁性金属薄膜の表面近傍の酸素含
有量及び非磁性支持体近傍の酸素含有量は5at%以
上、中央部の酸素含有量は3乃至4at%であることが
望ましい。本発明の斜方蒸着法により形成される強磁性
金属薄膜の結晶構造としては、六方晶結晶、斜方柱状結
晶等が挙げられる。
【0054】この斜方柱状結晶とは、具体的に構造の特
徴を述べれば、まつかさ状に、結晶柱が鱗状に斜めに折
り重なって配列しているもの等が挙げられる。本発明の
強磁性金属薄膜磁性層は同一組成で互いに異なる結晶構
造もしくは同一結晶構造で互いに配向が異なるものおよ
び/または結晶構造の如何を問わず互いに異なる組成か
らなる複層から構成されていてもよい。例えば、磁性層
を前記斜方柱状結晶構造の傾きの方向を互いに逆向きに
交差させた同一組成・同一結晶構造の2層で構成する
と、ヘッドの走行方向による電磁変換特性及び耐久性の
相違を軽減したり、ノイズを低下させる上で好ましい。
【0055】本発明において、真空成膜法により磁性層
を斜方柱状結晶より構成する場合、具体的な方法を示せ
ば、蒸発加熱源として、30KeVの電子ビームを使用
し、成膜室の真空度を1×10-4Torr以下として酸素ガ
スを成膜室内の圧力を1×10-3Torr以下に保持しつつ
導入し、成膜室に置かれた非磁性支持体上に、強磁性金
属を入射角0〜50度の範囲で、斜め蒸着させることが
挙げられる。
【0056】前記強磁性金属薄膜の膜厚としては、通
常、500乃至3000Åの範囲にあることが望まし
い。又、前記強磁性金属薄膜の密着性を高めるために非
磁性支持体と強磁性金属薄膜との間に下塗り層を設ける
こともできる。また、本発明においては、強磁性金属薄
膜に所望の特性を与えるために強磁性金属薄膜中および
強磁性金属薄膜と非磁性支持体の間の何れかまたは両方
に下塗り層とは別の機能を有する非磁性中間層を独立に
設けることもできる。例えば、この非磁性中間層に潤滑
層に使用する前記潤滑剤等を含有させて潤滑性の制御を
より確実にする、磁性層の力学特性を更に改善する等が
挙げられる。
【0057】該非磁性中間層は、金属または金属酸化物
から成る層、樹脂および/または無機または有機のフィ
ラー等から成る層等が例示される。非磁性中間層の厚さ
は、20〜500Å、好ましくは50〜200Åの範囲
である。本発明に用いられる非磁性支持体としてはポリ
エチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポ
リ塩化ビニル、三酢酸セルロース、ポリカーボネート、
ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイ
ドのようなプラスチックベース、又はAl、Ti、ステ
ンレス鋼などが使用できる。
【0058】走行耐久性を向上させるために、強磁性金
属薄膜を形成する前に非磁性支持体表面に微小突起を設
けておくことが結果的に磁性層表面に適度な凹凸を設け
ることになり効果的である。非磁性支持体表面の微小突
起の存在密度は2×106 〜2×108 個/mm2 であ
り、突起の高さは1〜50nmのものが好ましい。その
厚さとしては、用途によって相違するが、通常3〜50
μmである。
【0059】更に、本発明の磁気記録媒体の走行性を高
めるために、非磁性支持体の強磁性金属薄膜がある面と
は反対の面にカーボンブラック等の微粉末と結合剤樹脂
とを主体とする塗膜より成るバックコート層を設けるこ
ともできる。磁気記録媒体の形状は、テープ状、シー
ト、カード、ディスク等いずれでもよいが、特に好まし
いのはテープ状、ディスク状である。
【0060】
【実施例】本発明の新規な特徴を以下の実施例、比較例
によって更に具体的に説明する。 実施例1 粒径250Åのシリカ粒子とみみず状突起を有する厚さ
10μmのポリエチレンテレフタレート非磁性支持体上
に、連続巻取り式の真空蒸着機を用いてCo−Ni(8
0−20)合金を酸素ガスを導入しながら斜め蒸着し、
磁性層を形成した。得られた原反を23℃、20%RH
の環境で熱処理してカッピングを修正した後、原反を2
5℃、80%RHの環境で巻き返した。この時、磁性層
表面が高湿空気と接触した時間は20秒であった。その
後、非磁性支持体のバック面にバックコートを形成し、
極性基含有PFPE(デュポン社製 KRYTOX 1
57FSL(化合物1),極性基:カルボキシル基)を
フッ素系溶剤(ZS100)に0.40重量%溶解した
溶液をワイヤーバーを用いて塗布し、潤滑層を作製し
た。
【0061】実施例2 高湿度処理を行う時の環境を25℃、50%RHとした
以外は実施例1と同様に磁気記録媒体を作製した。 比較例1 実施例1の高湿度処理を25℃、25%RHとした以外
は実施例1と同様に磁気記録媒体を作製した。
【0062】実施例3 実施例1と同様に磁性層の形成、高湿度処理、バックコ
ートの形成を行った後、磁性層上に極性基含有PFPE
(KRYTOX 157FSL,極性基:カルボキシル
基)と極性基不含PFPE(KRYTOX 143A
Z,NMRによる数平均分子量1850、化3にその構
造を示す。)
【0063】
【化3】
【0064】をフッ素系溶剤(ZS100)にそれぞれ
0.44重量%、0.11重量%溶解した混合溶液をワ
イヤーバーを用いて塗布し、潤滑層を作製した。 実施例4 実施例3の高湿度処理の工程を3回繰り返した以外は実
施例3と同様に磁気記録媒体を作製した。
【0065】比較例2 実施例3の高湿度処理を省略した以外は、実施例3と同
様に磁気記録媒体を作製した。 実施例5 実施例1と同様に磁性層の形成、高湿度処理、バックコ
ートの形成を行った後、磁性層上に極性基含有PFPE
(KRYTOX 157SL(化4),極性基:スルホ
ン基)をフッ素系溶剤(ZS100)に0.50重量%
溶解した溶液をワイヤーバーを用いて塗布し、潤滑層を
作製した。
【0066】
【化4】
【0067】比較例3 実施例5の高湿度処理を省略した以外は、実施例5と同
様に磁気記録媒体を作製した。 実施例6 実施例1において、高湿度処理を行う直前に23℃、2
0%RHの低温に保った環境でベンゾトリアゾールをメ
チルエチルケトンに0.25重量%溶解した溶液を塗
布、乾燥し、防錆層を形成した。その後、実施例1と同
様の高湿度処理を行った。潤滑層の形成は実施例1に準
じた。
【0068】比較例4 実施例6の高湿度処理を省略した以外は、実施例6と同
様に磁気記録媒体を作製した。 比較例5 高湿度処理の温度条件を60℃とした他は、実施例1と
同一の条件で磁気記録媒体を作成した。
【0069】比較例6 潤滑剤として、分子内に極性基を有しないKRYTOX
143AZを0.4重量%の溶液濃度で塗布した以外
は、実施例1と同一の条件で磁気記録媒体を作成した。
以上の様にして作製した磁気記録媒体の吸着量は、ES
CAのFピークとそのバックグラウンドの比を用いて評
価した。また、磁気記録媒体表面の水およびヨウ化メチ
レンと接触角を測定し表面自由エネルギーを算出した。
【0070】走行耐久性(完全目詰まり)は市販の8m
mVTR(SONY EV−C10)を用いて23℃、
10%RHの環境で120分長を50回繰り返して走行
させ、評価した。この際1試料につき2巻の評価を行っ
た。膜面の強度テストは、先端の曲率半径が0.1mm
のダイヤモンド針を磁性層面に鉛直に建て、100mm
/分の一定速度で磁気記録媒体の試料を乗せた台を一定
の直線方向に引いて、以下の条件で引っかきテストを行
った。測定環境条件は、23℃、50%RHとした。
【0071】そして、顕微鏡観察により磁性層面に形態
変化が認められる針に掛ける最小荷重をもって、膜面の
強度の目安にした。摩擦係数μは、得られたテープを2
3℃、70%RHの環境下でSUS棒に50gの張力
(T1 )、巻き付け角180°で接触させて、この条件
下で、テープを14mm/秒の速度で、走行させるのに
必要な張力(T2 )を測定した。この測定値をもとに、
下記計算式により求めた。
【0072】μ=(1/π)・ln(T2 /T1 ) 評価値としては、45mmの振幅で100往復走行させ
たときの値を採用した。これらの評価結果を表1に示
す。
【0073】
【表1】
【0074】実施例6および比較例4については、8m
mに裁断したテープをリールに巻いた状態で60℃、9
0%RHの環境(環境)に3日間投入し、投入前後の
反射率を比較し、耐候性を評価した。また、テープを台
紙に張り付け、SO2 ガスをppm含む60℃、90%
RHの環境(環境)に3日間投入し、投入後のテープ
を目視で観察し、腐食性ガスに対する耐蝕性を評価し
た。この結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】以上に実施例からも明らかなように本発明
により作製された磁気記録媒体は、潤滑剤の吸着量が多
く、走行耐久性、特に目詰まり特性に優れる磁気記録媒
体である。
【0077】
【発明の効果】本発明は、斜方蒸着法により非磁性支持
体上に強磁性金属薄膜を成膜した後に、該強磁性金属薄
膜を相対湿度50〜90%、10〜50℃の雰囲気中に
接触させる高湿度処理を行い、強磁性金属薄膜表面を改
質して、次いで前記強磁性金属薄膜上に分子内に極性基
を有した潤滑剤を付与することにより、潤滑剤の磁性層
表面への吸着を強固にすると共に絶対量を増加すること
ができるので、潤滑効果がより長期化し、かつ目詰まり
を効果的に抑制する。また、本発明の製造方法は、非常
に簡易な手法を使用するため新たな装置を付加する必要
もない利点を有した経済性の優れた製造方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/85 G11B 5/84

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 斜方蒸着法により非磁性支持体上に強磁
    性金属薄膜を成膜した後に、該強磁性金属薄膜を相対湿
    度50〜90%、10〜50℃の雰囲気中に接触させる
    高湿度処理を行い、次いで前記強磁性金属薄膜上に分子
    内に極性基を有した潤滑剤を付与することを特徴とする
    磁気記録媒体の製造方法。
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