JP3700978B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は磁気記録媒体(以下、単に「媒体」とも称する)の製造方法に関し、詳しくは、製造工程の改良により耐久性の向上を図った蒸着型磁気記録媒体の製造方法に関する。
磁気記録媒体の一種として、非磁性支持体(ベース)上に、蒸着により金属薄膜を形成してなる、いわゆる蒸着型磁気記録媒体がある。蒸着型媒体は、塗布型媒体に比して、バインダを含まないために磁性層の充填率が高く、飽和磁化を大きくすることが可能であり、また、薄膜化が可能であるために短波長の記録に対しても記録減磁を抑えることができるなど、高密度記録において有利であるという利点を有している。
かかる蒸着型媒体に使用されるベースには、極めて平滑な表面性が要求される。このうち、記録層側については、スペーシングロスの関係からより平坦であることが望まれるとともに、耐久性を維持する観点から微細な突起を有することが必要とされる。このため通常、ベースの記録層側表面には、微細な粒子を分散させたコーティング層が形成されている。
また、バックコート層側については、蒸着時における冷却キャンへの密着度を向上して蒸着膜の表面性を向上し、微細な記録層を成膜するために、より平滑であることが望まれる。しかし、両面ともに平滑であると支持体を巻き取ることが困難となるため、滑り性の観点から、バックコート層側表面にもコーティング層を設けることが必要となる。
ところが、このような両面にコーティング層を有するベースでは、ロール状に巻き取った際にコーティング層同士がブロッキングを起こしやすいという問題がある。そのため、重なり合った部分を再び剥がした際に、一方のコーティング層の一部が他方に移ることで微小な凹凸(表面の粗れ)が発生して、その上に磁性層を蒸着した場合に、出力の低下やエラーの悪化等の不具合を起こしてしまう。従ってこの場合には、コーティング層に離型剤を添加して、ブロッキングの防止を図る必要が生ずる(例えば、特許文献1に記載)。
一方、このような蒸着型磁気記録媒体の製造は、従来、記録層の蒸着(真空工程)、保護層の形成(真空工程)、バックコート層の形成(大気中)、トップコート層(潤滑剤層)の形成(大気中)、切断という各工程を経て行われている(例えば、特許文献2を参照)。かかる蒸着型媒体の製造工程の改良に係る技術としては、例えば、特許文献3に、非磁性支持体の一方の面上にバックコート層を、他方の面上に磁性層、保護層およびトップコート層を夫々形成するに当り、これらバックコート層、磁性層、保護層およびトップコート層の形成を、全工程にわたり真空中で行う技術が記載されている。
特開2001−167426号公報([0026]等) 特開2000−149248号公報([特許請求の範囲]等) 特開平7−254148号公報([特許請求の範囲]、[0054]等)
しかしながら、かかる従来の製造工程において、上述したような離型剤含有のコーティング層を有するベースを用いると、保護層形成後の巻き取りの際に、この離型剤の保護層への転着が生じて、保護層への潤滑剤塗布液の吸着を阻害し、耐久性の悪化を引き起こすという問題があった。これに対し、潤滑剤塗布液の濃度を上げるなどしても、環境条件の変化に対する耐久性のバランスが取れず、十分な問題の解決にはならなかった。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、離型剤の保護層表面への転着を防止することにより、耐久性を向上した磁気記録媒体を得ることのできる磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記構成とすることにより上記問題を解消できることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体の一方の面上に、金属薄膜磁性層、保護層および潤滑剤層を順次備え、他方の面上に結合剤樹脂と無機粉末および/またはカーボンブラックを含むバックコート層を備える磁気記録媒体を製造するに際し、
前記非磁性支持体として、片面に離型剤を含有するコーティング層を有するフィルムを用い、
前記非磁性支持体の、該離型剤含有コーティング層とは反対側の面上に、前記金属薄膜磁性層を蒸着した後、該金属薄膜磁性層上に前記保護層を形成するに先立って、前記非磁性支持体の、前記離型剤含有コーティング層上に前記バックコート層を形成し、
前記保護層形成後に、バックコート層、金属薄膜磁性層および保護層が形成された非磁性支持体を巻き取る工程を含むことを特徴とするものである。
本発明は、特に、前記非磁性支持体として、両面にコーティング層を有し、該コーティング層のうちの一方が前記離型剤含有コーティング層であり、かつ、両面の表面粗さRaが3nm以下であるポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いる場合に有効である。また、本発明においては、前記保護層の形成工程直前における前記バックコート層の残留溶剤量を、7000μg/m2以下とすることが好ましい。
本発明によれば、上記構成としたことにより、非磁性支持体表面から保護層上への離型剤の転着を確実に防止することができ、潤滑剤層の形成不良に起因する耐久性の悪化を防止した磁気記録媒体を製造することができる。なお、前述したように、特許文献3には、バックコート層を、磁性層、保護層およびトップコート層に先立って形成する技術が記載されているが、この技術におけるバックコート層は金属ないし半金属からなる蒸着層であり、結合剤樹脂やカーボンブラック、無機粉末等を含む塗布膜からなる本発明のバックコート層とは、構成および十分な走行性や耐久性が得られないという点において異なるものである。また、全て真空工程にて形成される特許文献3の技術とは異なり、本発明に係るバックコート層は大気中での塗布工程により形成するものであるので、特許文献3に記載の製造順序を本発明の課題に適用することは困難であると考えられる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体の一方の面上に金属薄膜磁性層、保護層および潤滑剤層を順次備え、他方の面上にバックコート層を備える、いわゆる蒸着型の磁気記録媒体に係るものである。
本発明においては、非磁性支持体として片面に離型剤を含有するコーティング層を有するフィルムを用いて、その離型剤含有コーティング層とは反対側の面上に金属薄膜磁性層を蒸着した後、この金属薄膜磁性層上に保護層を形成するに先立って、非磁性支持体の離型剤含有コーティング層上に、バックコート層を形成する。即ち、従来方法とは異なり、金属薄膜磁性層上に保護層を形成する前に、非磁性支持体の離型剤含有コーティング層上にバックコート層を形成する。このため、保護層形成時には離型剤含有コーティング層表面がバックコート層で覆われている状態となり、保護層形成後の巻き取り時においても、保護層上に離型剤が転着するおそれがない。従って、保護層上への潤滑剤層の形成を問題なく行うことができ、耐久性の低下を来すことなく、磁気記録媒体を製造することが可能となる。なお、本発明では、上記工程順に従い、磁性層の形成(真空中)、バックコート層の形成(大気中)、保護層の形成(真空中)、潤滑剤層の形成(大気中)の各工程を順次行うため、真空中の工程と大気中の工程とが交互に行われることになる。
本発明においては、磁気記録媒体の製造工程を上記順序に従い行うものであれば、その他の製造条件や用いる材料等については特に制限されるものではなく、常法に従い適宜選択して行うことができるが、例えば、以下のような構成とする。
本発明に用いる非磁性支持体は、上記したように、バックコート層の形成される面に離型剤含有コーティング層を有するフィルムであり、その構成としては、例えば、押出延伸フィルムの両面にコーティング層を形成し、その一方に離型剤を含有させたものなどを挙げることができる。非磁性支持体の材質としては、金属薄膜の蒸着工程に耐えられるものであればいかなるものであってもよく、特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリアミド、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン等のフィルムが挙げられるが、特には、上記コーティング層を有するPENフィルムを用いた場合に、本発明は効果的である。コーティング層中に含有させる離型剤については、特に制限されるものではなく、ジメチルシロキサン等公知のものから選択することができる。また、その厚さは、磁気記録媒体が使用される用途により適宜選択されるが、例えば、磁気記録媒体がデータテープとして使用される場合には、記録容量やシステム要求値に合わせて選択され、通常は3〜10μmである。さらに、その表面粗さRaは、好適には、両面ともに3nm以下、特には0.5〜1.5nm程度とする。
磁性層の磁性材料としては、Co、Fe等の純金属、または、Co−Ni、Co−Fe、Co−Ni−Fe、Co−Cr、Co−Cu、Co−Ni−Cr、Co−Pt、Co−Pt−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Ni−B、Co−Ni−Fe、Co−Fe−B、Co−Ni−Fe−B等の合金類を使用することができ、特には、CoまたはCo合金を用いることが、電磁変換特性の観点から好適である。通常は、非磁性支持体上にこのような磁性材料を直接か、または、非磁性支持体にNiを蒸着した後で蒸着して、磁性層を形成する。磁性層の蒸着は、蒸着用チャンバー内を1.33×10-4Pa(10-6Torr)程度にまで排気した後、磁性材料を電子銃にて溶融し、磁性材料全体が溶融した時点で溶融した磁性材料と非磁性支持体とを遮断する遮蔽板を取り除き、冷却キャン(ドラム)に沿って走行させている非磁性支持体に対し、冷却ドラム上にて蒸着を開始する。この際、磁気特性を制御するために、酸素、オゾン、亜酸化窒素から選ばれる酸化性ガスを磁性層に導入する。
次に、バックコート層は、結合剤樹脂と無機粉末および/またはカーボンブラックとを含み、これらを有機溶媒に混合分散させたバックコート塗料を磁性層とは反対側の支持体表面に塗布することにより形成される。バックコート塗料の塗料組成としては、この種の磁気記録媒体に用いられるものであればいずれのものも使用できる。例えば、結合剤樹脂としてはニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂等であり、これらを単独または混合して、媒体の特性、工程条件により適宜選択して用いることができる。カーボンブラックとしてはファーネスカーボンブラック、サーマルカーボンブラック、アセチレンブラック等を挙げることができ、無機粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、アルミナ、α−酸化鉄等を挙げることができる。これら粒子は媒体に要求される電気抵抗、摩擦特性等から粒子サイズを適宜選択すればよい。有機溶剤は、ケトン系や芳香族炭化水素系等、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン等を用いることができ、使用する結合剤樹脂の溶解性を考慮して適宜選択すればよい。バックコート層の厚みは、0.1〜1.0μm、特には、0.3〜0.6μmが好ましい。
なお、本発明においては、保護層の形成工程直前におけるバックコート層の残留溶剤量を、7000μg/m2以下、特には1000〜5000μg/m2程度とすることが好ましい。残留溶剤量が7000μg/m2よりも多いと、保護層形成工程においてバックコート層形成面が冷却キャンから浮き上がって、熱負けやベース切れの問題が発生する場合があり、歩留まりの低下を引き起こすおそれがある。バックコート層の残留溶剤量は、バックコート塗料中の溶剤量やバックコート層の乾燥条件を適宜変更することにより調整可能である。塗料中の溶剤量が多い場合には、バックコート層の塗布後に予備的に脱気を行って、層中の溶剤を蒸発させることも有効である。
また、保護層は、磁性層の劣化防止等の目的で設けられ、カーボン保護膜や、炭素を主成分とする硬質膜、いわゆるDLC膜からなる。特には、DLC膜からなる保護層を用いる。ここで、本発明において「炭素を主成分とする」とは、膜における炭素含有量が60〜80原子%であることを意味し、炭素の他に、通常、水素が含まれる。水素と炭素との原子比(H/C)は0.25〜0.66の範囲内であることが好ましい。また、「硬質膜」とは、具体的にはビッカース硬度が6370N/mm2(650kg/mm2)以上の膜を意味し、この硬度を屈折率の値で表すと1.9以上である。このような屈折率を有する膜は、その屈折率から硬度を近似できることがわかっている。例えば、屈折率が1.9のときのビッカース硬度は6370N/mm2(650kg/mm2)である。屈折率の上限には特に制限はないが、2.25程度であり、ビッカース硬度29400N/mm2(3000kg/mm2)に対応する。屈折率から硬度を近似する方法としては、硬質膜についてエリプソメーターにて屈折率を測定し、一方で微小硬度計(NEC(株)製)によりビッカース硬度を測定して、あらかじめ検量線を作製しておく方法を用いることができ、これにより屈折率から硬度を知ることができる。また、このような硬質膜は、非晶質またはそれに近い連続相を形成し、ラマン分光分析において、1560cm-1と1330cm-1にブロードなピークを有する。本発明においては、このような「炭素を主成分とする硬質膜」の意味で、「DLC膜」の語を用いる。
かかるDLC膜の成膜手法としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、プラズマCVD法、イオン化蒸着法およびスパッタ法のうちのいずれかを用いる。
このうちプラズマCVD法の詳細については、例えば、特開平4−41672号公報等に記載されている。プラズマCVD法におけるプラズマは、直流、交流のいずれであってもよいが、交流を用いることが好ましい。交流を用いる場合、数ヘルツのものからマイクロ波帯域のものまで適宜利用可能である。また、「ダイヤモンド薄膜技術」(総合技術センター発行)などに記載されているECRプラズマを利用することもできる。
DLC薄膜をプラズマCVD法により形成する場合、原料ガスには、CおよびHを含む化合物を用いることが好ましいが、Cを含む化合物とHを含む化合物とを併せて用いることもできる。CおよびHを含む化合物としては、例えば、CH4、C24、C26、C38、C66等の炭化水素が、Cを含む化合物としては、例えば、CO、CO2等が、Hを含む化合物としては、例えば、H2、H2O、NH3等が挙げられる。また、CおよびHのいずれも含まない化合物、例えば、NO、NO2、N2OなどのNOxで表される化合物やN2等を、必要に応じて併用してもよい。
プラズマCVDを行う際の原料ガスの流量は、原料ガスの種類に応じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常、1.33〜66.5Pa(0.01〜0.5Torr)とする。
保護層の形成後には、保護層の表面と潤滑剤との親和性を高めるために、プラズマにより表面活性化処理を行うことが好ましい。この表面活性化処理は、酸素かまたは酸素を含むガスを用いて行うことが好ましく、例えば、酸素、空気、炭酸ガスなどを用いることができる。後処理の方法としては、上述したような、DLC膜成膜時におけるのと同様の手法を用いることが実用的であり、好ましい。表面活性化処理における周波数としては、DLC膜成膜時と同様の1kHz〜40MHz程度が好適であり、特に、50kHz〜13.56MHzの範囲内であると、効果が発現しやすい。
保護層上には、走行時における摩擦係数の低減を図るために、潤滑剤層を設ける。かかる潤滑剤層の潤滑剤成分としては、フッ素樹脂を含む潤滑剤、炭化水素系のエステル、またはこれらの混合物等を用いることができる。具体的には、例えば、基本構造として、R1−A−R2で表されるものが挙げられる。ここで、
1:CF3(CF2n−、CF3(CF2n(CH2m−、CH3(CH2p−、またはHであり、
A:−COO−、−O−、またはCOOCH(Cp2p+1)CH2COO−であり、
2:CF3(CF2n−、CF3(CF2n(CH2m−、CH3(CH2p−、またはHである。但し、R1とR2とは異なり、n=7〜17、m=1〜3、p=7〜30を満足するものが好ましい。さらに、R1および/またはR2が直鎖のものであれば、潤滑効果が大きい。nが7より小さいと撥水効果が低く、また、nが17より大きいと、潤滑剤と非磁性支持体またはバックコート層とのブロッキング現象が起こり、摩擦が低くならない。これらの中でも、特にフッ素樹脂を含む潤滑剤が好ましい。さらに、これら潤滑剤は2種以上混合して用いてもよい。
潤滑剤層の形成に際しては、上記潤滑剤をケトン類、炭化水素類、アルコール類などの溶剤に溶解させて、潤滑剤塗布液を調製する。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケトン等が挙げられる。炭化水素類としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等のノルマル系、iso系等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。調製された潤滑剤塗布液を、DLC膜上に塗布し、乾燥することにより、潤滑剤層を形成することができる。潤滑剤層の厚みは、数nm程度である。また、潤滑剤成分の量は、塗布液の濃度により調整することができる。
さらに、本発明においては、所望に応じ、磁性層と非磁性支持体との間に下地層を設けてS/N特性の改善を図ることができる。下地層は、非磁性または非磁性に近い層であり、磁性層と同様の手法で、膜厚に対する酸素の導入量を増加させることにより形成することができる。下地層の具体的な成膜条件、例えば、成膜時の非磁性支持体の搬送速度、導入酸素量等については、慣用に従い適宜定めることができ、特に制限されるものではない。特には、成膜時の供給ガスとして、酸素のみでなく、酸素中にAr等の不活性ガスおよび窒素のうちの少なくとも1種を含有するガスを用いることが好ましく、これにより、S/N特性のさらなる向上を図ることができる。これは、不活性ガスの存在により下地層が粒子状に成長してミクロな凹凸が大きくなるため、この下地層上で成長する磁性層が膜面内により強く配向して、保磁力が高くなることに起因するものと考えられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
まず、以下に各実施例および比較例で使用した支持体A〜Cおよびバックコート塗料A〜Cの組成を示す。
〈支持体A〉
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥した後、押出機に供給して305℃で溶融し、この溶融ポリマーを公知の方法で濾過した後、押出機からシート状に押出し、これをキャスティングドラム上で冷却固化して、未延伸フィルムを作製した。このようにして得られた未延伸フィルムを120℃で予熱し、さらに低速、高速のロール間で、15mm上方より900℃の赤外線ヒーターにて加熱しながら縦方向に3.7倍に延伸し、続いて下記に示す組成の水溶液をフィルムの両面に夫々塗布して、コーティング層を形成した。
コーティング層A(蒸着層形成面)の組成:
(1)アクリル−ポリエステル樹脂
(2)エポキシ化合物:多官能エポキシ化合物
(3)シリカ粒子(平均粒径27nm)
(4)界面活性剤
A層の乾燥後の厚み:5nm
コーティング層B(バックコート層形成面)の組成:
(1)共重合ポリエステル
(2)シリカ粒子(平均粒径60nm)
(3)ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(4)界面活性剤
(5)離型剤:ジメチルシロキサン
B層の乾燥後の厚み:15nm
続いて、コーティング層形成後のフィルムをステンターに供給し、150℃にて横方向に4.9倍に延伸し、更に200℃で1.1倍横延伸しながら熱処理して、厚み4.7μmの二軸配向フィルムを得た。
〈支持体B〉
支持体Aのコーティング層Bの乾燥後厚みが20nmになるよう膜厚を調整した以外は、支持体Aと同様にして支持体Bを作製した。なお、支持体Bの最終厚みは支持体Aと同様とした。
〈支持体C〉
支持体Aのベースフィルムの製造時に、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート中に、平均粒径55nmの球状シリカを0.04重量%含有させた以外は支持体Aと同様にして厚さ4.7μmのフィルムを作製し、支持体Cとした。
〈バックコート塗料A〉
塗料組成
カーボンブラック(粒径80nm) 50重量部
炭酸カルシウム(粒径70nm) 50重量部
ニトロセルロース 40重量部
(旭化成工業(株)製(BTH1/2S))
ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製:UR−6300) 60重量部
メチルエチルケトン 880重量部
トルエン 640重量部
シクロヘキサノン 80重量部
ポリイソシアネート(固形分50%) 40重量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートL)
〈バックコート塗料B〉
塗料組成
カーボンブラック(粒径80nm) 50重量部
炭酸カルシウム(粒径70nm) 50重量部
ニトロセルロース 40重量部
(旭化成工業(株)製(BTH1/2S))
ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製:UR−6300) 60重量部
メチルエチルケトン 800重量部
トルエン 640重量部
シクロヘキサノン 160重量部
ポリイソシアネート(固形分50%) 40重量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートL)
〈バックコート塗料C〉
塗料組成
カーボンブラック(粒径80nm) 50重量部
炭酸カルシウム(粒径70nm) 50重量部
ニトロセルロース 40重量部
(旭化成工業(株)製(BTH1/2S))
ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製:UR−6300) 60重量部
メチルエチルケトン 800重量部
トルエン 600重量部
シクロヘキサノン 200重量部
ポリイソシアネート(固形分50%) 40重量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートL)
実施例1
4.7μm厚みのPEN支持体Aの一方の面上に、蒸着法でトータル0.2μm厚みのCo100%磁性層を1層成膜した。次に、反対側の面上に、バックコート塗料Aをダイノズル法で乾燥後の厚みが0.4μmとなるように塗布し、110℃にて乾燥して、バックコート層を形成した。次に、エチレンを導入して所定の放電周波数(50kHz)を印加することにより、磁性層上に、プラズマ重合硬質炭素膜(DLC膜)を0.01μm厚みで成膜した。さらに、このDLC膜上に潤滑剤を固定するための後処理(プラズマ処理)を、O2ガスを用いて行った。後処理されたDLC膜上に、潤滑剤塗布液をダイノズル法で塗布し、乾燥して、潤滑剤層を成膜した。潤滑剤塗布液は、0.3重量%の潤滑剤合計濃度となるように、以下に示すコハク酸誘導体の含フッ素化合物と脂肪族エステルの含フッ素化合物とを同一重量でMEK/ヘキサン/エタノール=1/2/7の混合溶媒中に溶解させた溶液であった。
HOOCCH(C1429)CH2COOCH2CH2(CF27CF3
CH3(C1632)COOCH2CH2(CF27CF3
得られた各層形成済みの原反を8mm幅に切断し、磁気テープサンプルとした。なお、磁性層は、保磁力(Hc)=118.5A/m(1500 Oe)、飽和磁束密度(Bs)=0.55T(5500G)であった。
実施例2、3
支持体Aを、夫々支持体B、Cに変更した以外は実施例1と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
実施例4
バックコート層の乾燥温度を90℃に変更した以外は実施例1と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
実施例5
バックコート塗料Aに代えてバックコート塗料Bを用い、更に、バックコート層の塗布後に、予備真空機にて事前脱気を実施した以外は実施例4と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
実施例6
バックコート塗料Aに代えてバックコート塗料Bを用いた以外は実施例4と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
実施例7
バックコート塗料Aに代えてバックコート塗料Cを用いた以外は実施例4と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
比較例1
4.7μm厚みのPEN支持体Aの一方の面上に、蒸着法でトータル0.2μm厚みのCo100%磁性層を1層成膜した。次に、エチレンを導入して所定の放電周波数(50kHz)を印加することにより、この磁性層上に、プラズマ重合硬質炭素膜(DLC膜)を0.01μm厚みで成膜した。次に、反対側の面上に、バックコート塗料Aをダイノズル法で乾燥後の厚みが0.4μmとなるように塗布し、100℃にて乾燥して、バックコート層を形成した。次に、このDLC膜上に潤滑剤を固定するための後処理(プラズマ処理)を、O2ガスを用いて行った。後処理されたDLC膜上に、潤滑剤塗布液をダイノズル法で塗布し、乾燥して、潤滑剤層を成膜した。潤滑剤塗布液としては、実施例1と同様のものを用いた。
得られた各層形成済みの原反を8mm幅に切断し、磁気テープサンプルとした。なお、磁性層は、保磁力(Hc)=118.5A/m(1500 Oe)、飽和磁束密度(Bs)=0.55T(5500G)であった。
比較例2
支持体Aを支持体Bに変更した以外は比較例1と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
比較例3
支持体Aを支持体Cに変更した以外は比較例1と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
比較例4
潤滑剤塗布液の濃度を0.45%に変更した以外は比較例2と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
比較例5
潤滑剤塗布液の濃度を0.15%に変更した以外は比較例2と同様にして、磁気テープサンプルを作製した。
以上のようにして得られた各実施例および比較例の磁気テープサンプルにつき、下記の評価を行った。
Symbol Error Rate(SER)測定法
ドライブとしてExabyte社製Mammoth−2を使用して、室温(20℃、60%)環境にて次のように測定を行った。まず、上記ドライブと対象テープサンプルを、各々6時間上記測定環境に置き、なじませた。その後、Exabyte社より提供されたAgentソフトを使用して、通常のWRITEモードにて20mテープを走行させた時のSERを平均化した。このドライブにおいては、SER値2.50×10-4以下が要求性能である。
短尺耐久性測定法
ドライブとしてExabyte社製Mammoth−2を使用して、Exabyte社より提供されたVista(Visual SCSI Test Application)ソフトを使用して、下記環境にて次のように操作を行った。まず、上記ドライブと対象テープサンプルを、各々6時間下記測定環境に置き、なじませた。その後、上記ドライブで288MbyteのランダムデータをWrite/Readして走行させた。走行パターンは、(288MbyteのデータのWrite→巻き戻し→288MbyteのデータのRead→巻き戻し)の繰り返しとした。走行のカウントは、上記パターンを1回とカウントし、1000パス走行させた。
測定環境:室温(20℃60%)、
40℃20%、
29℃80%、
の3環境にて各5巻ずつ走行させた。評価基準は以下の通りである。
○:5巻走行停止無し
△:1巻走行停止
×:2巻以上走行停止
生産性
DLC工程における歩留まり不良率(熱負け発生による歩留まり損及びベース切れによる長手ロス)を、下記基準に従い段階評価した。
○:不良率0%〜2%
△:不良率2%〜5%
×:不良率5%〜20%
××:20%以上
残留溶剤測定方法
各磁気テープサンプルから20×20cmの大きさの試験片をサンプリングし、これを25ccのバイアルビンにつめて密封し、120℃、60分間保温の条件で加熱した。その後、バイアルビンの蒸気をサンプリングして、ガスクロマトグラフにて溶剤量を測定した。測定装置としては、(株)島津製作所製HSS−2Aヘッドスペースガスクロマトグラフ(カラム:PEG20M)等を用いて測定を行い、予め求めておいた検量線より各溶剤の残留量を求めた。なお、検量線は、各々の溶剤をエチルセロソルブにて1/10に希釈して、0.5μl、1.0μl、2.0μl、4.0μlの各々をバイアルビンに入れ、120℃、60分間加熱した時に検量される溶剤量を測定して求めた。
上記各実施例および比較例の支持体の種類およびその表面性、バックコート塗料の種類および乾燥温度、製造工程の順序並びに潤滑剤塗布液濃度を下記の表1中に、各評価結果を下記の表2中に、夫々示す。なお、表中において、J:蒸着層(磁性層)、D:DLC膜、B:バックコート層、T:潤滑剤層、を夫々示す。
Figure 0003700978
*)実施例5のみは予備脱気を行った。
Figure 0003700978
実施例6については、バックコート層中の残留溶剤が多いためにDLC工程にてキャン浮きが発生し、ロール全体に熱負けが発生して、歩留まりが低下したが、テープ特性には問題なかった。また、実施例7についても、バックコート層中の残留溶剤が多いためにDLC工程にてキャン浮きが発生し、ベース切れが多発して、歩留まりが著しく低下したが、テープ特性には問題なく、DLC工程前にバックコート層を形成した実施例においては、いずれも良好な耐久性が得られることが確かめられた。
一方、従来の工程順に従った比較例1〜3については、離型剤のDLC膜表面への転移の影響で潤滑剤の吸着力が低下したために、いずれも40℃20%での耐久においてヘッド焼きつきが発生し、走行停止が生じてしまった。また、比較例4については、潤滑剤塗布液の濃度を上げることにより潤滑剤層中のフッ素原子の絶対量が増えたため、焼きつきは若干改善されたが、吸着力が弱いために29℃80%でのヘッド付着量が増え、走行停止が発生した。さらに、比較例5については、濃度を下げることにより潤滑剤層中のフッ素原子の絶対量が減ったため、室温でも焼きつきが発生して、走行停止が生じた。

Claims (3)

  1. 非磁性支持体の一方の面上に、金属薄膜磁性層、保護層および潤滑剤層を順次備え、他方の面上に結合剤樹脂と無機粉末および/またはカーボンブラックを含むバックコート層を備える磁気記録媒体を製造するに際し、
    前記非磁性支持体として、片面に離型剤を含有するコーティング層を有するフィルムを用い、
    前記非磁性支持体の、該離型剤含有コーティング層とは反対側の面上に、前記金属薄膜磁性層を蒸着した後、該金属薄膜磁性層上に前記保護層を形成するに先立って、前記非磁性支持体の、前記離型剤含有コーティング層上に前記バックコート層を形成し、
    前記保護層形成後に、バックコート層、金属薄膜磁性層および保護層が形成された非磁性支持体を巻き取る工程を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記非磁性支持体として、両面にコーティング層を有し、該コーティング層のうちの一方が前記離型剤含有コーティング層であり、かつ、両面の表面粗さRaが3nm以下であるポリエチレンナフタレートフィルムを用いる請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記保護層の形成工程直前における前記バックコート層の残留溶剤量を、7000μg/m2以下とする請求項1または2記載の磁気記録媒体の製造方法。
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