JP2786014B2 - 壁の側圧低減構造 - Google Patents

壁の側圧低減構造

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JP2786014B2
JP2786014B2 JP2407492A JP40749290A JP2786014B2 JP 2786014 B2 JP2786014 B2 JP 2786014B2 JP 2407492 A JP2407492 A JP 2407492A JP 40749290 A JP40749290 A JP 40749290A JP 2786014 B2 JP2786014 B2 JP 2786014B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地下構造物の外壁や擁
壁、隧道等、土圧が側圧として作用している壁の側圧を
低減する技術に関し、詳しくは、壁に側圧として土圧を
作用させる土壌部に、その土壌部を上下複数に仕切る構
造体を設けてある壁の側圧低減構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来では、側圧に抗し得る耐力を備える
ように壁を構成することで側圧に対応していた。例え
ば、逆打ちコンクリート工法において、地下建築部を複
数段の部分層で建て継ぐのに、その部分層の周壁に、周
辺の土壌部に延在する圧地鍔部を 付設して、その圧地鍔
部により地耐力を受け、同時にその周壁に作用する周囲
土壌の土圧によってその部分層の沈降に対する摩擦抵抗
によってその部分層を支持し、この部分層を周囲土壌に
対する土留めとして機能させて、下段の部分層のための
土壌の掘り下げを行うことが提案されている(特公昭3
4−7080号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記逆
打ちコンクリート工法においては、前記圧地鍔部が周壁
に、周囲の土壌に延在するように付設されて地盤の地耐
力を受けることで、その下方の土圧を高める効果があ
り、積極的に周壁に土圧を作用させて、部分層の沈降に
対する摩擦抵抗を高めることから、周壁は十分に土圧に
対する補強が必要になる。そこで、本発明の目的は、壁
に作用する側圧を低減できて、壁を重厚なものにしなく
てよい建築構造を提供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明による壁の側圧低
減構造の第1の特徴構成は、前記構造体を、その構造体
上側に位置する土壌部分の土壌重量を受止めてそれの
下側に位置する土壌部分に作用する前記土壌重量を低減
する状態に、前記壁とは分離し、杭によって支持して
けてある点にある。
【0005】さらに、本発明による壁の側圧低減構造の
第2の特徴構成は、構造体を、壁に連設された片持ち構
造体としてその構造体の上側に位置する土壌部分の土壌
重量を受止めてそれの下側に位置する土壌部分に作用す
る前記土壌重量を低減する状態に、前記土壌部の破壊面
にまで突出する状態で設けてある点にある。
【0006】
【作用】上記第1の特徴構成によれば、図12に示すよ
うに、杭5によって支持されることで、構造体2の受け
る土圧の影響がこの構造体2を介して壁1に及ぼされる
ことを回避できる。また、図13に示すように、杭5と
壁1とにより構造体2を 支持するようにすれば、構造体
2を介して壁1に及ぼされる土圧の影響を軽減できる。
しかも、図2示すように、壁の最下部から45度+Φ
/2(Φは内部摩擦角)の角度をもつ破壊面Aより上の
土壌部Bの重量が壁1に側圧として作用し、構造体2が
ない場合には、側圧の分布は、概ね矢印で示すように、
壁の最上部から最下部に向けて次第に増大するほぼ直線
的な増加傾向を示すに対して、構造体2の上方に位置す
る土壌部Bの土圧は前記構造体2で受け止められるか
ら、前記破壊面Aに沿って下方の壁1に及ぼされる土壌
部Bからの側圧は大きく軽減できる。 さらに上記第2
特徴構成によれば、図1に示すように、前記破壊面Aと
壁1との間には構造体2が存在し、その構造体2が壁1
から破壊面Aにまでわたって、それの上側に位置する土
壌部分の土壌重量を受止めて下側に位置する土壌部分に
土壌重量を作用させないから、壁1のうち構造体2より
も下方に位置する壁部分に作用する側圧の原因となるの
は、その壁部分に対向する土壌部分の重量のみとなり、
側圧の分布は図示のように、構造体2の直近の下部で
は、土壌部Bによる側圧が壁1にはほとんど作用せず、
その側圧の下方に向けての増加傾向は異ならないから、
全体としての壁に及ぼされる外力は極めて小さくなる
【0007】従って、構造体を、壁から破壊面にまで突
出する片持ち構造体とし、側圧として作用する上側の土
壌部分の重量を、上記第1特徴構成によれば杭に支持さ
せることで壁への側圧を大きく軽減し、上記第2特徴構
成によれば壁に支持させて、下側の土壌部分に全く作用
させないから、構造体よりも下方に位置する壁部分に作
用する側圧を最小にすることができる。
【0008】このように、下側の土壌部分に作用する上
側の土壌部分の重量を構造体で受止めて低減することに
より、構造体よりも下方に位置する壁部分に作用する側
圧を小さくすることができる。
【0009】
【発明の効果】従って、本発明によれば、壁の土中深さ
が大となっても壁に作用する側圧を小さくでき、壁の設
計、製作を有利に行なえるようになった。
【0010】
【実施例】図1に示すように、地下構造物の外壁1の上
下方向中間箇所に、破壊面Aにまで突出する片持ち構造
体2を連設し、破壊面Aよりも上側の土壌部分Bのうち
片持ち構造体2の上側の土壌部分の重量を片持ち構造体
2で受けて外壁1に支持させるようにしてある。前記片
持ち構造体2は、コンクリート造りや鉄筋コンクリート
造り、或いは、鉄骨鉄筋コンクリート造り、鉄骨造りの
ものであって、外壁1と一体に作製されたものや、別体
として構成され、外壁1に後で固着されたものである。
また、片持ち構造体2は、図中二点鎖線で示すように、
外壁1のうち梁3やスラブ4に接合している箇所に連設
することが好ましい。この場合、片持ち構造体2を支持
する上で必要となる外壁1に対する補強を少なく、或い
は、なくすることができる。
【0011】〔別実施例〕 〔1〕 図3に示すように、外壁1の高さ方向に間隔を
隔った複数箇所夫々に、上記実施例で示したと同様な片
持ち構造体2を連設したものであり、その場合の側圧分
布は矢印で示すようになる。
【0012】〔2〕 図4に示すように、構造体2を壁
1に、破壊面Aよりも遠方にまで突出する状態に設け
て、構造体2を、壁1と、破壊面Aよりも下方に位置す
る土壌部Cとにより両持ち支持させる。
【0013】〔3〕 図5に示すように、上記実施例に
おける片持ち構造体2を破壊面Aにまで達しない短かい
ものに構成する。この場合、片持ち構造体2よりも上側
の土壌部分の重量が下側の土壌部分に作用することをゼ
ロにすることができないものの、片持ち構造体2により
上側の土壌部分の重量の一部を負担するため、やはり、
片持ち構造体2の下側の壁部分に作用する側圧を低減す
ることができる。
【0014】〔4〕 図6に示すように、構造体2とし
て、上面が壁1の幅方向に波打つものを設ける。
【0015】〔5〕 上記実施例では、地下構造体、つ
まり、建物地下部の外壁を対象とする壁1として示した
が、本発明が対象とする壁1としては、図7に示すよう
なL型擁壁、図8に示すような逆L型擁壁、図9に示す
ような重力式擁壁や、図10、11に示すような隧道等
を他に揚げることができる。
【0016】〔6〕 上記実施例では、構造体2とし
て、壁1に支持される片持ち構造体を示したが、構造体
2としては、図12に示すように、壁1とは分離し、杭
5によって支持されるものや、図13に示すように、杭
5と壁1とにより支持されるものであっても良い。
【0017】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】断面図
【図2】構造体がない場合の側圧分布を示す断面図
【図3】断面図
【図4】概略断面図
【図5】概略断面図
【図6】正面図
【図7】概略断面図
【図8】概略断面図
【図9】概略断面図
【図10】概略断面図
【図11】概略断面図
【図12】概略断面図
【図13】概略断面図
【符号の説明】
1 壁 2 構造体 A 破壊面 B 土壌部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁(1)に側圧として土圧を作用させる
    土壌部(B)に、その土壌部(B)を上下複数に仕切る
    構造体(2)を設けてある壁の側圧低減構造であって、 前記構造体(2)を、その構造体(2)の 上側に位置す
    る土壌部分の土壌重量を受止めてそれの下側に位置する
    土壌部分に作用する前記土壌重量を低減する状態に、前
    記壁(1)とは分離し、杭(5)によって支持して設け
    てある壁の側圧低減構造。
  2. 【請求項2】 壁(1)に側圧として土圧を作用させる
    土壌部(B)に、その土壌部(B)を上下複数に仕切る
    構造体(2)を設けてある壁の側圧低減構造であって、 前記構造体(2)を、前記壁(1)に連設された片持ち
    構造体としてその構造体(2)の上側に位置する土壌部
    分の土壌重量を受止めてそれの下側に位置する土壌部分
    に作用する前記土壌重量を低減する状態に、前記土壌部
    (B)の破壊面(A)にまで突出する状態で設けてある
    壁の側圧低減構造。
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