JP2785035B2 - 化粧料および外用剤 - Google Patents

化粧料および外用剤

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JP2785035B2 JP1089418A JP8941889A JP2785035B2 JP 2785035 B2 JP2785035 B2 JP 2785035B2 JP 1089418 A JP1089418 A JP 1089418A JP 8941889 A JP8941889 A JP 8941889A JP 2785035 B2 JP2785035 B2 JP 2785035B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (a)産業上の利用分野 本発明は紫外線吸収能を有する新規な油剤を含有して
なる化粧品および外用剤に係る。
(b)従来の技術 太陽光線に含まれる紫外線にはA領域、B領域、およ
びC領域がある。この中で、特に約280〜320nmのB領域
は人間の皮膚に対して急性のサンバーン(紅斑,火ぶく
れ)を引き起こし、また約320〜400nmのA領域は表皮の
還元メラニンを酸化して直接的にサンタン(黒化)を引
き起こすといわれている。約280nm以下のC領域は、殆
どが大気中に吸収されてしまい、地表に到達する量は少
ない。
これまでB領域またはA,B両領域を吸収する目的で各
種の紫外線吸収剤が化粧品、外用剤に配合されている。
そのような紫外線吸収剤としては、p−メトキシケイ皮
酸エチレングリコールエステル、p−メトキシケイ皮酸
2−エチルヘキシルエステル、シノキサート(p−メト
キシケイ皮酸2−エトキシエチルエステル)、p−アミ
ノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香
酸2−エチルヘキシルエステルなどが知られている。ま
た特開昭61−7212号公報にはp−アミノ安息香酸などの
トコフェロールエステルが記載されている。
(c)発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記の紫外線吸収剤は他の油剤との相
溶性が良好でないため、添加量に制限があり、化粧料に
使用するうえで必ずしも満足すべきものではなかった。
またこれらのエステルは、加水分解された場合に遊離す
るp−メトキシケイ皮酸、p−アミノ安息香酸などが常
温で固体であり結晶化するため、化粧料の品質を損ねる
という欠点も有している。
本発明の目的は従って、以上の欠点がなく、かつ十分
な紫外線吸収効果を持った油剤を含有する化粧料および
外用剤を提供することにある。
(d)課題を解決するための手段 本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意研究の結
果、特定のトコフェロールエステルが、紫外線吸収能を
持ち、各種の油剤との油溶性にも優れていることを見い
出した。
本発明はかかる知見に基いて完成されたもので、下記
の一般式(I)で示されるトコフェロールと炭素数8〜
15の脂肪酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステア
リン酸、リシノール酸またはリシノエライジン酸とのエ
ステルを含有してなる化粧料および外用剤である。
(ただしR1はメチル基または水素を示し、R2は4,8,12−
トリメチルトリデシル基または4,8,12−トリメチルトリ
デカ−3,7,11−トリエニル基を示す。) 上記一般式(I)のトコフェロールとしては天然およ
び合成トコフェロールから選択して使用する。また各種
トコフェロール類の混合物であってもよい。
上記の脂肪酸のうち炭素数8〜15の脂肪酸としてはカ
プリル酸(炭素数8)、イソオクチル酸(同8分岐)、
ペラルゴン酸(同9)、カプリン酸(同10)、ラウリン
酸(同12)、ミリスチン酸(同14)、ペンタデカン酸
(同15)などが使用できる。脂肪酸の炭素数が7以下で
あると、加水分解により遊離の脂肪酸が生じた場合に、
皮膚刺激などの恐れがあるため、好ましくない。本発明
の脂肪酸は1種または2種以上の混合物として用いる。
なおこれまでトコフェロール酢酸エステルを用いた化
粧料が知られており(特開昭58−39610号公報,特開昭5
8−113116号公報,特開昭59−7111号公報,特開昭59−9
8011号公報)、またトコフェロールリノール酸エステル
を含有する養毛料(特開昭61−289022号公報)、トコフ
ェロールリノレン酸エステルを含有する養毛料(特開昭
62−36312号公報)、トコフェロールγ−リノレン酸エ
ステルを用いた化粧料(特開昭62−39511号公報,特開
昭62−39513号公報)、トコフェロールオレイン酸エス
テル、同ステアリン酸エステル、同パルミチン酸エステ
ルを含む化粧料(特開昭62−215514号公報)がいずれも
公知である。しかしこれらはトコフェロール脂肪酸エス
テルに紫外線吸収能があることについて教示しておら
ず、また本発明で用いる前記脂肪酸は、これらの脂肪酸
とは異なるものである。
トコフェロールと脂肪酸とのエステル化反応は例えば
次のようにして行う。即ちトコフェロールに脂肪酸、脂
肪酸無水物または脂肪酸クロリドを加え、無触媒または
触媒存在下に両者を反応させる。他の方法としてはトコ
フェロールと脂肪酸の低級アルコールエステル(メチ
ル,エチル,プロピルなど)または酢酸トコフェロール
のような低級脂肪酸コフェロールエステルと脂肪酸との
エステル交換反応を用いることができる。
以上の反応に用いる触媒としては例えば硫酸、塩酸、
リン酸、p−トルエンスルホン酸、水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどで
ある。反応は無溶媒またはトルエン、キシレンなどの水
共沸溶媒中100〜280℃で行われるが、低温では反応の進
行が遅く、また高温では反応物の着色が著しくなるため
好ましくは130〜220℃で行うのがよい。
本発明の紫外線吸収能を有する油剤は従来の化粧料ま
たは外用剤の処方における油剤の一部または全部に置き
換えて使用することができる。
化粧料としてはクリーム、乳液、口紅等が挙げられ、
外用剤としては軟膏等が挙げられる。
(f)実施例 実施例1 トコフェロール100部(重量。以下同様)、12−ヒド
ロキシステアリン酸メチル80部、水酸化ナトリウム2部
の混合物を50〜90mmHgの減圧下160〜170℃に加熱し、4
時間反応を続けた。反応終了後カラムで分画精製を行い
目的とする、12−ヒドロキシステアリン酸トコフェロー
ルを得た。
この化合物の1%濃度ヘキサン溶液の吸光係数を示
す。
実施例2 天然トコフェロール100部、イソオクチル酸50部、p
−トルエンスルホン酸1部の混合物をキシレン中で160
〜170℃で加熱した。反応により生ずる水の理論量が留
去するまで反応を続けた。反応終了後カラムで分画精製
を行い目的とするオレイン酸トコフェロールを得た。
この化合物の1%濃度ヘキサン溶液の吸光係数を示
す。
実施例3 酢酸トコフェロール120部、イソステアリン酸70部、
水酸化ナトリウム2部の混合物を50〜90mmHgの減圧下16
0〜170℃に加熱し、5時間反応を続けた。反応終了後、
カラムで分画精製を行い目的とするイソステアリン酸ト
コフェロールを得た。
この化合物の1%濃度ヘキサン溶液の吸光係数を示
す。
実施例4 (1)弱油性クリーム 油性成分:ステアリン酸 10.0% ステアリルアルコール 4.0 乳化剤 :モノステアリン酸グリセリン(自己乳化
型) 2.0 香 料 1.0 防腐剤,酸化防止剤 適量 保湿剤:プロピレングリコール 10.0 グリセリン 4.0 水酸化カリウム 0.4 精製水 60.6 イソステアリン酸トコフェロール 8.0 (2)中性クリーム 油性成分:ミツロウ 2.0% ステアリルアルコール 2.0 ステアリン酸 8.0 スクワラン 6.0 乳化剤 :自己乳化型プロピレングリコールモノステ
アレート 3.0 ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.
O.) 1.0 香 料 0.5 防腐剤,酸化防止剤 適量 保湿剤:プロピレングリコール 8.0 グリセリン 4.0 アルカリ:トリエタノールアミン 1.0 精製水 51.5 リシノール酸トコフェロール 13.0 (3)油性クリーム ミツロウ 10.0% 流動パラフィン 40.0 ホウ砂 1.0 精製水 39.0 イソオクチル酸トコフェロール 10.0 (4)乳液 油性成分:ステアリン酸 2.0% セタノール 1.5 ワセリン 3.0 ラノリンアルコール 2.0 流動パラフィン 5.0 乳化剤 :ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステ
ル10E.O.) 2.0 香 料 0.5 防腐剤,酸化防止剤 適量 保湿剤:グリセリン 3.0 プロピレングリコール 5.0 アルカリ:トリエタノールアミン 1.0 精製水 65.0 ミリスチン酸トコフェロール 10.0 (5)口紅 基 剤:ヒマシ油 30.3% ヘキサデシルアルコール 25.0 ラノリン 4.0 ミツロウ(黄色) 5.0 オゾケライト 4.0 キャンデリラロウ 7.0 カルナウバロウ 2.0 防腐剤,酸化防止剤 適量 色 材:酸化チタン 2.0 赤色202号 0.5 赤色204号 2.5 赤色227号A1レーキ 2.5 橙色201色 0.2 香 料 適量 12−ヒドロキシステアリン酸トコフェロール 15.0 (6)軟膏基剤 油 相 流動パラフィン 20.0% 白色ワセリン 10.0 セタノール 20.0 12−ヒドロキシステアリン酸トコフェロール 4.0 ポリオキシエチレン(15)ステアリルエーテル 1.0 水 相 ラウリル硫酸ナトリウム 0.2% 水 残部 (f)発明の効果 本発明におけるトコフェロール脂肪酸エステルは紫外
線吸収能を持ち、かつ処方例に示すように各種成分との
相溶性も良好であるので、化粧料や外用剤の油剤として
好適であり、品質の優れた化粧料および外用剤が提供で
きる。
またこのエステルは加水分解により脂肪酸が遊離して
も、炭素数8〜15の脂肪酸、イソステアリン酸、12−ヒ
ドロキシステアリン酸、リシノール酸、リシノエライジ
ン酸は常温で液体もしくは従来のp−メトキシケイ皮酸
などに比べはるかに、低融点であり、親油性もあるので
結晶化の問題はほとんどない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 7/42 A61K 7/00 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式(I)で示されるトコフェロ
    ールと炭素数9〜15の脂肪酸、イソステアリン酸、12−
    ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸またはリシノエ
    ライジン酸とのエステルを含有してなる化粧料。 (ただしR1はメチル基または水素を示し、R2は4,8,12−
    トリメチルトリデシル基または4,8,12−トリメチルトリ
    デカ−3,7,11−トリエニル基を示す。)
  2. 【請求項2】特許請求の範囲(1)に示されるエステル
    を含有してなる外用剤。
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