JP2784249B2 - 大型多層ブロー成形品の製造方法 - Google Patents

大型多層ブロー成形品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は大型多層ブロー成形品の製造方法に関し、特
に大型多層ブロー成形品の多層構造の乱れを抑制するこ
とにより、外観品質や機械的強度を向上しうる大型多層
ブロー成形品の製造方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
ポリオレフィン系樹脂は安価で強度が大きく、耐候
性、耐薬品性等に優れているので、各種の容器、外装材
等に広く使用されている。しかしながら、バリア性、耐
衝撃性等が十分でないので、ポリオレフィン系樹脂と、
他のエンジニアリングプラスチックとの積層物をブロー
成形してなる構造部品が種々製造されている。
例えば、ポリオレフィン系樹脂層と、ポリアミド層と
を変性ポリオレフィン層を介して積層してなる構造物を
ブロー成形したガソリンタンクや、ポリオレフィン系樹
脂層と、耐衝撃性等に優れたエンジニアリングプラスチ
ック層とを変性ポリオレフィン層を介して積層してなる
構造物をブロー成形し、自動車のバンパー、スポイラー
等としたもの等が挙げられる。
このような成形品はいずれもブロー製品としては大型
であるため、そのブロー成形機としては、押出した樹脂
を一旦アキュムレータ内に留め一度にパリソンを押し出
す、いわゆるアキュームレータ方式によるものが使用さ
れている。
しかしながら、アキュームレータ方式では、各層用の
樹脂のアキュームレータの配列と、各層用樹脂の合流部
のダイ構造上、押出された樹脂は一部ダイの中に残留
し、この残留した樹脂と新しい樹脂とで、次回のパリソ
ンが形成される。このためパリソンには残留樹脂部(前
ショット部)と、新樹脂部(新ショット部)とができ、
両者の継ぎ目(パリソンの継ぎ目)において、多層構造
に乱れ、断裂等が生じる。
このことは、多層プラスチック燃料タンク等の場合に
は、ガソリンバリア性、低温耐衝撃性等の低下をきた
し、またバンパー、スポイラー等の場合には、外観を損
なうという問題をもたらす。
したがって本発明の目的は、大型多層ブロー成形品を
製造する際に、パリソンの継ぎ目で生じる多層構造の乱
れを抑制し、また層の断裂等をなくすことで上記問題を
解決しうる大型多層ブロー成形品の製造方法を提供する
ことである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、大型
多層ブロー成形品を製造するに際し、各層用の樹脂とし
て、低剪断領域、所定の温度における粘度が高く、かつ
樹脂間の粘度差の少ないものを使用すれば、パリソンの
継ぎ目の部分で層構造のみだれ等を生じないことを見出
し、本発明に想到した。
すなわち、ポリオレフィン系樹脂層と、エンジニアリ
ングプラスチック層とが、不飽和カルボン酸又はその無
水物により変性されたポリオレフィン層を介して積層さ
れた大型多層ブロー成形品の製造方法には、240℃、1
〜5sec-1の剪断領域における粘度が、前記ポリオレフィ
ン系樹脂層用の樹脂が10×104〜30×104ポイズであり、
前記エンジニアリングプラスチック層用の樹脂で3×10
4〜30×104ポイズであり、前記不飽和カルボン酸又はそ
の無水物により変性されたポリオレフィン層用の樹脂で
3×104〜30×104ポイズであり、かつ各樹脂間の粘度差
が105ポイズ以下であることを特徴とする。
本発明を以下詳細に説明する。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂層を形成する
ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテ
ン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1等のα
−オレフィンの単独重合体、エチレンとプロピレン又は
他のα−オレフィンとの共重合体、もしくはこれらのα
−オレフィンの2種以上の共重合体、あるいはこれらの
単独重合体どうし、共重合体どうし、さらには単独重合
体と共重合体とをブレンドしたもの等を用いることがで
きるこれらのうちでは、ポリエチレン、ポリプロピレン
が好ましく、特に高密度ポリエチレンが好ましい。
本発明において高密度ポリエチレンは、密度0.935g/c
m3以上であり、またそのメルトインデックス(MI 190
℃、2.16kg荷重)は、耐ドローダウン性、成形性、耐衝
撃性を考慮すると、0.003〜2g/10分であるのが好まし
い。より好ましくは、0.01〜1g/10分である。
上述したようなポリオレフィン系樹脂の粘度は、240
℃、1〜5sec-1の剪断領域において10×104〜30×104
イズ、好ましくは15×104〜25×104ポイズであり、後述
するようにエンジニアリングプラスチック層用樹脂及び
不飽和カルボン酸又はその無水物による変性ポリオレフ
ィン層用樹脂との間の粘度差が105ポイズ以下のもので
ある。ポリオレフィン系樹脂の粘度が10×104ポイズ未
満ではドローダウン、パリソンの継ぎ目での多層構造の
乱れ、層の破断等を生じやすく、また30×104ポイズを
超えると押出成形性が低下する。
本発明においてエンジニアリングプラスチック層用の
樹脂としては、特に制限はなく、ポリアミド、ポリカー
ボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレン
オキシドとポリスチレンとのブレンド物等を挙げること
ができる。
このようなエンジニアリングプラスチックの中では、
特にポリアミドが好ましい。
本発明において用いるポリアミドとしては、ヘキサメ
チレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレ
ンジアミン、2,2,4−または2,4,4,−トリメチルヘキサ
メチレンジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチ
ル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシル
メタン)、m−またはp−キシリレンジアミンのような
脂肪族、脂環族又は芳香族のジアミンと、アジピン酸、
スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸のような脂肪族、脂環
族又は芳香族のジカルボン酸とから製造されるポリアミ
ド、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、
12−アミノドテカン酸のようなアミノカルボン酸から製
造されるポリアミド、ε−カプロラクタム、ω−ドデカ
ラクタムのようなラクタムから製造されるポリアミド、
およびこれらの成分からなる共重合ポリアミド、または
これらのポリアミドの混合物が挙げられる。具体的には
ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン9、
ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、ナイロ
ン6/12、ナイロン12、ナイロン46、非晶質ナイロン等が
挙げられる。これらの中では、剛性、耐熱性の良好な点
でナイロン6及びナイロン66が好ましい。
分子量はとくに限定されないが、通常相対粘度η
(JISK6810、98%硫酸中で測定)が0.5以上のポリア
ミドが用いられ、中でも2.0以上のものが機械的強度が
優れている点で好ましい。
上述したようなエンジニアリングプラスチックの粘度
は、240℃、1〜5sec-1の剪断領域において3×104〜30
×104ポイズ、好ましくは7×104〜25×104ポイズであ
る。エンジニアリングプラスチックの粘度が3.×104
イズ未満では、パリソンの継ぎ目において多層構造の乱
れ、層の破断等を生じやすく、また30×104ポイズを超
えると成形性が低下する。
本発明において変性オレフィン系樹脂層を形成する変
性ポリオレフィンは、不飽和カルボン酸又はその無水物
を有する不飽和モノマーを共重合したポリオレフィンで
ある。
不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えばア
クリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸、無水マレ
イン酸、無水イタコン酸、エンディック酸無水物(無水
ハイミック酸)等のジカルボン酸無水物等が挙げられ、
特にジカルボン酸及びその無水物が好ましい。
また不飽和カルボン酸又はその誘導体により変性する
ポリオレフィンとしては、上述のポリオレフィン系樹脂
層用のポリオレフィンと同様のものを用いることができ
る。
変性ポリオレフィン中の不飽和カルボン酸又はその無
水物の含有量は0.01〜10重量%の範囲内となるようなも
のであるのが好ましく、具体的には、無水マレイン酸に
より変性する場合には、無水マレイン酸の含有量を0.1
〜3重量%、より好ましくは0.2〜2重量%とし、また
無水ハイミック酸を用いる場合には、その含有量を0.1
〜3重量%、より好ましくは0.2〜2重量%とする。無
水マレイン酸及び無水ハイミック酸による変性量がそれ
ぞれ上記下限値未満であると、変性ポリオレフィンによ
るエンジニアリングプラスチック層との接着性向上に十
分な効果がなく、また上限値を超えるとポリオレフィン
層との接着性が低下する。
変性ポリオレフィンの製造は溶液法又は溶融混練法の
いずれでも行うことができる。溶融混練法の場合、ポリ
オレフィン、変性用不飽和カルボン酸(又は酸無水物)
及び触媒を押出機や二軸混練機等に投入し、150〜250℃
の温度に加熱して溶融しながら混練する。また溶液法の
場合、キシレン等の有機溶剤に上記出発物質を溶解し、
80〜140℃の温度で撹拌しながら行う。いずれの場合に
も、触媒として通常のラジカル重合用触媒を用いること
ができ、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、
過酸化ジターシャリーブチル、過酸化アセチル、ターシ
ャリーブチルペルオキシ安息香酸、過酸化ジクミル、ペ
ルオキシ安息香酸、ペルオキシ酢酸、ターシャリーブチ
ルペルオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジター
シャリーブチルペルオキシヘキシン等の過酸化物類や、
アゾビスイソブチロニトリル等のジアゾ化合物類等が好
ましい。触媒の添加量は変性用不飽和カルボン酸又はそ
の無水物100重量部に対して1〜100重量部程度である。
上述したような不飽和カルボン酸又はその無水物によ
る変性ポリオレフィンの粘度は、240℃、1〜5sec-1
剪断領域において3×104〜30×104ポイズ、好ましくは
7×104〜25×104ポイズである。不飽和カルボン酸又は
その無水物による変性ポリオレフィンの粘度が3×104
ポイズ未満では、パリソンの継ぎ目において多層構造の
乱れ、層の破断等を生じやすく、また30×104ポイズを
超えると成形性が低下する。
なお、本発明においては、上記各層用の樹脂に、その
改質を目的として、充填剤、熱安定剤、光安定剤、難燃
剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤等の添
加剤を適宜添加することができる。
本発明においては、上述したような各層用の樹脂の間
の240℃、1〜5sec-1の剪断領域における粘度差は、そ
れぞれ105ポイズ以下、好ましくは1〜5×104ポイズで
ある。粘度差が105ポイズを超えると、多層構造の乱
れ、層の破断等を生じやすくなる。
例えば、高密度ポリエチレン層/変性ポリオレフィン
層/ポリアミド層/変性ポリオレフィン層/高密度ポリ
エチレン層の3種5層構造からなる多層成形品の場合、
各層用の樹脂としては240℃、1.7sec-1の剪断領域にお
ける粘度が高密度ポリエチレン15〜30×104ポイズ、変
性ポリオレフィン7.5〜30×104ポイズ及びポリアミド7.
5〜30×104ポイズであり、かつ粘度差が105ポイズ以下
のものを用いるのが好ましい。
次に大型多層ブロー成形品を製造する本発明の方法を
説明する。
本発明において、大型多層ブロー成形品は、基本的に
は上記各層用の樹脂を、アキュームレータ方式の共押出
成形法により、円筒状の上記各層構造を有するパリソン
に成形し、このパリソンを所望の形状のキャビティを有
する金型内に設置した後、ブロー成形することにより製
造すればよい。
ただし、大型多層ブロー成形品の場合、そのパリソン
を成形した際に、ダイ部に樹脂が残留する。そして、こ
の残留樹脂は、新しく樹脂を供給され、次回のパリソン
用の樹脂となる。このため、パリソンには残留樹脂部分
と、新樹脂部分とが生じる。
通常の方法では、この残留樹脂部分と、新樹脂部分と
の境界部分で多層構造の乱れ、断裂、肉厚の増減等を生
じる。しかしながら本発明の方法によれば、上記層構造
の乱れ等を生じることがない。
上述したような本発明の方法による大型多層ブロー成
形品としては、たとえば第1図に示すような層構造の多
層プラスチック燃料タンクを挙げることができる。第1
図中において多層成形体は、高密度ポリエチレン層1、
1と、ポリアミド層2と、両層を接着する変性高密度ポ
リエチレン層3、3とからなる。
なお、各層の層厚はそれぞれ使用する用途、目的に応
じて適宜設定されるものであるが、例えば上述の3種5
層構造からなる多層プラスチック燃料タンクの場合、高
密度ポリエチレン層を1.5〜5mm、ポリアミド層を10〜50
0μm、変性高密度ポリエチレン層を10〜500μmとすれ
ばよい。
〔作 用〕
本発明においては、各層用の樹脂として、押出温度付
近、低剪断領域における粘度が高く、かつ各層用の樹脂
間の粘度差の少ないものを使用して、大型多層ブロー成
形品を製造していので、パリソンの継ぎ目において、多
層構造の乱れ、断裂、肉厚の増減等を生じない。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかでは
ないが、押出温度付近での低剪断領域における樹脂の粘
度を高くすることにより、樹脂の断裂、肉厚の増減、ド
ローダウン等を防止するとともに、樹脂間の粘度差を少
なくすることにより、アキュームレータ充填時の樹脂間
のズレを防止することができるためであると考えられ
る。
〔実施例〕
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1〜4及び比較例4 多層プラスチック燃料タンクの作成 第2表に示す各種粘度の高密度ポリエチレン(HDPE)
と、変性高密度ポリエチレン(CMPE)、及びポリアミド
(PA)とを2種類の多層ブロー成形機(日本製鋼所
(株)製NB−60Gおよび石川島播磨重工(株)製IPB−20
0M)により、樹脂温度を230℃として成形し、第1表に
示すような層及び標準肉厚構成の3種5層の多層プラス
チック燃料タンク(容量40)を作成した。
このようにして得られた多層プラスチック燃料タンク
の継ぎ目の部分のポリアミド層及び変性高密度ポリエチ
レン層の最大幅(h1、h2)及び肉厚の増減している長さ
(l1、l2)を測定した。
また、多層プラスチック燃料タンクに対して、低温
(−40℃)での落下衝撃試験を行った。
結果を第2表にあわせて示す。
(1)日本製鋼所(株)製NB−60Gによる多層プラスチ
ック燃料タンクに対しては、第2図に示すように樹脂の
継ぎ目におけるポリアミド層5及び変性高密度ポリエチ
レン層6の最大幅(h1、h2)を測定し、石川島播磨重工
(株)製IPB−200Mによる多層プラスチック燃料タンク
に対しては、第3図に示すように、継ぎ目におけるポリ
アミド層5及び変性高密度ポリエチレン層6の幅厚の安
定しない部分の長さ(l1、l2)を測定した。なお、第2
図及び第3図中、4は高密度ポリエチレン層を示す。
(2)ガソリンタンクに満量の水とエチレングリコール
との混合液(ガソリンに相当する重量)を充填し、−40
℃で6mの高さより落下させ、破壊しなかったものを○、
破壊したものを×として評価した。
第2表より明らかなように、本発明の方法による多層
プラスチック燃料タンクは、パリソンの継ぎ目の部分の
パリアミド層及び変性高密度ポリエチレン層の幅及び長
さがともに小さく、耐衝撃性が良好であった。特に各層
用樹脂の粘度差が0である実施例4の多層プラスチック
燃料タンクは、パリソンの継ぎ目の部分でもポリアミド
層及び変性高密度ポリエチレン層がほぼ一定であった。
これに対し、240℃、1〜5sec-1における各層間の粘
度差が105以上である比較例1〜3の多層プラスチック
燃料タンクは、ポリソンの継ぎ目の部分のパリアミド層
の幅及び長さがともに大きく、耐衝撃性が悪かった。
また高密度ポリエチレンの240℃、1〜5sec-1におけ
る粘度が10×104未満である比較例4の多層プラスチッ
ク燃料タンクは、ドローダウンを生じ成形が困難であっ
た。
実施例5〜7及び比較例5、6 多層ブロー構造物の作成 ポリプロピレンと、変性ポリプロピレンと、第4表に
示す粘度のポリアミドとを2種類の多層ブロー成形機
(日本製鋼所(株)製NB−60Gおよび石川島播磨重工
(株)製IPB−200M)により、樹脂温度を ℃として
成形し、第3表に示すような層及び標準肉厚構成の3種
3層の多層ブロー構造物(0.5m×0.15m×0.15m)を作成
した。
なお、ポリプロピレンの粘度は240℃、1.7sec-1で15
×104ポイズ及び3.4sec-1で9×104ポイズであり、変性
ポリプロピレンの粘度は240℃、1.7sec-1で15×104ポイ
ズ及び3.4sec-1で9×104ポイズであった。
このようにして得られた多層ブロー構造物の継ぎ目の
部分のポリアミド層の最大幅(h3)及び肉厚の増減して
いる長さ(l3)を測定した。
また、表面粗度を測定した。
結果を第4表にあわせて示す。
(1)日本製鋼所(株)製NB−60Gによる多層ブロー構
造物に対しては、第4図に示すように樹脂の継ぎ目にお
けるポリアミド層8の最大幅(h3)を測定し、石川島播
磨重工(株)製IPB−200Mによる多層ブロー構造物に対
しては、第5図に示すように継ぎ目におけるポリアミド
層8の幅厚の安定しない部分の長さ(l3)を測定した。
なお、第4図及び第5図中、7はポリプロピレン層を示
し、9は、変性ポリプロピレン層を示す。
(2)石川島播磨重工(株)製IPB−200Mによる多層ブ
ロー構造物に対して第5図に示すように継ぎ目以外の部
分のポリアミド層8の粗さを表面粗度aとし、継ぎ目に
おけるポリアミド層8の粗さを表面粗度bとした。
第4表より明らかなように、本発明の方法による多層
ブロー構造物は、パリソンの継ぎ目の部分のポリアミド
層の幅及び長さがともに小さく、継ぎ目の部分でも表面
粗度の値が小さかった。
これに対し、240℃、1〜5sec-1における各層間の粘
度差が105以上である比較例5、6の多層ブロー構造物
は、パリソンの継ぎ目の部分のポリアミド層の幅及び長
さがともに大きく、継ぎ目の部分の表面粗度の値が大き
かった。
〔発明の効果〕
以上に詳述したように、本発明の大型多層ブロー成形
品タンクの製造方法によれば、各層用の樹脂を、押出温
度付近、低剪断領域における粘度が高く、かつ各層その
樹脂間の粘度差の少ないものとして、ブロー成形してい
るので、パリソンの継ぎ目において、多層構造の乱れ、
断裂、肉厚の増減等を生じない。
このような本発明の方法によれば、例えばガソリンバ
リア性及び低温耐衝撃性が従来より向上した多層プラス
チック燃料タンクを製造することができる。
また層の乱れがなくなることにより、外観品質の向上
した自動車用スポイラー、バンパ等を製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法により製造される大型多層ブロー
成形品の層構造の一例を示す部分断面図であり、 第2図及び第3図は多層プラスチック燃料タンクの継ぎ
目の状態を示す概略図であり、 第4図及び第5図は3種3層構造の多層ブロー構造物の
継ぎ目の状態を示す概略図である。 1……高密度ポリエチレン層 2……ポリアミド系樹脂層 3……変性高密度ポリエチレン層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 9:00 22:00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 49/04,49/22 B32B 27/32 B29K 23:00 B29L 9:00,22:00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂層と、エンジニアリ
    ングプラスチック層とが、不飽和カルボン酸又はその無
    水物により変性されたポリオレフィン層を介して積層さ
    れた大型多層ブロー成形品の製造方法において、240
    ℃、1〜5sec-1の剪断領域における粘度は、前記ポリオ
    レフィン系樹脂層用の樹脂が10×104〜30×104ポイズで
    あり、前記エンジニアリングプラスチック層用の樹脂が
    3×104〜30×104ポイズであり、前記不飽和カルボン酸
    又はその無水物により変性されたポリオレフィン層用の
    樹脂が3×104〜30×104ポイズであり、かつ各樹脂間の
    粘度差が105ポイズ以下であることを特徴とする大型多
    層ブロー成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、前記エン
    ジニアリングプラスチックが、ポリアミド、ポリカーボ
    ネート、ポリエステル、ポリフェニレンオキシドとポリ
    スチレンとのブレンド物から選ばれたものであることを
    特徴とする大型多層ブロー成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の方法において、前
    記大型多層ブロー成形品が、高密度ポリエチレン層/変
    性ポリオレフィン層/ポリアミド層/変性ポリオレフィ
    ン層/高密度ポリエチレン層の5層構造からなるもので
    あり、240℃、1.7sec-1の剪断領域における粘度は、前
    記高密度ポリエチレンが15〜30×104ポイズ、前記変性
    ポリオレフィンが7.5〜30×104ポイズ及び前記ポリアミ
    ドが7.5〜30×104ポイズであることを特徴とする大型多
    層ブロー成形品の製造方法。
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