JP2004018075A - リサイクル可能な樹脂製燃料タンク - Google Patents
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Abstract
【課題】強度を維持しつつ燃料含浸バリア性を有する燃料タンクを提供する。
【解決手段】燃料タンク10は、、最内層12の上には接着剤として機能する変性PE層16が積層され、変性PE層16の上には燃料含浸バリア性の高いバリア層であるEVOH層18が積層され、更にEVOH層18の上には上述した接着剤として機能する変性PE層20が積層され、この変性PE層20の上にはリサイクル用樹脂層22が形成され、更にリサイクル用樹脂22の上には最外層24が形成された多層構造を有する。そして、燃料タンク10において、燃料と接触する最内層12は、ポリエチレンからなる母材13と、母材13中に分散し積層面に略配向する、例えばポリアミド系樹脂またはEVOHからなる燃料含浸バリア性素材14と、を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料タンク10は、、最内層12の上には接着剤として機能する変性PE層16が積層され、変性PE層16の上には燃料含浸バリア性の高いバリア層であるEVOH層18が積層され、更にEVOH層18の上には上述した接着剤として機能する変性PE層20が積層され、この変性PE層20の上にはリサイクル用樹脂層22が形成され、更にリサイクル用樹脂22の上には最外層24が形成された多層構造を有する。そして、燃料タンク10において、燃料と接触する最内層12は、ポリエチレンからなる母材13と、母材13中に分散し積層面に略配向する、例えばポリアミド系樹脂またはEVOHからなる燃料含浸バリア性素材14と、を含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製燃料タンクに関し、特に最内層が耐燃料透過性の層からなる樹脂製燃料タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料となる炭化水素類、例えばガソリンを保存するための容器の素材として、軽量化、形状の自由度、容器製造工程の簡略化などの観点から、樹脂系素材の利用が多くの分野で期待されて、特に車両用部品分野では、燃料タンクに樹脂系素材を用いることが検討されている。
【0003】
従来、上述のような燃料タンク用の樹脂系素材として、例えばポリエチレン(特に、高密度ポリエチレン(以下「HDPE」という))が経済性、成形加工性、機械的な強度などの点で広く用いられるようになっている。
【0004】
しかしながら、ポリエチレン製燃料タンクは、貯留されるガソリンを含浸しやすく、そのため、ガソリンの気体がポリエチレン製のタンクの壁から大気に飛散しやすいという欠点を有していた。
【0005】
そこで、上述のガソリン耐透過性を付与するために、ポリエチレン層のタンク内壁にハロゲンガスを吹き込み内壁をハロゲン化したり、又は上記ポリエチレン層とガソリン耐透過性の高いポリアミド系樹脂層やエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」という)層とを多層化したりする方法が提案されている。
【0006】
そこで、特開平7−52333号公報の「燃料用パイプまたはタンク」には、ガソリンに対する耐ストレスクラック性とガソリンバリア性に優れたEVOH樹脂組成物を用い、このEVOH(A)100重量部に対して、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリエステルから選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を1〜50重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層有する多層構造からなり、最内層がHDPEからなる燃料用パイプまたはタンクが提案されている。
【0007】
また、特開平10−157738号公報の「樹脂製燃料容器およびその製造方法」には、ポリエチレンの半割体の内面にポリアミドまたはEVOHを備えたバリア層を備え、更に半割体を相互に突き合わせて溶着接合する樹脂製燃料容器が提案されている。
【0008】
一方、近年のリサイクル運動の高まりから、市場から回収した燃料タンクを構成する素材の再利用の要請がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開平7−52333号公報の燃料用タンクは、ガソリンバリア性のEVOH層を有するものの、燃料と直接接触するタンクの最内層がHDPEであり、このHDPEがガソリン含浸性の高い素材であることから、燃料用タンクの多層構造内のガソリン含浸率は高くなる。このため、燃料用タンクの多層構造の内リサイクル可能な樹脂層も燃料を含浸し、リサイクル可能な樹脂層の機械的物性(例えば強度、弾性など)が低下し、再利用が難しかったり、またリサイクル工程時にガソリンが気化して安全性を確保することが難しいといった問題点があった。更に、燃料臭がとれず室内部品に再利用することも難しい。一方、リサイクル可能なようにガソリンバリア性を向上させるため、EVOH層を厚くすると、EVOH層は弾性率が高く比較的脆いため、タンクの強度がさがるという問題があった。
【0010】
また、特開平10−157738号公報の樹脂製燃料容器は、燃料含浸性の高いポリエチレンからなる半割体の内面に、燃料バリア性の高いポリアミドまたはEVOHのバリア層を形成しているが、このバリア層が薄い場合にはバリア性が下がり、最外層のポリエチレンまで燃料が含浸してしまうという問題があった。一方、燃料バリア性を高めるために、ポリアミドまたはEVOHのバリア層を厚くすると、上述したようにタンク強度が低下するという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料タンクの強度を損なうことなく、燃料バリア性を向上させ、燃料タンクを構成する多層構造中の樹脂層のリサイクルを可能とするリサイクル可能な樹脂製燃料タンクを提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のリサイクル可能な樹脂製燃料タンクは、以下の特徴を有する。
【0013】
(1)リサイクル可能な樹脂層を含む多層構造の樹脂製燃料タンクにおいて、燃料と接触する前記樹脂製燃料タンクの最内層は、ポリエチレンからなる母材と、前記母材中に分散し積層面に略配向する燃料含浸バリア性素材と、を含む。
【0014】
最内層は衝撃強度を有するポリエチレンを母材としているため、タンク強度を損なうおそれがない。一方、最内層のポリエチレンからなる母材中に、タンク多層構造の積層面に略配向するように燃料含浸バリア性素材を分散させているため、最内層内では、燃料含浸バリア性素材が燃料含浸の壁となり、燃料が燃料含浸バリア性素材の壁を迂回しながら最内層のポリエチレン部分に徐々に浸透することとなる。これにより、見掛けの最内層の厚みは同じでも、あたかも最内層の厚みが厚くなったような効果を奏するため、タンク多層構造への燃料含浸率を低下させることができる。従って、タンク多層構造内の樹脂層の燃料含浸率も低下し、樹脂層の樹脂物性の大幅な変化もなく、またリサイクル処理中の燃料の気化もほとんどないことから安全に樹脂をリサイクルできる。
【0015】
(2)上記(1)に記載のリサイクル可能な樹脂製燃料タンクにおいて、更に、前記母材には、前記ポリエチレンと前記燃料含浸バリア性素材とを接着する相溶化剤を含む。
【0016】
ポリエチレンと上記燃料含浸バリア性素材との接着性を高めることにより、より燃料の含浸率を低下させることができ、またタンクの強度を維持することができる。
【0017】
(3)上記(1)又は(2)に記載のリサイクル可能な樹脂製燃料タンクにおいて、前記燃料含浸バリア性素材は、ポリアミド系樹脂又はエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
【0018】
上述のポリアミド系樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、燃料バリア効果の高い樹脂であり、これらをタンク多層構造の積層面に配向させて最内層に分散させることによって、最内層への燃料透過量を少なくすることができ、その結果、最内層から最外層までの多層中の全燃料含浸量を極力低下させることができる。よって、上記多層中の樹脂層のリサイクルが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0020】
実施の形態1.
本実施の形態の樹脂製燃料タンクの多層構造について、図1を用いて説明する。なお、図2には、従来の樹脂製燃料タンクの多層構造の一部断面図が示されている。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の樹脂製燃料タンク10(以下「燃料タンク10」という)は、リサイクル可能な樹脂層22(以下「リサイクル用樹脂層22」という)を含む多層構造を有する。そして、燃料タンク10において、燃料と接触する最内層12は、ポリエチレンからなる母材13と、母材13中に分散し積層面に略配向する燃料含浸バリア性素材14と、を含む。
【0022】
更に詳細に説明すると、図1に示すように、燃料タンク10において、最内層12の上には接着剤として機能する変性ポリエチレン層16(以下「変性PE層16」)が積層され、変性PE層16の上には燃料含浸バリア性の高いバリア層であるEVOH層18が積層され、更にEVOH層18の上には上述した接着剤として機能する変性PE層20が積層され、この変性PE層20の上にはリサイクル用樹脂層22が形成され、更にリサイクル用樹脂層22の上には最外層24が形成されている。
【0023】
上述の最外層24は、ポリエチレンからなり、更に高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましく、HDPEとしては、密度が0.935g/cm3以上のものが好ましく、HDPEのメルトインデックス(MI;190℃、2.16kg荷重)は、耐ドローダウン性、成形性、耐衝撃性等を考慮すると、下限がHLMI(High Load MI;190℃、2.16kg荷重(高粘度樹脂の場合に通常の10倍の荷重でテストする方法))で1g/10分、上限がMIで2g/10分であることが好ましい。
【0024】
また、最内層12中の母材13も、上述同様のHDPEを用いることが好ましい。
【0025】
また、最内層12中に、積層面に対して配向するように層状に分散した薄片状の燃料含浸バリア性素材14としては、ガソリンの含浸率の低い樹脂であれば如何なる樹脂でもよいが、例えばポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、フッ素系樹脂などが好ましく、ポリアミド系樹脂、EVOHがより好ましい。また、ポリアミド系樹脂としては、ω−アミノカルボン酸の重縮合あるいはラクタムの開環重合される酸アミド結合(−CONH−)を有する重合体([−NH(CH2)x−1CO−]n)、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンとアジピン酸等のジカルボン酸とから重合される酸アミド結合(−CONH−)を有する重合体([−NH(CH2)xNHCO(CH2)y−2CO−]n)が挙げられ、x、yの数を用いてナイロンxy或いはナイロンxのようによばれる。本実施の形態におけるポリアミド系樹脂として、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン6とナイロン66とのブレンド物が好ましい。また、ナイロン6とナイロン66とのブレンド比は100:0〜40:60までが好ましく、ナイロン66のブレンド比が上述の範囲を超えて高くなりすぎると、燃料に対する耐透過性が十分ではなくなる。
【0026】
また、最内層12中の燃料含浸バリア性素材14は、母材13を100重量%として0.1重量%から10重量%が好ましく、更に0.1重量%から5重量%がより好ましい。上述の範囲を超えて燃料含浸バリア性素材14を含むと燃料タンクの強度が低下するおそれがある。
【0027】
また、最内層12は、母材13と燃料含浸バリア性素材14とを接着する相溶化剤を含んでもよい。これにより、両者の接着性が促進され、燃料タンク10の強度を維持または向上させることができる。相溶化剤としては、例えば接着機能を有する変性ポリエチレン(変性PE)が好適である。また、変性PEとしては、接着性の付与と相溶化剤としての機能を考慮し、0.1重量%から3.0重量%の変性率のものが好ましい。変性率0.1重量%未満の場合には接着性が不十分となる可能性があり、一方3.0重量%を超えると変性PE自体の強度が低下する。また、最内層12中の変性PEは、母材13を100重量%として0.1重量%から13重量%が好ましく、更に0.1重量%から7重量%がより好ましい。上述の範囲を超えて変性PEを含むと燃料タンクの強度が低下するおそれがある。
【0028】
また、変性PE層16,20についても、上述同様の変性PEを用いることが好ましく、変性PEとしては、接着性の付与と相溶化剤としての機能を考慮し、0.1重量%から3.0重量%の変性率のものが好ましい。上述の範囲外の場合には、最内層12とEVOH層18との接着性およびEVOH層18とリサイクル用樹脂層22との接着性が不十分となり、また燃料タンク10の衝撃強度が低下する。
【0029】
上述の最内層12および変性PE層16,20における、変性PEに用いる不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、エンディック酸(無水ハイミック酸)等のジカルボン酸無水物等が挙げられる。不飽和カルボン酸またはその誘導体として特にジカルボン酸またはその誘導体が好ましい。
【0030】
また、本実施の形態の最内層12において、母材13中で、燃料含浸バリア性素材14と必要に応じて変性PEとに適当な粘度を持たせることにより、最内層12中で、燃料タンク10の多層構造の積層面に配向した燃料含浸バリア性素材14の薄層化を促進しながら、母材13と燃料含浸バリア性素材14との接着力を確保することができる。従って、母材13と母材13に分散される燃料含浸バリア性素材14との粘度比は1:1から1:2の範囲が好ましく、また接着剤として機能する変性PEと分散される燃料含浸バリア性素材14との粘度比は1:0.01から1:0.1の範囲が好ましい。相対的に燃料含浸バリア性素材14の粘度が低すぎる場合には、母材13との相溶過剰になり、燃料含浸バリア性素材14の層が形成できない。一方、燃料含浸バリア性素材14の粘度が高すぎる場合には、成形時、例えばブロー成形時の剪断力では薄層化が十分に進まず、燃料含浸バリア性が低下する。また、相対的に変性PEの粘度が低すぎる場合には、母材13中で過剰に分散してしまい、十分な密着性が得られず、一方、変性PEの粘度が高すぎる場合には、十分に燃料含浸バリア性素材14が分散しなくなる。これらの場合には、最内層12内の十分な接着性が得られず強度が低下するとともに、燃料含浸バリア性も低下する。
【0031】
また、燃料含浸バリア性素材14が配向・分散して薄層化するために、母材13用ペレットと、燃料含浸バリア性素材14用ペレットと、必要に応じて変性PEのペレットとを溶融混合する際に、成形時の剪断力に応じて、この溶融混合物の粘度を更に増粘剤を添加してコントロールしてもよい。増粘剤としては、燐系加工安定剤を用いることができ、例えばトリスフォスファイト(チバガイギー社製、商品名「Irgafos168」)、トリフェニルフォスファイト(住友化学社製、商品名「スミライザーTTP」)などを用いることができる。増粘剤の添加量は、上述の溶融混合物に対して0.02重量%から3.0重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0032】
また、本実施の形態の燃料タンク10の製造方法は特に限定されないが、例えば押し出し機から押し出された溶融樹脂を中空成形用ダイに導入し、通常の中空成形と同様の手法で製造する方法を採用することができる。
【0033】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0034】
(a)試験方法:
(i)燃料含浸率測定方法:
以下の表1に記載された材料組成からなる樹脂容器内にガソリンを入れ、65℃雰囲気下で1200時間放置した後、樹脂容器から試験片を切り出し、重量を測定した。その後、試験片に対して更に80℃雰囲気下で96時間放置し、ガソリンを蒸発させて、比肩片の重量を測定した。その重量減少量により燃料含浸率を算出した。
【0035】
(ii)引張降伏強度:
以下の表1に記載された材料組成からなる樹脂容器から引張試験用の試験片(長さ150mm×幅25mm×厚み6mm程度)を切り出し、10mm/分の速度で引っ張り、荷重が低下し始める降伏点として引張降伏強度を算出した。
【0036】
(iii)燃料透過量測定:
以下の表1に記載された材料組成からなる樹脂容器内にガソリンを入れ、40℃雰囲気下で4週間放置した後、更に8週間重量を測定し。最後の8週間における重量減少から、一日あたりの重量減少量を算出し燃料透過量とした。
【0037】
(b)評価判定基準:
(i)燃料含浸率:
燃料容器の最内層の燃料含浸率を示し、表2において含浸率0.5重量%以下を良好「○」とした。また、含浸率0.5重量%を超えるものは不良「×」とした。
【0038】
(ii)引張降伏強度:
27MPa以下を○とした。
【0039】
(iii)燃料透過量:
燃料透過量は30mg/日以下を○とした。また、30mg/日を超えるものを×とした。
【0040】
(iv)衝撃強度:
衝撃強度は6mから樹脂容器を落下させ亀裂がない場合を○とし、亀裂のあるものを×とした。
【0041】
以下の表1に試験評価した樹脂容器の材料組成を示す。なお、比較例1に示す材料構成の燃料タンク30の多層構造は、図2に示す通りであり、最内層32がHDPEのみからなることを除き、上述の図1に示す実施の形態の燃料タンクと同様の多層構造を有する。そこで、同一構成要素には同一符号を付しその説明を省略する。
【0042】
【表1】
(注1)表1の共重合比率について、実施例1から実施例4では、ナイロン6:ナイロン66の比率であり、実施例5,6ではEVOHにおけるエチレン:ビニルアルコールの比率を示す。
(注2)表1の最内層の母材であるHDPE100重量%に対する燃料含浸バリア性素材および変性PEの添加重量%を示す。
【0043】
以下、表2に、表1の材料組成から樹脂容器(燃料タンク)の試験評価結果を示す。
【表2】
【0044】
以上より、実施例1から実施例6に示した燃料タンク材料は、その強度、燃料透過防止性能を損なうことなく、材料中の燃料含浸率を0.5重量%以下とすることができた。これにより、リサイクルされる樹脂材料の機械的強度の低下はなく、またリサイクル処理時の燃料気化などの問題もなく、更に燃料臭をほとんど感じない程度となることから、燃料タンクの多層構造中の樹脂をリサイクルすることができ、更にはリサイクル用途も拡大させることができる。なお、比較例2のように内面にフッ素加工を行った場合には、例えば燃料タンクの半割体を溶着させることができないため不適当であるとともに、燃料タンク形成後に燃料タンク内にフッ素加工を行う場合には、フッ素ガスにより燃料タンクの素材が侵されるおそれがあり、設計時に制約を受けるが、本発明の場合には、最内層の母材を例えばHDPEとすることにより、例えば半割体の溶着が容易であるため、設計上の制約がほとんどない。
【0045】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、強度を損なうことなく、従来に比べ燃料含浸率を低下させることができ、その結果燃料タンク多層構造内の樹脂層を回収し再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の燃料タンクの部分断面図である。
【図2】従来の燃料タンクの部分断面図である。
【符号の説明】
10 燃料タンク、12 最内層、13 母材、14 燃料含浸バリア性素材、16,20 変性PE層、18 EVOH層、22 リサイクル用樹脂層、24 最外層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製燃料タンクに関し、特に最内層が耐燃料透過性の層からなる樹脂製燃料タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料となる炭化水素類、例えばガソリンを保存するための容器の素材として、軽量化、形状の自由度、容器製造工程の簡略化などの観点から、樹脂系素材の利用が多くの分野で期待されて、特に車両用部品分野では、燃料タンクに樹脂系素材を用いることが検討されている。
【0003】
従来、上述のような燃料タンク用の樹脂系素材として、例えばポリエチレン(特に、高密度ポリエチレン(以下「HDPE」という))が経済性、成形加工性、機械的な強度などの点で広く用いられるようになっている。
【0004】
しかしながら、ポリエチレン製燃料タンクは、貯留されるガソリンを含浸しやすく、そのため、ガソリンの気体がポリエチレン製のタンクの壁から大気に飛散しやすいという欠点を有していた。
【0005】
そこで、上述のガソリン耐透過性を付与するために、ポリエチレン層のタンク内壁にハロゲンガスを吹き込み内壁をハロゲン化したり、又は上記ポリエチレン層とガソリン耐透過性の高いポリアミド系樹脂層やエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」という)層とを多層化したりする方法が提案されている。
【0006】
そこで、特開平7−52333号公報の「燃料用パイプまたはタンク」には、ガソリンに対する耐ストレスクラック性とガソリンバリア性に優れたEVOH樹脂組成物を用い、このEVOH(A)100重量部に対して、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリエステルから選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を1〜50重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層有する多層構造からなり、最内層がHDPEからなる燃料用パイプまたはタンクが提案されている。
【0007】
また、特開平10−157738号公報の「樹脂製燃料容器およびその製造方法」には、ポリエチレンの半割体の内面にポリアミドまたはEVOHを備えたバリア層を備え、更に半割体を相互に突き合わせて溶着接合する樹脂製燃料容器が提案されている。
【0008】
一方、近年のリサイクル運動の高まりから、市場から回収した燃料タンクを構成する素材の再利用の要請がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開平7−52333号公報の燃料用タンクは、ガソリンバリア性のEVOH層を有するものの、燃料と直接接触するタンクの最内層がHDPEであり、このHDPEがガソリン含浸性の高い素材であることから、燃料用タンクの多層構造内のガソリン含浸率は高くなる。このため、燃料用タンクの多層構造の内リサイクル可能な樹脂層も燃料を含浸し、リサイクル可能な樹脂層の機械的物性(例えば強度、弾性など)が低下し、再利用が難しかったり、またリサイクル工程時にガソリンが気化して安全性を確保することが難しいといった問題点があった。更に、燃料臭がとれず室内部品に再利用することも難しい。一方、リサイクル可能なようにガソリンバリア性を向上させるため、EVOH層を厚くすると、EVOH層は弾性率が高く比較的脆いため、タンクの強度がさがるという問題があった。
【0010】
また、特開平10−157738号公報の樹脂製燃料容器は、燃料含浸性の高いポリエチレンからなる半割体の内面に、燃料バリア性の高いポリアミドまたはEVOHのバリア層を形成しているが、このバリア層が薄い場合にはバリア性が下がり、最外層のポリエチレンまで燃料が含浸してしまうという問題があった。一方、燃料バリア性を高めるために、ポリアミドまたはEVOHのバリア層を厚くすると、上述したようにタンク強度が低下するという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料タンクの強度を損なうことなく、燃料バリア性を向上させ、燃料タンクを構成する多層構造中の樹脂層のリサイクルを可能とするリサイクル可能な樹脂製燃料タンクを提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のリサイクル可能な樹脂製燃料タンクは、以下の特徴を有する。
【0013】
(1)リサイクル可能な樹脂層を含む多層構造の樹脂製燃料タンクにおいて、燃料と接触する前記樹脂製燃料タンクの最内層は、ポリエチレンからなる母材と、前記母材中に分散し積層面に略配向する燃料含浸バリア性素材と、を含む。
【0014】
最内層は衝撃強度を有するポリエチレンを母材としているため、タンク強度を損なうおそれがない。一方、最内層のポリエチレンからなる母材中に、タンク多層構造の積層面に略配向するように燃料含浸バリア性素材を分散させているため、最内層内では、燃料含浸バリア性素材が燃料含浸の壁となり、燃料が燃料含浸バリア性素材の壁を迂回しながら最内層のポリエチレン部分に徐々に浸透することとなる。これにより、見掛けの最内層の厚みは同じでも、あたかも最内層の厚みが厚くなったような効果を奏するため、タンク多層構造への燃料含浸率を低下させることができる。従って、タンク多層構造内の樹脂層の燃料含浸率も低下し、樹脂層の樹脂物性の大幅な変化もなく、またリサイクル処理中の燃料の気化もほとんどないことから安全に樹脂をリサイクルできる。
【0015】
(2)上記(1)に記載のリサイクル可能な樹脂製燃料タンクにおいて、更に、前記母材には、前記ポリエチレンと前記燃料含浸バリア性素材とを接着する相溶化剤を含む。
【0016】
ポリエチレンと上記燃料含浸バリア性素材との接着性を高めることにより、より燃料の含浸率を低下させることができ、またタンクの強度を維持することができる。
【0017】
(3)上記(1)又は(2)に記載のリサイクル可能な樹脂製燃料タンクにおいて、前記燃料含浸バリア性素材は、ポリアミド系樹脂又はエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
【0018】
上述のポリアミド系樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、燃料バリア効果の高い樹脂であり、これらをタンク多層構造の積層面に配向させて最内層に分散させることによって、最内層への燃料透過量を少なくすることができ、その結果、最内層から最外層までの多層中の全燃料含浸量を極力低下させることができる。よって、上記多層中の樹脂層のリサイクルが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0020】
実施の形態1.
本実施の形態の樹脂製燃料タンクの多層構造について、図1を用いて説明する。なお、図2には、従来の樹脂製燃料タンクの多層構造の一部断面図が示されている。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の樹脂製燃料タンク10(以下「燃料タンク10」という)は、リサイクル可能な樹脂層22(以下「リサイクル用樹脂層22」という)を含む多層構造を有する。そして、燃料タンク10において、燃料と接触する最内層12は、ポリエチレンからなる母材13と、母材13中に分散し積層面に略配向する燃料含浸バリア性素材14と、を含む。
【0022】
更に詳細に説明すると、図1に示すように、燃料タンク10において、最内層12の上には接着剤として機能する変性ポリエチレン層16(以下「変性PE層16」)が積層され、変性PE層16の上には燃料含浸バリア性の高いバリア層であるEVOH層18が積層され、更にEVOH層18の上には上述した接着剤として機能する変性PE層20が積層され、この変性PE層20の上にはリサイクル用樹脂層22が形成され、更にリサイクル用樹脂層22の上には最外層24が形成されている。
【0023】
上述の最外層24は、ポリエチレンからなり、更に高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましく、HDPEとしては、密度が0.935g/cm3以上のものが好ましく、HDPEのメルトインデックス(MI;190℃、2.16kg荷重)は、耐ドローダウン性、成形性、耐衝撃性等を考慮すると、下限がHLMI(High Load MI;190℃、2.16kg荷重(高粘度樹脂の場合に通常の10倍の荷重でテストする方法))で1g/10分、上限がMIで2g/10分であることが好ましい。
【0024】
また、最内層12中の母材13も、上述同様のHDPEを用いることが好ましい。
【0025】
また、最内層12中に、積層面に対して配向するように層状に分散した薄片状の燃料含浸バリア性素材14としては、ガソリンの含浸率の低い樹脂であれば如何なる樹脂でもよいが、例えばポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、フッ素系樹脂などが好ましく、ポリアミド系樹脂、EVOHがより好ましい。また、ポリアミド系樹脂としては、ω−アミノカルボン酸の重縮合あるいはラクタムの開環重合される酸アミド結合(−CONH−)を有する重合体([−NH(CH2)x−1CO−]n)、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンとアジピン酸等のジカルボン酸とから重合される酸アミド結合(−CONH−)を有する重合体([−NH(CH2)xNHCO(CH2)y−2CO−]n)が挙げられ、x、yの数を用いてナイロンxy或いはナイロンxのようによばれる。本実施の形態におけるポリアミド系樹脂として、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン6とナイロン66とのブレンド物が好ましい。また、ナイロン6とナイロン66とのブレンド比は100:0〜40:60までが好ましく、ナイロン66のブレンド比が上述の範囲を超えて高くなりすぎると、燃料に対する耐透過性が十分ではなくなる。
【0026】
また、最内層12中の燃料含浸バリア性素材14は、母材13を100重量%として0.1重量%から10重量%が好ましく、更に0.1重量%から5重量%がより好ましい。上述の範囲を超えて燃料含浸バリア性素材14を含むと燃料タンクの強度が低下するおそれがある。
【0027】
また、最内層12は、母材13と燃料含浸バリア性素材14とを接着する相溶化剤を含んでもよい。これにより、両者の接着性が促進され、燃料タンク10の強度を維持または向上させることができる。相溶化剤としては、例えば接着機能を有する変性ポリエチレン(変性PE)が好適である。また、変性PEとしては、接着性の付与と相溶化剤としての機能を考慮し、0.1重量%から3.0重量%の変性率のものが好ましい。変性率0.1重量%未満の場合には接着性が不十分となる可能性があり、一方3.0重量%を超えると変性PE自体の強度が低下する。また、最内層12中の変性PEは、母材13を100重量%として0.1重量%から13重量%が好ましく、更に0.1重量%から7重量%がより好ましい。上述の範囲を超えて変性PEを含むと燃料タンクの強度が低下するおそれがある。
【0028】
また、変性PE層16,20についても、上述同様の変性PEを用いることが好ましく、変性PEとしては、接着性の付与と相溶化剤としての機能を考慮し、0.1重量%から3.0重量%の変性率のものが好ましい。上述の範囲外の場合には、最内層12とEVOH層18との接着性およびEVOH層18とリサイクル用樹脂層22との接着性が不十分となり、また燃料タンク10の衝撃強度が低下する。
【0029】
上述の最内層12および変性PE層16,20における、変性PEに用いる不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、エンディック酸(無水ハイミック酸)等のジカルボン酸無水物等が挙げられる。不飽和カルボン酸またはその誘導体として特にジカルボン酸またはその誘導体が好ましい。
【0030】
また、本実施の形態の最内層12において、母材13中で、燃料含浸バリア性素材14と必要に応じて変性PEとに適当な粘度を持たせることにより、最内層12中で、燃料タンク10の多層構造の積層面に配向した燃料含浸バリア性素材14の薄層化を促進しながら、母材13と燃料含浸バリア性素材14との接着力を確保することができる。従って、母材13と母材13に分散される燃料含浸バリア性素材14との粘度比は1:1から1:2の範囲が好ましく、また接着剤として機能する変性PEと分散される燃料含浸バリア性素材14との粘度比は1:0.01から1:0.1の範囲が好ましい。相対的に燃料含浸バリア性素材14の粘度が低すぎる場合には、母材13との相溶過剰になり、燃料含浸バリア性素材14の層が形成できない。一方、燃料含浸バリア性素材14の粘度が高すぎる場合には、成形時、例えばブロー成形時の剪断力では薄層化が十分に進まず、燃料含浸バリア性が低下する。また、相対的に変性PEの粘度が低すぎる場合には、母材13中で過剰に分散してしまい、十分な密着性が得られず、一方、変性PEの粘度が高すぎる場合には、十分に燃料含浸バリア性素材14が分散しなくなる。これらの場合には、最内層12内の十分な接着性が得られず強度が低下するとともに、燃料含浸バリア性も低下する。
【0031】
また、燃料含浸バリア性素材14が配向・分散して薄層化するために、母材13用ペレットと、燃料含浸バリア性素材14用ペレットと、必要に応じて変性PEのペレットとを溶融混合する際に、成形時の剪断力に応じて、この溶融混合物の粘度を更に増粘剤を添加してコントロールしてもよい。増粘剤としては、燐系加工安定剤を用いることができ、例えばトリスフォスファイト(チバガイギー社製、商品名「Irgafos168」)、トリフェニルフォスファイト(住友化学社製、商品名「スミライザーTTP」)などを用いることができる。増粘剤の添加量は、上述の溶融混合物に対して0.02重量%から3.0重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0032】
また、本実施の形態の燃料タンク10の製造方法は特に限定されないが、例えば押し出し機から押し出された溶融樹脂を中空成形用ダイに導入し、通常の中空成形と同様の手法で製造する方法を採用することができる。
【0033】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0034】
(a)試験方法:
(i)燃料含浸率測定方法:
以下の表1に記載された材料組成からなる樹脂容器内にガソリンを入れ、65℃雰囲気下で1200時間放置した後、樹脂容器から試験片を切り出し、重量を測定した。その後、試験片に対して更に80℃雰囲気下で96時間放置し、ガソリンを蒸発させて、比肩片の重量を測定した。その重量減少量により燃料含浸率を算出した。
【0035】
(ii)引張降伏強度:
以下の表1に記載された材料組成からなる樹脂容器から引張試験用の試験片(長さ150mm×幅25mm×厚み6mm程度)を切り出し、10mm/分の速度で引っ張り、荷重が低下し始める降伏点として引張降伏強度を算出した。
【0036】
(iii)燃料透過量測定:
以下の表1に記載された材料組成からなる樹脂容器内にガソリンを入れ、40℃雰囲気下で4週間放置した後、更に8週間重量を測定し。最後の8週間における重量減少から、一日あたりの重量減少量を算出し燃料透過量とした。
【0037】
(b)評価判定基準:
(i)燃料含浸率:
燃料容器の最内層の燃料含浸率を示し、表2において含浸率0.5重量%以下を良好「○」とした。また、含浸率0.5重量%を超えるものは不良「×」とした。
【0038】
(ii)引張降伏強度:
27MPa以下を○とした。
【0039】
(iii)燃料透過量:
燃料透過量は30mg/日以下を○とした。また、30mg/日を超えるものを×とした。
【0040】
(iv)衝撃強度:
衝撃強度は6mから樹脂容器を落下させ亀裂がない場合を○とし、亀裂のあるものを×とした。
【0041】
以下の表1に試験評価した樹脂容器の材料組成を示す。なお、比較例1に示す材料構成の燃料タンク30の多層構造は、図2に示す通りであり、最内層32がHDPEのみからなることを除き、上述の図1に示す実施の形態の燃料タンクと同様の多層構造を有する。そこで、同一構成要素には同一符号を付しその説明を省略する。
【0042】
【表1】
(注1)表1の共重合比率について、実施例1から実施例4では、ナイロン6:ナイロン66の比率であり、実施例5,6ではEVOHにおけるエチレン:ビニルアルコールの比率を示す。
(注2)表1の最内層の母材であるHDPE100重量%に対する燃料含浸バリア性素材および変性PEの添加重量%を示す。
【0043】
以下、表2に、表1の材料組成から樹脂容器(燃料タンク)の試験評価結果を示す。
【表2】
【0044】
以上より、実施例1から実施例6に示した燃料タンク材料は、その強度、燃料透過防止性能を損なうことなく、材料中の燃料含浸率を0.5重量%以下とすることができた。これにより、リサイクルされる樹脂材料の機械的強度の低下はなく、またリサイクル処理時の燃料気化などの問題もなく、更に燃料臭をほとんど感じない程度となることから、燃料タンクの多層構造中の樹脂をリサイクルすることができ、更にはリサイクル用途も拡大させることができる。なお、比較例2のように内面にフッ素加工を行った場合には、例えば燃料タンクの半割体を溶着させることができないため不適当であるとともに、燃料タンク形成後に燃料タンク内にフッ素加工を行う場合には、フッ素ガスにより燃料タンクの素材が侵されるおそれがあり、設計時に制約を受けるが、本発明の場合には、最内層の母材を例えばHDPEとすることにより、例えば半割体の溶着が容易であるため、設計上の制約がほとんどない。
【0045】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、強度を損なうことなく、従来に比べ燃料含浸率を低下させることができ、その結果燃料タンク多層構造内の樹脂層を回収し再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の燃料タンクの部分断面図である。
【図2】従来の燃料タンクの部分断面図である。
【符号の説明】
10 燃料タンク、12 最内層、13 母材、14 燃料含浸バリア性素材、16,20 変性PE層、18 EVOH層、22 リサイクル用樹脂層、24 最外層。
Claims (3)
- リサイクル可能な樹脂層を含む多層構造の樹脂製燃料タンクにおいて、
燃料と接触する前記樹脂製燃料タンクの最内層は、ポリエチレンからなる母材と、前記母材中に分散し積層面に略配向する燃料含浸バリア性素材と、を含むことを特徴とするリサイクル可能な樹脂製燃料タンク。 - 請求項1に記載のリサイクル可能な樹脂製燃料タンクにおいて、
更に、前記母材には、前記ポリエチレンと前記燃料含浸バリア性素材とを接着する相溶化剤を含むことを特徴とするリサイクル可能な樹脂製燃料タンク。 - 請求項1又は請求項2に記載のリサイクル可能な樹脂製燃料タンクにおいて、
前記燃料含浸バリア性素材は、ポリアミド系樹脂又はエチレン−ビニルアルコール共重合体であることを特徴とするリサイクル可能な樹脂製燃料タンク。
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