JP2781295B2 - 写真フイルムパトローネ - Google Patents

写真フイルムパトローネ

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JP2781295B2
JP2781295B2 JP3202516A JP20251691A JP2781295B2 JP 2781295 B2 JP2781295 B2 JP 2781295B2 JP 3202516 A JP3202516 A JP 3202516A JP 20251691 A JP20251691 A JP 20251691A JP 2781295 B2 JP2781295 B2 JP 2781295B2
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  • Photographic Developing Apparatuses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真フイルムをロール状
に収納するパトローネ本体を樹脂製にした写真フイルム
パトローネに関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真フイルムパトローネではスプールに
巻かれた写真フイルムを光密にパトローネ本体に収納す
るため、前記パトローネ本体を複数の部品で構成し、ス
プールを収納させた状態で、複数の部品を組み付けるよ
うにしている。特開昭50−33831号公報や特開昭
57−190948号公報にはパトローネ本体を複数の
樹脂成形部品で構成したものが開示されているが、これ
らのパトローネ本体は樹脂成形部品を超音波溶着や接着
剤で接合している。
【0003】また、実開昭54−29033号公報や特
開昭59−48762号公報で知られるように、写真フ
イルムの感度や撮影可能枚数等の写真フイルム特性を表
すDXコード表示部をパトローネ本体の一部に設け、こ
のDXコードをカメラや写真プリンターで電気的,機械
的に自動読み取りできるようにした写真フイルムパトロ
ーネも公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パトロ
ーネ本体の接合に超音波溶着を行うと、パトローネ本体
に接触しているスプールもこれに溶着されることがあ
り、写真フイルムの送り出しができなくなるおそれがあ
る。接着剤を用いた場合には、接着作業中に不用な部分
にまで接着剤が流れ出したりして、パトローネ本体の表
面を汚すという問題がある。
【0005】また、上述した超音波溶着や接着剤による
接合方法では樹脂成形部品が強固に固着されるため、現
像所でパトローネ本体を分解して撮影済の写真フイルム
を取り出すときに、手間がかかり作業性が悪いという問
題がある。更に、パトローネ本体を分解するときに、収
納した写真フイルムにパトローネ本体の破片で傷をつけ
るという問題が生じる。また、はめ込み嵌合したところ
の上記パトローネ本体の、嵌合部のガタ、ゆるみが生
じ、パトローネ端面からの遮光漏れをおこしやすい。
【0006】さらに、パトローネ本体にDXコード表示
部を設けた従来の写真フイルムパトローネの場合、DX
コード表示のためにパトローネ本体を構成する部品の点
数が増えてコストアップになったり、またパトローネ本
体を構成する基本部品の形態を大幅に変更しなくてはな
らないという欠点があった。
【0007】
【発明の目的】本発明は上記事情に鑑みなされたもの
で、パトローネ本体を簡単に組み立てることができるよ
うにするとともに、写真フイルムの取り出し時には分解
も容易で撮影済の写真フイルムを効率良く取り出せるよ
うにした写真フイルムパトローネを提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、樹脂製のパトローネ本体を構成する2個の
成形部品と、この成形部品に一体に形成され、各成形部
品を互いに連結するとともに、スプール及び写真フイル
ムの取り出し時には、前記連結を解除する係合部とを設
けたものである。
【0009】また、別の発明では樹脂製のパトローネ本
体を構成する2個の成形部品と、この成形部品に一体に
形成され、各成形部品を互いに連結する係合部と、成形
部品の一方に形成され、他方の成形部品に形成した係合
部を変形させる治具を外部から挿入する治具挿入孔とを
設けたものである。
【0010】なお、2個の成形部品から構成されたパト
ローネ本体を別部品で一体に連結する場合にはこの別部
品にDXコードを表示することも可能であるが、部品点
数が増えることから本発明の方が有利である。
【0011】
【作用】上記構成によれば、係合部が互いに係合する
と、成形部品が連結され、パトローネ本体が形成され
る。また、係合部の係合を解除すると、パトローネ本体
は分解されるから、簡単に写真フイルムの取り出しがで
きる
【0012】さらに、一方の成形部品に治具挿入孔を形
成し、この挿入孔から治具を挿入して他方の成形部品を
部分的に変形させて前記相互間の係合を解除できるよう
に構成しておくことによってパトローネ本体の分解が容
易になり、写真フイルムの取り出し作業を効率的に行う
ことが可能となる。
【0013】以下、スプールを回転させることによっ
て、パトローネ本体内に完全に巻き込まれていた写真フ
イルムをパトローネ本体外に送り出すようにした写真フ
イルムパトローネに、本発明を適用して例について、図
面を参照しながら説明する。
【0014】
【実施例】本発明の写真フイルムパトローネを示す図1
において、パトローネ本体2は遮光性のプラスチック例
えばポリスチレン樹脂で形成された一対のケーシング
3,4からなり、内部にスプール5に巻かれた写真フイ
ルム6を収納している。なお、前記ポリスチレン樹脂を
使用する際に、弾力性を考慮すると、耐衝撃性のポリス
チレンを少なくとも5%以上,好ましくは30%含有さ
せることが必要である。パトローネ本体2の外周には、
先端に写真フイルム送出口7を有するポート部8が形成
されている。このポート部8の内部には遮光用のテレン
プ9が固着されており、このテレンプ9は写真フイルム
送出口7から内部に進入する外光を阻止する。
【0015】前記ケーシング3,4の接合部分にはそれ
ぞれ段差10が形成されており、この段差10はパトロ
ーネ本体2の繋ぎ目11から内部に外光が進入するのを
阻止する。パトローネ本体2のそれぞれの側面には、繋
ぎ目11に沿って2個の係合部15が形成されている。
この係合部15は切欠き16と、これに嵌合される切片
17とからなる。切欠き16の中央には図2に示すよう
にケーシング4から突出するボス18が形成されてい
る。また、切片17にはテーパ面20及び係止穴19が
それぞれ形成されており、この係止穴19に前記ボス1
8が嵌合されると、ケーシング3,4は互いに係止され
る。また、前記テーパ面20はケーシング3,4を接合
する初期に、ボス18に摺接して切片17を外側に変形
させ、ボス18が係止穴19に嵌合し易くしている。
【0016】また、パトローネ本体2の外周面には図3
(A)に示すように、ケーシング3,4を固定する係止
部21が繋ぎ目11に沿って設けられている。係止部2
1はケーシング3に形成された開口部22と、ケーシン
グ4に形成された係合爪23とからなり、係合爪23が
図3(B)に示すように開口部22に嵌合したときに、
これがパトローネ本体2の外表面から突出しないよう
に、ケーシング4に切欠き24を形成している。また、
この係合爪23にも前記切片17と同様にテーパ面25
が形成されている。また、確実な遮光とズレ防止のため
に、繋ぎ目11に段差あるいは凹凸の合わせを設けるこ
とも有効である。
【0017】ケーシング3,4の内側には、前記写真フ
イルム6の外周面に当接して、巻きほぐれを防止する一
対のリング状のリブ26,27がそれぞれ形成されてい
る。リブ26,27の一端にはそれぞれ写真フイルム6
の先端をテレンプ9方向に向けてガイドするガイドリブ
26a,27aが形成されている。また、ガイドリブ2
7aのパトローネ本体内部側には、前記写真フイルム6
の先端を写真フイルム6の外周面から剥離する分離爪2
8が形成されている。このため、スプール5を図中時計
方向に回動すると、写真フイルム6の先端は即応して時
計方向に回転させることができる。そして、分離爪28
に当接し、外周面から剥離された写真フイルム6の先端
は前記ガイドリブ26a,27aにより、写真フイルム
通路7からパトローネ本体2外に送り出されることにな
る。
【0018】このように構成された本発明の写真フイル
ムパトローネの組み立てについて説明する。写真フイル
ム6を巻きつけたスプール5を収納させたケーシング4
に、ケーシング3を装着する。係合部15においては、
テーパ面20にボス18が摺接して、切片17を外側に
変形させる。これにより、切片17の先端はボス18を
乗り越え易くなる。そして、ボス18が係止穴19に嵌
合すると、ケーシング3,4は固定される。
【0019】また、係止部21においては、テーパ面2
5がケーシング3に摺接すると、ケーシング3を図3
(B)において、左側に押し曲げる。そして、係合爪2
3は開口部22に嵌入して、ケーシング3,4を固定す
る。このようにして、ケーシング3,4は4個の係合部
15と2個の係止部21とで固定されると、パトローネ
本体2の組み立てが完了する。
【0020】また、現像所において、パトローネ本体2
から撮影済の写真フイルム6を取り出すときには、ドラ
イバー等の工具の先端を切欠き16,24に挿入し、切
片17,ケーシング3の端部を持ち上げるように変形さ
せると、係合部15においてはボス18と係止穴20、
係止部21においては開口部22と係合爪23との係合
が解除される。この解除により、パトローネ本体2がケ
ーシング3,4とに分解されるから、写真フイルム6は
簡単に取り出すことができる。なお、この実施例ではケ
ーシング3,4を係合部15及び係止部21で固定した
が、係合部15または係止部21の一方だけを用いて、
ケーシング3,4を固定することも可能である。
【0021】別の本発明を実施した写真フイルムパトロ
ーネを示す図4において、パトローネ本体30は一対の
ケーシング31,32からなる。これらのケーシング3
1,32の一端にはポート部31a,32aが形成され
ており、このポート部31a,32aの内壁には遮光用
のテレンプ9がそれぞれ固着されており、内部には上述
した写真フイルム通路7が形成される。また、ポート部
31aの上面には一対の係止穴33,34が、ポート部
32aの下面には一対の係止穴(図示省略)が前記係止
穴33,34と同様に形成されている。
【0022】前記ポート部31a,32aには係合枠3
5が図中矢線方向から装着される。なお、係合枠35は
ケーシング31,32が上下方向に分離するのを阻止す
るとともに、ポート部31a,32aの繋ぎ目を覆っ
て、外光の進入を阻止する。また、係合枠35は弾力性
に富んだ樹脂例えばEVA(エチレン酢酸ビニル共重合
樹脂),LDPE(低密度ポリエチレン),HDPE
(高密度ポリエチレン),PP(ポリプロピレン),H
IPS(耐衝撃性ポリスチレン),POM(ポリアセタ
ール)もしくはABS樹脂等で形成され、上部内壁には
ボス36,37が、また下部内壁にはボス38,39が
それぞれ一体に成形されている。
【0023】図5は前記ポート部と反対側で、一対のケ
ーシングを係合する係合部を示すものである。この係合
部はケーシング31に形成されたピン40と、ケーシン
グ32に形成され、前記ピン40を受け入れるピン穴4
1とで構成されている。なお、このケーシング31の接
合部分には遮光用の段差42が形成されている。
【0024】このように形成された写真フイルムパトロ
ーネの組み立てについて説明する。ピン40をピン穴4
1に合わせておき、ケーシング31をケーシング32に
噛み合わせると、パトローネ本体30は図4に示すよう
になる。この状態で、係合枠35をポート部31a,3
2aに矢線方向から装着すると、ボス36,37が係止
穴33,34にそれぞれ嵌合する。なお、ボス38,3
9もポート部32aの図示しない係止穴に嵌合する。こ
のようにして、パトローネ本体30の組み立てが完了す
る。
【0025】また、パトローネ本体30を分解するとき
には、係合枠35を矢線方向と逆に引っ張り、これをパ
トローネ本体30から取り外す。この後、ケーシング3
1を上方に、ケーシング32を下方に開くと、図5に示
すようにピン40はわずかに屈曲しながら穴41から抜
け出し、パトローネ本体30が分解される。これによ
り、スプール5に巻かれた写真フイルム6(図示せず)
はパトローネ本体30から簡単に取り出せることにな
る。
【0026】また、図6に示したように、図4の実施例
で用いた係合枠35に写真フイルム6の種類や写真フイ
ルム感度等の写真フイルム特性を表すDXコード表示4
5を形成しておくことができる。このDXコード表示4
5は凹凸によって表され、カメラに装填したときに、カ
メラ側のDXコード検出用のマイクロスイッチを凹凸の
配列に対応してオン・オフさせることになる。なお、図
示した例では凹部の底面を傾斜させているが、必ずしも
傾斜させる必要はない。図7は別の発明を実施した写真
フイルムパトローネの要部を示すものである。ポート部
に形成された係合部を示す図7(A)において、パトロ
ーネ本体50は一対のケーシング51,52とで構成さ
れている。ケーシング51には突起53が形成されてお
り、この突起53はケーシング52に形成された係止爪
54と噛み合い、上下ケーシング51,52を固定す
る。前記突起53には図7(B)に示すように中央部に
治具挿入用の穴55が形成されている。
【0027】このように形成された写真フイルムパトロ
ーネの作用について説明する。上下のケーシング51,
52は突起53と係止爪54との係合により、固定さ
れ、パトローネ本体50を形成する。また、パトローネ
本体50を分解するときには、穴55に治具例えば千枚
通しを挿入して、係止爪54を押圧すると、これと突起
53との係合が解除される。これにより、パトローネ本
体50は上下ケーシング51,52に分解される。
【0028】図8及び図9に示した実施例では、パトロ
ーネ本体60が2個のケーシング61,62と、その両
側面に嵌合される側板63,64とから構成されてい
る。図8に示したように、ケーシング61,62の中に
は写真フイルム6(図示せず)を巻きつけたスプール6
5が回転自在に収納され、スプール65の一端はケーシ
ング61,62の側面から突出している。ケーシング6
1,62の合わせ目66は、図1に段差10で示したよ
うに互いに重なり合う構造になっており、この合わせ目
66からパトローネ本体60内に光が入り込まないよう
になっている。
【0029】ケーシング61,62の側面には、凹部6
1a,62aと、スプール65の端部を包み込むように
突出したスリーブ61b,62bが形成されている。ケ
ーシング62側の凹部62a内にはピン67が設けられ
ている。また、スリーブ61b,62bの表面には、先
端側が斜面になった突起61c,62cが一体に形成さ
れ、ケーシング61,62を合わせたときにこれらの突
起61c,62cはリング状に連なる。側板63には前
記スリーブ61b,62bが貫通する穴63aが形成さ
れている。図9に示すように、側板63の内側には前記
穴63を取り囲むように爪68が設けられ、また前記ピ
ン67が入る嵌合穴69が設けられている。さらに側板
63の表面の一部には、図6の実施例と同様に、凹凸の
配列によるDXコード表示部70が設けられている。な
お、他方の側板64もDXコード表示部70が省略され
ている以外は側板63と同様の構造になっている。
【0030】上記構成によれば、写真フイルム6を巻き
つけたスプール65を包み込むようにケーシング61,
62を合わせた後、その側面に側板63を圧着すると、
図9に示したように、スリーブ61b,62bに設けた
突起61c,62cに対して側板63の爪68が係合
し、側板63はケーシング61,62と一体に連結され
る。同様に他方の側板64を嵌めることによって写真フ
イルムパトローネの組み立てが完了する。なお、ピン6
7と嵌合穴69との係合により側板63の位置決めがな
される。この実施例においても、写真フイルムパトロー
ネの組み立てに超音波溶着処理や接着剤による接合処理
が不要になり、組み立てが容易になる。また現像所で
は、側板63,64を取り外すことによって、スプール
65ごと簡単に写真フイルム6を取り出すことができ
る。
【0031】図10は、2分割のケーシング71,72
をU字状の連結部品73,74で一体に連結する実施例
を示す。ケーシング71,72には連結部品73,74
が嵌まり込む溝71a,72aが形成されている。連結
部品73,74は弾性のある樹脂で成形されており、前
記溝71a,72aに連結部品73,74を嵌めること
によってケーシング71,72が一体に連結される。な
お、一方の連結部品73にはDXコード表示部75が設
けられている。
【0032】図11に示した実施例は、ケーシング7
7,78を導電性金属板で作られた連結部品79で一体
に連結してある。この連結部品79の表面にはDXコー
ド表示部80が設けられている。このDXコード表示部
80は、連結部品79の表面にDXコードに対応するパ
ターンで絶縁層を印刷したもので、カメラ側の接片によ
り導電パターンもしくは絶縁パターンを検出することに
よってDXコードの識別ができる。なお、連結部品79
を絶縁性樹脂にし、その表面に導電性材料による印刷を
施してDXコード表示部を形成することも可能である。
【0033】上記の図10,図11の実施例において
も、連結部品73,74あるいは連結部品79の着脱に
よってケーシング71,72、ケーシング77,78を
簡単に組み立て,分解することができ、またDXコード
表示についてもほとんどコストをかけることなく付加す
ることが可能となる。
【0034】以上、本発明の写真フイルムパトローネに
ついて、その基本的な構造を説明してきたが、これらの
実施例におけるパトローネ本体及び又はスプール用樹脂
の組成としては、遮光性物質,例えばカーボンブラック
等の黒色顔料又は黒色染料,金属粉末,アルミニウムペ
ースト等を含むポリスチレン樹脂(ゴム入ハイインパク
トポリスチレン樹脂も含む),ABS樹脂,ポリオレフ
ィン樹脂(高密度ポリエチレン樹脂,ホモポリプロピレ
ン樹脂,プロピレン・αオレフィンランダム共重合体樹
脂,プロピレン・αオレフィンブロック共重合体樹脂
等)等の熱可塑性樹脂が射出成形が可能であり、安価な
ので好ましい。
【0035】特に、ハイインパクトポリスチレン樹脂と
各種ポリプロピレン樹脂(ホモポリプロピレン樹脂,プ
ロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂,プロピレン
・エチレンブロック共重合体樹脂),各種ポリプロピレ
ン樹脂及び又はエチレン共重合体樹脂及び又はゴムの2
種以上のブレンド樹脂を主成分とする樹脂に上記遮光性
物質を少なくとも含む熱可塑性樹脂が好ましい。スプー
ルを構成する2つの軸の樹脂は同一でも異なっていても
よい。
【0036】以上パトローネ本体及び、又はスプール用
樹脂の組成として好ましいものについて記載したが、本
発明は射出成形が可能な熱可塑性樹脂であれば、特に限
定されるものではなく、あらゆる樹脂を用いることがで
きる。また、各種機能付与,成形性改良,樹脂劣化防止
等の目的で各種の添加剤を加えることもできる。
【0037】例えば、導電性物質を静電気による故障防
止のために添加することが好ましい。この導電性物質の
代表例としては、非イオン界面活性剤(代表的成分ポリ
オキシエチレングリコール類),アニオン界面活性剤
(代表的成分ポリオキシエチレングリコール類),陽イ
オン界面活性剤(代表的成分第4級アンモニウム塩),
両面界面活性剤,アルキルアミン誘導体,脂肪酸誘導
体,各種滑剤,カーボンブラック,グラファイト,金属
表面被覆顔料,金属粉末,金属フレーク,炭素繊維,金
属繊維,ウィスカー(チタン酸カリウム,窒化アルミ
ナ,アルミナ)がある。
【0038】前記非イオン界面活性剤の代表例として
は、例えばポリエチレングリコール樹脂酸エステル,ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキ
シエチレン脂肪酸アルコールエーテル,ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル,ポリオキシエチレング
リセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン脂肪酸ア
ミン,ソルビタンモノ脂肪酸エステル,脂肪酸ペンタエ
リスリット,脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加
物,脂肪酸のエチレンオキサイド付加物,脂肪酸アミノ
又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物,アルキ
ルフェノールのエチレンオキサイド付加物,アルキルナ
フトールのエチレンオキサイド付加物,多価アルコール
の部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物,
その他特公昭63−26697号公報120頁記載の各
種非イオン帯電防止剤等がある。
【0039】前記アニオン界面活性剤の代表例として
は、例えばリシノレイン酸硫酸エステルソーダ塩,各種
脂肪酸金属塩,リシノレイン酸エステル硫酸エステルソ
ーダ塩,硫酸化オレイン酸エチルアニリン,オレフィン
の硫酸エステル塩類,オレイルアルコール硫酸エステル
ソーダ塩,アルキル硫酸エステル塩,脂肪酸エチルスル
フォン酸塩,アルキルスルフォン酸塩,アルキルナフタ
レンスルフォン酸塩,アルキルベンゼンスルフォン酸
塩,コハク酸エステルスルフォン酸塩,リン酸エステル
塩等がある。
【0040】前記陽イオン界面活性剤の代表例として
は、例えば第1級アミン塩,第3級アミン塩,第4級ア
ンモニウム塩,ピリジン誘導体等がある。前記両面性界
面活性剤の代表例としては、カルボン酸誘導体,イミダ
ゾリン誘導体,ペタイン誘導体等がある。以上のような
帯電防止剤は、0.01〜3.0重量%添加されるのが
好ましい。
【0041】また、パトローネ本体とスプールの遮光性
を確保するために、遮光性物質を添加する必要がある。
この遮光性物質には無機化合物が用いられ、この無機化
合物の代表例としては、以下に示すようなものがある。 (1)酸化物:シリカ,ケイ藻土,アルミナ,酸化チタ
ン,酸化鉄,酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アンチ
モン,バリウムフェライト,ストロンチウムフェライ
ト,酸化ベリリウム,軽石,軽石バルーン,アルミナ繊
維等。 (2)水酸化物:水酸化アルミニウム,水酸化マグネシ
ウム,塩基性炭酸マグネシウム等。 (3)炭酸塩:炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,ド
ロマイト,ドーンナイト等。 (4)(亜)硫酸塩:硫酸カルシウム,硫酸バリウム,
硫酸アンモニウム,亜硫酸カルシウム等。 (5)ケイ酸塩:タルク,クレー,マイカ,アスベス
ト,ガラス繊維,ガラスバルーン,ガラスビーズ,ケイ
酸カルシウム,モンモリロナイト,ベントナイト等。 (6)炭素:カーボンブラック,グラファイト,炭素繊
維,炭素中空球等。 (7)その他:鉄粉,銅粉,鉛粉,アルミニウム粉,硫
化モリブデン,ポロン繊維,炭化ケイ素繊維,黄銅繊
維,チタン酸カリウム,チタン酸ジルコン酸鉛,ホウ酸
亜鉛,メタホウ酸バリウム,ホウ酸カルシウム,ホウ酸
ナトリウム,アルミニウムペースト、タルク等。
【0042】なお、特に写真用写真フイルムに悪影響を
与えることが少なく、遮光能力が大きく、安価である点
で各種カーボンブラックが好ましい。カーボンブラック
の原料による分類例をあげると、ガスブラック,ファー
ネスブラック,チャンネルブラック,アントラセンブラ
ック,アセチレンブラック,ケッチェンカーボンブラッ
ク,サーマルブラック,ランプブラック,油煙,松煙,
アニマルブラック,ベジタブルブラック等がある。
【0043】本発明では遮光性,コスト,物性向上の目
的ではファーネスブラックが望ましく、高価ではある
が、帯電防止効果を有する遮光性物質としてはアセチレ
ンカーボンブラック,変性副性カーボンブラックである
ケッチェンカーボンブラックが望ましい。必要により前
者と後者を必要特性に従ってミックスすることも望まし
い。遮光性物質をポリエチレン系ポリマーに配合する形
態は上記のように種々あるが、マスターバッチ法がコス
ト,作業場の汚染防止等の点で望ましい。
【0044】また、パトローネ本体及び又はスプール用
樹脂組成には滑剤を、摩擦係数を小さくし、成形性の改
良,静電気防止等のために、0.01〜5.0重量%添
加するのが好ましい。特に滑性効果の大きく、ブリード
アウトしやすい脂肪酸アミド系滑剤の場合は、0.01
〜1.0重量%添加するのが好ましい。
【0045】写真フイルムに悪影響を与えない市販の代
表的滑剤名と製造メーカー名を以下に記載する。 (1)シリコーン系滑剤:各種グレードのジメチルポリ
シロキサン及びその変性物(信越シリコーン,東レシリ
コーン)等。 (2)オレイン酸アミド滑剤:アーモスリップCP(ラ
イオン・アクゾ),ニュートロン(日本精化),ニュー
トロンE−18(日本精化),アマイドO(日東化
学),アルフロE−10(日本油脂),ダイヤミッドO
−200(日本化成),ダイヤミッドG−200(日本
化成)等。 (3)エルカ酸アミド系滑剤:アルフローP−10(日
本油脂)等。 (4)ステアリン酸アミド系滑剤:アルフローS−10
(日本油脂),ニュートロン2(日本精化),ダイヤミ
ッド200ビス(日本化成)等。 (5)ビス脂肪酸アミド系滑剤:ビスアマイド(日本化
成),ダイヤミッド200ビス(日本化成),アーモワ
ックスEBS(ライオン・アクゾ)等。 (6)アルキルアミン系滑剤:エレクトロストリッパー
TS−2(花王石鹸)等。 (7)炭化水素系滑剤:流動パラフィン,天然パラフィ
ン,マイクロワックス,合成パラフィン,ポリエチレン
ワックス,ポリプロピレンワックス,塩素化炭化水素,
フルオロカルボン等。 (8)脂肪酸系滑剤:高級脂肪酸(C12以上が好まし
い),オキシ脂肪酸等。 (9)エステル系滑剤:脂肪酸の低級アルコールエステ
ル,脂肪酸の多価アルコールエステル,脂肪酸のポリグ
リコールエステル,脂肪酸の脂肪アルコールエステル
等。 (10)アルコール系滑剤:多価アルコール,ポリグリコ
ール,ポリグリセロール等。 (11)金属石鹸:ラウリン酸,ステアリン酸,リシノー
ル酸,ナフテン酸,オレイン酸等の高級脂肪酸とLi,
Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Al,Sn,P
h等の金属との化合物等。
【0046】また、パトローネ本体及びスプール用樹脂
組成物に必要により添加される添加剤とその代表例を以
下に記載するが、本発明はこれに限定されるものではな
く、公知のあらゆるものの中から選択することができ
る。 (1)可塑剤:フタル酸エステル,グリコールエステ
ル,脂肪酸エステル,リン酸エステル等。 (2)安定剤:鉛系,カドミウム系,亜鉛系,アルカリ
土類金属系,有機スズ系等。 (3)難燃剤:燐酸エステル,ハロゲン化燐酸エステ
ル,ハロゲン化物,無機物,含燐ポリオール等。 (4)充填剤:アルミナ,カオリン,クレー,炭酸カル
シウム,マイカ,タルク,酸化チタン,シリカ等。 (5)補強剤:ガラスロービング,金属繊維,ガラス繊
維,ガラスミドルファイバー,炭素繊維等。 (6)発泡剤:無機発泡剤(炭酸アンモニア,重炭酸ソ
ーダ),有機発泡剤(ニトロリ系,アゾ系)等。 (7)加硫剤:加硫促進剤,促進助剤等。 (8)劣化防止剤:紫外線吸収剤,金属不活性化剤,過
酸化物分解剤等。 (9)カップリング剤:シラン系,チタネート系,クロ
ム系,アルミニウム系等。 (10)各種の熱可塑性樹脂,ゴム等。 (11)造核剤:有機造核剤(ジベンジリデンソルピトー
ル化合物等)、無機造核剤(炭酸カルシウム等)。
【0047】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば樹脂製のパトローネ本体を構成する2個の成形部
品と、この成形部品に一体に形成され、各成形部品を互
いに連結するとともに、スプール及び写真フイルムの取
り出し時には、前記連結を解除する係合部とを設けたか
ら、係合部を互いに係合させるだけで、パトローネ本体
を形成することができる。また、係合部の係合を解除す
ると、パトローネ本体が分解でき、写真フイルムを簡単
に取り出すことができる。さらに、一方の成形部品に治
具挿入孔を形成し、この挿入孔から治具を挿入して他方
の成形部品の一部を変形させ、これにより前記係合部の
係合を解除することができるように構成しておくことに
よって、パトローネ本体の分解がより簡単になり、撮影
済写真フイルムの取り出し作業がより効率的になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いた写真フイルムパトローネの外観
図である。
【図2】図1のA−A線部分断面図である。
【図3】同図(A)は図1に示した写真フイルムパトロ
ーネの部分背面図、同図(B)は同図(A)のB−B断
面図である。
【図4】本発明の他の例を用いた写真フイルムパトロー
ネの分解斜視図である。
【図5】図4の写真フイルムパトローネの要部破断斜視
図である。
【図6】図4に示した係合枠の他の例を示す斜視図であ
る。
【図7】本発明のさらに他の例を用いた写真フイルムパ
トローネのポート部を示し、同図(B)は要部側面図、
同図(A)は同図(B)のC−C断面図である。
【図8】本発明のさらに他の例を用いた写真フイルムパ
トローネの分解図である。
【図9】図8に示した写真フイルムパトローネの要部断
面図である。
【図10】本発明のさらに他の例を用いた写真フイルム
パトローネの分解図である。
【図11】本発明のさらに他の例を用いた写真フイルム
パトローネの分解図である。
【符号の説明】
2 パトローネ本体 3 ケーシング 4 ケーシング 5 スプール 6 写真フイルム 8 ポート部 15 係合部 21 係止部 35 係合枠 40 ピン 41 ピン穴 45 DXコード表示部 55 穴 63 側板 70 DXコード表示部 73 連結部品 75 DXコード表示部 79 連結部品 80 DXコード表示部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−312539(JP,A) 実開 平3−54936(JP,U) 実開 昭63−11634(JP,U) 実開 昭58−172941(JP,U) 実公 昭36−24752(JP,Y1) 実公 昭36−24751(JP,Y1) 実公 昭37−4453(JP,Y1) 実公 昭44−18227(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂成形品からなるパトローネ本体と、
    このパトローネ本体に収納されたスプール及びこのスプ
    ールに巻きつけられた写真フイルムとからなる写真フイ
    ルムパトローネにおいて、前記パトローネ本体は、相互
    の係合部として一方に係止用の突起、他方に係止孔がそ
    れぞれ一体に形成された2個の成形部品から構成され、
    前記突起と係止孔とを相対的な弾性変形のもとで嵌合さ
    せることによって前記2個の成形部品を一体に連結する
    とともに、スプール及び写真フイルムの取り出し時に
    は、前記係合部相互間の嵌合の解除によりパトローネ本
    体が分解されるようにしたことを特徴とする写真フイル
    ムパトローネ。
  2. 【請求項2】 前記成形部品の一方に治具挿入孔を形成
    し、パトローネ本体の分解時には前記治具挿入孔から治
    具を挿入して他方の成形部品の一部を弾性変形させるこ
    とによって、前記相互の係合部の嵌合が解除されること
    を特徴とする請求項1記載の写真フイルムパトーネ。
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