JP2778666B2 - 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法

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JP2778666B2
JP2778666B2 JP8094141A JP9414196A JP2778666B2 JP 2778666 B2 JP2778666 B2 JP 2778666B2 JP 8094141 A JP8094141 A JP 8094141A JP 9414196 A JP9414196 A JP 9414196A JP 2778666 B2 JP2778666 B2 JP 2778666B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷等
の支持体として使用される印刷版用アルミニウム合金板
に関し、特に短時間の電解粗面化処理で、均一な電解粗
面化面を形成することができる印刷版用アルミニウム合
金板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より一般にオフセット印刷において
は、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、総称し
てアルミニウムという)板が支持体として使用されてい
る。この印刷版用アルミニウム板は、感光膜に対する密
着性及び非画像部の保水性を付与するために、アルミニ
ウム板の表面に粗面化処理を施して得られたものであ
る。この粗面化処理方法として、従来から、ボール研磨
法及びブラシ研磨法等の機械的処理法が使用されている
が、最近は、塩酸若しくは塩酸を主体とする電解液又は
硝酸を主体とする電解液を使用してアルミニウム板表面
を電気化学的に粗面化する電解粗面化処理法、更に前述
の機械的処理法とこの電解粗面化処理法とを組み合わせ
た処理方法が主に使用されるようになってきている。こ
れは、電解粗面化処理法によって得られた粗面板が製版
に適しており、また印刷性能も優れているからであり、
更に電解粗面化処理法では、アルミニウム合金板をコイ
ル状にして連続処理する場合に適しているからである。
【0003】前述のようにして、粗面化されるアルミニ
ウム合金板には、その粗面化処理によって均一な凹凸
(ピット)が形成されることが要求される。均一な凹凸
が形成された印刷版用アルミニウム合金板においては、
感光膜との密着性及び保水性が向上すると共に、優れた
画像鮮明性及び耐刷性を得ることができる。また、最近
では粗面化処理コストを低減させるため、より短時間又
は低通電量で均一な凹凸を形成することができる材料の
開発が強く求められている。
【0004】このような粗面均一性が優れたアルミニウ
ム合金板として、Fe:0.05乃至0.5重量%、M
g:0.1乃至0.9重量%、Si:0.2重量%以下
及びCu:0.05重量%以下を含有し、更にZr、V
及びNiからなる群から選択された1種以上の元素を
0.01乃至0.3重量%含有し、残部がAl及び不可
避的不純物からなるアルミニウム合金板が提案されてい
る(特開昭62−230946号公報)。
【0005】また、強度及びピットの均一性が良好なア
ルミニウム合金板として、Mg:0.30乃至3重量
%、Fe:0.15乃至0.50重量%、Ni:0.0
05乃至0.30重量%及びTi:0.01乃至0.1
0重量%を含有すると共に、Si、Cu及びMnを、夫
々、0.20重量%以下に規制し、残部がAl及び各元
素の含有量が、夫々、0.10重量%以下の不可避的不
純物からなるアルミニウム合金板が提案されている(特
開昭63−30294号公報)。
【0006】更に、Fe:0.1乃至0.5重量%、S
i:0.03乃至0.30重量%、Cu:0.001乃
至0.03重量%、Ni:0.001乃至0.03重量
%、Ti:0.002乃至0.05重量%及びGa:
0.005乃至0.020重量%を含有し、更にGa及
びTiの合計含有量が0.010乃至0.050重量%
であるアルミニウム合金板が提案されている(特開平3
−177528号公報)。このアルミニウム合金板にお
いては、筋状の粗面化ムラであるストリーク(ストリー
クスともいう。以下、ストリークに統一する)及び不規
則な画質ムラを改善すると共に粗面が均一であるため、
非画線部の汚れが防止されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近時、
コスト低減のために、電解処理速度の向上が要求されて
おり、短時間の電解粗面化処理で均一なピットが形成さ
れるアルミニウム板が要望されている。即ち、電解粗面
化処理時間が短く、形成されるピットが浅い場合であっ
ても、短時間で均一にエッチングされ、アルミニウム板
に未エッチング部(アルミニウム板表面のエッチングさ
れていない部分)が発生しないことが要望されている。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、短時間の電解粗面化処理であっても、粗面
化ピットが均一に形成される印刷版用アルミニウム合金
板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の印刷
版用アルミニウム合金板は、Fe:0.20乃至0.6
重量%、Si:0.03乃至0.15重量%、Ti:
0.005乃至0.05重量%、Ni:0.005乃至
0.20重量%、Ga:0.005乃至0.05重量%
及びV:0.005乃至0.020重量%を含有し、残
部がAl及び不可避的不純物からなる印刷版用アルミニ
ウム合金板であって、Ti、Ga及びVの含有量(重量
%)を、夫々、[Ti]、[Ga]及び[V]とする
と、1≦([Ti]+[Ga])/[V]≦15を満た
すことを特徴とする。
【0010】前記Ti含有量は0.010重量%以上で
あることが好ましい。
【0011】本発明に係る第2の印刷版用アルミニウム
合金板は、Fe:0.20乃至0.6重量%、Si:
0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃至
0.05重量%、Ni:0.005乃至0.20重量
%、B:1乃至50重量ppm、Ga:0.005乃至
0.05重量%及びV:0.005乃至0.020重量
%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる印
刷版用アルミニウム合金板であって、Ti、Ga及びV
の含有量(重量%)を、夫々、[Ti]、[Ga]及び
[V]とすると、1≦([Ti]+[Ga])/[V]
≦15を満たすことを特徴とする。
【0012】本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板
の製造方法は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
組成を有するアルミニウム合金鋳塊に、500乃至63
0℃の温度で均質化処理を施し、次いで開始温度を40
0乃至450℃として熱間圧延を施すことを特徴とす
る。
【0013】前記熱間圧延工程の後に、冷間圧延工程及
び中間焼鈍工程を有することが好ましい。また、レベラ
ー矯正工程を有してもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、短時間で電解粗
面化処理を実施する場合であっても、均一な粗面化ピッ
トが形成されるアルミニウム合金板を得るために鋭意研
究した結果、以下の事実を見出した。即ち、アルミニウ
ム合金板が含有する合金元素のうち、従来より添加され
ているFe及びSiの含有量を管理することに加え、適
量のNi及びTiを添加し、また、従来、不純物とされ
ていたGa及びVの含有量を管理することを見出した。
特に、Ti、Ga及びVの各含有量を管理することに加
え、これらの含有量を所定の式に従って相互に管理する
ことが重要である。また、必要に応じてBを添加するこ
とにより、アルミニウム合金板が更に一層均一にエッチ
ングされることも究明した。このように各元素の含有量
を管理することにより、短時間の電解粗面化時間であっ
ても均一性が良好な粗面化ピットを得ることができる。
【0015】先ず、請求項1に係る印刷版用アルミニウ
ム合金板の組成限定理由について説明する。
【0016】Fe(鉄):0.20乃至0.6重量% Feは電解粗面化面に均一なピットを形成する作用を有
する。Feはアルミニウム合金中で他の元素と結びつ
き、Al−Fe系の共晶化合物を形成する元素である。
この共晶化合物は、再結晶粒を微細化する効果を有する
と共に、均一な電解粗面を形成する効果がある。Fe含
有量が0.20重量%未満では、電解粗面化ピットの反
応起点数が不足し、未エッチング部を生じる。一方、F
e含有量が0.6重量%を超えると、粗大化合物の形成
により電解粗面化面が不均一になる。従って、Fe含有
量は0.20乃至0.6重量%とする。
【0017】Si(珪素):0.03乃至0.15重量
Siは、Al−Fe−Si系金属間化合物を形成し、熱
間圧延における各パス間での再結晶の核として作用する
ため、熱間圧延時の再結晶粒を微細化する効果を有す
る。Si含有量が0.03重量%未満では、この効果が
少なく、印刷版支持体となった後のストリーク評価が劣
る。一方、Si含有量が0.15重量%を超えると、粗
大化合物の形成により電解粗面化面が不均一となる。従
って、Si含有量は0.03乃至0.15重量%とす
る。
【0018】Ni(ニッケル):0.005乃至0.2
0重量% Niは電解粗面を均一化する作用を有する。NiはFe
と同様にアルミニウム合金中で他の元素と結合し、Al
−Ni系共晶系化合物を形成しやすい元素である。ま
た、電気化学的にNiはFeにより貴であるため、均一
な独立ピットを形成しやすい。このため、Niを添加す
ることにより、短時間の電解粗面化処理で均一な粗面が
得られる。
【0019】Ni含有量が0.005重量%未満では、
電解粗面に未エッチング部が生じる。一方、Ni含有量
が0.20重量%を超えると、粗大化合物が形成され、
電解粗面が不均一となる。従って、Ni含有量は、0.
005乃至0.20重量%とする。
【0020】Ti(チタン):0.005乃至0.05
重量%、好ましくは0.010重量%以上 Ti−Bの母合金は、鋳塊組織を微細化して結晶粒を微
細化する作用を有する。Ti含有量が、0.005重量
%未満では、この結晶粒微細化が不十分である。また、
Tiには、この微細化効果に加え、上述の他の成分と同
様に、電解粗面を均一にする効果がある。この効果を十
分に得るためには、Ti含有量が0.010重量%以上
であることが好ましい。Ti含有量が0.010重量%
未満では、エッチングが十分に行き亘らず、未エッチン
グ部が残存しやすい。一方、Ti含有量が0.05重量
%を超えると、粗大化合物の形成により、不均一な電解
粗面が形成される。従って、Ti含有量は0.005乃
至0.05重量%とし、好ましくは、0.010重量%
以上とする。
【0021】Ga(ガリウム):0.005乃至0.0
5重量% Gaは添加することにより鋳塊を微細化する効果があ
る。Ga含有量が0.005重量%未満では、この効果
を十分に得ることができない。一方、Ga含有量が0.
05重量%を超えると、電解粗面化面が歪んで不均一と
なる。従って、Ga含有量は、0.005乃至0.05
重量%とする。
【0022】V(バナジウム):0.005乃至0.0
20重量% Vは、上述の他の成分と同様に、電解粗面を均一にする
効果がある。V含有量が0.005未満では、この効果
が不十分であり、また電解エッチング性が低下して、未
エッチング部が生じる。一方、V含有量が0.020重
量%を超えると、Ti−B母合金等による鋳塊組織の微
細化を阻害してしまう。従って、V含有量は、0.00
5乃至0.020重量%とする。
【0023】Ti、Ga及びVの含有量:1≦([T
i]+[Ga])/[V]≦15 上述のようにTi、Ga及びVは、結晶粒微細化及び電
解粗面の均一性に影響を及ぼすため、個々の含有量を管
理する必要がある。具体的には、Ti、Ga及びVの含
有量(重量%)を、夫々、[Ti]、[Ga]及び
[V]とすると、下記数式1を満たす必要がある。
【0024】
【数1】1≦([Ti]+[Ga])/[V]≦15
【0025】各元素の含有量を上記数式1に従って管理
することにより、結晶粒を微細化しつつ、電解粗面を均
一なものとすることができる。([Ti]+[Ga])
/[V]が1未満では、鋳塊組織を十分に微細化するこ
とができない。一方、([Ti]+[Ga])/[V]
が15を超えると、Ti及びGaに起因して粗大化合物
が形成され、電解粗面が不均一となる。従って、[T
i]、[Ga]及び[V]は1≦([Ti]+[G
a])/[V]≦15を満たすものとする。
【0026】請求項3に係る印刷版用アルミニウム合金
板では、上述の各元素に加え、Bを含有する。
【0027】B(ホウ素):1乃至50重量ppm 上述のようにTi−B母合金は結晶粒微細化剤として作
用する。この結晶粒微細化作用は、固溶Tiが減少して
Ti−B粒子が増加することによって、微細化核が増加
することに起因する。本願発明者等は、この効果に加え
て、Ti−B粒子数の増加は、電解粗面を均一化する効
果があることを見出した。
【0028】B含有量が1重量ppm未満では、電解不
足によってエッチングピットが不均一となりやすい。一
方、B含有量が50重量ppmを超えると、粗大化合物
が形成され、この粗大化合物が筋状の深いピットを形成
するため、電解粗面化面が不均一となる。従って、Bを
含有させる場合は、その含有量を1乃至50重量ppm
とする。
【0029】なお、いずれの印刷版用アルミニウム合金
板においても、不可避的不純物として、Mn、Zn、C
r及びMg等が考えられ、夫々、0.02重量%以下で
あれば、本発明の効果に悪影響を与えない。
【0030】本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板
の製造方法においては、上述の組成を有するアルミニウ
ム合金鋳塊に500乃至630℃の温度で均質化処理を
施した後、400乃至450℃の開始温度で熱間圧延を
施し、印刷版用アルミニウム合金板を得る。このように
して得られた印刷版用アルミニウム合金板に電解粗面化
処理を施した場合は、未エッチング部が少ないと共に、
ピットの大きさが均一なものとなる。
【0031】印刷版用アルミニウム合金板の製造方法に
おける均質化処理温度及び熱間圧延開始温度の数値限定
理由について説明する。
【0032】均質化処理温度:500乃至630℃ 均質化処理温度が500℃未満では、アルミニウム合金
鋳塊の均質化が不十分となるため、得られたアルミニウ
ム合金板に電解粗面化処理を施した場合に、電解粗面化
面が不均一となる。一方、均質化処理温度が630℃を
超えると、結晶粒径が粗大となるため、マクロ組織が粗
大となって、筋状の粗大化ムラであるストリークが発生
する。従って、均質化処理温度は500乃至630℃と
する。
【0033】熱間圧延開始温度:400乃至450℃ 熱間圧延開始温度を400℃未満とした場合は、組織が
不均一となり、得られたアルミニウム合金板の電解粗面
化面が不均一となる。一方、熱間圧延開始温度が450
℃を超えると、熱間圧延の各パス間で結晶が成長して、
ストリークが発生する。従って、熱間圧延開始温度は4
00乃至450℃とする。
【0034】なお、熱間圧延処理は、上述の均質化処理
後、アルミニウム合金鋳塊を400乃至450℃の温度
まで冷却した後に開始してもよく、また上述の均質化処
理終了後、一旦温度が低下したアルミニウム合金鋳塊
を、400乃至450℃の温度まで、再度加熱した後に
開始してもよい。
【0035】熱間圧延終了後、得られたアルミニウム合
金板に、1又は複数回の冷間圧延を、必要に応じて中間
焼鈍しつつ施して、所定の板厚の印刷版用アルミニウム
合金板を得る。この場合に、レベラー矯正工程を設けて
もよい。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その特許請
求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先ず、
請求項1に係る印刷版用アルミニウム合金板の実施例
(第1実施例)について説明する。
【0037】第1実施例 下記表1に示す化学組成を有する各アルミニウム合金の
鋳塊(実施例1〜3及び比較例1〜14)を、面削して
厚さを480mmとし、610℃の温度で4時間の均質
化処理を施し、次いで開始温度を410℃に設定して熱
間圧延し、更に冷間圧延、中間焼鈍及び冷間圧延を順次
施して、板厚が0.3mmのアルミニウム合金板を得
た。
【0038】
【表1】
【0039】次に、上述のようにして製造した各アルミ
ニウム合金板に、下記表2に示す処理条件1又は2にて
脱脂及び中和洗浄を施した後、交流電解粗面化処理を施
し、更に電解により形成された酸化物等を除去するた
め、デスマット処理を施した。このデスマット処理の終
了後、各アルミニウム合金板を水洗及び乾燥させ、一定
の大きさを切り取って、これを切り板とした。なお、表
2中の1dm2は0.01m2である。
【0040】
【表2】
【0041】一連の粗面化処理を終えた各アルミニウム
合金板の切り板を、走査電子顕微鏡(SEM)を使用し
て、350倍の倍率で表面観察し、視野の面積が0.0
2mm2となるように写真を撮影した。得られた写真か
ら、下記数式2より未エッチング率を算出した。
【0042】
【数2】未エッチング率(%)=粗面化されていない部
分の面積/全体の面積×100
【0043】この算出結果から、未エッチング率が8.
0%以下の場合を○(良好)、そして未エッチング率が
8.0%を超える場合を×(不良)として、未エッチン
グ部を評価した。
【0044】また、各切り板の粗面化表面を走査電子顕
微鏡を使用し、倍率を500倍としてその表面を観察
し、写真撮影した。得られた観察写真上に全長が100
cmの線を引き、線の下のピットの大きさ(直径)を測
定した。最小のピットと最大のピットとの大きさの相異
が、5μmよりも大きいものを均一性が×(不良)、5
μm以下のものを均一性が○(良好)と評価した。
【0045】更に、各アルミニウム合金板(圧延方向1
5cm×圧延垂直方向10cm×2枚=3dm2)の表
面を王水にて化学エッチングし、ストリークの長さを評
価した。圧延方向の筋模様の長さが、0.5cm未満を
◎(ストリーク評価:優良)、0.5cm以上で1cm
未満の場合を○(ストリーク評価:良好)及び1cm以
上の場合を×(ストリーク評価:不良)とした。下記表
3に、処理条件並びにストリーク、未エッチング部及び
均一性に対する評価を示す。なお、各実施例及び比較例
において、処理条件1における各評価と処理条件2にお
ける各評価とはいずれも同一であった。
【0046】
【表3】
【0047】上記表3に示すように、実施例1〜3にお
いては、各元素の含有量が本発明にて規定した範囲内で
あるため、ストリーク評価、未エッチング部評価及び均
一性評価のいずれもが良好であった。特に実施例1、2
では、Ti含有量が、夫々、0.041及び0.027
重量と0.01重量%以上であったため、ストリーク評
価が優良であった。
【0048】一方、比較例1においては、Si含有量が
0.01重量%と本発明にて規定した範囲より少ないた
め、ストリークが長くなった。比較例2では、Si含有
量が0.19重量%と本発明にて規定した範囲より多い
ため、ピットの大きさにバラツキが生じた。
【0049】比較例3においては、Fe含有量が0.1
7重量%と少ないため、アルミニウム合金板の表面にエ
ッチングされない部分が生じた。また、比較例4では、
Fe含有量が0.66重量%と多いため、ピットの大き
さにバラツキが生じ、均一性が不良であった。
【0050】比較例5では、Ni含有量が0.003重
量%と少ないため、未エッチング部が生じた。一方、比
較例6では、Ni含有量が0.223重量%と多いた
め、均一性が不良であった。
【0051】比較例7では、Ti含有量が0.003重
量%と少ないため、ストリークが長くなった。一方、比
較例8ではTi含有量が0.066重量%と多いため、
ピットの均一性が不良であった。
【0052】比較例9では、Ga含有量が0.003重
量%と少ないため、ストリーク評価が不良であった。一
方、比較例10においては、Ga含有量が0.057重
量%と多いため、ピットの大きさにバラツキが生じて、
均一性が不良であった。
【0053】比較例11では、V含有量が0.003重
量%と少量であるため、未エッチング部が生じた。一
方、比較例12では、V含有量が0.026と多量であ
るため、均一性が不良であった。
【0054】比較例13では、Ti、Ga及びV含有量
は、夫々、0.006、0.008及び0.017重量
%と本発明にて規定した範囲内であったものの、([T
i]+[Ga])/[V]が0.8と、1未満であるた
め、ストリークが長くなった。一方、比較例14におい
ても、Ti、Ga及びV含有量は、夫々、0.045、
0.047及び0.006重量%と本発明にて規定した
範囲内であったものの、([Ti]+[Ga])/
[V]が15.3と、本発明にて規定した範囲より大き
いため、Ti及びGaに起因する粗大化合物が形成さ
れ、電解粗面が不均一となった。
【0055】次に、請求項3に係る印刷版用アルミニウ
ム合金板の実施例(第2実施例)について説明する。
【0056】第2実施例 下記表4に示す化学組成を有する各アルミニウム合金の
鋳塊(実施例4〜5及び比較例15〜16)に、第1実
施例と同様に、面削、均質化処理、熱間圧延、冷間圧
延、中間焼鈍及び冷間圧延を順次施して、板厚が0.3
mmのアルミニウム合金板を得た。なお、上記第1実施
例の比較例1〜14を第2実施例の比較例とすることが
できる。
【0057】
【表4】
【0058】次に、第1実施例と同様に、各アルミニウ
ム合金板に上記表2に示す処理条件1及び2にて脱脂、
中和洗浄、交流電解粗面化処理及びデスマット処理を施
した。このデスマット処理の終了後、各アルミニウム合
金板を水洗及び乾燥させ、一定の大きさを切り取って切
り板を得、この切り板に第1実施例と同様に各種試験を
実施し、ストリーク評価、未エッチング部評価及び均一
性評価を調査した。得られた結果を下記表5に示す。
【0059】
【表5】
【0060】上記表5に示すように、実施例4、5にお
いては、各元素の含有量を本発明にて規定した範囲内と
してあることに加え、Bを所定量含有しているため、エ
ッチングがアルミニウム合金板の表面の隅々まで均一に
施され、ストリーク評価が第1実施例のものと同等以上
となり、極めて良好であった。
【0061】一方、比較例15においては、B含有量が
60重量ppmと本発明にて規定した範囲より多いた
め、電解粗面化面が不均一となり、均一性が不良となっ
た。また、比較例16では、B含有量が0.5重量pp
mと本発明にて規定した範囲より少ないため、ストリー
ク評価、未エッチング部評価及び均一性評価のうち、特
に優れているものはなかった。なお、未エッチング部評
価は一応○(良好)であったが、実施例に比して若干劣
化した。
【0062】次に、本発明に係る印刷版用アルミニウム
合金板の製造方法の実施例について説明する。上記表1
の実施例1〜3及び上記表4の実施例4、5と同様の化
学組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を、面削して厚
さを480mmとし、次いで下記表6に示す条件で、均
質化処理及び熱間圧延し、更に冷間圧延、中間焼鈍及び
冷間圧延して、板厚が0.3mmのアルミニウム合金板
(実施例6〜10、比較例17〜20)を得た。
【0063】得られたアルミニウム合金板を、上述の第
1実施例と同一条件で、交流電解粗面化処理した後、切
り取って切り板とした。切り板の粗面化表面を走査電子
顕微鏡(SEM)を使用して、350倍の倍率で観察
し、視野の面積が0.02mm2となるように写真を撮
影した。この写真から、上記数式2より未エッチング率
を求めた。未エッチング率が10.0%以下の場合を○
(良好)、そして未エッチング率が10.0%を超える
場合を×(不良)として、各切り板の未エッチング部を
評価した。
【0064】更に、この粗面化表面を走査電子顕微鏡
(SEM)を使用して500倍の倍率で観察し、写真を
撮影した。得られた写真から、第1実施例と同様にし
て、均一性を評価した。即ち、最小のピットと最大のピ
ットとの大きさの相異が、5μmよりも大きいものを均
一性が×(不良)、5μm以下のものを均一性が○(良
好)と評価した。
【0065】また、上述のようにして得たアルミニウム
合金板(圧延方向15cm×圧延垂直方向10cm×2
枚=3dm2)の表面を王水にて化学エッチングし、ス
トリークの長さを評価した。圧延方向の筋模様の長さ
が、1cm未満の場合を○(ストリーク評価:良好)及
び1cm以上の場合を×(ストリーク評価:不良)とし
た。下記表6に、ストリーク、未エッチング部及び均一
性に対する評価を示す。
【0066】
【表6】 なお、上記表6中の化学組成1〜5は、夫々、上述の実
施例1〜5と化学組成が同一であること示す。
【0067】上記表6に示すように、実施例6〜10に
おいては、ストリーク、未エッチング部及び均一性に対
する評価は、いずれも良好であった。
【0068】一方、比較例17は均質化処理温度が47
8℃と本発明にて規定した温度よりも低いため、未エッ
チング部が少ないと共に均一性が良好であったものの、
ストリーク評価が不良であった。また、比較例18は均
質化処理温度が645℃と本発明にて規定した温度より
も高いため、ストリーク評価が不良であった。また、比
較例19及び20は、熱間開始温度が、夫々、373℃
及び468℃といずれも本発明にて規定した範囲外であ
るため、比較例17及び18と同様に、ストリーク評価
が不良であった。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る印
刷版用アルミニウム合金板は、所定の化学成分を含有し
ているので、短時間の電解粗面化処理であっても、粗面
化ピットがその表面に均一に分布すると共に、各ピット
の大きさが略一定であり、更にストリークが短尺であ
る。また、請求項3に係る印刷版用アルミニウム合金板
によれば、更にBが所定量添加されているので、粗面化
ピットが電解粗面に更に一層均一に分布する。
【0070】本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板
の製造方法は、均質化処理温度及び熱間圧延開始温度が
適切であるので、電解粗面化処理後に均一な粗面化ピッ
トが得られると共にストリークの発生が極めて抑制され
る印刷版用アルミニウム合金板を製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−177528(JP,A) 特開 平3−177529(JP,A) 特開 昭62−230946(JP,A) 特開 平6−346176(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 21/00 B41N 1/08 C22F 1/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.20乃至0.6重量%、S
    i:0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃
    至0.05重量%、Ni:0.005乃至0.20重量
    %、Ga:0.005乃至0.05重量%及びV:0.
    005乃至0.020重量%を含有し、残部がAl及び
    不可避的不純物からなる印刷版用アルミニウム合金板で
    あって、Ti、Ga及びVの含有量(重量%)を、夫
    々、[Ti]、[Ga]及び[V]とすると、1≦
    ([Ti]+[Ga])/[V]≦15を満たすことを
    特徴とする印刷版用アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 前記Ti含有量は0.010重量%以上
    であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版用アル
    ミニウム合金板。
  3. 【請求項3】 Fe:0.20乃至0.6重量%、S
    i:0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃
    至0.05重量%、Ni:0.005乃至0.20重量
    %、B:1乃至50重量ppm、Ga:0.005乃至
    0.05重量%及びV:0.005乃至0.020重量
    %を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる印
    刷版用アルミニウム合金板であって、Ti、Ga及びV
    の含有量(重量%)を、夫々、[Ti]、[Ga]及び
    [V]とすると、1≦([Ti]+[Ga])/[V]
    ≦15を満たすことを特徴とする印刷版用アルミニウム
    合金板。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    組成を有するアルミニウム合金鋳塊に、500乃至63
    0℃の温度で均質化処理を施し、次いで開始温度を40
    0乃至450℃として熱間圧延を施すことを特徴とする
    印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱間圧延工程の後に、冷間圧延工程
    及び中間焼鈍工程を有することを特徴とする請求項4に
    記載の印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
  6. 【請求項6】 レベラー矯正工程を有することを特徴と
    する請求項5に記載の印刷版用アルミニウム合金板の製
    造方法。
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JPH03177528A (ja) * 1989-12-06 1991-08-01 Sky Alum Co Ltd 印刷版支持体用アルミニウム合金素板
JP2544215B2 (ja) * 1989-12-06 1996-10-16 スカイアルミニウム株式会社 印刷版支持体用アルミニウム合金素板の製造方法
JPH06346176A (ja) * 1993-06-08 1994-12-20 Kobe Steel Ltd 印刷版用アルミニウム板及びその製造方法

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