JP2778666B2 - 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents
印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法Info
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Description
の支持体として使用される印刷版用アルミニウム合金板
に関し、特に短時間の電解粗面化処理で、均一な電解粗
面化面を形成することができる印刷版用アルミニウム合
金板及びその製造方法に関する。
は、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、総称し
てアルミニウムという)板が支持体として使用されてい
る。この印刷版用アルミニウム板は、感光膜に対する密
着性及び非画像部の保水性を付与するために、アルミニ
ウム板の表面に粗面化処理を施して得られたものであ
る。この粗面化処理方法として、従来から、ボール研磨
法及びブラシ研磨法等の機械的処理法が使用されている
が、最近は、塩酸若しくは塩酸を主体とする電解液又は
硝酸を主体とする電解液を使用してアルミニウム板表面
を電気化学的に粗面化する電解粗面化処理法、更に前述
の機械的処理法とこの電解粗面化処理法とを組み合わせ
た処理方法が主に使用されるようになってきている。こ
れは、電解粗面化処理法によって得られた粗面板が製版
に適しており、また印刷性能も優れているからであり、
更に電解粗面化処理法では、アルミニウム合金板をコイ
ル状にして連続処理する場合に適しているからである。
ウム合金板には、その粗面化処理によって均一な凹凸
(ピット)が形成されることが要求される。均一な凹凸
が形成された印刷版用アルミニウム合金板においては、
感光膜との密着性及び保水性が向上すると共に、優れた
画像鮮明性及び耐刷性を得ることができる。また、最近
では粗面化処理コストを低減させるため、より短時間又
は低通電量で均一な凹凸を形成することができる材料の
開発が強く求められている。
ム合金板として、Fe:0.05乃至0.5重量%、M
g:0.1乃至0.9重量%、Si:0.2重量%以下
及びCu:0.05重量%以下を含有し、更にZr、V
及びNiからなる群から選択された1種以上の元素を
0.01乃至0.3重量%含有し、残部がAl及び不可
避的不純物からなるアルミニウム合金板が提案されてい
る(特開昭62−230946号公報)。
ルミニウム合金板として、Mg:0.30乃至3重量
%、Fe:0.15乃至0.50重量%、Ni:0.0
05乃至0.30重量%及びTi:0.01乃至0.1
0重量%を含有すると共に、Si、Cu及びMnを、夫
々、0.20重量%以下に規制し、残部がAl及び各元
素の含有量が、夫々、0.10重量%以下の不可避的不
純物からなるアルミニウム合金板が提案されている(特
開昭63−30294号公報)。
i:0.03乃至0.30重量%、Cu:0.001乃
至0.03重量%、Ni:0.001乃至0.03重量
%、Ti:0.002乃至0.05重量%及びGa:
0.005乃至0.020重量%を含有し、更にGa及
びTiの合計含有量が0.010乃至0.050重量%
であるアルミニウム合金板が提案されている(特開平3
−177528号公報)。このアルミニウム合金板にお
いては、筋状の粗面化ムラであるストリーク(ストリー
クスともいう。以下、ストリークに統一する)及び不規
則な画質ムラを改善すると共に粗面が均一であるため、
非画線部の汚れが防止されている。
コスト低減のために、電解処理速度の向上が要求されて
おり、短時間の電解粗面化処理で均一なピットが形成さ
れるアルミニウム板が要望されている。即ち、電解粗面
化処理時間が短く、形成されるピットが浅い場合であっ
ても、短時間で均一にエッチングされ、アルミニウム板
に未エッチング部(アルミニウム板表面のエッチングさ
れていない部分)が発生しないことが要望されている。
のであって、短時間の電解粗面化処理であっても、粗面
化ピットが均一に形成される印刷版用アルミニウム合金
板及びその製造方法を提供することを目的とする。
版用アルミニウム合金板は、Fe:0.20乃至0.6
重量%、Si:0.03乃至0.15重量%、Ti:
0.005乃至0.05重量%、Ni:0.005乃至
0.20重量%、Ga:0.005乃至0.05重量%
及びV:0.005乃至0.020重量%を含有し、残
部がAl及び不可避的不純物からなる印刷版用アルミニ
ウム合金板であって、Ti、Ga及びVの含有量(重量
%)を、夫々、[Ti]、[Ga]及び[V]とする
と、1≦([Ti]+[Ga])/[V]≦15を満た
すことを特徴とする。
あることが好ましい。
合金板は、Fe:0.20乃至0.6重量%、Si:
0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃至
0.05重量%、Ni:0.005乃至0.20重量
%、B:1乃至50重量ppm、Ga:0.005乃至
0.05重量%及びV:0.005乃至0.020重量
%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる印
刷版用アルミニウム合金板であって、Ti、Ga及びV
の含有量(重量%)を、夫々、[Ti]、[Ga]及び
[V]とすると、1≦([Ti]+[Ga])/[V]
≦15を満たすことを特徴とする。
の製造方法は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
組成を有するアルミニウム合金鋳塊に、500乃至63
0℃の温度で均質化処理を施し、次いで開始温度を40
0乃至450℃として熱間圧延を施すことを特徴とす
る。
び中間焼鈍工程を有することが好ましい。また、レベラ
ー矯正工程を有してもよい。
面化処理を実施する場合であっても、均一な粗面化ピッ
トが形成されるアルミニウム合金板を得るために鋭意研
究した結果、以下の事実を見出した。即ち、アルミニウ
ム合金板が含有する合金元素のうち、従来より添加され
ているFe及びSiの含有量を管理することに加え、適
量のNi及びTiを添加し、また、従来、不純物とされ
ていたGa及びVの含有量を管理することを見出した。
特に、Ti、Ga及びVの各含有量を管理することに加
え、これらの含有量を所定の式に従って相互に管理する
ことが重要である。また、必要に応じてBを添加するこ
とにより、アルミニウム合金板が更に一層均一にエッチ
ングされることも究明した。このように各元素の含有量
を管理することにより、短時間の電解粗面化時間であっ
ても均一性が良好な粗面化ピットを得ることができる。
ム合金板の組成限定理由について説明する。
する。Feはアルミニウム合金中で他の元素と結びつ
き、Al−Fe系の共晶化合物を形成する元素である。
この共晶化合物は、再結晶粒を微細化する効果を有する
と共に、均一な電解粗面を形成する効果がある。Fe含
有量が0.20重量%未満では、電解粗面化ピットの反
応起点数が不足し、未エッチング部を生じる。一方、F
e含有量が0.6重量%を超えると、粗大化合物の形成
により電解粗面化面が不均一になる。従って、Fe含有
量は0.20乃至0.6重量%とする。
% Siは、Al−Fe−Si系金属間化合物を形成し、熱
間圧延における各パス間での再結晶の核として作用する
ため、熱間圧延時の再結晶粒を微細化する効果を有す
る。Si含有量が0.03重量%未満では、この効果が
少なく、印刷版支持体となった後のストリーク評価が劣
る。一方、Si含有量が0.15重量%を超えると、粗
大化合物の形成により電解粗面化面が不均一となる。従
って、Si含有量は0.03乃至0.15重量%とす
る。
0重量% Niは電解粗面を均一化する作用を有する。NiはFe
と同様にアルミニウム合金中で他の元素と結合し、Al
−Ni系共晶系化合物を形成しやすい元素である。ま
た、電気化学的にNiはFeにより貴であるため、均一
な独立ピットを形成しやすい。このため、Niを添加す
ることにより、短時間の電解粗面化処理で均一な粗面が
得られる。
電解粗面に未エッチング部が生じる。一方、Ni含有量
が0.20重量%を超えると、粗大化合物が形成され、
電解粗面が不均一となる。従って、Ni含有量は、0.
005乃至0.20重量%とする。
重量%、好ましくは0.010重量%以上 Ti−Bの母合金は、鋳塊組織を微細化して結晶粒を微
細化する作用を有する。Ti含有量が、0.005重量
%未満では、この結晶粒微細化が不十分である。また、
Tiには、この微細化効果に加え、上述の他の成分と同
様に、電解粗面を均一にする効果がある。この効果を十
分に得るためには、Ti含有量が0.010重量%以上
であることが好ましい。Ti含有量が0.010重量%
未満では、エッチングが十分に行き亘らず、未エッチン
グ部が残存しやすい。一方、Ti含有量が0.05重量
%を超えると、粗大化合物の形成により、不均一な電解
粗面が形成される。従って、Ti含有量は0.005乃
至0.05重量%とし、好ましくは、0.010重量%
以上とする。
5重量% Gaは添加することにより鋳塊を微細化する効果があ
る。Ga含有量が0.005重量%未満では、この効果
を十分に得ることができない。一方、Ga含有量が0.
05重量%を超えると、電解粗面化面が歪んで不均一と
なる。従って、Ga含有量は、0.005乃至0.05
重量%とする。
20重量% Vは、上述の他の成分と同様に、電解粗面を均一にする
効果がある。V含有量が0.005未満では、この効果
が不十分であり、また電解エッチング性が低下して、未
エッチング部が生じる。一方、V含有量が0.020重
量%を超えると、Ti−B母合金等による鋳塊組織の微
細化を阻害してしまう。従って、V含有量は、0.00
5乃至0.020重量%とする。
i]+[Ga])/[V]≦15 上述のようにTi、Ga及びVは、結晶粒微細化及び電
解粗面の均一性に影響を及ぼすため、個々の含有量を管
理する必要がある。具体的には、Ti、Ga及びVの含
有量(重量%)を、夫々、[Ti]、[Ga]及び
[V]とすると、下記数式1を満たす必要がある。
することにより、結晶粒を微細化しつつ、電解粗面を均
一なものとすることができる。([Ti]+[Ga])
/[V]が1未満では、鋳塊組織を十分に微細化するこ
とができない。一方、([Ti]+[Ga])/[V]
が15を超えると、Ti及びGaに起因して粗大化合物
が形成され、電解粗面が不均一となる。従って、[T
i]、[Ga]及び[V]は1≦([Ti]+[G
a])/[V]≦15を満たすものとする。
板では、上述の各元素に加え、Bを含有する。
用する。この結晶粒微細化作用は、固溶Tiが減少して
Ti−B粒子が増加することによって、微細化核が増加
することに起因する。本願発明者等は、この効果に加え
て、Ti−B粒子数の増加は、電解粗面を均一化する効
果があることを見出した。
足によってエッチングピットが不均一となりやすい。一
方、B含有量が50重量ppmを超えると、粗大化合物
が形成され、この粗大化合物が筋状の深いピットを形成
するため、電解粗面化面が不均一となる。従って、Bを
含有させる場合は、その含有量を1乃至50重量ppm
とする。
板においても、不可避的不純物として、Mn、Zn、C
r及びMg等が考えられ、夫々、0.02重量%以下で
あれば、本発明の効果に悪影響を与えない。
の製造方法においては、上述の組成を有するアルミニウ
ム合金鋳塊に500乃至630℃の温度で均質化処理を
施した後、400乃至450℃の開始温度で熱間圧延を
施し、印刷版用アルミニウム合金板を得る。このように
して得られた印刷版用アルミニウム合金板に電解粗面化
処理を施した場合は、未エッチング部が少ないと共に、
ピットの大きさが均一なものとなる。
おける均質化処理温度及び熱間圧延開始温度の数値限定
理由について説明する。
鋳塊の均質化が不十分となるため、得られたアルミニウ
ム合金板に電解粗面化処理を施した場合に、電解粗面化
面が不均一となる。一方、均質化処理温度が630℃を
超えると、結晶粒径が粗大となるため、マクロ組織が粗
大となって、筋状の粗大化ムラであるストリークが発生
する。従って、均質化処理温度は500乃至630℃と
する。
不均一となり、得られたアルミニウム合金板の電解粗面
化面が不均一となる。一方、熱間圧延開始温度が450
℃を超えると、熱間圧延の各パス間で結晶が成長して、
ストリークが発生する。従って、熱間圧延開始温度は4
00乃至450℃とする。
後、アルミニウム合金鋳塊を400乃至450℃の温度
まで冷却した後に開始してもよく、また上述の均質化処
理終了後、一旦温度が低下したアルミニウム合金鋳塊
を、400乃至450℃の温度まで、再度加熱した後に
開始してもよい。
金板に、1又は複数回の冷間圧延を、必要に応じて中間
焼鈍しつつ施して、所定の板厚の印刷版用アルミニウム
合金板を得る。この場合に、レベラー矯正工程を設けて
もよい。
求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先ず、
請求項1に係る印刷版用アルミニウム合金板の実施例
(第1実施例)について説明する。
鋳塊(実施例1〜3及び比較例1〜14)を、面削して
厚さを480mmとし、610℃の温度で4時間の均質
化処理を施し、次いで開始温度を410℃に設定して熱
間圧延し、更に冷間圧延、中間焼鈍及び冷間圧延を順次
施して、板厚が0.3mmのアルミニウム合金板を得
た。
ニウム合金板に、下記表2に示す処理条件1又は2にて
脱脂及び中和洗浄を施した後、交流電解粗面化処理を施
し、更に電解により形成された酸化物等を除去するた
め、デスマット処理を施した。このデスマット処理の終
了後、各アルミニウム合金板を水洗及び乾燥させ、一定
の大きさを切り取って、これを切り板とした。なお、表
2中の1dm2は0.01m2である。
合金板の切り板を、走査電子顕微鏡(SEM)を使用し
て、350倍の倍率で表面観察し、視野の面積が0.0
2mm2となるように写真を撮影した。得られた写真か
ら、下記数式2より未エッチング率を算出した。
分の面積/全体の面積×100
0%以下の場合を○(良好)、そして未エッチング率が
8.0%を超える場合を×(不良)として、未エッチン
グ部を評価した。
微鏡を使用し、倍率を500倍としてその表面を観察
し、写真撮影した。得られた観察写真上に全長が100
cmの線を引き、線の下のピットの大きさ(直径)を測
定した。最小のピットと最大のピットとの大きさの相異
が、5μmよりも大きいものを均一性が×(不良)、5
μm以下のものを均一性が○(良好)と評価した。
5cm×圧延垂直方向10cm×2枚=3dm2)の表
面を王水にて化学エッチングし、ストリークの長さを評
価した。圧延方向の筋模様の長さが、0.5cm未満を
◎(ストリーク評価:優良)、0.5cm以上で1cm
未満の場合を○(ストリーク評価:良好)及び1cm以
上の場合を×(ストリーク評価:不良)とした。下記表
3に、処理条件並びにストリーク、未エッチング部及び
均一性に対する評価を示す。なお、各実施例及び比較例
において、処理条件1における各評価と処理条件2にお
ける各評価とはいずれも同一であった。
いては、各元素の含有量が本発明にて規定した範囲内で
あるため、ストリーク評価、未エッチング部評価及び均
一性評価のいずれもが良好であった。特に実施例1、2
では、Ti含有量が、夫々、0.041及び0.027
重量と0.01重量%以上であったため、ストリーク評
価が優良であった。
0.01重量%と本発明にて規定した範囲より少ないた
め、ストリークが長くなった。比較例2では、Si含有
量が0.19重量%と本発明にて規定した範囲より多い
ため、ピットの大きさにバラツキが生じた。
7重量%と少ないため、アルミニウム合金板の表面にエ
ッチングされない部分が生じた。また、比較例4では、
Fe含有量が0.66重量%と多いため、ピットの大き
さにバラツキが生じ、均一性が不良であった。
量%と少ないため、未エッチング部が生じた。一方、比
較例6では、Ni含有量が0.223重量%と多いた
め、均一性が不良であった。
量%と少ないため、ストリークが長くなった。一方、比
較例8ではTi含有量が0.066重量%と多いため、
ピットの均一性が不良であった。
量%と少ないため、ストリーク評価が不良であった。一
方、比較例10においては、Ga含有量が0.057重
量%と多いため、ピットの大きさにバラツキが生じて、
均一性が不良であった。
量%と少量であるため、未エッチング部が生じた。一
方、比較例12では、V含有量が0.026と多量であ
るため、均一性が不良であった。
は、夫々、0.006、0.008及び0.017重量
%と本発明にて規定した範囲内であったものの、([T
i]+[Ga])/[V]が0.8と、1未満であるた
め、ストリークが長くなった。一方、比較例14におい
ても、Ti、Ga及びV含有量は、夫々、0.045、
0.047及び0.006重量%と本発明にて規定した
範囲内であったものの、([Ti]+[Ga])/
[V]が15.3と、本発明にて規定した範囲より大き
いため、Ti及びGaに起因する粗大化合物が形成さ
れ、電解粗面が不均一となった。
ム合金板の実施例(第2実施例)について説明する。
鋳塊(実施例4〜5及び比較例15〜16)に、第1実
施例と同様に、面削、均質化処理、熱間圧延、冷間圧
延、中間焼鈍及び冷間圧延を順次施して、板厚が0.3
mmのアルミニウム合金板を得た。なお、上記第1実施
例の比較例1〜14を第2実施例の比較例とすることが
できる。
ム合金板に上記表2に示す処理条件1及び2にて脱脂、
中和洗浄、交流電解粗面化処理及びデスマット処理を施
した。このデスマット処理の終了後、各アルミニウム合
金板を水洗及び乾燥させ、一定の大きさを切り取って切
り板を得、この切り板に第1実施例と同様に各種試験を
実施し、ストリーク評価、未エッチング部評価及び均一
性評価を調査した。得られた結果を下記表5に示す。
いては、各元素の含有量を本発明にて規定した範囲内と
してあることに加え、Bを所定量含有しているため、エ
ッチングがアルミニウム合金板の表面の隅々まで均一に
施され、ストリーク評価が第1実施例のものと同等以上
となり、極めて良好であった。
60重量ppmと本発明にて規定した範囲より多いた
め、電解粗面化面が不均一となり、均一性が不良となっ
た。また、比較例16では、B含有量が0.5重量pp
mと本発明にて規定した範囲より少ないため、ストリー
ク評価、未エッチング部評価及び均一性評価のうち、特
に優れているものはなかった。なお、未エッチング部評
価は一応○(良好)であったが、実施例に比して若干劣
化した。
合金板の製造方法の実施例について説明する。上記表1
の実施例1〜3及び上記表4の実施例4、5と同様の化
学組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を、面削して厚
さを480mmとし、次いで下記表6に示す条件で、均
質化処理及び熱間圧延し、更に冷間圧延、中間焼鈍及び
冷間圧延して、板厚が0.3mmのアルミニウム合金板
(実施例6〜10、比較例17〜20)を得た。
1実施例と同一条件で、交流電解粗面化処理した後、切
り取って切り板とした。切り板の粗面化表面を走査電子
顕微鏡(SEM)を使用して、350倍の倍率で観察
し、視野の面積が0.02mm2となるように写真を撮
影した。この写真から、上記数式2より未エッチング率
を求めた。未エッチング率が10.0%以下の場合を○
(良好)、そして未エッチング率が10.0%を超える
場合を×(不良)として、各切り板の未エッチング部を
評価した。
(SEM)を使用して500倍の倍率で観察し、写真を
撮影した。得られた写真から、第1実施例と同様にし
て、均一性を評価した。即ち、最小のピットと最大のピ
ットとの大きさの相異が、5μmよりも大きいものを均
一性が×(不良)、5μm以下のものを均一性が○(良
好)と評価した。
合金板(圧延方向15cm×圧延垂直方向10cm×2
枚=3dm2)の表面を王水にて化学エッチングし、ス
トリークの長さを評価した。圧延方向の筋模様の長さ
が、1cm未満の場合を○(ストリーク評価:良好)及
び1cm以上の場合を×(ストリーク評価:不良)とし
た。下記表6に、ストリーク、未エッチング部及び均一
性に対する評価を示す。
施例1〜5と化学組成が同一であること示す。
おいては、ストリーク、未エッチング部及び均一性に対
する評価は、いずれも良好であった。
8℃と本発明にて規定した温度よりも低いため、未エッ
チング部が少ないと共に均一性が良好であったものの、
ストリーク評価が不良であった。また、比較例18は均
質化処理温度が645℃と本発明にて規定した温度より
も高いため、ストリーク評価が不良であった。また、比
較例19及び20は、熱間開始温度が、夫々、373℃
及び468℃といずれも本発明にて規定した範囲外であ
るため、比較例17及び18と同様に、ストリーク評価
が不良であった。
刷版用アルミニウム合金板は、所定の化学成分を含有し
ているので、短時間の電解粗面化処理であっても、粗面
化ピットがその表面に均一に分布すると共に、各ピット
の大きさが略一定であり、更にストリークが短尺であ
る。また、請求項3に係る印刷版用アルミニウム合金板
によれば、更にBが所定量添加されているので、粗面化
ピットが電解粗面に更に一層均一に分布する。
の製造方法は、均質化処理温度及び熱間圧延開始温度が
適切であるので、電解粗面化処理後に均一な粗面化ピッ
トが得られると共にストリークの発生が極めて抑制され
る印刷版用アルミニウム合金板を製造することができ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 Fe:0.20乃至0.6重量%、S
i:0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃
至0.05重量%、Ni:0.005乃至0.20重量
%、Ga:0.005乃至0.05重量%及びV:0.
005乃至0.020重量%を含有し、残部がAl及び
不可避的不純物からなる印刷版用アルミニウム合金板で
あって、Ti、Ga及びVの含有量(重量%)を、夫
々、[Ti]、[Ga]及び[V]とすると、1≦
([Ti]+[Ga])/[V]≦15を満たすことを
特徴とする印刷版用アルミニウム合金板。 - 【請求項2】 前記Ti含有量は0.010重量%以上
であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版用アル
ミニウム合金板。 - 【請求項3】 Fe:0.20乃至0.6重量%、S
i:0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃
至0.05重量%、Ni:0.005乃至0.20重量
%、B:1乃至50重量ppm、Ga:0.005乃至
0.05重量%及びV:0.005乃至0.020重量
%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる印
刷版用アルミニウム合金板であって、Ti、Ga及びV
の含有量(重量%)を、夫々、[Ti]、[Ga]及び
[V]とすると、1≦([Ti]+[Ga])/[V]
≦15を満たすことを特徴とする印刷版用アルミニウム
合金板。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
組成を有するアルミニウム合金鋳塊に、500乃至63
0℃の温度で均質化処理を施し、次いで開始温度を40
0乃至450℃として熱間圧延を施すことを特徴とする
印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。 - 【請求項5】 前記熱間圧延工程の後に、冷間圧延工程
及び中間焼鈍工程を有することを特徴とする請求項4に
記載の印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。 - 【請求項6】 レベラー矯正工程を有することを特徴と
する請求項5に記載の印刷版用アルミニウム合金板の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8094141A JP2778666B2 (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8094141A JP2778666B2 (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
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JPH09279274A JPH09279274A (ja) | 1997-10-28 |
JP2778666B2 true JP2778666B2 (ja) | 1998-07-23 |
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JP8094141A Expired - Lifetime JP2778666B2 (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
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