JP2778050B2 - シリンダヘッドの冷却構造 - Google Patents

シリンダヘッドの冷却構造

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JP2778050B2 JP63263993A JP26399388A JP2778050B2 JP 2778050 B2 JP2778050 B2 JP 2778050B2 JP 63263993 A JP63263993 A JP 63263993A JP 26399388 A JP26399388 A JP 26399388A JP 2778050 B2 JP2778050 B2 JP 2778050B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は,断熱エンジンにおけるシリンダヘッドの
冷却構造に関する。
〔従来の技術〕
従来,内燃機関の冷却装置は,例えば,実開昭55−76
422号公報に開示されている。該内燃機関の冷却装置
は,機関のシリンダヘッドに,吸気弁部と排気弁部と燃
料弁挿入部との三者を三角形状配置となるように形成
し,上記三者間にY字状の潤滑油通路を形成し,機関の
潤滑油の一部がオイルクーラを経て,該Y字状の潤滑油
通路のうち弁間部に位置する通路を最初に通り,これか
ら分岐して他の二本の進路に流れるように構成したもの
である。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで,断熱エンジンにおいて,吸入行程における
吸入効率の低下の要因として大きく分けると,2つの要因
がある。その1つは,吸入通路即ち吸気ポートにおいて
吸入空気が受熱することによって,該吸入空気が膨張し
て燃焼室に導入し難くなることである。また,もう1つ
は,燃焼室に最初に導入された吸入空気が筒内内壁即ち
燃焼室壁から受熱し,最初に導入された僅かな吸入空気
が膨張し,燃焼室内に引き続いて空気が導入されなくな
ることである。
断熱エンジンにおいて,シリンダヘッドに形成される
冷却液体ジャケットを廃止し,排気ポートの外壁部,シ
リンダヘッドにおけるヘッド下面部を断熱構造に構成し
た場合に,該断熱エンジンにおけるシリンダヘッド全体
の温度は,断熱構造でない一般のシリンダヘッドに水ジ
ャケットを形成した水冷エンジンのシリンダヘッドの温
度に比較して,高温状態になり,吸気ポートの温度が上
昇し,高温になった吸気ポートで空気が膨張して燃焼室
へ入り難くなり,吸入効率が低下することになる。
そこで,断熱エンジンにおいて,断熱エンジンの構造
を如何に構成すれば,吸気ポートでの吸入空気の温度上
昇を低減してエンジンの吸入行程における吸入効率を向
上させることができるかの課題があった。
この発明の目的は,上記の課題を解決することであ
り,断熱エンジンにおいて,シリンダヘッドに形成され
る冷却ジャケットを廃止し,該シリンダヘッドの鋳造時
のジャケット用中子を不要にして軽量化,構造簡単化,
製造コストの低減化を果たし,また,少なくとも排気ポ
ートの壁部,シリンダヘッドにおけるヘッド下面部及び
シリンダライナ上部を断熱構造に構成し,吸気ポートへ
の熱影響を低減して吸気ポートの温度上昇を抑制し,吸
気ポートを通常のFC,Al等の金属材料で鋳造によって構
成し,吸気ポートの内壁部に環状液体通路を形成し,該
環状液体通路に冷却液体を循環させて該冷却液体によっ
て吸気ポートの壁面のみを冷却し,吸入空気が吸気ポー
トから受熱するのを遮断して空気膨張を抑制し,吸入効
率を向上させる断熱エンジンにおけるシリンダヘッドの
冷却構造を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は,上記の目的を達成するため,次のように
構成されている。即ち,この発明は,少なくともヘッド
下面,シリンダライナ上部及び排気ポートを冷却ジャケ
ットを持たない断熱構造に構成し,シリンダヘッドに形
成した吸気ポートの内壁面のみを二重構造の金属製の薄
板部材から成るポートライナで構成し,前記ポートライ
ナを構成する二重構造の前記薄板部材間に環状液体通路
を形成し,前記環状液体通路に冷却液体を流動させて前
記排気ポートからの受熱を防止して吸気効率をアップさ
せるため前記吸気ポートのみを冷却することを特徴とす
る断熱エンジンにおけるシリンダヘッドの冷却構造に関
する。
また,このシリンダヘッドの冷却構造は,前記ポート
ライナと前記吸気ポートを構成する前記シリンダヘッド
の内壁面との間に空気層を形成したものである。
また,このシリンダヘッドの冷却構造は,前記環状液
体通路内をガイド板で長手方向に二分割して流入側通路
と流出側通路を形成し,前記ポートライナの上流側に位
置する前記流入側通路に冷却液体の入口を且つ前記流出
側通路に出口を形成し,前記ポートライナの下流側に前
記流入側通路と前記流出側通路とを連通する連絡通路を
形成したものである。
〔作用〕
この発明によるシリンダヘッドの冷却構造は,上記の
ように構成されており,次のように作用する。即ち,こ
のシリンダヘッドの冷却構造は,吸気ポートの内壁面の
みに環状液体通路を形成するように二重構造の薄板部材
から成るポートライナを固定し,該環状液体通路に冷却
液体を流動させたので,該吸気ポートの内壁部に冷却液
体を流して吸気ポートのみを迅速に且つ確実に冷却する
ことができ,排気ポートからの受熱を排除でき,吸入空
気が前記吸気ポートからの受熱を抑制でき,吸入効率の
低下は起こらない。しかも,前記環状液体通路を金属部
材によって二重構造に形成された前記ポートライナから
形成したので,前記シリンダヘッドの前記吸気ポート内
に前記環状液体通路を形成することが極めて容易にで
き,冷却液体をスムースに流すことのできる通路を形成
できる。
更に,前記環状液体通路の入口及び出口を前記吸気ポ
ートの上流側に形成し,前記環状液体通路内にガイド板
を組み込んだので,前記吸気ポートの下流部位まで万遍
なく,冷却液体を前記環状液体通路の全域にわたって流
動させることができる。
〔実施例〕
以下,図面を参照して,この発明による断熱エンジン
におけるシリンダヘッドを冷却構造の実施例を詳述す
る。第1図はこの発明によるシリンダヘッドの冷却構造
の一実施例を示す断面図である。
第1図を示すように,このシリンダヘッドの冷却構造
は,シリンダ11を形成したシリンダボディ即ちシリンダ
ブロック1にシリンダヘッド10を固定し,シリンダブロ
ック1に形成したシリンダ11の内周面にシリンダライナ
3が嵌合されている。シリンダブロック1及びシリンダ
ヘッド10は,アルミニウム,鉄等の鋳物等によって製作
されている。シリンダライナ3は,窒化珪素(Si
3N4),炭化珪素(SiC)等のセラミックスから構成され
ている。更に,シリンダライナ3は,ウェットタイプに
構成でき,即ち,シリンダブロック1の上部にシリンダ
ライナ3の冷却用液体ジャケット4を形成することがで
きる。
冷却用液体ジャケット4は,冷却水,冷却オイル等の
冷却液体が流れる液体通路を形成する。シリンダヘッド
10は,冷却用液体ジャケットを備えておらず,吸気ポー
ト2及び排気ポート6が立設するように設けられてい
る。言い換えれば,吸気ポート2及び排気ポート6は,
シリンダヘッド10の上面部33との間に,空気層34が存在
する構造に形成されている。図示していないが,エンジ
ンがガソリンエンジンでなくディーゼルエンジンの場合
には,シリンダヘッド10には燃料噴射ノズルを取り付け
るため燃料噴射ノズル口が形成されることは勿論であ
る。
吸気ポート2及び排気ポート6には,吸・排気バルブ
7(図では吸気バルブのみを示す)が配設され,吸・排
気バルブ7はシリンダヘッド10のバルブガイド19に往復
運動可能に設けられている。シリンダヘッド10の上部に
は,通常,ヘッドカバーが取り付けられ,シリンダヘッ
ド10の上面とヘッドカバーとによって形成される空所に
は,カムシャフトに設けた複数個のカム,ロッカアー
ム,バルブスプリング,バルブスプリング受け等によっ
て構成される動弁機構が設けられている(図示せず)。
該動弁機構を構成するため,吸・排気バルブ7は,該吸
・排気バルブ7のバルブステムの上端部に取り付けられ
たコッタ,バルブスプリング受け及びバルブスプリング
によって取り付けられている。
これらの吸・排気バルブ7は,シリンダヘッド10に枢
着されたロッカアーム及び該ロッカアームを揺動させる
カムの作動によって往復運動するものである(図示せ
ず)。
断熱エンジンにおいて,少なくともシリンダヘッド10
の下面部8,シリンダライナ上部9,及び排気ポート6は,
断熱構造に構成されている。即ち,シリンダヘッド10に
は嵌合穴である筒部29が形成され,筒部29には,ヘッド
下面部8とシリンダライナ上部とが一体構造に構成され
たヘッドライナ30が断熱ガスケット23及び位置決め用の
断熱リング21を介して嵌合されている。しかも,ヘッド
ライナ30とシリンダヘッド10との間には断熱空気層22が
形成されている。ヘッドライナ30は,燃焼室20を構成し
て燃焼ガスに晒される壁面を構成しており,窒化珪素
(Si3N4),炭化珪素(SiC)等のセラミックスから構成
されている。また,排気ポート6は,排気ガスに晒され
るステンレススチール等の金属材から成るポートライナ
24が断熱材25を介在してシリンダヘッド10に取り付けら
れることによって構成されている。
この断熱エンジンにおけるシリンダヘッドの冷却構造
は,上記の構造のシリンダヘッド10において,特に,次
の点に特徴を有している。
このシリンダヘッドの冷却構造は,少なくともヘッド
下面部8,シリンダライナ上部9及び排気ポート6を冷却
ジャケットを持たない断熱構造に構成し,吸気ポート2
のみをオイル等の液体で冷却する構造を有している点で
あり,シリンダヘッド10に形成した吸気ポート2の内壁
面のみにオイル等の液体を循環させる通路を形成するた
め,ステンレススチール(SUS),スチール等の金属材
料から成る薄板部材13,14を二重構造に形成して環状液
体通路である環状オイル通路5を構成したことである。
言い換えれば,シリンダヘッド10に形成した吸気ポート
2の内壁面を二重構造の金属製の薄板部材13,14から成
るポートライナで構成し,該ポートライナを構成する二
重構造の薄板部材13と14との間に環状オイル通路5を形
成する。
環状オイル通路5には,シリンダヘッド10に形成した
オイル通路17と連通する入口28が下部に形成され,出口
18が上部に形成されている。また,シリンダヘッド10に
形成されたオイル通路17はシリンダブロック1の長手方
向に形成されたオイル通路15に連通し,オイル通路15は
シリンダブロック1に形成されたオイルギャラリ16に連
通している。
このシリンダヘッドの冷却構造は,上記のように構成
することによって,シリンダヘッド10からウォータジャ
ケットを排除することができ,シリンダヘッド10を鋳造
する場合に,ウォータジャケット形成用中子を排除で
き,シリンダヘッド10の構造を簡単に且つコンパクトに
構成でき,シリンダヘッド10の製作コストを低減でき
る。
このシリンダヘッドの冷却構造は,上記のように,冷
却系が一実施例として構成されているので,次のように
作用する。即ち,該冷却系において,吸気ポート2を形
成するポートライナ12のみをオイルで冷却するため,オ
イルは,オイルギャラリ16からシリンダブロック1のオ
イル通路15,シリンダヘッド10のオイル通路17を通って
入口28へ達し,入口28から環状オイル通路5を流動し,
出口18からロッカアーム,バルブステム,カムシャフト
等から成るバルブ開閉機構即ち動弁機構が配置された空
所26へと放出される。
吸気ポート2の外壁面に放出されたオイルが,排気ポ
ート6の外壁面の方へ流れないようにするため,吸気ポ
ート2の外壁面にガイド手段(図示せず)を設けておく
ことが好ましい。上記冷却系では,オイルを環状オイル
通路5を下から上に向かって循環させて冷却効果を高め
たが,必ずしもオイルを下から上に向って流す必要はな
く,上から下に向かって流してもよいことは勿論であ
る。
また,この冷却系では,上記のように構成されている
ので,動弁機構等を潤滑するためのオイル循環系を利用
できるが,出口18から空所26へ放出すると,上記動弁機
構を潤滑するオイルと混合するため,環状オイル通路5
を流すオイルは上記動弁機構を潤滑するオイルと同一の
ものを使用することは勿論である。一般に,機器類の潤
滑にはきれいなオイルを使用しなければならず,冷却に
はそれほどきれいなオイルでなくてもよい。そこで,上
記の構成でなく,冷却と潤滑とで別のオイルを使用する
場合には,図示していないが,環状オイル通路5を流れ
るオイルを,別のオイルポンプを用いて循環させるよう
に構成する。
このシリンダヘッドの冷却構造を,上記のように構成
したので,オイル等の液体を環状液体通路である環状オ
イル通路5に流すことによって,吸気ポート2を構成す
るポートライナ12のみをオイル等の液体で集中的に且つ
迅速に冷却することによって,吸入空気は吸気ポート2
で受熱することがなく,それ故,吸入空気が膨張する現
象が生じることがなく,従って,吸入空気が吸気ポート
2における熱影響によって,吸入効率が低下するような
ことはない。しかも,オイルを迅速に循環させることに
よって,オイルの受熱量を最小限にすることが可能にな
る。
次に,第2図を参照して,断熱エンジンにおけるシリ
ンダヘッドの冷却構造を説明する。該シリンダヘッドの
冷却構造は,上記実施例のものと比較して,環状オイル
通路及び環状オイル通路の出口の排出系を形成する構造
が相違する以外は,全く同一の構成及び機能であるの
で,同一の部品には同一の符号を付してそれらの説明を
省略する。
第2図のシリンダヘッドの冷却構造は,断熱エンジン
でシリンダヘッドに形成される冷却ジャケットを廃止し
たものであり,環状オイル通路31は,シリンダヘッド10
に形成した吸気ポート2の内壁面にオイル等の液体を循
環させる通路であり,ステンレススチール(SUS),ス
チール等の金属材料から成る一重構造の薄板部材27をシ
リンダヘッド10に埋め込み或いは組み込んで構成されて
いる。また,シリンダヘッド10に形成した環状オイル通
路31の出口18は,オイル通路32を通じて冷却系のオイル
ギャラリ35へ通じている。即ち,オイルは,冷却にのみ
使用するように構成し,オイルギャラリ35からシリンダ
ブロック1に形成したオイルギャラリ16へと循環するよ
うに構成されている。
また,第3図を参照して,この発明によるシリンダヘ
ッドの冷却構造の別の実施例を説明する。この実施例の
シリンダヘッドの冷却構造は,第1図に示す実施例のも
のと比較して,シリンダブロック1に形成したオイル通
路及び環状オイル通路の出口の排出系の構造が相違する
以外は,全く同一の構成及び機能であるので,同一の部
品には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
このシリンダヘッドの冷却構造におけるシリンダブロ
ック1に形成したオイル通路15は,エンジン冷却系に連
通したものであり,シリンダブロック1の上部に形成さ
れているオイルジャケット4に連通している。従って,
オイルは冷却にのみ使用するように構成でき,環状オイ
ル通路5の出口18はオイル通路32を通じて冷却系のオイ
ルギャラリ35へ通じている。なお,上記動弁機構を潤滑
するオイルと冷却系のオイルを同一のものを使用し,環
状オイル通路5の出口18を,第1図に示すように,吸気
ポート2の外壁面に流出させるように構成してもよいこ
とは勿論である。
更に,第4図,第5図及び第6図を参照して,この発
明による断熱エンジンにおけるシリンダヘッドの冷却構
造の他の実施例を説明する。この実施例のシリンダヘッ
ドの冷却構造は,第1図に示す実施例のものと比較し
て,シリンダヘッド10に形成した環状オイル通路及びオ
イル通路の構造が相違する以外は,同一の構成及び機能
を有しているものであり,同一の部品には同一の符号を
付してそれらの説明を省略すると共に,排気ポート及び
シリンダブロックについての図示及び説明を省略する。
このシリンダヘッドの冷却構造におけるシリンダヘッ
ド10は,シリンダヘッド10に形成した吸気ポート2の内
壁面37の内側にオイル等の液体を循環させる通路を形成
するため,ステンレススチール(SUS),スチール等の
金属材料から成る薄板部材43,44を二重構造に形成して
環状オイル通路45を構成し,しかも該環状オイル通路45
を両側のガイド板39,40によって2つの通路即ち流入側
通路41と流出側通路42に二分割したことである。
環状オイル通路45は,シリンダヘッド10に吸気ポート
2の内壁面37の内側に空気層36を形成した状態に嵌合さ
れ,また,環状オイル通路45の下端部は,シリンダヘッ
ド10の筒部即ち嵌合穴29に嵌合したヘッドライナ30はヘ
ッド下面部8の中間部位まで伸長している。更に,吸気
ポート2を構成するポートライナ12の端部は,シリンダ
ヘッド10との間に断熱ガスケット49を介在させ且つ排気
管38に取り付けられている。両側のガイド板39,40は,
環状オイル通路45内で薄板部材43,44の下端部手前即ち
吸気ポート2の下流側端部手前で終端となり,流入側通
路41と流出側通路42とを連絡通路46によって連通してい
る。
環状オイル通路45の下側の流入側通路41は,吸気ポー
ト2の上流側端部に形成した入口28に連通し,上側の流
出側通路42は吸気ポート2の上流側端部に形成した出口
18に連通している。
環状オイル通路45は,上記のように構成されているか
ら,オイルギャラリ等から送り込まれたオイルは,環状
オイル通路45における入口28から下側の流入側通路41に
導入され,環状オイル通路45の下端部に形成された連絡
通路46を通って上側の流出側通路42へと流れ,出口18か
ら放出される。それ故に,オイルは,環状オイル通路45
内に設けたガイド板39,40に案内されて環状オイル通路
全域にわたって万遍なく流れることができる。従って,
吸気ポート2を形成するポートライナ12は,迅速に且つ
強制的に冷却され,しかも,吸気ポート2の内壁面37と
ポートライナ12との間に形成される空気層36は,断熱空
気層の機能を果たし,吸入空気が受熱することがない極
めて理想的な吸気ポート2を構成することができる。
また,第7図を参照して,この発明による断熱エンジ
ンにおけるシリンダヘッドの冷却構造の他の実施例を説
明する。この実施例のシリンダヘッドの冷却構造は,第
4図に示す実施例のものと比較して,シリンダヘッド10
に形成した環状オイル通路の構造が相違する以外は,同
一の構成及び機能を有しているものであり,同一の部品
には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
第7図において,環状オイル通路45については,その
環状オイル通路45の下端部即ち吸気ポート2の下流側端
部が,シリンダヘッド10に嵌合されたヘッドライナ30の
上面で終端になっている。この実施例では,環状オイル
通路45は,上記と同様に,該シリンダヘッド10に形成し
た吸気ポート2の内壁面37の内側にオイル等の液体を循
環させる環状液体通路を,ステンレススチール(SU
S),スチール等の金属材料から成る薄板部材43,44によ
って二重構造に形成したものである。この構造の場合に
は,ヘッドライナ30及び環状オイル通路45の成形が,第
4図に示す実施例に比較して簡単であり,しかもシリン
ダヘッド10へのヘッドライナ30及び環状オイル通路45の
組み込みを容易に行うことができる。
〔発明の効果〕
この発明によるシリンダヘッドの冷却構造は,以上の
ように構成されているので,次のような効果を有する。
即ち,このシリンダヘッドの冷却構造は,少なくともヘ
ッド下面,シリンダライナ上部及び排気ポートを冷却ジ
ャケットを持たない断熱構造に構成し,シリンダヘッド
に形成した吸気ポートの内壁面のみに環状流体通路を形
成するように二重構造の薄板部材から成るポートライナ
を取り付け,該環状液体通路に冷却液体を流動させたの
で,前記吸気ポートを形成する前記ポートライナのみを
迅速に,強制的且つ直接的に冷却することができ,前記
環状流体通路を流れる冷却液体によって排気ポート等か
ら前記吸気ポートが受熱する熱量を遮断し,前記吸気ポ
ート内の前記ポートライナの壁面が高温にならず,吸入
空気が前記吸気ポートから受熱するのを防止できる。従
って,吸入空気が膨張するような現象はなく,前記吸気
ポートを通じて燃焼室内にスムースに吸入空気が流入
し,吸入効率の低下は起こらない。
更に,前記シリンダヘッドからは冷却ジャケットを排
除したので,前記シリンダヘッドを鋳造する場合に,ジ
ャケット形成用の中子を必要とせず,前記シリンダヘッ
ドを容易に且つ安価に製作することができ,しかもシリ
ンダヘッド自体の構造をシンプルに形成でき,例えば,
吸気ポートを形成するシリンダヘッド壁面にオイルの流
れを案内するガイド板,フィン,オイル通路等の形成を
極めて容易に行うことができる。
また,前記環状液体通路を金属部材によって二重構造
に形成されたポートライナから形成したので,前記環状
液体通路を簡単に構成することができ,しかも強固に且
つ中を循環する液体の漏洩がないように完全に密閉状態
に構成できる。
或いは,二重構造に形成された前記ポートライナと前
記吸気ポートの内壁面との間に空気層を形成したので,
該空気層が断熱層となり,吸気ポートの前記ポートライ
ナの冷却を確実に且つ迅速に達成できる。
又は,前記環状液体通路の入口及び出口を前記吸気ポ
ートの上流端部に形成し,前記環状液体通路内にガイド
板を組み込み,冷却液体が前記環状液体通路の全域にわ
たって流動するように構成したので,冷却液体を環状液
体通路の全域にわたって万遍なくスムースに循環させる
ことができ,前記吸気ポートを形成する前記ポートライ
ナの冷却効果を向上できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による断熱エンジンにおけるシリンダ
ヘッドの冷却構造の一実施例を示す断面図,第2図はシ
リンダヘッドの冷却構造を示す断面図,第3図はこの発
明によるシリンダヘッドの冷却構造の別の実施例を示す
断面図,第4図はこの発明によるシリンダヘッドの冷却
構造の他の実施例を示す断面図,第5図は第4図の環状
オイル通路の下端部のみを示す説明図,第6図は第4図
の環状オイル通路の上端面のみを示す説明図,及び第7
図はこの発明によるシリンダヘッドの冷却構造の更に他
の実施例を示す断面図である。 1……シリンダブロック,2……吸気ポート,3……シリン
ダライナ,5,31,45……オイル通路,6……排気ポート,8…
…ヘッド下面部,9……シリンダライナ上部,10……シリ
ンダヘッド,12……ポートライナ,13,14,27,43,44……薄
板部材,20……燃焼室,39,40……ガイド板,41……流入側
通路,42……流出側通路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02F 1/36 F02F 1/24 F01P 3/02 F02B 77/11 F01P 11/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともヘッド下面,シリンダライナ上
    部及び排気ポートを冷却ジャケットを持たない断熱構造
    に構成し,シリンダヘッドに形成した吸気ポートの内壁
    面のみを二重構造の金属製の薄板部材から成るポートラ
    イナで構成し,前記ポートライナを構成する二重構造の
    前記薄板部材間に環状液体通路を形成し,前記環状液体
    通路に冷却液体を流動させて前記排気ポートからの受熱
    を防止して吸気効率をアップさせるため前記吸気ポート
    のみを冷却することを特徴とする断熱エンジンにおける
    シリンダヘッドの冷却構造。
  2. 【請求項2】前記ポートライナと前記吸気ポートを構成
    する前記シリンダヘッドの内壁面との間に空気層を形成
    したことを特徴とする請求項1に記載の断熱エンジンに
    おけるシリンダヘッドの冷却構造。
  3. 【請求項3】前記環状液体通路内をガイド板で長手方向
    に二分割して流入側通路と流出側通路を形成し,前記ポ
    ートライナの上流側に位置する前記流入側通路に冷却液
    体の入口を且つ前記流出側通路に出口を形成し,前記ポ
    ートライナの下流側に前記流入側通路と前記流出側通路
    とを連通する連絡通路を形成したことを特徴とする請求
    項1に記載の断熱エンジンにおけるシリンダヘッドの冷
    却構造。
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