JP2776330B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法

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    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体電解コンデンサ
及びその製造方法に関し、特に、固体電解質として導電
性高分子化合物を用いる固体電解コンデンサ及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子回路の高周波化に対応して、
導電性高分子化合物を固体電解質として用いる固体電解
コンデンサが提案されている。導電性高分子化合物層は
その導電率が10S/cm程度と、これまで固体電解質
として一般的に用いられていた二酸化マンガン層などに
比べて100倍程度も高いことから、これを固体電解質
として用いると、ESR(Equivalent Se
ries Resistance:等価直列抵抗)が小
さく高周波領域でのインピーダンスの低い、高周波特性
に優れた固体電解コンデンサが得られるからである。こ
のようなコンデンサは、例えば特公平4ー56445号
公報に開示されている。
【0003】図1に、この種のコンデンサの一例として
のタンタル固体電解コンデンサの、素子の断面図を示
す。この図に示すコンデンサ素子は、以下のようにして
製造される。先ず、弁作用金属(タンタル)を拡面化し
て陽極体1を得る。弁作用金属としては、タンタルの他
にも例えばアルミニウムなどが知られている。拡面化に
は、タンタルの粉末を角柱や円柱などの柱体に成形し、
焼結する方法などが用いられる。その場合、タンタル線
2を、予め柱体の軸方向に延びるように植立しておく。
このタンタル線2は、後に陽極リード線として用いるも
のである。
【0004】次いで、陽極体を陽極酸化し、誘電体層と
しての酸化タンタル(Ta2 5 )皮膜3を形成する。
更に、酸化タンタル皮膜3上に、固体電解質層としての
ポリピロール層(導電性高分子化合物層)4を形成す
る。導電性高分子化合物としては、ポリピロールの他に
も、ポリチオフェン或いはポリアニリンなどが用いられ
る。
【0005】次に、ポリピロール層4の上に、陰極導体
層5を形成する。陰極導体層5は通常、多層構造であ
り、グラファイト層6Bとその上に形成された銀ペース
ト層7とからなる二層構造が良く知られている。グラフ
ァイト層6Bの形成には、グラファイト粒子と例えばエ
ポキシのような樹脂バインダとを混練して得られるグラ
ファイトペーストなどが用いられる。或いは、グラファ
イト粒子を水に攪拌してなる懸濁液にポリピロール層形
成済みの陽極体を浸漬し、加熱、乾燥することによって
も、グラファイト層6Bを得ることができる。
【0006】以上の工程によりタンタル固体電解コンデ
ンサ素子が完成するが、この後、上述の陽極リード線2
に、外部の回路との接続のための外部陽極端子(図示せ
ず)を溶接し、又、陰極導体層5に外部の回路との接続
のための外部陰極端子(図示せず)を導電性接着剤など
で固着した後、最後に、トランスファモールドやディッ
ピングなどにより樹脂外装したり或いは金属ケースに封
入して、タンタル固体電解コンデンサが得られる。
【0007】本発明との関連において、図4に示すコン
デンサ素子に特徴的なのは、陰極導体層5の形成の際
に、陽極リード線2の根元の周辺(これに連接する陽極
体側面端部を含んでもよい)のポリピロール層4は、陰
極導体層5に覆われないように残しておくことである。
これは、陰極導体層中5のグラファイト粒子や銀粒子の
ような導電性粒子が酸化タンタル皮膜3に直接触れる
と、コンデンサとしての漏れ電流特性が著しく低下する
からである。すなわち、陰極導体層5がポリピロール層
4を陽極リード線2側に越え、陽極リード線2と直接接
触するのを避ける必要があるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、固体
電解質として導電性高分子化合物を用いた固体電解コン
デンサは、固体電解質層の導電率を従来の100倍程度
にまで高めることができることからコンデンサとしての
ESRが低く、電子回路の高周波化に対応できる優れた
高周波特性を備えている。
【0009】しかしながら本発明者は、この種のコンデ
ンサにおいては特にこれを高温下におくと、ESRが経
時的、非可逆的に増大して行くことを見出した。
【0010】従って、本発明は、固体電解質として導電
性高分子化合物を用いた固体電解コンデンサであって、
高温下におけるESRの経時的増大のない、高周波特性
に優れた固体電解コンデンサを提供することを目的とす
るものである。
【0011】本発明の他の目的は、上述のような高周波
特性に優れた固体電解コンデンサを製造する方法を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の固体電解コンデ
ンサは、陽極リード線を植立された弁作用金属からなる
陽極体表面に誘電体酸化皮膜、固体電解質層及び陰極導
体層を備える固体電解コンデンサであって、前記固体電
解質層として導電性高分子化合物層を用いた固体電解コ
ンデンサにおいて、前記導電性高分子化合物層への酸素
分子の侵入を阻止するために、前記導電性高分子化合物
層の、前記陽極リード線の根元の周辺にあって前記陰極
導体層に直接覆われない部分を直接覆う、保護用の絶縁
性樹脂層を設けたことを特徴とする。
【0013】本発明の固体電解コンデンサは、上記の固
体電解コンデンサにおいて、前記酸素分子に対する侵入
阻止能力を高めるために、前記陰極導体層を導電性樹脂
層で構成すると共に、前記導電性高分子化合物層が前記
保護用樹脂層に覆われた部分又はその覆われた部分の周
辺において、前記保護用樹脂層と前記陰極導体層とが重
層構造をなすようにことを特徴とする。
【0014】上記の固体電解コンデンサは、前記陽極体
表面に誘電体酸化皮膜及び導電性高分子化合物層をこの
順に順次形成する工程と、前記陽極リード線の根元の周
辺に、その部分の導電性高分子化合物層を覆う保護用の
絶縁性樹脂層を形成する工程と、前記保護用樹脂層及び
これから露出する導電性高分子化合物層上に、前記陰極
導体層を形成する工程とを含むこと特徴とする固体電解
コンデンサの製造方法により製造される。
【0015】本発明の固体電解コンデンサは、上記の固
体電解コンデンサにおいて、前記酸素分子に対する侵入
阻止能力を高めるために、前記陰極導体層の構造を少く
とも2層以上の導電性樹脂層からなる多層構造とすると
共に、前記保護用樹脂層と前記陰極導体層とが重層構造
となっている部分を、前記保護用樹脂層が前記陰極導体
層を構成するいずれかの導電性樹脂層とその下の層とに
挟み込まれる、サンドイッチ構造としたことを特徴とす
る。
【0016】上記の固体電解コンデンサは、前記陽極体
表面に誘電体酸化皮膜及び導電性高分子化合物層をこの
順に順次形成する工程と、前記導電性高分子化合物層上
に、前記陽極リード線の根元周辺の部分を残して、前記
陰極導体層を構成する第1の導電性樹脂層を形成する工
程と、前記第1の導電性樹脂層から露出する導電性高分
子化合物層及びその露出部周辺の第1の導電性樹脂層上
に、前記保護用の絶縁性樹脂層を形成する工程と、前記
保護用樹脂層及びこれから露出する第1の導電性樹脂層
上に前記陰極導体層を構成する第2の導電性樹脂層を形
成する工程とを含むことを特徴とする固体電解コンデン
サの製造方法により製造される。
【0017】本発明者は、導電性高分子化合物層を固体
電解質層として用いるコンデンサの高温下におけるES
Rの経時的増大が、導電性高分子化合物層の酸化による
ものであること及び、その酸化をもたらす酸素分子が、
陽極リード線の根元周辺で、導電性高分子化合物層が陰
極導体層から露出する部分を主たる侵入経路とすること
を見出した。本発明によれば、上記の導電性高分子化合
物層の露出部上に絶縁性の樹脂層を設けることにより、
上記の酸素分子の侵入を阻止し、導電性高分子化合物層
の酸化反応を防止することができる。
【0018】その場合、上記の酸素遮断用(導電性高分
子化合物層保護用)の樹脂層と陰極導体層とが重なり合
うようにすると、酸素分子の侵入経路が長路化するの
で、酸素遮断能力が高くなる。更に、陰極導体層とし
て、グラファイト粒子や銀粒子のような導電性粒子と例
えばエポキシのような樹脂バインダとを混練した導電性
ペーストを用いると、陰極導体層を例えばはんだのよう
な金属100%の層で形成するよりも酸素遮断能力が高
くなる。樹脂層と樹脂層との密着は、樹脂層と金属層と
の密着より強固であることから、保護用樹脂層と導電性
樹脂製の陰極導体層との接触界面に隙間が生じ難いから
である。
【0019】更に、陰極導体層を多層化して、上記の保
護用樹脂層と陰極導体層との重なりの部分では、保護用
樹脂層が陰極導体層を構成するいずれかの導電性樹脂層
とその下の層とに挟み込まれるようなサンドイッチ構造
にすると、酸素遮断能力がより高くなる。保護用樹脂層
と陰極導体層との密着面積が倍加し、しかも保護用樹脂
層が陰極導体層によって圧迫されるので、両者の密接度
がより高くなるからである。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照し、比較例と比較して説明する。
【0021】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態により製造したタンタル固体電解コンデ
ンサ素子の断面図である。先ず、縦、横、高さがいずれ
も1mmの立方体の一つの面にタンタル線2を植立した
タンタル焼結陽極体1を得る。その後、立方体の上1m
m迄つまりタンタル線2の根元から1mm上迄を、0.
01wt%のリン酸水溶液に浸漬し35Vの直流電圧を
印加して、陽極酸化による酸化タンタル皮膜3を形成す
る。次いで、公知の技術により、導電性高分子化合物で
あるポリピロールの層4を形成する。
【0022】続いて、陽極リード線2の周辺にエポキシ
樹脂を塗布し、150℃の窒素雰囲気下で60分間の熱
処理を施して硬化させ、保護用樹脂層8Aを得る。ここ
で、図1に示すとおり、樹脂層8Aはコンデンサ素子の
陽極リード線植立面と、これに連なる側面の上から0.
2mm迄を覆うように形成する。ポリピロール層4と樹
脂層8Aとがコンデンサ素子側面でなす重層部分の表面
積と、陽極リード線を除くコンデンサ素子の表面積との
比率は、約13%になる。
【0023】この後、グラファイト粒子と液状樹脂とを
混練してなるグラファイトペーストを、陽極リード線2
に接触しないようにしてコンデンサ素子全表面に塗布
し、150℃の窒素雰囲気下で60分間加熱処理して、
第1の導電性樹脂層であるグラファイト層6Aを得る。
続いて、銀粒子と液状樹脂とを混練してなる銀ペースト
を、グラファイト層6Aに一致して重なるように塗布
し、150℃の窒素雰囲気下で60分間加熱し硬化させ
て、第2の導電性樹脂層である銀ペースト層7を得る。
【0024】このようにして完成したコンデンサ素子を
105℃の恒温槽中に放置し、100kHzでのESR
の経時変化の様子を観察した。周波数100kHzにお
けるESRは、コンデンサ素子になしたときの導電性高
分子化合物の導電性を評価するのに適していることか
ら、これを採用した。結果を、表1に示す。
【0025】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態により、図2にその断面を示すタンタル固
体電解コンデンサを製造した。先ず、第1の実施の形態
におけると同様にして、ポリピロール層4までを形成す
る。
【0026】次に、第1の実施の形態におけると同じグ
ラファイトペーストを、陽極リード植立面を除くコンデ
ンサ素子の全外表面に塗布し、第1の実施の形態におけ
ると同様に加熱、硬化させ、第1の導電性樹脂層である
グラファイト層6Aを得る。
【0027】続いて、陽極リード線2の周辺にエポキシ
樹脂を塗布し、第1の実施の形態におけると同様に加
熱、硬化させて保護用樹脂層8Bを得る。ここで、図2
に示すように、樹脂層8Bはコンデンサ素子の陽極リー
ド線植立面とこれに連なる側面の上から0.2mmまで
を覆うように形成されている。陽極リード線植立面を除
くコンデンサ素子表面積に対してグラファイト層6Aと
樹脂層8Bとが重層する部分の面積が占る比率は、約1
3%になる。
【0028】このあと、第1の実施の形態におけると同
じ銀ペーストを、グラファイト層6Aと一致するよう
に、陽極リード線植立面を除くコンデンサ素子の全外表
面に塗布し、第1の実施の形態と同様に加熱、硬化させ
て、第2の導電性樹脂層である銀ペースト層7を得る。
【0029】このようにして完成したコンデンサ素子を
105℃の恒温槽中に放置し、100kHzでのESR
が経時変化する様子を観察した。その結果を表1に示
す。
【0030】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態により、図3にその断面を示すタンタル固
体電解コンデンサを製造した。先ず、第1の実施の形態
におけると同様にして、ポリピロール層4までを形成す
る。
【0031】次いで、第1の実施の形態におけると同じ
グラファイトペーストを、陽極リード線植立面を除くコ
ンデンサ素子の全外表面に塗布し、第1の実施の形態に
おけると同様に加熱、硬化させて、第1の導電性樹脂層
であるグラファイト層6Aを得る。
【0032】更に、第1の実施の形態におけると同じ銀
ペーストを、グラファイト層6A一致して重なるように
塗布し、第1の実施の形態におけると同様に加熱、硬化
させて、第2の導電性樹脂層である銀ペースト層7を得
る。
【0033】最後に、エポキシ樹脂を陽極リード線周辺
に塗布した後、第1の実施の形態におけると同様にして
加熱、硬化させて、保護用樹脂層8Cを得る。
【0034】このようにして完成したコンデンサ素子を
105℃の恒温槽中に放置し、100kHzでのESR
が経時変化する様子を観察した。その結果を表1に示
す。
【0035】(比較例)これまでの実施の形態によるコ
ンデンサと比較するために、図4にその断面を示す比較
例のタンタル固体電解コンデンサを製造した。先ず、第
1の実施の形態におけると同様にして、ポリピロール層
4までを形成する。
【0036】次に、グラファイト粒子を水に攪拌してな
る懸濁液に浸漬した後、加熱、乾燥させて、第1の導電
性樹脂層であるグラファイト層6Bを得る。
【0037】続いて、第1の実施例におけると同じ銀ペ
ーストを、グラファイト層6Bに一致して重なるように
塗布し、第1の実施の形態におけると同様に加熱、硬化
させて、第2の導電性樹脂層である銀ペースト層7を得
る。
【0038】このようにして完成したコンデンサ素子を
105℃の恒温槽中に放置し、100kHzでのESR
が経時変化する様子を観察した。その結果を表1に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】表1を参照して第3の実施の形態と比較例
とを比較すると、第3の実施の形態では、1000時間
後のESRが初期値の2.21倍にしか増大していない
のに対し、比較例では5.68倍にも増大している。こ
のことから、ポリピロール層4のグラファイト層6Aか
らの露出部を保護用樹脂層8Cで覆うことにより、ES
Rの増大を抑制できることが分る。これは、第3の実
施の形態における保護用樹脂層8Cが樹脂製であること
から、それ自体が酸素遮断性を持つこと、比較例にお
けるグラファイト層6Bは懸濁液から形成したものであ
って、構造が疎で酸素透過性であるのに対し、第3の実
施の形態におけるグラファイト層6Aは樹脂を含み、酸
素透過性が低いこと及び、第3の実施の形態では、保
護用樹脂層8Cとグラファイト層6Aとが共に樹脂を含
んでいることから、両者の間の密着性が高く接触界面が
難剥離性で隙間が生じ難いこと、によりもたらされたも
のと考えられる。
【0041】次に、第1の実施の形態および第2の実施
の形態では1000時間後に、ESRが初期値のそれぞ
れ1.43倍、1.47倍にしかなっていない。この二
つの実施の形態と第3の実施の形態とを比較すると、第
1および第2の実施の形態にのように、保護用樹脂層8
A,8Bが、多層構造の陰極導体層を構成するいずれか
の導電性樹脂層とその下の層とに挟み込まれるようにし
てサンドイッチ構造にすると、第3の実施の形態のよう
に、保護用樹脂層8Cが、陰極導体層の最上層の銀ペー
スト層7の更に上に重なる構造よりも、ESR上昇防止
効果が大きいことが分る。これは、第1および第2の実
施の形態では、保護用樹脂層8A,8Bとグラファイト
層6Aおよび銀ペースト層7との接触界面すなわち酸素
の侵入経路の長さが、第3の実施の形態に比べて倍増し
ており、このことから両者の接触面積が増大しているこ
と及び、保護用樹脂層8A,8Bが、銀ペースト層7と
グラファイト層6A(第1の実施の形態)又は銀ペース
ト層7(第2の実施の形態の場合)により押え付けられ
ていることとにより、保護用樹脂層8A,8Bと陰極導
体層との間の密着力が高まった結果であると考えられ
る。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の固体電解
コンデンサでは、固体電解質として導電性高分子化合物
を用いるコンデンサに対し、陽極リード線の根元周辺の
導電性高分子化合物上に保護用の絶縁性樹脂層を設ける
こにより、導電性高分子化合物への酸素分子の侵入を遮
断している。これにより、本発明によれば、高温下での
ESR増大のない、高周波特性に優れた固体電解コンデ
ンサを提供できる。
【0043】上記の固体電解コンデンサにおいて、陰極
導体層を導電性樹脂層で形成すると共に、この導電性樹
脂層と上記の保護用樹脂層とが重なり合う部分を設ける
と、両者が含む樹脂層間の密着力により双方の接触界面
に隙間が生じ難くなるので、酸素遮断能力を更に高め、
コンデンサのESR増大防止効果を高めることができ
る。
【0044】又、上記の導電性樹脂製の陰極導体層を少
くとも2層以上の多層構造とし、上述の陰極導体層と保
護用樹脂層とが重なる部分で、保護用樹脂層が陰極導体
層を構成するいずれかの導電性樹脂層とその下の層とに
挟み込まれるサンドイッチ構造にすると、コンデンサの
ESR増大防止効果を更に高くできる。
【0045】上記のサンドイッチ構造の部分は、陽極リ
ード線植立面からの距離(コンデンサ素子側面での軸方
向に亘る幅)を0.1mm以上とし、その部分の面積が
陽極リード線を除くコンデンサ素子表面積に占る比率を
25%以下にすると、静電容量の低下が少なく、しかも
十分なESR増大防止効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるタンタル固体
電解コンデンサ素子の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態によるタンタル固体
電解コンデンサ素子の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態によるタンタル固体
電解コンデンサ素子の断面図である。
【図4】従来の技術によるタンタル固体電解コンデンサ
素子の一例の断面図である。
【符号の説明】
1 陽極体 2 陽極リード線 3 酸化タンタル皮膜 4 ポリピロール層 5 陰極導体層 6A,6B グラファイト層 7 銀ペースト層 8A,8B,8C 保護用樹脂層
フロントページの続き (72)発明者 小林 淳 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−171223(JP,A) 特開 平7−153649(JP,A) 実開 平1−118429(JP,U) 特公 昭35−8364(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01G 9/012 H01G 9/028 H01G 9/04

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極リード線を植立された弁作用金属か
    らなる陽極体表面に誘電体酸化皮膜、固体電解質層及び
    陰極導体層を備える固体電解コンデンサであって、前記
    固体電解質層に導電性高分子化合物を用いた固体電解コ
    ンデンサにおいて、前記導電性高分子化合物層への酸素
    分子の侵入を阻止するために、 前記導電性高分子化合物層の、前記陽極リード線の根元
    の周辺にあって前記陰極導体層に直接覆われない部分を
    直接覆う、保護用の絶縁性樹脂層を設けたことを特徴と
    する固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の固体電解コンデンサにお
    いて、前記酸素分子に対する侵入阻止能力を高めるため
    に、 前記陰極導体層を導電性樹脂層で構成すると共に、前記
    導電性高分子化合物層が前記保護用樹脂層に覆われた部
    分又はその覆われた部分の周辺において、前記保護用樹
    脂層と前記陰極導体層とが重層構造をなすようにしたこ
    とを特徴とする固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の固体電解コンデンサにお
    いて、前記酸素分子に対する侵入阻止能力を高めるため
    に、 前記陰極導体層の構造を少くとも2層以上の導電性樹脂
    層からなる多層構造とすると共に、前記保護用樹脂層と
    前記陰極導体層とが重層構造となっている部分を、前記
    保護用樹脂層が前記陰極導体層を構成するいずれかの導
    電性樹脂層とその下の層とに挟み込まれる、サンドイッ
    チ構造としたことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 柱体でその柱体の一方の端面には軸方向
    に延びる陽極リード線が植立された弁作用金属からなる
    陽極体表面に誘電体酸化皮膜と、固体電解質層としての
    導電性高分子化合物層と、少くとも2層以上の多層構造
    の陰極導体層であって、積層順位第1の最下層がグラフ
    ァイト粒子を含む樹脂層からなる第1の導電性樹脂層で
    構成され、第2層目以降の層が金属粒子を含む樹脂層か
    らなる第2の導電性樹脂層で構成される陰極導体層とが
    この順に重なる部分を備えるコンデンサ素子と、そのコ
    ンデンサ素子全体を封止する外装体と、前記コンデンサ
    素子の陰極導体層及び陽極リード線のそれぞれから前記
    外装体の外部に引き出された陰・陽一対の外部端子とを
    含む固体電解コンデンサにおいて、 前記導電性高分子化合物層の、前記陽極リード線の根元
    の周辺にあって前記陰極導体層に直接覆われない部分を
    直接覆う、保護用の絶縁性樹脂層を設けたことを特徴と
    する固体電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の固体電解コンデンサにお
    いて、 前記保護用樹脂層が前記導電性高分子化合物層を覆う部
    分の上に、前記陰極導体層を構成する第1の導電性樹脂
    層が前記陽極リード線植立面に対向する面側から延在し
    て、重層構造をなしていることを特徴とする固体電解コ
    ンデンサ。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の固体電解コンデンサにお
    いて、 前記保護用樹脂層と前記第1の導電性樹脂層とでなす重
    層構造の部分は、重なり幅が0.1mm以上であり、そ
    の表面積がコンデンサ素子の陽極リード植立面を除く表
    面積に占る比率が25%以下であることを特徴とする固
    体電解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の固体電解コンデンサにお
    いて、 前記保護用樹脂層が、前記陽極リード線の根元周辺の導
    電性高分子化合物層を覆うと共に、その覆った部分の周
    辺の前記第1の導電性樹脂層上に延在して第2の重層構
    造を形成し、その第2の重層構造の上に前記第2の導電
    性樹脂層が重層している構造であることを特徴とする固
    体電解コンデンサ。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の固体電解コンデンサにお
    いて、 前記第2の重層構造の部分は、重なり幅が0.1mm以
    上であり、その表面積がコンデンサ素子の陽極リード植
    立面を除く表面積に占る比率が25%以下であることを
    特徴とする固体電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 請求項4記載の固体電解コンデンサにお
    いて、 前記保護用樹脂層が、前記陽極リード線の根元周辺の導
    電性高分子化合物層を覆うと共に、その覆った部分の周
    辺の最上層の第2の導電性樹脂層上に延在して第3の重
    層構造を形成していることを特徴とする固体電解コンデ
    ンサ。
  10. 【請求項10】 前記陽極体表面に誘電体酸化皮膜及び
    導電性高分子化合物層をこの順に順次形成する工程と、 前記陽極リード線の根元の周辺に、その部分の導電性高
    分子化合物層を覆う保護用の絶縁性樹脂層を形成する工
    程と、 前記保護用樹脂層及びこれから露出する導電性高分子化
    合物層上に、前記陰極導体層を構成する第1の導電性樹
    脂層及び第2の導電性樹脂層を順次形成する工程とを含
    むこと特徴とする、請求項5記載の固体電解コンデンサ
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記陽極体表面に誘電体酸化皮膜及び
    導電性高分子化合物層をこの順に順次形成する工程と、 前記導電性高分子化合物層上に、前記陽極リード線の根
    元周辺の部分を残して、前記陰極導体層を構成する第1
    の導電性樹脂層を形成する工程と、 前記第1の導電性樹脂層から露出する導電性高分子化合
    物層及びその露出部周辺の第1の導電性樹脂層上に、前
    記保護用の絶縁性樹脂層を形成する工程と、 前記保護用樹脂層及びこれから露出する第1の導電性樹
    脂層上に前記陰極導体層を構成する第2の導電性樹脂層
    を形成する工程とを含むことを特徴とする、請求項7記
    載の固体電解コンデンサの製造方法。
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