JP2775875B2 - ミシン用布厚検出装置 - Google Patents

ミシン用布厚検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明はミシン用布厚検出装置に関する。
[従来の技術] 従来から、直線縫いや模様縫いをするときに、その縫
目形成に必要な上糸量を算出して、その必要糸量を糸駒
から天秤に繰り出す装置を備えたミシンが知られてい
る。この必要糸量は、縫製される布厚等に依存するか
ら、必要糸量を算出するために、布厚を検出する布厚検
出装置が用いられている。かかる縫厚検出装置の一例を
第6図に示すが、この布厚検出装置は、押さえ棒の上下
動に連動したポテンショメータpの出力電圧を、演算増
幅器(以下、OPアンプという)aに入力し、そのOPアン
プaの出力をA/Dコンバータcを介してマイクロコンピ
ュータ(以下、CPUと呼ぶ)に入力して、布厚を検出す
るのである。この装置では、OPアンプaのマイナス端子
に入力される電圧を基準電圧として、ポテンショメータ
pの出力電圧を増幅し、CPUによりOPアンプaの出力電
圧に対応した値を布厚として検出している。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記のような構成をとる布厚検出装置
では、ポテンショメータpの組み付けや各素子等の個体
差により、基準電圧や増幅度が各装置毎に異なってしま
うため、製品出荷時には初期設定として各装置毎にそれ
らを調整する必要がある。この調整は、まず布厚が0mm
時、即ち、加工布をミシンに装着せずに押さえ足を降ろ
した状態を第1の基準位置として、そのときのOPアンプ
aのマイナス端子側に接続された可変抵抗r1の基準電圧
vr1とポテショメータpの出力電圧vpとが同じになるよ
うに、電圧チェッカー等を確認しつつ可変抵抗r1を操作
して行なっている。次に、第2の基準位置として、ミシ
ンの押さえ足の下に所定の厚さの針板を挿入して、この
ときのA/Dコンバータcに入力される電圧vr2が所定値に
なるように可変抵抗r2を調整する。即ち、増幅度を調整
するのである。更に、これらの可変抵抗r1,r2の調整
は、他方に影響を及ぼすことから、正確に調整するため
には、これらの調整を交互に繰り返し行なう必要があっ
た。
このように、布厚を検出するために予め設定しておく
基準電圧等の調整は、非常に手間を要するものであっ
た。また、製品出荷時だけでなく、部品取替等の分解修
理後においても、現地にてこのような調整をする必要が
あり、修理者等の手を非常に煩わせていた。また、ポテ
ンショメータpの回転角度と抵抗値との関係にもかなり
の個体差があり、厚の検出はあまり精度の高いものとは
いえなかった。
本発明のミシン用布厚検出装置は上記課題を解決し、
布厚を検出するための初期設定を容易にすると共に、高
精度に布厚を検出することを目的とする。
発明の構成 かかる目的を達成する本発明の構成について以下説明
する。
[課題を解決するための手段] 本発明のミシン用布厚検出装置は、 布を押さえる押さえ足とともに上下動する押さえ棒
と、 該押さえ棒の上下位置によって値が変化する電気信号
を出力する変換器と、 該変換器から出力される電気信号が示す値と、上記押
さえ棒の上下位置に相当する値との対応関係を記憶する
不揮発性メモリと、 該不揮発性メモリに記憶された対応関係に基づいて、
上記変換器から出力される電気信号が示す値を、上記押
さえ棒の上下位置に相当する値に補正し、その補正され
た値に基づいて布厚を算出する布厚算出手段と を備えたことを特徴とするものである。
このミシン用布厚検出装置は、 初期設定操作が行われた時に上記変換器から出力され
ている電気信号が示す値と、上記押さえ棒の実際の上下
位置とは無関係に別途特定されている基準値とを対応さ
せて、その対応関係を上記不揮発性メモリに記憶させる
対応関係初期化手段 を備えていてもよく、さらに、 初期設定操作が行われた時に上記変換器から出力され
ている電気信号の示す値が、適正範囲内にあるかどうか
を判断し、適正範囲外の場合には異常を報知する処理を
行う異常報知手段 を備えていてもよい。
[作用] 上記構成を有する本発明のミシン用布厚検出装置にお
いては、変換器から出力される電気信号と押さえ棒の上
下位置との対応関係が不揮発性メモリに記憶されてい
て、布厚算出手段が、不揮発性メモリに記憶された対応
関係に基づいて、変換器から出力される電気信号が示す
値を、押さえ棒の上下位置に相当する値に補正し、その
補正された値に基づいて布厚を算出する。
したがって、変換器から出力される電気信号が、例え
ば各種部品の組み付けや構成素子等の個体差が原因で、
各装置毎に異なった値を示す状態にある場合でも、各装
置毎に記憶された対応関係に基づいて補正された押さえ
棒の上下位置から、正確な布厚を算出することができ
る。また、このような構成を採用すると、変換器から出
力される電気信号自体のばらつきは許容されることにな
るので、変換器は、例えば可変抵抗器のような「電気信
号のレベルを調整可能な構成」を備えていなくてもよ
く、その結果、部品点数の少ない簡素な構成になる。
また、上記対応関係初期化手段を備えている場合に
は、押さえ棒の実際の上下位置とは無関係に別途特定さ
れているある基準値と、押さえ棒の実際の上下位置とが
一致するように、作業者が押さえ棒の上下位置を調節す
る操作を行い、その上で、例えばキー入力などの方法に
よって作業者が初期設定操作を行えば、後は自動的に、
対応関係初期化手段が、初期設定操作時に変換器から出
力されている電気信号が示す値と、上記基準値とを対応
させて、その対応関係を不揮発性メモリに記憶させる。
したがって、初期設定を実施する際、作業者は、従来
のような面倒な作業を行わなくても、微妙な調整をまっ
たく要しない操作を行うだけでよくなり、初期設定作業
をきわめて簡単且つ迅速に完了させることができるよう
になる。また、初期設定の際に、変換器から出力される
電気信号のレベルを確認するための計測器等を必要とし
ないので、計測器等が用意されていない現場や、こうし
た計測器等の使用方法を知らない作業者であっても、簡
単に初期設定作業を行うことができる。
さらに、上記異常報知手段を備えている場合には、初
期設定操作が行われた時に、異常報知手段によって、変
換器から出力されている電気信号の示す値が適正範囲内
にないと判断されると異常が報知される。
したがって、変換器が故障している場合、あるいは、
上記基準値に対応した上下位置とは明らかに異なる上下
位置に押さえ棒が移動した状態のまま初期設定操作が行
われた場合には、そのような異常を察知して必要な対処
を行うことができる。
[実施例] 以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにする
ために、以下本発明のミシン用布厚検出装置の好適な実
施例について説明する。
第1図は、一実施例としてのミシン用布厚検出装置の
概略構成を表す説明図である。
ミシン本体の頭部には、先端に縫針3を装着した針棒
1が上下往復可能に設けられると共に、この針棒1に近
接して押さえ足7を先端に装着した押さえ棒5が昇降可
能に設けられている。この押さえ棒5を下降させて押さ
え足7がミシンベッド9上面を押圧する縫製位置と、押
さえ棒5を上昇させて押さえ足7をミシンベッド9上面
から離隔する休止位置とに亘って、押さえ棒5を図示し
ないカムにより上下駆動させる操作レバー11が設けられ
ている。
押さえ棒5の中間部には、ラック13が固着されてお
り、このラック13に噛み合うように、ギヤ15を出力軸に
固着したポテンショメータ17がミシン機枠に取り付けら
れている。ポテンショメータ17は、その固定側抵抗器両
端に5(V)の電圧が印加されており、その可動側出力
には、ポテンショメータ17の回転角度に対応する電圧
[0〜5(V)]が現れる。従って、押さえ足7に押さ
えられて縫製される加工布の厚さ応じて押さえ棒5の上
下位置が変化すると、ポテンショメータ17が回転し、布
厚にリニアに対応した電圧を電子制御装置21に出力す
る。
電子制御装置21は、アナログ信号をデジタル信号に変
換するA/Dコンバータ23と、周知のCPU,RAM,ROM等を備え
たいわゆる算術論理回路として構成されたCPU部25と、
電気的に書換えのできる読み出し専用メモリであるEEP
−ROM27とを備える。
この電子制御装置21は、製品出荷時あるいは部品取替
修理時において、予め押さえ棒5の2つの上下位置に対
応するポテンショメータ17の出力電圧を初期設定用の基
準値としてEEP−ROM27に記憶し、縫製時には、その基準
値に基づいて、ポテンショメータ17からの出力電圧から
加工布の厚さを演算するものである。
この電子制御装置21が実行する布厚検出用基準値の入
力処理について説明する。第2図は、基準値入力ルーチ
ンを示すフローチャートである。このルーチンが起動さ
れると、まず、布厚検出用基準値の入力モードか否かを
判断する(ステップ100)。この基準値入力モードは、
図示しない操作キーと電源スイッチとを同時にオンする
ことにより種々の調整を行なうテストパターンモードを
選択し、更に、このテストパターンモードの内から操作
キーにより選択される。基準値入力モードが選択されな
い場合には、本ルーチンを終了し、選択された場合に
は、次のステップ110以下の処理に移る。
基準値入力として布厚0mm用基準値を入力する場合、
まず、押さえ足7とミシンベッド9上面との間に加工布
を挿入せずに押さえ棒5を下降させた状態とする。この
状態で、基準値布厚0mmの入力ボタン(図示略)を操作
すると、ステップ110でのこの入力ボタンがオンかの判
断は「YES」となり、ポテンショメータ17の出力電圧をA
/Dコンバータ23によりデジタル量に変換して、CPU部25
を介してEEP−ROM27に記憶する(ステップ120)。即
ち、布厚0mmにおけるポテンショメータ17の出力電圧値V
0を記憶するのである。ステップ120の処理後あるいは基
準値布厚0mmの入力ボタンがオンでないときは、基準値
布厚3mmの入力ボタン(図示略)がオンされたかを判断
する。この場合においても、予め、押さえ足7とミシン
ベッド9上面との間に厚さ3mmの針板を挿入し、押さえ
棒5を下降させておく。オンであるならば、ステップ12
0と同様にして、この状態におけるポテンショメータ17
の出力電圧値V1をEEP−ROM27に記憶する(ステップ14
0)。ステップ140の処理後あるいは基準値布厚3mmの入
力ボタンがオンでないときは、ポテンショメータ17の2
組の出力電圧値V1,V2をEEP−ROM27に記憶したかを判断
し(ステップ150)、記憶するまで本ルーチンを繰り返
す。
以上説明した基準値入力ルーチンにより布厚検出用の
基準値が入力されると、布厚検出装置は縫製時において
加工布の布厚を以下のように検出する。
基準値入力ルーチンにて得られた押さえ棒5の上下位
置(0mm,3mm)とポテンショメータ17の出力電圧値(V0,
V1)との関係に基づいて、検出すべき布厚tとそれに対
応するポテンショメータの出力電圧Vとの関係は次式の
ようになる。
この関係式をグラフに表すと第3図のようになる。従
って、加工布を押さえ足7とミシンベッド9上面との間
に挟持したときにおけるポテンショメータ17の出力電圧
値Vが求められれば、その布厚tは、 として算出される。
このような関係に基づいて、CPU部25は、第4図のフ
ローチャートに示すように、EEP−ROM27に記憶された出
力電圧値V0,V1を読み込む(ステップ200)と共に、ポテ
ンショメータ17の出力電圧値Vを読み込み(ステップ21
0)、上記式から加工布の布厚tを算出するのである
(ステップ220)。
なお、以上説明した実施例において、ポテンショメー
タ17が本発明の変換器に相当し、EEP−ROM27が本発明の
不揮発性メモリに相当し、第4図に示した処理を実行す
るCPU部25が布厚算出手段に相当する。また、第2図に
示した処理を実行するCPU部25が対応関係初期化手段に
相当し、第5図に示した処理を実行するCPU部25が異常
報知手段に相当する。
以上説明した本実施例のミシン用布厚検出装置は、押
さえ棒5の2つの特定した上下位置に対するポテンショ
メータ17の出力電圧値V0,V1をEEP−ROM27に記憶させる
だけで、布厚検出の初期設定を行なうことができるた
め、従来のような手間のかかる調整が不要となる。ま
た、構成も簡易になり、部品点数も低減できる。更に、
この初期設定では、キャリブレーションが行なわれてい
るため、検出された布厚はポテンショメータ17やミシン
各部の個体差に影響されず、非常に正確なものとなる。
ところで、このような調整は、製品出荷時に限るもの
ではなく、部品取替等の修理時においても必要とされる
が、本実施例のミシン用布厚検出装置では、その修理現
場にて計測器等を用いることなく簡単に行なうことがで
き、特別な技能も要しない。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこ
うした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し
得ることは勿論である。
例えば、EEP−ROM27に記憶するデータとして、ポテン
ショメータ17の出力電圧値V0,V1から算出される一次関
数の傾きk[k=(V1−V0)/3]と、布厚0mmの場合の
ポテンショメータ17の出力電圧値V0とを記憶させてもよ
い。この場合、布厚tは、 t=(V−V0)/k として求められる。
また、ポテンショメータ17の異常を検出するために、
第2図に示した基準値入力ルーチンに、第5図に示す処
理を追加して、一層信頼性を向上させてもよい。即ち、
EEP−ROM27に記憶されたポテンショメータ17の出力電圧
値V0が適正範囲内にあるかどうかを判断し(ステップ12
4)、適正範囲外の場合には、図示しない液晶表示部に
異常表示を行なう(ステップ126)のである。この処理
によれば、ポテンショメータ17の異常検出のみならず、
操作ミスによる不適切な基準値の入力も防止される。例
えば、布厚0mm用基準値の入力時に、誤って針板を押さ
え足7の下に挿入してしまい、間違った基準値が入力さ
れることも防止される。尚、本実施例では、出力電圧値
V0を0.5(V)から1.5(V)の範囲を適正範囲と設定し
ている。
更に、押さえ棒5の上下位置に対応した電圧を出力す
るポテンショメータ17に代えて、容量性素子や光素子等
を利用したセンサにより構成してもよい。
発明の効果 以上詳述したように、本発明のミシン用布厚検出装置
によれば、変換器から出力される電気信号が各装置毎に
異なった値を示す状態にある場合でも、正確な布厚を算
出することができる。また、変換器については、可変抵
抗器等を備えていなくてもよくなり、その結果、部品点
数の少ない簡素な構成になる。
また、上記対応関係初期化手段を備えている場合に
は、初期設定作業をきわめて簡単且つ迅速に完了させる
ことができる。また、計測器等が用意されていない現場
や、こうした計測器等の使用方法を知らない作業者であ
っても、簡単に初期設定作業を行うことができる。
さらに、上記異常報知手段を備えていれば、変換器が
故障している場合、あるいは、上記基準値に対応した上
下位置とは明らかに異なる上下位置に押さえ棒が移動し
た状態のまま初期設定操作が行われた場合であっても、
そのような異常を察知して必要な対処を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例としてのミシン用布厚検出装置
の概略を示す説明図、第2図は基準値入力ルーチンを示
すフローチャート、第3図は布厚とポテンショメータの
出力電圧との関係を表すグラフ、第4図は布厚検出ルー
チンを示すフローチャート、第5図はポテンショメータ
の異常を検出する処理を示すフローチャートの一部、第
6図は従来技術を示す説明図である。 5……押さえ棒、7……押さえ足 17……ポテンショメータ、20……電子制御装置 27……EEP−ROM

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】布を押さえる押さえ足とともに上下動する
    押さえ棒と、 該押さえ棒の上下位置によって値が変化する電気信号を
    出力する変換器と、 該変換器から出力される電気信号が示す値と、上記押さ
    え棒の上下位置に相当する値との対応関係を記憶する不
    揮発性メモリと、 該不揮発性メモリに記憶された対応関係に基づいて、上
    記変換器から出力される電気信号が示す値を、上記押さ
    え棒の上下位置に相当する値に補正し、その補正された
    値に基づいて布厚を算出する布厚算出手段と を備えたことを特徴とするミシン用布厚検出装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載のミシン用布厚検出装置にお
    いて、 初期設定操作が行われた時に上記変換器から出力されて
    いる電気信号が示す値と、上記押さえ棒の実際の上下位
    置とは無関係に別途特定されている基準値とを対応させ
    て、その対応関係を上記不揮発性メモリに記憶させる対
    応関係初期化手段 を備えたことを特徴とするミシン用布厚検出装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載のミシン用布厚検出装置にお
    いて、 初期設定操作が行われた時に上記変換器から出力されて
    いる電気信号の示す値が、適正範囲内にあるかどうかを
    判断し、適正範囲外の場合には異常を報知する処理を行
    う異常報知手段 を備えたことを特徴とするミシン用布厚検出装置。
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