JP2775276B2 - 眼屈折力測定装置 - Google Patents

眼屈折力測定装置

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は眼屈折力測定装置、特に小児から乳幼児に対
しても有用である眼屈折力測定装置に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来、眼屈折力測定装置としては、被検者の応答を基
に眼屈折力を測定する所謂自覚式検眼器、被検眼を他覚
的に測定する所謂オートレフラクトメータ等の装置が知
られている。
然し乍ら、この種の装置で乳幼児の測定を行なう場
合、乳幼児の協力を得られない為自覚式検眼器では測定
ができず、又一般のオートレフラクトメータでは被検眼
の位置を固定しなくてはならないが、乳幼児の場合被検
眼の位置の固定が難しく、測定は極めて困難であるとい
う欠点を有していた。
これらの欠点を解消する為、ストロボ光で被検眼眼底
を照明し、被検眼の瞳孔での光束の状態をカメラで撮影
し、その結果から被検眼の眼屈折力を測定するいわゆる
フォトレフラクション方式の測定方法が提案されてい
る。
このフォトレフラクション方式の測定に於いては、被
検眼の光軸が少しずれても充分に測定をすることがで
き、被検眼を固定することが困難である乳幼児の眼屈折
力の測定には有用であるとされているものである。
[発明が解決しようとする課題] 然し乍ら、斯かるフォトレフラクション方式のもので
は、ストロボ光の投影光軸とカメラの撮影光軸とが同軸
でなく、その為ディオプター感度がなく、測定不可能な
ディオプター値が存在するという欠点を有している。
更に、一般のカメラで撮影する為、撮影されたフィル
ム面での像を解析し、この解析から眼屈折力を算出しな
くてはならず、精度の高い測定結果を瞬時に得られない
という欠点を有しているものである。
本発明は、上記実情に鑑みなしたものであり、いかな
るディオプター値でも測定が可能で且瞬時に測定結果を
得ることができる眼屈折力測定装置を提供しようとする
ものである。
[課題を解決する為の手段] 本発明は、被検眼眼底に光源像を投影する為の投影系
と、被検眼瞳孔と略共役位置に配置された受光素子と、
前記投影系と同軸に配置され前記受光素子上に前記眼底
からの光束を集光する受光系と、前記眼底からの光束の
一部を遮光する様に該受光系の光路内に配置されるエッ
ヂ状の遮光部材とを有し、前記受光素子上に投影された
光束の形状又は光量分布状態を基に被検眼の屈折力を測
定し得る様に構成したことを特徴とするものである。
[作用] 被検眼の眼屈折力の相違により、遮光部材による光束
を遮光する状態が異なってくる。この遮光の状態と眼屈
折力とは対応し、受光素子に投影された光束の状態、即
ち形状、光量分布を基に眼屈折力を測定できる。
[実 施 例] 以下図面を参照しつつ本発明の一実施例を説明する。
第1図に於いて、1は光源像を被検眼3の眼底7に投
影する為の投影系であり、2は眼底7により反射された
光束10を受光する為の受光系であり、投影系1及び受光
系2は被検眼3に対向して配置される。
前記投影系1は、光源4及び光源4からの光束11を被
検眼3に向けて反射させる為のハーフミラー5から成
り、該投影系1は光源4からの光束11を瞳孔6を通して
眼底7上に光源4の像を形成する様に投影するもので、
被検眼3の眼屈折力が基準ディオプター値(基準屈折
力)の場合に眼底7上に光源4の像が合焦されるように
光源4と被検眼3との距離が設定されている。
前記受光系2は、対物レンズ8及び受光素子9から成
り、眼底7からの光束10はハーフミラー5を透過して受
光素子9上に導かれる。
該受光素子9は、エリアCCD、撮像管或はこれらの2
以上の集合体であり、受光素子9の受光面9aは対物レン
ズ8に関して被検眼3の瞳孔6と共役位置に配置され
る。
前記受光系2の光路内には、ハーフミラー5に関して
光源4と共役な位置に対物レンズ8の光軸Oを境界とし
て光束10の片側を遮光する為のエッヂ状の遮光部材12を
配置する。
又、前記受光素子9には演算器13が接続され、該演算
器13は受光素子9の受光状態、光量分布よりディオプタ
ー値を演算し、その結果を表示器14に出力する様になっ
ている。
以下作用を説明する。
第2図(A)に示す様に、被検眼3のディオプター値
が基準ディオプター値に比べて負のディオプター値の場
合には、光源4の像は眼底7の前方で結像され、この光
束により照明された眼底7上の内、光軸上の1点で反射
された光束10を考えると、この光束10は遮光部材12の前
方、即ち被検眼3側で集光され、対物レンズ8により受
光素子9上に投影される光束の上半分(斜線部分)が遮
光される。一方、第2図(B)に示す様に、被検眼のデ
ィオプター値が基準ディオプター値の場合には、光束10
は遮光部材12上に集光されるもので、光束10は遮光部材
12によって遮られない。
又、第2図(C)に示す様に、被検眼3のディオプタ
ー値が基準ディオプター値より正の場合には、光源4の
像は眼底7の後方で結像するように投影され、前述と同
様に眼底7で反射された光束10は遮光部材12の後方、即
ち受光素子9側で集光され、受光素子9上に投影される
光束10は第2図(A)とは逆の部分の光束(図中では上
半分)が遮光される。
而して、受光面9aに投影される光束は基準ディオプタ
ー値に対して被検眼3のディオプター値の大小、正負に
よって光量分布状態が変化し、この光量分布状態を基に
ディオプター値が求められる。
受光素子9はこの受光面9aに形成される光束の光量分
布を検出する為のものであり、前記演算器13は受光素子
9からの信号を基に、受光面9a上に形成される光束の光
量分布を検出し、基準となるディオプター値に対し被検
眼の眼屈折力が正か負かを判断すると共にその絶対値を
演算し、演算結果を表示器14に出力し、表示器14は求め
られた結果を表示する。
尚、上記実施例では光束分離手段としてハーフミラー
を使用したが、ビームスプリッター、偏光プリズム等種
々の光束分離手段を用いることは勿論である。
以下第3図(A)〜(E)に於いて、受光面9aに形成
される光束の光量分布状態を説明する。
尚、第3図(A)〜(E)に於いて、説明を簡略化す
る為、光源4の光軸と受光系の光軸とを合致させ且遮光
部材12と対物レンズ8とを一致させている。この為、光
源4と対物レンズ8とは同一位置で重ね合わせて示して
おり、遮光部材12は省略して示している。
第3図(A)〜(E)は被検眼の屈折力Dが基準屈折
力D0に対し負の場合を示しており、以下の説明は眼底か
らの反射光束は全て対物レンズ8によって受光面9a上に
投影されるものとする。
光源4と被検眼瞳孔6との距離をlに設定しこの光源
の像が眼底に合焦する被検眼の屈折力を基準屈折力D0
すると である。
第3図(A)は被検眼の屈折力がD(<D0)の場合
の、光軸に対し直角方向にLの長さを有するスリット状
の光源4の軸上の一点S0からの投影光束を示すもので、
点S0の像は一旦、S0′に結像され、被検眼眼底7には、
ぼけた像として投影される。D0−Dが大きくなるに従い
投影される領域7aは広くなる。
第3図(B)は受光系2、及び、被検眼眼底7からの
反射光束の状態を示すものである。
第3図(B)に示す様に、被検眼眼底7上の投影領域
の端部の点I-nからの光束を考えると、この点の像I-n
は被検眼瞳孔からl′の距離の位置に結像され、この光
束は対物レンズ8を介して被検眼瞳孔6と共役位置に配
置した受光素子9上に投影される。尚、このl′と被検
眼の屈折力Dの関係式は下記の通りである。
一方、この眼底上の一点から発した光束のエッジ状で
の広がり幅Δは被検眼の瞳径をuとすると、第3図
(B)から明らかな様に、 であり、第1式、第2式より となり、被検眼3の屈折力Dと基準屈折力D0との差が大
になるに従い遮光部材12上の広がりは大きくなる。
次に、受光素子9上での光束の広がりについて述べ
る。受光素子9は、被検眼3の屈折力に関係なく常に、
対物レンズ8に関して被検眼瞳孔と共役に配置されてお
り、被検眼瞳孔6の径をu、対物レンズ8の倍率をβと
すると、受光素子9上ではβuの径の領域(被検眼の屈
折力に影響を受けない)に光束が投影される。
又、光軸に対して前記I-nと対称な点Inからの光束も
同様に被検眼瞳孔6からl′の位置に像In′を結像した
後、受光素子9上の同じ領域βuに投影される。光源4
を点光源として、遮光部材12が無いものとした時、これ
ら眼底7からの各点I-n、…I0、…In,からの光束の積分
が受光素子9上の光量分布を決めるものである。
ここで、受光素子9上での光量分布について考察する
ため、受光素子9上の光束投影位置の端部位置P-n、す
なわち、光軸を中心とした座標位置−βu/2に入射する
光束を考えると、この位置に入射する光束は第3図
(C)での斜線Aの範囲の光束に限られることとなる。
又、同様に、光軸に対して、前記のP-n位置と対称な位
置Pnに入射する光束を考えると斜線A′範囲の光束に限
られることになる。してみると、被検眼瞳孔6からlの
距離(光源4と共役位置)の位置に光軸の一方の光束
A′を遮断するエッジ状の遮光部材12を配置すると受光
素子9上のP-nの位置に入射する光束は遮光部材12によ
り遮断されず、このP-nの位置から上方の位置にいくに
従って光束は徐々に遮光され、中心P0位置で光束の半分
が遮光され、Pnの位置になると全ての光束が遮断される
こととなるものである。従って、エッジ状の遮光部材12
により受光素子9上には上方に行くにしたがって暗くな
り、Pnの点で光量が0となる一定傾斜の光量分布となる
ものである。
以上の第3図(A)〜(C)では、光源4の光軸上の
一点から発する光束のみを示したが、光源4の端部の一
点S-n(光源の大きさをLとすると−L/2の座標位置の
点)からの光束を考えると第3図(D)に示すようにな
る。この点S-nからの光束は、第3図(D)に示す被検
眼眼底7上のI-n点からIn点の領域に投影され、このI-n
点、In点からの反射光は、前述と同様に被検眼瞳孔6か
らl′の距離の位置でIn′、In′の像を結像した後、受
光素子9上のβuの径の領域に投影されるものである。
ここで、光源4の端部の点S-nから発する光束のうち、
受光素子9上の光束投影の端部位置P-nに入射する光束
は第3図(D)のBの斜線領域の光束となるものであ
る。
又、前記S-nの点と対称な光源4の一点Snからの光束
を考え、そのうち受光素子9上のP-nの点に入射する光
束を考えると第3図(E)のCの斜線領域の光束とな
る。この様に、光源4がある大きさを有するものとして
考えた場合、受光素子9上の一点の光量は、光源4の各
点からの光束の総和として考えなければならない。
第4図(A)は、この考え方に基づき、受光素子9上
のP-nの位置に入射する各光束を重ね合わせて示したも
のであり、光源上のS-nの位置から発する光束のうちP-n
の位置に入射する光束はBの領域であり(第3図(D)
参照)、光源上での位置が上方に行くにしたがってその
光束も上方に移動し、軸上の光源位置S0ではAの領域の
光束となり(第3図(C)参照)、光源上でのSnの位置
ではCの領域の光束となる。(第3図(E)参照)。従
って、受光素子9上のP-nの点での光量は、これらの光
束の総和として考えられる。
ここで、被検眼瞳孔6からlの距離の位置に遮光部材
12を配置した時の受光素子9上の点P-nの光量を示す模
式図を第4図(B)に示す。第4図(B)は光源上の位
置が変化するにしたがって遮光部材12により光束がどの
様に遮光されるかを示すものである。第4図(B)の横
軸は光源上の座標位置、縦軸は光量を示すものであり、
光源上での各点からの光束を考えると、座標位置の−L/
2(Lは光源の大きさ)点から0点までの光束は遮光部
材12により遮光されず、座標位置の0点を過ぎると徐々
に遮光され、Δ(前述の光束の広がり)の位置で全ての
光束が遮断される事になるものである。ここで遮光され
ない場合の光源上の各点からの光量をkとして光源上で
の各点からの光量の寄与を示したものが第4図(B)で
あり、斜線部の面積が受光素子上のP-nの点の光量値に
対応するものである。この面積値Tは下記のようにな
る。
同様にして、受光素子上での他の点についても考察す
る。第5図(A)は受光素子上での中心点P0に入射する
光束を第4図(A)と同様に示したものであり、光源上
のS-nの点からの光束の内P0の点に入射する光束はB0
斜線領域、光源上の中心S0の点からはA0の斜線領域、光
源上のSnの点からの光束はC0の斜線領域の光束となるも
のであり、受光素子9の中心に入射する光量は第5図
(B)の斜線領域の面積T0に対応することになる。すな
わち、光源の各点からの受光素子の中心点に入射する光
束を考えると、光源上の座標位置−L/2の位置から−Δ/
2の位置までは光束は遮光されず、−Δ/2位置を過ぎる
と徐々に光束が遮られΔ/2の位置で全ての光束が遮断さ
れることになり、この面積値を前述と同様に計算すると
下記値になる。
同様にして、受光素子上での点Pnに入射する光束の状
態、及びこの点での光量値を第6図(A)、第6図
(B)に示す。第6図(A)において、光源上のS-n
点からの光束の内Pnの点に入射する光束はB′の斜線領
域、光源上の中心S0の点からはA″の斜線領域、光源上
のP-nの点からの光束はC″の斜線領域の光束として示
す。この場合には、第6図(B)に示すように、光源の
各点から受光素子のPnの点に入射する光束を考えると、
光源上の−L/2の位置から−Δの位置までは光束は遮光
されず、−Δ位置を過ぎると徐々に光束が遮られ、0の
位置で全ての光束が遮断されることになり、この面積値
を計算すると下記値になる。
これらの式(4)、(5)、(6)の結果からわかる
ように、受光素子9上の光量値は下方から上方にいくに
したがって、光量値は徐々に低くなるものであり、その
受光素子上での光量分布を図示すると第7図に示すよう
に直線的に変化する。
前述の説明に於いては、眼底の一点から発する光束を
考えた場合の遮光部材12上での広がり幅Δが光源の大き
さLの1/2より小さな場合を想定して説明を行ったもの
である。
然し乍ら の場合、即ち基準ディオプター値D0に対する被検眼のデ
ィオプター値の偏差ΔDが所定量以上の場合には、第10
図に示すような直線変化は示さない。これを第4図ない
し第6図にしたがって説明を行う。前述のように の場合には、第4図(B)、第5図(B)、第6図
(B)はそれぞれ第11図、第12図、第13図、に示す様に
なり、この光量変化は第7図に示す様な直線変化を示さ
ないことになる。
次に、第2図(B)で示す被検眼の屈折力が基準値で
ある場合、第2図(C)で示す被検眼の屈折力が基準値
より正の場合も、前記したと同様に受光素子9上の光量
分布を考察することができ、その場合被検眼の屈折力が
基準値である場合は、第8図に示す如く、均一分布、被
検眼の屈折力が正の場合は第7図で示したものと逆な分
布状態となる。
上記した光量分布の傾斜がディオプター値(屈折力)
をそして、傾斜の方向がディオプター値の正負を表わ
す。以下第10図を参照して説明する。
光量分布の傾きを と定義すると、 前記した光束の広がりΔ、即ちボケ量Δは、前記
(4)式より、 よって(7)式より 而して、(9)式は基準ディオプター値D0に対する被
検眼のディオプター値の偏差ΔDと が比例していることを示している。従って、光量分布よ
を求めることにより被検眼のディオプター値を求めるこ
とが可能となる。
[発明の効果] 以上述べた如く本発明によれば、投影系と受光系とが
同軸に配置される構成であるので、如何なるディオプタ
ー値でも測定が可能で、且つ受光系は受光素子を用いて
いるので測定結果は瞬時に得られるという優れた効果を
発揮する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本概略図、第2図(A)(B)
(C)は被検眼のディオプター値の相違による光束の状
態の相違を示す説明図、第3図(A)(B)(C)
(D)(E)は受光系及び被検眼眼底からの反射光束の
状態を示す説明図、第4図(A)、第5図(A)、第6
図(A)は受光素子に到達する光源各点の反射光束の状
態を示す説明図、第4図(B)、第5図(B)、第6図
(B)は遮光部材によって遮られた場合の各光束の光量
変化を示す説明図、第7図、第8図、第9図はディオプ
ター値に対応した受光面での光量分布状態を示す説明
図、第10図は光量分布状態よりディオプター値を求める
場合の説明図、第11図、第12図、第13図は遮光部材上で
の広がり幅Δが光源の1/2の大きさより大きな場合の遮
光部材によって遮光された場合の各光束の光量変化を示
す説明図である。 1は投影系、2は受光系、3は被検眼、4は光源、5は
ハーフミラー、8は対物レンズ、9は受光素子を示す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検眼眼底に光源像を投影する為の投影系
    と、被検眼瞳孔と略共役位置に配置された受光素子と、
    前記投影系と同軸に配置され前記受光素子上に前記眼底
    からの光束を集光する受光系と、前記眼底からの光束の
    一部を遮光する様に該受光系の光路内に配置されるエッ
    ヂ状の遮光部材とを有し、前記受光素子上に投影された
    光束の形状又は光量分布状態を基に被検眼の屈折力を測
    定し得る様に構成したことを特徴とする眼屈折力測定装
    置。
  2. 【請求項2】前記エッヂ状の遮光部材は、被検眼の屈折
    力が所定値である場合に光源像が形成される位置に配置
    される請求項第1項記載の眼屈折力測定装置。
  3. 【請求項3】前記エッヂ部材の遮光部材は、前記受光系
    の光軸を境界として遮光を行う請求項第1項又は請求項
    第2項記載の眼屈折測定装置。
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