JP2775132B2 - 鉄心の製造方法 - Google Patents

鉄心の製造方法

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JP2775132B2
JP2775132B2 JP5022044A JP2204493A JP2775132B2 JP 2775132 B2 JP2775132 B2 JP 2775132B2 JP 5022044 A JP5022044 A JP 5022044A JP 2204493 A JP2204493 A JP 2204493A JP 2775132 B2 JP2775132 B2 JP 2775132B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄心の製造方法に係
り、さらに詳しくは、条材から打ち抜かれた鉄心片の反
りを防止できる鉄心の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気機器の分野において、誘導電動機の
かご形回転子に用いられる積層型の鉄心が知られてい
る。従来、この鉄心は、図2(a)〜(c)に示すよう
に、条材100から、パンチ101及びダイ102によ
り円板状の鉄心片103を打ち抜き、打ち抜かれた鉄心
片103をダイ102内で順次積層することにより製造
されている。なお、鉄心片103の打ち抜き時には、鉄
心片103を1枚打ち抜く毎にダイ102内に収納され
たシリンダ式の昇降台104が鉄心片1枚分の厚さの幅
だけ下降するようになっている。ところで、条材100
の材質や形状によっては、打ち抜き時に条材100の打
ち抜き部100aが下向きに大きく湾曲し、打ち抜かれ
た鉄心片103に反りが発生する虞がある(図2(b)
参照)。そこで、これを解消する従来手段として、打ち
抜いた鉄心片103を元の位置まで押し戻すプッシュバ
ック式の金型や、打ち抜き部をトリミングする金型を用
いたり、パンチ101の噛み込みを浅くして打ち抜く方
法などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなプッシュバック式やトリミング機能を有する金型は
高価であり、しかも条材100の歩留りも悪くなるとい
う問題点がある。殊に、プッシュバック式の金型の場合
には、打ち抜き工程に、打ち抜かれた鉄心片103が元
の位置まで押し戻されるので、高速で打ち抜けないとい
う問題点があった。一方、前述したようにパンチ101
の噛み込みを浅くして鉄心片103を打ち抜くと、打ち
抜かれた鉄心片103がパンチ101の引上げに伴って
浮き上がり易く、安定した打ち抜きができないという問
題点があった。本発明はこのような実情に鑑みなされた
もので、打ち抜かれた鉄心片の反りを防止でき、しかも
設備コストが安価で、条材の歩留りも良好であり、さら
に高速運転に適していると共に、安定した打ち抜きがで
きる鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の鉄心の製造方法は、予め半抜き加工により下方に
突出した複数個の半抜き部が、打ち抜き部に略均等に設
けられた条材から、該半抜き部に当接する部分は平面状
となったパンチ及びこれと対となるダイにより、該半抜
き部が下段の昇降可能な鉄心片の受け部材又は前工程で
前記半抜き部が押し戻されて平面状となった鉄心片の上
面に押圧された状態で打ち抜き、しかも、打ち抜き後の
前記半抜き部は打ち抜き時の前記パンチの押圧力によっ
て前記鉄心片の元の位置まで押し戻されて平面状となっ
た前記鉄心片を、前記ダイ内で順次積層して、所定厚の
鉄心となしている。
【0005】
【作用】条材から、順次、パンチ及びダイにより略均等
に配置された複数個の半抜き部を有する鉄心片を打ち抜
き、打ち抜かれた鉄心片はダイ内で順次積層されて鉄心
が製造されるが、鉄心片の打ち抜き時には、半抜き部が
条材の打ち抜き部の支えになって平坦を維持し、引き込
みを拘束した状態で打ち抜かれるので、鉄心片が下方に
反るのが解消され、鉄心片の皿状の腰折れがなくなる一
方、打ち抜き後に、今回打ち抜かれた鉄心片が、打ち抜
き時の押圧力により、下段の鉄心片又は受け部材に押圧
されることにより、支えていた半抜き部が鉄心片内の元
の位置まで押し戻されるので、製造後の鉄心は通常の鉄
心と同じになる。
【0006】
【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明
を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここに、図1(a)は本発明の一実施例に係る鉄心
の製造方法における条材の打ち抜き加工前の状態を示す
拡大断面図、図1(b)は本発明の一実施例に係る鉄心
の製造方法における条材の打ち抜き加工途中の状態を示
す拡大断面図、図1(c)は本発明の一実施例に係る鉄
心の製造方法における条材の打ち抜き加工後の状態を示
す拡大断面図である。
【0007】図1に示すように、本発明の一実施例に係
る鉄心の製造方法に用いられる鉄心の製造装置10は、
予め半抜き加工により下方に突出した半抜き部11a
(図1(b)の部分拡大図参照)が設けられた条材11
を打ち抜くパンチ12が下面に垂設された上型13と、
パンチ12に対するダイ14が埋設された下型15と、
ダイ14内に収納されたシリンダ駆動式の昇降可能な受
け部材16とを備えている。半抜き部11aは、条材1
1の打ち抜き部11bにそれぞれ放射状に3個ずつ配設
されている。なお、打ち抜き部11bにおける半抜き部
11aの形成個数は、このように3個ずつに限定しなく
ても、それぞれ2個又は4個以上の複数個であってもよ
い。また、シリンダ駆動式の受け部材16としては、鉄
心片17を1枚打ち抜く毎に鉄心片1枚分の厚さの幅だ
け下降する周知のものが使用されている。
【0008】続いて、本発明の実施例に係る鉄心の製造
装置10を用いた鉄心の製造方法を説明する。図1
(a)に示すように、条材11を図外の送り装置により
上型13と下型15の間に移送させて、ダイ14上に打
ち抜き部11bを配置させて、パンチ12とダイ14に
より条材11の打ち抜きを行う。この際、図1(b)に
示すような条材11の打ち抜き途中で、条材11の材質
や形状によっては、打ち抜きの際に打ち抜き部11bの
周辺にかかる引張力により条材11の打ち抜き部11b
が下向きに大きく湾曲しようとするが(従来技術の欄の
図2(b)参照)、この湾曲が始まるか又は始まり出し
たときに、打ち抜き部11bの下面より突出する各々の
半抜き部11aが、先に打ち抜かれた鉄心片17の上面
に当接し(ただし、打ち抜き作業開始当初の鉄心片17
の場合には、受け部材16の上面に当接する。)、半抜
き部11aが打ち抜き部11bの支えになって打ち抜か
れるので、打ち抜かれた鉄心片17が下方に反るのが解
消される。その後、図1(c)に示すような打ち抜き完
了時には、上下型13、15の嵌合力により、今回打ち
抜かれた鉄心片17が下段の鉄心片17に大きな力で上
方より押圧され、これにより、支えていた半抜き部11
aが鉄心片17内の元の位置まで押し戻されるので(同
図部分拡大図参照)、製造後の鉄心は通常の鉄心と同じ
になる。以下、このような操作を繰り返すことにより、
所定枚数の鉄心片17が積層された鉄心が製造される。
【0009】このように、パンチ12及びダイ14によ
り、半抜き部11aを有する鉄心片17を打ち抜く際
に、この半抜き部11aが条材11の打ち抜き部11b
の支えになって打ち抜かれるので、打ち抜かれた鉄心片
17が下方に反るのが解消され、鉄心片17の皿状の腰
折れがなくなり、しかも既製の金型を利用できるので設
備コストが安価であり、また条材11の歩留りも従来と
全く同じで良好であり、さらに従来のプッシュバック式
の金型のように高速運転すると支障をきたすこともな
く、安定した打ち抜きができる。
【0010】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明はこの実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱
しない範囲での設計変更や動作の変更があっても本発明
に含まれる。例えば、実施例では、鉄心用の条材とし
て、半抜き部のみを有するものを採用したが、これに限
定しなくても、例えば中心孔や突起状のカシメ部を有す
る条材を採用してもよい。また、実施例では、鉄心片を
パンチ及びダイにより垂直に打ち抜くだけのものを例示
したが、これに限定しなくても、カシメ部を有する鉄心
片が1個打ち抜かれる毎に、ダイを所定角度だけ回転さ
せるスキューリングを行って鉄心を製造させてもよい。
【0011】
【発明の効果】請求項1記載の鉄心の製造方法において
は、このように、パンチ及びダイにより、半抜き部を有
する鉄心片を打ち抜く際に、この半抜き部が条材の打ち
抜き部の支えになって打ち抜かれるので、打ち抜かれた
鉄心片が下方に反るのが解消され、鉄心片の皿状の腰折
れがなくなり、しかも設備コストが安価で、条材の歩留
りも良好であり、さらに高速運転に適していると共に、
安定した打ち抜きができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施例に係る鉄心の製造方法
における条材の打ち抜き加工前の状態を示す拡大断面図
である。(b)本発明の一実施例に係る鉄心の製造方法
における条材の打ち抜き加工途中の状態を示す拡大断面
図である。(c)本発明の一実施例に係る鉄心の製造方
法における条材の打ち抜き加工後の状態を示す拡大断面
図である。
【図2】(a)従来手段に係る鉄心の製造方法における
条材の打ち抜き加工前の状態を示す拡大断面図である。
(b)従来手段に係る鉄心の製造方法における条材の打
ち抜き加工途中の状態を示す拡大断面図である。(c)
従来手段に係る鉄心の製造方法における条材の打ち抜き
加工後の状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
10 鉄心の製造装置 11 条材 11a 半抜き部 11b 打ち抜き部 12 パンチ 13 上型 14 ダイ 15 下型 16 受け部材 17 鉄心片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02K 15/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め半抜き加工により下方に突出した複
    数個の半抜き部が、打ち抜き部に略均等に設けられた条
    材から、該半抜き部に当接する部分は平面状となったパ
    ンチ及びこれと対となるダイにより、該半抜き部が下段
    の昇降可能な鉄心片の受け部材又は前工程で前記半抜き
    部が押し戻されて平面状となった鉄心片の上面に押圧さ
    れた状態で打ち抜き、しかも、打ち抜き後の前記半抜き
    部は打ち抜き時の前記パンチの押圧力によって前記鉄心
    片の元の位置まで押し戻されて平面状となった前記鉄心
    片を、前記ダイ内で順次積層して、所定厚の鉄心となす
    ことを特徴とする鉄心の製造方法。
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