JP2774078B2 - 電解コンデンサ用アルミニウム合金箔地の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用アルミニウム合金箔地の製造方法

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JP2774078B2 JP31594094A JP31594094A JP2774078B2 JP 2774078 B2 JP2774078 B2 JP 2774078B2 JP 31594094 A JP31594094 A JP 31594094A JP 31594094 A JP31594094 A JP 31594094A JP 2774078 B2 JP2774078 B2 JP 2774078B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサの中低圧
陽極や陰極に使用されるアルミニウム合金箔地の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に電解コンデンサは、エッチング処
理後に陽極酸化処理したアルミニウム合金箔からなる陽
極と、エッチング処理したままのアルミニウム合金箔か
らなる陰極とから構成されている。そしてこのような電
解コンデンサの静電容量を高めるためには、陽極用アル
ミニウム合金箔および陰極用アルミニウム合金箔の両者
の静電容量を増大させる必要がある。そこで従来から陽
極用または陰極用アルミニウム合金箔の静電容量を増大
させるために、箔の製造工程中で電気化学的、化学的エ
ッチングを施して表面を粗面化し、表面積を増大するこ
とが行われている。
【0003】例えば電解コンデンサ中低圧陽極用アルミ
ニウム合金箔を製造するには、通常のアルミニウム半連
続鋳塊を熱間圧延で、2〜8mm厚さの板とし、次いで冷
間圧延で約 0.4mm厚さの箔地を製造し、さらに最終箔圧
延で30〜 100μm厚さの箔材とし、必要に応じて焼鈍処
理を施した後、交流でエッチングして粗面化し、約200
V以下の電圧で陽極酸化処理して製造されている。
【0004】一方陰極用のアルミニウム合金箔は、アル
ミニウム溶湯から半連続鋳造法によってスラブを鋳造
し、熱間圧延および冷間圧延によってスラブを 0.3〜0.
6mm 程度の厚さの箔地とし、さらに箔圧延によって10か
ら 100μm程度の厚さまで箔圧延した後エッチングし、
表面粗面化して製造される。なおいずれの場合でも、鋳
塊を熱間圧延前に均質化処理することや、必要に応じて
冷間圧延途中の中間焼鈍および最終箔焼鈍を施すことも
通常行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで電解コンデン
サ中低圧陽極用箔は、アルミニウム中の不可避的不純物
であるFe、Siの量を極力少なくした高純度アルミニ
ウム箔が用いられていた。この理由は、アルミニウム中
のFe、Si含有量が増加すると、エッチングの際に箔
表面が異常に溶解し、表面積拡大率を大きくすることが
できず、静電容量が小さいものとなってしまうからであ
る。ところが、Fe、Siを極力排除した高純度アルミ
ニウム箔は、コストが非常に高くなるという欠点があっ
た。
【0006】また電解コンデンサ陰極用箔は基材である
アルミニウムの純度は上記中低圧陽極用箔ほどの高純度
は必要としない。これは陰極用箔は、陽極酸化処理をす
る必要がないため、微細にエッチングされ、かつ高強度
なものが要求されるためである。このため静電容量を増
大するにはエッチングを適性にコントロールすることが
必要である。ところがエッチング後の粗面化状態はエッ
チングの程度によるが、エッチングが少ないと十分に粗
面化せず、エッチングが過度になると腐食量が過度にな
り、静電容量の低下とともに強度低下も生じる。したが
ってエッチングは適量にコントロールする必要がある
が、これをコントロールしても箔全体が均一にエッチン
グされず、むらが生じ、特性が低下する部分が生じると
いう問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題に鑑
みなされたものであって、電解コンデンサ中低圧陽極用
としてFe、Si含有量の比較的多いアルミニウム合金
であっても、異常溶解による静電容量の低下を招くこと
なく高容量を実現し、かつ安価な箔地の供給を可能とす
るアルミニウム合金箔の製造方法を提供するものであ
り、また電解コンデンサ陰極用として強度をより向上せ
しめたアルミニウム合金箔の製造方法を提供するもので
ある。
【0008】即ち本発明製造法の一つは、電解コンデン
サ中低圧陽極用アルミニウム合金であって、アルミニウ
ムの純度が99.9重量%以上で、Feを20〜200ppm、Si
を20〜300ppm含有するアルミニウム合金鋳塊を 580℃以
上の温度で4時間未満の均質化熱処理を施した後、 420
〜570 ℃の温度まで冷却して該温度に30分以上12時間以
下保持し、その後前記温度で熱間圧延を開始して常法に
より熱間圧延を行い、さらに冷間圧延を行うことを特徴
とするものである。
【0009】また本発明の他の製造法は、電解コンデン
サ中低圧陽極用アルミニウム合金であって、アルミニウ
ムの純度が99.9重量%以上で、Feを20〜200ppm、Si
を20〜300ppm、Cuを10〜100ppm含有するアルミニウム
合金鋳塊を 580℃以上の温度で4時間未満の均質化熱処
理を施した後、 420〜570 ℃の温度まで冷却して該温度
に30分以上12時間以下保持し、その後前記温度で熱間圧
延を開始して常法により熱間圧延を行い、さらに冷間圧
延を行うことを特徴とするものである。
【0010】また本発明のさらに他の製造法は、電解コ
ンデンサ陰極用アルミニウム合金であって、アルミニウ
ムの純度が99.0〜99.9重量%で、Feを0.15重量%以
下、Siを0.15重量%以下含有するアルミニウム合金鋳
塊を、 580℃以上の温度で4時間未満の均質化熱処理を
施した後、 420〜570 ℃の温度まで冷却して該温度に30
分以上12時間以下保持し、その後前記温度で熱間圧延を
開始して常法により熱間圧延を行い、さらに冷間圧延を
行うことを特徴とするものである。
【0011】また本発明のさらに他の製造法は、電解コ
ンデンサ陰極用アルミニウム合金であって、アルミニウ
ムの純度が99.0〜99.9重量%で、Feを0.15重量%以
下、Siを0.15重量%以下、Cuを10〜100ppm含有する
アルミニウム合金鋳塊を、580 ℃以上の温度で4時間未
満の均質化熱処理を施した後、 420〜570 ℃の温度まで
冷却して該温度に30分以上12時間以下保持し、その後前
記温度で熱間圧延を開始して常法により熱間圧延を行
い、さらに冷間圧延を行うことを特徴とするものであ
る。
【0012】
【作用】先ず電解コンデンサ中低圧陽極用のアルミニウ
ム合金における合金組成の限定理由について説明する。
当該アルミニウム合金のアルミニウムの純度を99.9重量
%以上としたのは、99.9重量%未満では異常溶解を防止
することが困難となり、静電容量が小さいものとなって
しまうからである。
【0013】また、Fe、Siはアルミニウム中に不可
避的に含有されるものであるが、アルミニウム合金溶湯
を半連続鋳造した際に、これら元素の大半は金属間化合
物を形成し晶出している。これら金属間化合物のほとん
どを、後述の均質化熱処理において再固溶させ、異常溶
解を防止するために、中低圧陽極用アルミニウム合金で
は、Feを20〜200ppm、Siを20〜300ppmの範囲に限定
する。すなわちFeが200ppmを超え、Siが300ppmを超
えると、金属間化合物の再固溶が困難となり、異常溶解
が発生する。これは、金属間化合物とアルミニウムマト
リックスの電位差によって局部電池が形成され、表面積
拡大に寄与しない化学的な自然溶解量が大きくなるため
である。この自然溶解量の大小は、エッチング前後の重
量変化(溶解減量)から、自然溶解量=溶解減量−電気
化学的溶解量によって算出される。エッチング条件が一
定の場合は、電気化学的溶解量が一定となるため、単に
溶解減量の大小を用いて自然溶解量の大小とすることが
でき、溶解減量の少ない箔ほど異常溶解が少なく、静電
容量が大きくできることとなる。一方Feが20ppm未
満、Siが20ppm 未満ではコストが上昇し、本発明の目
的を達成できない。なお、SiはFeと比較して固溶し
易いため、含有量の許容上限を大きくしたものである。
【0014】さらに、請求項2におけるCuは、エッチ
ングを均一にする効果がある。Cu含有が10ppm 未満で
はその効果が十分でなく、一方100ppmを超えるとCuを
固溶させることが困難となり、異常溶解が発生し静電容
量が減少してしまう。したがってCuを添加する場合
は、10〜100ppmに限定される。なおその他不純物元素は
99.9重量%以上のアルミニウム純度に含まれる範囲とす
る。
【0015】次に電解コンデンサ陰極用のアルミニウム
合金における組成限定理由について説明する。当該アル
ミニウム合金において、純度99.0〜99.9重量%のアルミ
ニウム合金を用いるのは、純度が99.9重量%を超えると
陰極用の薄箔としたとき強度が不足し、また純度99.0重
量%未満の場合では、エッチング液との反応が非常に激
しくなり、腐食量が過度となるため、正常な粗面化が得
られないためである。したがって陰極用として用いるア
ルミニウムまたはアルミニウム合金は純度を99.0〜99.9
重量%とする。
【0016】またFe、Siはアルミニウム中に不可避
的に含有されるものであり、アルミニウム合金溶湯を半
連続鋳造した際に、これら元素の大半は約5μm程度の
粗大な金属間化合物を形成し晶出している。これら粗大
な金属間化合物を、後述の均質化熱処理において約1μ
m程度に分断および再固溶し、均質に微細分散化するこ
とによってエッチングむらを防止し、さらに異常溶解を
防止するために、陰極用アルミニウム合金では、Feが
0.15重量%以下、Siが0.15重量%以下の範囲に限定す
る。すなわちFeが0.15重量%を超え、Siが0.15重量
%を超えると、金属間化合物を均質に微細分散化するこ
とが困難となりエッチングむらが発生すると共に、エッ
チング液との反応が非常に激しくなり、腐食量が過度と
なってしまう。
【0017】さらに、請求項4におけるCuは、エッチ
ングを均一にする効果がある。Cu含有が10ppm 未満で
はその効果が十分でなく、一方100ppmを超えるとエッチ
ング液との反応が非常に激しなくなり、異常溶解が発生
し、静電容量が減少してしまう。したがってCuを添加
する場合は、10〜100ppmに限定される。これを満たして
おれば、その他不純物元素は99.0重量%以上のアルミニ
ウム純度に含まれる範囲で含有していても問題は生じな
い。
【0018】次に製造方法についての特徴を説明する。
上記の中低圧陽極用および陰極用アルミニウム合金に対
して、いずれも以下の製造方法を適用する。まず前記ア
ルミニウム合金鋳塊について、 580℃以上の温度で4時
間未満の均質化熱処理を行う。均質化熱処理温度を 580
℃以上としたのは、 580℃未満の温度では、粗大な金属
間化合物を約1μm程度に分断および再固溶し、均質に
微細分散化することが困難であるからである。また、均
質化熱処理温度は高温である方が、粗大な金属間化合物
の分断および再固溶が短時間で完了する。したがって、
均質化熱処理温度は 580℃以上、より好ましくは 600℃
以上固相線以下で行うのが良い。
【0019】さらに 580℃以上の均質化熱処理時間は4
時間未満とする。 580℃以上の温度では均質化熱処理時
間が長くなるとともに、鋳造時に形成した粗大な金属間
化合物は分断および再固溶するが、一方新たな金属間化
合物が生成し析出してしまう。この新たな金属間化合物
はSiと他の元素との化合物であることしか現時点では
判明していないが、均質化熱処理温度が高く熱処理時間
が長いほど多量に析出し、異常溶解の原因となるもので
ある。したがって、均質化熱処理時間は新たな金属間化
合物が析出しない範囲の4時間未満に限定され、鋳造時
に形成した粗大な金属間化合物の分断および再固溶との
関係より、より好ましくは1〜3時間で行うのが良い。
なお 580℃以上での保持時間4時間未満は、 580℃以上
での保持のトータル時間を意味する。
【0020】そしてこのように均質化熱処理を施した
後、 420〜570 ℃の温度まで冷却する。上記の均質化熱
処理後直ちに熱間圧延を行った場合、均質化熱処理で固
溶させた金属元素の一部は、熱間圧延時に 0.1μm以下
の極めて微細な金属間化合物として多数析出してしま
い、そのため異常溶解が発生して静電容量の低下を招
く。均質化熱処理後 420〜570 ℃の温度まで冷却した場
合、均質化熱処理で固溶させた金属元素は析出するが、
この析出は固溶しきれずに残った金属間化合物を粗大化
させる形で生じるため、エッチング性に大きな影響を及
ぼさない。この処理によって固溶元素量が減少し、熱間
圧延時に 0.1μm以下の微細な化合物が多数析出するこ
とを抑制できる。一方 420℃未満の温度では、固溶させ
た金属元素が 0.1μm以下の微細な化合物として多数析
出するようになり、異常溶解の原因となる。また、 570
℃を超えると高温で析出する新たな金属間化合物の析出
を抑制することができない。
【0021】420〜570 ℃の温度まで冷却した後、この
温度での保持時間は、上記金属間化合物の析出およびエ
ネルギーコストの関係から30分以上12時間以下とするこ
とが好ましい。
【0022】上記の均質化熱処理および 420〜570 ℃の
温度への冷却保持後、これを前記温度で熱間圧延を開始
して常法に従って熱間圧延および冷間圧延を施し、電解
コンデンサ中低圧陽極用および陰極用アルミニウム合金
箔地とする。さらにこれらの箔地は常法にしたがって最
終箔圧延される。これらの箔について、電解コンデンサ
中低圧陽極用箔はエッチング処理され、その後陽極酸化
処理を施して、中低圧陽極用箔として用いられる。また
電解コンデンサ陰極用箔は、エッチング処理されたまま
で、陰極用箔として用いられる。
【0023】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに説明する。
【0024】(実施例1)表1に示した化学組成の電解
コンデンサ中低圧陽極用アルミニウム合金製鋳塊(厚さ
200mm)を面削(片面につき5mm)し、表2に示した各
種条件にて均質化熱処理、続いて冷却保持した後、保持
した温度で熱間圧延を開始して、常法により熱間圧延を
行い厚さ6mmの熱間圧延板とした。この熱間圧延板を常
法にて冷間圧延を行い 0.4mmの箔地とし、続いて最終箔
圧延を行って 0.1mmの箔とした。
【0025】上記により得た箔について、55℃のエッチ
ング液(5%塩酸と 0.5%燐酸の混合水溶液)中に浸漬
し、交流60Hz、8A/dm2 を与えながら、3分間エッ
チングした。その後アルミニウム箔を60℃の陽極酸化処
理溶液(5%アジピン酸アンモニウム水溶液)に浸漬し
て25Vで陽極酸化処理し、厚さ30nmの陽極酸化皮膜を形
成した後LCRメーターを用いて静電容量を測定した。
さらにエッチング前後の重量変化から溶解減量を求め
た。これらの結果をFe:10ppm 、Si:10ppmを含有
する純度 99.99重量%のアルミニウム合金箔地(性能基
準用、合金記号F)から製造した箔の静電容量および溶
解減量を 100%として相対比較し、総合判定(合格は
○、不合格は×)して、これらを表2に併記した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】表2から明らかなように本発明のアルミニ
ウム箔地から製造した箔(No.1〜5)は、低純度のも
のであっても溶解減量が少なく、異常溶解が発生せず、
高純度の箔地(合金F)から製造した箔(No.10)の場
合と同程度の性能を有する。一方、合金組成あるいは製
造条件が本発明範囲から外れている箔地から製造した箔
(No.6〜9,11〜13)は、溶解減量が大きく異常溶解
が発生しており、静電容量が小さい。
【0029】(実施例2)表3に示した化学組成の電解
コンデンサ陰極用アルミニウム合金製鋳塊(厚さ200m
m)を面削(片面につき5mm)し、表4に示した各種条
件にて均質化熱処理、続いて冷却保持した後、保持した
温度で熱間圧延を開始して常法により熱間圧延を行い厚
さ6mmの熱間圧延板とした。この熱間圧延板を常法にて
冷間圧延を行い、また一部の材料については中間焼鈍、
冷間圧延を行い 0.4mmの箔地とし、続いて最終箔圧延を
行って 0.1mmの箔とした後、 300℃の温度で3時間最終
焼鈍を行った。
【0030】上記により得た箔について、引張り強さの
測定を行った。また、55℃のエッチング液(5%塩酸と
0.5%燐酸の混合水溶液)中に浸漬し、交流60Hz、8A
/dm2 を与えながら、3分間エッチングし、エッチン
グむらの観察およびエッチング前後の箔の引張り強さの
測定を行った。これらの結果を表5に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】表5から明らかなように、本発明により製
造した箔地を用いた電解コンデンサ陰極箔(No.1〜
5)は、いずれもエッチング前後の箔とも強度は十分
で、エッチングむらの発生が全く認められない。一方、
純度99.0重量%以下のアルミニウム合金を使用した箔
(No.7)は、エッチング前の箔の強度不足は見られな
いが、エッチングが過度であるため、エッチング後の箔
の強度不足が認められる。また99.9重量%以上の純アル
ミニウムを使用した箔(No.6)は、エッチングむらの
発生は認められないが、エッチング前後の箔とも強度不
足が認められる。
【0035】(実施例3)実施例2の表3に示された合
金記号Lの化学組成を有する電解コンデンサ陰極用アル
ミニウム合金製鋳塊(厚さ 200mm)を面削(片面につき
5mm)し、表6に示す各種条件で実施例2と同様に製造
して、箔を得た。そして実施例2と同様の条件でエッチ
ングを行い、エッチングむらの観察およびその前後での
箔の引張り強さを求めた。また粗面化の程度を評価する
ため、アルミニウム箔を60℃の陽極酸化処理溶液(5%
アジピン酸アンモニウム水溶液)に浸漬して25Vで陽極
酸化処理し、厚さ10nmの陽極酸化皮膜を形成した後LC
Rメーターを用いて静電容量を測定し、同一組成の合金
について、その製造方法の相違による静電容量の比較を
行った。なお陽極酸化処理はエッチング後の表面積拡大
状態を安定して評価するために行ったものである。これ
らの結果を表7に示す。
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】表7から明らかなように本発明の製造条件
で得られた陰極箔はエッチング後の強度の低下が小さ
く、エッチングのむらがなく、さらに静電容量が大き
い。これに対して本発明に係る合金組成範囲内であって
も製造条件が本発明の範囲から外れる比較例No.4〜5
はいずれもエッチング後の強度の低下が大きく、且つ静
電容量は低下している。
【0039】
【発明の効果】このように本発明によれば、電解コンデ
ンサ用アルミニウム合金箔として静電容量が大きく安価
な中低圧陽極用箔が得られ、また十分な強度を有し、か
つエッチング特性に優れ、また静電容量も大きい陰極用
箔が得られるので、電解コンデンサの特性および品質を
向上することができる等、工業上顕著な効果を奏するも
のである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 683 C22F 1/00 683 691 691B 691C 692 692B 693 693A 693B 694 694B H01G 9/055 H01G 9/04 337 (72)発明者 清水 遵 大阪市中央区久太郎町三丁目6番8号 東洋アルミニウム株式会社内 (72)発明者 足高 善也 大阪市中央区久太郎町三丁目6番8号 東洋アルミニウム株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−171377(JP,A) 特開 平3−138340(JP,A) 特開 平2−274832(JP,A) 特開 平6−97574(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22F 1/04 C22C 21/00 C22F 1/00 H01G 9/055

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解コンデンサ中低圧陽極用アルミニウ
    ム合金であって、アルミニウムの純度が99.9重量%以上
    で、Feを20〜200ppm、Siを20〜300ppm含有するアル
    ミニウム合金鋳塊を 580℃以上の温度で4時間未満の均
    質化熱処理を施した後、 420〜570 ℃の温度まで冷却し
    て該温度に30分以上12時間以下保持し、その後前記温度
    で熱間圧延を開始して常法により熱間圧延を行い、さら
    に冷間圧延を行うことを特徴とする電解コンデンサ用ア
    ルミニウム合金箔地の製造方法。
  2. 【請求項2】 電解コンデンサ中低圧陽極用アルミニウ
    ム合金であって、アルミニウムの純度が99.9重量%以上
    で、Feを20〜200ppm、Siを20〜300ppm、Cuを10〜
    100ppm含有するアルミニウム合金鋳塊を 580℃以上の温
    度で4時間未満の均質化熱処理を施した後、 420〜570
    ℃の温度まで冷却して該温度に30分以上12時間以下保持
    し、その後前記温度で熱間圧延を開始して常法により熱
    間圧延を行い、さらに冷間圧延を行うことを特徴とする
    電解コンデンサ用アルミニウム合金箔地の製造方法。
  3. 【請求項3】 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金
    であって、アルミニウムの純度が99.0〜99.9重量%で、
    Feを0.15重量%以下、Siを0.15重量%以下含有する
    アルミニウム合金鋳塊を 580℃以上の温度で4時間未満
    の均質化熱処理を施した後、 420〜570 ℃の温度まで冷
    却して該温度に30分以上12時間以下保持し、その後前記
    温度で熱間圧延を開始して常法により熱間圧延を行い、
    さらに冷間圧延を行うことを特徴とする電解コンデンサ
    用アルミニウム合金箔地の製造方法。
  4. 【請求項4】 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金
    であって、アルミニウムの純度が99.0〜99.9重量%で、
    Feを0.15%重量以下、Siを0.15重量%以下、Cuを
    10〜100ppm含有するアルミニウム合金鋳塊を 580℃以上
    の温度で4時間未満の均質化熱処理を施した後、 420〜
    570 ℃の温度まで冷却して該温度に30分以上12時間以下
    保持し、その後前記温度で熱間圧延を開始して常法によ
    り熱間圧延を行い、さらに冷間圧延を行うことを特徴と
    する電解コンデンサ用アルミニウム合金箔地の製造方
    法。
JP31594094A 1994-11-25 1994-11-25 電解コンデンサ用アルミニウム合金箔地の製造方法 Expired - Lifetime JP2774078B2 (ja)

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