JP4215039B2 - 電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔用薄板の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔用薄板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、交流電解エッチング後の静電容量の高い電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔を冷間圧延にて製造するための冷間圧延用素材としての薄板の製造方法に関する。
アルミニウムは、化学的あるいは電気化学的なエッチングにより多数の微小孔を穿孔して容易に表面積を拡大でき、この表面積を拡大されたアルミニウムに化成処理と呼称される陽極酸化処理を施すと、誘電体として利用できる皮膜を形成できる。
前記電気化学的なエッチングには大別して直流エッチングと交流エッチングがあって、通常は低圧用または中低圧用のアルミニウム電解コンデンサ陽極用のアルミニウム箔には、交流エッチング法を採用して微小孔を海綿状に穿孔し、静電容量の高いコンデンサ箔とする。
ところで、近年の小型化志向から更に高い静電容量の得られる箔が求められている。
特許文献1(特開平第5−5145号公報)にはZn,Mn,Cu,Fe,Si,Ga,Pb,Mg,B,V,Ti,Zr,Ni,Cr,Pという15種類もの元素を管理して高い静電容量を得ようとする技術が提案されている。
特開平第5−5145号公報
しかしながら、前記公報に開示された電解コンデンサ用アルミニウム合金箔は管理元素数が過大に過ぎ、生産性を阻害する。
即ち、本発明は管理元素数少なく、しかも高い静電容量の得られる電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔およびこの硬質箔用冷間圧延素材としての薄板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために種々検討した結果、少数の微量元素を特定量とし、またFeを含む金属間化合物の最大径を規定し、さらに単体SiまたはSiを含む金属間化合物の実質的に存在しない硬質箔は、交流電解エッチングで高い静電容量の得られることを見出した。
また、冷間圧延によりこの硬質箔とするための薄板は、特定組成のスラブを特定条件で均質化処理すると共に熱間圧延の過程でAl−Fe系化合物および単体SiもしくはSiを含む金属間化合物の析出を制限すると、その後の冷間圧延で静電容量の高い硬質箔の得られることを見出した。
本発明は、これらの新規な知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明は、電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔を冷間圧延にて製造するための冷間圧延用素材としての薄板を製造する方法であって、
前記硬質箔は、質量で、下記組成:
Cu:5〜20ppm、
V+Cr+Ni+Zr:1〜6ppm、ただしNi+Zr:0.05〜1.5ppm 、および
残部:Alおよび不可避的不純物、ただしAl:箔質量の99.98%以上から成る組成を有し、Feを含む金属間化合物の最大径が20nm以下であり、フィールドエミッション透過型電子顕微鏡を用い、エネルギー分散型X線分光で同定し、23万倍で観測した際に、単体SiおよびSiを含む金属間化合物が検出されない硬質箔であって、前記組成からなるスラブを均質化処理した後、複数パスの熱間圧延により火延板とし、この火延板を冷間圧延して薄板を製造する方法において、
上記均質化処理は、温度530〜570℃、保持時間3時間以上で行い、
上記熱間圧延において最終パスF1およびその1パス前の最終直前パスF2を行う際に、温度385℃以上の火延板を最終直前パスF2により温度275〜320℃の火延板とし、次いで最終パスF1により温度230℃以下の火延板とした後に、上記冷間圧延を行うことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔用薄板の製造方法を提供する。
なお、「火延板」は「熱間圧延板」と同義である。
本発明の薄板を冷間圧延して製造される電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔は、質量で、Cu含有量が5〜20ppm 、V+Cr+Ni+Zr含有量が1〜6ppm 、かつそのうちNi+Zr含有量が0.05〜1.5ppm 、残部はAlおよび不可避的不純物であって、かつAl含有量が箔質量の99.98%以上であり、Feを含む金属間化合物の最大径が20nm(ナノメートル)以下であり、単体SiおよびSiを含む金属間化合物が23万倍で観測して実質的に検出されない硬質箔である。
交流エッチングに影響の強い小数の微量元素としてV、Cr、Ni、Zrの総量を特定範囲内に規定した上で、そのうち特に影響の強いNi、Zrについては更に両者の総量を特定範囲内に規定し、Feを含む金属間化合物のサイズを規制し、さらに単体SiおよびSiを含む金属間化合物を実質的に観察されない硬質箔は、交流エッチングで自己腐食を抑制してエッチングピットの崩れが少なく、静電容量の高い箔が得られる。
本発明は、冷間圧延により上記の硬質箔とするための冷間圧延用素材としての薄板の製造方法であって、上記において箔について規定した組成を有するスラブを温度530〜570℃に3時間以上加熱保持して均質化処理した後、複数パスの熱間圧延により火延板とする際に、この熱間圧延の最終パスF1およびその1パス前の最終直前パスF2において、温度385℃以上の火延板を最終直前パスF2により温度275〜320℃の火延板とし、次いで最終パスF1により温度230℃以下の火延板とした後、冷間圧延して所望厚さの薄板とすることを特徴とする。
本発明の薄板の製造方法においては、スラブ組成、スラブの均質化処理条件および熱間圧延における火延板の温度条件を前記の如く規定することにより、金属間化合物の析出状態を適切化した薄板が得られる。この薄板を更に冷間圧延して硬質箔とすることにより、交流エッチングで静電容量の高い硬質箔が得られる。
従来、一般的に用いられている電解コンデンサ用アルミニウム箔には、アルミニウムの製錬、精製、溶製過程でSi,Fe,Cu,Zn,Ga,W,Co,Ni,Ti,V等の元素が不純物として混入もしくは有意元素として添加されるが、種々の品位のアルミニウムを組み合わせ配合することによって、それらの元素の含有量を調整できる。最終的に得られるアルミニウム合金箔は、不純物を調整した後に、有意元素として特定元素を添加配合して諸特性を付与している。
本発明により製造される薄板を冷間圧延して得られる電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔の特徴の一つは、上述の如き不純物元素を調整し、有意元素を添加配合した合金組成にある。特に本発明における硬質箔のアルミニウム含有量すなわちアルミニウム純度は、交流エッチング時の箔の溶解性を考慮して99.98%以上とする。ただしCu含有量は5〜20ppm と規定する。
以下に、本発明により製造される薄板を冷間圧延して得られる硬質箔の構成について限定理由を説明する。
<Al:99.98%以上>
アルミニウム含有量すなわちアルミニウム純度が下限値未満であると、スラブの均質化処理および/または熱間圧延においてAl−Fe系および/またはAl−Fe−Si系の金属間化合物が過剰に生成する。これら金属間化合物はアルミニウム合金マトリックスとの間に電位差があるため、交流エッチング時に金属間化合物周辺でマトリクスの優先溶解が過剰に進行し、エッチングピットが崩れ静電容量が低下する。
<Cu:5〜20ppm >
Cuは、マトリックス表面電位を貴にして前記金属間化合物とマトリックスとの間の電位差小さくし、化合物周辺の優先溶解を抑制する効果がある。Cu含有量が下限値未満では前記効果が少なく静電容量が低い。またCu含有量が上限値を超えると箔の過剰溶解が生じて静電容量が低下する。この容量低下は、Al−Cu系金属間化合物が過剰に生成し、金属間化合物周辺の優先溶解が過剰に進行し、エッチングピットの脱落が生じることに起因するものと思われる。
<V+Cr+Ni+Zr:1〜6ppm かつNi+Zr:0.05〜1.5ppm >
高純度のアルミニウム地金は、電解一次地金を精製して製造される。この精製は三層式電解法と結晶分別法が広く採用されているが、結晶分別法はアルミニウム溶湯を冷却すると純度の高いアルミニウム初晶から晶出し始めるという現象を利用する方法で、低コストであるため主流となっている。
ここで、この結晶分別法ではV,Cr,Zr等の包晶系元素は前記現象とは逆に精製アルミニウムに濃縮される。本発明においてはV、Cr、Zr等の包晶系元素およびNiを不純物としてではなく微量合金成分として意図的に利用するので、結晶分別法によるアルミニウム地金を原料として使用することにより、コスト的にさらに有利になる。組成の微調整には、必要に応じて各々の元素の母合金を用いる。
V,Cr,Ni,Zrの含有量については、4成分の総量V+Cr+Ni+Zrを1〜6ppmの範囲内とした上で、更にそのうちNi、Zrの総量Ni+Zrを0.05〜1.5ppmの範囲内とする。
交流エッチング時のエッチングピット形成に対して、これら4元素を単独に含有させるよりも、元素群として並存させる方が良好な結果が得られる。これは、均質化処理において、Al−Fe系および/またはAl−Fe−Si系の金属間化合物の析出に加えて、Al−Fe−(V,Cr,Ni,Zr)−Xの如き複雑な金属間化合物が同時に析出し、このような複雑な化合物とマトリックスとの間に種々の電位差が存在する結果、交流エッチングで良好なエッチングピットを形成し高い静電容量が得られる効果をもたらすものと思われる。
即ち、V,Cr,NiおよびZrの含有は、高い静電容量を得るためのもので、下限値未満では上記効果が少なく、また上限値を超えるとマトリックスの自己腐食量が増加しエッチングピットが崩れて静電容量が低下する。またNiおよびZrは前記4元素の内で特にエッチングピット形成力が強いので、Ni+Zr含有量を0.05〜1.5ppm に規制する。下限値未満では前記した複雑な化合物の生成量が少なく高い静電容量が得られず、上限値を超えるとマトリックスの自己腐食量が増加しエッチングピットが崩れて静電容量が低下する。
V,Cr,Zr以外の包晶系元素としてMo,Nb,Sc,Ta,Ti,W等の元素が存在するが、これらは元来含有量が少なく、しかもエッチングピットの形成には大きな影響を及ぼさないので特に制限する必要はないが、その他の不可避的不純物と共に、何れの元素も各0.5ppm未満とすることが好ましい。
<Feを含む金属間化合物の最大径:20nm以下>
Feを含む金属間化合物の電位はマトリックスより貴である。このような化合物の存在する硬質箔を交流エッチングするとこの化合物の周囲がエッチングピットの起点となる。従って微細に多数存在させることが好ましく、Feを含む金属間化合物のサイズは、最大径で20nm以下とする。20nmを超えたものが存在すると微細化合物の析出個数が減少し、形成するエッチングピットの個数も減少するため、高い静電容量が得られない。
<単体SiおよびSiを含む金属間化合物が実質的に検出されないこと>
本発明においてSiを含む金属間化合物とは、Al−Si系化合物を指し、Al−Fe−Si系化合物は含まない。Al−Si系化合物とAl−Fe−Si系化合物とでは交流エッチングにおいてエッチングピット形成に対する影響力が異なる。この影響力の相違はマトリックスに対する電位差の違いが原因と思われる。単体SiおよびSiを含む金属間化合物は、本発明者らの実験結果によれば、僅かに存在しても交流エッチングでそれらの周囲にピット崩れが生じて静電容量を低下する知見を得たので、実質的に検出されないこととした。検出に当たっては透過型顕微鏡により倍率23万倍で観察した際に、観察されないことを実質的に検出されないこととした。
本発明により製造した薄板の冷間圧延による電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔の製造は、例えば以下のようにして行なうことができる。
結晶分別法あるいは三層式電解法等の精製法で精製された高純度アルミニウム地金を用い、必要により返り材、母合金等を用い、合金元素を調整して溶製する。溶製に際しては脱ガス脱滓し、溶湯濾過後に半連続鋳造でスラブを鋳造する。
得られたスラブは面削した後、温度530〜570℃に3時間以上加熱保持して均質化処理を施すことにより、鋳造歪を除去し、鋳造偏析を解消すると共に、スラブ中に存在する最大30nm程度の晶出物を固溶させる。必要に応じて、均質化処理の一部として更に冷間圧延を行うことにより、上記晶出物を粉砕して最大サイズを20nm以下とする。
均質化処理においては、Al−Fe系およびAl−Fe−(V,Cr,Ni,Zr)−X系(Xは他の金属)の金属間化合物として適量析出させる。これにより、交流エッチング時に晶出物および析出物の周囲にも積極的にエッチングピットを形成させて静電容量を向上させる。
均質化処理温度での保持時間を3時間以上とすることにより、上記の諸効果が得られる。20時間以上の保持は経済的に不利となる。
均質化処理温度が下限値未満であると、Al−Fe系およびAl−Fe−(V,Cr,Ni,Zr)−X系の金属間化合物が急激に析出する温度領域に入り、過剰の化合物が析出するため、交流エッチングにおいて化合物周囲が過剰溶解しピット崩れを生じて静電容量が低下する。
均質化処理温度が上限値を超えると、金属間化合物が過剰に固溶して析出化合物量が少なくなると共に、次工程の熱間圧延の各圧延パスで再析出し、エッチングピット形成に関与する化合物の分布が不規則になり、静電容量が低くなる。またスラブ表面の酸化膜も厚く生成し、アルカリ洗浄による酸化膜除去が必要となって生産性が低下する。
均質化処理後のスラブを熱間圧延する。スラブは均質化処理温度から冷却後に熱間圧延開始温度に再加熱してもよいし、冷却せずに適温であればそのまま熱間圧延に供しあるいは必要に応じて熱間圧延開始温度への加熱を行ってもよい。
熱間圧延においては、複数パスにより3〜10mm厚さの火延板とする。熱間圧延初期にはスラブ温度が高く、特に450℃以上であれば、塑性変形の影響が少ないため析出はほとんど進行しない。
熱間圧延パスの進行に伴い、スラブは単位長さ当たりの体積が小さくなって圧延ロールによる冷却効果が大きくなる。火延板の温度低下に伴い析出が開始するので、特に熱間圧延終期において火延板の温度を管理し、Al−Fe系およびAl−Fe−(V,Cr,Ni,Zr)−X系の金属間化合物の過剰析出を制限する。
即ち、最終パスF1の1パス前の最終直前パスF2の入側の火延板温度を385℃以上として圧延し、この最終直前パスF2の圧延ロールで急冷して火延板を温度275〜320℃とする。385℃以上の高温域では、歪開放と相俟って上記金属間化合物の過剰析出を抑制でき、また、320℃以下の温度域では、温度が低いために前記金属間化合物が析出し難く、やはり析出を制限できる。換言すれば、前記金属間化合物の析出しやすい385〜320℃の温度範囲をF2パスの圧延ロールで急冷し析出を抑制する。
最終直前パスF2後の火延板温度の下限を275℃としたのは以下の理由による。すなわち、温度275℃以上では、単体SiおよびSiを含む金属間化合物の析出の抑制ができる。即ち最終直前パスF2の出側温度を275〜320℃とするのは、Al−Fe系およびAl−Fe−(V,Cr,Ni,Zr)−X系の金属間化合物の過剰析出を制限すると共に単体SiおよびSiを含む金属間化合物の析出を抑制するためである。
最終直前パスF2後の最終パスF1の入側温度は、最終直前パスF2の出側温度で規定される。最終パスF1においては、圧延ロールで急冷してF1出側温度230℃以下とする。230℃以下の低温域では、温度が低いため単体SiおよびSiを含む金属間化合物が析出し難くなり、これらの析出を制限できる。最終直前パスF2および最終パスF1の圧下率は特に限定するものではないが、一般に30〜80%が好ましい。
以上の条件での熱間圧延により火延板の厚さは3〜9mmとされ、更に次工程において冷間圧延により所望厚さの本発明の薄板とされる。この薄板の厚さは任意にハンドリング等を考慮して定めればよく、一般に0.2〜0.6mmである。
この薄板はさらに冷間圧延されて電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔とされる。この硬質箔の厚さは概略80〜120μmである。硬質箔への冷間圧延に際しては、圧延パス間で再結晶させない。圧延パス間において再結晶温度未満の低温で加熱することは、歪の一部が開放されて軟化するため、後続の圧延パスで圧下率を大きく取れるので好ましい。製品厚さまで圧延された硬質箔は、必要により最後に圧延歪を均一化するために再結晶温度未満の低温に加熱保持してもよい。
結晶分別法で精製された精製アルミニウム地金と三層式電解法で精製された精製アルミニウム地金および返り材と母合金を用い、常法に従って溶製した。
得られた溶湯を半連続鋳造法で厚さ530mmのスラブを鋳造した。スラブの組成を表1に示す。表1中、下線を付した数値は本発明の範囲外である。なお、表1では省略してあるが、全スラブについて、Si:40〜50ppm 、Fe:35〜50ppm 、Cu:7〜15ppm 、Al純度:99.98%以上であり、他の不純物元素は各0.5ppm 以下であった。
このスラブを15mm面削した後、均質化処理として温度560℃に10時間加熱保持し、この温度から熱間圧延して厚さ100mmの火延板とした。この時点で火延板の温度は470℃であった。
更に熱間圧延を継続し、最終直前パス(F2パス)および最終パス(F1パス)の入側温度および出側温度をそれぞれ種々に変えて圧延した。なお、F2パス入側の板厚25mm、F2パス出側の板厚15mm、F1パス出側の板厚6mmとした。
得られた熱間圧延板を室温まで冷却した後、冷間圧延を行って厚さ90μmの薄板試料とした。
得られた各試料について、Feを含む金属間化合物の最大径、単体SiおよびSiを含む金属間化合物の有無、静電容量を測定した。結果を表2に示す。表2中、下線を付した事項は本発明の範囲外である。
なお、上記の各測定は下記の方法によって行った。
<Feを含む金属間化合物の最大径、単体SiおよびSiを含む金属間化合物の有無>
フィールドエミッション透過型電子顕微鏡を用いた。観察個所は各試料20視野をランダムに選択し、倍率は23万倍とした。また、化合物の同定はEDX(エネルギー分散型X線分光)で行い選別した。
<静電容量の測定>
〔交流エッチング条件〕
1次電解エッチング
電解液
組成 22wt%塩酸+1wt%硫酸混合水溶液
温度 53℃
電流 波形 正弦波交流
周波数 50Hz
電流密度 40A/dm2
時間 45秒
2次電解エッチング
電解液 組成 22wt%塩酸+1wt%硫酸混合水溶液
温度 35℃
電流 波形 交直重量波形
デューティー比 0.8
電流密度 18A/dm2
時間 60秒
3次電解エッチング
電解液 組成および温度 2次電解エッチングと同じ
電流 波形 正弦波交流
周波数 50Hz
電流密度 22A/dm2
時間 400秒
〔化成処理および静電容量の測定〕
アジピン酸アンモニウム水溶液中で20Vの直流を印可して化成処理を施し、硼酸アンモニウム水溶液中で静電容量を測定した。
結果を表2に示す。表2中の静電容量の値は、試料番号13の静電容量を100として相対値(%)で表示した。
Figure 0004215039
Figure 0004215039
表2の結果から、組成並びにFeを含む金属間化合物の最大径が本発明範囲でしかも単体SiおよびSiを含む金属間化合物の観察されない本発明に係る硬質箔(試料番号1〜6)は、静電容量の高いことが判る。一方、均質化処理条件および熱間圧延条件は本発明範囲であるが、組成が本発明範囲を外れる硬質箔(試料番号7〜10)は、静電容量が低いことが判る。また、組成は本発明範囲でも熱間圧延条件が本発明範囲を外れる硬質箔(試料番号11〜13)は、Feを含む金属間化合物の最大径が本発明範囲を外れるかもしくは単体SiおよびSiを含む金属間化合物の存在が観察されて静電容量が低いことが判る。
以上説明したように、本発明により製造される薄板を冷間圧延して得られる電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔は、数種の包晶系元素およびNiの含有量を特定範囲とし、Feを含む金属間化合物の最大径を規制し、単体SiおよびSiを含む金属間化合物が実質的に存在しないようにするだけで高い静電容量の箔が得られ、経済的でしかもコンデンサを小型化できる。
また、本発明の薄板の製造方法は、数種の包晶系元素の含有量を特定範囲とし、均質化処理の温度条件と熱間圧延の最終直前パス(F2パス)および最終パス(F1パス)の温度条件を管理するだけであるから、生産工程を簡略化できる効果と静電容量の高い電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔が得られる。

Claims (1)

  1. 電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔を冷間圧延にて製造するための冷間圧延用素材としての薄板を製造する方法であって、
    前記硬質箔は、質量で、下記組成:
    Cu:5〜20ppm、
    V+Cr+Ni+Zr:1〜6ppm、ただしNi+Zr:0.05〜1.5ppm 、および
    残部:Alおよび不可避的不純物、ただしAl:箔質量の99.98%以上から成る組成を有し、Feを含む金属間化合物の最大径が20nm以下であり、フィールドエミッション透過型電子顕微鏡を用い、エネルギー分散型X線分光で同定し、23万倍で観測した際に、単体SiおよびSiを含む金属間化合物が検出されない硬質箔であって、前記組成からなるスラブを均質化処理した後、複数パスの熱間圧延により火延板とし、この火延板を冷間圧延して薄板を製造する方法において、
    上記均質化処理は、温度530〜570℃、保持時間3時間以上で行い、
    上記熱間圧延において最終パスF1およびその1パス前の最終直前パスF2を行う際に、温度385℃以上の火延板を最終直前パスF2により温度275〜320℃の火延板とし、次いで最終パスF1により温度230℃以下の火延板とした後に、上記冷間圧延を行うことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム硬質箔用薄板の製造方法。
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