JP2773831B2 - 低ｎｏｘ ボイラ - Google Patents

低ｎｏｘ ボイラ

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JP2773831B2
JP2773831B2 JP7281764A JP28176495A JP2773831B2 JP 2773831 B2 JP2773831 B2 JP 2773831B2 JP 7281764 A JP7281764 A JP 7281764A JP 28176495 A JP28176495 A JP 28176495A JP 2773831 B2 JP2773831 B2 JP 2773831B2
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征矢 伊藤
徳明 西山
陸宏 白羽
宏之 森
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Kawasaki Motors Ltd
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Kawasaki Jukogyo KK
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【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱硝装置を備える
ことなく、極めて低いＮＯX 値を得ることができるボイ
ラの構造に関するもである。
【０００２】
【従来の技術】燃焼に伴って排出される環境汚染物質の
中のＮＯX は、通常ＮＯとＮＯ2 の両者を合わせた総称
として用いられ、その低減策として２段燃焼や燃焼ガス
再循環等の技術が供されている。これらはいずれもＮＯ
X の発生量が燃焼領域におけるＯ2 分圧や燃焼温度に強
く依存することに着目したもので、バーナゾーン部に供
給される燃焼用空気を理論燃焼空気比以下の還元状態に
保ち、緩やかに燃焼させることによってＮＯX の生成量
を抑制し、バーナゾーン部で発生した未燃分を別途供給
する空気によって完全燃焼させるか、あるいは燃焼用空
気に燃焼ガスの一部を再循環によって混入させ、Ｏ2 分
圧を下げた空気をバーナに導入し、緩慢燃焼によって火
炎温度を下げることによりＮＯX 排出量を低下させるも
のである。
【０００３】一方、これに代わるものとして、本願発明
者らが先に発明し、特開平５−２７２７０４号公報に記
載された低ＮＯX ボイラの構造がある。該構造は、燃料
燃焼ゾーンを内周壁に耐火物を貼設し側壁にバーナを取
り付けた高温燃焼ゾーンと、燃焼ガス流路の絞り部を介
してその下流側に設けた、内周壁を水冷壁構造とし側壁
に２段燃焼用空気ノズルを取り付けた２段燃焼ゾーンと
に区分し、まず高温燃焼ゾーン部において燃料過濃の状
態で平均約１５００℃の高温を維持して燃焼を行わせ
る。
【０００４】それに伴って高温燃焼ゾーン内において
は、発生したフューエルＮＯX およびサーマルＮＯX の
大部分は、一部発生したＮＨ3 あるいはＨＣＮなどの有
機窒素化合物と高温還元雰囲気下で反応しＮ2 に分解さ
れる。
【０００５】絞り部を通じて２段燃焼ゾーンに流入した
燃焼ガスは、２段燃焼用空気ノズルを通じて新たに送入
された燃焼用空気によって燃焼を完結するというもので
ある。
【０００６】しかしながら上記従来の技術においては、
２段燃焼ゾーンに流入する燃焼ガスが非常に高温である
ことにより、２段燃焼ゾーン内において２段燃焼用空気
が投入された段階でサーマルＮＯX および燃焼ガス中に
一部残留するＮＨ3 あるいはＨＣＮ等からのフューエル
ＮＯX の発生が増大する可能性があるものであった。
【０００７】本願はこのような不都合を解消するために
なされたもので、高温燃焼ゾーンから流出する高温燃焼
ガスに低温の再循環排ガスを混入して高温燃焼ガスの温
度を下げることにり、２段燃焼ゾーン内において前記サ
ーマルＮＯX およびフューエルＮＯX の発生が増大する
のを抑止することを目的としている。
【０００８】上記の目的は、前記特許請求の範囲に記載
された低ＮＯX ボイラによって達成される。すなわち、
【０００９】(1) 縦型で一体型の燃焼室を有し、油また
はガスを燃料とし、燃焼室側壁にバーナを取り付け、出
口部にガス通過部断面積を高温燃焼ゾーンの断面積より
も２０〜５０％減少させて絞り部を構成するとともに、
周壁内面全体に耐火材を貼設した高温燃焼ゾーンと、２
段燃焼用空気ノズルを具設した水冷壁構造の２段燃焼ゾ
ーンとに上下方向に区分し、上記２段燃焼ゾーンを高温
燃焼ゾーンの下流側に配設した低ＮＯX ボイラにおい
て、上記２段燃焼ゾーンの側壁の、上記絞り部と上記２
段燃焼用空気ノズルとの中間部に、ボイラから排出され
た燃焼ガスの一部を単独で投入する再循環排ガス投入口
を設けた低ＮＯX ボイラ。
【００１０】(2) 上記再循環排ガス投入口から単独で投
入する再循環排ガスの量が、全燃焼用空気量の１０〜４
０％の範囲内である(1) 記載の低ＮＯX ボイラ。
【００１１】(3) 高温燃焼ゾーンに取り付けるバーナ
は、複数のバーナを対向させて、かつ、燃焼ガスが水平
面内で旋回流を形成するように芯をずらせて配設した
(1) または(2) のいずれか１項に記載の低ＮＯX ボイラ
である。
【００１２】
【発明の実施の形態】図１〜３は本願発明に基づく実施
の形態を示す図で、図１はボイラの断面図、図２はボイ
ラ燃焼室の斜視図、図３はその空気および燃焼ガスの系
統の概略を示す図である。なお図３においては、図が繁
雑になるのを防ぐために、バーナの数あるいは向きを図
１，図２と異ならせて簡略化して記載してある。
【００１３】図１〜３において、１は高温燃焼ゾーン、
２は２段燃焼ゾーン、３は絞り部、４はバーナ、５は耐
火材、６は２段燃焼用空気ノズル、７は蒸気過熱器、８
は再循環排ガス投入口、１０は２段燃焼用空気、１１は
再循環排ガス、１２は押込ファン、１３は燃焼用空気、
１４はスチームエアヒータ、１５はガスエアヒータ、１
６は燃焼ガス、１７は再循環排ガス用ファン、１８は２
段燃焼用ファンである。
【００１４】まず図１〜２に示すように、高温燃焼ゾー
ン１の全周壁の内面に耐火材５を貼設し、絞り部３を有
しない側の側壁にバーナ４を取り付けて高温燃焼ゾーン
１を構設する。その際バーナ４の数を複数とし、かつ高
温燃焼ゾーン１内の燃焼ガスが水平断面内で旋回流を形
成するように、例えば形成する旋回流に接線方向に接す
る向き（タンゼンシャル方向）に各バーナを配設する。
図４はその一例を示す高温燃焼ゾーン１の平面図で、対
向するバーナ４の芯をずらすことによって長円形の火炎
渦が２組形成されている状態を示している。
【００１５】これによって高温燃焼ゾーン１の四隅コー
ナ部を含めた炉容積全体を有効に利用でき、還元域の滞
留時間が長くなり、ＮＯX 分解の反応に好都合となるほ
か、高温燃焼ゾーン１内部の温度分布をより均一化する
ことが可能になる。
【００１６】高温燃焼ゾーン１上方の燃焼ガス流出部
に、高温燃焼ゾーン１の水平断面積よりも２０〜５０％
小さくした断面積を保持させた絞り部３を形成させる。
該絞り部３の高温燃焼ゾーン１に面する側は全て高温燃
焼ゾーン１と同様に耐火材５を貼設して、高温燃焼ゾー
ン１内の温度が低下しないようにする。
【００１７】絞り部３の上方には、従前の燃焼室と同様
の水冷壁構造からなり、側壁に高温燃焼ゾーン１から排
出される燃焼ガス中に含まれる未燃分を燃焼させるため
の空気を供給する２段燃焼用空気ノズル６を配設した２
段燃焼ゾーン２を構設する。２段燃焼用空気ノズル６は
それぞれの条件に対応させて単段あるいは複数段配設す
る。
【００１８】燃料が油である場合、まずバーナ４に供給
された燃料は空気過剰率０．７程度の燃料過濃の状態で
高温燃焼ゾーン１内で燃焼される。高温燃焼ゾーン１の
内面は絞り部３の開口部を除いて全面が耐火材５によっ
て覆われていることにより、平均約１５００℃の高温に
保持される。
【００１９】このような条件下においては、先ず燃料中
のＮ分の酸化に基づくフューエルＮＯX と、大気中のＮ
分の酸化に基づくサーマルＮＯX とが生成されるが、生
成されたＮＯX の大部分は一部発生したＮＨ3 あるいは
ＨＣＮなどの有機窒素化合物と高温還元雰囲気下で反応
しＮ2 に分解される。
【００２０】このように高温燃焼ゾーン１内において燃
料を燃焼して生じた燃焼ガスは、生成したＮＯX の大部
分をＮ2 に熱分解した状態で、絞り部３を経由して２段
燃焼ゾーン２内に流入する。２段燃焼ゾーン２に流入し
た燃焼ガスは２段燃焼用空気ノズル６から送入される２
段燃焼用空気１０と接触してガス中の未燃分の燃焼を完
結させる。
【００２１】しかしながら、２段燃焼ゾーンに流入する
燃焼ガスが非常に高温の状態を保持していることによ
り、２段燃焼ゾーン内において２段燃焼用空気が投入さ
れた段階で、新たにサーマルＮＯX および燃焼ガス中に
一部残留するＮＨ3 あるいはＨＣＮ等からのフューエル
ＮＯX が発生する虞れがある。
【００２２】そこでこれを防止するために、図１に示す
ように高温燃焼ゾーン１と２段燃焼ゾーン２との中間部
の側壁に単段あるいは複数段からなる再循環排ガス投入
口８を設け、図３に示すように再循環排ガス用ファン１
７によってボイラ出口部の燃焼ガス１６の一部を抽出し
て昇圧したのち２段燃焼ゾーン２部に送入する。
【００２３】その場合、送入する再循環排ガス（燃焼ガ
ス）の量は、２段燃焼用空気の投入のもとでサーマルＮ
ＯX およびフューエルＮＯX が増加することを抑止する
一方で、高温燃焼ゾーン１から流入した燃焼ガス中の未
燃分を完全燃焼させるのに必要な温度の範囲に保持させ
るものであることが必要であり、本発明者らの知見と実
験によれば、全燃焼用空気量の約１０〜４０％程度とす
るのが好ましい。
【００２４】この低温の再循環排ガスの混入によって２
段燃焼ゾーン２に流入する高温の燃焼ガスの温度を下げ
ることにり、２段燃焼ゾーン２内において、前記２段燃
焼用空気の投入に基づく新たなサーマルＮＯX およびフ
ューエルＮＯX の発生が抑止される。
【００２５】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば特に
脱硝装置を備えることなく、燃焼室の構成と再循環排ガ
スの投入によって、例えば一般の中小型ボイラの場合、
従来技術において約１５０ｐｐｍ前後であったＮＯ
X （Ｏ2 ＝４％換算）値を、およそ１００ｐｐｍ前後に
まで低減することを可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に基づく実施の形態における縦型のボイ
ラ燃焼室の縦断面図である。
【図２】図１のボイラ燃焼室の斜視図である。
【図３】本発明に基づく実施の形態における空気および
燃焼ガスの概略系統図である。
【図４】高温燃焼ゾーンのバーナの配置と燃焼ガスの流
れの一例を示す図である。
【符号の説明】
１ 高温燃焼ゾーン ２ ２段燃焼ゾーン ３ 絞り部 ４ バーナ ５ 耐火材 ６ ２段燃焼用空気ノズル ７ 蒸気過熱器 ８ 再循環排ガス投入口 １０ ２段燃焼用空気 １１ 再循環排ガス １２ 押込ファン １３ 燃焼用空気 １４ スチームエアヒータ １５ ガスエアヒータ １６ 燃焼ガス １７ 再循環排ガス用ファン １８ ２段燃焼用ファン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 宏之 東京都江東区南砂２丁目11番１号 川崎 重工業株式会社東京設計事務所内 (56)参考文献 特開 昭64−75810（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−190317（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−101011（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−57010（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) F23C 11/00 318 F23C 11/00 323 F22B 31/00 F23C 5/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 縦型で一体型の燃焼室を有し、油または
    ガスを燃料とし、燃焼室側壁にバーナを取り付け、出口
    部にガス通過部断面積を高温燃焼ゾーンの断面積よりも
    ２０〜５０％減少させて絞り部を構成するとともに、周
    壁内面全体に耐火材を貼設した高温燃焼ゾーンと、２段
    燃焼用空気ノズルを具設した水冷壁構造の２段燃焼ゾー
    ンとに上下方向に区分し、上記２段燃焼ゾーンを高温燃
    焼ゾーンの下流側に配設した低ＮＯ X ボイラにおいて、上記２段燃焼ゾーンの側壁の、 上記絞り部と上記２段燃
    焼用空気ノズルとの中間部に、ボイラから排出された燃
    焼ガスの一部を単独で投入する再循環排ガス投入口を設
    けたことを特徴とする低ＮＯX ボイラ。
  2. 【請求項２】 上記再循環排ガス投入口から単独で投入
    する再循環排ガスの量が、全燃焼用空気量の１０〜４０
    ％の範囲内である請求項１記載の低ＮＯX ボイラ。
  3. 【請求項３】 高温燃焼ゾーンに取り付けるバーナは、
    複数のバーナを対向させて、かつ、燃焼ガスが水平面内
    で旋回流を形成するように芯をずらせて配設した請求項
    １または請求項２のいずれか１項に記載の低ＮＯX ボイ
    ラ。
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