JP2773070B2 - 藻食性動物による食害を防止した水産資源用人工礁 - Google Patents

藻食性動物による食害を防止した水産資源用人工礁

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JP2773070B2
JP2773070B2 JP6037702A JP3770294A JP2773070B2 JP 2773070 B2 JP2773070 B2 JP 2773070B2 JP 6037702 A JP6037702 A JP 6037702A JP 3770294 A JP3770294 A JP 3770294A JP 2773070 B2 JP2773070 B2 JP 2773070B2
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

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  • Artificial Fish Reefs (AREA)
  • Cultivation Of Seaweed (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海藻や水生微生物など
の繁殖に適し、藻礁、魚礁として最適な水産資源用人工
礁に関する。より詳しくは、ウニやアワビなどの藻食性
動物による食害を防止して海藻類の成育を助け、その最
適な成育環境を形成する水産資源用人工礁に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】最近、太平洋沿岸や日本海沿岸
の広い範囲において“磯焼け”が進み、水産資源が枯渇
する問題が指摘されている。磯焼けは、波打ち際から水
深約20m付近までの岩場で、コンブなどの海藻が生育
せず、岩場表面が石灰質の無節石灰藻で覆われ、魚類な
どの水生生物がいなくなる現象を言う。磯焼けの海域に
は海藻が生育せず主要な水産資源である魚類がいなくな
るために沿岸漁業に深刻な打撃を与えており、その解決
が求められている。とくに近年は、遠洋漁業に代えて沿
岸漁業の比重が高まっており、付加価値の高い栽培漁業
を進める必要があるが、磯焼けがその大きな障害となっ
ている。
【0003】磯焼けの原因については、海水温度の上昇
や、ウニやアワビなどの藻食性動物による食害などが指
摘されている。現在、磯焼けの発生過程の一例は次のよ
うに考えられている。まず海水の温度が平年より高くな
ると、コンブなどの寒流系の海藻が生育し難い環境とな
り、また表層水と栄養分に富む低温の深層水の温度差が
大きくなるとこれらが混ざり合う湧昇流が起き難くな
り、磯の栄養分が乏しいままとなる。一方、水温の上昇
によりウニやアワビなどの藻食性動物の活動が活発にな
って、これらに食べられる海藻の量が増し、更に、この
藻食性動物が幼胚期の海藻まで食べるため海藻が生育で
きず、代わって無節石灰藻が岩場に繁殖し、コンブなど
がその上に根付こうとしても石灰藻の石灰質が剥離して
岩場に着床することができない。このため岩場が石灰藻
に覆われたままとなり、海藻が生育せず魚類の住まない
砂漠化した海域となる。
【0004】このような磯焼けの対策として、水中ブル
ドーザにより岩場の石灰藻を掻き取る方法や、電流を通
じた人工魚礁を海底に設置して海藻を付き易くする方
法、富栄養の深層水を汲上げる方法などが試みられてい
るがまだ試験段階の域を出ない。これらの方法の他に、
最近、リンゴ酸やクエン酸がウニやアワビなどの藻食性
動物の忌避行動を誘発し、しかも藻類にとっては栄養源
になることが見い出だされ、これを利用した方法が試み
られている。この方法は、リンゴ酸やクエン酸を樹脂に
含有させ、この樹脂を塗布した自然石を海中に投入する
ことによって海藻が着床し易い環境を整えようとするも
のであり、一定の効果が得られているが、次のような問
題が指摘されており、これが実用化を阻むネックとなっ
ている。 (イ) リンゴ酸やクエン酸は本来が雑藻駆除剤の成分であ
るため、濃度が高過ぎると逆効果になる。 (ロ) 塗布してから乾燥するまでの間の管理が難しく、少
しでも水分が混入すると効果が激減する。 (ニ) リンゴ酸等を含む樹脂が自然石の表面塗膜に限られ
リンゴ酸含有量が少ないために有効期間が短く、せいぜ
い数か月の使用期間に限られる。しかも、砂地の海底に
設置されると、波浪で舞い上げられた砂によって表面の
塗膜が擦り取られ、また投入した自然石が激しい波浪に
よって周囲の岩礁や隣接する自然石に激しくぶつかり合
うため表面が磨耗し、塗布した樹脂が擦り取られ短期間
で効果を失う。 (ホ) 使用期間が短いために海中から引き上げて樹脂の塗
布を繰り返す必要があり、作業が面倒であると共に海中
からの引上げによって海藻や魚類の成育環境が乱される
などの不都合がある。
【0005】
【発明の解決課題】本発明は上記課題を解決した水産資
源用人工礁を提供することを目的とするものであって、
ブロック中に含有されたリンゴ酸等が海中に徐々に放出
され、長期間に亘ってウニやアワビなどの藻食性動物に
よる食害を効果的に防止し、コンブやワカメなどの海藻
が繁茂し易く、従って藻礁や魚礁として最適な人工礁を
提供するものである。
【0006】本発明によれば以下の構成からなる水産資
源用人工礁が提供される。なお、%はとくに示さない限
り重量%である。 (1) 藻食性動物が忌避行動を示すオキシカルボン酸
が含有されたケイ酸質成形体からなり、藻食性動物によ
る食害を防止したことを特徴とする水産資源用人工礁。 (2) ケイ酸質成形体からなり、藻食性動物に対する
忌避物質であるオキシカルボン酸が成形体の0.2〜2
0wt%含有されている上記(1) の水産資源用人工礁。 (3) オキシカルボン酸がリンゴ酸またはクエン酸で
ある上記(1) または(2)の水産資源用人工礁。 (4) ケイ酸質成形体が、オキシカルボン酸を添加し
て固結させたモルタル、コンクリートまたはこれらの混
合体である上記(1) 〜(3) のいずれかの水産資源用人工
礁。 (5) ケイ酸質成形体が、自然石、砕石、コンクリー
ト片、モルタル片またはセラミック片をオキシカルボン
酸を添加したモルタルまたはセメントペーストによって
結合し一体に固結したものである上記(1) 〜(3) のいず
れかの水産資源用人工礁。 (6) ケイ酸質成形体が、石炭灰と消石灰を主要原料
とした使用済み脱硫剤からなるペレットを、オキシカル
ボン酸を添加したモルタルまたはセメントペーストによ
って結合し、一体に固結したものである上記(1) 〜(3)
のいずれかの水産資源用人工礁。 (7) ケイ酸質成形体が、オキシカルボン酸を含有す
るコンクリート片、モルタル片あるいは、オキシカルボ
ン酸を塗布ないし含浸させたセラミック片、コンクリー
ト片、モルタル片、自然石および砕石をモルタルないし
セメントペーストによって結合し一体に固結したもので
ある上記(1) 〜(3) のいずれかの水産資源用人工礁。 (8) 上記(7) において、セラミック片、コンクリー
ト片、モルタル片、自然石および砕石を、オキシカルボ
ン酸を添加したモルタルまたはセメントペーストによっ
て結合し一体に固結したものである水産資源用人工礁。
【0007】
【具体的な説明】本発明の人工礁は、ケイ酸質の成形体
からなり、該成形体に藻食性動物が忌避行動を示すオキ
シカルボン酸が含有されており、藻食性動物による食害
を防止したことを特徴とする。本発明において、ケイ酸
質成形体とは、モルタルやコンクリートなどのセメント
系材料あるいは他のケイ酸材料からなる成形体を言い、
オキシカルボン酸が含有されたケイ酸質成形体とは、こ
の成形体にオキシカルボン酸が含有されたものであっ
て、オキシカルボン酸を添加して固結させたモルタル、
コンクリートまたはこれらの混合体、あるいは自然石、
砕石、コンクリート片、モルタル片、セラミック片など
のケイ酸質小片をオキシカルボン酸を添加したモルタル
またはセメントペーストなどによって結合し一体に固結
したものなどを言い、その形状は問わない。また、本発
明において、藻食性動物に対する忌避物質であるオキシ
カルボン酸とは藻食性動物が忌避行動を示すオキシカル
ボン酸ないしその塩を言う。
【0008】オキシカルボン酸が含有されたケイ酸質成
形体の具体例としては次のものが挙げられる。 (1) セメントに砂利などの骨材および水と共にオキシカ
ルボン酸を添加したモルタルやコンクリートを人工礁の
大きさのブロックに形成したもの。 (2) モルタル片、コンクリート片あるいはモルタルやコ
ンクリートによって小型のブロックや小石状に形成した
もの、または自然石、砕石などを、オキシカルボン酸を
添加したモルタルやセメントペーストによって結合し、
一体に固結して人工礁の大きさに形成したもの。 (3) ケイ酸質ペレットをオキシカルボン酸を添加したモ
ルタルやセメントペーストによって結合し、一体に固結
して人工礁の大きさに形成したもの。 (4) オキシカルボン酸を含有するコンクリート片、モル
タル片あるいはオキシカルボン酸を塗布ないし含浸させ
たセラミック片、コンクリート片、モルタル片、自然石
および砕石をモルタルないしセメントペーストによって
結合し一体に固結して人工礁の大きさに形成したもの。 (5) 上記(4) において、オキシカルボン酸を添加したモ
ルタルやセメントペートによってコンクリート片などを
結合し、一体に固結して人工礁の大きさに形成したも
の。 (6) 上記(1) 〜(5) からなるブロックないしパネルを、
コンクリートブロックあるいは鉄製枠体にボルト止めな
どによって一体に取付けたもの。
【0009】コンクリート片、モルタル片、セラミック
片、自然石あるいはその砕石、またはケイ酸質ペレット
などをモルタルやセメントペーストによって結合し一体
に固結して人工礁の大きさに形成した上記(2) 〜(6) の
態様のものは、これらの小片間の空隙が成形体内部に形
成され、この内部空隙が海藻や水生微生物の生育に利用
されるので好ましく、さらに同程度の大きさの自然石な
どよりも軽量である利点を有する。なお、これらコンク
リート片や砕石などの大きさは、一般的には2〜10cm
のものが多く用いられるが、これらの大きさはとくに制
限されない。また上記(6) の態様のものは成形体の形状
の自由度が大きく、設置海域の海底状態に応じた形状の
成形体を容易に組み立てることができる。セメントは、
普通ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッ
シュセメントなど各種のセメントを用いることができ
る。なお、普通ポルトランドセメントが使用し易く、強
度の発現も好ましい。セメントに配合する砂利などの骨
材や水などの配合量は一般的な範囲でよい。
【0010】セメント以外のケイ酸質原料として、石炭
灰と消石灰を主要原料とした脱硫剤であって、ボイラー
排ガスの脱硫に使用されている使用済み脱硫剤を用いる
ことができる。該脱硫剤は、石炭灰と消石灰を主原料と
し、加水混合してペレット状に成形乾燥したものであ
り、ボイラー排ガスに付設された脱硫装置の吸収塔に充
填して使用される。なお、該脱硫剤には成形体の強度を
高める目的で石炭灰と消石灰に加えて更に使用済み脱硫
剤を配合して用いる場合も多い。該脱硫剤は石炭灰中の
アルカリ成分や消石灰が排ガス中の硫黄酸化物等と反応
し、消石灰が石膏に変化する。従って使用済み脱硫剤は
珪素を含有する中性な石膏質ケイ酸ペレットである。使
用済み脱硫剤の成分の一例は、CaSO4 分:1〜90%、
SiO 2 分:5〜90%、Al2 O 3 分:5〜70%であ
る。上記ペレットの形状は限定されず、円柱状、立方
体、板状または任意の形状の成形体でも良い。因みに円
柱状のものは成形し易い利点を有する。またペレットの
大きさは直径5〜7mm、長さ5〜10mm程度のものが取
扱い易く、多数のペレットを固結した場合にもペレット
間に海藻や水生微生物の生育環境に適する空間を形成し
易い。このペレットからなるブロックは、ペレットの比
重が1.62で自然石の比重2.70と比較して軽く、
更にペレット間に空隙があるため軽量であり、砂地の海
底に設置しても自然石や通常のコンクリートブロックな
どと異なり長期間経過しても砂地に埋没しない。
【0011】上記ケイ酸質成形体には藻食性動物が忌避
行動を示すオキシカルボン酸が含有される。ウニやアワ
ビなどの藻食性動物が忌避行動を示すオキシカルボン酸
としては、リンゴ酸、クエン酸、p-クマール酸、ペラル
ゴン酸、カプリン酸などが報告されている。このうちリ
ンゴ酸とクエン酸は入手し易く、忌避効果も良好であり
実施し易い。とくにリンゴ酸はコンクリート強度に対す
る影響も少なく好ましい。モルタルやコンクリートを人
工礁の大きさのブロックに形成したものは、これらのモ
ルタルやコンクリートに直接リンゴ酸等が添加される。
また、セラミック片、モルタル片、コンクリート片、自
然石あるいはその砕石、またはケイ酸質ペレットなどを
モルタルやセメントペーストによって結合し一体に固結
して人工礁の大きさに形成したものは、結合材であるモ
ルタルやセメントペーストにリンゴ酸等が添加される。
なお、リンゴ酸等を配合したモルタル片やコンクリート
片あるいはリンゴ酸等を表面に塗布し、または含浸させ
たセラミック片、モルタル片、コンクリート片、砕石な
どを用いても良い。
【0012】リンゴ酸等のオキシカルボン酸をセメント
系材料に添加する場合、セメントはアルカリ物質である
ため酸を添加するとセメント強度が低下する問題があ
る。本発明は、実用に耐える強度を有し、かつウニやア
ワビなどの藻食性動物に対して十分な忌避効果が得られ
るオキシカルボン酸の含有量を追及し、その最適範囲を
定めた。本発明によれば、上記成形体に含有されるオキ
シカルボン酸の最適な含有量の下限は概ね成形体全体の
0.2%であり、かなり長期間の効果を得るには1%以
上が好ましい。また、その上限は20%であり、成形体
強度の点からは10%以下が適当であり、一般的には5
%以下が好ましい。
【0013】セメントないしセメントペーストにリンゴ
酸水溶液を添加するとリンゴ酸Caが生成され、反応時
の発熱によってセメントペーストの温度が上昇する。こ
のときリンゴ酸の濃度が40%以上であると、急激な発
熱反応が生じ、添加直後にセメントペーストの温度が10
0 ℃を越え、直ちに固化するためモルタルの混練および
成形が不能になる。このためセメントに添加するリンゴ
酸液の濃度は40%以下に限られる。一方、良く知られ
ているように、セメント強度は水セメント比に比例し、
配合水の量が増すにつれてセメント強度は次第に低下す
る。一般に実用強度を得るための配合水の量はセメント
量に対して同量以下である。従って、濃度限界40%に
近いリンゴ酸液を用い、このリンゴ酸液を上記水セメン
ト比に基づく実用強度の上限量(セメント量と同量)添
加した場合、骨材などを加えないセメントペーストにお
けるリンゴ酸含有率は約20%以下である。リンゴ酸の
添加量が20%を上回るとセメントの強度低下が大きく
なる。通常、水セメント比は0.4〜0.6程度である
から、この場合、セメントペーストのリンゴ酸含有率は
10%前後である。また一般にモルタルやコンクリート
には砂利や砂などの骨材が配合され、その配合量はセメ
ント量の2〜10倍程度であるから、多くの場合、ブロ
ック全体におけるリンゴ酸の含有率は上記値よりさらに
低く、リンゴ酸含有率は約5%以下である。さらに、自
然石や砕石、コンクリート片あるいはケイ酸質ペレット
をモルタルなどによって一体に固結したブロックにおい
てもモルタルの量比は小さくなるので、ブロック全体の
リンゴ酸含有率は同様に概ね5%以下である。
【0014】海中に投入した本発明の人工礁成形体から
は、含有されているリンゴ酸等が僅かづつ徐々に海中に
溶出する。リンゴ酸の溶出量は成形体中のリンゴ酸含有
率、成形体の空隙率などによっても異なるが、海中にお
いてウニやアワビなどの藻食性動物が忌避行動を示すた
めには1ppm 程度以上のリンゴ酸が溶出されていること
が必要であり、後述する試験例によれば、少なくとも1
月以上、約1ppm 以上のリンゴ酸が溶出し続けるために
は、成形体中に約1.6%以上のリンゴ酸が含有されて
いることが必要である。試験例の試料は5×5cmの円柱
テストピースであり、実用段階の成形体ブロックは1m
3 前後のものが多く、重量が大きいので必要なリンゴ酸
量の単位重量あたりの含有率はテストピースの場合より
も低く、試験例の約1/10程度であり、概ねブロック
全体の0.2%程度である。
【0015】以下に本発明の実施例および比較例を示
す。なお本実施例は例示であり本発明の範囲を限定する
ものではない。実施例1:成形体の強度 リンゴ酸濃度が5〜40%のリンゴ酸水溶液を用い、表
1に示す配合比で、モルタルを調製した。このモルタル
100 gを結合材として、1cm前後のケイ酸質ペレット
(使用済脱硫剤)133 gに加えて混練し、ブロック状に
成形後、乾燥し固結させ、7日経過後の強度を調べた。
この結果を表1に示した。表1に示すように、リンゴ酸
濃度30%以上の水を35g配合すると成形体の強度低
下が認められ、リンゴ酸35%濃度の水を40g配合す
ると強度低下が大きくなる。従って、本例の成形体にお
けるリンゴ酸の含有率は概ね4%以下が適当である。
【0016】
【表1】 試料No 1 2 3 4 5 6 モ セメント 33 33 33 33 33 33 g ル 砂 66 66 66 66 66 66 g タ 水 添加量 12 12 21 35 40 − g ル リンゴ酸濃度 5 10 20 30 35 40 % 成 リンゴ酸含有量 0.6 1.2 4.2 10.5 14 − g 分 モルタル重量 111 111 120 134 139 − g リンゴ酸含有率 0.54 1.1 3.5 7.8 10.0 − % 成 ペレット 133 133 133 133 133 − g 形 モルタル 100 100 100 100 100 − g 体 リンゴ酸含有率 0.24 0.49 1.65 3.92 4.2 − % 成形体強度 普通 普通 普通 やや小 小 − (注) 試料No6は比較例であり、モルタルが急激に凝
結し、成形不能
【0017】実施例2:リンゴ酸溶出量 実施例1の表1の配合に従って調製した本発明に係る成
形体175gを、300ml 容量のビーカに入れ、これに一定水
圧下、毎分30mlの流速で水道水を供給して連続的に流水
中にリンゴ酸を溶出させ、ビーカ内の流水中のリンゴ酸
濃度を24時間毎に測定した。一方、同形の普通コンク
リート成形体の表面にリンゴ酸含有樹脂を塗布したもの
を比較試料とし、同様に流水中のリンゴ酸濃度を測定し
た。この結果を表2に纏めて示した。この結果から明ら
かなように、樹脂を塗布した比較試料は試験開始2日後
にはリンゴ酸溶出量が1ppm 以下に低下するが、本発明
の成形体は28日経過後も1ppm 前後のリンゴ酸が溶出
しており、比較試料よりもはるかに長期間この溶出が継
続する。また試料No2-2 、No2-3 において、試験開始後
28日まで1ppm 以上のリンゴ酸が溶出しており、従っ
て、28日経過後も1ppm 以上のリンゴ酸が溶出するた
めのリンゴ酸含有率は、本例の場合、成形体に対して約
1.6 %以上である。
【0018】
【表2】 試料 成形体の配合量 経過日数後の溶出リンゴ酸濃度(ppm) No A B C D 4hr 1日 3日 7日 14日 21日 28日 2-1 100 75 860 0.48 3 2 <1 <1 <1 <1 <1 2-2 100 75 2890 1.57 16 6 2 2 1 1 <1 2-3 100 75 6860 3.79 19 8 4 3 3 2 1 2-4 − − 416 − 15 1 <1 <1 <1 <1 <1 表中、Aはペレット配合量(g) 、Bはモルタル配合量
(g) 、Cはリンゴ酸含有量(mg)、Dはリンゴ酸含有率
(%) である。試料No2-4 は比較例であり、リンゴ酸を含
有しないコンクリートブロック表面にリンゴ酸含有樹脂
を塗布したものであって表面全体のリンゴ酸含有量が41
6mg である。
【0019】実施例3:ウニの忌避効果 実施例1の試料No3に示す配合(セメント33g,砂66g,水
21g,リンゴ酸濃度20%)に従って成形したブロック状の
成形体を試験海域に設置し、ウニの忌避効果を観察し
た。試験海域は水深約5mの岩礁域であり、磯焼けのた
めに海藻が殆ど生育していない海底の比較的平坦な場所
である。試験用成形体は7日間水中に浸漬して遊離石灰
を除去したものを用いた。また比較試料として、リンゴ
酸を含有しない同形のコンクリートブロックを成形し、
これを同時に試験に供した。試験方法は、本発明の成形
体によって約1m平方の囲いを形成し、この中にウニの
好物であるホソメコンブを束ねて入れて試験区とした。
また試験区に隣接して比較試料によって同形の囲いを形
成し、同様にこの中にホソメコンブを入れて比較対照区
とした。試験区と対照区から等距離の位置に約300 個の
ムラサキウニを放し、ウニが囲いの中のコンブに蝟集す
る様子を5時間に亘って観察した。この結果を表3に示
した。表3に示すように、本発明のリンゴ酸含有成形体
によって囲まれた試験区においては、試験開始後4時間
経過しても囲いに中にウニが侵入せず、一方、隣接する
対照区では4時間経過後には囲いの中に33匹のウニが
侵入していた。
【0020】
【表3】 経過時間 1時間 2時間 3時間 4時間 試験区のウニの個数 0 0 0 0 対照区のウニの個数 6 16 26 33
【0021】実施例4:ウニの忌避効果 実施例1の試料No3に示す配合(セメント33g,砂66g,水
21g,リンゴ酸濃度20%)に従って本発明の成形体を10
個成形し、予めウニを除去した試験海域の岩礁にこの成
形体を隙間無く設置して試験区とし、その後のウニの蝟
集状況を観察した。またリンゴ酸を含有しない通常のコ
ンクリートブロックを試験区の近傍に同様に設置して対
照区とし、その後のウニの蝟集状況を観察した。この結
果を表4に示した。表4に示すように、試験開始直後に
は、試験区および対照区の周囲の岩礁には各々約10個
のウニが付着していたが、2日目に試験区に付着するウ
ニの個数はは4個であり、28日目には全くウニが付着
していない。一方、対照区では、20日目に40〜50
個のウニが観察され、28日目にも30〜40個のウニ
が付着していた。
【0022】
【表4】 経過日数 2日目 7日目 28日目 試験区のウニの個数 4 0 0 対照区のウニの個数 40〜50 30〜40 30〜40
【0023】試験例 普通ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッ
シュセメントにリンゴ酸またはクエン酸を次表5に示す
配合に従って添加し、室温下、1〜28日経過後の凝結
状態を調べた。この結果を表5に纏めて示した。本試験
例においては、普通ポルトランドセメントとリンゴ酸の
組合わせが凝結状態が良く、好ましい。
【0024】
【表5】 セメント 砂利 砂 水 酸液 凝結状態 種類 量g g g g 種類 液量g 濃度% 酸量g 7 14 21 28日 ホ゜ルト 66 244 132 24 − − − − ◎ ◎ ◎ ◎ ホ゜ルト 66 244 132 12 リンコ゛ 酸 22 10 2.2 ○ ○ ◎ ◎ ホ゜ルト 66 244 132 18 リンコ゛ 酸 22 20 4.4 ○ ○ ○ ◎ ホ゜ルト 66 244 132 12 クエン 酸 22 10 2.2 × △ □ □ ホ゜ルト 66 244 132 18 クエン 酸 22 20 4.4 × × △ □ 高炉 66 244 132 10 リンコ゛ 酸 22 20 4.4 △ ○ ○ ○ 高炉 66 244 132 18 クエン 酸 22 20 4.4 × △ □ □ アッシュ 66 244 132 10 リンコ゛ 酸 22 20 4.4 △ △ ○ ○ 66 244 132 15 ク 酸 22 20 4.4 × × △ □ 表中、◎は完全に硬化し、強度が大きい、□は硬化して
いるが強度が小さい、○は僅かに柔らかいが変形しな
い、△は指先で押すと僅かに変形する、×は指先で押す
と大きく変形するものを示す。
【0025】
【発明の効果】本発明の人工礁は海中に設置した際、ウ
ニやアワビに対して忌避効果のあるリンゴ酸等のオキシ
カルボン酸を僅かづつ長期間溶出するので、これらの藻
食性動物が寄り付かず、コンブなどの海藻類が藻食性動
物による食害を受けないので、海藻類が繁茂し易く、こ
れに伴い魚類の生育に適した環境となり、磯焼けを効果
的に防止することができる。さらに本発明の人工礁は成
形体内部にオキシカルボン酸が含有され、これが徐々に
溶出するので、自然石などの表面にリンゴ酸含有樹脂を
塗布するものと異なり、オキシカルボン酸の溶出が長期
間継続するのでウニやアワビの忌避効果に優れ、また、
短期間に引上げて樹脂を塗布するなどの作業が不要であ
り、引上げによって海藻や魚類の生育環境が乱される問
題もない。さらに、波浪の激しい場所や砂地の海底など
では、従来のリンゴ酸含有樹脂を塗布したものでは表面
の樹脂が磨耗によって擦り取られ数か月で効果を失う問
題があったが、本発明の人工礁はこのような欠陥がな
い。また、リンゴ酸等を含有したコンクリートブロック
などを基材に結合し一体に組合わせてなる人工礁成形体
は、任意の形状に成形できるので磯の海底状態に応じて
最適な形状に設置することができる利点を有する。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 藻食性動物が忌避行動を示すオキシカル
    ボン酸が含有されたケイ酸質成形体からなり、藻食性動
    物による食害を防止したことを特徴とする水産資源用人
    工礁。
  2. 【請求項2】 ケイ酸質成形体からなり、藻食性動物に
    対する忌避物質であるオキシカルボン酸が成形体の0.
    2〜20wt%含有されている請求項1の水産資源用人工
    礁。
  3. 【請求項3】 オキシカルボン酸がリンゴ酸またはクエ
    ン酸である請求項1または2の水産資源用人工礁。
  4. 【請求項4】 ケイ酸質成形体が、オキシカルボン酸を
    添加して固結させたモルタル、コンクリートまたはこれ
    らの混合体である請求項1〜3のいずれかの水産資源用
    人工礁。
  5. 【請求項5】 ケイ酸質成形体が、自然石、砕石、コン
    クリート片、モルタル片またはセラミック片をオキシカ
    ルボン酸を添加したモルタルまたはセメントペーストに
    よって結合し一体に固結したものである請求項1〜3の
    いずれかの水産資源用人工礁。
  6. 【請求項6】 ケイ酸質成形体が、石炭灰と消石灰を主
    要原料とした使用済み脱硫剤からなるペレットを、オキ
    シカルボン酸を添加したモルタルまたはセメントペース
    トによって結合し、一体に固結したものである請求項1
    〜3のいずれかの水産資源用人工礁。
  7. 【請求項7】 ケイ酸質成形体が、オキシカルボン酸を
    含有するコンクリート片、モルタル片あるいは、オキシ
    カルボン酸を塗布ないし含浸させたセラミック片、コン
    クリート片、モルタル片、自然石および砕石をモルタル
    ないしセメントペーストによって結合し一体に固結した
    ものである請求項1〜3のいずれかの水産資源用人工
    礁。
  8. 【請求項8】 請求項7において、セラミック片、コン
    クリート片、モルタル片、自然石および砕石を、オキシ
    カルボン酸を添加したモルタルまたはセメントペースト
    によって結合し一体に固結したものである水産資源用人
    工礁。
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