JP2773067B2 - 水生生物育成用多孔質成形体と該成形体からなる人工礁 - Google Patents
水生生物育成用多孔質成形体と該成形体からなる人工礁Info
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A40/00—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
- Y02A40/80—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
- Y02A40/81—Aquaculture, e.g. of fish
Landscapes
- Artificial Fish Reefs (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海藻や水生微生物など
の繁殖に最適な水生生物育成用の多孔質成形体と該成形
体を用いた人工礁に関する。より詳しくは、内部空隙が
大きく、段階的な大きさの空隙を有し、かつ遊離石灰量
が極めて少なく、数日後には遊離石灰を殆ど生じないの
で水質が中性に保たれるために水生動植物が成育し易
く、しかも海藻の着床を阻害する磯焼を生じないなど海
藻や水生微生物などの最適な繁殖環境を形成することが
できる水生生物育成用多孔質成形体およびその人工礁に
関する。
の繁殖に最適な水生生物育成用の多孔質成形体と該成形
体を用いた人工礁に関する。より詳しくは、内部空隙が
大きく、段階的な大きさの空隙を有し、かつ遊離石灰量
が極めて少なく、数日後には遊離石灰を殆ど生じないの
で水質が中性に保たれるために水生動植物が成育し易
く、しかも海藻の着床を阻害する磯焼を生じないなど海
藻や水生微生物などの最適な繁殖環境を形成することが
できる水生生物育成用多孔質成形体およびその人工礁に
関する。
【0002】
【従来技術とその課題】海中に砕石やコンクリートブロ
ックあるいは廃船などを投入して藻礁や魚礁を人工的に
形成することは従来から実施されており、海中に投入す
る砕石やコンクリートブロックについて、海藻や魚類な
どの水生動植物の繁殖を促すことができる形状や材料に
ついて種々検討されている。このうち人工資材を利用す
るものとしては、耐久性の点からコンクリート製品を用
いる方法が主に試みられており、コンクリートによって
製造した箱型の中空ブロックを海中に積上げる方法など
が知られており、また平均粒径1cm前後の砕石をセメン
トで固めた棒状の多孔質コンクリート製品(NFC)な
どが提案されている。
ックあるいは廃船などを投入して藻礁や魚礁を人工的に
形成することは従来から実施されており、海中に投入す
る砕石やコンクリートブロックについて、海藻や魚類な
どの水生動植物の繁殖を促すことができる形状や材料に
ついて種々検討されている。このうち人工資材を利用す
るものとしては、耐久性の点からコンクリート製品を用
いる方法が主に試みられており、コンクリートによって
製造した箱型の中空ブロックを海中に積上げる方法など
が知られており、また平均粒径1cm前後の砕石をセメン
トで固めた棒状の多孔質コンクリート製品(NFC)な
どが提案されている。
【0003】ところがコンクリートブロックは重量が大
きく、砂地に設置すると次第に埋没し長期間利用するこ
とができない。また上記多孔質コンクリート製品(NF
C)は、22〜31%程度の空隙率を有し、固結された
砕石間に空隙が多数形成されるので普通のコンクリート
製品よりは海藻の付着や菌類の繁殖が良好であると報告
されているが、該製品はその主体が砕石であり、セメン
トを結合材としてこの砕石を相互に固結したものである
ため、砕石自体は細孔を有さず、製品全体の内部空間は
専ら砕石間のマクロ的な隙間によって形成されている。
このため内部空間の大きさは1mm〜10mm程度と考えら
れ、これより微細な空間を形成し難く、海中における微
生物の生息空間の広がりに限界がある。さらに現在提案
されている上記多孔質コンクリート製品は、セメントペ
ーストを結合材として固結したものであるために、海中
に投入した際に遊離石灰の溶出が多く、通水量が少ない
場合には海中投入後数週間経過しても、内部空間および
周囲はpH9以上のアルカリ環境下になる。遊離石灰の
溶出はその後次第に減少するが長期間この傾向が続く。
きく、砂地に設置すると次第に埋没し長期間利用するこ
とができない。また上記多孔質コンクリート製品(NF
C)は、22〜31%程度の空隙率を有し、固結された
砕石間に空隙が多数形成されるので普通のコンクリート
製品よりは海藻の付着や菌類の繁殖が良好であると報告
されているが、該製品はその主体が砕石であり、セメン
トを結合材としてこの砕石を相互に固結したものである
ため、砕石自体は細孔を有さず、製品全体の内部空間は
専ら砕石間のマクロ的な隙間によって形成されている。
このため内部空間の大きさは1mm〜10mm程度と考えら
れ、これより微細な空間を形成し難く、海中における微
生物の生息空間の広がりに限界がある。さらに現在提案
されている上記多孔質コンクリート製品は、セメントペ
ーストを結合材として固結したものであるために、海中
に投入した際に遊離石灰の溶出が多く、通水量が少ない
場合には海中投入後数週間経過しても、内部空間および
周囲はpH9以上のアルカリ環境下になる。遊離石灰の
溶出はその後次第に減少するが長期間この傾向が続く。
【0004】この他に、藻礁や魚礁については自然環境
に起因するものとして磯焼けの問題がある。これは岩礁
の表面全体に石灰藻(サンゴ藻)が張り付く現象であ
り、この石灰藻は海藻の着床を阻害するため、痩せた磯
になり藻礁や魚礁として期待できない環境となる。この
ため海生動植物の生育環境を整え、豊富な漁業資源を繁
殖させるために、藻礁や魚礁について石灰藻の成育を阻
止し、磯焼けを効果的に防止することが必要となる。上
記磯焼けの対策として、岩盤の表面を発破などによって
剥離する方法や、砕石やコンクリートブロックを投入す
る方法などが従来から実施されている。ところが、発破
によって岩盤表面を剥離する方法は作業が危険であり、
しかも数年経つと再び磯焼けの状態になる。また砕石や
コンクリートブロックを投入すると、投入直後は海藻の
着床が良好であるが、次第に着床率が低下し、しかも自
重により砂地などに埋没する根本的な問題がある。また
上記多孔質コンクリート製品は従来のコンクリートブロ
ックよりは軽量であるが、やはり海中に設置後暫くする
と人口礁の表面全体に石灰藻が張り付くようになり、磯
焼けを生じ、藻礁や魚礁として利用できない状態になる
ものが暫々見受けられる。
に起因するものとして磯焼けの問題がある。これは岩礁
の表面全体に石灰藻(サンゴ藻)が張り付く現象であ
り、この石灰藻は海藻の着床を阻害するため、痩せた磯
になり藻礁や魚礁として期待できない環境となる。この
ため海生動植物の生育環境を整え、豊富な漁業資源を繁
殖させるために、藻礁や魚礁について石灰藻の成育を阻
止し、磯焼けを効果的に防止することが必要となる。上
記磯焼けの対策として、岩盤の表面を発破などによって
剥離する方法や、砕石やコンクリートブロックを投入す
る方法などが従来から実施されている。ところが、発破
によって岩盤表面を剥離する方法は作業が危険であり、
しかも数年経つと再び磯焼けの状態になる。また砕石や
コンクリートブロックを投入すると、投入直後は海藻の
着床が良好であるが、次第に着床率が低下し、しかも自
重により砂地などに埋没する根本的な問題がある。また
上記多孔質コンクリート製品は従来のコンクリートブロ
ックよりは軽量であるが、やはり海中に設置後暫くする
と人口礁の表面全体に石灰藻が張り付くようになり、磯
焼けを生じ、藻礁や魚礁として利用できない状態になる
ものが暫々見受けられる。
【0005】
【発明の解決課題】本発明は、従来の人工礁におけるこ
のような課題を解決した水生生物育成用多孔質成形体を
提供することを目的とする。本発明において、石炭灰と
消石灰を主要原料とした脱硫剤であって、ボイラー排ガ
スの脱硫に使用されている使用済み脱硫剤に代表される
珪素含有石膏質ペレットを主成分とし、該ペレットをセ
メントモルタルなどの結合材によって固めた多孔質成形
体は、ペレット間のマクロ空間、ペレット表面の針状結
晶の集合によるミクロ空間およびペレット自体の微細な
細孔によって大きさの異なる多様な内部空間が形成され
ため、菌類、藻類を始めとしてプランクトンなどの水生
動植物の生育に適し、藻礁や魚礁として最適であり、し
かも表面が凹凸に富むために石灰藻の繁殖を抑制でき、
磯焼けを生じないなどの利点が見出だされた。本発明は
上記知見に基づき、従来の人工礁用コンクリート製品と
は根本的に相違する珪素含有石膏質ペレットを主体とす
る多孔質成形体を用いることによって上記課題を解決し
たものであり、さらに海岸や沖合の人工礁に限らず、砂
浜の海底や、河川、湖沼の河岸や湖底に敷設し、そこに
生育する水生動植物の生育環境を整えるためにも用いる
ことができ、また水域の自然浄化にも効果のある多孔質
成形体を提供するものであり、該成形体によって形成し
た人工礁を提供するものである。
のような課題を解決した水生生物育成用多孔質成形体を
提供することを目的とする。本発明において、石炭灰と
消石灰を主要原料とした脱硫剤であって、ボイラー排ガ
スの脱硫に使用されている使用済み脱硫剤に代表される
珪素含有石膏質ペレットを主成分とし、該ペレットをセ
メントモルタルなどの結合材によって固めた多孔質成形
体は、ペレット間のマクロ空間、ペレット表面の針状結
晶の集合によるミクロ空間およびペレット自体の微細な
細孔によって大きさの異なる多様な内部空間が形成され
ため、菌類、藻類を始めとしてプランクトンなどの水生
動植物の生育に適し、藻礁や魚礁として最適であり、し
かも表面が凹凸に富むために石灰藻の繁殖を抑制でき、
磯焼けを生じないなどの利点が見出だされた。本発明は
上記知見に基づき、従来の人工礁用コンクリート製品と
は根本的に相違する珪素含有石膏質ペレットを主体とす
る多孔質成形体を用いることによって上記課題を解決し
たものであり、さらに海岸や沖合の人工礁に限らず、砂
浜の海底や、河川、湖沼の河岸や湖底に敷設し、そこに
生育する水生動植物の生育環境を整えるためにも用いる
ことができ、また水域の自然浄化にも効果のある多孔質
成形体を提供するものであり、該成形体によって形成し
た人工礁を提供するものである。
【0006】
【発明の構成:課題の解決手段】本発明によれば、以下
の水生生物育成用多孔質成形体および人工礁が提供され
る。 (1)水生生物育成用の成形体であって、珪素含有石膏
質ペレットが結合材によって固結されてなり、ペレット
間の空間およびペレット自体の表面から内部に至る細孔
によって形成された水生生物の繁殖空間を有することを
特徴とする水生生物育成用多孔質成形体。 (2)珪素含有石膏質ペレットが、石炭灰と消石灰を主
要原料とした使用済み脱硫剤である上記(1) の成形体。 (3)珪素含有石膏質ペレットが、使用済み脱硫剤1重
量部に対して結合材のモルタルを0.3〜1.5重量部
配合してなる上記 (2)の成形体。 (4)珪素含有石膏質ペレットを結合材によって固結し
た多数の多孔質成形体を枠体に充填してブロック状に形
成したことを特徴とする人工礁。
の水生生物育成用多孔質成形体および人工礁が提供され
る。 (1)水生生物育成用の成形体であって、珪素含有石膏
質ペレットが結合材によって固結されてなり、ペレット
間の空間およびペレット自体の表面から内部に至る細孔
によって形成された水生生物の繁殖空間を有することを
特徴とする水生生物育成用多孔質成形体。 (2)珪素含有石膏質ペレットが、石炭灰と消石灰を主
要原料とした使用済み脱硫剤である上記(1) の成形体。 (3)珪素含有石膏質ペレットが、使用済み脱硫剤1重
量部に対して結合材のモルタルを0.3〜1.5重量部
配合してなる上記 (2)の成形体。 (4)珪素含有石膏質ペレットを結合材によって固結し
た多数の多孔質成形体を枠体に充填してブロック状に形
成したことを特徴とする人工礁。
【0007】
【発明の具体的な説明】本発明の多孔質成形体は、珪素
含有石膏質ペレットを結合材によって固結したものであ
り、上記珪素含有石膏質ペレットの代表例は、石炭灰と
消石灰を主要原料とした脱硫剤であって、ボイラー排ガ
スの脱硫に使用されている使用済み脱硫剤である。上記
脱硫剤は、石炭灰と消石灰を主原料とし、加水混合して
ペレット状に成形乾燥したものであり、ボイラー排ガス
に付設された脱硫装置の吸収塔に充填して使用される。
なお、該脱硫剤には成形体の強度を高める目的で石炭灰
と消石灰に加えて使用済み脱硫剤を配合すると良い。該
脱硫剤は石炭灰中のアルカリ成分や消石灰が排ガス中の
硫黄酸化物等と反応し、消石灰が石膏に変化する。従っ
て使用済み脱硫剤は珪素を含有する中性な石膏質ペレッ
トである。使用済み脱硫剤の成分の一例を表1に示し
た。
含有石膏質ペレットを結合材によって固結したものであ
り、上記珪素含有石膏質ペレットの代表例は、石炭灰と
消石灰を主要原料とした脱硫剤であって、ボイラー排ガ
スの脱硫に使用されている使用済み脱硫剤である。上記
脱硫剤は、石炭灰と消石灰を主原料とし、加水混合して
ペレット状に成形乾燥したものであり、ボイラー排ガス
に付設された脱硫装置の吸収塔に充填して使用される。
なお、該脱硫剤には成形体の強度を高める目的で石炭灰
と消石灰に加えて使用済み脱硫剤を配合すると良い。該
脱硫剤は石炭灰中のアルカリ成分や消石灰が排ガス中の
硫黄酸化物等と反応し、消石灰が石膏に変化する。従っ
て使用済み脱硫剤は珪素を含有する中性な石膏質ペレッ
トである。使用済み脱硫剤の成分の一例を表1に示し
た。
【0008】上記ペレットの形状は限定されず、円柱
状、立方体、板状または任意の形状の成形体でも良い。
因みに円柱状のものは成形し易い利点を有する。またペ
レットの大きさは直径5〜7mm、長さ5〜10mm程度の
ものが取扱い易く、多数のペレットを固結した場合にも
ペレット間に海藻や水生微生物の生育環境に適する空間
を形成し易い。上記ペレットは、その成形過程で原料の
石炭灰、消石灰、使用済み材料の相互間の水和反応によ
り粒子表面にエトリンガイトの針状結晶が成長するため
細孔に富む。この針状結晶の例を図1に示した。同図
は、石炭灰30wt%、消石灰30wt%、使用済み脱硫剤
40wt%を混合し、混合物100に対して45重量部の
水を加えてペレット状に成形したものの組織構造を示す
電子顕微鏡写真である。同図に示されるように原料の個
々の粒子表面は針状結晶によって覆われており、この針
状結晶が絡み合ってペレットの強度を高めると共に内部
に微細な細孔を形成している。
状、立方体、板状または任意の形状の成形体でも良い。
因みに円柱状のものは成形し易い利点を有する。またペ
レットの大きさは直径5〜7mm、長さ5〜10mm程度の
ものが取扱い易く、多数のペレットを固結した場合にも
ペレット間に海藻や水生微生物の生育環境に適する空間
を形成し易い。上記ペレットは、その成形過程で原料の
石炭灰、消石灰、使用済み材料の相互間の水和反応によ
り粒子表面にエトリンガイトの針状結晶が成長するため
細孔に富む。この針状結晶の例を図1に示した。同図
は、石炭灰30wt%、消石灰30wt%、使用済み脱硫剤
40wt%を混合し、混合物100に対して45重量部の
水を加えてペレット状に成形したものの組織構造を示す
電子顕微鏡写真である。同図に示されるように原料の個
々の粒子表面は針状結晶によって覆われており、この針
状結晶が絡み合ってペレットの強度を高めると共に内部
に微細な細孔を形成している。
【0009】上記珪素含有石膏質ペレットをモルタルな
どの結合材によって固結して本発明の多孔質成形体が得
られる。モルタルの使用量は、上記ペレット1重量部に
対してモルタル0.3〜1.5重量部が適当である。モ
ルタルの使用量が0.3重量部未満では強度が不足し、
1.5重量部を越えるとペレットの隙間が大部分モルタ
ルで埋められ、生育空間を確保できないので好ましくな
い。なお、モルタルのセメントと砂の配合比は一般に用
いられている範囲で良く、一例として、セメント1重量
部に対して砂1〜5重量部配合したものが適当である。
上記ペレット表面の細孔を塞がないものであれば、モル
タル以外の結合材を用いてもよく、例えば、セメントペ
ーストやエポキシ樹脂など時硬性の材料を用いることが
できる。エポキシ樹脂などをペレット表面に少量まぶし
締め固めれば固結した成形体が得られる。
どの結合材によって固結して本発明の多孔質成形体が得
られる。モルタルの使用量は、上記ペレット1重量部に
対してモルタル0.3〜1.5重量部が適当である。モ
ルタルの使用量が0.3重量部未満では強度が不足し、
1.5重量部を越えるとペレットの隙間が大部分モルタ
ルで埋められ、生育空間を確保できないので好ましくな
い。なお、モルタルのセメントと砂の配合比は一般に用
いられている範囲で良く、一例として、セメント1重量
部に対して砂1〜5重量部配合したものが適当である。
上記ペレット表面の細孔を塞がないものであれば、モル
タル以外の結合材を用いてもよく、例えば、セメントペ
ーストやエポキシ樹脂など時硬性の材料を用いることが
できる。エポキシ樹脂などをペレット表面に少量まぶし
締め固めれば固結した成形体が得られる。
【0010】本発明に係る多孔質成形体は任意の形状お
よび大きさを有することができる。成形方法は常法に従
い、上記ペレットとモルタルおよび水を所定量混合した
ものを混練して型枠に充填し、固結した後に脱型すれば
良い。上記成形体の一例を図2に示す。図示するよう
に、成形体20は円柱状をなし一体に固結された多数の
ペレット21によって形成され、各ペレット21の間に
空隙22が形成されている。
よび大きさを有することができる。成形方法は常法に従
い、上記ペレットとモルタルおよび水を所定量混合した
ものを混練して型枠に充填し、固結した後に脱型すれば
良い。上記成形体の一例を図2に示す。図示するよう
に、成形体20は円柱状をなし一体に固結された多数の
ペレット21によって形成され、各ペレット21の間に
空隙22が形成されている。
【0011】上記多孔質成形体は、砕石よりも細孔に富
む上記ペレットを固結して製造されるので、砕石をセメ
ントペーストなどで固結したコンクリート製品よりも空
隙が多く、とくにペレット間のマクロな空間(平均孔径
1〜5mm)に加えてペレット自体の細孔による微細なミ
クロの空間(平均孔径0.07〜130 μm )が存在するの
で、大きさが段階的に異なる多数の空間が形成される。
さらに上記多孔質成形体は、水中に設置した場合に、磯
焼けの原因である石灰藻が成形体表面で繁殖し難く、そ
の成長を阻止することができる。コンブ、ワカメ、ホン
ダワラ、アオサなどのように背が高く成長する海藻の多
くは仮根によって岩礁などの基盤に付着しており、これ
らの海藻はこの仮根によって支えられ、垂直に成長する
ので基盤の表面が凹凸に富む場合にも良く付着し、むし
ろ表面が平滑な場合よりも付着し易く、成長が良い。一
方、石灰藻は基盤表面に面状に繁殖するが、基盤表面の
凹凸が著しいと、ミクロな日照不足の面が生じ、この部
分での成長が阻害されるので繁殖し難い。本発明の多孔
質成形体はペレットを固結して形成したものであるため
表面の凹凸が著しく石灰藻が繁殖し難く、磯焼けを生ぜ
ず、他方、コンブ、ワカメ、ホンダワラなどのように仮
根によって基盤に付着する海藻は着床し易い。このよう
に上記多孔質成形体は石灰藻によって他の海藻類の着床
が阻害されないので上記海藻類やこれに付随する水生微
生物などの生育環境に適する。また上記多孔質成形体の
ペレットは水硬性を有し、石膏の飽和水溶液中において
石膏の針状結晶が成長し、隣接する粒子が相互に結合し
て固結するので、このような環境の水域では水中設置後
に成形体の強度が向上する利点を有する。なお自然水域
では水の流動があるので石膏の針状結晶は成長し難い
が、上記成形体は結合材によって充分な強度を有するの
で上記針状結晶が成長しなくても特に問題はない。この
他に、表面から微少量溶出する石膏分が水中の微細な粘
土粒子を凝集させ懸濁成分を沈降させるので、汚濁水を
静澄化する効果がある。従来のコンクリート製品にはこ
のような効果が無い。
む上記ペレットを固結して製造されるので、砕石をセメ
ントペーストなどで固結したコンクリート製品よりも空
隙が多く、とくにペレット間のマクロな空間(平均孔径
1〜5mm)に加えてペレット自体の細孔による微細なミ
クロの空間(平均孔径0.07〜130 μm )が存在するの
で、大きさが段階的に異なる多数の空間が形成される。
さらに上記多孔質成形体は、水中に設置した場合に、磯
焼けの原因である石灰藻が成形体表面で繁殖し難く、そ
の成長を阻止することができる。コンブ、ワカメ、ホン
ダワラ、アオサなどのように背が高く成長する海藻の多
くは仮根によって岩礁などの基盤に付着しており、これ
らの海藻はこの仮根によって支えられ、垂直に成長する
ので基盤の表面が凹凸に富む場合にも良く付着し、むし
ろ表面が平滑な場合よりも付着し易く、成長が良い。一
方、石灰藻は基盤表面に面状に繁殖するが、基盤表面の
凹凸が著しいと、ミクロな日照不足の面が生じ、この部
分での成長が阻害されるので繁殖し難い。本発明の多孔
質成形体はペレットを固結して形成したものであるため
表面の凹凸が著しく石灰藻が繁殖し難く、磯焼けを生ぜ
ず、他方、コンブ、ワカメ、ホンダワラなどのように仮
根によって基盤に付着する海藻は着床し易い。このよう
に上記多孔質成形体は石灰藻によって他の海藻類の着床
が阻害されないので上記海藻類やこれに付随する水生微
生物などの生育環境に適する。また上記多孔質成形体の
ペレットは水硬性を有し、石膏の飽和水溶液中において
石膏の針状結晶が成長し、隣接する粒子が相互に結合し
て固結するので、このような環境の水域では水中設置後
に成形体の強度が向上する利点を有する。なお自然水域
では水の流動があるので石膏の針状結晶は成長し難い
が、上記成形体は結合材によって充分な強度を有するの
で上記針状結晶が成長しなくても特に問題はない。この
他に、表面から微少量溶出する石膏分が水中の微細な粘
土粒子を凝集させ懸濁成分を沈降させるので、汚濁水を
静澄化する効果がある。従来のコンクリート製品にはこ
のような効果が無い。
【0012】従来の多孔質コンクリート製品は遊離石灰
の溶出量が多く、水中投入直後に製品近傍のpHが12
以上に達し、3週間経過後もpH9より下がらずアルカ
リ性の環境となり、長期間このままで推移するものが見
受けられるが、本発明の上記多孔質成形体は水中におい
て数日後には遊離石灰が殆ど溶出しない。本発明の多孔
質成形体の一例(ペレット:モルタル=1:0.75、注入
水量100ml/分)を水中に投入した場合、投入直後の周囲
のpHは7.9であり、3週間経過後にはpH7.1で
ある。注入水量の少ない多孔質成形体では水中投入直後
にpH9程度を示すものもあるが2〜3日後にはpH
7.4程度になり急速に中性化する。このように本発明
の成形体は水中に投入した直後から遊離石灰の溶出量が
極めて少なく、アルカリ性の環境を生じないので海藻類
や水生微小生物の生育に適し、海藻類の着床が早い。
の溶出量が多く、水中投入直後に製品近傍のpHが12
以上に達し、3週間経過後もpH9より下がらずアルカ
リ性の環境となり、長期間このままで推移するものが見
受けられるが、本発明の上記多孔質成形体は水中におい
て数日後には遊離石灰が殆ど溶出しない。本発明の多孔
質成形体の一例(ペレット:モルタル=1:0.75、注入
水量100ml/分)を水中に投入した場合、投入直後の周囲
のpHは7.9であり、3週間経過後にはpH7.1で
ある。注入水量の少ない多孔質成形体では水中投入直後
にpH9程度を示すものもあるが2〜3日後にはpH
7.4程度になり急速に中性化する。このように本発明
の成形体は水中に投入した直後から遊離石灰の溶出量が
極めて少なく、アルカリ性の環境を生じないので海藻類
や水生微小生物の生育に適し、海藻類の着床が早い。
【0013】使用済み脱硫剤からなる上記多孔質成形体
は、脱硫剤がその脱硫の過程で窒素酸化物(NOx )を吸
収し、この窒素分が硝酸塩の形で含有されているため
に、実施例に示すように、水中で微量の窒素分が溶出
し、これが海藻類の栄養分として利用され、その成長を
促進する効果がある。因みに、磯焼けの原因の一つとし
て、海水中の栄養分の不足が指摘されており、本発明の
多孔質成形体は微量ながら栄養源の窒素を供給できる点
は磯焼け防止のうえからも有利である。
は、脱硫剤がその脱硫の過程で窒素酸化物(NOx )を吸
収し、この窒素分が硝酸塩の形で含有されているため
に、実施例に示すように、水中で微量の窒素分が溶出
し、これが海藻類の栄養分として利用され、その成長を
促進する効果がある。因みに、磯焼けの原因の一つとし
て、海水中の栄養分の不足が指摘されており、本発明の
多孔質成形体は微量ながら栄養源の窒素を供給できる点
は磯焼け防止のうえからも有利である。
【0014】本発明に係る多孔質成形体は、モルタル配
合比が0.75の場合、海水中での単位体積重量は0.
84kg/lであり、砂の海水中での単位体積重量約1.0
3kg/lに比較して小さいので、上記多孔質成形体からな
るブロックを砂地に設置しても、従来のコンクリートブ
ロックや砕石を固結したコンクリート製品と異なり、砂
地に埋没する虞が無く、長期間有効に利用することがで
きる。従来のコンクリートブロックなどは砂地に設置す
ると埋没する問題のあることが従来から指摘されてい
る。とくに海岸付近の砂地は波による砂の移動が激しい
ため、コンクリートブロックなどの埋没が予想外に早
く、場所によっては設置後1〜2年で完全に埋没する例
が暫々見られる。ところが本発明の多孔質成形体からな
る人工礁はこのような問題が無く、海中で、本発明の人
工礁の周囲に同時期に設置したコンクリートブロックが
砂地に埋没しても、本発明の人工礁は埋没せず、長期間
利用できることが確認されている。
合比が0.75の場合、海水中での単位体積重量は0.
84kg/lであり、砂の海水中での単位体積重量約1.0
3kg/lに比較して小さいので、上記多孔質成形体からな
るブロックを砂地に設置しても、従来のコンクリートブ
ロックや砕石を固結したコンクリート製品と異なり、砂
地に埋没する虞が無く、長期間有効に利用することがで
きる。従来のコンクリートブロックなどは砂地に設置す
ると埋没する問題のあることが従来から指摘されてい
る。とくに海岸付近の砂地は波による砂の移動が激しい
ため、コンクリートブロックなどの埋没が予想外に早
く、場所によっては設置後1〜2年で完全に埋没する例
が暫々見られる。ところが本発明の多孔質成形体からな
る人工礁はこのような問題が無く、海中で、本発明の人
工礁の周囲に同時期に設置したコンクリートブロックが
砂地に埋没しても、本発明の人工礁は埋没せず、長期間
利用できることが確認されている。
【0015】上記成形体を水中に設置する態様も限定さ
れない。藻礁や魚礁として海中に設置する場合には、型
枠などを利用してブロック状に形成して用いると良い。
ブロックの形状および大きさは設置する水域の環境等に
よって適宜決定される。藻礁や魚礁として利用される人
工礁の好適な一例を図3に示す。図示する人工礁30は
多数の多孔質成形体31を用いて形成したブロック32
を積み重ねて形成されており、鉄製の架台33の上面に
同一寸法の角型の枠体34が等間隔に設置されており、
その中央に同一寸法の枠体34が立設されている。該枠
体34には上記多孔質成形体31が充填されており、各
ブロック32の表面は内部に充填した多孔質成形体31
によって形成されている。図3の人工礁は、等間隔に配
置した4個のブロック32の中央上部に他のブロック3
2を積み重ね、各ブロック32の間および下側に魚類や
貝類などの生育空間を形成しているが、この形状および
配置は任意であり、例えば、上記ブロックを傘状に形成
してブロックの上面を広くしたものを、適当な間隔で上
下左右に積み重ねても良い。
れない。藻礁や魚礁として海中に設置する場合には、型
枠などを利用してブロック状に形成して用いると良い。
ブロックの形状および大きさは設置する水域の環境等に
よって適宜決定される。藻礁や魚礁として利用される人
工礁の好適な一例を図3に示す。図示する人工礁30は
多数の多孔質成形体31を用いて形成したブロック32
を積み重ねて形成されており、鉄製の架台33の上面に
同一寸法の角型の枠体34が等間隔に設置されており、
その中央に同一寸法の枠体34が立設されている。該枠
体34には上記多孔質成形体31が充填されており、各
ブロック32の表面は内部に充填した多孔質成形体31
によって形成されている。図3の人工礁は、等間隔に配
置した4個のブロック32の中央上部に他のブロック3
2を積み重ね、各ブロック32の間および下側に魚類や
貝類などの生育空間を形成しているが、この形状および
配置は任意であり、例えば、上記ブロックを傘状に形成
してブロックの上面を広くしたものを、適当な間隔で上
下左右に積み重ねても良い。
【0016】本発明の人工礁は上記ブロック32の内部
あるいはブッロク32の間に固形肥料を組み込むことも
できる。固形肥料を組み込んだものは、海中で固形肥料
が少量づつ溶出し、多孔質成形体の表面に着床した海藻
類や微生物の栄養源となる。固形肥料を組み込む手段と
しては板材や網状の部材に固形肥料を埋設しても良くあ
るいは上記ブロックの表面に直接固形肥料を埋設しても
よい。
あるいはブッロク32の間に固形肥料を組み込むことも
できる。固形肥料を組み込んだものは、海中で固形肥料
が少量づつ溶出し、多孔質成形体の表面に着床した海藻
類や微生物の栄養源となる。固形肥料を組み込む手段と
しては板材や網状の部材に固形肥料を埋設しても良くあ
るいは上記ブロックの表面に直接固形肥料を埋設しても
よい。
【0017】
【発明の効果】本発明の多孔質成形体は、(a) 空隙率が
大きく、しかもペレット間のマクロな空間およびペレッ
ト自体の細孔によるミクロな空間を有し、異なった大き
さの空間を有するので微生物の生育に適し、水中に設置
した場合に海藻類や菌類などの生育が促進されるので、
海岸や沖合の藻礁や魚礁として好適である。(b) また従
来のコンクリート製品よりも軽量であり、砂よりも水中
での単位体積重量が小さいので、砂地に設置しても埋没
する虞がなく、長期間有効に利用することができる。
(c) さらに、表面の凹凸が激しいので面状に繁殖する石
灰藻の着床ないし成長が阻害され、磯焼けが生じない。
(d) 菌類や微生物の繁殖が活発になるので、これらの活
動による水質浄化能力が大きく、河川、湖沼、海岸、池
などにおいて水質浄化材として利用することができる。
(e) また表面から微少量溶出する石膏分が水中の微細な
粘土粒子を凝集させ懸濁成分を沈降させるので、汚濁水
を清澄化する効果がある。因みに、砕石を固結した従来
のコンクリート製品にはこのような効果が全く無い。
(f) 本発明の成形体は使用済み脱硫剤を原料として利用
することができるので、安価に製造でき、資源の有効利
用を図ることができる。従来、使用済み脱硫剤は単に廃
棄物として処理されているに過ぎない。本発明の多孔質
成形体はこのような使用済み脱硫剤の性状に注目し、こ
れを技術的に有効利用したものであり、前述の実施例に
示すように優れた技術的効果を有し、また経済的効果も
大きい。
大きく、しかもペレット間のマクロな空間およびペレッ
ト自体の細孔によるミクロな空間を有し、異なった大き
さの空間を有するので微生物の生育に適し、水中に設置
した場合に海藻類や菌類などの生育が促進されるので、
海岸や沖合の藻礁や魚礁として好適である。(b) また従
来のコンクリート製品よりも軽量であり、砂よりも水中
での単位体積重量が小さいので、砂地に設置しても埋没
する虞がなく、長期間有効に利用することができる。
(c) さらに、表面の凹凸が激しいので面状に繁殖する石
灰藻の着床ないし成長が阻害され、磯焼けが生じない。
(d) 菌類や微生物の繁殖が活発になるので、これらの活
動による水質浄化能力が大きく、河川、湖沼、海岸、池
などにおいて水質浄化材として利用することができる。
(e) また表面から微少量溶出する石膏分が水中の微細な
粘土粒子を凝集させ懸濁成分を沈降させるので、汚濁水
を清澄化する効果がある。因みに、砕石を固結した従来
のコンクリート製品にはこのような効果が全く無い。
(f) 本発明の成形体は使用済み脱硫剤を原料として利用
することができるので、安価に製造でき、資源の有効利
用を図ることができる。従来、使用済み脱硫剤は単に廃
棄物として処理されているに過ぎない。本発明の多孔質
成形体はこのような使用済み脱硫剤の性状に注目し、こ
れを技術的に有効利用したものであり、前述の実施例に
示すように優れた技術的効果を有し、また経済的効果も
大きい。
【0018】
【実施例および比較例】以下、本発明の実施例を比較例
と共に示す。なお以下の実施例は例示であり本発明の範
囲を限定するものではない。 実施例1 石炭灰30wt%と消石灰30wt%および使用済み脱硫剤40wt
%を加水混合して直径6mm、長さ5〜10mmのペレット
状に成形乾燥し、ボイラー排ガスの脱硫に用いた使用済
み脱硫剤であって、表1の成分を有する円柱状ペレット
にモルタルないしセメントペーストを添加し、混練後、
型枠に入れて固結し、直径10cm、長さ20cmの円柱状
成形体を製造した(試料A1、A2)。一方、比較のため、
上記ペレットに代えて平均粒径5〜13mmの安山岩質砕
石を用い、上記成形体と同一条件で固結し比較試料のコ
ンクリート製品を得た(試料B1、B2)。また、本発明に
係るペレットと比較試料の砕石の空隙量(細孔分布)を
水銀ポロシメータによって測定した。この結果を図5に
示した。同図に示すように、本発明の成形体を形成する
ペレットは従来の砕石に比べて空隙量が格段に大きく微
細な空隙に富む。このペレットを固結した本発明の成形
体と砕石を固結した比較試料の成形体について、その重
量および空隙率を測定した。この結果を表2に示した。
同表に示すように本発明の多孔質成形体は、その重量お
よび見掛け比重が砕石を固結した比較試料よりも小さ
い。また本発明に係る多孔質成形体の海水中の単位体積
重量は試料A1,A2の何れも砂よりも小さい。
と共に示す。なお以下の実施例は例示であり本発明の範
囲を限定するものではない。 実施例1 石炭灰30wt%と消石灰30wt%および使用済み脱硫剤40wt
%を加水混合して直径6mm、長さ5〜10mmのペレット
状に成形乾燥し、ボイラー排ガスの脱硫に用いた使用済
み脱硫剤であって、表1の成分を有する円柱状ペレット
にモルタルないしセメントペーストを添加し、混練後、
型枠に入れて固結し、直径10cm、長さ20cmの円柱状
成形体を製造した(試料A1、A2)。一方、比較のため、
上記ペレットに代えて平均粒径5〜13mmの安山岩質砕
石を用い、上記成形体と同一条件で固結し比較試料のコ
ンクリート製品を得た(試料B1、B2)。また、本発明に
係るペレットと比較試料の砕石の空隙量(細孔分布)を
水銀ポロシメータによって測定した。この結果を図5に
示した。同図に示すように、本発明の成形体を形成する
ペレットは従来の砕石に比べて空隙量が格段に大きく微
細な空隙に富む。このペレットを固結した本発明の成形
体と砕石を固結した比較試料の成形体について、その重
量および空隙率を測定した。この結果を表2に示した。
同表に示すように本発明の多孔質成形体は、その重量お
よび見掛け比重が砕石を固結した比較試料よりも小さ
い。また本発明に係る多孔質成形体の海水中の単位体積
重量は試料A1,A2の何れも砂よりも小さい。
【0019】ペレットの組成
【表1】
【0020】本発明の多孔質成形体と砕石を固結したコ
ンクリート製品の比較
ンクリート製品の比較
【表2】
【0021】実施例2 表3に示す配合比で製造した本発明の多孔質成形体(試
料A2)と、砕石をセメントペーストで固めた比較試料
(試料B1)について、各試料 300gを容量 300mlのビ
ーカに入れ、一定流量の水を連続して流し、そのオーバ
ーフロー水についてpHを測定した。この結果を表3に
纏めて示す。本発明の成形体は、何れの試料でも水中に
おいて遊離石灰量が極めて少なく中性であるが、比較試
料のコンクリート製品は水の供給を開始した当日には1
0以上、12以上のpHを示し、2週間後にpH8に低
下するが、その後はこの水準で推移し、かなりの期間、
弱アリカリ性を呈する。さらに上記試料について、同様
の方法により溶出NO3 濃度を測定した。この結果を表
4に示した。砕石をセメントペーストで固めた比較試料
(試料B1)はNO3 が全く溶出しないが、本発明の多
孔質成形体(試料A2)は海藻や微生物の栄養源となる
微量のNO3 が溶出している。
料A2)と、砕石をセメントペーストで固めた比較試料
(試料B1)について、各試料 300gを容量 300mlのビ
ーカに入れ、一定流量の水を連続して流し、そのオーバ
ーフロー水についてpHを測定した。この結果を表3に
纏めて示す。本発明の成形体は、何れの試料でも水中に
おいて遊離石灰量が極めて少なく中性であるが、比較試
料のコンクリート製品は水の供給を開始した当日には1
0以上、12以上のpHを示し、2週間後にpH8に低
下するが、その後はこの水準で推移し、かなりの期間、
弱アリカリ性を呈する。さらに上記試料について、同様
の方法により溶出NO3 濃度を測定した。この結果を表
4に示した。砕石をセメントペーストで固めた比較試料
(試料B1)はNO3 が全く溶出しないが、本発明の多
孔質成形体(試料A2)は海藻や微生物の栄養源となる
微量のNO3 が溶出している。
【0022】pH測定試験結果
【表3】
【0023】NO3 測定試験結果
【表4】
【0024】実施例3 多孔質成形体を角型枠体(寸法:50×50×40cm)に充填
し、図3の形状に組立てた人工礁を、北海道西部の海
岸、水深4mの場所に設置し、冬期から春期にかけて約
4か月半経過後の海藻の着床状況を調べた。この結果を
表5に示した。なお試料Aは角型枠体に本発明の多孔質
成形体を充填してブロック状に形成したもの、試料Bは
角型ブロックの中心に孔径14cmの貫通穴を設けたもので
ある。ブロック表面の海草による被覆度は試料A,Bの
ブロック上面の値である。一方、上記人工礁の周囲に敷
設した根固め用コンクリートブロックの表面を対象区と
して同様に海藻の着床状況を調べた。この結果を表5に
併せて示した。本実施例の人工礁は、ホソメコンブによ
ってブロック上面が70〜90%覆われているのに対し
て周囲のコンクリートブロックにはホソメコンブが全く
着床していない。また試料Bの上面に本発明の多孔質成
形体からなるテストピース(15×15×15cm)を設置し、
上記期間中に該ピース表面に着床して生育したホソメコ
ンブについて、その葉長を測定した。この結果を図5に
示した。本実施例の人工礁に着床して生育したコンブは
近隣の磯で生育するものより生育状態が良かった。
し、図3の形状に組立てた人工礁を、北海道西部の海
岸、水深4mの場所に設置し、冬期から春期にかけて約
4か月半経過後の海藻の着床状況を調べた。この結果を
表5に示した。なお試料Aは角型枠体に本発明の多孔質
成形体を充填してブロック状に形成したもの、試料Bは
角型ブロックの中心に孔径14cmの貫通穴を設けたもので
ある。ブロック表面の海草による被覆度は試料A,Bの
ブロック上面の値である。一方、上記人工礁の周囲に敷
設した根固め用コンクリートブロックの表面を対象区と
して同様に海藻の着床状況を調べた。この結果を表5に
併せて示した。本実施例の人工礁は、ホソメコンブによ
ってブロック上面が70〜90%覆われているのに対し
て周囲のコンクリートブロックにはホソメコンブが全く
着床していない。また試料Bの上面に本発明の多孔質成
形体からなるテストピース(15×15×15cm)を設置し、
上記期間中に該ピース表面に着床して生育したホソメコ
ンブについて、その葉長を測定した。この結果を図5に
示した。本実施例の人工礁に着床して生育したコンブは
近隣の磯で生育するものより生育状態が良かった。
【0025】海藻着床状況
【表5】
【図1】 (A)(B)(C)は本発明の多孔質成形体
を形成する使用済み脱硫剤の粒子構造を示す電子顕微鏡
写真であり、(A)(B)(C)の倍率は各々500
倍、2500倍、5000倍である。
を形成する使用済み脱硫剤の粒子構造を示す電子顕微鏡
写真であり、(A)(B)(C)の倍率は各々500
倍、2500倍、5000倍である。
【図2】本発明の多孔質成形体の一例を示す外観図。
【図3】本発明の人工礁の一例を示す外観図。
【図4】砕石と本発明で用いるペレットの細孔分布グラ
フ。
フ。
【図5】実施例3のコンブの葉長分布グラフ
20−成形体、21−ペレット、22−空隙、30−人
工礁、31−多孔質成形体、32−ブロック、33−架
台 34−枠体
工礁、31−多孔質成形体、32−ブロック、33−架
台 34−枠体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01K 61/00 313
Claims (4)
- 【請求項1】 水生生物育成用の成形体であって、珪素
含有石膏質ペレットが結合材によって固結されてなり、
ペレット間の空間およびペレット自体の表面から内部に
至る細孔によって形成された水生生物の繁殖空間を有す
ることを特徴とする水生生物育成用多孔質成形体。 - 【請求項2】 珪素含有石膏質ペレットが、石炭灰と消
石灰を主要原料とした使用済み脱硫剤である請求項1の
成形体。 - 【請求項3】 珪素含有石膏質ペレットが、使用済み脱
硫剤1重量部に対して結合材のモルタルを0.3〜1.
5重量部配合してなる請求項2の成形体。 - 【請求項4】 珪素含有石膏質ペレットを結合材によっ
て固結した多数の多孔質成形体を枠体に充填してブロッ
ク状に形成したことを特徴とする人工礁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5136705A JP2773067B2 (ja) | 1993-05-14 | 1993-05-14 | 水生生物育成用多孔質成形体と該成形体からなる人工礁 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5136705A JP2773067B2 (ja) | 1993-05-14 | 1993-05-14 | 水生生物育成用多孔質成形体と該成形体からなる人工礁 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0750952A JPH0750952A (ja) | 1995-02-28 |
JP2773067B2 true JP2773067B2 (ja) | 1998-07-09 |
Family
ID=15181561
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5136705A Expired - Fee Related JP2773067B2 (ja) | 1993-05-14 | 1993-05-14 | 水生生物育成用多孔質成形体と該成形体からなる人工礁 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2773067B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001019180A1 (fr) * | 1999-09-13 | 2001-03-22 | Nihon Data Service Inc. | Materiau de formation d'un champ d'algues et bloc correspondant |
JP2020114785A (ja) * | 2019-01-17 | 2020-07-30 | 清水建設株式会社 | 環境負荷低減資材、離島開発方法、サンゴ生育基盤およびサンゴ生育方法 |
JP7395651B1 (ja) * | 2022-05-23 | 2023-12-11 | 北海道電力株式会社 | 藻礁及びその製造方法 |
-
1993
- 1993-05-14 JP JP5136705A patent/JP2773067B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0750952A (ja) | 1995-02-28 |
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