JP2004035366A - コンクリート成形体およびブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】河川、湖沼、海域、汽水域に生息する水生生物や水生植物にとって優れた生息環境を作り出すことができるコンクリート成形体およびブロックを提供すること。
【解決手段】淡水域、海域または汽水域の岸辺や海岸、床面に設置されるコンクリート成形体3であって、多数の空隙を有する微細骨格構造体を含み、ポーラス状に形成されたことを特徴とする。また、微細骨格構造体として、徐冷スラグが用いられている。また、このコンクリート成形体3が埋設されたブロック1であって、コンクリート成形体3を別個に形成し、コンクリート成形体3を半ば埋設して表面を露出させたことを特徴とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川ならびに湖沼における護岸、根固め、消波、水制等の治水工事、取水堰等の利水事業、橋梁等の河川許可工作物の設置、または海域または汽水域における護岸、根固め、消波、突堤等のような海岸保全工事、人工魚礁の設置工事、昆布や岩のりの人工繁殖区域の造成工事や牡蛎等のような貝類の人工繁殖区域の造成工事等に際し、当該水域の床面や岸辺、海岸に設置されるコンクリート成形体およびブロックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
河川ならびに湖沼における治水工事や護岸工事、または海域や汽水域における海岸保全工事や災害復旧工事においては、強度の増加、工期の短縮、工費の節減等の利点を有することから、護岸ブロック、根固めブロック、消波ブロックをはじめとするコンクリート構造物が多く使用されている。これらのコンクリート構造物は、波浪の侵入の防止や港内の保護といった目的を達するため、形状、強度、および耐久性などの機能を重視して形成されている。
【0003】
これらの各水域に生息する水生生物や水生植物には、コンクリートの構造物は必ずしも馴染みの良いものではない。これはコンクリート構造物の材料として使用されるポルトランドセメントに、魚介類や水生昆虫等が嫌う強アルカリ性の成分が多く含まれているためであり、現在ではこれにかわってアルカリ成分の少ない高炉セメントを材料とするコンクリートを使用し、その害をなくす手法が採用されている。
【0004】
しかしながら、それでもなお水生生物や水生植物にとっての生息環境は厳しく、例えば、水生昆虫や魚介類の餌となる藻類の繁茂は、自然石と比較して大幅に劣ることがわかっている。このような、藻類の繁茂する藻場と称される海域は水生生物の生態系の保持に重要な役割を果たしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記水域において高炉セメントを材料とするコンクリート構造物を施工した場合、該構造物の施工後一年間程度はコンクリート構造物に藻類が着生していることが確認できたものの、それ以降はあまり着生しないという現象が見られた。このように、藻類の着生が減少することは、水生生物の生態系に深刻な悪影響を与えるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような現象に着目し、河川、湖沼、海域、汽水域に生息する水生生物や水生植物にとって優れた生息環境を作り出し、その生態系を保全するすことのできる、藻類着生および水生生物の生息に好適なコンクリート成形体およびブロックを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
一般に、コンクリート構造物に藻類や水生植物が着生しない原因として、コンクリート構造物の形状と、コンクリートに含まれる成分とに問題があると考えられている。
【0008】
まず、通常のコンクリート構造物は、その空隙率が約4%程度で、表面にほぼ凹凸がない形状とされている。そのため、海藻の胞子などは水流に流されてしまい着生できず、水生植物は根を張ることが困難とされた。そこで、本出願人は、多数の空隙を有する微細骨格構造体を含み、ポーラス状に形成されたコンクリート構造物を用いることを提案している。つまり、微細骨格構造体による微細な多数の空隙と、コンクリートがポーラス状に形成されたことによる空隙とを有するコンクリート構造物を製造するのである。このようにすることで、コンクリート構造物の表面積が広くなるだけでなく、微細骨格構造体の空隙は海藻の胞子などが着床し易くなり、ポーラスコンクリートの空隙は水生植物が容易に根を張ることができると共に、水生生物にとって生息に好適な空間となる。
【0009】
また、コンクリート構造物が水生生物や水生植物の生息環境を破壊する大きな原因は、コンクリートに含まれる強アルカリ性の成分が水中に溶け出すことである。その点については上記のようなポルトランドセメントに代え、高炉セメントを材料とするコンクリートを使用することにより改善が図られている。
【0010】
今回、本出願人は、これをさらに一歩進めて水生生物や水生植物が好む生息環境を積極的に作り出すことを提案している。まず、本出願人が着目したのは、藻類のなかでも水生生物が好んで餌とする珪藻である。珪藻は細胞壁として珪酸質の殻を持っているため、これを維持するためにオルト珪酸(Si(OH))の形で珪素(Si)を取り込まなければならないという特殊な栄養要求性を備えている。これは逆に考えると、珪素が豊かな環境では珪藻が繁茂し易いということである。
【0011】
そこで、本出願人はコンクリートの材料に使用する素材として徐冷された高炉スラグを採用することにした。徐冷された高炉スラグ、すなわち徐冷スラグとは、銑鉄を製造する過程で溶融された鉄鉱石の鉄以外の成分が副原料の石灰石やコークス中の灰分と一緒になって分離回収された溶炉スラグ(鉱滓)を、自然放熱と適度の散水によって徐々に冷却することで生成される結晶質の岩石状のスラグのことである。また、徐冷スラグの微細的な構造は、微細な結晶が網目状に骨格を形成し、その結晶間に微細な空隙を有した構造とされている。
【0012】
徐冷スラグ中には、高炉スラグが徐々に冷却される過程で、シリカ(SiO)、石灰(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al)がそれぞれの成分比率によってダイカルシウムシリゲート(2CaO・SiO)、メリライト(3CaO・NaO・P)等の形の結晶体が生成され、さらにこれらが混在した状態で存在している。これらの結晶体間には微量であるが珪素とカルシウム(Ca)とが水に溶け易い形で残留していると考えられるのである。
【0013】
以上のことから、本出願人は、海域または汽水域における海岸保全工事、人工魚礁の設置工事、昆布や岩のり、牡蛎等の人工繁殖区域工事等に際し、当該水域の床面または海岸に設置されるコンクリート構造物の一部または全体をなすコンクリートの成形体として、ポーラス状に形成されたコンクリート成形体を使用し、多数の空隙を有する微細骨格構造体である徐冷スラグを含んで形成されたもの、すなわち、ポーラス徐冷スラグコンクリートを使用することを提案している。
【0014】
上述したように、ポーラス徐冷スラグコンクリートの成形体を用いることで、表面が平滑なコンクリートと比較して海藻の胞子などが着生し易い微細な空隙を有すると共に、海水の波浪の影響が小さく水生生物にとって生息し易いポーラス状の空間を有することとなる。また、コンクリートの成形体の表面の一部は、コンクリートの硬化する以前にその一部を除去し、徐冷スラグがコンクリート表面に露出するようにしたり、コンクリート表面から徐冷スラグが突出するように固定し、徐冷スラグが海水や汽水に晒されるように工夫した。
【0015】
このように、徐冷スラグをコンクリート成形体に含めて使用すると、当該コンクリート成形体が海域または汽水域において流水に晒されることで徐冷スラグに含まれる珪素やカルシウムが溶け出すようになる。これにより、当該水域の水に珪素が豊富に含まれるようになり、やがてこれを必要とする珪藻が繁茂し、さらにこれを餌とする水生生物が定着するようになる。
【0016】
珪藻が基物に付着すると、それが水流を撹乱し、珪藻がより着生しやすい状況を作り出すと同時に、珪藻自身が粘質物を分泌することによってその周域が微妙なゼラチン状となり、これによりさらに他の珪藻の付着、生育を助長するばかりでなく、海藻の胞子の付着、生育を助長させ、その結果としてコンクリート成形体に藻類や海藻類が二年目以降も長期的に亘り、継続的に繁茂することとなる。これにより、珪藻等を餌とする魚類の稚仔魚、稚貝類が当該水域に定着する要因が作られる。さらに、海藻が繁茂することにより、これを餌とする甲殻類、魚類、貝類が当該水域に定着すると共に、ポーラス状の空隙がこれらの生物にとって良好な生息空間となり、それら甲殻類、魚類等を餌とする大型魚が集まることとなる。
【0017】
本出願人は、コンクリート成形体の他に、海岸保全工事の護岸、根固め、消波用のブロック、また人工魚礁用のブロック、人工岩のり繁殖用のブロック、天然牡蛎付着用のブロックについても提案している。これらのブロックは、上記コンクリート成形体を少なくとも海水、汽水に晒される表層部に設けたことを特徴とするものである。
【0018】
このようなブロックにおいても、海水や汽水に晒される表層部に設けられたコンクリート成形体によって上記のような作用効果を得ることができる他、ブロックの形態を採ることで施工性が高まり、工事費等の面での優位性を発揮することができるものである。
【0019】
なお、上記ブロック類、その他のコンクリート成形体は、徐冷スラグを海水や汽水に晒し、珪素やカルシウムが継続的に溶出するように、コンクリートのモルタル分をグリーンカットといった手段を用いて水洗い出しすることにより徐冷スラグが表面に露出されるように形成していることを特徴とするものである。高炉スラグは水と反応して硬化する性質を有しないが、ポルトランドセメントと接触すると刺激され、水と反応して硬化する性質に変わる。こうした反応をなくし、高炉スラグがセメントと反応しないようにして直接流水に晒すと、シリカ(SiO)、石灰(CaO)がいっそう継続的に溶出し続けるように工夫したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1ないし図11に基づいて説明する。図1ないし図4は本発明に係るコンクリート成形体を魚礁ブロックに適用した第1の実施形態を示している。
図1に示す魚礁ブロック1は魚の定着し易い環境を生むべく海底に設置されるものであって、側面凹状の魚礁ブロック1と側面凸状の魚礁ブロック1とが連続して組み合わされて配置できるように形成されている。魚礁ブロック1は側面が凹状または凸状に形成されたベースブロック2の上面に、本発明に係るコンクリート成形体としてコンクリートプレート3を配設したものである。コンクリートプレート3は、微細骨格構造体として徐冷スラグを用いたポーラス徐冷スラグコンクリートを正方形のパネル状に形成したもので、魚礁ブロック1の上面に5枚のコンクリートプレート3が配設されている。このコンクリートプレート3は、予めベースブロック2の養生時にその表面に埋設されて、ベースブロック2の表面とコンクリートプレート3の表面とがほぼ同一の面となるように固着され、ベースブロック2から表面を露出させている。
【0021】
図2に、魚礁ブロック1とベースブロック2とが用いられた人工魚礁の説明図を示す。人工魚礁6は、海底に設置された魚礁基礎土台7と魚礁ブロック1とベースブロック2とを備えており、魚礁基礎土台7およびその近辺海底に魚礁ブロック1およびベースブロック2が組み合わされて配置されることで構成されている。
【0022】
図3に示すように、コンクリートプレート3は、水砕スラグの粉末を粘土の代替物として使用したセメント、いわゆる高炉セメントを材料とし、礫状(粒径10〜40mm程度のもの)の徐冷スラグ4を粗骨材として使用したコンクリート(以下これをAとする)によって形成されている。通常のコンクリートを形成する時に使用される砂状の細骨材を使用せずに、ポーラス状で十分な強度を有する特殊な混和剤を加えることで、図4に示された、コンクリートプレート3の一部の断面図のように、多数の孔が連続的に形成されてなる空隙5を有するポーラスコンクリートとなる。
【0023】
ここで、水砕スラグとは溶炉スラグに加圧水を噴射する等して急激に冷却することによって生成されるガラス質(非晶質)の粒状のスラグのことであり、これを粘土の代替物として使用したセメントを材料とすれば構造体として充分な強度を有するコンクリート成形体が得られる。
【0024】
図5に、微細骨格構造体として用いられている徐冷スラグの電子顕微鏡写真を示し、図5(a)が400倍の倍率、図5(b)が3500倍の倍率である。図に示すように、徐冷スラグは数〜数十μmの長さの結晶が不規則に骨格形状を構成しており、骨格の間に数〜数百μmの微細な空隙が無数に形成されていることが分かる。また、比較例として、図6にコンクリートの電子顕微鏡写真を示す。図6(a)が400倍の倍率、図6(b)が3500倍の倍率で、図に示すようにコンクリートには微細な空隙が形成されていないことが分かる。また、海藻の胞子などは、数〜数百μmであることが知られている。
【0025】
ベースブロック2は、高炉セメントを材料とし、細骨材および粗骨材には通常用いられる川砂、川石を使用したコンクリート(以下これをBとする)により生成されており、養生の段階でコンクリートプレート3が固着される。
【0026】
徐冷スラグ4を内部に有しポーラス状に形成されたコンクリートプレート3を製作するには、まず、練混ミキサーでペースト状にされた高炉セメントと徐冷スラグ4と混和剤とを混ぜ合わせ、型枠に投入し、養生させる。このとき、高炉セメントと徐冷スラグ4との比率により形成される空隙率を決めることができる。コンクリート打設後、硬化遅延材を塗布・散布して水洗いし、徐冷スラグ4が多数露出した状態としてコンクリートプレート3が完成する。
【0027】
このようにしてコンクリートプレート3が完成したら、これを成形型内に水洗いした面が表面となるように、ベースブロック2を型取る成形型に打設されたコンクリート(B)の表面に配置し、続いて放置し養生する。養生を終えるとかくして魚礁ブロック1が完成する。この魚礁ブロック1はクレーン船等により所定の海域に運ばれて海底に設置されることとなる。
【0028】
このような魚礁ブロック1の表面に配設されたコンクリートプレート3は、上述の如くポーラス状に形成されており、その表面に骨材の徐冷スラグ4が散りばめられている。これにより、この魚礁ブロック1を所望の海域に沈めて設置した場合、海藻の胞子などと同じオーダーの無数の微細な空隙が徐冷スラグ4に形成されているので、海藻の胞子などがこの空隙に入り込み、コンクリートプレート3に海藻などが着生しやすくなる。さらに、徐冷スラグ4が海水に晒されるので、徐冷スラグ4の中に含まれている珪素やカルシウムが溶け出すこととなる。そして、その海水域の海水に珪素が豊富に含まれるようになり、やがてこれを必要とする珪藻が徐冷スラグ4に繁茂するばかりでなく、その周辺域にも珪藻が繁茂するので、それらの領域にこれを餌とする水生生物が定着することとなる。
【0029】
また、珪藻が徐冷スラグ4に付着すると、それが水流を撹乱し、珪藻がより着生しやすい状況を作り出す一方、珪藻自身が粘質物を分泌することによってその周域が微妙なゼラチン状となり、さらに他の珪藻の付着、生育を助長するばかりでなく、海藻の胞子の付着、生育を助長することとなる。特に、コンクリートプレート3は、ポーラス状に形成されているので、表面が平滑なコンクリートと比較して海藻の胞子などの着生可能面積が数倍から十数倍に増大し、その空隙5は、海水の波浪の影響の小さい平穏な領域も有することになり、微細な空隙に海藻の胞子が着生する確率を大幅に増大させることとなる。
【0030】
これにより、魚礁ブロック1には海藻類が生育することとなり、珪藻等を餌とする魚類の稚仔魚、稚貝類が当該水域に定着する要因が作られる。さらに、海藻が繁茂することにより、これを餌とする甲殻類、魚類、貝類などが当該水域に定着すると共に、それら甲殻類、魚類等を餌とする大型魚が集まることとなり、魚礁として機能するようになる。
【0031】
本発明において、徐冷スラグ4の表面に形成された微細な空隙に海藻の胞子が付着しやすく、さらに、コンクリートプレート3がポーラス状に形成されているので、コンクリートプレート3の空隙5には容易に根を張ることができると共に、魚類の稚仔魚、稚貝などにとって良好な生息空間と利用することができる。これにより、魚礁として優れた環境を作り出すことができる。
【0032】
また、上記ようなコンクリートプレート3をコンクリート成形体としてベースブロック2上に配設しているので、少ない容積で広い露出面を確保することができ、魚礁として広い領域を容易に得られると共に、魚礁ブロック1としての製作にかかる手間を可及的に省略化することができ、さらにはコンクリートプレート3の自体の生産性をも高めることもできる。
【0033】
しかも、コンクリートプレート3の表面を洗い出しにより、徐冷スラグ4の骨材を多数露出させているので、海水に晒される徐冷スラグ4の量が増え、そのため、珪素やカルシウムの溶出がいっそう顕著になると共に、その溶出をいっそう継続的に行わせることができる。そのため、魚礁ブロック1には海藻類が二年目以降も長期的に亘り継続的に生育することとなる。
【0034】
したがって、ポーラス徐冷スラグコンクリートでコンクリートプレート3を形成し、魚礁ブロック1の表面に埋設したので、その微細な空隙および空隙5による形状的な効果と含有成分による効果との相乗効果により、より良い魚礁とすることができる。
【0035】
また、図7にコンクリートプレートの表面から徐冷スラグが突出して固定された実施例を示す。図示されているコンクリートプレート3’に用いられている徐冷スラグ4’は、外径が十数cmのこぶし大で、骨材として用いられている徐冷スラグ4より大きく、コンクリートプレート3’の表面から徐冷スラグ4’を突出して固定し、コンクリートプレート3’が形成されている。また、図7(a)のコンクリートプレート3’は、ベースブロック2の表面に強力接着剤を用いて固定されており、図7(b)のコンクリートプレート3’は、ベースブロック2の表面に設けられた凹部に嵌め込まれて固定されている。また、コンクリートプレート3’の底面は、ベースブロック2とのなじみを良くするためにコンクリートやモルタルなどで平らに均されている。
【0036】
このように、コンクリートプレート3’の表面から徐冷スラグ4’を突出させることで、より海藻の胞子が着生し易くなり、徐冷スラグ4’の中に含まれている珪素やカルシウムが溶け出し易くなる。また、図7(b)に示されているようにベースブロック2の表面に設けられた凹部にコンクリートプレート3’を嵌め込むことで、コンクリートプレート3’の耐久性を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、徐冷スラグ4を有するコンクリートプレート3として矩形形状に形成された例を示したが、その形状は矩形に限られずその他のあらゆる形状が選択可能である。また、コンクリート(B)で形成されたベースブロック2の表面の一部、または全面に、硬化していないコンクリート(A)を吹き付けた後、コンクリート(A)を硬化させ、魚礁ブロックを形成してもよい。
【0038】
また、コンクリートプレート3に用いられる微細骨格構造体として、徐冷スラグ4を用いて説明を行ったが、徐冷スラグ4以外にも天然ゼオライト、かき殻、竹炭、および木炭などを用いてもよく、図5に示したような海藻の胞子と同じオーダーの微細な空隙を有する構造体であればよい。
【0039】
また、図8に魚礁ブロックの変形例を示す。図8(a)に示されるように、魚礁ブロック1aは、ベースブロック2aの表面の上面全面を覆うように形成されたコンクリートプレート3aを固着して形成されている。また、図8(b)に示されるように、魚礁ブロック1bは、ベースブロックそのものをポーラス徐冷スラグコンクリートで製作し、その表面を洗い出して徐冷スラグを多数露出させて形成されている。
【0040】
図9は本発明に係るコンクリート成形体を人工の岩のり畑の造成工事に適用した第2の実施形態を示している。なお、上記第1の実施形態において既に説明した構成要素には同一符号を付して説明は省略する。岩のりは冬の寒い時期、波しぶきに洗われる波打ち際の岩場に波しぶきと一緒に胞子が打ち付けられて根付き、繁殖することがわかっている。そこで、波打ち際の岩場に、図9に示すように凹みを均すかのようにコンクリート(A)を打設し養生する。このとき、コンクリート(A)には礫状の徐冷スラグ4を多めに混ぜ込んでおく。養生を終え、ポーラス状に形成されたコンクリート(A)の表面をサンドブラスト等の手法で適度に荒らし、礫状の徐冷スラグ4を露出させて岩のり畑8が完成する。
【0041】
冬場、岩のり畑8が波に洗われるようになると、徐冷スラグ4が海水に晒されて徐冷スラグ4中に含まれている珪素やカルシウムが溶け出し、これを必要とする珪藻が徐冷スラグ4に繁茂する。珪藻が徐冷スラグ4に付着すると、それが水流を撹乱し、珪藻がより着生しやすい状況を作り出す一方、珪藻自身が粘質物を分泌することによってその周域が微妙なゼラチン状となり、岩のりの胞子の付着、生育が助長され、岩のりが繁殖するようになる。
【0042】
ところで、岩のり畑8には月日が経つに従ってのりが根を張って表面を覆い隠してしまい、珪素やカルシウムの溶出が起こり難くなることが予想されるので、2〜3年に一度は表面をサンドブラスト等で荒らすのが望ましい。
【0043】
図10は本発明に係るコンクリート成形体を昆布の繁殖区域の造成工事に適用した第3の実施形態を示している。なお、上記第1、第2の実施形態において既に説明した構成要素には同一符号を付して説明は省略する。昆布やテングサ等も、冬場、水深5〜8mに位置する岩場に特に良く生育することがわかっている。そこで、昆布やテングサが生育し易そうな岩場に、図10に示すように、第1の実施形態で魚礁ブロック1に用いたのと同様の構成の小ブロック9を沈設する。このとき用いる小ブロック9に魚礁ブロック1ほどの大きさは必要なく、岩場の凹みにはまってしまうような大きさと形状であることが望ましい。
【0044】
冬場、小ブロック9からは珪素やカルシウムが溶け出し、これを必要とする珪藻が小ブロック9の表面に繁茂する。珪藻が繁茂すると、それが水流を撹乱し、珪藻がより着生しやすい状況を作り出す一方、珪藻自身が粘質物を分泌することによってその周域が微妙なゼラチン状となり、昆布やテングサの胞子の付着、生育が助長され、昆布やテングサが繁殖するようになる。また、小ブロック9はポーラス状に形成されているので、昆布やテングサが容易に根付くことができ、これによって多くの昆布やテングサが繁殖するようになり、より良い繁殖区域を形成することができる。
【0045】
図11は本発明に係るコンクリート成形体を牡蛎の養殖に適用した第4の実施形態を示している。牡蛎は波の穏やかな内海や湾内に浮かべた養殖イカダから海中に吊した球塊に根付いて繁殖する。そこで、第1の実施形態で魚礁ブロック1に用いたのと同様の構成の球塊を製作し、図11に示すように養殖イカダ10からステンレスチェーン等耐食性に優れる紐状体11で吊り下げる。このとき用いる球塊12の大きさは、紐状体11の強度や牡蛎の水揚げ時の作業性を考慮しつつ、より多い生産量が得られるよう適度な大きさとするのが望ましい。
【0046】
種付けされた球塊12からは珪素やカルシウムが溶け出し、これを必要とする珪藻が球塊12の表面に繁茂する。牡蛎の稚貝はこれを餌として繁殖し、球塊12に根付いて大きく成長する。また、球塊12はポーラス状に形成されているので、牡蛎の稚貝が容易に根付くことができ、より多くの牡蛎を養殖することができる。また、牡蛎の成長が早くなることも確認されている。
【0047】
ところで、球塊12には牡蛎の根が付いて表面を覆い隠してしまい、珪素やカルシウムの溶出が起こり難くなることが予想されるので、2〜3年に一度は表面をサンドブラスト等で荒らすのが望ましい。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るコンクリート成形体によれば、海域または汽水域における保全工事、人工魚礁工事、昆布や岩のり、牡蛎等の人工繁殖工事等に際し、当該水域の床面または海岸に設置されるコンクリート成形体として、多数の空隙を有する微細骨格構造体を含み、ポーラス状に形成されていることにより、微細骨格構造体に形成されている海藻の胞子などと同じオーダーの微細な空隙に、海藻の胞子などが着生しやすくなり、ポーラス状に形成された空隙に水生植物根が張ることができると共に、水生生物にとって優れた生息環境を作り出すことができる。
【0049】
また、微細骨格構造体として徐冷スラグを用いることにより、上記水域に徐冷スラグに含まれる珪素やカルシウムが継続的に溶け出し、これを必要とする珪藻の生育を助長させることができ、珪藻、海藻類が二年目以降のような長期的に亘り、継続的に繁茂することとなる結果、珪藻等を餌とする魚類の稚仔魚、稚貝類が当該水域に定着する要因を作ることができ、魚礁、養殖場としての機能を長期的に維持し得るという効果がある。
【0050】
また、本発明に係るブロックによれば、少なくとも海水または汽水に晒される表層部に設けたコンクリート成形体によって上記の効果が得られる他、ブロックとしての形態を採ることで施工性が高まり、工費等の面でも優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート成形体を魚礁ブロックに適用した第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】魚礁ブロックを用いた人工魚礁の説明図である。
【図3】魚礁ブロックにおけるコンクリート成形体としてのコンクリートパネルを示す斜視図である。
【図4】コンクリートパネルの一部の断面図である。
【図5】徐冷スラグの電子顕微鏡写真である。
【図6】コンクリートの電子顕微鏡写真である。
【図7】コンクリートプレートの変形例を示す断面図である。
【図8】魚礁ブロックの変形例を示す斜視図である。
【図9】本発明に係るコンクリート成形体を人工の岩のり畑の造成工事に適用した第2の実施の形態を示す斜視断面図である。
【図10】本発明に係るコンクリート成形体を昆布の繁殖区域の造成工事に適用した第3の実施の形態を示す全体図である。
【図11】本発明に係るコンクリート成形体を牡蛎の養殖に適用した第3の実施の形態を示す全体図である。
【符号の説明】
1 魚礁ブロック
3 コンクリートパネル(コンクリート成形体)
4 徐冷スラグ
5 空隙
8 岩のり畑
9 小ブロック
12 球塊

Claims (5)

  1. 淡水域、海域または汽水域の岸辺や海岸、床面に設置されるコンクリート成形体であって、
    多数の空隙を有する微細骨格構造体を含み、ポーラス状に形成されていることを特徴とするコンクリート成形体。
  2. 請求項1に記載のコンクリート成形体であって、
    その表面から露出して前記微細骨格構造体が固定されていることを特徴とするコンクリート成形体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のコンクリート成形体であって、
    前記微細骨格構造体として、徐冷スラグが用いられていることを特徴とするコンクリート成形体。
  4. 請求項1から請求項3に記載のいずれかのコンクリート成形体を別個に形成し、該コンクリート成形体を半ば埋設して表面を露出させたことを特徴とするブロック。
  5. 請求項1から請求項3に記載のいずれかのコンクリート成形体が、表面の一部または全面に吹き付けられて形成されていることを特徴とするブロック。
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