JP2770135B2 - 小型滑走艇 - Google Patents

小型滑走艇

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JP2770135B2
JP2770135B2 JP6211923A JP21192394A JP2770135B2 JP 2770135 B2 JP2770135 B2 JP 2770135B2 JP 6211923 A JP6211923 A JP 6211923A JP 21192394 A JP21192394 A JP 21192394A JP 2770135 B2 JP2770135 B2 JP 2770135B2
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
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    • F02B2075/027Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle four

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  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust Silencers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は小型滑走艇に関するもの
で、とくに4サイクルエンジンを搭載した小型滑走艇に
関する。
【0002】
【従来の技術】小型滑走艇は、水上をあたかもモーター
サイクルのように滑走する小型の乗り物である。推進手
段としてはウォータジェットポンプやスクリューが使用
されるが、その駆動用のエンジンは、吸気系・排気系の
機器とともに船底ハルやフードまたはシート等、いわゆ
る船体外板にて囲まれた空間のうちに搭載されている。
もし船底ハルの下へエンジン等が出ているようなら円滑
な滑走ができないし、フードやシートの上または側方へ
出ている場合にも、エンジン等に水が直接かかって燃焼
が妨げられたり錆びが生じやすくなったりするほか、人
が乗りにくくなる不都合があるからである。
【0003】しかしながら、小型滑走艇においてエンジ
ンが設けられる上記の空間(すなわちエンジンルーム)
は一般にその容積がかなり制限されている。容積を広く
とりすぎると小型滑走艇自体が大きくなってスピードや
旋回性といった特有の運動特性が低下しがちであり、シ
ートの幅を大きくするなら、それを跨いで乗ることが難
しくなるからである。
【0004】そのため、従来は、小型滑走艇の推進用エ
ンジンとして2サイクルエンジンが使用されている。2
サイクルエンジンはオイルパンやバルブ・動弁機構等を
備えないためにコンパクトで、しかも爆発頻度からして
出力も高いことから、小型滑走艇には極めて適している
のである。
【0005】なお、小型滑走艇に2サイクルエンジンが
搭載されている例は、たとえば実開平3−61152号
公報に記載がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年では、騒音や大気
汚染の防止の観点から、小型滑走艇などに関しても4サ
イクルエンジンの使用可能性が検討され始めている。
【0007】しかし、4サイクルエンジンは同等の出力
をもつ2サイクルエンジンよりも大型であることから、
推進用機関としてそれを小型滑走艇に搭載するために
は、船体内の空間にどのように配置するかが課題とな
る。そしてその課題は、つぎのような事情により、容易
には解決され難いものである。すなわち、イ ) 小型滑走艇におけるエンジンルームは、2サイクル
エンジンを搭載していた場合と変わることなくその容積
が制限される。
【0008】ロ) 4サイクルエンジンが2サイクルエン
ジンよりも大型であることに加え、吸気サイレンサやキ
ャブレターといった吸気系の機器を、エンジンに対して
一定の条件を満たし、かつあまり離れることのない位置
関係(2サイクルエンジンの場合と同様の関係)に配置
しなければならないという制約がある。つまり、大型の
4サイクルエンジンを、吸気系の機器とほぼ一体的に結
合した一層大きなブロックとしてエンジンルーム内に収
容しなければならない。なお、4サイクルエンジンが大
型になる理由は、吸・排気バルブ(きのこ弁)を備える
ためシリンダ上に大きなスペースが不可欠であること、
一般的な4サイクルエンジンの例に倣ってクランクケー
ス内にオイルを溜めるウェットサンプの潤滑方式をとる
限りは下部にオイルパンとしてのスペースが必要である
こと、2サイクルのものと比べて爆発頻度が少ないので
出力を同等にするには気筒数や排気量を増さねばならな
いこと−などである。また、吸気系の機器をエンジン
に対してほぼ一体的に結合する必要があるのは、効率
上、燃料の粒子が重力に逆らわずに燃焼室へ入るようそ
れらの機器(とくにキャブレター)がシリンダよりも上
にあるべきで、また吸気抵抗を減らす意味でそれらがシ
リンダに近く設けられるべきだからである。
【0009】ハ) 4サイクルエンジンは重量的にも2サ
イクルエンジンを上回るため、小型滑走艇における重量
配分についても十分な配慮が必要である。つまり、小型
滑走艇のバランスや安定性のために、船体の前後・左右
いずれの方向についても適切な位置にエンジンを置かな
ければならない。エンジンを搭載できる空間は一般に幅
方向(左右)に狭く、とくにその方向にはエンジンの設
置位置が制約されるため、船体の左右いずれかにエンジ
ンの重量が偏らないようにするのが容易ではない。
【0010】ニ) ウォータジェットポンプやスクリュー
など小型滑走艇の推進手段については、その駆動軸(ド
ライブシャフト)が船体の底部付近に設けられるのに対
し、4サイクルエンジンは、オイルパンを有するために
そのクランク軸が2サイクルエンジンの場合よりも一般
的に上の方(エンジンの最下部から上方へ離れた位置)
にある。したがって、オイルパン内に溜めるオイルの量
やオイルパン・クランクケースの形状などによっては、
クランク軸の位置が高くなりすぎて推進手段の駆動軸と
うまく直結できなかったり、当該駆動軸に無用な角度を
つけざるを得なくなったりする場合も想定される。
【0011】本発明の目的は、以上のような課題を解決
し4サイクルエンジンを好ましい配置で搭載した小型滑
走艇を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の小型滑走艇は、
船体外板で囲まれた空間のうちに4サイクルエンジンを
搭載したもので、まず、a)クランク軸が船体の左右を向
くように4サイクルエンジンを搭載し、そのクランク軸
を、傘歯車対(対になった傘歯車。他の歯車と連結した
ものをも含む)を介して後方の推進手段に接続してい
る。
【0013】この小型滑走艇はさらに、b)4サイクルエ
ンジンの全シリンダを船体後方へ傾斜させてそれらの上
(すなわち前方斜め上)に吸気系の機器を配置すると
ともに、その4サイクルエンジンよりも船体後方の位置
に排気系の機器を配置している。
【0014】また請求項2のように、c)クランク軸を、
上記の傘歯車対と他の歯車対、および後方へ向けてクラ
ンク軸よりも下方に配置した伝動軸とを介して推進手段
(の駆動軸)に接続するとよい。
【0015】
【作用】本発明の小型滑走艇では、船底ハルやフード・
シートなどで囲まれた小容積の空間(エンジンルーム)
のうちに、4サイクルエンジンなどがつぎのとおり適切
に配置される。
【0016】1) 4サイクルエンジンとそれに付属する
吸気系・排気系の機器が、船体における上記の空間内に
コンパクトに収容される。これは、つぎのように説明す
ることができる。吸気系の機器は、エンジンに対して前
述した一体的な関係に置かれるべきであるためシリンダ
に隣接して設けられ、多気筒の場合にはシリンダの配列
に沿った隣接位置に配置されるのが通常である。したが
って、上記の空間内でクランク軸が船体の前後に向くよ
うに(いわゆる縦置きにして)エンジンを置く場合に
は、クランク軸に沿って前後方向に並ぶシリンダの右ま
たは左の空間に吸気系の機器を置くことになる。しか
し、4サイクルエンジンは2サイクルエンジンに比べて
背が高いため、上記の向きにしたエンジンを船体幅のほ
ぼ中央に置くとすれば、幅(左右)方向にはとくに寸法
が限られている船体内部の空間が左右に二分され、吸気
系の機器を配置できるまとまった空間がなくなってしま
う。また、もし船体の左右いずれかへ寄せてエンジンを
置くとすれば、4サイクルエンジンが重いことから、船
体の左右の重量バランスが極めてとりにくくなるのが普
通である。それに対し、この小型滑走艇では、上記a)の
ようにクランク軸を船体の左右に向けて(したがってシ
リンダもその向きに並べて)いわゆる横置きの状態に4
サイクルエンジンを搭載するため、吸気系の機器等はエ
ンジンの右または左隣の狭い空間に設ける必要がなく、
左右に並ぶシリンダの配列と向かい合う位置に設ければ
よい。したがって、エンジンルームの幅としては4サイ
クルエンジンを横置きにできる寸法があれば足り、その
右または左に吸気系の機器を配置できるまでの寸法は不
要である。なお、エンジンルームとなる上記の空間は船
体の前後方向には長いのが通常であるため、吸気系およ
び排気系の各機器等は、横置きとしたエンジンのシリン
ダの配列面に対して前方または後方などに比較的らくに
配置することができる。
【0017】2) この小型滑走艇において4サイクルエ
ンジンは、船体の左右および前後の重量バランスの点で
も好ましい位置に搭載することができる。なぜなら、吸
気系の機器などとの関係で上記のとおり船体の左右いず
れかへエンジンを寄せる必要はなく、また、エンジンを
搭載する空間は上記のとおり前後方向には長いのが通常
で、その方向には比較的自由に位置を選んでエンジンを
置くことができるからである。
【0018】3) 上記のようにエンジンを横置きにして
クランク軸を船体の左右に向けたにもかかわらず、その
クランク軸の回転は、船体後方にある推進手段にまで円
滑に伝達される。それは、先のa)に記載した傘歯車対
が、クランク軸から、それと直角(またはほぼ直角)に
配置された推進手段の駆動軸への動力伝達を行うからで
ある。こうして船体後方への動力伝達が行える以上、推
進手段としてウォータジェットポンプやスクリューな
ど、従来と同様のものを好ましい態様で使用できること
にもなる。
【0019】4) 前記b)のようにエンジンの全シリンダ
を傾斜させ、本来ならかなり背が高いはずの4サイクル
エンジンの高さを抑えるため、小型滑走艇全体の重心を
低い位置におき、その安定性を向上させることができ
る。
【0020】5) シリンダを傾斜させて背を低くしたエ
ンジンの上部に前記b)のように吸気系の機器を配置する
ので、エンジンルームとして船体の前後方向に必要な空
間もほとんど拡大することがない。つまり、もしシリン
ダを真上に立ててその前方または後方に吸気系・排気系
の各機器を振り分ける(4サイクルエンジンは背が高い
ため、シリンダを立てればその上にはいずれの機器を配
置するスペースもなくなるのが普通である)とすれば、
それらを収容すべき空間は前後に長いものとなるが、b)
のようにしてエンジンの上部に吸気系の機器を配置すれ
ば、その空間の所要長さは相当に短くなる。
【0021】請求項1のこの小型滑走艇ではさらに、 6) 前記b)のようにシリンダを後方へ傾斜させてエンジ
ンの上に吸気系の機器を配置し、エンジンよりも後方に
排気系の機器を設けることから、とくに以下の利点もあ
る。つまり、エンジンの上部にある吸気系の機器はシリ
ンダの前方斜め上に位置するので、キャブレター等をシ
リンダの上部に接近配置するという前述の条件が容易に
満たされる。また、吸気系からシリンダへ至り、さらに
排気系へとつながる配管の経路が、船体前方から後方へ
向かう一方向の経路となって単純になり、ガスの流れも
円滑になる。また、排気系の機器を後方に設けること
は、排気系の機器には吸気系の場合のような上記の位置
的な制約がないことや、エンジンの排気は小型滑走艇の
後方へ向けて出すのが好ましいことからも合理的であ
る。
【0022】そして請求項2の小型滑走艇によれば、 7) 搭載した4サイクルエンジンのクランク軸を、推進
手段の駆動軸に対して常に好ましい状態で接続すること
ができる。これらクランク軸と駆動軸との間に高さの差
(軸心のずれ)がある場合にも、前記c)のとおり設ける
傘歯車対やその他の歯車対および伝動軸がその高さの差
を解消するように両者間をつなぐからである。前述した
ように、推進手段の駆動軸が一般的には船体の底部付近
に設けられるのに対し、オイルパンを有する4サイクル
エンジンのクランク軸は2サイクルエンジンのそれより
もやや上にある。しかしながらこの小型滑走艇では、ク
ランク軸の回転は、それよりも下にあって前後に向いた
(つまり推進手段の駆動軸と接続しやすいように配置さ
れた)伝動軸まで傘歯車対や他の歯車対の作用で伝達さ
れ、その伝動軸が推進手段の駆動軸に接続されるのであ
る。
【0023】8) また、この請求項2の小型滑走艇の場
合、傘歯車対や他の歯車対の歯数比を適切に設定すれ
ば、エンジンの最高出力時のクランク軸の回転数を、推
進手段の駆動軸に対し効率上このましい回転数に変換し
て伝達するという、いわゆる回転数のマッチングが可能
になる。
【0024】
【実施例】図1〜図3に本発明の一実施例を示す。この
例は4サイクルエンジン20を搭載した小型滑走艇1に
関するもので、図1はそのエンジン20等が見えるよう
一部を透視して示す小型滑走艇1の側面図、図2はエン
ジン20等のみを断面図にして詳細に示す図面、そして
図3は、エンジン20等の平面図(図2におけるIII−I
II断面図)である。
【0025】小型滑走艇1はレジャーを主目的とする水
上の乗り物で、図1に示すように、船底ハル2の上にフ
ード3やシート4・ハンドル5などを取り付けて一人〜
二人が搭乗できるようになっている。推進手段としては
船体の下部後方にウォータジェットポンプ50を備えて
おり、それにて加圧し噴出するウォータジェットにより
推進力を得て水面上を滑走する。ウォータジェットポン
プ50はエンジン20により駆動されるが、そのエンジ
ン20は、吸気系機器10などとともに船体の前後ほぼ
中央で船底ハル2やフード3・シート4などに囲まれた
船体内の空間(エンジンルーム)に搭載されている。エ
ンジン20の出力は弾性継手51を介して駆動軸52へ
伝えられ、その駆動軸52がポンプ50(のインペラ)
を回転させるのである。なお、エンジン20は、ばねや
ゴム等の弾性体を利用したダンパー(図示せず)を介し
て船底ハル2上に搭載されている。
【0026】エンジン20としては、図2(a)のように
構成した4サイクル・直列4気筒のものを搭載してい
る。エンジン20の上部にはシリンダヘッド21があ
り、それより下にシリンダ25やクランクケース29・
オイルパン34が備わっている。シリンダヘッド21の
うちには吸気ポート22と排気ポート23があり、各ポ
ート22・23を開閉するバルブ24aとともに、カム
24bやタイミングチェーン24c(図2(b)・図3)
などの動弁機構24が組み込まれ、点火プラグ21a
(図3)も取り付けられている。吸気ポート22の上流
側には吸気サイレンサ11やキャブレター12を含む吸
気系機器10が接続され、排気ポート23の下流側には
排気マニホールド61やマフラ62などの排気系機器6
0が接続されている。排気マニホールド61の出口部分
はマフラー62の第1室のほぼ中心部に挿入され、排気
マニホールド61とマフラー62とは蛇腹状のゴムチュ
ーブ63で接続されてウォータジャケット64を形成す
る。排気マニホールド61とマフラー62との間にはウ
ォータジャケット64を形成する隙間があるから、ダン
パーで支持されたエンジン20が動いても、その変位は
この隙間で吸収され、排気マニホールド61がマフラー
62と接触することはない。排気マニホールド61の出
口はマフラー62のほぼ中心部に位置するから、小型滑
走艇1が転倒してもマフラー62内の水は常にマフラー
62の内壁部付近にとどまり、排気マニホールド61内
に水が入るおそれはない。マフラー62内の水は、出口
パイプを通じて排気とともに船外に排出される。また、
シリンダ25の内側には、クランク軸28に連結された
ピストン26が上下に摺動可能なように配置されてお
り、クランク軸28は、クランクケース29にて回転自
在に支えられている。そしてクランクケース29の下部
には、オイルを溜めるオイルパン34が密に取り付けて
あり、その窪みになった下部に円筒状のストレーナ35
が配置され、それが給油ポンプ(図示せず)に接続され
ている。以上に述べた点は、ごく一般的な4サイクルエ
ンジンの構成ととくに異なるものではないが、上部に動
弁機構24などを備えていて下部にもオイルパン34を
有し、また4気筒であることなどから、この4サイクル
エンジン20は通常の2サイクルエンジンに比べてかな
り大型のものである。
【0027】この小型滑走艇1の特徴は、以上のように
大型で重量もある4サイクルエンジン20を、図1のと
おり推進用の機関として船体内に搭載した点にある。容
積の限られた小型滑走艇1の船体のうちに4サイクルエ
ンジン20を搭載する場合、つぎのような課題を解決す
る必要がある。すなわち、イ)従来一般に搭載されていた
2サイクルエンジンに比べて、4サイクルエンジン20
はかなり大型であるため、上方の接近した位置に配置さ
れるべき吸気系機器10などとともに船体内に適切に配
置することが難しい、ロ)4サイクルエンジン20は重い
ため、小型滑走艇1における重量配分に配慮する必要が
ある、ハ)潤滑系は、通常の4サイクルエンジンと同様に
ウェットサンプ方式とするのが、ドライサンプとするよ
りも構造上簡単で好ましいが、そうすると船体の転倒時
にオイルがシリンダ25(図2・図3)の内部に流入し
て運転の継続・再開が難しくなる、ニ)一般的にクランク
軸28(図2)が2サイクルエンジンの場合よりも高い
位置にあるため、船体底部付近に設ける必要があるウォ
ータジェットポンプ50の駆動軸52にそのクランク軸
28を接続するのが難しい−といった課題である。そ
の点、この小型滑走艇1は以下のような構成をとること
により、かかる課題を解決している。
【0028】まず上記イ)・ロ)の課題に対しては、4サイ
クルエンジン20と吸気系機器10および排気系機器6
0を船体内につぎのように配置している。すなわち、図
1および図2のとおりエンジン20を横置き(クランク
軸28を船体の左右へ向け、シリンダ25をそれに沿っ
て並べる)にして船体幅のほぼ中央に配置したうえ、す
べてのシリンダ25を船体後方へ大きく(約55°)傾
け、そのエンジン20の上部(シリンダ25の前方斜め
上)の空間に、吸気サイレンサ11やキャブレター12
などの吸気系機器10を配置する。そしてマフラ62等
の排気系機器60は、エンジン20よりも船体後方の位
置に置く。横置きにしたエンジン20におけるクランク
軸28の回転は、図2のように平歯車対41を介して前
方の平行な軸42まで伝達し、その回転を傘歯車対43
により船体の前後を向いた軸44に伝えたうえ、平歯車
対45を介して伝動軸46へ伝達する。伝動軸46は、
クランク軸28の下でオイルパン34の上となる部分を
通って後方へ延びるように配置したもので、後端に継手
51を設け、それを介して図1のように、回転力をポン
プ50の駆動軸52へ伝える。なお、歯車対41のうち
一方(入力側)の歯車は、図2(b)および図3に示すよ
うにクランク軸28のアームおよびバランスウェイトの
部分の外周に形成し、部品数の増加を抑えている。
【0029】上記のようなレイアウトとすることによ
り、前記イ)・ロ)の課題を解決しつつ船体内の狭い空間に
4サイクルエンジン20等を適切に配置することができ
る。その理由は、図1に基づいてつぎのように説明され
る。エンジン20と、そのシリンダ25に接近させて
配置しなければならない吸気系機器10とを、寸法がと
くに限られた幅方向に隣接させるものではないため、船
体の幅方向寸法を増大する必要がない。エンジン20
を船体の左右いずれかへ寄せて置く必要がないため、全
体の重心を船体の幅の中央に置くことができる。船体
内の空間は前後方向に長いため、その方向には比較的容
易に、設置スペースおよび重量配分等を考慮した適切な
位置にエンジン20等を配置できる。シリンダ25を
大きく後方に傾け、その斜め上となる反傾斜側の空間内
に吸気系機器10を配置するので、キャブレター12等
をシリンダ25に対して上方の接近位置に設けることが
容易である。同じくシリンダ25を傾斜させたことか
らエンジン20の重心位置が低く、したがって船体に対
するエンジン20の据付けの容易性および船体の航走安
定性に関して好ましい。エンジン20の上部に広い空
間が確保されるため、吸気系機器10をそこに置くこと
によりエンジン20の前後に必要なスペースを節約で
き、しかも、船体幅の方向に長くて大容量の吸気サイレ
ンサ11と、各気筒ごとに接続した合計4台のキャブレ
ター12とを使用することが可能である。エンジン2
0に対する相対位置の上下を問わない排気系機器60
は、エンジン20と吸気系機器10とが上下に配置され
た部分を外れた船体後方の位置に設けるので、幅の狭い
船体であっても問題なく配置できる。シリンダ25の
前方斜め上に設けた吸気系機器10から、そのシリンダ
25を経て後方の排気系機器60に至る吸・排気のため
の通路(排気マニホールド61など)を、曲がりが少な
くて抵抗の小さい単純な経路として定めることができ
る。
【0030】前記ハ)の課題を解決するためとしては、図
2(a)・(b)に示すように4サイクルエンジン20にお
いて、クランクケース29の底部のさらに下方にオイル
パン34を設けている。通常ならクランクケース29の
底部がオイルパン34にほかならないが、この例では、
クランクケース29の底部とオイルパン34とがそれぞ
れ別の空間を形成するように配置したのである。つま
り、ボルト等(図示せず)で接合されて一体となるクラ
ンクケース29の空間の下に、前述の各歯車対41・4
3・45のギヤボックスを兼ねる部材47等とともに閉
空間を形成するよう、オイルパン34を配置した。そし
て、形成した上下二つの空間は、クランク軸28などに
強制給油されたオイルがオイルパン34上に滴下し回収
されるように、二箇所の連通孔31でつないでいる。ま
た、各連通孔31の回りには、クランクケース29より
オイルパン34の側へ向かって突出する円筒状の周壁3
0を形成し、図2(b)のとおり、オイルパン34上の閉
空間において連通孔31の周壁30の周囲および上部に
大きなスペースSができるようにした。
【0031】オイルパン34等をこのように構成すれ
ば、4サイクルエンジン20は、ウェットサンプ方式の
ものでありながら、小型滑走艇1が転倒してエンジン2
0が横転ないし反転(180°の反転)状態になったと
きにもオイルパン34内のオイルをシリンダ25内へ流
入させる恐れがない。転倒時にもかかる流入を起こさな
いのは、オイルパン34の空間において周壁30(連通
孔31)の周囲および上部に大きなスペースSがあるか
らである。つまり、エンジン20が横転ないし反転とな
るとき、オイルはそのスペースSのうちに溜まり、連通
孔31からクランクケース29の内部へ至るものはほと
んどなく、したがってオイルがシリンダ25の内部に至
ることはないのである。スペースSの図示左半分は同右
半分よりも容積が小さいが、仮にオイルパン34内のオ
イル量が多くて転倒時に連通孔31よりオイルがあふれ
るとしても、そのオイルは、転倒時に下方のタイミング
チェーントンネル24d内に入り、シリンダ25内には
流入しない。またとくに、転倒したときエンジン20を
自動停止させる転倒スイッチ(図示せず)を小型滑走艇
1に装備しておけば、横転ないし反転になったとき、ク
ランク軸28などへの強制給油もストップするので一層
このましい。なお、オイルパン34は、シリンダ25や
シリンダヘッド21と同様に、冷却水を通すウォータジ
ャケット34aを内部に形成し、図1に示すウォータジ
ェットの噴出口6から取り出される水をその内部に通す
ことにより冷却するようにしている。冷却水は、図2に
示すオイルパン34を冷却したのちシリンダ25・シリ
ンダヘッド21および排気マニホールド61のウォータ
ジャケット64を経てマフラー62内に流入し、高温の
排気と混合されてこれを冷却したうえ出口パイプを通
り、小型滑走艇1の船尾から船外に排出される。このよ
うにしたために、エンジン20は、小型滑走艇1のほと
んど密閉された空間のうちに配置されているにもかかわ
らず適切な冷却を受けることができる。
【0032】クランクケース29のさらに下方にオイル
パン34を配置したため、エンジン20の底部(設置
面)からクランク軸28までの高さ寸法はとくに大きく
なっているが、この小型滑走艇1では前述(図2参照)
のように、歯車対41・43・45を介してクランク軸
28とつながる伝動軸46をエンジン20のうちに設け
ることにより、前記ニ)の課題を解決している。つまり、
伝動軸46は、横置きにしたエンジン20におけるクラ
ンク軸28の回転をそれと直角な後方へ伝達させるだけ
ではなく、クランク軸28からの出力を、それよりも下
方において取り出すように設けたのである。この伝動軸
46に、図1のように弾性継手51を介してウォータジ
ェットポンプ50の駆動軸52を接続したことは前述の
とおりである。伝動軸46がエンジン20の底部に近い
位置にあるので、船体の底部付近に配置する必要がある
ウォータジェットポンプ45の駆動軸44とうまく(つ
まり駆動軸44をほとんど傾けることもなく)つなぐこ
とが可能となった。
【0033】歯車対41・43・45はそのほか、クラ
ンク軸28の回転数をウォータジェットポンプ50にと
って効率のよい回転数に変換する適切な歯数比に設定し
たため、小型滑走艇1にとって推進効率の面でも好結果
をもたらすこととなった。つまり、エンジン20の出力
特性とウォータジェットポンプ50の推進効率とを、歯
車対41・43・45の総括歯数比によって好適にマッ
チングさせることができた。このことは、適当な歯車対
を使用することによって、推進性能の異なる他のウォー
タジェットポンプを装備する他の形式の小型滑走艇にも
同一形式の4サイクルエンジン20を搭載できることを
意味し、エンジンの共用化を進めて小型滑走艇のコスト
ダウンをも実現可能にするものである。なお、同様の歯
車対をエンジン20の外部に設ける場合にも以上と同様
の作用効果が得られることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】本発明の小型滑走艇では、排気の清浄度
等においてメリットがあるとはいえ2サイクルエンジン
よりもかなり大型である4サイクルエンジンを、船体外
板で囲まれた狭い空間のうちにつぎのとおり適切に配置
することができる。
【0035】1) クランク軸を船体の左右に向けて4サ
イクルエンジンを搭載するため、それと一体的な位置関
係に置かれるべき吸気系の機器をシリンダの配列面の
方に容易に配置できる。つまり、当該機器等をエンジン
の右または左隣に設ける必要がないためエンジンルーム
の幅として4サイクルエンジンを横置きにできる寸法が
あれば足り、船体幅の増大を招かない。
【0036】2) 吸気系の機器などとの関係でエンジン
を船体の左右いずれかへ寄せる必要はないので、船体の
重量バランスの点でも好ましい位置に4サイクルエンジ
ンを搭載することができる。
【0037】3) クランク軸を船体の左右に向けるにも
かかわらず、そのクランク軸の回転は傘歯車対の作用に
よって、船体後方にある推進手段にまで円滑に伝達され
る。そのため、従来と同様の推進手段を好ましい態様で
使用することが可能である。
【0038】4) エンジンの全シリンダを傾斜させ、本
来ならかなり背が高いはずの4サイクルエンジンの高さ
を抑えるため、小型滑走艇全体の重心を低い位置にお
き、その安定性を向上させることができる。
【0039】5) シリンダを傾斜させて背を低くしたエ
ンジンの上部に吸気系の機器を配置するので、エンジン
ルームとして必要な空間の、船体前後方向への所要長さ
が短くなる。
【0040】請求項1のこの小型滑走艇には、さらにつ
ぎのような利点もある。すなわち、 6) 後方へ傾斜させたシリンダ等の上部に吸気系の機器
を配置するので、キャブレター等をシリンダの上部に接
近配置することが容易である。また、吸気系からシリン
ダに至り、さらにその後方の排気系へとつながる配管の
経路が、船体前方から後方へ至る一方向の経路となって
単純になるうえ、その内部を通るガスの流れもスムーズ
になる。
【0041】請求項2の小型滑走艇によれば、以上のほ
か、 7) 傘歯車対を含む歯車対や伝動軸が、4サイクルエン
ジンのクランク軸と推進手段の駆動軸との間に生じがち
な高低差に基づく不都合を解消し、同時にエンジンと推
進手段との間の回転数のマッチングをも図るため、上記
のクランク軸・駆動軸間を常に好ましい状態で接続する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である小型滑走艇1につい
て、4サイクルエンジン20等が見えるように一部を透
視して示す側面図である。
【図2】図2(a)は、図1に示した小型滑走艇1のうち
4サイクルエンジン20等のみを断面図にして詳細に示
す側面図、同(b)は、そのエンジン20の一部を示す図
で同(a)におけるb−b断面図、さらに同(c)は、同
(a)におけるc−c断面図である。
【図3】4サイクルエンジン20等の平面図で、図2に
おけるIII−III断面図である。なお、実際には軸44の
真下にある伝動軸46等を、図では便宜上、側方に描い
ている。
【符号の説明】
1 小型滑走艇 10 吸気系機器 20 4サイクルエンジン 25 シリンダ 28 クランク軸 41・45 歯車対 43 傘歯車対 46 伝動軸 50 ウォータジェットポンプ(推進手段) 60 排気系機器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B63B 35/73 B63H 21/24 B63H 21/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 推進手段の駆動用エンジンが、船体外板
    にて囲まれた空間のうちに搭載された小型滑走艇であっ
    て、 上記のエンジンとして4サイクルエンジンが、クランク
    軸を船体の左右に向けて搭載され、そのクランク軸が傘
    歯車対を介して後方の推進手段に接続されるとともに、 当該4サイクルエンジンの全シリンダが船体後方へ傾斜
    してそれらの上部に吸気系の機器が配置され、その4サ
    イクルエンジンよりも船体後方の位置に排気系の機器が
    配置されたことを特徴とする小型滑走艇。
  2. 【請求項2】 クランク軸が、上記の傘歯車対と他の歯
    車対、および後方へ向けてクランク軸よりも下方に配置
    された伝動軸とを介して推進手段に接続された請求項1
    に記載の小型滑走艇。
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