JP2822178B2 - 小型滑走艇の排気装置 - Google Patents

小型滑走艇の排気装置

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JP2822178B2
JP2822178B2 JP8132996A JP13299696A JP2822178B2 JP 2822178 B2 JP2822178 B2 JP 2822178B2 JP 8132996 A JP8132996 A JP 8132996A JP 13299696 A JP13299696 A JP 13299696A JP 2822178 B2 JP2822178 B2 JP 2822178B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は小型滑走艇用エンジンの
排気装置に関するもので、とくに小型滑走艇に搭載する
4サイクルエンジンの排気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】小型滑走艇は、推進手段としてウォータ
ジェットポンプやスクリューが使用されているが、その
駆動用のエンジンは、吸気系・排気系の装置とともに船
底ハルやデッキまたはシート等、船体外板にて囲まれた
空間(いわゆるエンジンルーム)に搭載されている。
【0003】しかしながら、一人乗り〜三人乗りの小型
滑走艇におけるエンジンルームは一般にその容積がかな
り制限されている。容積を広くとりすぎると小型滑走艇
自体が大きくなってスピードや旋回性といった特有の運
動特性が低下しがちであり、シートの幅を大きくするな
ら、それを跨いで乗ることが難しくなる。
【0004】そのため、従来は、小型滑走艇の推進用エ
ンジンとして2サイクルエンジンが使用されている。2
サイクルエンジンはオイルパンやバルブ・動弁機構等を
備えないためにコンパクトで、しかも燃焼頻度からして
出力も高いことから、小型滑走艇には適しているからで
ある。なお、小型滑走艇に2サイクルエンジンが搭載さ
れている例は、たとえば実開平3−61152号公報に
記載がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年では、騒音や環境
改善の観点から、小型滑走艇などに関しても4サイクル
エンジンの使用可能性が検討され始めている。
【0006】しかし、4サイクルエンジンは同等の出力
をもつ2サイクルエンジンよりも大型であることから、
推進用機関としてそれを小型滑走艇に搭載するために
は、船体内の空間にどのように配置するかが課題とな
る。そしてその課題は、つぎのような事情により、解決
され難いものである。すなわち、 イ) 小型滑走艇におけるエンジンルームは、2サイク
ルエンジンを搭載していた場合と変わることなくその容
積が制限される。とくに、シートの上に人が騎乗するタ
イプの小型滑走艇では、体格の面からシートの幅が制限
されるので、シートの下部にあたるエンジンルームの幅
も極めて狭いものになる。
【0007】ロ) 4サイクルエンジンの出力向上方法と
して排気管の排気脈動を利用する方法が一般的である
が、排気脈動をエンジンの出力向上に効果的にマッチン
グさせるには、各排気管の長さが500〜700mm程
度必要で、しかも各排気管の長さをほぼ等しくする必要
がある。しかし、4サイクルエンジンの気筒数が増え、
これに伴って排気管の本数が増えると、限られたエンジ
ンルーム内に、2サイクルエンジンよりも大型である4
サイクルエンジンを排気管等とともに収納するのは困難
である。
【0008】ハ) エンジンルーム内の狭くて制約された
スペースに複数本の排気管を配置する場合、エンジンル
ーム内および排気管の温度上昇を抑えるために、全ての
排気管を冷却する必要がある。また、小型滑走艇は水上
を滑走するため外部水を導入できるから、外部水を利用
した冷却を行うのが有利である。
【0009】ニ) 複数本の排気管を鋳造により一体形成
してコンパクトにまとめる方法について本出願人は既に
提案(特願平8−499号)しているが、全てを鋳造で
一体形成しようとすると、排気管中子や主型などの型構
成が複雑になるとともに、中子の支えが難しくなる。特
に排気管とともに冷却用の水ジャケットを含めて鋳造で
一体に形成しようとすると、型構成が一層複雑になると
ともに、中子の支えが難しくなり、また水漏れに対する
歩留まりが悪くなる。
【0010】本発明の目的は、以上のような課題を解決
できる、小型滑走艇の4サイクルエンジンの排気装置
(とくに排気管の構造)を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の、船体外板にて囲まれた空間内に搭載され
る小型滑走艇の駆動用エンジンにおける排気装置は、a)
複数気筒を備えた4サイクルエンジンを使用し、各気筒
の排気ポートに接続される排気管の長さをほぼ等しく
し、b)それらの全ての排気管を一体にまとめて二つ割り
の一対の分割体から構成し、各分割体をそれぞれ鋳造に
より一体成形し、c)前記各排気管は前記分割体の分割面
を挟んでゆるやかに屈曲させるとともに、分割面を通る
各排気管の開口断面を略円形にしている。
【0012】上記構成を有する本発明にかかる小型滑走
艇の排気装置では、船底ハルやデッキ・シートなどで囲
まれた制限された空間のうちに、4サイクルエンジンと
その排気管が適切に配置される。すなわち、2サイクル
エンジンに比べ高さおよび寸法の大きな4サイクルエン
ジンとそれに接続する排気管とが、船体の、とくに幅方
向に寸法が限られている上記の空間内にコンパクトに収
容される。なぜなら、上記b)の構成により、複数の排気
管を一体にまとめたうえ、鋳造により一体成形した二つ
の分割体を分割面で突き合わせて一体化できるから、自
動車用エンジンの排気装置のように板金にて形成された
全ての排気管が独立分離したものに比べて、少なくとも
隣接する排気管の間のスペースをなくし、また隣接する
排気管の管壁を共通にすることができ、小型化が図れ、
コンパクトに収容される。
【0013】また上記b)の構成により、排気管中子や主
型などの型構成が簡略化されて製作が容易になり、各分
割体をそれぞれ鋳造により一体成形できる。
【0014】さらに上記c)の構成により、分割体の分割
面間にガスケットやシール部材を介装して特に排気管の
合わせ目(分割面)の周囲を密封する際に、断面円形で
周長が最小となり、かつシール部材等の製作が容易なこ
とから、排気管周りを確実に密封できる。
【0015】4サイクルエンジンの性能が十分に発揮さ
れる。なぜなら、上記a)の構成により、全ての排気管の
長さをほぼ等しくしたから、各気筒の排気ポートからの
排気の圧力が一定になり、各気筒間で出力差がなくな
り、エンジンの出力が向上する。
【0016】請求項2記載のように、d)前記各分割体の
排気管の周囲に各排気管を全体的に覆う水ジャケットを
それぞれ一体的に形成し、前記各分割体の水ジャケット
の分割面に相互に連通する開口を設けている。
【0017】請求項2の排気装置によれば、上記d)の構
成により、各排気管が水ジャケット内を流通する水で冷
却されるから、高温の排気ガスで晒される排気管の温度
上昇が抑えられるとともに、エンジンルーム内の温度上
昇も抑えられる。また各分割体の水ジャケットも排気管
とともに鋳造にて一体成形されるが、分割体にしたか
ら、排気管中子や水ジャケット中子および主型などの型
構成が複雑にならず、また中子の支えも容易で、歩留ま
りも良くなる。
【0018】請求項3記載のように、e)前記分割面に介
装されるガスケットを、前記分割面に対応する形状の一
枚の板状にし、各分割体の水ジャケットの冷却水流量を
前記ガスケットの水穴の大きさを変えることによって調
整できるようにすることが好ましい。
【0019】請求項3の排気装置によれば、分割体間の
ガスケットにおける水穴の大きさを変更することによ
り、水ジャケット内の冷却水の流通量を簡単に調整で
き、しかもガスケットの水穴の大きさの変更は極めて簡
単(特に小から大に変更する場合)に行い得る。
【0020】請求項4記載のように、f)前記4サイクル
エンジンが直列4気筒エンジンの場合に、4本の排気管
の対応する排気ポートから終端までの長さを500〜7
00mmの範囲内でほぼ等しくすることが望ましい。
【0021】請求項4の排気装置によれば、排気干渉が
起こりにくくなり、かつ排気ガスの流れもスムーズにな
って、4サイクルエンジンの排気脈動がエンジンの出力
向上にうまくマッチングしてエンジンの効率的な出力向
上が図られる。
【0022】請求項5記載のように、g)前記各分割体の
水ジャケットをそれぞれ上下に分割し、一方をエンジン
冷却水の暖機用に、他方をエンジン冷却後の冷却水を導
入する排気管冷却用にそれぞれ構成することができる。
【0023】請求項5の排気装置によれば、例えば、水
温の低い海水や湖水を直接にエンジンの水ジャケットに
導入するとエンジンが冷却され過ぎるときに、その海水
や湖水を排気管周囲の前記水ジャケットにいったん導入
して暖機したのち、エンジンの水ジャケットに導入する
ことにより、エンジンの冷やし過ぎを防止することがで
きる。
【0024】請求項6記載のように、h)前記4サイクル
エンジンが直列4気筒エンジンで、4本の排気管のうち
2本ずつを終端近くで集合させ、集合した2本の排気管
間に連通口を設けるのが望ましい。なお、連通口の位置
は集合排気管の長さ方向の中央より下流側が望ましく、
また、連通口の大きさは直径8〜20mm位が適してい
る。
【0025】請求項6の排気装置によれば、特に高速回
転域でエンジンの性能向上が図られる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の小型滑走艇の排気
装置についてその実施の形態を図面に基づいて説明す
る。
【0027】図1〜図9に本発明の一実施例を示す。こ
の例は小型滑走艇とこれに搭載される4サイクルエンジ
ンの排気装置に関するもので、図1は船体内部を透視し
て示す小型滑走艇の全体概要側面図、図2は小型滑走艇
やエンジンなどを船体後方から見た横断面図(図1にお
けるII−II断面図)である。
【0028】小型滑走艇1はレジャーを主目的とする水
上の乗り物で、図1に示すように、船底ハル2の上にデ
ッキ3やシート4、ハンドル5などを取り付けて一人〜
三人が搭乗できるようになっている。推進手段としては
船体の下部後方にウォータジェットポンプ15を備えて
おり、それにて加圧し噴出するウォータジェットにより
推進力を得て水面上を滑走する。ウォータジェットを形
成するためのポンプ15はエンジン6により駆動される
が、そのエンジン6は、吸気装置10(図2)などとと
もに船体の前後ほぼ中央で船底ハル2やデッキ3・シー
ト4などに囲まれた船体内の空間(エンジンルーム8)
に搭載されている。エンジン6の出力は弾性継手を介し
て駆動軸14へ伝えられ、その駆動軸14がポンプ15
(のインペラ)を回転させるのである。
【0029】エンジン6としては、4サイクル・直列4
気筒のものを搭載している。このエンジン6は、運転時
の振動が船体に直接伝わらないように、図2に示すよう
に船底ハル2の上にダンパー16を介して支持パイプ1
6aを架設し、この支持パイプ16a(長手方向に複数
本配置する)にエンジン6を取り付けている。エンジン
6の上部にはシリンダヘッド31があり、シリンダヘッ
ド31には吸気ポート32と排気ポート33があり、吸
気ポート32の上流側には吸気サイレンサ11やキャブ
レター12を含む吸気装置10が接続され、排気ポート
33の下流側には後述する排気管(排気マニホールド)
21〜24や消音器37(図1)、水マフラ38(図
1)などの排気装置7が接続されている。
【0030】4サイクルエンジン6と排気装置7や吸気
装置10などを船体内に図2のように配置するものとし
ている。すなわち、4気筒のエンジン6をいわゆる縦置
き(クランク軸36を船体の前後方向に向ける)として
そのクランク軸36を船体幅の中央に位置させるととも
に、当該エンジン6の全シリンダ35を船体の右側(進
行方向右側)へ傾斜させ、その反傾斜側である船体左側
に吸気装置10を配置する。また排気装置7のうち消音
器37や水マフラ38などは、図1のように船体内のう
ちエンジン6の位置よりも後方に配置している。
【0031】このようにエンジン6を船体右側に傾斜さ
せたレイアウトとしたことにより、エンジンルーム8内
においてエンジン6の右側に、図2のように船体の幅方
向には狭いが長さ方向には長いスペースSが生じる。そ
こで、このスペースSに、エンジン6の各排気ポート3
3に接続される排気管21〜24を配置している。小型
滑走艇1に搭載される4サイクルエンジン6の排気管2
1〜24については、次のような課題を解決する必要が
ある。すなわち、制約された上記スペースSに4本の
全ての排気管21〜24を無駄なく、かつバランスよく
収納する必要がある、4サイクルエンジン6の複数の
各気筒の出力は、排気管21〜24の長さの長短に左右
され、また排気管21〜24の長さが短か過ぎると、他
の気筒の排気ガスが干渉して悪影響を及ぼすおそれがあ
るから、排気管21〜24の長さは等しくし、しかも排
気脈動をエンジン出力の向上にマッチングさせるため
に、長さを500〜700mmの範囲まで延長して十分
に長くとる必要がある、エンジンルーム8がシート4
の下方の密閉された空間でしかも狭いので、排気管21
〜24の温度上昇を抑えかつエンジンルーム8内の温度
上昇を抑えるため、冷却する必要がある、排気管21
〜24を冷却する場合に、水上を走行する小型滑走艇1
は常に水と接しているから外部水を利用した冷却を行う
ことが望ましいが、4本の排気管21〜24を冷却する
ための水ジャケットをそれらの周囲に鋳造により一体で
形成しようとすると、構造が複雑になって鋳造で成形す
ることが困難になる−といった課題である。そして、本
例では以下のような構成をとることにより、かかる課題
を解決している。
【0032】図3はエンジンに取り付ける前の状態の排
気装置を示す右側面図、図4は図3の排気装置を示す正
面図、図5は図4の排気装置を示す平面図、図6は図4
の排気装置を二分割した状態を示す図5のA−A矢視
図、図7は図4の排気装置を二分割した状態を示す図5
のB−B矢視図、図8(a)〜(d)は図4のD〜Gの各位
置における断面図で、図8(e)は図8(d)のH−H線断
面図である。図9は図4の排気装置のうち4本の排気管
だけを取り出して概略的に示す斜視図である。
【0033】上記の課題に対して、図9に示すように、
4気筒の各排気ポート33(図2)に接続される排気管
21〜24の長さを排気脈動がエンジン出力の向上にマ
ッチングするように十分に長く(本例では620mm前
後)にし、かつ全ての排気管21〜24の長さを等しく
するとともに、本例では幅(左右)方向の中間位置(分
割面位置)を挟んで左右あるいは上下に往復させながら
ゆるやかに屈曲させて終端部分をそれぞれ相互に平行に
直線状に延ばして一体にまとめている。そして、図8
(d)のように排気管21〜24のうちの2本ずつを終端
付近で集合し、図3のように最終端部で共通の排気口部
25に集合している。また、図8(d)・(e)のように上
下で集合した排気管21・22間と23・24間とにそ
れぞれ、連通口27を設けているが、この連通口27は
排気管21・22と23・24の直線部分において長さ
方向の中央より下流側に設け、連通口27の口径を8〜
20mm程度にするのが、エンジン6の特に高速回転域
における出力向上のうえから望ましい。
【0034】上記の場合に、全ての排気管21〜24を
後述する水ジャケット28a・28bとともに、前記中
間位置を分割面7Cとした二つの分割体7A・7Bにし
てそれぞれ鋳造により一体成形し、ガスケット(図示せ
ず)を介装して図3・図5のように多数のネジ26によ
り一体に組み付けている。ここで、各排気管21〜24
の分割面を横切る部分(図9の斜線箇所)は、分割面7
Cに対して直交させることにより開口断面を円形にして
いる。このことは、二つの分割体7A・7Bを組み付け
たときに、排気管21〜24の接合箇所の開口周長が最
小になってシール部材(ガスケットなど)による排気ガ
スの漏れ防止を有効に図れるようにするとともに、シー
ル部材の製作を容易にするという効果がある。同様の理
由で、各排気管21〜24の、エンジンの排気ポート3
3(図2)との接合端開口21a・22a・23a・2
4aも、図4のように開口断面を円形にしている。
【0035】排気管21〜24の周囲を筺体状の水ジャ
ケットハウジング28で全体的に取り囲み、このハウジ
ング28内の水ジャケット28a・28b内に冷却水を
流通させて各排気管21〜24を冷却するようにしてい
る。また水ジャケット28a・28bは、図8(a)〜
(d)に示すようにボルト貫通孔29の位置を境にして上
下に分割し、上側の水ジャケット28aをエンジン冷却
水の暖機用に構成し、下側の水ジャケット28bを排気
管21〜24の冷却用に構成している。すなわち、外部
水を上側の水ジャケット28aに導入して暖機したの
ち、エンジン6の水ジャケット(図示せず)に導入して
冷却し、その冷却した後の冷却水を下側の水ジャケット
28bに導入して排気管21〜24を冷却するようにし
ている。また、下側の水ジャケット28bに導入した冷
却水は、図3に示すように接続用フランジ30に円周方
向に間隔をあけて多数の冷却水排出口30aを形成し、
それらの排出口30aから消音器37(図1)に冷却水
を排出する。
【0036】上記のように排気管21〜24とこれらの
周囲を覆う水ジャケットハウジング27を一体に備えた
排気装置7は、図3・図5のように二つの分割体7A・
7Bから構成し、各分割体7A・7Bをそれぞれ本例で
はアルミニウム合金を用いて砂型鋳造により一体成形し
ている。各分割体7A・7Bの分割面(合わせ面)7C
には、図6・図7のように排気口部25を除く全周囲お
よび各排気管21〜24の円形接合箇所の周囲に、それ
ぞれフランジ7aおよびフランジ7bを形設するととも
に、多数の連結用ネジ穴7cおよび上記したエンジン6
への取付用ボルト貫通孔29を適所に設けている。ま
た、図4に示すように、各排気管21〜24の接合端開
口21a〜24aの周囲にフランジ7dを、水ジャケッ
トaの周囲にフランジ7eをそれぞれ形成している。
【0037】また分割面7Cに介装するガスケット(図
示せず)は分割体7A・7Bの分割面形状に対応する板
状で、排気管21〜24の接合部円形開口およびボルト
貫通孔29の位置にはあらかじめ対応する形状の開口が
設けられている。そして、分割体7A・7Bの水ジャケ
ット28a・28bの連通する開口の位置には、水穴を
適宜開けられるように切り込み線が入れられており、使
用者が必要な位置に水穴を開けることにより、水ジャケ
ット28a・28b内を流通する冷却水量を任意に調整
できるようにしている。
【0038】上記した本例の排気装置7を備えた小型滑
走艇1では、4サイクルエンジン6の各気筒の排気ポー
ト33からの排気ガスが、それぞれ対応する排気管21
〜24を通って排気口部25より消音器37内に排出さ
れる。各排気管21〜24は内部を通る高温の排気ガス
により加熱されるが、まず外部水(海水や湖水など)が
上側の水ジャケット28a内に導入されて排気管21〜
24の上側を冷却すると同時に、冷却水が暖機されたの
ち、エンジン6の水ジャケット(図示せず)に冷却水が
送られ、そこからの冷却水が下側の水ジャケット28b
に導入され内部を流通して排気管21〜24の下側を冷
却したのち、排気口部25の周囲を通って消音器37内
に流入する。この結果、排気管21〜24および排気口
部25の温度上昇が抑えられる。
【0039】また2サイクルエンジンよりもかなり大型
である4サイクルエンジン6の全シリンダ35を船体の
一方の同じ側へ傾斜させることによって吸気装置10の
配置スペースを確保できるので、4サイクルエンジン6
とそれに付属する吸気装置10とを、好ましい一体的な
位置関係を満たしながら、エンジンルーム8内にコンパ
クトに収容できる。これに加えて、エンジン6を傾斜さ
せた側(吸気装置10と反対側)の、より狭いスペース
Sに、排気装置7すなわち全ての排気管21〜24をそ
れらの水ジャケットハウジング28とともに収納でき
る。さらに4サイクルエンジン6の各気筒の排気ポート
33に接続される排気管21〜24は、長さが十分に得
られ排気干渉が起こらないだけでなく全ての長さが等し
いから、各気筒の出力に差異がなく、安定した出力が得
られる。
【0040】上記に本発明の排気装置7の一実施例を示
したが、この排気装置7は、例えば小型滑走艇1に搭載
される4サイクルエンジン6が複数の気筒を備えたエン
ジンであれば、4気筒以外(できれば偶数気筒)でも同
様に実施できる。
【0041】排気管21〜24だけを一体にまとめて中
間位置の分割面で二つに分割可能な分割体とし、各分割
体をそれぞれ鋳造にて一体成形してもよい。この場合に
は、水ジャケットを別体のハウジングで形成することに
なる。
【0042】排気管21〜24周りの水ジャケット28
は上下に分割せず、一体にして外部水あるいはエンジン
冷却後の水を導入して排気管21〜24を冷却するよう
にもできる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明の小型滑走艇の排気装置には、次のような効果が
ある。
【0044】1) 複数の排気管を一体にまとめたうえ、
鋳造により一体成形した二つの分割体を分割面で合わせ
て一体化できるから、少なくとも隣接する排気管の間の
スペースをなくせ、また隣接する排気管の管壁を共通に
することができ、コンパクトにまとまる。このため、船
底ハルやデッキ・シートなどで囲まれた制限された空間
のうちに、2サイクルエンジンに比べ高さおよび寸法の
大きな4サイクルエンジンとその排気管などとがコンパ
クトに配置される。
【0045】2) 二つの分割体にしたから、排気管中子
や主型などの型構成が簡略化されて製作が容易になり、
各分割体をそれぞれ鋳造により一体成形できる。
【0046】また、分割面における排気管接合部の開口
断面を円形にしたから、分割体の分割面間にガスケット
やシール部材を介装して特に排気管の合わせ目(分割
面)の周囲を密封する際に、断面円形で周長が最小とな
り、かつシール部材等の製作が容易で、排気管周りを確
実に密封できる。
【0047】3) 全ての排気管の長さをほぼ等しくした
から、各気筒の排気ポートからの排気の圧力が一定にな
り、各気筒間で出力差がなくなり、エンジンの出力が安
定してエンジンの性能が十分に発揮される。
【0048】4) 請求項2の排気装置では、各排気管が
水ジャケット内を流通する水で冷却されるから、排気管
の温度上昇が抑えられるとともに、エンジンルーム内の
温度上昇も抑えられる。また各分割体の水ジャケットも
排気管とともに鋳造にて一体成形されるが、分割体にし
たから、排気管中子や水ジャケット中子および主型など
の型構成が複雑にならず、また中子の支えも容易で、歩
留まりも良くなる。
【0049】5) 請求項3の排気装置では、分割体間の
ガスケットにおける水穴の大きさを変更することによ
り、水ジャケット内の冷却水の流通量を簡単に調整でき
る。
【0050】6) 請求項4の排気装置では、排気干渉が
起こりにくくなり、かつ排気ガスの流れもスムーズにな
って、4サイクルエンジンの排気脈動がエンジンの出力
向上にうまくマッチングしてエンジンの出力向上が有効
に図られる。
【0051】7) 請求項5の排気装置では、水温の低い
海水や湖水での滑走時に、エンジンの冷やし過ぎを防止
できる。
【0052】8) 請求項6の排気装置では、特に高速回
転域でエンジンの性能向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる排気装置を備えた、船
体内部を透視して示す小型滑走艇の全体概要側面図であ
る。
【図2】図2は小型滑走艇やエンジンなどを船体後方か
ら見た横断面図(図1におけるII−II断面図)である。
【図3】エンジンに取り付ける前の状態の本発明の実施
例にかかる排気装置を示す右側面図である。
【図4】図3の排気装置を示す正面図である。
【図5】図4の排気装置を示す平面図である。
【図6】図4の排気装置を二分割した状態を示す図5の
A−A矢視図である。
【図7】図4の排気装置を二分割した状態を示す図5の
B−B矢視図である。
【図8】図8(a)〜(d)は図4のD〜Gの各位置におけ
る断面図で、図8(e)は図8(d)のH−H線断面図であ
る。
【図9】図4の排気装置のうち4本の排気管だけを取り
出して概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1 小型滑走艇 6 4サイクルエンジン 7 排気装置 7A・7B 分割体 7C 分割面(中間位置) 8 エンジンルーム 21〜24 排気管 25 排気口部 27 連通口 28a・28b 水ジャケット
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F01N 7/10 B63H 20/00 B63H 20/24 F01N 7/18 F01P 3/20 F01N 3/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体外板にて囲まれた空間内に搭載され
    る小型滑走艇の駆動用エンジンにおける排気装置であっ
    て、 複数気筒を備えた4サイクルエンジンを使用し、各気筒
    の排気ポートに接続される排気管の長さをほぼ等しく
    し、 それらの全ての排気管を一体にまとめて二つ割りの一対
    の分割体から構成し、各分割体をそれぞれ鋳造により一
    体成形し、 前記各排気管は前記分割体の分割面を挟んでゆるやかに
    屈曲させるとともに、 分割面を通る各排気管の開口断面
    を略円形にしたことを特徴とする小型滑走艇の排気装
    置。
  2. 【請求項2】 前記各分割体の排気管の周囲に各排気管
    を全体的に覆う水ジャケットをそれぞれ一体的に形成
    し、前記各分割体の水ジャケットの分割面に相互に連通
    する開口を設けた請求項1記載の小型滑走艇の排気装
    置。
  3. 【請求項3】 前記分割面に介装されるガスケットを、
    前記分割面に対応する形状の一枚の板状にし、各分割体
    の水ジャケットの冷却水流量を前記ガスケットの水穴の
    大きさを変えることによって調整できるようにした請求
    項2記載の小型滑走艇の排気装置。
  4. 【請求項4】 前記4サイクルエンジンが直列4気筒エ
    ンジンで、4本の排気管の対応する排気ポートから終端
    までの長さを500〜700mmの範囲内でほぼ等しく
    した請求項1〜3のいずれかに記載の小型滑走艇の排気
    装置。
  5. 【請求項5】 前記各分割体の水ジャケットをそれぞれ
    上下に分割し、一方をエンジン冷却水の暖機用に、他方
    をエンジン冷却後の冷却水を導入する排気管冷却用にそ
    れぞれ構成した請求項2〜4のいずれかに記載の小型滑
    走艇の排気装置。
  6. 【請求項6】 前記4サイクルエンジンが直列4気筒エ
    ンジンで、4本の排気管のうち2本ずつを終端近くで集
    合させ、集合した2本の排気管間に連通口を設けた請求
    項1〜5のいずれかに記載の小型滑走艇の排気装置。
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