JP2769933B2 - 直流型放電表示管およびその陰極形成用組成物 - Google Patents

直流型放電表示管およびその陰極形成用組成物

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JP2769933B2 JP17035191A JP17035191A JP2769933B2 JP 2769933 B2 JP2769933 B2 JP 2769933B2 JP 17035191 A JP17035191 A JP 17035191A JP 17035191 A JP17035191 A JP 17035191A JP 2769933 B2 JP2769933 B2 JP 2769933B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極形成用材料として
特定の導電性酸化物と無機絶縁物を使用した直流型放電
表示管およびその陰極形成用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】直流型放電表示管の陰極形成材料に要求
される条件としては以下のようなことが挙げられる。す
なわち、 仕事関数が低く、二次電子放射効率が高い
こと、 イオン衝撃に強く、飛散しにくいこと、
導電性であること、 放電ガス吸蔵が少ないこと、
製造が容易であること、 構造が複雑にならないこ
と、等である。
【0003】これらの条件を満足すべく、従来から多く
の陰極材料が検討されてきた。それらのなかで、上記条
件に適合し、従来汎用されているニッケル系金属よりも
効率のよい陰極材料が提案されている(特願平2−21
8947号、“「第4回マイクロエレクトロニクスシン
ポジウム論文集」、p.81〜84”等)。
【0004】これらは仕事関数が低く、二次電子放射効
率が高い導電性酸化物を陰極形成材料としたことを特徴
としたものであり、放電表示管の動作電圧低下その他に
有効である。
【0005】しかし、これら効率の高い導電性酸化物を
使用した放電表示管は、その陰極部分において、エージ
ングを施しても発光面積が広がらなかったり、例え広が
っても動作中に縮んでしまうことが判明した。このこと
は表示セルを多数有する放電表示管や放電表示装置にお
いて、各セルの発光面積にムラを生じることになり、表
示品位を著しく低下させるものである。
【0006】この表示ムラを避けるために、陰極面積を
小さくする方法がある。しかし、この方法では表示面積
が小さくなったり、輝度が低下するかあるいは電流密度
が過大になってスパッタを増大させ寿命を短くする。
【0007】別の方法として、動作電圧を大きくしても
良い。しかし動作電圧を大きくすると、電流も増加し、
輝度が大きすぎたり消費電力も増大させる。また、電流
密度も増大するので寿命を短くする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の課題に鑑みなされたもので、仕事関数が低く、二
次電子放射効率の高い導電性酸化物を放電表示管の陰極
材料に使用しても、所定面積でかつ所定輝度が安定して
得られる直流型放電表示管およびその陰極形成用組成物
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した
従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、陰極形
成材料として元素周期律表Ia,IIa, IIIa族
から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する導電性酸
化物と無機絶縁物を使用することにより、上記目的が達
成されることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の直流型放電表示管は、
元素周期律表のIa,IIa, IIIa族から選ばれ
る少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物と無機
絶縁物とで陰極の放電表面が形成され、かつその無機絶
縁物の被覆率が20〜70%であることを特徴とする。
【0011】以下、本発明の直流型放電表示管について
さらに詳しく説明する。
【0012】本発明の直流型放電表示管に用いられる陰
極形成材料としては、上述のように元素周期律表のI
a,IIa, IIIa族から選ばれる少なくとも1種
の元素を含む導電性酸化物と無機絶縁物を使用する。
【0013】ここで、元素周期律表のIa族元素はリチ
ウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、
フランシウムであり、IIa族元素はベリリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラ
ジウムであり、また IIIa族元素はスカンジウム、
イットリウム、ランタン、セリウム、ブラセオジウム、
ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビウ
ム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホル
ミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテ
チウム、アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウ
ム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウ
ム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アイ
ンスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノー
ベリウム、ローレンシウムである。
【0014】本発明において使用する放電可能物質とし
ての導電性酸化物は、上記元素周期律表のIa,II
a, IIIa族から選ばれる少なくとも1種の元素を
含み、かつ導電性を有する酸化物であればよい。上述の
Ia,IIa, IIIa族から選ばれる少なくとも1
種の元素を含有しないと、低仕事関数および高二次電子
放射効率が得られず、動作電圧の低減が達成されない。
本発明に係る導電性酸化物は、上述のIa,IIa,
IIIa族から選ばれる少なくとも1種の元素を含む複
合酸化物か、それらの混合物が好ましい。また、低仕事
関数および高二次電子放射効率を達成する点に関して
は、Ia,IIa, IIIa族元素のモル分率の大き
な導電性酸化物を用いると一般に有利である。
【0015】また、この導電性酸化物の結晶構造は特に
制限されず、広汎なものが適用できる。例えばスピネル
型、ReO3型、ペロブスカイト型、K2NiF4型、パ
イロクロア型これらと類似の型、あるいは急冷等で非晶
質化したものが適用できる。
【0016】本発明に使用する非放電物質としての無機
絶縁物は絶縁性であればいずれでもよい。しかし、非放
電物質は放電面に近接するので、劣化したりガス放出す
る有機絶縁物は使用できない。
【0017】無機絶縁物の代表として酸化物が挙げられ
る。酸化物の他に窒化物や酸窒化物があるが、これらの
絶縁物を水銀封入のない放電ガス中で使用すると、酸化
物よりガス吸蔵の大きいものがあり、好ましくないもの
もある。
【0018】また、無機絶縁物といえども放電に近接し
スパッタの影響を受けるので、高融点物質が有利であ
る。経験的に2000℃以上の融点を有する物質が好ま
しい。例えば、Al23、MgO、Y23、ZrO2
ランタニド酸化物等やこれらの化合物を含む高融点複合
酸化物等多くのものが知られている。高融点であるの
で、陰極形成時や動作時の熱により導電性酸化物と反応
しにくく悪影響を与えることが少ない。特に、イットリ
ウム、ランタニド元素を含む酸化物は、上記した導電性
酸化物と例え少量反応しても、仕事関数、二次電子放射
効率や導電性等の特性に悪影響を与えることが少なく好
ましい。
【0019】これら無機絶縁物は、陰極の放電表面に分
割して配置されることが望ましい。この分割配置する方
法として、無機絶縁物を粒子状とし導電性酸化物中に分
散する方法が簡便である。使用する粒径は30μm以下
が望ましい。放電表示管の場合、多くはその陰極グロー
を利用する。陰極グローの広がりは、ガスの種類や圧力
によって変化するが、通常15μm以上が採用されてい
る。従って、非放電材料が放電面に分散されていても、
その大きさが30μm以下であれば、非放電材料上にも
陰極グローが充分に広がり、陰極全体を均一に放電生起
することができる。
【0020】本発明において、このように陰極の放電表
面に、放電可能物質である導電性酸化物に加えて非放電
物質である無機絶縁物を用いて形成する理由は、次の通
りである。
【0021】 すなわち、一般の直流型放電表示管にお
いては上述のように陰極グローが使用される。放電ガス
に露出した陰極に電圧を印加し、電圧を増加させて行く
とある電圧で放電が生起し点灯する。この電圧を放電開
始電圧という。この時、陰極面積が充分大きいと点灯面
積は陰極の一部にとどまる。さらに電圧を上げて行く
と、ついには陰極全面が点灯するようになる。放電開始
電圧からこの状態にいたる電圧上昇はそれほど大きくな
い。また、この間に電流は増加するが電流を点灯面積で
割った電流密度はほぼ一定である。この状態の電流密度
を許容電流密度とする。許容電流密度は、陰極材料によ
って大きく変化し、陰極材料の仕事関数が低く、二次電
子放射効率が大きいほど高くなる。なお、陰極全面が点
灯した状態から、さらに電圧を増加させると、電流およ
び電流密度はさらに増加し輝度も上昇する。このときの
電圧上昇の程度は、前述の上昇程度よりはるかに大き
い。しかし、過度の電流密度の増加はイオン衝撃を激し
くし、陰極の寿命を低下させるので、許容電流密度近傍
で使用するのが望ましいわけである。これらの説明から
わかるように、許容電流密度になる電圧で動作させると
点灯面積は不安定となるので、許容電流密度よりやや大
きい電流密度となる電圧で動作させるのが一般的であ
る。多数の放電セルを有する放電表示管においては各セ
ルにバラツキがあるので、全てのセルが均一に点灯する
まで電圧を上げて調整する。本発明ではこの電圧を所定
電圧という。
【0022】本発明に使用する放電可能物質である導電
性酸化物は、前述のごとく低仕事関数で高二次電子放射
効率であるので、動作電圧が低く許容電流密度が高い。
従って、所定の輝度を得るのに従来よりも陰極面積は小
さくてよい。しかし、表示においてむやみに面積を小さ
くするのは好ましくない。所定の陰極面積に所定電圧を
印加すると、点灯面積が不安定になる危険がある。つま
り、この時の電流密度が許容電流密度と同程度か小さい
ので、所定陰極面積を安定に駆動するのは困難である。
この解消策として二つの方法が考えられる。
【0023】一つは、所定電圧で動作させ、輝度の調節
は放電時間で行なう方法である。本発明に用いる導電性
酸化物のように、許容電流密度が高い場合、放電時間は
短くする必要がある。これは、表示セル数が多いとき駆
動パルス幅が短くなることを意味し、回路のIC化にお
いて無制限に行なうことはできない。
【0024】もう一つは、陰極放電面を放電可能材料と
非放電材料で細かく分割して構成することである。これ
により、放電可能材料部分が所定電流密度および所定電
圧を受け持ち、非放電材料部分の大きさの調整によって
所定の放電面積を確保することができる。本発明では、
この非放電材料として無機絶縁物を用いるものである。
【0025】本発明では、無機絶縁物の被覆率が20〜
70%であることが必要である。この被覆率は、次の簡
単な方法により定めることができる。
【0026】すなわち、ガスの組成および圧力を定め、
陰極面積を決定して、所要輝度つまり所要電流になるよ
うな動作電圧を測定すれば、陰極放電面の無機絶縁物の
比率が増加するに従い動作電圧は僅かに上昇するが、あ
る比率以上から大きく上昇する。この比率以下のとき、
導電性酸化物に許容電流密度が流れているわけである。
この比率近傍で点灯部が均一な領域が本発明で利用でき
る領域である。無機絶縁物の好ましい放電面の被覆率
は、放電可能物質の種類によって変化するが、本発明に
係る導電性酸化物を使用した場合、通常20〜70%の
間で好ましい結果が得られる。
【0027】この関係を模式的に図1に示す。また図2
(a)〜(c)は、図1の領域A:B:C各々のセル部
の点灯状況をそれぞれ示し、ハッチ部が点灯部分であ
る。同図から判るように、領域Aでは設定電流密度より
許容電流密度が大きく、点灯部が陰極の一部に集中して
いる。領域Bは正常な点灯である。領域Cは無機絶縁物
が多すぎて、不灯部が生じかつ動作電圧も高い。
【0028】本発明の直流型表示管における陰極は、そ
の放電表面が前記導電性酸化物と無機絶縁物とが特定の
比率で分割された構成であればよく、本発明の効果に悪
影響を及ぼさない範囲で粘結成分等の他の成分を含有し
てもよい。また、本発明に係る陰極形状は任意であり、
棒状、板状、膜状等適宜選択される。
【0029】さらに、例えば陰極が長く電極抵抗が高い
と、両端での放電特性やエージング特性に差があって都
合が悪い。このような場合、比抵抗の小さな導電性酸化
物を選択するか電極厚みを大きくすることが好ましい。
【0030】また、本発明においては上記陰極の下に金
属を形成しても有効である。放電特性は主に表面で決定
されるので下地金属は任意のものが選択でき、また金属
は充分低抵抗であるので上の陰極部分は厚み方向の抵抗
のみ考えればよい。従って、比抵抗が100Ω・cm程
度の導電性酸化物でも充分使用でき、無機絶縁物量の混
合範囲も広く取れる。この方法の他の利点としては、陰
極を外部回路と接続する場合、金属を用いかつその一部
を露出しておけば、通常のハンダ性、溶接性、ボンディ
ング性、メッキ性等に問題がないパターンを一括して形
成できることである。
【0031】また、本発明の放電表示管にあっては、導
電性酸化物および無機絶縁物がイオン衝撃に強いことか
ら管内封入ガスに有毒な水銀を含ませる必要がなく、従
って水銀を含有しない封入ガスを使用することが好まし
い。
【0032】次に、本発明に係る陰極の好ましい製造方
法について説明する。
【0033】導電性酸化物および無機絶縁物の合成は一
般のセラミックの合成と同じものが使用できる。例えば
固体反応法、液体反応法、気相反応法等があり、得られ
る形態は粉体状あるいは膜状である。粉体の成形も公知
のものが使用でき、例えばプレス成形、押し出し成形、
鋳込み成形、射出成形、ドクターブレード法等であり得
られた成形物は一般に焼結固化される。この焼結に際し
て、本発明の効果を損なわない範囲で、焼結助剤の添加
や導電性を補うための金属成分を添加することもでき
る。膜状のパターニングには一般の薄膜技術や厚膜技術
が適用できる。金属と本発明における陰極の接合も公知
のものが使用できる。このような陰極の製造方法は、例
えば上記した特願平2−218947号に示されてい
る。
【0034】ところで、一般に直流型放電表示管はフラ
ット型に形成する場合、その陰極は低コストのガラス板
(基体)上に形成される。低コストのガラスは耐熱性が
低く、適用できる温度は600℃位である。従って、本
発明に係る陰極構成材料の膜を加熱のみによって固着す
ることは困難である。この場合、スパッタや蒸着が一般
に適用されるが、これらの装置は一般に高価であり、し
かも量産性に優れたものとはいい難い。成膜されたもの
をエッチング等でパターニングする方法も同様である。
さらに、抵抗を下げるために膜厚を大きくすれば一層高
コストになる。
【0035】本発明者等は、以下に詳述する陰極形成用
組成物を用いると、通常の厚膜技術で使用される印刷技
術等によって、上記陰極を容易に製造できるることを知
見した。
【0036】すなわち、本発明の陰極形成用組成物は、
平均粒径が0.1〜30μmの元素周期律表のIa,I
Ia, IIIa族から選ばれる少なくとも1種の元素
を含有する導電性酸化物粉体と平均粒径が0.1〜30
μmの無機絶縁物粉体の合計100容量部に対して、粘
結成分0〜67容量部を配合し、これらを液体ビヒクル
中に分散させてなるものである。
【0037】上記各粉体は一般のセラミック粉体と同様
の方法で製造可能である。例えば、原料を溶融あるいは
固相反応させたものを粉砕するか、あるいは溶液中で原
料を反応させて所望の粉体を沈澱させることが一般的で
ある。上記各粉体は、平均粒径が0.1〜30μmであ
ることが必要である。平均粒径が0.1μm未満では被
着形成される陰極膜における粉体密度を大きくすること
が難しく、放電電圧の上昇をきたしたり、寿命の短縮を
招くことになる。他方、30μmより大きいと、微細な
パターニングが困難な上、粉体同士の充分な結合性が得
られない。特に、無機絶縁物の粒径が30μmを超える
と、点灯部がまだらになる危険がある。
【0038】ここに使用する液体ビヒクルは特に制限さ
れず、樹脂を溶剤に溶解させたものが一般的である。樹
脂としてはエチルセルロース、ニトロセルロース、アク
リル等、他方、溶剤としては各種セロソルブ、エステル
類、パインオイル等が好ましい。上記各粉体を液体ビヒ
クル中に分散させて本発明の陰極形成用組成物を調製す
る際には、一般の厚膜印刷ペーストと同様の技術が適用
できる。
【0039】また、本発明の陰極形成用組成物には、加
熱工程において前述の溶剤や樹脂が飛散した後でも上記
各粉体を基体に被着しておくための粘結成分を添加する
ことが好ましい。従来より各種の粘結成分が知られてお
り、これらを粉体として添加するのが一般的な方法であ
る。一般的粘結成分としてはガラスが例示され、例えば
SiO2−B23−BaO系、SiO2−B23−PbO
系、B23−ZnO系等、またこれらに各種の添加成分
を付加したガラス組成が例示できる。また、他の粘結成
分としてB23等の低融点の結晶も利用できる。もちろ
ん、導電性酸化物粉体自身に粘結性がある場合や下地が
粘結性を有する場合、粘結成分を別に添加する必要はな
い。
【0040】 本発明の陰極形成用組成物を構成する諸
成分の比率は、各種特性に基づいて適宜選択される。導
電性酸化物と無機絶縁物の好ましい比率は、両者の合計
100容量部中、導電性酸化物10〜80容量部、無機
絶縁物20〜90容量部である。各粉体を混合し、印刷
等によって陰極を形成した場合、その表面の露出割合は
各々の容量割合と粒径等によって決まるが、前記比率の
範囲で本発明の表面被覆比率を容易に達成できる。ま
た、粘結成分の含有量は導電性酸化物と無機絶縁物の合
計量100容量部に対して67容量部以下が好ましい。
粘結成分量の下限は上記各粉体と基体との粘結力により
決まり、上限は電気特性の劣化が充分に少ない範囲で定
められる。通常、67容量部を超えると比抵抗が高くな
ったり、陰極形成物と粘結成分との反応が多くなり、放
電特性が劣化する傾向があるので好ましくない。
【0041】また、本発明の陰極形成用組成物の粘度は
1万〜40万センチポイズが好ましい。粘度がこの範囲
外になると適正な精度のパターンで適正な膜厚を形成す
ることが困難になる傾向にあるからである。
【0042】本発明の陰極形成用組成物を用いて陰極を
作成するには、上記した陰極作成の方法が採用される。
【0043】上記説明から判るように、本発明の放電表
示管にあっては、本発明にかかる陰極構成とする以外は
特に制限されず、他の構造は従来既知の直流型放電表示
管と同様であってもよい。例えば、下面に陽極を有する
陽極基体(例えば前面ガラス)と、上面に陰極を有する
陰極基体(例えば背面ガラス)と、両基体の間を封止し
て両極の間に放電セルを形成するための隔壁とを具備
し、かつ該放電セルにペニングガス等のガスを封入した
直流型放電表示管が挙げられる。
【0044】
【作用】本発明で使用する陰極の放電可能材料である特
定の導電性酸化物は、低仕事関数で高二次電子放射効率
であるので、動作電圧が低く許容電流密度が大きい。従
って、本発明に係る導電性酸化物のみによって陰極を構
成し、所定輝度および所定面積を所定電圧で均一に点灯
させることは困難なことが多い。本発明では、この導電
性酸化物は放電表面において無機絶縁物で細かく分割さ
れているので、所定輝度および所定電圧部分を導電性酸
化物が受け持ち、所定面積および均一放電部分を無機絶
縁物が受け持つので、所定輝度および所定電圧で所定面
積の陰極を均一に放電させることができる。この無機絶
縁物に高融点物質を用いれば、陰極形成時の熱工程や動
作時において導電性酸化物と反応することが少ないの
で、導電性酸化物の高い特性を損なうことがない。無機
絶縁物に酸化物を用いれば、陰極形成時の熱工程に空気
雰囲気が利用でき簡便であり、理由は明らかでないが水
銀を封入しなくても放電ガス吸蔵の危険も殆どない。従
って、導電性酸化物の良好な放電特性を維持したままそ
の欠点を改善できるものである。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例に基づい
てさらに詳しく説明する。
【0046】実施例1〜8および比較例1〜9 本実施例および比較例においては、陰極構成材料以外は
共通のパネルを作成した。作成したパネルの材質等の詳
細を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】また、図3に作成したパネルの表示面から
の平面図、図4に図3の陰極線に沿って切断した部分断
面図をそれぞれ示す。図3〜4において、1は前面ガラ
ス板、2は背面ガラス板、3は封止ガラス、4aは陽
極、4bは陽極用端子、5aは陰極、5bは陰極用端
子、6は下地用金属、7はスペーサをそれぞれ示す。
【0049】図3において、前面ガラス板1の下に陽極
4aおよびこれに接続する端子部4bが形成され、背面
ガラス板2の上に陰極5aおよびこれに接続する端子部
5bが形成されている。各ガラス板は、線状の陽極およ
び陰極群が対向し直行するように重ね合わされ、周囲を
封止ガラス3でシール後、放電ガスが封入されている。
【0050】また、図4では、前面および背面のガラス
板は、隔壁を兼用するスペーサ7により隔てられて所定
の空間を形成し、陰極5aの下には陰極で被覆された下
地金属6が形成されている。
【0051】この前面および背面のガラス板としてソー
ダガラスを使用した。陰極の下地金属として、厚膜技術
により銀を形成し端子としても兼用させた。使用ペース
トはデュポン社製:商品No.7713、焼付け温度は
585℃である。
【0052】陰極は表2に記載の導電性酸化物と無機絶
縁物の各々の平均粒径が1μmの粉体とSiO2−B2
3−PbO系低融点ガラス粉体(ノリタケ カンパニー
リミテド社製:商品名No.NP−7903)と表2
に示す割合でを混合し、エチルセルロースをブチルカル
ビトールアセテートに溶解した液体ビヒクルと共に混練
して、粘度10〜20万センチポイズのペースト状陰極
形成用組成物を作成した。
【0053】このペーストを用いて、印刷、乾燥、焼成
して陰極を形成した。焼成温度は575℃、焼成後の膜
厚は約10μmである。
【0054】出来上がったパネルを充分エージングし
て、点灯電圧が安定したことを確認後、各パネルの輝度
が一定となるように電圧を印加して点灯状況を観察し
た。この際の無機絶縁物被覆率、電圧および点灯情況を
表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2に示された実施例と比較例との対比か
ら明らかなように、陰極の放電面が本発明に係る導電性
酸化物と無機絶縁物とで細かく分割されて構成され、か
つ特定の無機絶縁物の被覆率であれば、動作電圧が低く
所定の輝度および所定の面積の陰極を均一に放電させる
ことができる。なお、この放電の均一性は5000時間
後も殆ど変化が見られなかった。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の直流型放
電表示管においては導電性酸化物の良好な特性を損なう
ことなく、所定面積で所定の輝度が得られる。つまり、
放電ガスに有害な水銀を封入することがなく、消費電力
を過度に増大させることもなく、均一な放電を低電圧で
生起できるものである。また、従来の製造方法と同様の
簡易な技術が適用できるので、コストを増大することも
ない。また、本発明の陰極形成用組成物によって、上記
直流型放電表示管の陰極が簡便に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無機絶縁物の放電面における被覆率と所定輝度
を得るために必要な電圧の関数を示すグラフ。
【図2】図1の各々の領域における点灯状況を示す図。
【図3】実施例および比較例で使用したパネルを示す平
面図。
【図4】図3の陰極線に沿って切断した部分断面図。
【符号の説明】
1 前面ガラス板 2 背面ガラス板 3 封止ガラス 4a 陽極 4b 陽極用端子 5a 陰極 5b 陰極用端子 6 下地金属 7 スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅井 秀之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字中池5 番地 (72)発明者 神谷 孫典 愛知県豊田市上挙母1丁目5番地 (72)発明者 菊地 直哉 愛知県西加茂郡三好町大字三好字東山 300番地 (72)発明者 中野 竜次 愛知県名古屋市中川区富田町大字戸田字 宮田30番地 (56)参考文献 特開 平4−366523(JP,A) 特開 昭59−9835(JP,A) 特開 昭60−221926(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 1/30,17/06,11/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 元素周期律表のIa,IIa,IIIa
    族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する導電性
    酸化物とイットリウムおよびランタニド元素から選択さ
    れる少なくとも1種の無機絶縁酸化物とで陰極の放電表
    面が形成され、かつその無機絶縁酸化物の被覆率が20
    〜70%であることを特徴とする直流型放電表示管。
  2. 【請求項2】 平均粒径が0.1〜30μmの元素周期
    律表のIa,IIa,IIIa族から選ばれる少なくと
    も1種の元素を含有する導電性酸化物粉体20〜90容
    量部と平均粒径が0.1〜30μmの無機絶縁物粉体1
    0〜80容量部の合計100容量部に対して、粘結成分
    67容量部以下を配合し、これらを液体ビヒクル中に分
    散させてなる直流型放電表示管の陰極形成用組成物。
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