JP2525278B2 - 直流型放電表示管および放電表示管用酸化物陰極の製造方法 - Google Patents

直流型放電表示管および放電表示管用酸化物陰極の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は直流型放電表示管、並びに放電表示管用陰極
の製造方法に関し、さらに詳しくは陰極形成材料として
導電性酸化物を使用した放電表示管、並びに酸化物陰極
の製造方法に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 一般に、放電表示管(プラズマディスプレイパネル:
「PDP」)を分類すると、電極を放電空間に露出させ、
直流電圧を印加して動作させる直流型放電表示管と、電
極の表面を誘電体で被覆し、交流電圧を印加して動作さ
せる交流型放電表示管とに大別される。
このうち、直流型放電表示管は、発光効率が低く、ま
たほかの蛍光表示管、液晶、発光ダイオード等の表示素
子に比べて動作電圧が高い(約150〜200V)という欠点
がある。
そのため、直流型放電表示管用の陰極形成材料に関し
て様々な提案が成されているが、いまだに満足なものは
得られておらず、更なる改善が必要である。
この直流型放電表示管用陰極形成材料に要求される条
件としては以下のようなことが挙げられる。
すなわち、 仕事関数が低く、二次電子放射効率(「γ」)が高い
こと、 イオン衝撃に強く、飛散しにくいこと、 電気導電性であること、 放電ガス吸蔵が少ないこと、 製造が容易であること、 構造が複雑にならないこと、 等である。
これらの条件の内以降を満足する陰極形成材料とし
ては金属が使用し得るが、金属は通常イオン衝撃に弱い
ので管内封入ガス(放電ガス)に水銀を混入してこれを
防止する必要があった。しかしながら、このようにして
Fe族あるいはこれらの合金等の金属を陰極形成材料とし
て使用しても、条件に関しては充分なものではなかっ
た。そのため、金属を用いた従来の直流型放電表示管の
動作電圧は上述のように高いものであった。
この問題を解決するために従来様々な方法が試みられ
てきた。
例えば、金属等の導電性材料を低仕事関数材料、例え
ばMgO、BaO、CaO、SrO等で被覆する方法がある。しかし
この方法には次のような欠点があり、実用化には至って
いない。すなわち、上記絶縁物を使用する場合にはトン
ネル現象を利用するので、その膜厚は100Å程度と薄く
均一でなければならない。この様な膜形成は容易ではな
く、多くの電流を流すことも難しい。また、充分な輝度
を得るべく多くの電流を流すと絶縁破壊で膜を損傷する
恐れがあり、さらにイオン衝撃に関しても膜が薄いので
充分とはいえなかった。
また、他の方法としては、希土類元素やアルカリ土類
金属の硼化物、窒化物、炭化物等の高融点導電性化合物
でかつ低仕事関数材料であるものを使用する方法があ
る。しかし、これらは高融点であることから一般に陰極
形成が容易ではなく、さらに、その形成の際に酸化性雰
囲気を使用できないものが多い。また、これらの内で耐
酸化性の強い硼化物、特にLaB6、CeB6等を用いて容易に
陰極形成する方法も提案されている(特開昭60−221926
〜60−221928号公報等)。しかし、これら非酸化物導電
性材料による陰極は次のような欠点を有することが判明
した。すなわち、一般に放電表示管の動作電圧を低下す
る方法としてペニングガスが使用されるが、上記非酸化
物陰極は放電を継続するとガスを吸蔵し、放電ガス組成
が変動してしまい、ペニング効果が減少して動作電圧が
上昇する。なお、単独ガス組成のものを用いればこのよ
うな欠点は生じないが、ペニングガスに比べて動作電圧
は相当高くなってしまう。
従って、従来の陰極形成材料においては、充分低い動
作電圧を安定して印加させることは困難であるのが現状
であった。
本発明はこれら従来技術の問題点に鑑みてなされたも
ので、直流型放電表示管の陰極形成材料にガス吸蔵が少
なく、低仕事関数で、二次電子放射効率が高く、イオン
衝撃に強い導電性物質を使用して、動作電圧の低減化お
よび安定化、高輝度化、色純度の向上を可能とし、かつ
形成の容易な酸化物陰極放電表示管、並びに酸化物陰極
の製造方法を得ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は、上記した従来技術の問題点を解決すべ
く鋭意検討した結果、陰極形成材料として元素周期表の
I a、II a、III a族から選ばれる少なくとも1種の元素
の酸化物を含む導電性酸化物を使用することにより、上
記目的が達成されることを見出し本発明を完成するに至
った。
すなわち本発明は、導電性酸化物を陰極形成材料とし
て用いる直流型放電表示管において、該導電性酸化物が
元素周期表のI a、II a、III a族から選ばれる少なくと
も1種の元素の酸化物を含有することを特徴とする直流
型放電表示管である。
以下、本発明の直流型放電表示管についてさらに詳し
く説明する。
本発明の直流型放電表示管においては、陰極形成材料
として、元素周期表のI a族、II a族、III a族から選ば
れる少なくとも1種の元素の酸化物を含む導電性酸化物
を使用する。
ここで、元素周期表のI a族元素はリチウム、ナトリ
ウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウ
ム;II a族元素はベリリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム;III a族元素
はスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、
プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、
ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシ
ウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビ
ウム、ルテチウム、アクチニウム、トリウム、プロトア
クチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、ア
メリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウ
ム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウ
ム、ノーベリウム、ローレンシウムである。
本発明において使用する導電性酸化物は、上記元素周
期表のI a、II a、III a族から選ばれる少なくとも1種
の元素の酸化物を含み、かつ導電性を有する酸化物であ
ればよい。上述のI a、II a、III a族から選ばれる少な
くとも1種の元素を含有しないと、低仕事関数および高
二次電子放射効率が得られず、動作電圧の低減が達成さ
れないので、上記元素は本発明において必須である。本
発明に係る導電性酸化物は、上述のI a、II a、III a族
から選ばれる少なくとも1種の元素を含む複合酸化物
か、それらの混合物が好ましい。また、低仕事関数およ
び高二次電子放射効率を達成する点に関しては、I a、I
I a、III a族元素のモル分率の大きな導電性酸化物を用
いると一般に有利である。
また、本発明に係る導電性酸化物の結晶構造は特に制
限されず、広汎なものが適用可能である。例えば、スピ
ネル型、ReO3型、ペロブスカイト型、ルチル型、K2NiF4
型、パイロクロア型、これらと類似の型、あるいは急冷
等で非晶質化したものが適用できる。
本発明の酸化物陰極放電表示管にあっては、上記導電
性酸化物を陰極形成材料とすること以外は特に制限され
ず、他の構造は従来公知の直流型放電表示管と同様であ
ってもよい。例えば、下面に陽極を有する陽極基体(例
えば前面ガラス)と、上面に陰極を有する陰極基体(例
えば背面ガラス)と、両基体の間を封止して両極の間に
放電セルを形成するための隔壁とを具備し、かつ該放電
セルにペニングガス等のガスを封入した直流型放電表示
管等が挙げられる。
本発明の放電表示管の陰極は、上記導電性酸化物を陰
極形成材料として含有するものであればよく、本発明の
効果に悪影響を及ぼさない範囲で粘結性成分等他の成分
を含有してもよい。また、本発明に係る陰極の形状は任
意であり、膜状、テープ状等適宜選択される。
さらに、例えば複数の放電セルが共通の陰極で連結さ
れる場合、陰極の抵抗値が高いと両端での放電特性やエ
ージング特性に差があって都合が悪い。このような場
合、比抵抗の小さな導電性酸化物を選択するか陰極の厚
さを大きくすることが好ましい。
また、陰極の抵抗値が高い場合、本発明においては上
記陰極の下に金属膜を形成しても有効である。放電特性
は主に表面で決定されるので下地金属は任意のものが選
択でき、また金属は充分低抵抗であるので上にのる導電
性酸化物の抵抗は厚み方向のみを考えれば良くなる。従
って、比抵抗が100Ω・cm(300゜K)程度の導電性酸化
物でも充分使用可能である。この方法の他の利点として
は、陰極を外部回路と接続する場合、金属膜を用いれば
通常のハンダ性、ボンディング性、メッキ性等に問題が
ないことである。
また、本発明の酸化物陰極放電表示管にあっては、陰
極がイオン衝撃に強いことから管内封入ガスに有毒な水
銀を含ませる必要がなく、従って水銀を含有しない封入
ガスを使用することが好ましい。
次に、本発明の放電表示管用酸化物陰極の製造方法に
ついて説明する。
通常の直流型放電表示管においては陰極は膜状で表示
パターンに合わせたパターン形状に形成されるので、以
後これに沿って説明する。
本発明に係る導電性酸化物、すなわちI a、II a、III
a族から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有
する導電性酸化物はいわゆる酸化物セラミックであるの
で、通常のセラミック成形方法、例えば溶融、焼結、溶
射、スパッタ、蒸着、ゾル−ゲル等の各種方法が容易に
適用できる。また、膜のパターニングは、通常の厚膜、
薄膜の各種技術が容易に適用できる。なお、前述のI
a、II a、III a族から選ばれる少なくとも1種の元素の
酸化物が固溶体を形成するものである場合は、導電性酸
化物の原料粉体を作成する場合、あるいは膜形成後に固
溶化させる場合、ベースとなる導電性酸化物表面からI
a、II a、III a族元素を拡散させ、表面の該元素濃度を
高める方法も有効である。
ところで、一般に直流型放電表示管はフラット型に形
成する場合、その陰極は低コストのガラス板(基板)上
に形成される。低コストのガラスは耐熱性が低く、適用
できる温度は600℃位である。従って本発明に係る導電
性酸化物の融点が低いものでもその膜を温度のみによっ
て固着することは困難である。この場合、スパッタや蒸
着が一般に適用されるが、これらの装置は高価なものが
多く量産性に優れたものとはいいがたい。成膜されたも
のをエッチング等でパターニングする方法も同様であ
る。抵抗を下げるために膜厚を大きくすれば更に高コス
トになる。
そこで本発明者等は通常の厚膜技術で使用される印刷
技術を適用することによって本発明に係る陰極形成材料
を用いて陰極を容易に形成できることを知見した。
すなわち、本発明の放電表示管用酸化物陰極の製造方
法は、元素周期表のI a、II a、III a族から選ばれる少
なくとも1種の元素の酸化物を含有する導電性酸化物を
粉体化し、該粉体と液体ビヒクルと粘結性成分とを混練
してペースト状とした後に、印刷により該ペストからな
る陰極パターンを基体上に形成することを特徴とする方
法である。
上記の粉体作成方法は一般のセラミック粉体の作成方
法と同様でよい。例えば、原料を溶融あるいは固相反応
させたものを粉砕するか、あるいは溶液中で原料を反応
させて所望の粉体を沈殿させる方法が一般的に使用され
る。粉体粒度は0.1〜10μ(直径)のものが好ましい。
この粉体に印刷性を付与するため、粉体を液体ビヒク
ルと混練してペーストを作成する。液体ビヒクルは樹脂
を溶剤に溶解させたものが一般的で、樹脂としてはエチ
ルセルロース、ニトロセルロース、アクリルの各樹脂
が、一方溶剤としては各種セロソルブ、エステル類、パ
インオイル等が好ましい。
また、上記ペーストには、加熱工程等において前述の
溶剤や樹脂が飛散した後でも陰極形成材料の粉体を基体
に被着しておくための粘結成分が添加される。当該分野
で各種の粘結成分が知られており、これを粉体として添
加するのが一般的な手法である。一般的な粘結成分とし
てはガラスが例示され、例えばSiO2−B2O3−BaO系、SiO
2−B2O3−PbO系、B2O3−ZnO系等、またこれらに各種の
添加成分を付加したガラス組成が例示できる。また、他
の粘結成分としてB2O3等の低温で融解する結晶性のもの
も利用できる。もちろん、陰極形成材料自身に粘結性が
ある場合は、粘結成分を別に添加する必要はない。
作成されたペーストはペースト粘度1〜40万センチポ
イズのものが良好に使用でき、これらペーストを構成す
る諸成分の比率は各種の特性に基づいて適宜簡単な実験
によって良好な値が設定される。
なお、上記例示したもの以外でも当該分野における既
知の技術が広汎に利用できることはもちろんである。
本発明の製造方法においては、このようにして作成さ
れた陰極形成材料ペーストを用いて基体上に印刷によっ
て陰極パターンを形成し、粘結成分あるいは陰極形成材
料自身で固着した陰極形成材料粉体の膜(陰極)が形成
される。本発明において陰極パターンを形成する印刷法
は特に限定されず、厚膜技術において従来から使用され
ている公知の印刷技術等でよい。
また、上記陰極パターンを形成した後にこれを乾燥、
焼成すると好ましい。その際の焼成温度は基体等により
選択され、例えば基体にソーダライムガラスを使用する
場合は600℃が上限である。これより高温ではガラス基
体の変形が大きくなる。なお、このような焼成温度では
一般に本発明に係る陰極形成材料粉体の大部分は充分に
焼結しない。従って、剛性の大きいセラミック粉体であ
る陰極形成材料は各粉体同士の接触のみで連結され、た
とえ粉体の比抵抗が小さくても、パターン形成された膜
の抵抗は非常に大きくなり、多数セルの均一放電が困難
となる傾向にある。そこで、上述した如く、基体上に金
属膜のパターンを形成しておき、この金属パターン上に
前記陰極パターンを形成することが好ましい。さらに、
この金属パターン上に陰極パターンを形成する際、放電
面に対して全金属膜を陰極形成材料で覆うと有効であ
る。このようにすると金属のスパッタを考慮する必要が
なくなり、例えばAg、Au、Al、Cu、Ni等の任意の金属を
封入ガスに水銀を添加することなく使用できる。上記金
属パターンの形成については、通常の厚膜、薄膜技術等
が適用できる。上述のごとく構成することによって多数
セルの放電を均一に起こさせることが可能となる。
ところで、前述の陰極形成材料粉体の接触のみでは放
電々流は充分に安定に流れないはずである。しかし、上
記本発明によって製造された酸化物陰極にあっては、放
電エネルギー、すなわちイオン衝撃や放電々流によるジ
ュール加熱により陰極形成材料粉体膜が充分焼結される
ことが判明した。従って、本発明においては放電により
陰極形成材料粉体を焼結させることが好ましい。例え
ば、LaB6の如き融点が2000℃を越えるものでも充分焼結
させることが可能である。このとき、陰極形成材料より
低融点であるか、陰極形成材料と反応して低融点物質を
生成させる焼結助剤を添加する方法も利用できる。ま
た、通電を補うため微量の金属を陰極中に添加すること
も有効であり、本発明の範疇に入るものである。このよ
うに放電により、陰極形成材料粉体を焼結させるには、
その放電初期において通常の動作電圧以上の電圧が一般
に必要である。かかる状態は短時間で終了するのである
が、このまま一定電圧を付加すると過剰な電流が流れ
て、スパッタ量が過大になって好ましくない。従って、
時間と共に順次電圧を降下させることが望ましい。ある
いは定電流電源にて放電を生起させるのも有効な方法で
ある。これら一連の操作は、通常の金属陰極の場合にエ
ージング処理で行なわれる操作と類似したものであり、
特に煩雑なものではない。
なお、上述の本発明の製造方法は、本発明に係る酸化
物陰極の好ましい製造方法であるが、特にこの方法に制
限されるものではない。
[作 用] 一般に酸化物は、酸素イオンが大きいので表面は酸素
で覆われることになる。従って、I a、II a、III a族元
素を含む複合酸化物においても表面はI a、II a、III a
族酸化物に由来の構成が表面に均一に形成されると考え
られ、これが本発明に係る導電性酸化物の仕事関数を低
く、かつ二次電子放射効率を高くする理由と思考され
る。
また、ガス吸蔵に関しては以下のように考えられる。
導電性非酸素化物陰極においては放電ガスを吸蔵しペ
ニングガスの効果を利用できない。この現象はペニング
ガスを使用して放電を継続した場合、動作電圧が時間と
共に増加し最終的には単独ガスの動作電圧になってしま
うことである。更に直接的には、放電時間と共に吸蔵ガ
スによる発光スペクトル強度が弱くなることで判明す
る。この場合、水銀を同時に封入することによってガス
吸蔵を防ぐことができるが、動作電圧が上昇してしま
う。また、水銀の可視発光スペクトルにより色純度の低
下もおこる。しかるに本発明に係る導電性酸化物陰極に
おいては水銀を封入しなくてもガス吸蔵が発生しない
か、発生してもそれは非常に少ない。この原因は明らか
ではないが次のように考えることができる。すなわち、
酸化物は大きな酸素イオンが密につまっているので隙間
が小さく、それによりガス吸蔵が起こり難いか、あるい
は何らかの現象、例えば極く表面の融解層ができ、ガス
吸蔵が起こっても同程度以上のガス放出がなされるとい
った保護作用がある可能性がある。また、通常使用され
る希ガスとの親和力が小さいとも考えられる。いずれに
しても本発明に係るの導電性酸化物陰極はペニングガス
を水銀封入なしで有効に使用し得る。
次にイオン衝撃性について説明する。
一般に直流型放電表示管の陰極はイオン衝撃によって
スパッタされる。スパッタによって飛散される物質によ
り、蛍光体が汚染されたり、ガラスの光透過率が低減し
たり、電極間の絶縁性を低下させる。このスパッタを低
減するための簡単な方法は、高融点物質を使用して緻密
な陰極を構成することであり、導電性非酸化物の適用は
この点では成功している。他方、金属、例えばNiにおい
てはスパッタの緩衝層を水銀封入することにより形成し
てスパッタを防いでいる。
本発明に係る導電性酸化物においてはNiの融点に比し
てそれ程高くないものや低いものもあるが、充分な耐ス
パッタ性を有する。例えば、5000時間の放電を経た後の
輝度低下や電極間の絶縁性の低下も問題とならない量で
ある。この原因の一つは動作電圧の低下によるイオンエ
ネルギーの低下である。また、明らかではないが、陰極
の極く表面の融解等による緩衝作用があるとも考えられ
る。
従って、本発明に係る酸化物陰極は、多数セルの放電
に際して均一にかつ安定に動作させることができるもの
であり、従来の陰極形成材料に対してはるかに動作電圧
が低いものである。また、本発明に係る酸化物陰極はガ
ス吸蔵が少ないので、ペニングガスの使用も可能であ
る。さらに、イオン衝撃に強いことから、有毒である水
銀を封入する必要がない。そのため、安全性に優れ、か
つコスト的に安価であるばかりでなく、水銀の可視発光
スペクトルがないのでカラー放電表示管においては色純
度も良好となるのである。
[実施例] 以下、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに
詳しく説明する。
実施例1〜20および比較列1〜5 比較例1においては市販のNiペースト(デュポン社
製、商品No.9535)を、比較例4においては市販のRuO2
ペースト(デュポン社製、商品No.6830)を用い、その
他は各々下記の方法で得たペースト用いた。すなわち、
第2表に記載の陰極形成材料を先ず5μ以下の粒度に粉
砕し、平均粒径1〜3μとなるように整粒した。次に、
得られた陰極形成材料粉末100容量部に対してSiO2−B2O
3−PbO系低融点ガラス粉体(ノリタケカンパニーリミテ
ド社製、商品No.NP−7903)を6容量部混合し、さらに
エチルセルロースをブチルカルビトールアセテートに溶
解した液体ビヒクルと共に混練して、粘度が10〜20万セ
ンチポイズのペーストを作成した。
続いて、上記各ペーストを、ガラス板上に形成された
下地金属上に焼成後の膜厚が約10μとなるように印刷し
て陰極パターンを形成し、乾燥後、空気中あるいは窒素
中で580℃で焼成して陰極を得た。その際、上記陰極形
成材料で下地金属パターンの放電部が被覆されるように
パターニングした。陰極パターンの下地金属としては、
比較例1のみNiペーストを用い、他は市販のAgペースト
(デュポン社製、商品No.7713)を基体上に印刷して形
成した。
このようにして作成した陰極が形成されたガラス板
と、別に作成した陽極が形成されたガラス板とを組み合
わせ、直流型放電表示管を作成した。作成した直流型放
電表示管の主な仕様を第1表に示す。
第1表 陽極材料 :ITO(インジウム−錫酸化物) 放電ガス :Ne−Ar(0.5%)350 Torr (比較例1と2は水銀封入) 電極間距離:0.15mm このようにして作成した直流型放電表示管の動作電
圧、ガス吸蔵性、耐スパッタ性をそれぞれ下記の方法で
測定し、結果を第2表に示す。
(動作電圧) 各々について150〜300V、12〜24hrsの条件でエージン
グを行ない、充分安定した時の測定とした。なお、ここ
でいう動作電圧とは、放電をおこしたセルを電圧を降下
させて放電を停止させる直前の電圧とする。
(ガス吸蔵性) 1000時間放電後、動作電圧の変動が20%以内のものを
○、それ以上変動したものを×と評価した。
(耐スパッタ性) 1000時間放電後、同一電流値での輝度測定により初期
輝度からの劣化が10%以内のものを○、それより多いも
のを×とした。
第2表に示された結果から明らかなように、ペニング
ガスを使用しかつ水銀を封入しない直流型放電表示管に
おいて、本発明に係る陰極形成材料を用いた実施例1〜
20の放電表示管は、従来のNi陰極を用いかつ放電ガスに
水銀を封入した比較例1、LaB6陰極を用いかつ放電ガス
に水銀を封入した比較例2、RuO2陰極を用いた比較例
4、Al2O3を0.5wt%ドープしたZnO陰極を用いた比較例
5よりもはるかに動作電圧の低減化が可能であり、しか
も他の放電特性も良好であった。また、動作電圧が低い
ことから、本発明に係る実施例1〜20の導電性酸化物は
仕事関数が低く、かつ二次電子放射効率が高いものであ
ることが示された。
また、放電ガスに水銀を封入せずにLaB6陰極を用いた
比較例3の直流型放電表示管は、動作電圧は低いもの
の、ガス吸蔵性および耐スパッタ性に劣るものであっ
た。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の酸化物陰極放電表示管
によれば以下のような効果が奏される。
動作電圧を従来のものより低減可能であり、それによ
って駆動回路のコストが低減でき、また発光効率の向上
が可能となるので高輝度化が図れ、さらに消費電力の低
減が可能となる。
放電ガスに水銀を封入する必要がなくなり、従って環
境衛生上好ましく、コストも低減でき、さらにカラー放
電表示管においては水銀の可視発光スペクトルがないの
で色純度が向上する。
本発明の酸化物陰極放電表示管は厚膜技術等、従来公
知の技術を利用して容易に作成可能であり、新規なコス
ト増加および新規の設備投資は特に必要ではない。
また、本発明の放電表示管用酸化物陰極の製造方法に
よると、上記本発明に係る酸化物陰極を簡便かつ安価に
製造することが可能となり、従って本発明の製造方法は
上記酸化物陰極を製造する際に好適に採用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神谷 孫典 愛知県豊田市上挙母1丁目5番地 (72)発明者 浅井 秀之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字中池5 番地 (72)発明者 仙田 愼嗣 愛知県西加茂郡三好町大字三好字東山 300 (72)発明者 菊地 直哉 愛知県西加茂郡三好町大字三好字東山 300 (72)発明者 松山 辰夫 三重県松阪市小黒田町547番地の13 (56)参考文献 特開 昭49−75262(JP,A) 特開 昭56−116248(JP,A) 特開 平1−274338(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性酸化物を陰極形成材料として用いる
    直流型放電表示管において、該導電性酸化物が元素周期
    表のI a、II a、III a族から選ばれる少なくとも1種の
    元素の酸化物を含有するすることを特徴とする直流型放
    電表示管。
  2. 【請求項2】前記導電性酸化物を陰極形成材料としてな
    る膜状の陰極の下に金属膜を形成する、請求項1に記載
    の直流型放電表示管。
  3. 【請求項3】前記放電表示管における管内封入ガスが水
    銀を含まないものである、請求項1または2に記載の直
    流型放電表示管。
  4. 【請求項4】元素周期表のI a、II a、III a族から選ば
    れる少なくとも1種の元素の酸化物を含有する導体酸化
    物を粉体化し、該粉体と液体ビヒクルと粘結性成分とを
    混練してペースト状とした後に、印刷により該ペースト
    からなる陰極パターンを基体上に形成することを特徴と
    する、放電表示管用酸化物陰極の製造方法。
  5. 【請求項5】前記陰極パターンを、前記基体上に形成さ
    れた金属パターン上に形成する、請求項4に記載の放電
    表示管用酸化物陰極の製造方法。
  6. 【請求項6】前記陰極パターンを形成した後に焼成し、
    さらに放電により前記粉体を焼結させる、請求項4また
    は5に記載の放電表示管用酸化物の製造方法。
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