JPH0821314B2 - 放電表示管およびその陰極形成用組成物 - Google Patents

放電表示管およびその陰極形成用組成物

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JPH0821314B2 JP28840190A JP28840190A JPH0821314B2 JP H0821314 B2 JPH0821314 B2 JP H0821314B2 JP 28840190 A JP28840190 A JP 28840190A JP 28840190 A JP28840190 A JP 28840190A JP H0821314 B2 JPH0821314 B2 JP H0821314B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、直流型放電表示管およびその陰極形成用組
成物に関し、さらに詳しくは陰極形成材料として導電性
酸化物を使用した放電表示管、並びにその陰極形成用の
導体組成物に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 一般に、放電表示管(プラズマディスプレイパネル:
「PDP」)を分類すると、電極を放電空間に露出させ、
直流電圧を印加して動作させる直流型放電表示管と、電
極の表面を誘電体で被覆し、交流電圧を印加して動作さ
せる交流型放電表示管とに大別される。
このうち、直流型放電表示管は、発光効率が低く、ま
た他の螢光表示管、液晶、発光ダイオード等の表示素子
に比べて動作電圧が高い(約150〜200V)という欠点が
ある。
そのため、直流型放電表示管用の陰極形成材料に関し
て様々な提案が成されているが、未だに満足なものは得
られておらず、更なる改善が必要である。
この直流型放電表示管用の陰極形成材料に要求される
条件としては以下のようなことが挙げられる。すなわ
ち、 仕事関数が低く、二次電子放射効率が高いこと、 イオン衝撃に強く、飛散しにくいこと、 導電性であること、 放電ガス吸蔵が少ないこと、 製造が容易であること、 構造が複雑にならないこと、 等である。
これらの条件の内以降を満足する陰極形成材料とし
ては金属が使用し得るが、金属は通常イオン衝撃に弱い
ので管内封入ガス(放電ガス)に水銀を混入してこれを
防止する必要があった。しかしながら、このようにして
Fe族あるいはこれらの合金等の金属を陰極形成材料とし
て使用しても、条件に関しては充分なものはなかっ
た。そのため、金属を用いた従来の直流型放電表示管の
動作電圧は上述のように高いものであった。
この問題を解決するために従来から様々な方法が試み
られてきた。
例えば、金属等の導電性材料を低仕事関数材料、例え
ばMgO、BaO、CaO、SrO等で被覆する方法がある。しかし
この方法には次のような欠点があり、実用化には至って
いない。すなわち、上記絶縁物を使用する場合にはトン
ネル現象を利用するので、その膜厚は100Å程度と薄く
均一でなければならない。この様な膜形成は容易ではな
く、多くの電流を流すことも難しい。また、充分な輝度
を得るべく多くの電流を流すと絶縁破壊で膜を損傷する
恐れがあり、さらにイオン衝撃に対する強度に関しても
膜が薄いので充分とはいえなかった。
また、他の方法としては、希土類元素やアルカリ土類
金属の硼化物、窒化物、炭化物等の高融点導電性化合物
かつ低仕事関数材料であるものを使用する方法がある。
しかし、これらは高融点であることから一般に陰極形成
が容易ではなく、さらに、その形成の際に酸化性雰囲気
を使用できないものが多い。また、これらの内で耐酸化
性の強い硼化物、特にLaB6、CeB6等を用いて容易に陰極
形成する方法も提案されている(特開昭60−221926〜60
−221928号公報等)。しかし、これら非酸化物導電性材
料による陰極は次のような欠点を有することが判明し
た。すなわち、一般に放電表示管の動作電圧を低減する
方法としてペニングガスが使用されるが、上記非酸化物
陰極は放電を継続するとガスを吸蔵し、放電ガス組成が
変動してしまい、ペニング効果が減少して動作電圧が上
昇する。なお、単独ガス組成のものを用いればこのよう
な欠点は生じないが、ペニングガスに比べて動作電圧は
相当高くなってしまう。また、Hgを同時に封入すること
によってある程度ガス吸蔵を防ぐことができるが、動作
電圧が上昇してしまう。
また最近、アルミナを固溶した酸化亜鉛を陰極として
使用するとHgを封入しない放電ガスにおいても耐スパッ
タ性が高いことが発表されている(1990年テレビジョン
学会年次大会抄録、第79〜80頁)。しかしながら、上記
の導電性酸化物にはガス吸蔵の問題点はないものの、動
作電圧の低減化は充分に達成されていない。
従って、従来の直流型放電表示管においては、充分低
い動作電圧を長期に亘って安定して印加させることは困
難であるのが現状であった。
本発明はこれら従来技術の問題点に鑑みてなされたも
ので、直流型放電表示管の陰極形成材料にガス吸蔵が少
なく、低仕事関数で、二次電子放射効率が高く、イオン
衝撃に強い導電性物質を使用することによって、動作電
圧の低減化および安定化、高輝度化、色純度の向上が可
能でかつ製造の容易な放電表示管を得ることを目的とす
る。さらに、本発明は、上記放電表示管の陰極形成に有
用な導体組成物を得ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は、上記した従来技術の問題点を解決すべ
く鋭意検討した結果、陰極形成材料としてNaCl型結晶構
造を有する酸化物にIa族元素の酸化物を固溶させてなる
導電性酸化物を使用することによって上記目的が達成さ
れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、直流型放電表示管であって、その
陰極形成材料が、NaCl型結晶構造を有する酸化物に組成
式(1):X2O[式(1)中、Xは元素周期律表の1a族元
素から選ばれる少なくとも1種を示す]で表される酸化
物を固溶させてなる導電性酸化物を包含することを特徴
とする放電表示管である。
以下、本発明の直流型放電表示管についてさらに詳し
く説明する。
本発明の直流型放電表示管においては、陰極形成材料
としてNaCl型結晶構造を有する酸化物を使用する。上記
酸化物は組成式(2):ZOで表され、上式(2)中の元
素Zは2価の陽イオンである。上記酸化物は必ずしも導
電性である必要はなく、絶縁性のものであっても後述す
る組成式(1)で表される酸化物を固溶させることによ
って導電性になるものであればよい。導電性のものとし
ては元素ZがTi、V、Eu、Nbのもの等があり、下記の固
溶によって導電性になるものとしては元素ZがMn、Fe、
Co、Niのもの等がある。中でも、元素ZがNiおよび/ま
たはCoのものは空気中での加熱に対して安定で、操作が
容易となる傾向があるので好ましい。
また、上記酸化物は組成式(2′):ZO1±xで表さ
れる定比組成以外の形をとることがあり、このようなも
のも本発明において使用可能である。さらに、上記酸化
物は、元素Zが複数の元素からなる固溶体であってもよ
い。
上記NaCl型結晶構造を有する酸化物としては、後述す
る組成式(1)で表される酸化物を充分量固溶させるこ
とができかつ動作電圧をより低くできるものがより好ま
しい。
本発明にあっては、上記NaCl型結晶構造を有する酸化
物に組成式(1):X2Oで表される特定酸化物を固溶させ
る必要がある。組成式(1)で表される酸化物を固溶さ
せることによって動作電圧が格段に低減されるからであ
る。上記組成式(1)中の元素Xは元素周期律表のIa族
元素、すなわちLi、Na、K、Rb、Cs、Frからなる群から
選ばれる少なくとも1種である。
組成式(1)で表される酸化物の固溶量は上記NaCl型
結晶構造を有する酸化物に応じて選択され、動作電圧、
固溶のし易さ、安定性、導電性等を勘案して決定され
る。一般に、本発明に係る導電性酸化物の陽イオン中に
Ia族元素が1〜50atom%存在すると上記諸条件が満たさ
れる傾向がある。
本発明において陰極形成材料として用いる上記導電性
酸化物は、単一種類のものであっても、複数種類のもの
の混合物であってもよい。
本発明の放電表示管にあっては、上記導電性酸化物を
陰極形成材料とすること以外は特に制限されず、他の構
造は従来公知の直流型放電表示管と同様であってもよ
い。例えば、下面に陽極を有する陽極基体(例えば前面
ガラス)と、上面に陰極を有する陰極基体(例えば背面
ガラス)と、両基体の間を封止して両極の間に放電セル
を形成するための隔壁とを具備し、かつ該放電セルにペ
ニングガス等のガスを封入した直流型放電表示管等が挙
げられる。
本発明の放電表示管の陰極は、上記導電性酸化物を陰
極形成材料として含有するものであればよく、本発明の
効果に悪影響を及ぼさない範囲で粘結成分等の他の成分
を含有してもよい。また、本発明に係る陰極の形状は任
意であり、膜状、テープ状等適宜選択される。
さらに、例えば複数の放電セルが共通の陰極で連結さ
れる場合、陰極の抵抗値が高いと両端での放電特性やエ
ージング特性に差があって都合が悪い。このような場
合、比抵抗の小さな導電性酸化物を選択するか、陰極の
厚さを大きくすることが好ましい。
また、陰極の抵抗値が高い場合、本発明においては上
記陰極の下に金属層を形成しても有効である。放電特性
は主に表面で決定されるので下地金属は任意のものが選
択でき、また金属は充分低抵抗であるので上にのる導電
性酸化物の抵抗は厚み方向のみを考えれば良くなる。従
って、比抵抗が100Ω・cm(300゜K)程度の導電性酸化
物でも充分使用可能である。この方法の他の利点として
は、陰極を外部回路と接続する場合、金属層を用いかつ
その一部を露出させておけば、通常のハンダ性、ボンデ
ィング性、メッキ性等に問題がないパターンを一括して
形成できることである。
また、本発明の放電表示管にあっては、陰極がイオン
衝撃に強いことから管内封入ガスに有毒なHgを含ませる
必要がなく、従ってHgを含有しない封入ガスを使用する
ことが好ましい。
次に、本発明に係る酸化物陰極の好ましい製造方法に
ついて説明する。
通常の直流型放電表示管においては陰極は膜状で表示
パターンに合わせたパターン形状に形成されるので、以
後これに沿って説明する。
本発明に係る上述の導電性酸化物はいわゆる酸化物セ
ラミックであるので、通常のセラミック膜成形方法、例
えばスプレー、印刷、ドクターブレード、スパッタ、蒸
着等の各種方法が適用できる。また、膜のパターニング
には、通常の厚膜、薄膜の各種技術が適用できる。
ところで、一般に直流型放電表示管はフラット型に形
成する場合、その陰極は低コストのガラス板(基体)上
に形成される。低コストのガラスは耐熱性が低く、適用
できる温度は600℃位である。従って本発明に係る導電
性酸化物のうち融点が低いものでもその膜を温度のみに
よって固着することは困難である。この場合、スパッタ
や蒸着が一般に適用されるが、これらの装置は一般に高
価であり、しかも量産性に優れたものとはいいがたい。
成膜されたものをエッチング等でパターニングする方法
も同様である。さらに、抵抗を下げるために膜厚を大き
くすれば一層高コストになる。
本発明者等は、以下に詳述する本発明の陰極形成用組
成物を用いると、通常の厚膜技術で使用される印刷技術
等によって本発明に係る酸化物陰極を容易に製造するこ
とができることを知見した。
すなわち、本発明の陰極形成用組成物は、NaCl型結晶
構造を有する酸化物に組成式(1):X2O[式(1)中、
Xは元素周期律表のIa族元素から選ばれる少なくとも1
種を示す]で表される酸化物を固溶させてなる導電性酸
化物の平均粒径0.1〜30μmの粉体を液体ビヒクル中に
分散させてなることを特徴とするものである。
上記導電性酸化物の粉体は、一般のセラミック粉体と
同様の方法で製造可能である。例えば、原料を溶融ある
いは固相反応させたものを粉砕するか、あるいは溶液中
で原料を反応させて所望の粉体を沈殿させる方法が一般
的である。上記粉体は平均粒径が0.1〜30μmであるこ
とが必要である。0.1μmより小さいと、被着形成され
る陰極膜における粉体密度を大きくすることが難しく、
放電電圧の上昇をきたしたり、電極寿命の短縮を招く。
他方、30μmより大きいと、微細なパターニングが困難
な上、粉体同志の充分な結合性が得られない。
本発明の陰極形成用組成物に使用する液体ビヒクルは
特に制限されず、樹脂を溶剤に溶解させたものが一般的
である。樹脂としてはエチルセルロース、ニトロセルロ
ース、アクリル等、他方、溶剤としては各種セロソル
ブ、エステル類、パインオイル等が好ましい。上記粉体
を液体ビヒクル中に分散させて本発明の陰極形成用組成
物を調整する際には、一般の厚膜印刷ペーストと同様の
技術が適用できる。
また、本発明の陰極形成用組成物には、加熱工程にお
いて前述の溶剤や樹脂が飛散した後でも上記粉体を基体
に被着させておくための粘結成分を添加することが好ま
しい。当該分野では各種の粘結成分が知られており、こ
れを粉体として添加するのが一般的な手法である。一般
的な粘結成分としてはガラスが例示され、例えばSiO2
B2O3−BaO系、SiO2−B2O3−PbO系、B2O3−ZnO系等、ま
たこれらに各種の添加成分を付加したガラス組成が例示
できる。また、他の粘結成分としてB2O3等の低温で融解
する結晶性のものも利用できる。もちろん、導電性酸化
物粉体自身に粘結性がある場合は、粘結性成分を別に添
加する必要はない。
本発明の陰極形成用組成物を構成する諸成分の比率は
各種特性に基づいて適宜簡単な実験によって良好な値が
設定されるが、上記粘結成分の含有量は上記粉体100容
量部に対して67容量部以下が好ましい。粘結成分量の下
限は上記粉体と基体との粘結力により決まり、上限は電
子特性の劣化が充分少ない範囲で定められる。通常、67
容量部を越えると抵抗が高くなったり、陰極形成物と粘
結成分との反応が多くなり、放電特性が劣化する傾向が
あるので好ましくない。
また、本発明の陰極形成用組成物の粘度は、1万〜40
万センチポイズが好ましい。粘度がこの範囲外になると
適正な精度のパターンで適正な膜厚を形成することが困
難となる傾向にあるからである。
なお、上記例示したもの以外でも当該分野における既
知の技術が広汎に利用できることはもちろんである。
本発明に係る酸化物陰極の好ましい製造方法において
は、上述の導電性酸化物粉体を用いて、より好ましくは
本発明の陰極形成用組成物を用いて基体上に陰極パター
ンを形成する。続いてこれを乾燥、焼結して、粘結成分
あるいは導電性酸化物粉体自身で固着した導電性酸化物
の膜が形成される。焼成温度は基体や粘結成分等により
選択され、例えば基体にソーダライムガラスを使用する
場合は600℃が上限である。これより高温ではガラス基
体の変形が大きくなる。
なお、このような焼成温度では一般に本発明に係る導
電性酸化物粉体の大部分は充分に焼結しない。従って、
剛性の大きいセラミック粉体である導電性酸化物は各粉
体同志の接触のみで連結され、たとえ粉体の比抵抗が小
さくても、パターン形成された膜の抵抗は非常に大きく
なり、多数のセルの均一放電が困難となる傾向にある。
そこで、上述した如く、基体上に金属膜のパターンを
形成しておき、この金属パターン上に前記陰極パターン
を形成することが好ましい。さらに、この金属パターン
上に陰極パターンを形成する際、放電面に対して全金属
膜を陰極形成材料で覆うと有効である。このようにする
と金属のスパッタを考慮する必要がなくなり、例えばA
g、Au、Al、Cu、Nr等の任意の金属を封入ガスにHgを添
加することなく使用できる。上記金属パターンの形成に
ついては、通常の厚膜、薄膜技術等が適用できる。上述
のごとく構成することによって多数セルの放電を均一に
起こさせることが可能となる。
ところで、前述の導電性酸化物粉体の接触のみでは放
電々流は充分にかつ安定に流れないはずである。しか
し、上記本発明によって製造された酸化物陰極にあって
は、放電エネルギー、すなわちイオン衝撃や放電々流に
よるジュール加熱により陰極形成材料の膜が充分焼結さ
れることが判明した。従って、本発明に係る製造方法お
いては放電により陰極形成材料を焼結させることが好ま
しい。例えば、LaB6の如き融点が2000℃を越えるもので
も充分焼結させることが可能である。このとき、陰極形
成材料より低融点であるか、陰極形成材料と反応して低
融点物質を生成させる焼結助剤を添加する方法も利用で
きる。また、通電を補うため微量の金属を陰極中に添加
することも有効であり、本発明の範疇に入るものであ
る。
このように放電によって陰極形成材料を焼結させるに
は、その放電初期において通常の動作電圧以上の電圧が
一般に必要である。かかる状態は短時間で終了するので
あるが、このまま一定電圧を付加すると過剰な電流が流
れて、スパッタ量が過大になって好ましくない。従っ
て、時間と共に順次電圧を降下させることが望ましい。
あるいは定電流電源にて放電を生起させるのも有効な方
法である。これら一連の操作は、通常の金属陰極の場合
にエージング処理で行なわれる操作と類似したものであ
り、特に煩雑なものではない。
なお、上述の製造方法は、本発明に係る酸化物陰極の
好ましい製造方法であるが、特にこの方法に制限される
ものではない。
[作 用] 一般にI a族、II a族、III a族元素の酸化物は仕事関
数が低いことが知られているが、これらの元素の単独酸
化物には充分な導電性を示すものはない。ところが、Na
Cl型結晶構造を有する酸化物にIa族元素の酸化物を固溶
させた本発明に係る複合酸化物にあっては充分な導電性
を有するものが多く得られる。しかもそれらは上記単独
酸化物と類似の構造を表面の一部あるいは全体に有して
いると考えられる。これが本発明に係る導電性酸化物の
仕事関数が低く、かつ二次電子放射効率を高くする理由
と思考される。
また、ガス吸蔵に関しては以下のように考えられる。
導電性非酸化物陰極においては放電ガスを吸蔵しペニ
ングガスの効果を利用できない。この現象にペニングガ
スを使用して放電を継続した場合、動作電圧が時間と共
に増加し最終的には単独ガスの動作電圧になってしまう
ことである。更に直接的には、放電時間と共に吸蔵ガス
による発光スペクトル強度が弱くなることで判明する。
この場合、Hgを同時に封入することによってガス吸蔵
を防ぐことができるが、動作電圧が上昇してしまう。ま
た、Hgの可視発光スペクトルにより色純度の低下も生じ
る。しかるに本発明に係る導電性酸化物陰極においては
Hgを封入しなくてもガス吸蔵が発生しないか、発生して
もそれは非常に少ない。この原因は明らかではないが次
のように考えることができる。すなわち、酸化物は大き
な酸素イオンが密につまっているので隙間が小さく、そ
れによりガス吸蔵が起こり難いか、あるいは何らかの現
象、例えば極く表面の融解層ができ、ガス吸蔵が起こっ
ても同程度以上のガス放出がなされるといった保護作用
がある可能性がある。また、通常使用される希ガスとの
親和力が小さいとも考えられる。
いずれにしても本発明に係る導電性酸化物陰極はペニ
ングガスをHg封入なしで有効に使用し得る。
次にイオン衝撃性について説明する。
一般に直流型放電表示管の陰極はイオン衝撃によって
スパッタされる。スパッタによって飛散される物質によ
り、蛍光体が汚染されたり、ガラスの光透過率が低減し
たり、電極間の絶縁性を低下させる。このスパッタを低
減するための簡単な方法は、高融点物質を使用して緻密
な陰極を構成することであり、導電性非酸化物の適用は
この点では成功している。他方、金属、例えばNiにおい
てはスパッタの緩衝層をHg封入することにより形成して
スパッタを防いでいる。
本発明に係る導電性酸化物においてはNiの融点に比し
てそれ程高くないものや低いものもあるが、充分な耐ス
パッタ性を有する。例えば、5000時間の放電を経た後の
輝度低下や電極間の絶縁性の低下も問題とならない量で
ある。この原因の一つは動作電圧の低下によるイオンエ
ネルギーの低下である。また、明らかではないが、陰極
の極く表面の融解等による緩衝作用があるとも考えられ
る。
従って、本発明に係る酸化物陰極は、多数セルの放電
に際して均一にかつ安定に動作させることができるもの
であり、従来の陰極形成材料に対してはるかに動作電圧
が低いものである。また、本発明に係る酸化物陰極はガ
ス吸蔵が少ないので、ペニングガスの使用も可能であ
る。さらに、イオン衝撃に強いことから、有毒であるHg
を封入する必要がない。そのため、安全性に優れ、かつ
コスト的に安価であるばかりでなく、Hgの可視発光スペ
クトルがないのでカラー放電表示管においては色純度も
良好となるのである。
[実施例] 以下、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに
詳しく説明する。
実施例1〜8および比較例1〜8 比較例1においては市販のNiペースト(デュポン社
製、商品No.9535)を用い、その他は各々下記の方法で
得た陰極形成用組成物を用いた。すなわち、第2表に記
載の陰極形成材料を先ず5μm以下の粒度に粉砕し、平
均粒径1〜3μmとなるように整粒した。次に、得られ
た陰極形成材料粉体100容量部に対してSiO2−B2O3−PbO
系低融点ガラス粉体(ノリタケカンパニーリミテド社
製、商品No.NP−7903)を6容量部混合し、さらにエチ
ルセルロースをブチルカルビトールアセテートに溶解し
た液体ビヒクルと共に混練して、粘度が10万〜20万セン
チポイズのペースト状の陰極形成用組成物を作成した。
続いて、上記の各陰極形成用組成物を、ガラス板上に
形成された下地金属上に、焼成後の膜厚が約10μmとな
るように印刷して陰極パターンを形成した。そしてその
陰極パターンを乾燥後、空気中あるいは窒素中で580℃
で焼成して陰極を得た。その際、陰極形成材料で下地金
属パターンの放電部が被覆されるようにパターニングし
た。陰極パターンの下地金属としては、比較例1のみNi
ペーストを用い、他は市販のAgペースト(デュポン社
製、商品No.7713)を基体上に印刷して形成した。
このようにして作成した陰極が形成されたガラス板
と、別に作成した陽極が形成されたガラス板とを組み合
わせ、直流型放電表示管を作成した。作成した直流型放
電表示管の主な仕様を第1表に示す。
第1表 陽極材料:ITO(インジウム−錫酸化物) 放電ガス:Ne−Ar(1.0%)300Torr (比較例1と2はHg封入) 電極間距離:0.13mm このようにして作成した直流型放電表示管の各々につ
いて150〜300V、12〜24hrsの条件でエージングを行な
い、充分安定した後に放電維持電圧を測定した。結果を
第2表に示す。ここでいう放電維持電圧とは、放電をお
こしたセルの放電が電圧の降下によって停止する直前の
電圧とする。なお、比較例8においては陰極形成材料が
絶縁物であるため放電不可能であった。
さらに、比較例8以外の各々の放電表示管に関して10
00時間放電後に輝度測定したところ、比較例3以外は同
一電流値における初期輝度からの劣化はいずれも10%以
内であり、耐スパッタ性は良好であった。比較例3にお
いては輝度劣化が著しく、1000時間放電を継続させるに
は140V必要であった。
第2表に示された結果から明らかなように、ペニング
ガスを使用しかつHgを封入しない直流型放電表示管にお
いて本発明に係る陰極形成材料を用いた実施例1〜8の
放電表示管は、従来のNi陰極を用いかつ放電ガスにHgを
封入した比較例1、LaB6陰極を用いかつ放電ガスにHgを
封入した比較例2、Al2O3を0.5wt%固溶したZnO陰極を
用いた比較例4よりもはるかに動作電圧の低減化が可能
であり、しかも他の放電特性も良好であった。
また、実施例1〜8の放電表示管は、本発明に係るNa
Cl型結晶構造を有する酸化物にIa族元素の酸化物を固溶
させないで陰極形成材料として用いた比較例5〜7より
も動作電圧の低減化が可能であり、他の放電特性も良好
であった。なお、比較例8で用いたNiOはIa族元素の酸
化物を固溶させないと絶縁物であり、放電不可能であっ
た。
このように、実施例1〜8の放電表示管は放電維持電
圧が低いことから、本発明に係る導電性酸化物は仕事関
数が低くかつ二次電子放射効率が高いものであることが
示された。
また、放電ガスにHgを封入せずにLaB6陰極を用いた比
較例3の直流型放電表示管は、初期の放電維持電圧は低
いものの、ガス吸蔵性に劣るものであった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の放電表示管によれば以
下のような効果が奏される。
動作電圧を従来のものより低減可能であり、しかもそ
の低動作電圧を長期に亘って安定した印加させることが
可能となる。それによって駆動回路のコストが低減で
き、また発光効率の向上が可能となるので高輝度化が図
れ、さらに消費電力の低減が可能となる。
放電ガスにHgを封入する必要がなくなり、従って環境
衛生上好ましく、コストも低減できる。さらにカラー放
電表示管おいてはHgの可視発光スペクトルがないので色
純度が向上する。
本発明の放電表示管は厚膜技術等、従来公知の技術を
利用して容易に作成可能であり、新規なコスト増加およ
び新規の設備投資は特に必要ではない。
また、本発明の陰極形成用組成物を用いると、上記酸
化物陰極を簡便かつ安価に製造することが可能となる。
従って、本発明の陰極形成用組成物は本発明の放電表示
管を製造する際に好適に採用される。
フロントページの続き (72)発明者 神谷 孫典 愛知県豊田市上挙母1丁目5番地 (72)発明者 浅井 秀之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字中池5番 地 (72)発明者 仙田 愼嗣 愛知県西加茂郡三好町大字三好字東山300 番地 (72)発明者 菊地 直哉 愛知県西加茂郡三好町大字三好字東山300 番地 (72)発明者 松山 辰夫 三重県松阪市小黒田町547番地の13 (56)参考文献 特開 昭60−221926(JP,A) 特開 昭48−77760(JP,A)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流型放電表示管であって、その陰極形成
    材料が、NaCl型結晶構造を有する酸化物に組成式
    (1):X2O[式(1)中、Xは元素周期律表のIa族元素
    から選ばれる少なくとも1種を示す]で表される酸化物
    を固溶させてなる導電性酸化物を包含することを特徴と
    する放電表示管。
  2. 【請求項2】前記のNaCl型結晶構造を有する酸化物がNi
    Oおよび/またはCoOである、請求項1に記載の放電表示
    管。
  3. 【請求項3】前記導電性酸化物を陰極形成材料としてな
    る膜状の陰極の下に金属層を形成する、請求項1または
    2に記載の放電表示管。
  4. 【請求項4】前記放電表示管における管内封入ガスがHg
    を含まないものである、請求項1〜3のうちのいずれか
    に記載の放電表示管。
  5. 【請求項5】NaCl型結晶構造を有する酸化物に組成式
    (1):X2O[式(1)中、Xは元素周期律表のIa族元素
    から選ばれる少なくとも1種を示す]で表される酸化物
    を固溶させてなる導電性酸化物の平均粒径0.1〜30μm
    の粉体を液体ビヒクル中に分散させてなることを特徴と
    する、放電表示管の陰極形成用組成物。
  6. 【請求項6】前記のNaCl型結晶構造を有する酸化物がNi
    Oおよび/またはCoOである、請求項5に記載の陰極形成
    用組成物。
  7. 【請求項7】前記粉体と、該粉体100容量部に対して67
    容量部以下の粘結成分とを液体ビヒクル中に分散させて
    なる、請求項5または6に記載の陰極形成用組成物。
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