JP4860555B2 - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4860555B2
JP4860555B2 JP2007162246A JP2007162246A JP4860555B2 JP 4860555 B2 JP4860555 B2 JP 4860555B2 JP 2007162246 A JP2007162246 A JP 2007162246A JP 2007162246 A JP2007162246 A JP 2007162246A JP 4860555 B2 JP4860555 B2 JP 4860555B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
panel
pdp
metal oxide
dielectric layer
cao
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007162246A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009004150A (ja
Inventor
修 井上
洋 浅野
浩二郎 奥山
誠吾 白石
全弘 坂井
裕介 福井
洋介 本多
幸弘 森田
恭平 吉野
正範 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2007162246A priority Critical patent/JP4860555B2/ja
Publication of JP2009004150A publication Critical patent/JP2009004150A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4860555B2 publication Critical patent/JP4860555B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)およびその製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下PDPと略す)は、薄型ディスプレイパネルの中で、大型化が容易、高速表示が可能、低コストといった特徴から、実用化され、急速に普及している。
現在実用化されている一般的なPDPの構造は、それぞれ前面側と背面側となる、2枚の対向するガラス基板に、それぞれ規則的に配列した一対の電極を設け、これらの電極を被覆するように低融点ガラス等の誘電体層を設ける。背面基板の誘電体層上には蛍光体層を設け、前面基板の誘電体層上には、誘電体層をイオン衝撃に対して保護し、かつ二次電子放出を目的とした保護層として、MgO層が設けられる。そして2枚の基板間にNe、Xe等の不活性ガスを主体とするガスを封入し、電極間に電圧を印加して放電を発生させることにより蛍光体を発光させて表示を行う。
PDPにおいては、高効率化が強く要求されており、その手段としては、誘電体層を低誘電率化する方法や、放電ガスのXe分圧を上げる方法が知られている。しかしながら、このような手段を用いると、放電開始電圧や維持電圧が上昇してしまうという問題点があった。
一方、保護層に用いる材料として、2次電子放出係数の高い材料を用いるほど、放電開始電圧や維持電圧を下げる事が可能である事が知られており、高効率化や、耐圧の低い素子を用いる事による低コストが実現可能となる。このため、MgOの変わりに、同じアルカリ土類金属酸化物であるが、より2次電子放出係数の高い、CaO、SrO、BaOを用いたり、これら同士の固溶体を用いる事が検討されている(特許文献1〜2)。
特開昭52−63663号公報 特開2007−95436号公報
しかしながら、CaO、SrO、BaOなどは、MgOに比べて化学的に不安定であり、空気中の水分や炭酸ガスと容易に反応して、水酸化物や炭酸化物を形成する。このような化合物を形成すると、2次電子放出係数が低下して、期待した低電圧化が得られなかったり、あるいは電圧低下に必要とされるエージング時間が非常に長くなってしまい、実用的ではなくなるといった問題点があった。
こうした化学反応による劣化は、実験室レベルで少量を作製する場合には、作業の雰囲気ガスを制御するといった方法で回避可能であるが、製造工場で全ての工程を雰囲気管理するのは困難であり、また可能であっても高コスト化につながる。このため、従来より2次電子放出係数の高い材料の使用が検討されてきたにもかかわらず、未だに実用化されているのはMgOのみであり、充分な低電圧化や高効率化が実現されていなかった。
本発明は、第1のパネルと第2のパネルとを含み、前記第1のパネルと前記第2のパネルとの間に放電空間が形成されているPDPであって、前記第1のパネルは、基板と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極を覆う第1の誘電体層とを含み、前記第2のパネルは、基板と、前記基板上に形成された第2の電極と、前記第2の電極を覆う第2の誘電体層と、蛍光体層とを含み、前記放電空間に面するように金属酸化物が配置されており、前記金属酸化物は、岩塩型の結晶構造を有し、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物と、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物との固溶体である、PDPを提供する。
本発明は、その別の側面から、第1のパネルと第2のパネルとを含み、前記第1のパネルと前記第2のパネルとの間に放電空間が形成されているPDPの製造方法であって、(i)前記第1のパネルおよび前記第2のパネルからなる群より選ばれる少なくとも一方のパネル上に金属酸化物を配置する工程と、(ii)前記第1のパネルと前記第2のパネルとを、内部に放電空間が形成されるように、かつ前記放電空間に前記金属酸化物が面するように貼り合わせる工程とを含み、前記第1のパネルは、基板と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極を覆う第1の誘電体層とを含み、前記第2のパネルは、基板と、前記基板上に形成された第2の電極と、前記第2の電極を覆う第2の誘電体層と、蛍光体層とを含み、前記金属酸化物は、岩塩型の結晶構造を有し、かつ、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物と、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物との固溶体である、PDPの製造方法を提供する。
本発明によれば、化学的に安定化された、2次電子放出係数の高い金属酸化物が得られ、これを用いた、駆動電圧の低いプラズマディスプレイパネルを提供できる。
発明者等は、詳細な検討の結果、岩塩型結晶構造を有する、CaO、SrO、BaOに、結晶構造を変化させずに、同じニ価金属の酸化物である、MnO、FeO、CoO、NiO、CuO、ZnOを固溶させる事により、化学的な安定性を高めることが出来、これを2次電子放出材料として用いる事により、MgOを用いた場合よりも駆動電圧が低下したPDPが得られる事を見出した。
用いるアルカリ土類金属酸化物としては、CaO、SrO、BaOのほか、これら同士の固溶体、すなわち、(Ca,Sr)O、(Sr,Ba)O、(Ca,Ba)O、(Ca,Sr,Ba)Oであっても良く、またこれらにさらにMgOを固溶させたもの、すなわち(Ca,Mg)O、(Ca,Sr,Mg)O等でも良い。アルカリ土類金属酸化物の2次電子放出係数は、BaO、SrO、CaOの順に高い(BaOが最も高い)。化学的安定性は、CaO、SrO、BaOの順に高い(CaOが最も安定)。また、MnO、FeO、CoO、NiO、CuOおよびZnOをアルカリ土類金属酸化物に固溶させることも、CaO、SrO、BaOの順に容易である(CaOが最も容易)。このため、金属酸化物の化学的安定性を高める側面からは、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物として、CaO、(Ca,Sr)O、(Ca,Mg)O、などの、Caを含む酸化物を使用することによって金属酸化物を形成するのが望ましい。
これらにMnO、FeO、CoO、NiO、CuO、ZnOを固溶させる方法としては、その形態として、固相法、液相法、気相法が挙げられる。
固相法は、それぞれの金属酸化物の粉末、あるいは熱処理によってそれぞれの金属酸化物となる原料粉末(金属水酸化物、金属炭酸塩等)を混合し、ある程度以上の温度で熱処理して反応させる方法である。この方法の利点は、大量の固溶体粉末を安価に製造出来る点にある。固相反応法によれば、CaOに対して、MnOを多量に固溶させることができる。
また、固相反応法によれば、通常、CaOに対して、CoO、NiOおよびZnOを10mol%程度固溶させることができ、さらに少量であればFeOおよびCuOを固溶させることもできる。また、固相反応法によれば、(Ca,Sr)O、および(Sr,Ba)Oを任意の割合で合成することもできる。固相反応法によれば、通常、MgOが10mol%程度までの範囲であれば、(Ca,Mg)Oを合成することもでき、BaOの添加量がさらに少量の範囲であれば、(Ca,Ba)Oを合成することもできる。
液相法は、それぞれの金属を含む溶液を作り、これより固相を沈殿させたり、あるいは基板上に溶液を塗布後、乾燥、熱処理等を行って固相とする方法である。
気相法は、蒸着およびスパッタリングなどによって膜状の固相体を得る方法である。気相法によれば、条件を制御する事により、固相法よりも広い範囲で望む組成のものを合成する事が可能になる。
次に、CaO、SrO、BaOに固溶させるMnO、FeO、CoO、NiO、CuO、ZnOの量については、多量に固溶させるほど化学的安定性が高くなる。しかし前述したように、CaOとMnOの組み合わせなどの場合を除き、多量に固溶させる事は、必ずしも容易ではない。また、固溶量が増えすぎると、2次電子放出係数が低下する事も考えられる。さらに、CaO等に比べてMnO等は高価な場合が多い。これらの点からは、固溶量は少ない方が良い。しかし少なすぎると化学的安定性が低下する。
必要とされる化学的安定性は、実際に製造を行う工程条件により異なる場合により様々であるので、一概にどの程度の固溶量が良いと決めることは出来ないが、前記を勘案して、一般的には、0.5mol%以上50mol%以下、より望ましくは1.0mol%以上30mol%以下、さらには2mol%以上20mol%以下が良い。
次に、MnO、FeO、CoO、NiO、CuO、ZnOのどれを選択するかについては、MnOは、FeO、CoO、NiO、CuOおよびZnOと比べて、CaO、SrOおよびBaOなどに固溶させることが容易である。また、MnOを固溶させることによって、CaO、SrOおよびBaOなどに対して比較的固溶しにくい金属酸化物(例えば、ZnO、MgOなど)の、CaO、SrOおよびBaOなどに対する固溶量を増加させることができる。
CoO、ZnOおよびNiOは、MnO、FeOおよびCuOと比べて、金属酸化物における化学的な安定性を高める作用が強い。CoOおよびZnOは、NiOよりも、こうした作用がさらに強い。CoOは、MnOに匹敵するほどではないが、FeO、NiO、CuOおよびZnOと比べて、CaO、SrOおよびBaOなどに固溶させることも容易である。ZnOは、着色を回避した状態で、CaO、SrOおよびBaOなどに固溶させることも容易である。
以上を総合的に考慮すると、ZnO、MnOが最も望ましく、CoO、NiOがこれに次ぐが、用途に応じて、適当な物を用いれば良い。またこれらは、それぞれ単独で固溶させてもよいし、2種以上を組み合わせて固溶させてもよい。
次に、これらの固溶体をPDPパネルのどの部分に形成するかにいては、一般的には、前面板の電極を覆う誘電体層の上に形成すれば良い。しかしながら、他の部位、例えば蛍光体の上やリブ表面等の位置に形成しても、放電空間に面した位置であればよい。すなわち、前面板及び背面板から選ばれる少なくとも1つのパネル上に形成されていればよい。
これにより、これらの固溶体を形成しないものに比べて、駆動電圧低下の効果は、程度の差はあれ認められる。
次に、これらの固溶体の形態については、粒子および膜から選ばれる少なくとも1つの形態で配置されていればよい。
例えば前面板の電極を覆う誘電体層の上に形成する場合を考えると、誘電体層の上に通常保護膜として形成されるMgO膜のかわりに、これらの固溶体の膜を形成すればよい。また、これらの固溶体の粉末を誘電体層の上に散布してもよい。あるいは誘電体層の上にMgO膜を形成した上にさらに、これらの固溶体の膜をさらに形成したり、これらの固溶体の粉末を散布しても良い。粉末で用いる場合の粒子径は、0.1μm〜10μm程度の範囲内で、セルサイズ等にあわせて選択すれば良い。
なお、本明細書においては、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znの酸化物を便宜上MnO、FeO、CoO、NiO、CuO、ZnOと記載しているが、これは必ずしもこれらの金属元素の価数を2価に規定している訳ではなく、最終的な形態として、岩塩型結晶構造を持つ金属酸化物固溶体であれば良い。また、固溶体相に、上記以外の金属元素が含まれていても、それが安定性を損なわず、結晶構造を壊さないものであれば、かまわない。
次に、本発明のPDPの具体例を図を用いて説明する。本発明によるPDPの一例を図1および2に示す。図1は、当該PDP100の分解斜視図である。図2は、当該PDP100の縦断面図(図1、I−I線断面図)である。図1および2に示すように、PDP100は、前面パネル1と背面パネル8とを有している。前面パネル1と背面パネル8との間には、放電空間14が形成されている。このPDPは、AC面放電型であって、保護層が上述した金属酸化物固溶体で形成されている以外は従来例にかかるPDPと同様の構成を有する。
前面板1は、前面ガラス基板2と、その内側面(放電空間14に臨む面)に形成された透明導電膜3およびバス電極4からなる表示電極5と、表示電極5を覆うように形成された誘電体層6と、誘電体層6上に形成された保護層7とを備えている。表示電極5は、ITOまたは酸化スズからなる透明導電膜3に、良好な導電性を確保するためAg等からなるバス電極4が積層されて形成されている。
背面板8は、背面ガラス基板9と、その片面に形成したアドレス電極10と、アドレス電極10を覆うように形成された誘電体層11と、誘電体層11の上面に設けられた隔壁12と、隔壁12の間に形成された蛍光体層とを備えている。蛍光体層は、赤色蛍光体層13(R)、緑色蛍光体層13(G)および青色蛍光体層13(B)がこの順に配列するように配列するように形成される。
上記蛍光体層を構成する蛍光体としては、例えば、青色蛍光体としてBaMgAl1017:Eu、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mn、赤色蛍光体としてY23:Euを用いることができる。
前面板1および背面板8は、表示電極5とアドレス電極10の各々の長手方向が互いに直交し、かつ互いに対向するように配置し、封着部材(図示せず)を用いて接合される。
放電空間14には、He、Xe、Ne等の希ガス成分からなる放電ガスが封入されている。
表示電極5とアドレス電極10は、それぞれ外部の駆動回路(図示せず)と接続され、駆動回路から印加される電圧によって放電空間14で放電が発生し、放電に伴って発生する短波長(波長147nm)の紫外線で蛍光体層13が励起されて可視光を発光する。保護層7に、上述した金属酸化物固溶体が使用される。
本発明によるPDPの他の一例を、図3および4に示す。図3は、当該PDP200の分解斜視図である。図4は、当該PDP200の縦断面図(図3、I−I線断面図)である。PDP200は、保護層7がMgOからなり、金属酸化物20が保護層7上に粒子の形態で配置されていること以外は、PDP100と同様の構造を有する。PDP200においても、金属酸化物20は、放電空間14に面している。
次に、保護層7に、従来のMgO膜を用い、その上に、上述した金属酸化物固溶体粉末を散布した場合のPDPパネルの作製方法について、一例を挙げて説明する。まず、前面板を作製する。平坦な前面ガラス基板の一主面に、複数のライン状の透明電極を形成する。引き続き、透明電極上に銀ペーストを塗布した後、前面ガラス基板全体を加熱することによって、銀ペーストを焼成し、表示電極を形成する。
表示電極を覆うように、前面ガラス基板の上記主面に本発明のPDPにおける誘電体層用ガラスを含むガラスペーストをブレードコーター法によって塗布する。その後、前面ガラス基板全体を90℃で30分間保持してガラスペーストを乾燥させ、次いで、580℃前後の温度で10分間焼成を行う。
誘電体層上に酸化マグネシウム(MgO)を電子ビーム蒸着法によって成膜し、焼成を行い、保護層を形成する。この時の焼成温度は500℃前後である。
MgO層上に、エタノール等の有機溶媒に粉末状の金属酸化物固溶体を分散させた液を散布し、乾燥させて、散布膜を形成する。
次に背面板を作製する。平坦な背面ガラス基板の一主面に、銀ペーストをライン状に複数本塗布した後、背面ガラス基板全体を加熱して銀ペーストを焼成することによって、アドレス電極を形成する。
隣り合うアドレス電極の間にガラスペーストを塗布し、背面ガラス基板全体を加熱してガラスペーストを焼成することによって、隔壁を形成する。
隣り合う隔壁同士の間に、R、G、B各色の蛍光体インクを塗布し、背面ガラス基板を約500℃に加熱して上記蛍光体インクを焼成することによって、蛍光体インク内の樹脂成分(バインダー)等を除去して蛍光体層を形成する。
こうして得た前面板と背面板とを封着ガラスを用いて貼り合わせる。この時の温度は500℃前後である。その後、封止された内部を高真空排気した後、希ガスを封入する。以上のようにしてPDPが得られる。
なお、上述したPDPおよびその製造方法は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
MgO保護層のかわりに、金属酸化物固溶体を薄膜として形成する場合、MgOと同様に、電子ビーム蒸着等の、通常の薄膜プロセスを適宜用いれば良い。一方、金属酸化物固溶体粉末を散布する場合は、上記のように溶媒に粉末を分散させて散布したり、スピンコーター等を用いたり、印刷法等を、適宜用いれば良い。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
[金属酸化物固溶体]
本実施例では、CaOにMnO、FeO、CoO、NiO、CuO、ZnOを、固相粉末法により固溶させた場合の、化学的安定性の改善効果を示す。
出発原料として、試薬特級以上のCaCO3、MnCO3、FeO、CoO1.33、NiO、CuO、ZnOおよびMgOを用いた。これらの原料を、各金属イオンのモル比が、表1に示すようになるように秤量し、ボールミルを用いて湿式混合した後、乾燥し、混合粉末を得た。
この混合粉末を白金坩堝に入れ、電気炉にて、Mn、Feを用いたものは、窒素中で、その他は空気中で1500℃の中で4時間焼成した。得られた粉末を、ボールミルを用いて平均粒径2μmに乾式粉砕した。粉砕粉末の一部をX線回折法を用いて分析し、CaO相の回折ピークより格子定数を測定したところ、No.1の試料を除き、組み合わせる金属酸化物の量、種類により程度は異なるものの、いずれも格子定数が小さくなっており、MnO、FeO、CoO、NiO、CuO、ZnOの一部は少なくとも一部はCaOに固溶している事が確認出来た。また、No.1はCaOであった。しかし、このCaOを主成分とする固溶相以外に、他の相が生成しているものもあった。これは、試料がCaOに固溶していない結晶成分(例えば、CoOおよびMgOなど)を含有することを意味する。X線回折法によって複数種の相が検出された例を「複相」、単一種の相のみが検出された例を「単相」として、表1に示す。
次に粉砕粉末の一部を秤量した後、吸湿性のない多孔質のセルに充填し、このセルを40℃70%空気中の恒温恒湿槽に入れて10時間放置し、放置後再度重量を測定し、重量増加率を測定した。この重量増加率が低いほど、粉砕粉末が、化学的な安定性に優れた酸化物であることを意味する。さらに、一部の処理後の粉末に対してX線回折法を用いて分析し、生成相を同定した。各粉砕粉末の重量増加率を表1に示した。
Figure 0004860555
表1のNo.1より、CaOのみでは重量増加が非常に大きかった。No.1の試料の恒温恒湿処理後のX線回折では、Ca(OH)2とCaCO3が主相となっており、CaOは一部残存するのみとなった。
これに対して、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znを固溶させたNo.2〜7では、程度の差はあれ、重量増加率が低下し、化学的安定性が改善された。ところが、同じニ価金属であっても、Mgを固溶させたNo.8では、重量増加率はほとんど変化せず、化学的安定性の改善効果は見られなかった。
次に、No.9〜23では、Mn、Co、Ni、Zn、Mgについて、配合比率を大きくした結果を示す。金属元素の種類によって、今回の合成条件での単相となる組成域は異なったが、Mn、Co、Ni、Znについては配合比率の増加に伴い、単相である範囲内では、重量増が順調に少なくなり、固溶させる事によって化学的安定性が改善していく事が明らかであった。
一方、Mgでは、配合比率を高くしても、より以上の固溶は進みにくく、重量増の改善効果もほとんど認められなかった。しかしながら、No.24のように、他の元素と組み合わせて配合すると固溶が進み、重量増を低減する効果も認められた。従って、さらにMgOを加えることは効果があった。
[PDP]
本実施例では、本発明の化学的安定性が改善された金属酸化物固溶体を用いたPDPについて示す。厚さ約2.8mmの平坦なソーダライムガラスからなる前面ガラス基板を用意した。この前面ガラス基板の面上に、ITO(透明電極)の材料を所定のパターンで塗布し、乾燥した。次いで、銀粉末と有機ビヒクルとの混合物である銀ペーストをライン状に複数本塗布した後、上記前面ガラス基板を加熱することにより、上記銀ペーストを焼成して表示電極を形成した。
表示電極を作製したフロントパネルに、ガラスペーストをブレードコーター法を用いて塗布し、90℃で30分間保持してガラスペーストを乾燥させ、585℃の温度で10分間焼成することによって、厚さ約30μmの誘電体層を形成した。
上記誘電体層上に酸化マグネシウム(MgO)を電子ビーム蒸着法によって蒸着した後、500℃で焼成することによって保護層を形成した。
次に、No.1と18の粉末をエタノールに分散させ、スプレー法にて、MgO層上に薄く散布し、90℃で乾燥させた。この際、濃度調整によって、被覆される割合を10%程度とした。比較のため、散布を行わないもの、およびMgO粉末を散布したものも作製した。
一方、以下の方法で背面板を作製した。まず、ソーダライムガラスからなる背面ガラス基板上にスクリーン印刷によって銀を主体とするアドレス電極をストライプ状に形成し、引き続き、前面板と同様の方法で、厚さ約8μmの誘電体層を形成した。
次に、誘電体層上に、隣り合うアドレス電極の間に、ガラスペーストを用いて隔壁を形成した。隔壁は、スクリーン印刷および焼成を繰り返すことによって形成した。
引き続き、隔壁の壁面と隔壁間で露出している誘電体層の表面に、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体ペーストを塗布し、乾燥および焼成して蛍光体層を作製した。
作製した前面板、背面板を封着ガラスを用いて500℃で貼り合わせた。そして、放電空間の内部を排気した後、放電ガスとしてXeを封入し、PDPを作製した。
作製したパネルを駆動回路に接続して発光させたところ、駆動電圧は、MgO薄膜のみの場合と比較して、MgO粉末を散布した場合に9%低下したのに対して、No.1の粉末を散布した場合、電圧低下が認められなかった。一方、No.18の粉末を散布した場合16%低下し、改善効果を確認する事が出来た。
本発明は、放電特性が改善されたプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法を提供できる。
本発明によるPDPの一例について説明するための分解斜視図である。 図1に示したPDPの縦断面図である。 本発明によるPDPの他の一例について説明するための分解斜視図である。 図3に示したPDPの縦断面図である。
符号の説明
1 前面板
2 前面ガラス基板
3 透明導電膜
4 バス電極
5 表示電極
6 誘電体層
7 保護層
8 背面板
9 背面ガラス基板
10 アドレス電極
11 誘電体層
12 隔壁
13 蛍光体層
14 放電空間
20 金属酸化物

Claims (1)

  1. 第1のパネルと第2のパネルとを含み、前記第1のパネルと前記第2のパネルとの間に放電空間が形成されているプラズマディスプレイパネルであって、
    前記第1のパネルは、基板と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極を覆う第1の誘電体層とを含み、
    前記第2のパネルは、基板と、前記基板上に形成された第2の電極と、前記第2の電極を覆う第2の誘電体層と、蛍光体層とを含み、
    前記放電空間に面するように金属酸化物が配置されており、
    前記金属酸化物は、岩塩型の結晶構造を有し、Caの酸化物と、Mn、Co、NiおよびZnからなる群より選ばれるいずれか1種の元素の酸化物との固溶体であり、
    前記金属酸化物において、Caと前記いずれか1種の元素との合計に占める前記いずれか1種の元素の割合が、2mol%以上5mol%以下である、プラズマディスプレイパネル。
JP2007162246A 2007-06-20 2007-06-20 プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP4860555B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007162246A JP4860555B2 (ja) 2007-06-20 2007-06-20 プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007162246A JP4860555B2 (ja) 2007-06-20 2007-06-20 プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009004150A JP2009004150A (ja) 2009-01-08
JP4860555B2 true JP4860555B2 (ja) 2012-01-25

Family

ID=40320323

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007162246A Expired - Fee Related JP4860555B2 (ja) 2007-06-20 2007-06-20 プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4860555B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5363381B2 (ja) 2010-03-09 2013-12-11 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネル
JP2012185915A (ja) * 2011-03-03 2012-09-27 Panasonic Corp プラズマディスプレイパネル
JP2012185916A (ja) * 2011-03-03 2012-09-27 Panasonic Corp プラズマディスプレイパネル

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3282882B2 (ja) * 1993-05-07 2002-05-20 ナミックス株式会社 誘電体保護剤
JPWO2005098890A1 (ja) * 2004-04-08 2008-03-06 松下電器産業株式会社 ガス放電表示パネル
JP2006059631A (ja) * 2004-08-19 2006-03-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd プラズマディスプレイパネル
JP4476173B2 (ja) * 2005-06-02 2010-06-09 パナソニック株式会社 ガス放電表示パネル
JP4894234B2 (ja) * 2005-11-15 2012-03-14 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009004150A (ja) 2009-01-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2009081589A1 (ja) プラズマディスプレイパネル
WO2003097769A1 (fr) Ecran plasma, phosphore et procede de production de phosphore
JP2003082344A (ja) プラズマディスプレイ装置
JP4860555B2 (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
WO2003097768A1 (fr) Ecran plasma, phosphore et procede de production de phosphore
JP4607255B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP3818285B2 (ja) プラズマディスプレイ装置
US7531961B2 (en) Plasma display with phosphors containing a β-alumina crystal structure
JP2012009368A (ja) プラズマディスプレイパネル
JPWO2011118152A1 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
KR101150637B1 (ko) 플라즈마 디스플레이 패널
WO2010143345A1 (ja) プラズマディスプレイパネル
WO2011064959A1 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2010033807A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2010033813A (ja) プラズマディスプレイパネル
WO2011021327A1 (ja) プラズマディスプレイパネル
WO2010089953A1 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP4672231B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2010267402A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP4556908B2 (ja) プラズマディスプレイ装置
KR101192913B1 (ko) 플라즈마 디스플레이 패널
US20110198985A1 (en) Crystalline compound, manufacturing method therefor and plasma display panel
JP2011238383A (ja) プラズマディスプレイパネル用の保護層形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111101

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111102

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141111

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees