JP2767875B2 - 接着剤の製造法 - Google Patents

接着剤の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規な接着剤用固形状グラフト化クロロプ
レン重合体を有機溶剤に溶解して製造される接着剤に関
するもので、特に軟質塩ビレザーへ使用したときに、殊
に有用な接着剤及びプライマーに関するものである。
[従来の技術] クロロプレン重合体は、結晶性が高く凝集力が大きい
ため接着剤原料として好適である。中でも近年クロロプ
レン重合体(以下、CRと記す)をトルエン、メチルエチ
ルケトン等の有機溶剤に溶解し、メタクリル酸メチル等
の単量体を添加し、ベンゾイルパーオキサイド等の重合
開始剤を用い重合を行った、いわゆる、溶液状グラフト
化クロロプレン系接着剤は、軟質塩ビレザーを含むあら
ゆる靴素材の接着に有用であることが知られており、そ
の優れた接着性能ゆえに、合成靴関係分野に産業上広く
利用されている。
現在市場で用いられている溶液状グラフト化クロロプ
レン系接着剤は、溶液重合で製造されたグラフト化クロ
ロプレン重合体溶液に、被着体の種類に応じてテルペン
フェノール樹脂等の粘着剤を加えて調製する。その溶液
は使用先で、靴用等の接着剤として用いられている。
近年、靴用の被着体の種類は特に多伎に渡ってきてお
り、使用先の目的に適合しうるように、接着剤溶液の固
形分、溶剤の種類、溶剤組成などを任意に変更でき、更
に、粘着剤、安定剤なども加えられた接着剤、すなわ
ち、一度溶解するだけで製造できる接着剤の開発が望ま
れている。
しかしながら、グラフト化クロロプレンの重合におい
て重合溶液の固形分、溶剤の種類、溶剤組成などを変更
すると、反応時の粘度上昇挙動やメタクリル酸メチルの
転化率が変わるなど、これらのコントロールが容易でな
く、更に、粘着剤などを加えるときは溶解工程が必要と
なり、使用先の要望に対して迅速に対応することが経済
性等の観点から実現できなかった。
これらの要望に対してある程度期待しうるものとし
て、米国デュポン社よりクロロプレン単量体とメタクリ
ル酸メチル等を乳化状態で共重合及びグラフト化反応
し、その乳濁液から固形のグラフト化クロロプレン共重
合体を製造する方法(特公昭49−43277)が知られてい
る。しかし、我々が追試したところ、この方法で得られ
た固形物を有機溶剤に溶解したものは、接着強度が弱く
残念ながら実用化できるまでの性能を有していなかっ
た。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは、これらの問題点を一挙に解決し得るべ
く鋭意研究の結果、本発明を完成したものである。即
ち、本発明は、新規な接着剤用固形状グラフト化クロロ
プレン重合体を単に有機溶剤に溶解するだけで、使用先
の要望に応じた特定の組成の接着剤、特に軟質塩ビレザ
ーへの接着性能に優れた接着剤の製造法を提供するもの
である。
[課題を解決するための手段] 即ち、本発明は、(1)クロロプレン重合体に、一般
式CH2=CR−CO−OR′(式中Rは1〜4個の炭素原子を
もつアルキル基又は水素原子であり、R′は1〜12個の
炭素原子をもつアルキル基である)で表される単量体の
少なくとも一種を有機溶剤中でグラフト重合させてな
り、その単量体単位含有比率(一般式で表される単量体
成分の3量体以上の連鎖体の単量体単位(個)/クロロ
プレン重合体の1・4結合単位(個))が0.05から0.7
であるグラフト化クロロプレン重合体であって、該単量
体単位の30%以上がクロロプレン重合体とグラフト結合
し、かつグラフト結合していない該単量体で構成される
重合物が20万以下の重量平均分子量を有すると共に、当
該重合体をトルエンに溶解したときの流動性指数が2以
下である、接着剤用固形状グラフト化クロロプレン重合
体を有機溶剤に溶解することを特徴とする接着剤の製造
方法を提供するものである。
以下その詳細について説明する。
本発明でいう接着剤用固形状グラフト化クロロプレン
重合体において、該単量体単位含有比率は、0.05から0.
7単位、好ましくは0.1から0.55単位である。該単量体単
位含有比率が0.05より少ないと軟質塩ビレザー等への接
着性が不十分であり、0.7を越えると接着膜が硬く接着
不良となる。
また、該単量体単位のうち30%以上、好ましくは35%
以上がCRとグラフト結合していること、これが30%より
低いと軟質塩ビレザー等への接着性が不十分である。
さらに、CRにグラフト結合していない一般式(I)で
構成される重合物の重量平均分子量が20万以下(好まし
くは5千以上15万以下)であること、20万を越えるもの
は軟質塩ビレザー等への接着性が不十分である。
また、該重合体は、トルエンに溶解したときの流動性
指数が2以下(好ましくは0.1以上1.8以下)であるこ
と、流動性指数が2より大きい該重合体は、溶解に時間
がかかるばかりでなく、溶液の流動性が悪いため、均一
に塗布することが困難となり接着不良を生じ易くなる。
まず、本発明でいう接着剤用固形状グラフト化クロロ
プレン重合体の製造法について説明する。
CRと前記一般式(I)の単量体とを有機溶剤中に溶か
し、重合開始剤を添加して重合させ、重合中の固形分を
測定すること等により推定される目標の転化率に到達し
たとき、冷却して重合を停止した重合反応溶液若しく
は、該重合反応溶液に安定剤を加えたものをドラムドラ
イヤー等の乾燥機により乾燥する方法で得ることができ
る。
本発明で用いられる一般式(I)の単量体の使用量
は、CR100重量部に対し,20重量部以上好ましくは20〜15
0重量部の範囲で用いられる。20重量部より少ないと軟
質塩ビレザー等との接着強度が不十分であり、150重量
部より多くても構わないが固形化の際の未反応の単量体
の除去が煩わしく経済的に不利となる。
重合に用いられる有機溶剤としては芳香族炭化水素、
ケトン類、エステル類、塩素化炭化水素などを挙げるこ
とができ、これらの単独もしくは混合で使用できる。こ
れらの内、接着性能、製造時の火災爆発の危険性を考慮
すると、塩素化炭化水素がより好ましい。
重合開始剤としては種々のラジカル開始剤、例えば、
アゾビスイソブチロニトリル、ラウロイルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド等が使用できるが、この
内ベンゾイルパーオキサイドが好ましい。重合開始剤の
添加量は、一般式(I)の単量体100重量部に対し、0.1
重量部以上を使用する。0.1重量部より少ないと、CRに
結合していない該単量体の重合物の重量平均分子量が20
万を越えてしまい、本発明の目的を達成することができ
ない。
重合温度は、通常60〜120℃の範囲で行われる。60℃
より低いとグラフト重合に時間がかかり、120℃を越え
ると強い加熱が必要となるため経済的に不利である。
また、重合方法において重要なことは、一般式(I)
の単量体の使用量の範囲において次のように定義される
該単量体転化率(%)以下で重合することである。
単量体転化率(%)=−0.31X+100 (ここで、XはCR100重量部に対する単量体の使用重量
部である) 上記転化率を越えると、該単量体からなる連鎖体のCR
に結合する割合が、30%より低くなるばかりでなく、得
られる該重量体のトルエン溶液の流動性指数が2を越え
る。
重合反応溶液を乾燥して該重合体を取出すには、前述
のドラムドライヤーの他に、押出し乾燥機を用いること
もできる。
次に、本発明の接着剤の製造方法について説明する。
前述のようにして得られた該重合体を有機溶剤に溶解
するだけで、本発明の接着剤を製造することができる
が、更に、通常用いられる粘着剤、安定剤及びCR等を適
宜加えることによって、より使用目的に応じた接着剤を
製造することができる。
接着剤を製造するために用いられる有機溶剤は、該重
合体を溶解できるものなら何でも使用でき、炭化水素、
塩素化炭化水素、ケトン類、エステル類などがある。こ
れらを使用目的に応じて単独もしくは混合で使用する。
炭化水素の中でも芳香族炭化水素及び水素化炭化水素
等は、単独で使用しても該重合体を溶解できるが、その
他の有機溶剤は単独で使用すると該重合体を溶解できな
いものが多い、しかし、それらの有機溶剤を混合して、
混合溶剤の溶解度指数を該重合体の溶解度指数に近ずけ
た混合割合いにする等、により該重合体を溶解すること
ができ、使用目的に応じた溶剤組成の接着剤が製造可能
である。
これら有機溶剤の具体例を挙げれば、例えば炭化水素
としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキ
サン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、石油ベンジン、ガ
ソリン、石油スピリット等である。塩素化炭化水素とし
ては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,
1−トリクロロエタン、ジクロロエタン等である。ケト
ン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メ
チルイソブチルケトン等である。エステル類としては、
ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸
イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル等で
ある。
粘着剤としては、テルペン変性フェノール樹脂、ロジ
ン、水添ロジンエステル、クマロンインデン樹脂、熱反
応性フェノール樹脂等である。
安定剤としては、フェノール系安定剤、キノン系安定
剤、リン系安定剤、紫外線吸収剤、エポキシ誘導体の一
種以上が使用できる。
接着剤の製造法において、該重合体は任意の固形分で
使用できるが、通常1から25%になるように溶解して製
造する。接着剤としては、10から25%固形分のものが好
ましい。また、該重合体の固形分が10%より低いもの
は、プライマーとして使用することができる。
本発明による該重合体を有機溶剤に溶かした溶液は、
それだけで優れた接着性能を有する接着剤であり、各種
被着体例えば、プラスティック、ゴム、皮、木、布、
紙、スポンジ、金属、ガラス等において、更にこれらの
異種材料間の接着剤として有用である。特に従来のCR系
接着剤でも接着できなかった軟質塩ビ素材に適する接着
剤として優れた性能を発揮する。また、低固形分、低粘
度の溶液は軟質塩ビ素材のプライマーとして優れた性能
を発揮する。
その上、単に有機溶剤に溶かすだけでよいため、接着
剤溶液の固形分、溶剤の種類、溶剤組成等を任意に選定
でき、使用目的に応じた特定の組成を使用したい場合の
対応が極めて容易となる。
以上のように、産業上の利用価値及び効果は顕著であ
る。
尚、本発明でいう、(a)接着剤用固形状グラフト化
クロロプレン重合体の単量体単位含有比率、(b)一般
式(I)からなる連鎖体のうちのCRにグラフト結合して
いる割合(以下、単量体のグラフト効率と記す)、
(c)CRに結合していない一般式(I)からなる重合体
の重量平均分子量、(d)接着剤用固形状グラフト化ク
ロロプレン重合体をトルエンに溶解したときの流動性指
数は、次のようにして求めたものである。
(a)単量体単位含有比率 接着剤用固形状グラフト化クロロプレン重合体をベン
ゼンとメタノールを用いて再沈精製を数回行ったものを
凍結乾燥し、その150mgをクロロホルム−dl1.5mlに溶解
して23℃で、日本電子(株)製核磁気共鳴装置「FX−10
0」を使用してクロロプレンの1・4結合単位と一般式
(I)の3量体以上の連鎖体の単量体単位とを測定し、
次式によって算出する。
〔ここで、Aは一般式(I)の3量体以上の連鎖体の単
量体単位(個)で、Bはクロロプレンの1・4結合単位
(個)である〕 (b)単量体のグラフト効率 接着剤用固形状グラフト化クロロプレン重合体をトル
エンに再溶解し、その溶液を流延板上で室温下乾燥させ
て0.15〜0.25mmのフィルムを作り、それをハサミで細断
したフィルム約2グラムをアセトン約200gを入れたサン
プル瓶に入れ、室温下ボールミル上で回転させながら72
時間抽出分離し、抽出残渣を低温下減圧乾燥したものを
前述の(a)項と同様にしてクロロプレンの1・4結合
単位と一般式(I)の3量体以上の連鎖体の単量体単位
とを測定し、次式によって算出する。
(ここで、Cは抽出残渣の単量体単位含有比率であり、
Dは抽出前の接着剤用固形状グラフト化クロロプレン重
合体の単量体単位含有比率である) なお、一般式(I)からなる重合体はアセトンに可溶
だが、CRとのグラフト重合体は不溶となる。また、CRも
不溶である。
(c)CRに結合していない一般式(I)からなる重合体
の重量平均分子量 前述のアセトン抽出により得られる抽出液を濃縮し、
メタノール中にて析出、乾燥後、それの0.2%テトラヒ
ドロフラン溶液を0.45μのフィルターで濾過した後、東
ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラム「HL
C−803D」を使用して測定した。
(d)流動性指数 次式を用いて算出する。
〔ここで、溶液の盛上り高さは接着剤用固形状グラフト
化クロロプレン重合体の15%トルエン溶液に23℃で4.5
φ×8φ×200mmのガラス管を20mm沈め1100rpmで1分間
回転させた時の管内の液面上昇した高さ(mm)であり、
溶液粘度は接着剤用固形状グラフト化クロロプレン重合
体の15%トルエン溶液を23℃で単一円筒型粘度計(東芝
システム製ビスメトロン)によって測定した粘度を表
す〕 [実施例] 以下実施例により本発明を説明するが、本発明は、こ
れらに限定されるものではない。
なお、本文中,特定しないかぎり部は全て重量部であ
る。
また、以下の実施例においての、単量体単位含有比
率、単量体のグラフト効率、CRに結合していない一般式
(I)からなる重合体の重量平均分子量、及び流動性指
数の測定は、前述と同様の方法で実施または測定した。
また、接着強度は、次の方法で測定した。
(接着強度) 被着体として幅25mmの50%フタル酸ジオクチルを含む
ポリ塩化ビニールシート(PVC)とスチレンブタジエン
ゴム加硫シート(ゴム)を使用し、接着剤溶液100部に
対し、硬化剤として3官能性イソシアナート化合物(デ
スモジュールRFメチレンクロライド溶液)を3部添加し
十分に混合した溶液を各々被着体にハケで塗布し、オー
プンタイムを15〜30分とった後、互いに張合わせてハン
ドローラーでプレスし、次いで室温で2時間及び7日放
置したものをヘッド速度100ミリ/分でインストロン引
張り試験機により180度剥離接着力を測定した。
〔接着剤用固形状グラフト化クロロプレン重合体の製造例A〕
撹拌機付きオートクレーブに市販のCR〔東ソー(株)
性スカイプレンG−40S〕100部を仕込み、続いて四塩化
炭素を900部とメタクリル酸メチル70部を加えて撹拌、
昇温を行いCRを溶解し、80℃になったところでベンゾイ
ルパーオキサイド1部を添加し重合を開始させ、メタク
リル酸メチルの転化率が32%になるように重合時間を調
整し、32%に達したところで冷却し、得られた重合溶液
をスチームで加熱したドラムドライヤー上に注いで、溶
剤、未反応メタクリル酸メチルを除去し、ドクターナイ
フで掻きとって接着剤用固形状グラフト化クロロプレン
重合体を得た。該重合体のメタクリル酸メチル単位含有
比率は0.20、メタクリル酸メチルのグラフト効率は66
%、CRに結合していないメタクリル酸メチル重合体の重
量平均分子量は39000、流動性指数は0.67であった。
〔接着剤用固形状グラフト化クロロプレン重合体の製造例B〕
製造例Aにおいて、メタクリル酸メチルを100部用
い、転化率40%になるように重合時間を調整し、重合を
停止した以外は製造例Aと全く同様に行った結果、該重
合体のメタクリル酸メチル単位含有比率は0.35、メタク
リル酸メチルのグラフト効率は60%、CRに結合していな
いメタクリル酸メチル重合体の重量平均分子量は4400
0、流動性指数は0.72であった。
〔接着剤用固形状グラフト化クロロプレン重合体の製造例C〕
製造例Aにおいて、メタクリル酸メチルを100部用
い、転化率51%になるように重合時間を調整し、重合を
停止した以外は製造例Aと全く同様に行った結果、該重
合体のメタクリル酸メチル単位含有比率は0.45、メタク
リル酸メチルのグラフト効率は57%、CRに結合していな
いメタクリル酸メチル重合体の重量平均分子量は4000
0、流動性指数は0.80であった。
(実施例1) 製造例Aで得られた接着剤用固形状グラフト化クロロ
プレン重合体100gをトルエン500gを入れた900mlの市販
ガラスビンに入れ、室温下ボールミル上で回転させなが
ら一晩溶解させた溶液を接着剤として用いて試験した、
結果を表−1に示す。
(実施例2) 実施例1で使用した該重合体100gをトルエン400gとメ
チルエチルケトン100gを入れた900mlの市販ガラスビン
に入れ、高速撹拌機を使用して2時間撹拌溶解させた溶
液を接着剤として用いて試験した、結果を表−1に示
す。
(実施例3) 製造例Bで得られた固形状グラフト化クロロプレン重
合体100gをトルエン250gとメチルエチルケトン80gとシ
クロヘキサン120gを入れた900mlの市販ガラスビンに入
れ、室温下ボールミル上で回転させながら一晩溶解させ
た溶液を接着剤として用いて試験した、結果を表−1に
示す。
(実施例4) 製造例Bで得られた接着剤用固形状グラフト化クロロ
プレン重合体100gをトルエン300g、メチルエチルケトン
70g、シクロヘキサン60g、酢酸エチル60g、テルペン変
性フェノール(住友デュレズ製PR12603)10gを入れた90
0mlの市販ガラスビンに入れ、高速撹拌機を使用して2
時間撹拌溶解させた溶液を接着剤として用いて試験し
た、結果を表−1に示す。
(実施例5) 被着体の内、PVCは、実施例3で使用した該重合体10g
をトルエン132gとメチルエチルケトン108gを入れた450m
lの市販ガラスビンに入れ、室温下ボールミル上で回転
させながら一晩溶解させた溶液をプライマーとして用い
てそれを浸した綿布で、表面を軽く拭き、室温で1時間
乾燥させたものを用意する。そして、予め調製しておい
た、市販のCR〔東ソー(株)製スカイプレンG−40S〕1
00gをトルエン500gに溶解した溶液を主接着剤としてそ
れの100部に対し、硬化剤としてデスモジュールRFメチ
レンクロライド溶液を3部添加し十分に混合した溶液を
各々被着体にハケで塗布し、オープンタイムを15〜30分
とった後、互いに張合わせてハンドローラーでプレス
し、次いで室温で2時間及び7日放置したものをヘッド
速度100ミリ/分でインストロン引張り試験機により180
度剥離接着力を測定し、プライマーとしての性能を試験
した、結果を表−2に示す。
(比較例1) 実施例5において、被着体のPVCをシクロヘキサンを
浸した綿布で、表面を軽く拭き、室温で1時間乾燥させ
たものを用意する以外は、実施例5と全く同様に行い、
試験した結果を表−2に示す。
表−2から明らかなように、本発明の接着剤用固形状
グラフト化クロロプレン重合体を溶解した溶液でPVCの
表面を処理した(実施例5)は、溶剤だけでPVCの表面
を処理した(比較例1)に比べ接着強度が著しく改良さ
れているのが分る。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明要件を満たした接着剤用
固形状グラフト化クロロプレン重合体を溶解した溶液
は、接着剤及びプライマーとしての性能を満足する。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロロプレン重合体に、一般式CH2=CR−C
    O−OR′(式中Rは1〜4個の炭素原子をもつアルキル
    基又は水素原子であり、R′は1〜12個の炭素原子をも
    つアルキル基である)で表される単量体の少なくとも1
    種を有機溶剤中でグラフト重合させてなり、その単量体
    単位含有比率(一般式で表される単量体成分の3量体以
    上の連鎖体の単量体単位(個)/クロロプレン重合体の
    1・4結合単位(個))が0.05から0.7であるグラフト
    化クロロプレン重合体であって、該単量体単位の30%以
    上がクロロプレン重合体とグラフト結合し、かつグラフ
    ト結合していない該単量体で構成される重合物が20万以
    下の重量平均分子量を有すると共に、当該重合体をトル
    エンに溶解したときの流動性指数が2以下である、接着
    剤用固形状グラフト化クロロプレン重合体を有機溶剤に
    溶解することを特徴とする接着剤の製造方法。
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