JP2767568B2 - セラミックヒータ - Google Patents

セラミックヒータ

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JP2767568B2 JP18360395A JP18360395A JP2767568B2 JP 2767568 B2 JP2767568 B2 JP 2767568B2 JP 18360395 A JP18360395 A JP 18360395A JP 18360395 A JP18360395 A JP 18360395A JP 2767568 B2 JP2767568 B2 JP 2767568B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃焼機器の点火用、も
しくは加熱機器の加熱用に使用する高温用のセラミック
ヒータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、セラミックを基体とするヒータ
には、タングステン(W)やモリブデン(Mo)を主体とする
発熱抵抗体をアルミナ(Al2O3)焼結体中に埋設したもの
が主流である。しかしながら、前記アルミナは熱膨張係
数が大きく、また耐熱衝撃性や高温時の強度が劣ってい
るため、高温用のヒータには適さない。
【0003】この耐熱衝撃性や高温時の強度の問題点を
解決するために、これら特性に優れた窒化珪素質セラミ
ックヒータが注目されている。この窒化珪素質セラミッ
クヒータにあっても前記アルミナ同様、タングステンや
モリブデンをセラミック基体中に埋設したものが提供さ
れている。しかしながら窒化珪素とタングステンもしく
はモリブデンは高温で反応し、脆弱なシリケート化合物
(WSi2、MoSi2など)を形成し発熱抵抗体の断線が生じる等
の問題が生じている。
【0004】上記問題を解決するために、例えば特公昭
62-59858号、特開昭62-180980号に開示の如く、高温に
おいて安定で且つ優れた特性を有する窒化チタン(TiN)
を発熱抵抗体とする窒化珪素質セラミックヒータが提案
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の窒化チタンは高
融点(2949℃)であり、化学安定性が高く、また高導電性
を示すなど優れた特性を有する。しかしながら上述の窒
化チタンは高価であるばかりか、難焼結性であるため
に、一般にはホットプレスなどの加圧焼成が必要であ
り、これに伴って設備費用が高くつき、生産コストの上
昇を招いている。
【0006】また、発熱抵抗体は、窒化珪素の中に埋設
されるため、脱バインダーし難く残留カーボンが発生
し、緻密化の阻害や炭化珪素(SiC)の形成の恐れがあ
り、結果としてヒータが暴走して窒化珪素で形成するセ
ラミック基体に破壊が生じることがあった。
【0007】本発明は上記課題に鑑み、発熱抵抗体の焼
結性を向上させ、且つ脱バインダーを容易にし、安価で
耐久性と信頼性に優れたセラミックヒータを提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、窒化珪素質焼結体中に、窒化チタンを
主成分とする発熱抵抗体を埋設したセラミックヒータに
おいて、前記発熱抵抗体が酸化チタンと窒化珪素を主成
分とする抵抗体ペーストで形成され、この抵抗体ペース
トが窒化珪素質焼結体の焼成前の状態である窒化珪素質
成形体中に固定され、この抵抗体ペーストを含む窒化珪
素質成形体が非酸化性雰囲気中で焼成されることを特徴
とするセラミックヒータとする。
【0009】ここで、「窒化珪素質焼結体」とは窒化珪
素粉末に少量の例えばアルミナ(Al2O3)、イットリア(Y2
O3)等の焼結助剤を添加して焼成したものをいい、「窒
化珪素質成形体」とは該焼結体の焼成前の状態を指す。
また「抵抗体ペースト」とは発熱抵抗体の焼成前の状態
を示し、「発熱抵抗体」とは「抵抗体ペースト」の焼成
後の状態を示している。
【0010】
【作用】本発明のセラミックヒータは、高価で且つ難焼
結性である窒化チタンを主成分とするペーストではな
く、安価な酸化チタン(TiO2)と窒化珪素(Si3N4)を主成
分とするペーストを用い、非酸化性雰囲気中で焼成する
ことにより、緻密な窒化チタンを主成分とする発熱抵抗
体を得ることを特徴としており、上記構成の酸化チタン
と窒化珪素との反応により、緻密な窒化チタンを主成分
とする発熱抵抗体を埋設した窒化珪素質セラミックヒー
タが得られる。
【0011】
【実施例】以下本発明のセラミックヒータについて説明
する。本発明のセラミックヒータは、酸化チタンと窒化
珪素とを主成分とする抵抗体ペーストを窒化珪素成形体
中に固定した後に、非酸化性雰囲気中で焼成する。図2
において説明すれば、平板状の第1の窒化珪素質成形体1
0上に抵抗体ペースト30を固定し、この上面に平板状の
第2の窒化珪素質成形体20を圧着して一体化している。
この場合抵抗体ペースト30の固定方法は、第1の窒化珪
素質成形体10上にスクリーンもしくは転写等の印刷法に
よって行うことができる。
【0012】図1は本発明のセラミックヒータの発熱抵
抗体となる抵抗体ペースト(酸化チタンと窒化珪素)の
みを1400℃、1時間窒素中で焼成した際の発熱抵抗体の
X線回折図を示す。このX線回折図が示すように、(a)T
iO2を2.5モル:Si3N4を1モル,(b)TiO2を2モル:Si3N4を1
モルいずれの場合も酸化チタンは上記条件において、完
全に窒化チタンに変化していると考えられる。例えば、
2モルの酸化チタンと1モルの窒化珪素の場合には、次の
化学式1に示す反応が起こっていると考えられる。
【化1】2TiO2+Si3N4→2TiN+2SiO2+1/3Si3N4+1/3N2
【0013】上記化学式1の「SiO2」は、焼成温度が上
昇すると、残留カーボンと反応したり、窒化珪素質焼結
体の方へ取り込まれると推察される。
【0014】(実施例1)第1の実施例を以下に述べ
る。平均粒径約0.4μmの酸化チタン2モルと約0.5μmの
窒化珪素1モルを調合し、エタノール中24時間混合し、
乾燥後3本ロールミルを用いて酸化チタンと窒化珪素を
主成分とする抵抗体ペーストを作成した。
【0015】上記抵抗体ペーストを、平板状に成形した
第1の窒化珪素質成形体上に、抵抗体パターン状にスク
リーン印刷した後、この上面に第2の窒化珪素質成形体
を圧着し、窒素中500℃で脱バインダー後、1800℃窒素
雰囲気中で常圧焼成した。焼成後、窒化珪素質焼結体の
一部を研削して発熱抵抗体の電極を露出させ、この電極
にリード線をロウ付けした。
【0016】このようにして得られたセラミックヒータ
に、発熱体先端の温度が電圧印加5秒後に1100℃になる
電圧を5秒間印加し、その後15秒間強制空冷する耐久試
験(20秒間を1サイクル)を10万サイクル行ったが、抵
抗変化は認められなかった。
【0017】(実施例2)次に第2の実施例について述
べる。上記第1の実施例の抵抗体ペーストを窒化珪素質
成形体上に印刷後、この上面に別の窒化珪素質成形体を
圧着し、大気中500℃で脱バインダーを行った。第1の実
施例と同様に、本実施例でも焼成において、化学式1に
示す反応が起こり、抵抗体ペーストが窒化チタンに変化
する。
【0018】この後前記第1の実施例と同様1800℃、窒
素雰囲気中で常圧焼成後リード線をロウ付けし、耐久試
験(1100℃)を行った結果、本実施例のセラミックヒー
タは10万サイクル後も抵抗変化は生じなかった。
【0019】なおここでは常圧焼成のみを示したが、ホ
ットプレス法等の加圧焼成でも優れたヒータ特性を示
す。
【0020】
【発明の効果】本発明は上述の如く酸化チタンと窒化珪
素を主成分とする抵抗体ペーストを印刷し、非酸化性雰
囲気中で焼成することにより、緻密な窒化チタンを主成
分とする発熱抵抗体を埋設し、且つ優れたヒータ特性を
有する窒化珪素質セラミックヒータが得られる。
【0021】また、通常、窒素中での脱バインダーの場
合には残留カーボンが発生するが、本発明のセラミック
ヒータでは、この残留カーボンの発生がなく、且つペー
スト組成にも何ら変化がなかった。
【0022】さらに、高価な窒化チタンではなく、安価
な酸化チタンを使用するので、設備費用の安い常圧焼成
法が使用でき、且つ大気中で脱バインダーができるた
め、量産性に優れ、生産コストの低下も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化チタンと窒化珪素の抵抗体ペース
トのみを1400℃で1時間窒素中で焼成した発熱抵抗体の
X線回折図を示す
【図2】本発明のセラミックヒータの分解斜視図を示す
【符号の説明】
10 第1の窒化珪素質成形体 20 第2の窒化珪素質成形体 30 抵抗体ペースト

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素質焼結体中に、窒化チタンを主
    成分とする発熱抵抗体を埋設したセラミックヒータにお
    いて、前記発熱抵抗体が酸化チタンと窒化珪素を主成分
    とする抵抗体ペーストで形成され、この抵抗体ペースト
    が窒化珪素質焼結体の焼結前の状態である窒化珪素質成
    形体中に固定され、この抵抗体ペーストを含む窒化珪素
    質成形体が非酸化性雰囲気中で焼成されることを特徴と
    するセラミックヒータ。
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