JP2766063B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法および該駆動方法を用いた発光装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法および該駆動方法を用いた発光装置

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JP2766063B2 JP2258695A JP25869590A JP2766063B2 JP 2766063 B2 JP2766063 B2 JP 2766063B2 JP 2258695 A JP2258695 A JP 2258695A JP 25869590 A JP25869590 A JP 25869590A JP 2766063 B2 JP2766063 B2 JP 2766063B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動
方法および該駆動方法を用いた発光装置に関し、特に、
素子の発熱による輝度低下を抑え、高寿命化を図ること
のできる有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法
および該駆動方法を用いた発光装置に関する。
[従来の技術と解決すべき課題] エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)は、自己発
光のため視認性が高く、また完全固体素子であることか
ら耐衝撃性に優れるという特徴を有している。このよう
なことから、現在、無機,有機化合物を用いたいろいろ
な素子が提案され、かつ実用化が試みられている。
これらの素子のうち特に有機EL素子は、印加電圧を大
幅に低下させることができることから、各種の有機材料
を素子として利用する研究、開発が進められている。
しかしながら、上述した有機EL素子は、動作(発光)
が安定せず、劣化が激しいため実用性に欠けるという問
題がある。すなわち、有機EL素子の劣化の要因は、動作
時の発熱によるところが大きく、無機EL素子に比べ低発
熱量にて劣化が進行し易い。したがって、連続駆動時に
おける素子の発熱による劣化の問題を解消し、輝度の低
下を抑制することは、有機EL素子の高寿命化を図る上で
重要なことといえる。
一方、従来におけるEL素子の駆動方法としては、直流
駆動方式と交流駆動方式とが知られている。
直流駆動方式は、主として電荷注入型発光素子におけ
る駆動方式であり、その発光原理は、電圧印加によって
正孔および/または電子が電極から有機多層部へ注入さ
れ、両者が高電界による加速を受けずに移動し、発光層
において再結合することにより発光するものである。
また、交流駆動方式は、主として衝突励起型発光素子
における駆動方式であり、その発光原理は、発光層内に
あらかじめ存在する伝導電子、もしくは界面より注入し
た電子が高電界により加速され、この加速された電子が
発光中心を励起し、このとき生ずる電子と正孔が発光中
心を介して発光するものである。
その他、特開平2−15595号には、素子の発光の確認
法の一つとして電荷注入型発光素子を交流駆動する技術
が開示されている。
また、特開昭62−189497号には、交流型薄膜EL素子
(MIS構造のEL素子)の交流駆動方式として、非対称の
交流電圧を印加する技術が開示されている。この方法
は、空間電荷の蓄積を抑制することにより輝度低下を防
止する方法である。
さらに、光電相互変換第125委員会第129回研究会資料
には、有機EL素子(発光層がアルミキレートであるも
の)をパルス駆動する技術が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら上述したEL素子の駆動方法には、以下に
示すような問題がある。
まず、電荷注入型発光素子における直流駆動方式は、
連続発光するため、素子が発光により劣化し、輝度の低
下をきたし易いという問題がある。
同様に、衝突励起型発光素子における交流駆動方式
は、電極に極性がないので、原理的に連続発光するため
の方法である。
また、特開平2−15595号、特開昭62−189497号およ
び上記資料に記載の技術は、作製した素子の発光能力の
有無の確認や、初期発光効率の検討のために交流電圧を
印加するものであり、素子を交流駆動しようとするもの
ではない。したがって、電荷注入型発光素子を交流駆動
するための具体的条件(見掛け上連続発光として認識さ
れる条件や平均発光輝度の条件など)および交流駆動を
継続した場合の素子の劣化等に関しては何ら開示されて
いない。
なお、発光ダイオードの分野において、発光ダイオー
ドを変調駆動する技術が開示されている(電子ディスプ
レイデバイス第7章)が、かかる技術は注入されたキャ
リヤの寿命に周波数が関係するというものであり、本発
明を何ら示唆するものではない。
本発明は、上述した事情にかんがみてなされたもの
で、素子の発熱による輝度低下を抑え、高寿命化を図る
ことのできる有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動
方法および該駆動方法を用いた発光装置の提供を目的と
する。
上記目的を達成するために本発明者等は鋭意研究を重
ねた結果、有機EL素子の駆動方式として交流駆動方式を
採用し、かつ、駆動波形を特定のものとすることによ
り、熱劣化を抑えつつ直流駆動の場合と同等の発光を行
なわせることができることを見出し本発明を完成させる
に至った。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明の請求項1記載の有機EL素子の駆動
方法は、陽極と陰極の間に有機化合物からなる発光層を
含む有機多層部を有する有機エレクトロルミネッセンス
素子の発光駆動において、一秒当たりの時間平均輝度が
直流駆動を行なう際の標準輝度以上となるような発光駆
動波形であって、かつ、この発光駆動波形における無発
光時間が、見掛け上連続発光駆動と認識される周期以下
であり、素子内の温度緩和時間以上かつ直前の発光時間
以上であるような発光駆動波形を用いて駆動するように
してある。
また請求項2記載の発光装置は、陽極と陰極の間に有
機化合物からなる発光層を含む有機多層部を有する有機
エレクトロルミネッセンス素子と、一秒当たりの時間平
均輝度が直流駆動を行なう際の標準輝度以上となるよう
に発光駆動波形を設定し、かつ、この発光駆動波形にお
ける無発光時間が、見掛け上連続発光駆動と認識される
周期以下であり、素子内の温度緩和時間以上かつ直前の
発光時間以上であるように発光駆動波形を設定した駆動
源とを具備した構成としてある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本第一発明は、陽極と陰極の間に有機化合物からなる
発光層を含む有機多層部を有する有機EL素子を特定の駆
動波形によって駆動するものである。
ここで、有機EL素子は、基板上に作製されたものであ
ることが好ましい。この基板の材料については、特に制
限はなく、従来より有機EL素子に慣用されているもの、
例えば、ガラス,透明プラスチックあるいは、石英等を
用いることができる。また、基板の厚さは、有機EL素子
の10倍以上であることが好ましい。
電極(陽極または陰極)の形成材料としては、金,ア
ルミニウム,インジウム,マグネシウム,銅,銀等の金
属、これらの金属の合金、混合物、特開昭63−295695号
公報に開示されている合金、混合物電極、あるいは、IT
O(インジウムチンオキサイド;酸化インジウムと酸化
スズの混合酸化物),SnO2(酸化第二スズ),ZnO(酸化
亜鉛)等の透明電極材料等が用いられる。
この際、陽極には、仕事関係の大きい金属または電気
伝導性化合物を用いるのが好ましい。陰極には、仕事関
数の小さい金属または電気伝導性化合物を用いるのが好
ましい。
これらの電極は、少なくとも一方を透明もしくは半透
明とすることが、発光の透過率を高める上で好ましい。
電極の厚さは10nm〜1μm、特に、200nm以下であるこ
とが透過率を高める観点からすると好ましい。
電極は、公知の方法、例えば、蒸着法やスパッタリン
グ法によって形成される。
有機多層部は少なくとも有機化合物からなる発光層を
有し、この有機多層部の構成態様としては、発光層のか
らなる場合(この場合有機多層部は単層である)、発光
層/正孔注入層からなる場合、電子輸送層/発光層から
なる場合、電子輪送層/発光層/正孔注入層からなる場
合、その他の場合(特願平1−068387号等参照)等が挙
げられる。この有機多層部の構成順序は電極により逆に
なってもよい。
発光層は、注入機能、輸送機能および発光機能を有す
る。
ここで、注入機能とは、電界印加時に陽極または正孔
注入層より正孔を注入可能とする機能および陰極または
電子注入層より電子を注入可能とする機能をいう。
また、輸送機能とは、正孔及び電子を電界の力により
移動(輸送)させる機能をいう。
さらに、発光機能とは、正孔と電子の再結合の場を提
供し、発光させる機能をいう。
この場合、正孔注入性と電子注入性の能力に違いがあ
ってもよい。発光層の厚さは、5nm〜5μmの範囲内と
することが好ましい。
正孔注入層および電子注入層は、必ずしも設ける必要
はないが、発光性能向上のため設けることが好ましい。
正孔注入層は、より低い電界で正孔を発光層に輸送す
る材料で形成される。正孔の移動度は、104〜106v/cmの
電場のもとで少なくとも10-6cm2/v・secの値を有するこ
とが好ましい。
電子注入層は、より低い電界で電子を発光層に輸送す
る材料で形成される。
なお、上記構成からなる有機EL素子の作製方法は特に
制限されないが、蒸着法を用いれば、蒸着法だけで有機
EL素子を作製することができ、設備面および生産時間面
より有利であるため好ましい。
上記構成からなる有機EL素子は、陽極と陰極の間に電
圧を印加してエージングを行なったものであってもよ
い。
ここでいうエージングとは、電圧を印加して、リーク
電流を発生させる領域を除去するとともに、素子内に貯
った正孔や電子を除去することをいう(特願平2−1178
85号参照)。これにより有機EL素子に、安定動作を行な
わせる。本発明方法に用いられる有機EL素子は必ずしも
このエージングを行なったものである必要はないが、素
子の動作の安定化の観点からするとエージングを行なっ
たものであることが好ましい。
本発明方法においては、上記構成からなる有機EL素子
を特定の駆動波形を有する電圧(電流)によって駆動す
る。
ここで、上記構成からなる有機EL素子は、陽極が陰極
より高い電位(順電位)にあるときのみ発光を生じる。
逆の電位を生じているとき、もしくは、ゼロ電位のとき
には、発光は生じず、また、電流も流れない。したがっ
て、直流発光駆動時には、素子に定常的に熱が発生し、
これが素子の劣化の原因となって、寿命が短くなってい
る。
以下、本発明方法における駆動波形の条件について詳
細に説明する。
本発明方法においては、駆動波形として、一秒当たり
の時間平均輝度が直流駆動を行なう際の標準輝度以上と
なるような発光駆動波形を用いることが必要である(波
形条件1)。
上述のように電荷注入型有機EL素子の基本的な駆動方
法は直流であり、「直流駆動を行なう際の標準輝度」と
は、この直流駆動の場合における標準輝度をさす。
「直流駆動を行なう際の標準輝度」の値は、素子の発
光色や用途によって異なるが、一般に100cd/m2程度が要
求特性であり、素子の輝度低下を評価する場合は100cd/
m2に設定することが妥当である。
また、「一秒当たりの時間平均輝度」とは、連続発光
でなく点滅を繰り返す駆動の場合(例えば、交流駆動ゃ
パルス駆動)における輝度の時間平均値を示す。すなわ
ち、直流駆動の場合には発光が連続しているので通常
「輝度」と表現されるが、点滅を繰り返す場合には、輝
度の値は刻々変化し、発光しない時もあるため、輝度の
時間平均値をとって「時間平均輝度」と表現するもので
ある。さらに、本発明方法においては、一秒間で輝度が
変化する場合も含まれるので、このような表現を用い
る。
そして、この「時間平均輝度」は直流駆動の場合の輝
度と比較するために用いられる。なお、輝度は素子を発
光させて輝度測定装置(例えば、フォトダイオード等)
によって測定される。
上記波形条件1を満たす駆動波形は、直流駆動を行な
う際の標準輝度をL0とし、点滅を繰り返す駆動の場合に
おける輝度をLとすると、下記(1)式で表わされる。
駆動波形は上記(1)式を満たせばよく、波形は特に
制限されない。
点滅を繰り返す駆動の場合の時間平均輝度Lを、直流
駆動を行なう際の標準輝度L0以上とするためには、ピー
ク発光時の輝度を標準精度L0より大きくしなければなら
ず、そのようにするため駆動波形(特に、ピーク電圧
(電流);VH)が設定される。
時間平均輝度は、その値が小さい程発熱による輝度低
下は小さい。したがって、直流駆動との比較において
は、直流駆動と同等の輝度を発揮させれば十分であるた
め、時間平均輝度を標準輝度L0と等しく して、発熱による輝度低下を最小限とすることが好まし
い。ただし、時間平均輝度を標準輝度L0より大きくした
場合であっても、直流駆動の場合に比べれば、発熱によ
る輝度低下を少なくすることができる。
上記波形条件1は、時間の経過にともない発光駆動時
と無発光時の両者を含み、しかも無発光時すなわち電流
が0もしくは非常に小さい時には熱の発生がないため、
素子内に蓄積された熱は拡散により放熱される。したが
って、素子内の温度上昇は発光時に上昇するが、無発光
時には温度上昇が抑えられるか、もしくは温度が下降す
るので、素子内の温度上昇は直流駆動の場合に比べ穏や
かなものとなり、素子の発熱を抑制できる。
なお、上述したようにピーク発光時の輝度は直流駆動
の場合の標準輝度L0より大きくしなければならないの
で、瞬間的に電力は大きくなり、発光瞬間の熱の発生量
は直流駆動の場合に比べ瞬間的に多くなるが、一般に輝
度は電流の1〜2乗に比例し、また、電流は電圧の2乗
以上に比例、すなわち、少しの電圧と電流の増加で大き
な輝度の増加が得られ、かつ、これは瞬間的なものであ
るので、全体として見れば素子の温度上昇は小さくな
る。
また、駆動波形としては、見掛け上連続発光と認識で
きる駆動波形とする必要があり、このためには、発光時
間を見掛け上連続発光駆動と認識される周期以下とする
ことが必要である(波形条件2)。
ここで、「無発光時間」とは、素子が発光していない
時間もしくは極めて低輝度発光している時間をいい、具
体的には素子に0(ゼロ)もしくは負の電界が印加され
素子が発光していない状態にある時間もしくは肉眼にて
確認不可能な輝度で発光している時間が無発光時間に該
当する。
また、「見掛け上連続発光と認識される周期」とは、
点滅が繰り返されているにもかかわらず、発光が連続し
ているかのように認識しうるための発光と発光の間の時
間をさす。一般的には、発光と発光の間隔が30ms程度以
下であれば、肉眼には連続発光しているかのように認識
される。
さらに、駆動波形としては、無発光時間が素子内の温
度緩和時間以上となり、かつ直前の発光時間以上となる
ような駆動波形を用いることが必要である(波形条件
3)。
ここで、「温度緩和時間」とは、素子への電圧(もし
くは電流)の印加を中止したときの時刻を時刻0とし、
その後、素子の温度が最高温度の1/e(eは自然対数)
の値に達するまでに要する時間をさす。
このように、無発光時間を温度緩和時間以上とするこ
とによって、素子内への熱の蓄積が抑えられ、素子の温
度上昇を抑えることができる。
また、「直前の発光時間」とは、ある任意の無発光時
間に着目した場合に、その直前に発光している時間をい
う。例えば、第2図に示すように、無発光時間t2に対す
る直前の発光時間はt1となり、無発光時間t4に対する直
前の発光時間はt3となる。したがって、「無発光時間が
直前の発光時間以上となる」ための条件は、t1<t2、あ
るいはt3<T4となる。かかる条件は、温度上昇の抑制の
ため必要となる。
以上の波形条件1〜3を満足する駆動波形としては、
例えば、第1図(a)〜(e)に示す波形が挙げられ
る。
第1図(a)および(b)はパルス矩形波形を示し、
この場合、周波数50Hz以上で、かつデューティ(負荷時
間)50%以下とするのが好ましい。
第1図(c)および(d)は三角波形および交流波形
を示し、第1図(e)はパルス波形と交流波形との重ね
合わせ波形を示す。
なお、駆動波形は、第1図(a)〜(e)に示すよう
に同じ波形が繰り返えされる一定の周波数をもったもの
である必要はなく、時間とともに変化するものであって
もよい。
次に、第二発明に係る発光装置について図面を参照し
て説明する。
第3図は、本発明の発光装置の一例を示す正面図であ
る。
同図において、1は有機EL素子、2は金属電極(陰
極)、3は発光層、4はITO電極(陽極)、5は駆動源
である。
第二発明に係る発光装置は、少なくとも有機EL素子1
と所定の駆動源5からなるものである。
ここで、有機EL素子1に関しては上述した第一発明の
場合と同様である。
また、所定の駆動源5とは、上述した第一発明の場合
における特定の駆動波形を発生させるように設定された
駆動源をさす。具体的には、ファンクション・ジェネレ
ータ(SG=4511岩崎通信機(株)社製)や電圧発生器
(WIDO−BANDO FUNKUTION GENERATOR)MODEL FG−161
(NF CIRCUIT DESIGN BLOCK CO.LTD製)等の任意波形発
生装置によれば特定の駆動波形を発生させることができ
る。
上記構成からなる発光装置は、駆動源5から駆動波形
が発せられ、これによって有機EL素子1が発光する。
[実施例] 以下、実施例にもとづき本発明をさらに詳細に説明す
る。
実施例1 25mm×75mm×1.1mmのサイズのガラス基板上にITO電極
を蒸着法にて100nmの厚さで製膜したものを透明支持基
板とした。
この透明支持基板を市販の蒸着装置(日本真空技術
(株)製)の基板ホルダに固定し、モリブデン製の抵抗
加熱ボードにN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス−(3−
メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジ
アミン(TPDA)を200mg入れ、また違うモリブデン製の
抵抗加熱ボードにトリス(8−キノリノール)アルミニ
ウム(Alq3)を200mg入れて、真空槽を1×10-4Paまで
減圧した。
その後、TPDA入りの前記ボートを215〜220℃まで加熱
し、TPDAを蒸着速度0.1〜0.3nm/sで透明支持基板上に蒸
着して、膜厚60nmの正孔注入層を製膜させた。このとき
の基板温度は室温であった。これを真空槽より取り出す
ことなく、正孔注入層の上に、もう一つのボートにより
Alq3を発光層として60nm積層蒸着した。蒸着条件はボー
ト温度が230℃で蒸着速度が0.01〜0.02nm/s、基板温度
は室温であった。これを真空槽より取り出し、上記発光
層の上にステンレススチール製のマスクを設置し、再び
基板ホルダーに固定した。
次に、モリブテン製の抵抗加熱ポートにマグネシウム
リボン1gを入れ、また違うタングステン製バスケットに
銀ワイヤー500mgを装着した。その後、真空槽を2×10
-4Paまで減圧してから、銀を0.1nm/sの蒸着速度で、同
時に抵抗加熱法によりもう一方のモリブデン製ポートか
らマグネシウムを1.4nm/sの蒸着速度で蒸着し始めた。
上記条件で、マグネシウムと銀の混合金属電極を発光
層の上に150nmの積層蒸着し対向電極とした。
大気中にて、この素子に、ITO電極を陽極、金属電極
を陰極として、直流電界を0v/cmから8.3×105v/cmまで
4.2×104v/cm間隔で2秒づつ印加し、電圧電流特性を測
定しながら、エージングを行なった。さらに、直流電界
を0v/cmから−8.3×105v/cmまで4.2×104v/cm間隔で2
秒づつ印加し、同様に電圧電流特性を測定しながら、エ
ージングを行なった。この後、直流電界5.6×105v/cmを
10分間印加し、エージングを行なった。
以上の工程後、窒素雰囲気中にて、周波数1KHz、デュ
ーティー50%、ピーク電界6.8×105v/cm−0V/cmのパル
ス矩形波形を、電圧発生器(MODEL FG−161(NF CIRCUI
T DESIGN BLOCK CO.LTD製)を用いて印加し、素子を発
光させた。なお、初期発光時における一秒当たりの時間
平均輝度は100cd/m2であった。また、無発光時間は、温
度緩和時間以上に設定した。
上記条件で素子を連続発光させて2時間、4時間およ
び50時間後の輝度低下をフォトダイオードにて測定し
た。その結果を第1表に示す。
実施例2 パルス矩形波形の周波数条件を200Hzとした以外は実
施例1と同様にして輝度低下の程度を調べた。その結果
を第1表に示す。
実施例3 パルス矩形波形の周波数条件を50Hzとした以外は実施
例1と同様にして輝度低下の程度を調べた。その結果を
第1表に示す。
実施例4 パルス矩形波形の周波数条件を200Hzとし、デューテ
ィー条件を30%、ピーク電界条件を9.2×105v/cm−0V/c
mとした以外は実施例1と同様にして輝度低下の程度を
調べた。その結果を第1表に示す。
比較例1 直流電界5.8×105v/cmで素子を駆動した以外は実施例
1と同様にして素子の輝度低下の程度を調べた。その結
果を第1表に示す。
実施例5 1−ビス(4−ジ−p−トリアルミノフェノール)シ
クロヘキサン(TPAC)を用いて正孔注入層を形成し、ピ
ーク電界条件を6.9×105v/cm−0V/cmとした以外は実施
例1と同様にして輝度低下の程度を調べた。その結果を
第1表に示す。
実施例6 パルス矩形波形の周波数条件を200Hzとした以外は実
施例5と同様にして輝度低下の程度を調べた。その結果
を第1表に示す。
実施例7 パルス矩形波形の周波数条件を200Hzとし、デューテ
ィー条件を30%、ピーク電界条件を9.1×105v/cm−0V/c
mとした以外は実施例5と同様にして輝度低下の程度を
調べた。その結果を第1表に示す。
比較例2 直流電界6.7×105v/cmで素子を駆動した以外は実施例
5と同様にして素子の輝度低下の程度を調べた。その結
果を第1表に示す。
実施例8 25mm×75mm×1.1mmのサイズのガラス基板上にITO電極
を蒸着法にて100nmの厚さで製膜したものを透明支持基
板とした。
この透明支持基板を市販の蒸着装置(日本真空技術
(株)製)の基板ホルダに固定し、モリブデン製の抵抗
加熱ボードにN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス−(3−
メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジ
アミン(TPDA)を200mg入れ、また違うモリブデン製の
抵抗加熱ボードに1,4−ビス(2,2−ジ−p−トリルビニ
ル)キシレン(DTVX)を200mg入れて、真空槽を1×10
-4Paまで減圧した。
その後、TPDA入りの前記ボートを215〜220℃まで加熱
し、TPDAを蒸着速度0.1〜0.3nm/sで透明支持基板上に蒸
着して、膜厚70nmの正孔注入層を製膜させた。このとき
の基板温度は室温であった。これを真空槽より取り出す
ことなく、正孔注入層の上に、もう一つのボートよりDT
VXを発光層として60nm積層蒸着した。蒸着条件はボート
温度が235℃で蒸着速度が0.1〜0.2nm/s、基板温度は室
温であった。これを真空槽より取り出し、上記発光層の
上にステンレススチール製のマスクを設置し、再び基板
ホルダーに固定した。
次に、モリブテン製の抵抗加熱ボートにマグネシウム
リボン1gを入れ、また違うタングステン製バスケットに
インジウム500mgを装着した。その後、真空槽を2×10
-4Paまで減圧してから、インジウムを0.03〜0.08nm/sの
蒸着速度で、同時に抵抗加熱法によりもう一方のモリブ
テン製ボートからマグネシウムを1.7〜2.3nm/sの蒸着速
度で蒸着し始めた。
上記条件で、マグネシウムとインジウムの混合金属電
極を電光層の上に150nm積層蒸着し対向電極とした。
大気中にて、この素子に、ITO電極を陽極、金属電極
を陰極として、直流電界を0v/cmから7.7×105v/cmまで
4.2×104v/cm間隔で2秒づつ印加し、電圧電流特性を測
定しながら、エージングを行なった。さらに、直流電界
を0v/cmから−7.7×105v/cmまで4.2×104v/cm間隔で2
秒づつ印加し、同様に電圧電流特性を測定しながら、エ
ージングを行なった。この後、直流電界6.5×105v/cmを
10分間印加し、エージングを行なった。
以上の工程後、窒素雰囲気中にて、周波数50Hz、デュ
ーティー50%、ピーク電界7.7×105v/cm−0V/cmのパル
ス矩形波形を印加し、素子を発光させた。なお、初期発
光時における一秒当たりの時間平均輝度は100cd/m2であ
った。
上記条件で素子を連続発光させて2時間、4時間およ
び50時間の輝度低下をフォトダイオードにて測定した。
その結果を第1表に示す。
比較例3 直流電界7.2×105v/cmで素子を駆動した以外は実施例
8と同様にして素子の輝度低下の程度を調べた。その結
果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、本発明の駆動方法(実施
例1〜8)によれば、直流電圧駆動の場合(比較例1〜
3)に比べ時間に対する輝度低下が小さくなっている。
[発明の効果] 以上説明したように本発明の有機EL素子の駆動方法お
よびこの駆動方法を用いた発光装置によれば、素子の発
熱による輝度低下を抑え、素子の高寿命化を図ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(e)は第一発明に係る有機EL素子の駆
動方法に用いられる駆動波形の態様を示す図、第2図は
同じく「直前の発光時間」を説明するための波形図、第
3図は第二発明に係る発光装置の一例を示す正面図であ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極と陰極の間に有機化合物からなる発光
    層を含む有機多層部を有する有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子の発光駆動において、一秒当たりの時間平均輝
    度が直流駆動を行なう際の標準輝度以上となるような発
    光駆動波形であって、かつ、この発光駆動波形における
    無発光時間が、見掛け上連続発光駆動と認識される周期
    以下であり、素子内の温度緩和時間以上かつ直前の発光
    時間以上であるような発光駆動波形を用いて駆動するこ
    とを特徴とした有機エレクトロルミネッセンス素子の駆
    動方法。
  2. 【請求項2】陽極と陰極の間に有機化合物からなる発光
    層を含む有機多層部を有する有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子と、 一秒当たりの時間平均輝度が直流駆動を行なう際の標準
    輝度以上となるように発光駆動波形を設定し、かつ、こ
    の発光駆動波形における無発光時間が、見掛け上連続発
    光駆動と認識される周期以下であり、素子内の温度緩和
    時間以上かつ直前の発光時間以上であるように発光駆動
    波形を設定した駆動源とを具備することを特徴とした発
    光装置。
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