JP2761735B2 - 耐熱性オーミック電極及び当該耐熱性オーミック電極の製造方法 - Google Patents

耐熱性オーミック電極及び当該耐熱性オーミック電極の製造方法

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JP2761735B2 JP63250616A JP25061688A JP2761735B2 JP 2761735 B2 JP2761735 B2 JP 2761735B2 JP 63250616 A JP63250616 A JP 63250616A JP 25061688 A JP25061688 A JP 25061688A JP 2761735 B2 JP2761735 B2 JP 2761735B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐熱性オーミック電極及び当該耐熱性オー
ミック電極の製造方法に係り、具体的には、高温保持中
における特性劣化の小さなオーミック電極とその製造方
法に関する。
〔背景技術とその問題点〕
半導体であるGaAs上に、接触抵抗が小さいオーミック
型のあるオーミック電極を形成する方法は、これまでに
も多数提案されている。
これらの電極形成方法のうちでも、n型GaAsに最も広
く用いられているものは、AuGeNi法である。この方法
は、GaAs上にGeを含んだAuを真空蒸着させ、このAuGe膜
の上にNiを蒸着させ、場合によってはNi膜の上にさらに
Auを真空蒸着させた後、AuGeの融点(356℃)以上の温
度で10秒から数分間熱処理(合金化熱処理)を施してオ
ーミックコンタクト用金属層を形成するものである。ち
なみに、AuGeNi法におけるAuGeとNiの蒸着膜では、その
厚さの合計が1000〜2500Åで、AuGe膜1000Åに対してNi
膜の厚さが約280Åのものがよいと言われている。
このようにしてAuGeNi法により形成されたオーミック
コンタクト用金属層は、膜厚、膜組成および合金化熱処
理条件を適当に選べば、電極表面が滑らかな信頼性の高
いものが得られるとされている。一方、半導体の電極に
あっては、リードフレームとの接続のためにAuワイヤー
ボンディング性が要求されることが多い。しかしなが
ら、上記のオーミックコンタクト用金属層では、電極形
成工程において合金化熱処理を施されるため、表面にAu
膜を蒸着させている場合でも電極表面に純粋なAuに保つ
ことが難しく、Auワイヤーボンディング性に劣るという
問題があった。即ち、純粋なAu表面にワイヤーボンディ
ングした場合に比べてボンディング強度が低くなること
があった。
そこで、この問題点を解消するため、オーミックコン
タクト用金属層の上にさらにAu層を最上層とする上層電
極を積層したものがある。この改良された電極では、最
上層が純粋なAu層であるため、Auワイヤーボンディング
性が改善されている。しかし、合金化熱処理されたAuGe
Ni法のみのオーミック電極(上層電極を有しないもの)
の場合には、高温保持中における接触抵抗の特性変化や
外観の変化が比較的小さいのに対し、オーミックコンタ
クト用金属層の上に上層電極に積層されたオーミック電
極の場合には、高温に保持された時に外観や接触抵抗が
劣化することが報告されている(“Low−Noise MESFET'
s for Ion−Implanted GaAs MMIC's";IEEE TRANSACTION
S ON ELECTRON DEVICES,VOL.ED−30,NO.12,DECEMBER(1
983)P.1850〜P.1854参照)。例えば、キャリア濃度10
16/cm3のGaAsを使用してAuGeNi法によるオーミックコン
タクト用金属層の上にTi,Pt及びAuの積層蒸着膜からな
る上層電極を形成した場合、幅290μm、長さ80μmの
電極の接触抵抗は、300℃に10時間保持した後には4Ω
から8Ωに倍増した(後述;第2図及び第3図参照)。
また、この接触抵抗の増加に伴い電極の表面の凹凸もか
なり大きくなった。
また、最近では、250〜350℃に10〜1000時間保持して
も特性劣化のないことが要求されることが多いため、オ
ーミックコンタクト用金属層と上層電極との間に厚さ約
500ÅのTiN膜やTiWN膜,TaN膜などの反応性スパッタリン
グによる拡散バリアーを形成する方法が提案されてい
る。これらの拡散バリアーによれ、、接触抵抗の高温保
持後の特性劣化を抑制することができる(後述;第4図
参照)。しかし、これらの拡散バリアーは、反応性スパ
ッタリングにより形成されるので、オーミックコンタク
ト用金属層や上層電極の真空蒸着工程とは別にスパッタ
リング工程も必要となって電極形成工程が複雑になり、
また真空蒸着装置に加えて高価なスパッタリング装置も
必要になり、コストが上昇するという問題があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたもの
であり、良好な金ワイヤボンディング性を保ちながら、
簡単な方法でオーミック電極の高温保持後における接触
抵抗の特性劣化を防止することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の耐熱性オーミック電極は、GaAs半導体の表面
に設けられたオーミックコンタクト用金属層の上に最外
層に露出した状態でN2中で熱処理されたチタンの蒸着膜
を形成し、このチタン蒸着膜の上に熱処理されていない
Au層を最上層とする上層電極を形成したことを特徴とし
ている。
本発明の耐熱性オーミック電極の製造方法は、前記請
求項1に記載の耐熱性オーミック電極を形成するための
方法であって、GaAs半導体の表面に設けられたオーミッ
クコンタクト用金属層の上にチタン蒸着膜を形成し、こ
のチタン蒸着膜を最外層に露出させた状態でN2中で熱処
理した後に、熱処理されていないAu層を最上層とする上
層電極を前記チタン蒸着膜の上に形成することを特徴と
している。
〔作用〕
上述のように、オーミックコンタクト用金属層と上層
電極との間に反応性スパッタリングにより厚さ約500Å
のTiN膜等(拡散バリアー)を設けることにより接触抵
抗の特性劣化を抑制できることから推測すると、高温保
持における接触抵抗の特性劣化は、上層電極とオーミッ
クコンタクト用金属層との間での元素の拡散、あるいは
オーミックコンタクト用金属層を介しての上層電極とGa
Asとの間での元素の拡散に起因すると考えられる。実
際、表面状態が変化した電極表面や接触抵抗の増加した
電極表面のAu層であるべき箇所で拡散したGaが検出され
た。
そこで、本発明にあっては、オーミックコンタクト用
金属層の上にチタン蒸着膜を形成し、このチタン蒸着膜
を最外層に露出させた状態でN2中であらかじめ熱処理す
ることによりチタン蒸着膜に吸着されている酸素を安定
化させ、酸化したチタン蒸着膜による拡散バリアの働き
でGaの上層電極への拡散を抑制し、これによってオーミ
ック電極の高温保持における接触抵抗の特性劣化を抑制
しようとしたものである。この結果、高温保持後におけ
る接触抵抗の増大を防止することができた。なお、N2
おいて熱処理するには、チタン蒸着膜の酸化が進み過ぎ
てTi蒸着膜の抵抗が大きくなるのを抑えるためである。
しかも、このチタン蒸着膜は、オーミックコンタクト
用金属層及び上層電極と同様、真空蒸着によって形成す
ることができるので、電極形成工程を簡単にすることが
でき、また設備的にもスパッタリング装置などを必要と
せず、設備コスト等も安価にできる。
また、上層電極の最上層は熱処理されていないAu層と
なっているので、Auワイヤーボンディング性も良好であ
る。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を添付図に基づいて詳述する。
耐熱性オーミック電極の一実施例としては、化合物半
導体であるn型GaAsの上にAuGeNiからなるオーミックコ
ンタクト用金属層を形成し、このオーミックコンタクト
用金属層の上に熱処理を施されたチタン蒸着膜を形成
し、このチタン蒸着膜の上にTi−Pt−Au上層電極を形成
したものがある。
この耐熱性オーミック電極は、次のような方法によっ
て製造されている。まず、GaAsの上にGeを含んだAuを50
0Åの厚さに真空蒸着させ、さらにその上にNi,Au,Tiを
各々300Å,1000Å,1000Åの厚さに順次真空蒸着させ
る。ついで、これをN2中においてAuGeの融点以上の温度
(例えば、450℃)で5分間熱処理(合金化熱処理)す
る。この合金化熱処理により上記AuGe,Ni及びAuの蒸着
膜によってオーミックコンタクト用金属層が形成され、
小さな接触抵抗が得られる。同時に、Tiにも熱処理が施
されるので、オーミックコンタクト用金属層の表面には
熱処理を施されたチタン蒸着膜の層が形成され、この熱
処理を施されたチタン蒸着層はGaの通過を妨げることに
よってGaの拡散を防止する働きをする。ここで、チタン
蒸着層は、膜厚が薄過ぎると合金化熱処理の際に層状構
造が壊れてTi下層の元素(Au,Ge,Ga等)が多量に表面に
でるので、チタン蒸着の下層の拡散防止効果が無くな
る。一方、TiはAuに比べると比抵抗が大きいので、チタ
ン蒸着膜の膜厚が厚過ぎるとTi自身の抵抗が大きくなっ
て問題となる。このため、チタン蒸着膜の厚さは200〜5
000Åが好適である。次に、チタン蒸着層の上に順次Ti,
Pt,Auをそれぞれ1000Å,500Å,5000Åの厚さに真空蒸着
させてTi,Pt,Auからなる上層電極が形成される。この上
層電極の熱処理されていない最上層はAu層によって形成
されているのでAuワイヤーボンディング性が良好となっ
ている。また、チタン蒸着膜の働きでGaの上層電極への
拡散が阻止されるので、Gaの拡散に起因するオーミック
電極の高温保持後の接触抵抗の特性劣化を防止すること
ができる。
本発明は、上記実施例に限定されるものではない。例
えば、上記実施例では、オーミックコンタクト用金属層
の合金化熱処理の前にオーミックコンタクト用金属層
(AuGe,Ni,Au)の上にTiを蒸着させ、オーミックコンタ
クト用金属層の合金化熱処理とチタン蒸着層の熱処理と
を一括して行ったが、オーミックコンタクト用金属層と
チタン蒸着層の熱処理は別々に行ってよい。即ち、GaAs
の上にオーミックコンタクト用金属層を形成してその合
金化熱処理を終了した後、このオーミックコンタクト用
金属層の上にTiの蒸着膜を形成し、150〜400℃でチタン
蒸着膜を熱処理し、この後にチタン蒸着膜の上に上層電
極を形成してもよく、この場合にも上記実施例と同様に
接触抵抗の特性劣化を防止することができた。また、半
導体はn型GaAsに限らず、p型GaAsなどでもよい。オー
ミックコンタクト用金属層も、上記の構造のものに限ら
ず、Au膜を省略したもの、AuGeに代えてAgGeを用いたも
の、Niに代えてPtやInを用いたものなどでもよい。上層
電極の最上層はAuワイヤーボンディング性を良好にする
ためAu層にする必要があるが、Ptは必ずしも必要な構成
要素ではない。さらに、上層電極のTiは他の活性金属、
例えばCr等に置き換えることもできるが、このTiやCr等
の活性金属を省略することも考えられる。
(実験結果) 本発明の実施例の電極構造 キャリア濃度5×1016/cm3のn型GaAsの上にAuGe(厚
さ500Å),Ni(300Å),Au(1000Å),Ti(1000Å)を
順次蒸着させ、N2中において450℃で5分間熱処理(合
金化熱処理)してオーミックコンタクト用金属層とチタ
ン蒸着膜とを形成した後、チタン蒸着膜の上に順次Ti
(1000Å),Pt(500Å)及びAu(5000Å)を蒸着させて
上層電極を形成した。
従来例Iの電極構造 キャリア濃度5×1016/cm3のn型GaAsの上にAuGe(厚
さ500Å),Ni(300Å),Au(1000Å)を順次蒸着させ、
N2中において450℃で5分間熱処理(合金化熱処理)し
てオーミックコンタクト用金属層を形成した後、オーミ
ックコンタクト用金属層の上に順次Ti(1000Å),Pt(5
00Å)及びAu(5000Å)を蒸着させて上層電極を形成し
た。
従来例IIの電極構造 従来例Iと同様な電極構造を作成したが、拡散防止層
としての働きを強化するため、上層電極のTi膜の厚さを
2倍の2000Åとした。
比較例の電極構造 キャリア濃度5×1016/cm3のn型GaAsの上にAuGe(厚
さ500Å),Ni(300Å),Au(1000Å)を順次蒸着させ、
N2中において450℃で5分間熱処理(合金化熱処理)し
てオーミックコンタクト用金属層を形成した後、反応性
スパッタリングによりオーミックコンタクト用金属層の
上に厚さ500ÅのTaN層を形成し、この反応性スパッタリ
ングの拡散バリアーの上に順次Ti(1000Å),Pt(500
Å)及びAu(5000Å)を蒸着させて上層電極を形成し
た。
実験方法 本発明実施例,従来例I,II及び比較例のいずれも、ポ
ジ形レジストを用いたリフトオフ法によって、GaAsの上
に幅290μm,長さ80μmの電極を形成した。即ち、GaAs
の全表面をレジストにより覆い、電極を形成する部分に
おいてフォトリソグラフィーによってレジストに上記寸
法の窓をあけ、この後真空蒸着(及び比較例では反応性
スパッタリング)を繰り返してGaAsとレジストの上に上
記各電極構造の蒸着膜を形成し、蒸着後にレジストを除
去することによって不要な蒸着膜を除去し、窓をあけて
あった箇所に各電極を形成した。
こうしてGaAsの上に各電極を形成された実施例,従来
例I,II及び比較例のそれぞれの試料は、300℃で10時間
保持された。そして、高温保持する前の各試料の接触抵
抗(初期値)と300℃に10時間保持した後の接触抵抗と
をTLM法により測定した。
測定結果 従来例Iの測定結果を第2図に示す。高温保持前の接
触抵抗がほぼ4Ωであるのに対し、高温保持後の接触抵
抗はほぼ8Ωであり、高温保持の前後で接触抵抗が約2
倍になった。
従来例IIの測定結果を第3図に示す。高温保持前後で
接触抵抗が約2倍になった。すなわち、従来例Iの場合
と同様であり、上記電極のTi膜の厚みを大きくしても効
果がなかった。
比較例の測定結果を第4図に示す。高温保持の前後で
接触抵抗がほとんど変化せず、接触抵抗の安定化のため
には拡散バリアーが効果的であることが裏付けられた。
本発明の実施例の測定結果を第1図に示す。高温保持
前後における接触抵抗は、いずれも約4Ωであり、ほと
んど接触抵抗の変化がなく、拡散バリアーと同様に本発
明はオーミック電極の特性安定化のために効果的である
ことが確認された。しかも、拡散バリアーのように高価
な反応性スパッタリング装置や複雑な工程を経ることな
くオーミック電極の特性安定化を図ることができた。
なお、300℃で10時間保持させた後、電極表面(Au最
上層)をオージェ分析した結果、従来例I,IIではGaが検
出されたが、本発明の実施例では、Au以外の元素は検出
できなかった。このことから、本発明によりGaの電極表
面への拡散を防止できることが確認できた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、オーミックコンタクト用金属層と上
層電極との間に熱処理されたチタン蒸着膜を形成すると
いう簡単な方法によりオーミック電極を高温に保持した
後における接触抵抗の特性劣化を防止することができ
た。また、オーミックコンタクト用金属層、チタン蒸着
膜及び上層電極を真空蒸着によって形成することにより
電極形成工程を簡単にすることができ、コストも安価に
することができる。さらに、Auワイヤーボンディング性
も良好である。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図はオーミック電極の高温保持(300
℃;10時間)前後における接触抵抗の変化を示すグラフ
であって、第1図は本発明の一実施例の接触抵抗変化を
示すグラフ、第2図は従来例Iの接触抵抗変化を示すグ
ラフ、第3図は従来例IIの接触抵抗変化を示すグラフ、
第4図は比較例の接触抵抗変化を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 高木 清 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (56)参考文献 特開 昭60−242619(JP,A) 特開 昭63−84125(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GaAs半導体の表面に設けられたオーミック
    コンタクト用金属層の上に最外層に露出した状態でN2
    で熱処理されたチタンの蒸着膜を形成し、このチタン蒸
    着膜の上に熱処理されていないAu層を最上層とする上層
    電極を形成したことを特徴とする耐熱性オーミック電
    極。
  2. 【請求項2】前記請求項1に記載の耐熱性オーミック電
    極を形成するための方法であって、 GaAs半導体の表面に設けられたオーミックコンタクト用
    金属層の上にチタン蒸着膜を形成し、このチタン蒸着膜
    を最外層に露出させた状態でN2中で熱処理した後に、熱
    処理されていないAu層を最上層とする上層電極を前記チ
    タン蒸着膜の上に形成することを特徴とする耐熱性オー
    ミック電極の製造方法。
JP63250616A 1988-10-04 1988-10-04 耐熱性オーミック電極及び当該耐熱性オーミック電極の製造方法 Expired - Lifetime JP2761735B2 (ja)

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