JP2759986B2 - 金属帯の蛇行防止装置 - Google Patents

金属帯の蛇行防止装置

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JP2759986B2 JP63270161A JP27016188A JP2759986B2 JP 2759986 B2 JP2759986 B2 JP 2759986B2 JP 63270161 A JP63270161 A JP 63270161A JP 27016188 A JP27016188 A JP 27016188A JP 2759986 B2 JP2759986 B2 JP 2759986B2
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健 益居
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、金属帯のプロセスラインの入側または中間
において金属帯のキャンバを消去することにより、プロ
セスライン中での金属帯の蛇行を防止する装置に関する
ものである。
(ロ)従来技術 連続焼鈍炉やメッキライン等の通常の金属帯のプロセ
スラインでは、走行距離が1〜2kmに及ぶものがある。
そこで、金属帯の蛇行防止のために、ロールにクラウン
を付与したり、各種ステアリング装置を設置することに
より、金属帯が正しい位置をトラッキングできるように
している。
(ハ)発明が解決しようとする課題 クラウン・ロールの使用は安価でかつ蛇行修正は期待
できるものの、連続焼鈍炉では高温部で金属帯にヒート
・バックルと呼ばれる縦じわを発生させる原因となって
いる。メッキライン等では、金属帯に生じた幅方向反り
や板座屈が原因となって、メッキの付着量に偏差を生じ
させる原因となる。一方、ステアリング装置は高価であ
るので装置を多数導入するのも、あまり得策とは言えな
い。
(ニ)課題を解決するための手段 金属帯の蛇行発生防止対策として、本発明者等は種々
検討した結果、蛇行量とキャンバ量とが一定の関係をも
っていること、さらにはテンション・レベラで3次元的
な形状不良を矯正した後のキャンバ量と張力下での左右
張力偏差とが一定の関係を有することを知見した。キャ
ンバ量とは、第5図に示すように鋼帯の一定長さLにお
ける曲り量Cで定義することができる。このキャンバ量
と蛇行量との関係を第6図に示す。
第6図は、鋼帯の平均張力σTごとの鋼帯をセンタリ
ングした(走行ラインをロール中央に一致させること)
位置から下流1パス、2パス、7パス目におけるキャン
バ量と蛇行量との関係を示したものである。これによれ
ばキャンバ量とこれにともなう蛇行量とは一定の相関関
係を示しており、キャンバ量が得られれば蛇行量を知る
ことができることを示す。
さらに、テンション・レベラで中伸び、耳波といった
3次元的な形状不良を矯正した後でも、キャンバが残る
ことが多い。第7図に示すように、鋼帯のキャンバ量と
この鋼帯に張力を付加した場合の左右張力偏差Δσと
は、板幅をW、ヤング率をEとすると、下記(1)式で
表される。
したがって、左右の張力偏差Δσからキャンバ量Cが
予測でき、このCから上記の蛇行量も予測することがで
きる。
本発明は、上記知見にもとづき、例えば、連続焼鈍炉
等のプロセスラインに入る前またはその中間でレベリン
グ・ロール後で鋼帯の張力偏差を測定し、この値によ
り、蛇行量を調整するように、テンション・レベラの左
右圧下量を制御することにある。
換言すれば、本発明の装置は、連続焼鈍ラインやメッ
キラインのような金属帯を長距離にわたり走行させると
きに発生する蛇行を防止する装置であって、前記ライン
内に設けられたテンション・レベラと、該テンション・
レベラのレベラロール後で金属帯に張力を付加した場合
の幅方向張力偏差Δσを測定する張力計と、該張力計の
張力偏差Δσにより前記テンション・レベラの左右圧下
量を調整する制御装置とからなり、前記張力偏差Δσと
金属帯のキャンバ量Cとの関係を表す上述の(1)式か
ら該キャンバ量Cを求め、金属帯のキャンバ量Cと蛇行
量との関係を予め実験によって求めたデータにもとづい
て、前記(1)式で求めたキャンバ量Cから蛇行量を求
め、該蛇行量を前記制御装置に入力して前記テンション
・レベラの左右圧下量を調整し、金属帯の蛇行を消去す
ることを特徴としている。
本発明の装置においては、張力値の低い側のレベラ・
ロールの圧下量を小さくすることもできる。また、張力
の高い側のレベラ・ロールの圧下量を大きくすることも
できる。さらに、これら両者を同時に組み合せてもよ
い。
(ホ)実施例 第1図はプロセスライン入側または中間に設置するテ
ンション・レベラ10の一例を示す。第2図はテンション
・レベラ10の下流側に設置する金属帯の張力計20の一例
を示す。第3図は、本発明に用いた測定装置のブロック
図を示す。
まず、第2図(A),(B)に示すように、張力計20
aは検出ローラ21a、ローラ支持台22a、ロード・セル23a
から構成される。P1,P2,Q1,Q2は各ロードセル23aで検出
した張力を示す。このとき、偏差量V1は、下記(2)式
で表される。
V1=(P2+Q2)−(P1+Q1) …(2) この(2)式より左右の張力偏差Δσが検出できる。
第2図(B)は、第2図(A)に示すkσ(X)(検
出ローラ21aに作用する力)から張力σ(X)を求める
ための説明図である。kは定数である。
第2図(C)に示す張力計20cは歪ゲージ23cを貼布し
た検出ローラ21cを板幅方向に5箇所ローラ支持台22cに
設置したものである。各ローラ22cの測定値から偏差V1
は下記(3)式で表される。ただし、α,βは板幅とロ
ール位置で決まる定数である。
V1=(αP5+βP4)−(αP1+βP2) ……(3) したがって、(3)式より左右の張力偏差Δσが検出
できる。各ローラは板幅に応じて追従できる構造が望ま
しい。
この他、市販の高級形状検出器の幅方向出力値分布か
ら左右の張力偏差Δσを検出算定する方法をとってもよ
い。
いずれにしても、これら測定値をもとに(1)式から
キャンバ量を求め前記の予め求めておいた第6図の関係
により蛇行量を予測し、これを調整するためにテンショ
ン・レベラの左右圧下量を制御するのである。
すなわち第1図に示すテンション・レベラ10のロール
11の左右の圧下量を変えることにより、金属帯1のキャ
ンバを消去するように金属帯1に曲げ引張り加工を加え
る。テンション・レベラ10は入側および出側に、それぞ
れブライドル・ロール6,8を設けて金属帯の張力発生を
補助する。これにより金属帯の真直性が向上するのでキ
ャンバに起因する蛇行発生を抑止できる。
第2図(A)または(C)に示す張力計20aまたは20c
は、テンション・レベラ10のロール11とブライドル・ロ
ール8との間に設けるのが望ましい。しかし、さらに下
流の任意の位置に設けてもよい。あまりレベラ・ローラ
から離れ過ぎると、レベラ圧下調整の応答に遅れを生
じ、十分な効果を発揮することはできない。
次に、テンション・レベラ10のロール11の左右圧下量
に差を与えて金属帯1にキャンバを付与する実験を試み
た。供試材には厚み0.6mm×幅610mm、厚み0.6mm×幅914
mmの2種類の低炭素鋼帯を用いた。
テンション・レベラ10には、直径40mmのロールを第1
図と同様11本配置したものを用いた。610mm幅の鋼帯に
は3tonの張力を、また914mm幅の鋼帯には4.5tonの張力
を負荷し、テンション・レベラ10を通過した後には、い
ずれの鋼帯にも0.2%の塑性伸びを受けるように、左右
均等に圧下した状態をそれぞれの鋼帯の基準状態として
実験を行った。つまり、その基準状態からテンション・
レベラ10のロールの左右いずれか一方を圧下して、鋼帯
がどれだけのキャンバを発生したかを調べた。
その結果を第4図に示す。この結果を見ると、圧下を
加えるとその加えた側に片伸びを生じてキャンバを発生
することがわかる。換言すれば、キャンバを消去できる
ことがわかった。圧下量と伸びが線形で表現できるの
で、ある目的のキャンバを作成する場合には、容易に達
成できることがわかった。ちなみに、第4図の結果で
は、レベラ圧下偏差0.5mm程度で20m当り15〜20mmのキャ
ンバが発生することがわかる。
以上の結果にもとづき、鋼帯の電気メッキラインの入
側テンション・レベラ10のレベラ・ロール11と下流ブラ
イドル・ロール8との間に第2図(A)に示すように張
力計20aを設置して、張力偏差Δσを計測し、ルーパと
メッキ槽との間に設置した第1図に示すテンション・レ
ベラの左右圧下量の差を第4図のように前もってテスト
した各種寸法、材質についての実験データより、前記曲
り量を打ち消すように自動設定するシステムを導入し
た。
その結果、電気メッキライン出側ルーパで測定したキ
ャンバは、ほぼ0に改善されていることを確認できた。
入側でキャンバを修正した効果としてライン内での蛇行
が激減したので、メッキ槽(全14セル)での板反り発生
に大きく影響を及ぼすシンク・ロールのロール・クラウ
ン(1〜1.5mm/直径)をストレート化したが、蛇行発生
は非常にわずかであった。
シンク・ロールのストレート化で板反りが大きく減少
し、板幅方向メッキ付着量偏差±7%が±3%と改善さ
れ品質が大幅に向上するとともに、電極間距離の近接化
が可能となり、電力原単位も向上した。また従来多発し
た板の絞り込みトラブルもほぼ皆無にすることができ
た。
さらに別の実施例について説明する。連続焼鈍ライン
の入側に直径30mm×5本(最大張力50ton)のフルハー
ド・テンションレベラを設置し、レベラロールと下流ブ
ライドルとの間に第2図(c)の張力計20cを設置して
厚み(0.5〜1.6mm)×幅(700〜1600mm)のフルハード
鋼帯のテンションレベリングを行った。
張力計出力値より左右張力差を検出・演算し、その張
力偏差が極力0に近づくようにレベラの左右圧下量を制
御するクローズド・システムを導入した。その結果、蛇
行トラブルが激減した。
次いで、高温炉内のロールクラウンを従来の1/2〜1/4
に小さくしても蛇行問題が発生しなかったので、従来不
可能であった極低炭材を流したところ、820℃の高温焼
鈍にもかかわらず、上記全サイズの高速安定通板(蛇行
・ヒート・バックルなし)が達成された。
以上は、入側にテンション・レベラを設置する方法を
述べたが、連続する長いラインの中間に設置して、それ
より下流に本発明法を適用してもよい。また、ライン外
で本発明法によりテンション・レベリングのみ施してか
ら長いラインに鋼帯を流してもよい。
(ヘ)効 果 本発明によれば、長いプロセスラインに金属帯を通す
以前にまたはその中間で金属帯のキャンバを減少させる
ことができるため、長いライン中でのキャンバによる蛇
行を大幅に減少できる。また、金属帯の真直性が改善さ
れ品格が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図はキャンバ消去のために使用するテンション・レ
ベラの斜視図。第2図はキャンバ計測装置の斜視図。第
3図は制御系統図。第4図はテンション・レベラを用い
てつくったキャンバに関する圧下量と伸びとの関係を示
すグラフ。第5図は、キャンバの説明図。第6図はキャ
ンバと蛇行量との関係を示す図。第7図はキャンバ材を
引っ張ったときの張力分布を示す図。 1……金属帯、2……上ロール 3……位置測定装置、4……下ロール 6,8……ブライドル・ロール 10……テンション・レベラ 11……ローラ、20a,20c……張力計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 9/56 - 9/66 C21D 11/00 C25D 7/06 B21B 37/00 - 37/78

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続焼鈍ラインやメッキラインのような金
    属帯を長距離にわたり走行させるときに発生する蛇行を
    防止する装置であって、前記ライン内に設けられたテン
    ション・レベラと、該テンション・レベラのレベラ・ロ
    ール後で金属帯に張力を付加した場合の幅方向張力偏差
    Δσを測定する張力計と、該張力計の張力偏差Δσによ
    り前記テンション・レベラの左右圧下量を調整する制御
    装置とからなり、前記張力偏差Δσと金属帯のキャンバ
    量Cとの関係を表す下記の(1)式から該キャンバ量C
    を求め、金属帯のキャンバ量Cと蛇行量との関係を予め
    実験によって求めたデータにもとづいて、前記(1)式
    で求めたキャンバ量Cから蛇行量を求め、該蛇行量を前
    記制御装置に入力して前記テンション・レベラの左右圧
    下量を調整し、金属帯の蛇行を消去することを特徴とし
    た金属帯の蛇行防止装置。 ただし、E:金属帯のヤング率 W:金属帯の板幅 L:金属帯の長さ
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