JP2759656B2 - 植物組織培養による有用物質生産方法 - Google Patents

植物組織培養による有用物質生産方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、植物の有用物質生産方法に関する。
(従来の技術) 従来、人類はアルカロイド、テルペノイド、色素など
植物が産生する天然有機化合物を医薬、食料などに用い
てきた。これらの植物が産生する有用物質を得る場合、
天然に生育または栽培された植物より抽出する方法が取
られてきた。しかしながら植物の量・質等は自然の条件
に左右され、また収穫にも時間と手間がかかり有用物質
を大量に得る為には有効な方法とはいえなかった。近年
では、植物組織培養技術を用いて植物培養細胞を大量に
培養することで有用物質を計画的、安定的に生産するこ
とが行われている。
一般に植物組織培養とは、一部組織片を植物の生長に
必要な成分を含む培地に植え、カルスと呼ばれる不定形
細胞を誘導し無限培養するものである。この際培地中に
は、無機塩類、ビタミン、糖などのほかに植物ホルモン
(オーキシン類、ジベレリン類、サイトカイニン類、エ
チレン等が知られている)などが添加されている。実際
には、詳細に光、温度などの培養条件、基本培地、植物
ホルモン等を検討し植物組織培養技術を用いた有用物質
生産が実施されている。
(発明が解決しようとする課題) 有用物質生産を目的とした植物組織培養では、有用物
質を多量に含む培養細胞を、大量、迅速に培養すること
が望ましいのであるが、培地成分によって培養細胞は、
有用物質をまったく産生しなくなったり、産生量が非常
に減少することがある。植物を組織培養する為には、植
物ホルモンの添加は不可欠であるが、添加量によっては
有用物質の産生を阻害するばかりでなくカルスの生育を
も阻害する場合がある。また、一般に培養細胞は、増殖
速度が増すと有用物質の代謝速度が減少するといった増
殖と代謝の関係が背反的な性質を持っている為、有用物
質を産生する培養細胞の培養条件決定には幾多の問題点
がある。このように、目的とする有用物質を植物組織培
養技術を用いて工業的に生産する為には種々の問題点が
ある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上述せる問題点に鑑みなされたもので、植
物の産生する有用物質を植物組織培養技術を用いて生産
する際、光合成原核微生物培養濾液及び/又は光合成原
核微生物抽出物を含む植物組織培養用培地を用いること
を特徴とする有用物質生産方法を要旨とするものであ
る。
本発明で利用できる光合成原核微生物としては、シア
ノバクテリア類(「R.Rippka and R.Y.Stanier:J.Gen.M
icobiol.,111,1−61(1979)」により種々分類されてい
る。)や光合成細菌類等がある。シアノバクテリア類と
しては、例えば、クロログレオフィシス属(Chlorogloe
opisis sp.)、デルモカルパ属(Dermocarpa sp.)、ノ
ストック属(Nostoc sp.)、シネココッカス属(Synech
ococcus sp.)、オスシラトリア属(Oscillatoria s
p.)があり、具体例としては、クロログレオフィシス属
(Chlorogloeopisis sp.)ATCC 27181、デルモカルパ属
(Dermocarpa sp.)ATCC 2937、ノストック属(Nostoc
sp.)ATCC 27895、シネココッカス属(Synechococcus s
p.)ATCC 27192、ATCC 29404、ATCC 29534、ATCC 2717
0、オスシラトリア属(Oscillatoria sp.)ATCC 27906
などが挙げられ、また、光合成細菌類としては、例え
ば、ハロバクテリウム属(Halobacterium sp.)、ロド
シュードモナス属(Rhodopseudomonas sp.)、ロドスピ
リラム属(Rhodospirillum sp.)があり、具体例として
は、ハロバクテリウム・クチルブルム(Halobacterium
cutirubrum)ATCC 33170、ハロバクテリウム・メディテ
ラネイ(Halobacterium mediterranei)ATCC 33500、ハ
ロバクテリウム・サッカルボルム(Halobacterium sacc
harovorum)ATCC 29252、ハロバクテリウム・サリナリ
ウム(Halobacterium salinarium)ATCC 19700、ハロバ
クテリウム・ソドメンセ(Halobacterium sodomense)A
TCC 33755、ロドシュードモナス・アシドフィラ(Rhodo
pseudomonas acidophila)ATCC 25092、ロドシュードモ
ナス・ルティラ(Rhodopseudomonas rutila)ATCC 3387
2、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudo
monas spheroides)ATCC 17024、ロドシュードモナス・
ビリディス(Rhodopseudomonas viridis)ATCC 19567、
ロドシュードモナス・ブラスティカ(Rhodopseudomonas
blastica)ATCC 33485、ロドスピリラム・モリシアナ
ム(Rhodospirillum molischianum)ATCC 14031、ロド
スピリラム・ホトメトリクス(Rhodospirillum photome
tricum)ATCC 27871、ロドスピリラム・ルブラム(Rhod
ospirillum rubrum)ATCC 277、ATCC 17031、ロドスピ
リラム・テヌエ(Rhodospirillum tenue)ATCC 25093な
どが挙げられる。また、光合成原核微生物は、上記した
微生物あるいはその変種や変異株に限ることなく、天然
から分離した海洋性、淡水性の光合成原核微生物も含ま
れる。
光合成原核微生物の培養は、光合成原核微生物を、通
常、無機塩類等を含む培地を用い、タンク培養、あるい
は太陽光を利用した屋外開放培養といった培養にて行い
得るが、本発明においては、目的とする光合成原核微生
物が天然にある程度豊富に存在するならば、その微生物
の生育存在する海水、あるいは淡水を培養液とすること
ができる。
光合成原核微生物培養濾液は上述した培養法で得られ
た培養液を遠心分離、あるいは濾過などを行って取得で
きるが、目的とする培養濾液の生物活性が弱い場合は
い、前記濾液を減圧濃縮などにより濃縮して用いてもか
まわない。この際、濃縮倍率が大きくなり塩濃度が高く
なると植物組織に悪影響を与えることがあるので、電気
透析などで植物組織に悪影響がなくなるまで脱塩して使
用するのが望ましい。また、光合成原核微生物の抽出物
は、前記した光合成原核微生物の菌体または、適度に破
砕した菌体を常温または加熱した適当な溶媒と接触させ
て行い得たものであるが、ここで用いる溶媒としては、
菌体によって種々の溶媒を単独または複数併用してかま
わないが、一般的には水性溶媒が好ましい。例えば水性
溶媒としては、水単独あるいは酸、塩基、塩類、もしく
は有機溶媒を溶解した溶液などがある。また、メタノー
ル、エタノール、酢酸エチルエステル、エーテル等の有
機溶媒で抽出後、有機溶媒を除去後水に溶解させてもよ
い。本発明で使用できる抽出物としては前記した方法に
より得られた抽出液、あるいはこれらの抽出液から得ら
れた分画液などがあるが、これらを適宜濃縮あるいは希
釈して使用できる。さらに、これらの抽出液および分画
液を減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等により乾燥し粉末
としても使用できる。
光合成原核微生物培養濾液及び/又は光合成原核微生
物抽出物の基本培地への添加量は、0.0001〜50%で使用
目的、使用方法によって適宜選択できるが、望ましくは
0.001〜10%である。
以上述べた、光合成原核微生物培養濾液及び/又は光
合成原核微生物抽出物を基本培地に添加し、その培地に
より植物組織培養をするのであるが、基本培地、培養方
法などは通常の植物組織培養におけるものと同様であ
る。すなわち基本培地としては、ムラシゲ(Murashig
e)&スクーグ(Skoog)培地(1962)が代表的なものと
してあげられるが、その他の植物培養に適した種々の培
地、あるいはそれらの改変培地を適宜選択して使用でき
る。更に、通常の培養に使用される植物ホルモン、ココ
ナッツミルク、カゼイン分解物や酵母抽出物等を目的に
応じて併せて添加してもよい。
本発明において、培養の対象となる植物は特に制限は
なく、どんな植物も適用可能である。また、培養の対象
となる植物は、分化全能性を有していることが知られて
いる。すなわち外植体(植物体全体又はそれらの一部)
が培養可能である。また、前記した植物体全体又はそれ
らの一部の初代培養あるいは継代培養したものも培養可
能である。特に、植物体で有用物質を多く含む部位が好
ましい。
(実施例) 以下、実施例によってさらに詳しく説明する。
実施例1 カロチノイドを産生するニンジン培養細胞に対する光
合成原核微生物培養濾液及び/又は光合成原核微生物抽
出物の培地への添加による影響を調べた。
(1)光合成原核微生物培養濾液及び光合成原核微生物
抽出物の調製 シアノバクテリア類としてシネココッカス属(Synech
ococcus sp.)ATCC 27192、ロドシュードモナス・ブラ
スティカ(Rhodopseudomonas blastica)ATCC 33485を
用いて調製した。前記光合成原核微生物をATCC指定の培
養条件にて培養後、培養液を遠心濾過し濾液を得、エバ
ポレイターで100倍に濃縮した。この濃縮液をモザイク
荷電膜脱塩器(デザルトンDS−103:東ソー株式会社製)
で脱塩し、0.45μmのメンンブランンフィルターを用い
て濾過し、得られた濾液を光合成原核微生物培養濾液と
した。光合成原核微生物抽出物は菌体を集菌後凍結乾燥
し、水に対して3%になるように菌体を懸濁させ、100
℃で60分間熱水抽出し、遠心分離して上澄液を0.45μm
メンブランフィルターを用いて濾過して得た。
(2)カロチノイド産生ニンジン培養細胞の培養とカロ
チノイド量の測定 カロチノイド産生ニンジン培養細胞は、キントキニン
ジンの根より誘導したカロチノイド産生能を有する細胞
である。
培地は、ムラシゲ(Murasige)&スクーグ(Skoog)
培地を使用し、これにショ糖(3%)、オーキシン類の
植物ホルモンである2、4−D(1mg/l)を添加し、pH
5.5〜5.7に調製し寒天を1%加えた寒天固体培地を基本
培地として使用した。この基本培地に光合成原核微生物
培養濾液及び光合成原核微生物抽出物を1%添加したも
のと、無添加のものを調製し、25℃にて、暗条件下でカ
ロチノイド産生ニンジン培養細胞を50日間培養し細胞内
に蓄積されたカロチノイド量を測定比較した。カロチノ
イド量は、培養細胞の生重量を測定後、乳鉢中で細胞を
破砕し、少量のアセトンを加えて抽出し、3mlの石油エ
ーテルを加え、石油エーテル層中にカロチノイドを移行
させ、分光光度計を用いて、石油エーテル層の453nmに
おける吸光度を測定し、培養細胞内に蓄積されたカロチ
ノイド量を算出した。その結果を表−1に示す。
実施例2 ベタシアニンを産生するヨウシュヤマゴボウ培養細胞
に対する光合成原核微生物培養濾液及び/又は光合成原
核微生物抽出物の培地への添加による影響を調べた。ヨ
ウシュヤマゴボウ培養細胞は、ヨウシュヤマゴボウの茎
より誘導したベタシアニン産生能を有する細胞である。
培地は、ムラシゲ(Murasige)&スクーグ(Skoog)
培地を使用し、それにショ糖(3%)、2,4−D 0.1mg
/lを添加し、pH5.5〜5.7に調製した培地を基本培地とし
て使用した。この基本培地に実施例1(1)で調製した
光合成原核微生物培養濾液及び/又は光合成原核微生物
抽出液を1%添加したものと、無添加のものを調製し、
光照射(2000ルックス)条件下、25℃にて、ベタシアニ
ン産生ヨウシュヤマゴボウ培養細胞を14日間液体懸濁培
養し細胞内に蓄積されたベタシアニン量を測定比較し
た。
ベタシアニン量は、培養細胞の生重量を測定後、乳鉢
中で細胞を破砕し、少量の水を加えて抽出し、遠心分離
後上澄の535nmにおける吸光度を分光光度計を用いて測
定し、培養細胞内に蓄積されたベタシアニン量を算出し
た。その結果を表−2に示す。
(発明の効果) 本発明によれば、植物を光合成原核微生物抽出液及び
/又は光合成原核微生物培養濾液を含む培地を用いて植
物組織培養することによって、植物の産生する有用物質
を効率よく生産することができ、かつ、植物ホルモンの
悪影響を極力おさえる為の処置法となることができる。
従って、植物を組織培養し、有用物質産生細胞の産生能
を向上させることができる。また、有用物質産生細胞の
生長(増殖)を促進する効果を併せ持つ為、有用物質高
産生細胞を大量、迅速に得ることができる。従って、植
物組織培養技術を用いて有用物質生産を容易に行うこと
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅津 博紀 埼玉県草加市吉町4―1―8 ぺんてる 株式会社草加工場内 (72)発明者 松永 是 東京都府中市幸町2―41―13 府中第三 住宅2―304 審査官 種村 慈樹

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】植物の産生する有用物質を植物組織培養技
    術を用いて生産する際、光合成原核微生物培養濾液及び
    /又は光合成原核微生物抽出液を含む植物組織培養用培
    地を用いることを特徴とする有用物質生産方法。
  2. 【請求項2】光合成原核微生物はシアノバクテリア類及
    び/又は光合成細菌である特許請求の範囲第1項記載の
    有用物質生産方法。
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