JP2759231B2 - ガラス壜口部の欠陥検査装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガラス壜口部の欠陥検
査装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ガラス壜の製造に際して、その口部の肉
厚内にひび割れのような所謂ビリや気泡が生じることが
ある。この内の気泡については、小さなものは製品上で
何ら問題はないこともあるが、上記のビリはガラス壜の
破損に繋がる重大な欠陥であることから、その欠陥の存
否検査が光学的に行われている。

【０００３】この欠陥の存否を光学的に検査するのに従
来は、搬送経路の途中でガラス壜の搬送を間欠的に停止
させると共に、その停止位置でガラス壜を回転させるよ
うにする一方、この回転するガラス壜の口部に向けて例
えばスリット光を照射する投光器を搬送経路の幅方向一
側に配置し、かつ、ガラス壜の口部に欠陥があるときに
反射する反射光を検知する受光器を搬送経路の幅方向他
側に設けて、前記受光器が反射光を受けた際の出力を基
にして欠陥を検査するようにしている。

【０００４】ところで、上記のビリは方向性なく生じる
ものであって、照射光に対する反射光の反射方向が定ま
るものではなく、例えば或る光学条件では欠陥が検知さ
れなかった被検査部に、光の照射方向や反射光の受光方
向など光学条件を少し変えて光を照射させると、欠陥が
検知される場合がある。

【０００５】また、ビリの方向によっては、投光器から
照射された光がビリで反射せずに貫通してしまうことが
あって、欠陥を有する不良品であってもこれを良品と見
做してしまうことになり、即ち、投受光器が各々１本の
組だけでは正確な欠陥検査を行うことができない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このことから従来で
は、検査精度を高くする上で、各々１本の投受光器の複
数組を搬送経路方向に配置し、かつ、各組の投受光器の
投光方向と受光方向をそれぞれ異ならせて、各種の光学
条件の下で広範囲にわたる欠陥の検査を行えるようにし
ている。

【０００７】しかし、複数組の投受光器を搬送経路に沿
わせて配置させる上で、投受光器の配置組数を多くする
ほど検査ラインが長くなり、かつ、ガラス壜を複数位置
において間欠的に搬送停止させる制御手段と、その停止
位置のそれぞれにおいてガラス壜を回転させるための手
段が多数必要で、広い設備用地を要する上に設備費が高
く付き、また、欠陥検査部が多点にわたることから検査
状況を把握する上で多くの人手を要する点で問題があっ
た。

【０００８】更に、各組における投受光器の投光方向と
受光方向を適宜オペレーターが人為的に設定している
が、これには相当の熟練と時間を要し、かつ、オペレー
ター毎で投受光方向がバラツキ易い問題があった。その
上、ガラス壜の口部にはモールドの合わせ部による継ぎ
目が形成されるが、これは欠陥ではなく、然るに、受光
器の全てを光検知状態にしておくと、口部の継ぎ目なし
部分において反射したり透過したりした光は勿論のこ
と、前記継ぎ目部分で拡散された光までもが、受光器に
よってキャッチされてしまうことよって、良品であるは
ずのガラス壜を不良品であるとする判断が成される不都
合があり、欠陥検査の精度に依然問題があった。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、特に、投受光
器の投受光方向を機械的に設定できるとともに、欠陥検
査がより正確に行えるガラス壜口部の欠陥検査装置を提
供することを目的としている。

【００１０】即ち、本発明によるガラス壜口部の欠陥検
査装置は、ガラス壜の搬送経路途中に、順次搬送されて
来るガラス壜を定位置で且つ壜中心まわりで回転させる
壜回転手段と、前記搬送経路の幅方向ならびに上下方向
に位置変更自在なスライドブロックを設け、前記定位置
で回転するガラス壜の口部に向けて光を照射する複数個
の投光器を前記スライドブロックに設けると共に、当該
複数個の投光器による照射光を互いに異なる複数方向か
ら前記口部の近傍に集光させるようにする一方、前記口
部における欠陥部で反射した反射光を検知する複数個の
受光器を前記スライドブロックに設け、更に、前記複数
個の投光器を繰り返し投光状態に切り換えさせ、前記照
射光が互いに異なる複数方向から照射されることを前記
口部の近傍の一箇所においてガラス壜が一回転するまで
繰り返し行って連続的に且つ多点にわたって前記口部の
欠陥検査を可能にする投光器制御部と、投光状態に切り
換えられた投光器からの照射光が良品のガラス壜の口部
で反射したり透過した光を受ける受光器を非検知状態に
切り換えさせる受光器制御部を設けた点に特徴がある。

【００１１】

【作用】上記の特徴構成によれば、複数個の投光器が順
次投光状態に切り換えられて、ガラス壜の口部に向けて
互いに異なる複数方向から光が照射されることを、口部
近傍の一箇所においてガラス壜が一回転するまで繰り返
し行うことで、ガラス壜の口部における欠陥の存否が前
記一箇所で一挙に多点検査される。

【００１２】また、ガラス壜の搬送経路の幅方向ならび
に上下方向に位置変更自在なスライドブロックを設ける
ことにより、投受光器の投受光方向を機械的に設定でき
る。一方、ガラス壜の口部にはモールドの合わせ部によ
る継ぎ目が形成されるが、これは欠陥ではなく、然る
に、受光器の全てを光検知状態にしておくと、口部の継
ぎ目なし部分において反射したり透過したりした光は勿
論のこと、ガラス壜の回転に伴って継ぎ目が欠陥検査部
位に達した際に拡散した光までもが、受光器によってキ
ャッチされてしまうことよって、良品のガラス壜を不良
品であるとする判断が成される不都合がある。

【００１３】しかし、良品のガラス壜の口部で反射した
り透過したりした光を受ける受光器を予め非検知状態に
切り換えさせるようにしているので、上記の不都合が確
実に解消され、これによって欠陥検査がより正確に行わ
れる。

【００１４】

【実施例】図１は本発明の一実施例によるガラス壜口部
の欠陥検査装置部分の概略平面を示し、図２乃至図４は
欠陥検査装置の詳細を示すもので、これらの図におい
て、１は壜搬送用のコンベアで、順次供給されるガラス
壜２を矢符Ａ方向に搬送する。

【００１５】３はメインのスターホイールで、インフィ
ードホイール４によって前記コンベア１から取り出され
たガラス壜２を間欠移送して順次欠陥検査部Ｂに搬送
し、かつ、検査後のガラス壜２をテイクアウトホイール
５を介して前記コンベア１に戻す機能を有するもので、
周部に壜導入部ａが形成された二枚のホイール板６を適
宜間隔を置いて回転軸７に設けて成る。

【００１６】８はターンテーブル９とモータ１０から成
る壜回転手段で、欠陥検査部Ｂに設けられている。１１
は前記コンベア１とターンテーブル９の各上面にわたる
Ｓ字状の壜受けガイドである。

【００１７】尚、前記スターホイール３は、それの壜導
入部ａがターンテーブル９に対応位置する度に間欠的に
駆動が停止されるように構成されていて、当該スターホ
イール３の間欠駆動停止の間に、定位置で前記ガラス壜
２を壜中心Ｐまわりで回転させるように構成されてい
る。

【００１８】１２は欠陥検査部Ｂに配置されたガラス壜
口部２ａの欠陥検査装置で、上下方向に位置変更固定自
在な昇降部材１３を備えたポスト１４を、前記スターホ
イール３による壜搬送経路の外側に立設すると共に、前
記壜搬送経路を横断させる状態で前記昇降部材１３に水
平ガイド１５を延設し、かつ、この水平ガイド１５に沿
って位置変更固定自在にスライドブロック１６を設ける
と共に、当該スライドブロック１６にそれぞれ複数個の
投光器１７と受光器１８を設けて成る。

【００１９】詳しくは、前記スライドブロック１６に対
して壜搬送経路の幅方向一側に、２個または３個の投光
器１７を取り付けるための投光器用ブラケット１９を、
それぞれ所定角度を隔てて設けると共に、前記定位置で
回転するガラス壜２の口部２ａ外面に向けて、斜め上方
からと斜め下方から更に水平方向から、それぞれスリッ
ト光を照射させるように、前記投光器１７を各ブラケッ
ト１９に取り付け、かつ、当該複数個の投光器１７によ
る照射光を、前記口部２ａの外面近傍に集光させるよう
にしてある。

【００２０】より具体的には、図５および図６におい
て、例えば１２個の投光器１７のうち、＃７と＃１０の
投光器１７の投光方向を斜め上方に向け、＃８と＃１１
の投光器１７の投光方向をほゞ水平に向け、残りの投光
器１７の投光方向を斜め下方に向けてある。

【００２１】一方、前記スライドブロック１６に対して
壜搬送経路の幅方向他側に、例えば６個の受光器１８を
設けている。この場合、１個または２個の受光器１８を
取り付けるための受光器用ブラケット２０を、それぞれ
所定角度を隔てて設けると共に、前記口部２ａで反射し
た斜め上方への反射光を検知させるように、前記受光器
１８を各ブラケット２０に設けてある。

【００２２】２１は壜口部２ａの欠陥存否検出手段で、
前記受光器１８がキャッチした光量を基にして壜口部２
ａにおける欠陥の存否を検出する。２２は前記複数個の
投光器１７を順次１個ずつ繰り返し投光状態に切り換え
させる投光器制御部である。

【００２３】２３は受光器制御部であって、前記投光器
制御部２２によって順次投光状態に切り換えられた投光
器１７からの照射光が良品のガラス壜２の口部２ａで反
射したり透過したりした光を受ける受光器１８を非検知
状態に切り換える機能を有する。

【００２４】即ち、ガラス壜２の口部２ａにはモールド
の合わせ部による継ぎ目が形成されるが、これは欠陥で
はない。しかし、受光器１８の全てを光検知状態にして
おくと、口部２ａの継ぎ目なし部分で反射したり透過し
たりした光は勿論のこと、前記継ぎ目部分で拡散された
光までもが、受光器１８によってキャッチされてしまっ
て、前記欠陥存否検出手段２１が良品であるはずのガラ
ス壜２を不良品であるとする判断が成されてしまう。

【００２５】かゝる不都合を未然に防止するために、良
品であるガラス壜２の口部２ａで反射した光を受ける特
定の受光器１８を予め非検知状態に切り換えさせるよう
にしているのである。

【００２６】上記した特定の受光器１８を予め非検知状
態にするには、例えば、口部２ａにビリが存在せず且つ
前記継ぎ目に気泡が存在するところの、製品として問題
にならない程度の良品のガラス壜２を用意し、かつ、当
該ガラス壜２の最も条件の悪い検査箇所に順次スリット
光を投光させて、その際に反射光を受けた受光器１８を
非検知状態に切り換えさせるようにすればよい。

【００２７】一つの例として、図５および図６に示すよ
うに、ねじ口ガラス壜２の口部２ａに＃１投光器１７か
らスリット光を照射する場合は、＃２〜＃４受光器１８
を非検知状態に切り換えさせ、＃２投光器１７からスリ
ット光を照射する場合は、＃１〜＃５受光器１８を非検
知状態に切り換えさせる。

【００２８】以下、＃１および＃２を含み＃３〜＃１２
投光器１７から順次スリット光を照射する場合に、受光
器１８を非検知状態に切り換えさせる一覧表を表１に示
し、王冠口ガラス壜２の口部２ａに順次スリット光を照
射する場合に、受光器１８を非検知状態に切り換えさせ
る一覧表を表２に示す。但し、投光器１７に対して◎印
の受光器１８を非検知状態に切り換えるものとする。

【００２９】

【表１】

【００３０】

【表２】

【００３１】上記の構成によれば、図４〜図６に示すよ
うに、前記欠陥検査部Ｂにおいてガラス壜２が壜中心Ｐ
まわりで連続的に一回転される間に、例えば周長１ｍｍ
分のピッチ毎で前記複数個の投光器１７が順次１個ずつ
瞬時的に投光状態に切り換えられることが、３６０度に
わたって繰り返し行われ、その都度、前記ガラス壜２の
口部２ａに向けて互いに異なる複数方向からスリット光
が照射される。すなわち、欠陥検査を行うにあたり、図
５、図６に示すように、前記投光器１７からのスリット
光の投光方向を口部外面に向けて、そのスリット光を口
部外面近傍の一箇所Ｒに集中させており、前記一箇所Ｒ
を通過する周長１ｍｍ分のピッチに相当する口部２ａに
対して＃１投光器１７から順次１個ずつ＃１２投光器１
７までスリット光を連続的に照射し、続く周長１ｍｍ分
のピッチに相当する口部２ａにも同様に前記一箇所Ｒを
通過する間にその口部２ａに対して＃１投光器１７から
順次１個ずつ＃１２投光器１７までスリット光を連続的
に照射することを３６０度にわたって繰り返し行う。ま
た、別の欠陥検査も可能である。すなわち、表１から明
らかなように、非検知状態に切り換えるべく設定された
受光器１８が、例えば、＃１０〜＃１２投光器１７に対
して同じであるから、また、＃７〜＃９投光器１７に対
して同じであるから、前記複数個の投光器１７を順次１
個ずつ投光状態に切り換える代わりに、＃１投光器１７
から＃６投光器１７までは順次１個ずつ投光状態に切り
換え、続く＃７〜＃９投光器１７を同時に投光状態に切
り換え、更に、続く＃１０〜＃１２投光器１７も同時に
投光状態に切り換えるように投光器制御部２２において
制御することが可能である。表２においても同様で、例
えば、＃１および＃４投光器１７を同時に投光状態に切
り換え、続いて＃２投光器１７を投光状態に切り換え、
＃３および＃６投光器１７を同時に投光状態に切り換
え、更に、＃７〜＃９投光器１７および＃１０〜＃１２
投光器１７をそれぞれ同時に投光状態に切り換える。こ
のように幾通りもの投光パータンあるいはこれらの組み
合わせを設定でき、他所多様な欠陥検査を行うことがで
きる。

【００３２】そして、前記口部２ａに欠陥が存在する
と、当該欠陥部でスリット光が反射し、この反射光が受
光器１８で受光され、これを基にして前記欠陥存否検出
手段２１から欠陥存在の情報が出力されるのであり、こ
の口部２ａの欠陥検査は、ガラス壜２の回転に伴って連
続的に且つ多点にわたって行われる。つまり、ガラス壜
２の口部２ａにおける欠陥の存否が前記一箇所Ｒで一挙
に多点検査される。

【００３３】尚、前記投光器１７からのスリット光の投
光方向を口部外面に向けて、そのスリット光を口部外面
近傍の一箇所Ｒに集中させているが、前記投光器１７か
らのスリット光の投光方向を口部内面近傍の一箇所に向
ける構成にして実施可能であり、かつ、スリット光に代
えてスポット光にしてもよい。

【００３４】また、前記投光器１７からのスリット光の
投光方向を、斜め上方からと斜め下方から更に水平方向
からに設定しているが、斜め上方からと水平方向からに
特定させたり、あるいは、斜め下方からと水平方向から
に特定させてスリット光の投光方向を口部外面近傍ある
いは口部内面近傍の一箇所に向けることが実施可能であ
り、更に、投光器１７の投光方向の設定に応じて受光器
１８の受光位置を任意に設定可能である。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によるガラ
ス壜口部の欠陥検査装置によれば、搬送経路途中におい
て複数個の投光器による照射光を互いに異なる複数方向
から定位置で回転するガラス壜の口部の近傍に集光させ
るように構成することで、ガラス壜の口部における欠陥
の検査が、前記口部近傍の一箇所で多点にわたって一挙
に行われるもので、従来に比較して、搬送系の制御手段
やガラス壜の回転手段を簡略化させて、コスト的に安価
に且つ省スペースの下で、しかも、少ない人手で、ガラ
ス壜の口部における欠陥検査を多点にわたって正確に行
わせることができる。

【００３６】また、良品のガラス壜の口部で反射したり
透過したりした光を受ける受光器を予め非検知状態に切
り換えさせるようにしているので、欠陥検査がより正確
に行われる。更に、投受光器の投受光方向が機械的に設
定されることから、投受光器のセットに熟練を必要とせ
ず、かつ、セット面でのバラツキもなくなる。と言った
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】ガラス壜口部の欠陥検査装置部分の概略平面図
である。

【図２】欠陥検査装置の平面図である。

【図３】欠陥検査装置の側面図である。

【図４】欠陥検査装置の形態図である。

【図５】ガラス壜口部に対する投受光の説明用斜視図で
ある。

【図６】ガラス壜口部に対する投受光の説明用平面図で
ある。

【符号の説明】

２…ガラス壜、２ａ…口部、８…壜回転手段、１６…ス
ライドブロック、１７…投光器、１８…受光器、２２…
投光器制御部、２３…受光器制御部、Ｐ…壜中心。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガラス壜の搬送経路途中に、順次搬送さ
   れて来るガラス壜を定位置で且つ壜中心まわりで回転さ
   せる壜回転手段と、前記搬送経路の幅方向ならびに上下
   方向に位置変更自在なスライドブロックを設け、前記定
   位置で回転するガラス壜の口部に向けて光を照射する複
   数個の投光器を前記スライドブロックに設けると共に、
   当該複数個の投光器による照射光を互いに異なる複数方
   向から前記口部の近傍に集光させるようにする一方、前
   記口部における欠陥部で反射した反射光を検知する複数
   個の受光器を前記スライドブロックに設け、更に、前記
   複数個の投光器を繰り返し投光状態に切り換えさせ、前
   記照射光が互いに異なる複数方向から照射されることを
   前記口部の近傍の一箇所においてガラス壜が一回転する
   まで繰り返し行って連続的に且つ多点にわたって前記口
   部の欠陥検査を可能にする投光器制御部と、投光状態に
   切り換えられた投光器からの照射光が良品のガラス壜の
   口部で反射したり透過した光を受ける受光器を非検知状
   態に切り換えさせる受光器制御部を設けて成るガラス壜
   口部の欠陥検査装置。