JP2759021B2 - 溶鋼の真空脱ガス処理方法 - Google Patents
溶鋼の真空脱ガス処理方法Info
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鋼の真空脱ガス処理法に関する。
次精錬で処理される例が多くなってきているが、中でも
RH真空処理槽内の溶鋼に酸素を供給し、溶鋼を積極的
に脱炭する操業あるいは溶鋼を積極的に加熱する操業が
広く行われている。しかしこのような真空処理に際して
は溶鋼の温度が低下するという問題点があり、またRH
真空処理槽の内壁面に多量の地金が付着するという問題
点がある。
る例はあるが、従来の電気抵抗発熱体は溶鋼の温度低下
や地金の付着防止には不十分であった。また、従来の電
気抵抗発熱体は設備コストや電極原単位や消費電力コス
トが大きいために、脱炭処理のコストが高いという問題
点がある。
にAl,Si等を添加し、真空処理槽内の溶鋼に酸素を
吹きつけて溶鋼を加熱する方法が記載されている。しか
しこの方法は高価なAlやSi等を使用する方法であ
り、またこの方法では真空処理槽内に多量の地金が付着
するという問題点がある。特開平2−77518号公報
には、酸素を真空処理槽内の溶鋼表面に吹付け、真空処
理槽内の溶鋼が放出するCOガスをこの酸素によって燃
焼させる方法が記載されている。しかこの方法は溶鋼が
放出するCOガスのみを熱源として用いるために、対象
とする鋼種は脱炭鋼種に限られかつ加熱はCOガスの放
出量に制限されて、溶鋼の温度降下防止には不十分な場
合があり、また熱源が小さいために真空処理槽の地金の
付着を有効に防止することは難しい。
槽内の溶鋼中に可燃性ガスを吹込むと同時に真空槽内の
溶鋼浴面の上方から酸素を供給し、溶鋼を加熱昇温する
方法が記載されている。しかしこの方法は可燃ガスを溶
鋼中に吹き込むために、溶鋼中のCやHが上昇するとい
う問題点があり、また溶鋼中に可燃性ガスを吹込む装置
は構造や保守が複雑となる。また本発明者等の知見によ
ると、溶鋼中に吹き込むことができる可燃性ガスの流量
には制約を伴うため、真空処理槽の地金の付着を有効に
防止する事は難しい。
気抵抗発熱体を用いないで、またAlやSi等の高価な
合金鉄を用いないで、真空処理中の溶鋼温度の低下を防
止することができ、また真空処理槽の内壁面の地金の付
着を防止する事ができる真空処理方法の提供を課題とし
ている。
(1)酸素と燃料ガスのそれぞれを所望の流量に設定し
て吹きつけることができる上吹きランスを真空処理槽の
頂部に昇降自在に配し、未脱酸溶鋼の処理の際には上吹
きランスの下端を溶鋼浴面から2m以下に配して上吹ラ
ンスから溶鋼に酸素のみを吹きつける脱炭促進処理工程
と上吹ランスの下端を溶鋼浴面から1m超に配して上吹
ランスから酸素と燃料ガスとを噴出させる昇温促進処理
工程とを組合せて、溶鋼の脱炭促進と溶鋼昇温および真
空槽内の地金付きを防止することを特徴とする溶鋼の真
空脱ガス処理方法。
きつける脱炭促進処理工程においては、溶鋼中炭素含有
量が0.01重量パーセントで酸素吹きつけを完了し、
引き続き酸素と燃料ガスとを噴出させる昇温促進処理工
程へ移行して溶鋼の加熱と真空槽内の地金付きを防止す
ることを特徴とする、前記(1)に記載の溶鋼の真空脱
ガス処理方法。
きつける脱炭促進処理工程では、酸素吹きつけ完了時の
鋼中炭素含有量が0.01重量パーセントであり、この
工程の後は脱炭処理が終了するまで酸素及びガス吹きつ
けを停止して真空度の低下を防ぎ、脱炭処理後の脱酸処
理と成分調整処理において酸素と燃料ガスとを噴出させ
る昇温促進処理工程にして、溶鋼の脱炭促進と溶鋼昇温
および真空槽内の地金付きを防止することを特徴とす
る、請求項1に記載の溶鋼の真空脱ガス処理方法。
理を行なった後の脱酸溶鋼の真空脱ガス処理において
は、酸素と燃料ガスとを噴出させる昇温促進処理工程の
みとして、溶鋼昇温および真空槽内の地金付きを防止す
ることを特徴とする、溶鋼の真空脱ガス処理方法であ
る。また(5)上吹ランスが、酸素の流路を軸芯に配
し、酸素の流路のスロート部の下方に末広がり部を設
け、末広がり部の途中に燃料ガス噴出孔を設けた上吹き
ランスであることを特徴とする、前記(1)から(4)
のいずれかに記載の溶鋼の真空脱ガス処理方法であり、
また(6)末広がり部が、傾斜角度が5〜10°で、か
つ下端部の直径Dと上端部の直径dとの比(D/d)が
3〜5であることを特徴とする、前記(5)に記載の溶
鋼の真空脱ガス処理方法である。
例に、本発明を説明する。本発明では酸素と燃料ガスの
それぞれを所望の流量に設定して吹き付けることができ
る上吹ランスを用いる。図1はこの上吹きランスの吹出
端部近傍の例の説明図である。本発明者等は酸素の流路
を軸芯に配し、酸素の流路のスロート部1の下方に末広
がり部2を設け、末広がり部2の途中に燃料ガス噴出孔
3を設けた上吹きランスを用いた。図中5は酸素、6は
燃料ガス、7は冷却水である。
りの角度が例えば5〜10°で、D/dが例えば3〜5
の上吹ランスは、酸素のみを吹く際は十分な超音速で酸
素が噴出するために、溶鋼を効率よく脱炭することがで
きる。また酸素と燃料ガスとを一緒に吹く際は、末広が
り部の酸素と燃料ガスとの混合が十分で高温のフレーム
が得られ、また着火性に優れているために溶鋼や真空槽
の内壁を効率よく加熱することができる。
部に昇降自在に配する。図2は真空処理槽の頂部の説明
図である。図2(A)に示す如く、上吹きランス10は真
空処理槽8の頂部に、矢印13で示した如く、上昇・下
降が自在に配されている。図2(B)は上吹きランス10
の取りつけの説明図である。
シールクランプ9を気密に取りつける。11はローラー
支持装置である。例えばシールクランプ9のクランプ力
を緩め、ローラー12を回動させて上吹きランス10を
上昇・下降させ所定の位置に設定する。その後シールク
ランプ9のクランプ力を強めてシールクランプ9により
上吹ランス10を気密に把持する。例えばこの操作によ
り上吹ランス10は所望の位置に気密に保持されて真空
処理槽内に垂下される。尚図中14は取鍋、15は溶
鋼、16は環流用ガス吹込孔、17は真空排気系に連結
する排気管である。
濃度を増大すれば良いことを見出した。図3は、溶鋼中
の酸素濃度と脱炭速度との関係である。図中○と●印は
それぞれ炭素濃度が100ppmの場合と20ppmの
場合とを示している。図3では、酸素濃度を増大させる
ことにより脱炭速度が大きくなっている。一方、酸素供
給のために上吹きランスから酸素ガスを吹き続けると真
空処理槽内の圧力が上昇し、真空脱ガス速度そのものが
低下した。そこで、上吹きランスから溶鋼に酸素のみを
吹き付けて脱炭を促進させるには、上吹きランスの下端
と溶鋼浴面との距離を近接させて、短時間内に溶鋼中へ
酸素を積極的に供給し、その後には酸素ガス吹き付けを
停止することが必要である。
上吹きランスの下端と溶鋼浴面との距離(以下ランス高
さと称する)を2m以下にして、上吹きランスから溶鋼
に酸素のみを吹き付けて脱炭を促進させる。図4は、ラ
ンス高さと上吹きした酸素が溶鋼中に溶存する比率との
関係である。図中ランス高さが2m以下になると上吹き
した酸素が溶鋼中に溶存する比率が高くなり、溶鋼中酸
素濃度を速やかに上昇できる。
実施し、目的とする極低炭素の溶鋼を短時間に製造でき
る。なお、酸素吹き停止の時期は、製造する溶鋼の規格
やRH処理条件により異なるが、溶鋼の炭素濃度が0.
01重量パーセントに達した時と設定することができ
る。
鋼に酸素のみを吹き付けると、真空処理槽内の溶鋼のス
プラッシュが激しく、そのために真空処理槽の内壁に地
金が付着することが懸念された。しかし、本発明者ら
は、以下に述べる本発明の方法により真空処理槽内の耐
火物表面を高温に保っておけば地金付着が無いことを確
認した。
脱酸と成分調整の処理を脱ガス装置では実施している
が、この脱酸と成分調整の処理工程で、上吹きランスの
下端を溶鋼浴面から1m超に配して上吹きランスから酸
素と燃料ガスを噴出させて真空槽内で燃焼発熱させる処
理を実施し、さらに、真空脱ガス処理の待機中にも上吹
きランスから酸素と燃料ガスとを噴出させて真空槽内で
燃焼発熱させることで真空槽内の壁面を高温度に維持す
ることができた。さらには、上吹きランスの高さを1m
超に配すること、あるいは1m超の範囲で昇降させる本
発明の昇温促進処理工程により、真空槽内壁面の高さ方
向の温度分布を均一にして、槽内のあらゆる位置の地金
付着を防ぐことができる。
から酸素と燃料ガスとを噴出させて真空槽内で燃焼発熱
させることにより、真空処理槽内の耐火物表面を高温に
保っておけば地金付着が無く、さらに溶鋼温度も輻射伝
熱で上昇させることができた。例えば、真空脱ガス処理
前の溶鋼温度が低く、脱酸処理後の上吹きランスによる
酸素と燃料ガスとの燃焼による着熱では目標温度に到達
しない場合には、脱炭期の酸素吹き後に、引き続き脱炭
処理の後半にも上吹きランスによる酸素と燃料ガスとを
燃焼させる昇温促進処理工程を組み入れることは可能で
ある。
が、脱炭を行わない、脱酸鋼の真空脱水素処理等の場合
にも、上記と同様な効果が得られ、上吹きランスの下端
を溶鋼浴面から1m超に配して上吹きランスから酸素と
燃料ガスとを噴出させて真空槽内で燃焼発熱させる本発
明の昇温促進処理工程を実施し、さらに、真空脱ガス処
理の待機中にも上吹きランスから酸素と燃料ガスとを噴
出させて大気圧下の真空槽内で燃焼発熱させることで真
空槽内の壁面を高温度に維持することができ、さらに溶
鋼温度も輻射伝熱で上昇することができる。
処理について述べたが、DH,VOD等の他の真空脱炭
処理においても、本発明はRHの場合と同様の作用効果
を奏する。
上吹きランスを有する100トンRH真空脱ガス装置を
用いて、表1に示す条件で脱炭処理し、あるいは表2に
示す条件で脱ガス処理を実施した。なお、RH処理を実
施していない待機中にも本発明の実施例では上吹きラン
スから酸素とLNGを吹き込み真空槽内で燃焼させ、真
空処理槽内を加熱保温している。使用ランスはスロート
径が17mmφ、出口径が81mmφのものである。
鋼種(未脱酸溶鋼)を対象にした本発明の実施例であ
る。脱炭処理前半にランス高さを下げて短時間に酸素の
みを吹き付け、さらに引き続き酸素とLNGを吹き込ん
でRH処理時間終了まで燃焼させた例である。この際に
は、RH処理中の温度降下が何もガス吹き付けを実施し
ない例(表1中8)に比べ大幅に軽減でき、真空槽内の
地金付着はほとんど無かった。また最終[C]が低下し、
脱炭促進の効果がでた。
二次燃焼による発熱と脱炭促進を狙う試験も行った。脱
炭量と二次燃焼量から計算される溶鋼温度補償量は約3
℃程度であり、試験結果でも温度補償量は僅かであるこ
とが確認された。また、発熱量が総じて少なく、真空槽
内の地金付きも皆無にはならなかった。
種(未脱酸溶鋼)を対象にした本発明の実施例の別形態
である。この例では、脱炭処理前半にランス高さを下げ
て短時間に酸素のみを吹き付け、吹き付け完了後にさら
に引き続く脱炭工程ではランスからのガス吹きを停止
し、脱酸処理後に再びランスから酸素とLNGを吹き込
んでRH処理時間終了まで燃焼させた。この際は脱炭が
促進されて最終[C]が極めて低くなり、かつRH処理中
の温度降下が何もガス吹き付けを実施しない例(表1中
8)ならびに脱炭初期に酸素を吹き付けるのみの例(表1
中9)に比べ軽減でき、真空槽内の地金付着もほとんど
無かった。また、上吹ランス高さ1mで酸素とLNGと
を吹き込んで燃焼させた例(表中7)に見られるランス
先端損耗も無かった。
た真空脱ガス処理の実施例である。いずれも、ランスか
ら酸素とLNGを吹き込んでRH処理時間終了まで燃焼
させた。この際はRH処理中の温度降下が何もガス吹き
付けを実施しない例(表2中6)に比べ軽減でき、真空槽
内の地金付着もほとんど無かった。また、上吹ランス高
さ1mで酸素とLNGとを吹き込んで燃焼させた例(表
中5)に見られるランス先端損耗も無かった。
体を用いないで、またAlやSi等の高価な合金鉄を用
いないで、真空処理中の溶鋼の温度の低下を防止し、ま
た真空処理槽の地金の付着を防止して、高能率で溶鋼を
真空処理することができる。
説明図、 図2は真空処理槽と上吹ランスの説明図、 図3は溶鋼中酸素濃度と脱炭速度との関係を示す図、 図4はランス高さと上吹きした酸素が溶鋼中に溶存する
比率との関係を示す図、である。
燃料ガス、 4:上吹きランスの下端部、 5:酸素、
6:燃料ガス、 7:冷却水、 8:真空処理装置、
8−1:真空処理槽頂部の鉄皮、 9:シールクラン
プ、 10:上吹きランス、 11:ローラー支持装
置、 12:ローラー、 13:上吹ランスの昇降方
向、 14:取鍋、 15:溶鋼、 16:環流用ガス
吹込孔、17:排気孔。
Claims (6)
- 【請求項1】酸素と燃料ガスのそれぞれを所望の流量に
設定して吹きつけることができる上吹ランスを真空処理
槽の頂部に昇降自在に配し、溶鋼を処理していない待機
の間は該上吹ランスからの酸素と燃料ガスを大気圧下の
真空処理槽内で燃焼させて真空処理槽の内壁面を高温に
する事により溶鋼処理の際の溶鋼の温度降下を軽減し、
未脱酸溶鋼処理の際には上吹ランスの下端を溶鋼浴面か
ら2m以下に配して上吹きランスから溶鋼に酸素のみを
吹きつける脱炭促進処理工程と上吹きランスの下端を溶
鋼浴面から1m超に配して上吹きランスから酸素と燃料
ガスとを噴出させる昇温促進処理工程とを行うことによ
り、溶鋼の脱炭促進や溶鋼昇温および真空槽内の地金付
きを防止することを特徴とする溶鋼の真空脱ガス処理方
法。 - 【請求項2】未脱酸溶鋼に酸素を吹きつける脱炭促進処
理工程においては、溶鋼中炭素含有量が0.01重量パ
ーセントで酸素吹きつけを完了し、引き続き酸素と燃料
ガスとを噴出させる昇温促進処理工程へ移行して溶鋼の
加熱と真空槽内の地金付きを防止することを特徴とす
る、請求項1に記載の溶鋼の真空脱ガス処理方法。 - 【請求項3】未脱酸溶鋼に酸素を吹きつける脱炭促進処
理工程では、酸素吹きつけ完了時の溶鋼中炭素含有量が
0.01重量パーセントであり、この工程の後は脱炭処
理が終了するまで酸素及び燃料ガス吹きつけを停止して
真空処理槽内の圧力の上昇を防ぎ、脱炭処理後の脱酸処
理と成分調整処理において酸素と燃料ガスとを噴出させ
る昇温促進処理工程にして、溶鋼の脱炭促進と溶鋼昇温
および真空槽内の地金付きを防止することを特徴とす
る、請求項1に記載の溶鋼の真空脱ガス処理方法。 - 【請求項4】酸素と燃料ガスのそれぞれを所望の流量に
設定して吹きつけることができる上吹ランスを真空処理
槽の頂部に昇降自在に配し、溶鋼を処理していない待機
の間は該上吹ランスからの酸素と燃料ガスを大気圧下の
真空処理槽内で燃焼させて真空処理槽の内壁面を高温に
する事により溶鋼処理の際の溶鋼の温度 降下を軽減し、
脱酸溶鋼処理の際には上吹きランスの下端を溶鋼浴面か
ら1m超に配して上吹きランスから酸素と燃料ガスとを
噴出させる昇温促進処理工程を行うことにより、溶鋼昇
温および真空槽内の地金付きを防止することを特徴とす
る溶鋼の真空脱ガス処理方法。 - 【請求項5】上吹ランスが、酸素の流路を軸芯に配し、
酸素の流路のスロート部の下方に末広がり部を設け、末
広がり部の途中に燃料ガス噴出孔を設けた上吹きランス
であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに
記載の溶鋼の真空脱ガス処理方法。 - 【請求項6】末広がり部が、傾斜角度が5〜10°で、
かつ下端部の直径Dと上端部の直径dとの比(D/d)
が3〜5であることを特徴とする、請求項5に記載の溶
鋼の真空脱ガス処理方法。
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- 1993-08-25 ZA ZA936219A patent/ZA936219B/xx unknown
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