JP2758209B2 - ホール素子の電極形状 - Google Patents

ホール素子の電極形状

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、磁気検出に使用されるホール素子に関する
もので、特に該素子の電極形状の改善に係るものであ
る。
(従来の技術) 周知のように、電流が流れている半導体に磁界を加え
ると、電流及び磁界の両方向に直角にいわゆるホール電
圧が発生する。ホール素子は、この現象を利用して磁気
検出をする4端子素子である。
第6図に、従来の一般的なホール素子のチップパター
ンを、又第7図にそのXX′線断面図を示す。符号1は半
絶縁性半導体基板、符号2はこの基板1にN型の不純物
を注入した磁電変換動作領域である。このN型動作領域
2は、直交する方向に4つの突出部を有し、その形状は
ほぼ十字形となる。この十字形のN型動作領域2の対向
する1対の突出部には、これとオーミック接触し且つ互
いに対向する1対の入力側(+)電極3及び(−)電極
5が設けられる。又直交する他の1対の突出部には、こ
れとオーミック接触し且つ互いに対向する1対の出力側
(+)電極4及び(−)電極6が設けられる。符号7は
酸化シリコン(SiO2)被膜である。入力側(+)電極3
から入力側(−)電極5の方向に電流を流した状態で、
これに直角に磁界を印加すると、出力側電極4と6との
間に起電力が発生する。このホール起電力は、入力電流
と印加した磁界との積に比例するので、これにより磁界
を検出できる。
一般に、入力側電極3,5及び出力側電極4,6の位置関係
は、第6図に示すXX′及びYY′の基準線に対し対称とす
る。この理由は、(1)零磁界での出力、即ち不平衡電
圧VHOを零にするためと、(2)チップをパッケージに
封入する工程、即ち組立て工程で、チップの方向性の管
理を入出力の別のみと、簡素化できる点にある。
前記(1)については、素子の動作に関係する部分の
み、前記基準線に対し、対称にすることで事足りる。即
ちN型動作領域の形と、この領域にオーミック接触する
入力側電極及び出力側電極の相対向する縁の位置形状
が、直交する基準線XX′及びYY′に対し、対称となるよ
うにすればよい。前記(2)については、チップが180
゜回転してマウントされても、出来上がりのチップの形
状が、180゜回転されなかったものと、全く同一となる
ようにしなければならない。そうでないと、品質管理上
問題となるからである。このためにチップのパターン
は、細かい部分に至るまで、XX′,YY′軸に対し対称に
設計される。
ホール素子の特性には、入力側電極間抵抗Rd、出力側
電極間抵抗Rout及び零磁界での出力電圧VHOがあるが、
これらの特性は、チップに切り出す直前のウエーハ状態
で、あらかじめ全チップについて自動測定される。その
結果により、規格外チップには、組立てが行なわれない
よう、インクが落される。このようにして製品に封入さ
れるチップは、全てが特性上良品となって、最終工程と
しての製品検査歩留りを高レベルに維持できるようにし
ている。
近年の製造技術の進歩によりホール素子の歩留りは、
飛躍的に向上している。例えば動作領域形成を、エピタ
キシャル成長法に代えてイオン注入法とすることによ
り、動作領域の膜厚や不純物濃度の均一性等は向上し、
これらに起因する不平衡電圧VHO等の不良は、大幅に改
善された。しかしながらウエーハ状態のチップでは良品
であっても、組立て後の製品では不良となる場合があ
り、課題となっている。又製品歩留りについては、不断
の向上が望まれている。
(発明が解決しようとする課題) 前述のように、近年の製造技術の進歩により、ホール
素子の歩留りの要因のいくつかは解決された。しかし不
平衡電圧VHOは、ホール出力に対する雑音電圧に相当す
るもので、磁界の検出限度を決める主要因であり、その
規格はより厳しいことが望ましい。他方生産上、歩留り
向上は常に必要である。
本発明は、前記歩留り要因の解決によって、新しく浮
かび上がってきた歩留り決定要因を調べ、これを改善
し、製品組立て後のテスト歩留りを更に向上させること
を目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段とその作用) 本発明は、動作領域に接する1対の入力側電極と1対
の出力側電極とを有するとともに、ダンシングラインの
縁で囲まれる正方形の対角線をもって直交する基準線と
し、入力側電極および出力側電極の相対向する縁の位置
形状が、上記直交する基準線に対して対称であるホール
素子において、少なくともいずれか一方の1対の電極の
形状が互いに異なることを特徴とするホール素子であ
る。
又前記異なる電極形状の望ましい実施態様は次の通り
である。即ち1対の電極、例えば第1図に示すように入
力側電極13及び5において、電極と素子動作領域2と接
する近傍を除く反対側の電極周縁を、ダイシングライン
に沿って方形状となし、一方の電極(例えば電極13)の
み、コーナーにテーパー18を付けた電極形状が望まし
い。
前述の通り、ホール素子の不平衡電圧VHO等の特性
は、ウェーハ状態で全チップについて測定し、規格外の
チップは除去して、良品チップのみ組み立てて製品とす
る。しかしながら組立て後の製品検査において、なおV
HO等の特性不良品が存在する。本発明は、この原因を調
べる過程で完成されたものである。
即ち調査結果によれば、ウェーハ状態で測定した時の
チップの電極の極性と、組立て後のチップの電極の極性
とが異なる場合があること、即ち組立て工程において、
チップの180゜回転を管理していないことが、前記原因
の支配的な要因であることが判明した。なおこの要因
は、近年の製造技術の進歩により、VHO等の特性が改善
されたことにより、新しく浮かび上がってきたものであ
る。
一般に入力側又は出力側の電極間の抵抗は、厳密には
流れる電流の方向で若干異なるのが通例である。これ
は、電極と動作領域との接触抵抗にこのような傾向があ
るためである。更に零磁界での出力、即ち不平衡電圧V
HOは、動作領域内部の等価的抵抗網における各分布抵抗
値のバランスとして表わされるので、この傾向はより顕
著である。従って、ウェーハ状態でのチップの段階で良
品でも、組立て工程で180゜回転しマウントされると、
電極間を流れる電流の方向は反対となり不良品になるチ
ャンスが生ずるのである。この対策として先ず考えられ
るのは、ウェーハ状態でのチップの選別を電流の二方向
について行なうことがあげられるが、これはいたずらに
チップ歩留りを低下させる原因となり、適当でない。
本発明のように、チップの少なくともいずれか一方の
1対の電極形状を互いに異なるように形成すれば、組立
て工程でチップを180゜回転して配置しても、容易にこ
れが発見され、事前に正規の方向に修正することができ
る。これにより製品組立て後のテスト歩留りを向上させ
ることができる。
(実施例) ウエーハの段階で、不平衡電圧VHO等の特性を調べ、
良品チップのみを選別して使用しても、組立て後の製品
に前記特性不良が含まれる。この原因について調査した
結果の一例を第4図及び第5図を参照して説明する。
第4図はチップ電極の極性を管理しない従来の製造方
法により、又第5図はチップ電極の極性を管理した製造
方法により製作されたそれぞれのホール素子チップのV
HO分布曲線を示すものである。又両図(a)は、ウェー
ハ状態のチップについて測定したVHO分布、又両図
(b)は前記ウェーハ状態のチップのVHO測定値が規格
内の良品チップのみを選別して組み立てたホール素子の
最終工程後のVHO分布を示す。両図において、横軸は不
平衡電圧VHO(mV)を、又、縦軸はチップの個数(任意
目盛)をそれぞれ表わす。横軸の符号(+VM)及び(−
VM)はそれぞれVHOの規格範囲の上限及び下限を示す。
第4図(a)及び第5図(a)の曲線8及び曲線8′
はいずれもウェーハ状態でのチップのVHO分布を示す
が、この形状は極めて類似し、実質的に同一分布であ
る。横軸と曲線とに挟まれた打点を施した領域A及び
A′は規格外の不良チップによるもので、組立て前に除
去され、両図(b)のチップ数には含まれない。次に第
4図(b)及び第5図(b)の曲線9及び19は、最終工
程後の製品のVHO分布を示すものである。
VHOを測定する時の入力側電極の極性(+及び−)
が、ウェーハ状態のチツプと組立て後の製品とで、常に
等しくなるように管理した場合(第5図)、それぞれの
VHO分布曲線8′(領域A′の部分を除く)及び19は測
定誤差の範囲内でほぼ同形となり、製品検査におけるV
HO不良は無視できる程度であった。これに対し入力側電
極の極性を管理しない従来技術の場合(第4図)、それ
ぞれのVHO分布曲線8(領域Aの部分を除く)及び9
は、有意な差があり、製品検査において僅かではあるが
VHO不良が発生する。これは打点を施した領域(見易く
するため拡大して示す)Bが発生したためで、新しく発
生したVHO不良チップの数に対応する。
この原因は、前述の通り、入力側電極の一部を含み、
電極間の動作領域内の電界分布が、極性反転により、逆
方向の同形の電界分布にならないためと推定される。
次に本発明の望ましい実施例について第1図ないし第
3図を参照して説明する。なおこれらの図面において、
第6図及び第7図と同じ符号は等しい部分を表わす。第
3図は、樹脂封止されたホール素子の模式的平面図であ
る。符号20は第1図に示すホール素子のチップで、リー
ドフレームのチップ搭載用ベッド21に固着される。
又符号22a,22b,22c及び22dは、リードフレームの外部
リードで、入力側(+)電極リード、出力側(+)電極
リード、入力側(−)電極リード及び出力側(−)電極
リードであり、それぞれチップ20の電極13,4,5,及び6
とリードワイヤ23を介して電気接続される。符号24は樹
脂モールド外囲器の輪郭を示す。
本発明の実施例のホール素子においては、動作領域2
に接する1対の入力側電極、即ち(+)電極13及び
(−)電極5の形状を異なるようにしたものである。即
ち(+)電極13のみ、動作領域2と接する部分と反対側
の電極コーナーにテーパー18を設け、電極5と区別す
る。
一般に、互いに対向する1対の電極(入力側でも出力
側でもかまわない)において、2つの電極を互いに異な
った形状にすることで、本発明の目的は達成されるが、
次の点について留意する必要がある。即ちチップが180
゜回転した時に、それが容易に発見されるようにする。
その方法として、チップパターンを形成する中で最もコ
ントラストが大きい電極の縁を利用することが望まし
い。又この時、前述の不平衡電圧VHOを新しく発生させ
たり、前述のRd又はRoutの値に変化を与える形状は避け
なければならない。又各電極は、リードワイヤのボンデ
ィングパッドを兼ねるので、ボンディングエリアを損う
ような形状は好ましくない。
第1図に示すホール素子は、この条件を満たした最も
簡単で望ましい例である。即ちテーパー18は入力側
(+)電極の外方コーナーに設けられ、素子動作に影響
を与える部分ではない。またチップが180゜回転する
と、コントラストの大きな電極がその配置を変えるの
で、容易にこれが発見され、組立て工程のマウントで事
前に正規の方向に修正することができる。又外方コーナ
ーにテーパーをつけた形状ではリードワイヤのボンディ
ングに支障をきたさない。したがって、電流方向によっ
て特性値が異なる傾向がいかに大きいチップであって
も、組立て後の製品検査において、これに起因する不良
は殆ど発生せず高歩留りを維持できる。
[発明の効果] 近年の製造技術の進歩によりVHO等の特性に起因する
歩留りは飛躍的に向上した。しかし前述の調査により、
ウェーハ状態で測定した時のチップ電極の極性が、組立
て後のチップ電極の極性と異なる場合があること、即ち
チップの180゜回転を管理していないことが、製造歩留
りの支配的な決定要因であることが判明した。本発明で
は、入力側又は出力側の少なくともいずれか一方の1対
の電極の形状を互いに異なるようにし、チップが180゜
回転してマウントされないようにした。これにより前記
決定要因は改善され、製品組立て後のテスト歩留りを更
に向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のホール素子のチップの平面図、第2図
は第1図のチップのXX′線断面図、第3図は第1図のチ
ップを組み立てたホール素子の平面図、第4図及び第5
図は、従来及び本発明のホール素子のウェーハ状態及び
製品状態におけるVHO分布曲線、第6図及び第7図はそ
れぞれ従来のホール素子のチップの平面図及び断面図で
ある。 1……半絶縁性基板、2……動作領域、3,13……入力側
(+)電極、4……出力側(+)電極、5……入力側
(−)電極、6……出力側(−)電極、18……テーパ
ー。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動作領域に接する1対の入力側電極と1対
    の出力側電極とを有するとともに、ダイシングラインの
    縁で囲まれる正方形の対角線をもって直交する基準線と
    し、入力側電極および出力側電極の相対向する縁の位置
    形状が、上記直交する基準線に対して対称であるホール
    素子において、少なくともいずれか一方の1対の電極の
    形状が互いに異なることを特徴とするホール素子。
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