JP2757603B2 - 鋼管コンクリート構造のコンクリート充填度検出方法及び検出補修方法 - Google Patents

鋼管コンクリート構造のコンクリート充填度検出方法及び検出補修方法

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JP2757603B2 JP3199810A JP19981091A JP2757603B2 JP 2757603 B2 JP2757603 B2 JP 2757603B2 JP 3199810 A JP3199810 A JP 3199810A JP 19981091 A JP19981091 A JP 19981091A JP 2757603 B2 JP2757603 B2 JP 2757603B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ダイアフラムを有す
る鋼管柱内にコンクリートを打設するに際し、その鋼管
柱内のダイアフラムの下面を外部から直接的に検査で
き、その部分を補修できる鋼管コンクリート構造のコン
クリート充填度検出方法及び検出補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、建築物の骨組として鋼管
を使うことがある。そして、補強のため鋼管内にコンク
リートを打設していわゆる鋼管コンクリート構造とする
ことが行われている。
【0003】また、鋼管コンクリート構造として、例え
ば実開平2−36506号(E04B 1/30)など
の公報に見られるように、打設コンクリートに軸力を負
担させるため鋼管柱内にダイアフラムを設けることが知
られている。すなわち、本発明の一実施例としての図1
を使用して説明するが、鋼管柱1の内壁10には、その
外壁11に連結された鉄骨梁2のフランジ部20,20
に対応させて上下一対のダイアフラム3,3を設けてい
る。このダイアフラム3,3は、鋼管柱1の軸方向に間
隔を隔てて配置してあり、それらの中央に形成した開口
30を介してコンクリート4が打込まれることになる。
【0004】しかしながらこうした鋼管コンクリート構
造では、コンクリート4の打設にあたり、ダイアフラム
3,3下面に空隙を生じやすいという不都合がある。つ
まり、ダイアフラム3が鋼管柱1の内側に張り出してい
るため、コンクリート4がダイアフラム3の開口30を
介して打ち込まれるものの、ダイアフラム3の裏面にま
で充分に行き渡らずに当該部位に空気やブリージング水
が残留するおそれがあり、この空隙は軸力の伝達に関し
て問題になる。そこで、コンクリート4の調合などの改
善より、空隙など充填不良を防ぐことが考えられてい
る。また、コンクリート4の打設工法の工夫により、充
填不良の発生を防止することも考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところがこのような方
策のいずれにあっても、鋼管柱1内にコンクリート4を
打設完了後において、その充填が良好か否かを検査する
ことが容易ではないという問題があった。例えば内部透
視による非破壊検査法でも、鋼管を隔てた内部の状況を
調べなければならないので、超音波や赤外線では不可能
である。これに対し、X線による透視検査によれば空隙
など充填不良を検出することができるが、現場では既に
鋼管柱1に対して梁などが取り付けられて立体構造化さ
れているため上記透視装置の使用は難しく、また大掛か
りな装置が必要であることとも相俟って、現場での使用
は実用的ではない。
【0006】このため、建築現場で、コンクリート4の
充填状態を非破壊により検査することは実際上不可能で
あった。一方、コンクリート4の充填に不良がある場合
にはそれを補修することが望まれるが、上述のように充
填不良を確認できない実情にあることから、それを補修
することもできなかった。
【0007】この発明は、上記のような背景に鑑みてな
されたものであり、打設コンクリートの充填について直
接的な非破壊検査を簡便に行うことができると共に、充
填不良がある場合にはその補修も簡単な作業により確実
に行うことができ、建築現場で好ましく適用できる鋼管
コンクリート構造のコンクリート充填度検出方法及び検
出補修方法の提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
この発明は、ダイアフラムを有する鋼管柱内にコンクリ
ートを打設するに際して、上記鋼管柱の側面に予め、該
鋼管柱内のダイアフラムの下面に連通する貫通孔を設
け、該貫通孔はコンクリートの打設に際して盲部材によ
り閉塞し、コンクリート硬化後に上記盲部材を外して該
貫通孔から充填状態を検査することを特徴とする。
【0009】また本発明は、ダイアフラムを有する鋼管
柱内にコンクリートを打設するに際して、上記鋼管柱の
側面に予め、該鋼管柱内のダイアフラムの下面に連通す
る貫通孔を設け、該貫通孔はコンクリートの打設に際し
て盲部材により閉塞し、コンクリート硬化後に上記盲部
材を外して該貫通孔から充填状態を検査し、空隙を検出
したときには該貫通孔より充填材を注入し、注入完了後
に盲部材より閉塞することを特徴とする。
【0010】さらに本発明は、ダイアフラムを有する鋼
管柱内にコンクリートを打設するに際して、上記鋼管柱
の側面に予め、該鋼管柱内のダイアフラムの下面に連通
する貫通孔を設け、該貫通孔はコンクリートの打設に際
して盲部材により閉塞し、コンクリート硬化後に上記盲
部材を外して該貫通孔から充填材を注入し、注入完了後
に盲部材より閉塞することを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明の作用について述べると、鋼管柱の側面
に、この鋼管柱内のダイアフラムの下面に連通する貫通
孔を設けるので、その貫通孔を介してダイアフラムの下
面を直接検査することができる。鋼管柱内にコンクリー
トを打設するときには、貫通孔を盲部材で閉塞しておく
ので、打設コンクリートが漏出することはない。そし
て、コンクリート硬化後は、盲部材を外すので貫通孔が
内部と連通して内部の様子を調べることができ、コンク
リートの充填状態がわかる。空隙を検出した際は、貫通
孔より充填材を注入し、注入完了後に盲部材で閉塞する
ので、その空隙が充填材で確実に埋められる。
【0012】また、充填不良の検査とその補修とを同時
に行うことも可能である。すなわち、盲部材を外した後
に直ちに貫通孔から充填材を圧入し、この充填材が他の
貫通孔から漏出するか否かをチェックすることとし、充
填材が他の貫通孔から漏れ出てきたならば貫通孔を盲部
材により閉塞することにすれば、検査と補修とを同時に
実施することができる。これにより、作業の手間を省け
るので、作業性の向上を図ることができる。
【0013】
【実施例】以下、この発明の実施例を、添付図面を参照
しながら説明する。図1は、本発明の好適な一実施例を
示す鋼管コンクリート構造の立面図であり、同図は柱と
梁との仕口部分を一部破断して示している。図2は、図
1のA−A矢視断面図である。
【0014】この鋼管柱1は、断面が角形に形成されて
いる。鋼管柱1の外壁11には、その四辺各々について
H型鋼でなる鉄骨梁2が連結されている。そして、鋼管
柱1の内壁10には、鉄骨梁2のフランジ部20,20
に対応させて上下一対のダイアフラム3,3が設けられ
ている。このダイアフラム3,3は、鋼管柱1の軸方向
に間隔を隔てて配置してあり、その中央には開口30が
形成されている。
【0015】そして、鋼管柱1の外壁11には、この鋼
管柱1内のダイアフラム3の下面31に連通する貫通孔
5が複数設けられており、それらの貫通孔5はコンクリ
ート4の打設に際して、盲部材であるプラグ6により各
々閉塞されるようになっている。すなわち、貫通孔5
は、本実施例では図3に示すように、ダイアフラム3の
取付け位置直下に形成されており、ダイアフラム3の下
面31を鋼管柱1外方から直接検査できるようになって
いる。そして、貫通孔5の内周面には雌ねじを形成して
あり、この雌ねじに、プラグ6の軸部に形成された対応
する雄ねじを螺合させる構成になっている。
【0016】鋼管柱1内にコンクリート4を打設すると
きには、貫通孔5をプラグ6で閉塞しておくので、打設
コンクリート4が漏出することはない。そして、打設コ
ンクリート4の充填状態の検査は、コンクリート4が硬
化した後にプラグ6を外して行う。これにより、貫通孔
5を介して鋼管柱1の内部の様子を調べることができ、
ダイアフラム3の下面31のコンクリート4の充填状態
がわかる。
【0017】このように、プラグ6を外した貫通孔5か
ら内部を直接検査できるので、充填状態の確認を確実に
行うことができ、その作業も容易に実施することができ
る。また貫通孔5による検査は、目視検査に限らず、例
えば貫通孔5からガスや液体等の流体を圧入し、この圧
入流体が他の貫通孔5から漏れるか否かをチェックする
ことでも良く、このようにしても容易にコンクリートの
充填状態を検出することができる。そして、いずれにし
ても打設コンクリート4の充填状態に対して直接的な非
破壊検査を簡便に行うことができるので、建築現場で好
ましく適用することができる。
【0018】さて、打設コンクリート4の充填につい
て、ダイアフラム3の下面31に空隙Sを検出したとき
には、図4に示すように、貫通孔5に注入ホース7を連
結し、セメントペーストやモルタル等の充填材8を圧入
する。この充填材8は膨張性を有するもの、あるいは無
収縮なものが良い。充填材8の圧入はそれが他の貫通孔
5から漏れ出すまで行い、他の貫通孔5から漏れ出てき
たならば貫通孔5をプラグ6により閉塞する。すなわ
ち、空隙Sを検出した際は、貫通孔5より充填材8を注
入し、注入完了後にプラグ6で閉塞するので、その空隙
Sが充填材8で確実に補修される。
【0019】このように、補修としては貫通孔5から充
填材8を単に圧入すれば良いので、補修作業も容易に実
施することができる。また、充填材8が他の貫通孔5か
ら漏れ出すまで圧入を続けるので、空隙Sへの充填を確
実に行うことができ、鋼管コンクリート構造としての品
質の向上を図ることができる。そして、補修を簡単な作
業により確実に行うことができるので、建築現場で好ま
しく適用できる。
【0020】ところで本実施例では、充填不良の検査と
その補修とを同時に行うことも可能である。すなわち、
プラグ6を外した後に直ちに貫通孔5から充填材8を圧
入し、この充填材8が他の貫通孔5から漏出するか否か
をチェックすることとし、充填材8が他の貫通孔5から
漏れ出てきたならば貫通孔5をプラグ6により閉塞する
ことにすれば、検査と補修とを同時に実施することがで
きる。これにより、作業の手間を省けるので、作業性の
向上を図ることができる。
【0021】
【発明の効果】以上実施例で詳細に説明したように、こ
の発明にかかる鋼管コンクリート構造のコンクリート充
填度検出方法及び検出補修方法によれば、鋼管柱の側面
に、この鋼管柱内のダイアフラムの下面に連通する貫通
孔を設けるので、そこからダイアフラムの下面を直接検
査することができる。つまり、打設コンクリートが硬化
した後に、貫通孔を閉塞している盲部材を外すので、そ
の貫通孔からコンクリートの充填状態を直接検査でき、
またその作業を容易に実施することができる。さらに、
空隙を検出した際は、貫通孔より充填材を注入し、注入
完了後に盲部材で閉塞するので、その空隙が充填材で確
実に補修され、その作業も簡便である。したがって、検
査および補修の何れについても簡単に実施できる上に的
確であり、建築現場で好ましく適用することができる。
【0022】また、盲部材を外した後に直ちに貫通孔か
ら充填材を圧入し、充填材が他の貫通孔から漏れ出てき
たならば貫通孔を盲部材により閉塞するようにしたの
で、検査と補修とを同時に実施することができ、作業の
手間を省けるので、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す鋼管コンクリート構造
の立面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】ダイアフラム部分の検査状態を拡大して示す断
面図である。
【図4】ダイアフラム部分の補修状態を拡大して示す断
面図である。
【符号の説明】 1 鋼管柱 3 ダイアフラム 4 コンクリート 5 貫通孔 6 プラグ 8 充填材 11 外壁 31 下面 S 空隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 21/02 E04G 23/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイアフラムを有する鋼管柱内にコンク
    リートを打設するに際して、上記鋼管柱の側面に予め、
    該鋼管柱内のダイアフラムの下面に連通する貫通孔を設
    け、該貫通孔はコンクリートの打設に際して盲部材によ
    り閉塞し、コンクリート硬化後に上記盲部材を外して該
    貫通孔から充填状態を検査することを特徴とする鋼管コ
    ンクリート構造のコンクリート充填度検出方法。
  2. 【請求項2】 ダイアフラムを有する鋼管柱内にコンク
    リートを打設するに際して、上記鋼管柱の側面に予め、
    該鋼管柱内のダイアフラムの下面に連通する貫通孔を設
    け、該貫通孔はコンクリートの打設に際して盲部材によ
    り閉塞し、コンクリート硬化後に上記盲部材を外して該
    貫通孔から充填状態を検査し、空隙を検出したときには
    該貫通孔より充填材を注入し、注入完了後に盲部材より
    閉塞することを特徴とする鋼管コンクリート構造のコン
    クリート充填度検出補修方法。
  3. 【請求項3】 ダイアフラムを有する鋼管柱内にコンク
    リートを打設するに際して、上記鋼管柱の側面に予め、
    該鋼管柱内のダイアフラムの下面に連通する貫通孔を設
    け、該貫通孔はコンクリートの打設に際して盲部材によ
    り閉塞し、コンクリート硬化後に上記盲部材を外して該
    貫通孔から充填材を注入し、注入完了後に盲部材より閉
    塞することを特徴とする鋼管コンクリート構造のコンク
    リート充填度検出補修方法。
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