JP2757221B2 - 酸窒化アルミニウムの合成方法 - Google Patents

酸窒化アルミニウムの合成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光導波路などの光学素子材料、絶縁膜など
の電子素子材料として有用な酸窒化アルミニウムの合成
方法に係り、特にプラズマCVD法により低温にて合成が
可能であり、しかも屈折率を任意に設定することも可能
な酸窒化アルミニウムの合成方法に関する。
〔従来の技術〕
セラミック材料のうち電気抵抗の高い安定した絶縁材
料などとして注目されているものに窒化アルミニウム
(AlN)がある。また、光学的特性が良好で光導波路と
して使用が考えられる材料としてはアルミナ(Al2O3
がある。またこのAlNとA12O3の中間組成をもつ材料であ
る酸窒化アルミニウム(A1xOyNz)は、光学的特性あら
びに電気特性においてさらに優れた材料であることが知
られており、その利用用途には種々のものが想定でき
る。
例えば、非晶状態の酸窒化アルミニウムは透光性に優
れているために光導波路の材料としての利用が考えられ
る。また酸窒化アルミニウムは、耐熱性を有し且つ電気
抵抗が高いことから安定した絶縁膜としての利用も有用
である。特に酸窒化アルミニウムを光導波路や半導体レ
ーザの絶縁保護膜としての使用に適する要因のひとつと
して、ガリウム−ヒ素基板表面のストレスが挙げられ
る。絶縁膜成膜後の基板表面のストレスを左右する大き
な要因のひとつとして、線膨張係数の差がある。例え
ば、基板とその表面に堆積する膜との間に線膨張係数の
大きな差があると、基板表面のストレスや膜の剥れが生
じやすくなる。酸窒化アルミニウムは、その線膨張係数
がガリウム−ヒ素に非常に近いため、ガリウム−ヒ素基
板に薄膜を付着させた場合、基板表面にストレスが生じ
にくく且つ密着性が従来になく優れたものとなる。例え
ば、光導波路の材料としての利用が有望と考えられてい
る他の材料として(A1xSiyNz)もあり、屈折率の設定な
どの点で酸窒化アルミニウムとほぼ同等である。しかし
ながら、(A1xSiyNz)はガリウム−ヒ素と線膨張係数に
比較的大きな差があるため、ガリウム−ヒ素基板表面の
ストレスや基板との密着性の点で酸窒化アルミニウムよ
り劣るものといえる。
ここで酸窒化アルミニウムの合成方法であるが、これ
についてはこれまでその実績がほとんどなく、例外的に
いくつかの文献でその研究報告がなされているのであ
る。しかしながらこの種の文献に報告されている合成方
法では、熱CVDなどを使用しているものであり、その合
成時の基板温度が非常に高いものとなっている。しかし
ながら、前述のガリウム−ヒ素基板は耐熱性能がなく、
例えば熱CVDによって基板温度を500℃以上とすると、ガ
リウム−ヒ素が分解または変成されてしまう。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上のような背景から本発明の発明者はプラズマCVD
(Chemical Vapor Deposition)法を用いて低温にて酸
窒化アルミニウムを合成できるか否かの研究を行った。
ここで酸窒化アルミニウム(A1xOyNz)を合成するた
めに使用するソース気体としてどのようなものを使用す
べきかが問題となる。まず、アルミニウム(Al)の供給
であるが、アルミニウム原子を含む気体としてCVD法に
使用できるものとしては、塩化アルミニウム(AlCl3
やトリメチルアルミニウム(Al(CH32)が考えられ
る。しかしながら、塩化アルミニウムは昇華性の物質で
あり安定供給が難しく、また膜中に塩素(Cl)が不純物
として混入しやすい欠点がある。一方、トリメチルアル
ミニウムは融点が低く低温にて分解しやすいが、空気と
爆発的に反応する性質を有しているため、取扱いや供給
経路の面で不適である。また、窒素原子の供給源として
どのような気体を使用すべきかも問題になる。
本発明は以上のような課題を解決するために研究した
成果により成しとげられたものであり、比較的低温にて
酸窒化アルミニウムを合成でき、しかも屈折率の任意な
設定も可能な酸窒化アルミニウムの合成方法を提供する
ことを目的としている。
〔課題を解決するための手段ならびに作用〕
本発明による酸窒化アルミニウムの合成方法は、アル
ミニウムのハロゲン化物としての臭化アルミニウムと、
窒素原子を含む気体と、酸素原子を含む気体としての笑
気ガスとを混合し、これらの混合気体をマイクロ波によ
り放電させてプラズマ化し、基板表面に酸窒化アルミニ
ウムの膜を析出させることを特徴としている。
また、笑気ガスの供給流量を変化させることにより、
析出された酸窒化アルミニウムの酸素原子と窒素原子と
の配分比を変え、屈折率を任意に設定することが可能で
ある。
本発明では、混合気体を放電させプラズマ化するため
にマイクロ波(例えば周波数が2.45GHz)を使用し、こ
れにより500℃以下程度の低温にて酸窒化アルミニウム
を析出できるようにした。これはプラズマ中における励
起が、物質の比誘電率と誘電体損失角に関係することに
着目したことによる。例えば、ソースとして臭化アルミ
ニウム(A1Br3)が使用され、これと窒素ガス(N2)な
らびに笑気ガス(N2O)が混合されて、この気体がマイ
クロ波によって放電されてプラズマ化されると、AlとB
r、NとH、AlとN、AlとO、AlとBrとHなどの組合わ
せの分子状ラジカルが存在するようになる。さらにマイ
クロ波によって励起されると、比誘電率ならびに誘電体
損失角とがマイクロ波の影響を受け、上記組合わせの分
子状ラジカルが共振状態となり、各々の元素ごとに分か
れた原子状ラジカルとなる。そしてこれが基板表面にて
反応し酸窒化アルミニウム(A1xOyNz)の薄膜が形成さ
れる。
このように本発明では、アルミニウム源として臭化ア
ルミニウムを使用し、また窒素源として笑気ガスを使用
することにより、プラズマCVD法にて酸窒化アルミニウ
ムの膜を合成することに成功した。
さらに、合成された酸窒化アルミニウムの屈折率を任
意に設定することにも成功した。
本発明では、酸窒化アルミニウムの屈折率が窒素原子
(N)と酸素原子(O)との分配比に依頼するものであ
ることに着目し、このNとOとの配分比を笑気ガスの流
量を変化させることにより任意に設定できるようにし
た。また、酸窒化アルミニウムを光導波路などの光学素
子として使用するためには非晶状態であることが望まし
い。なぜならば酸窒化アルミニウムが結晶状態のときに
は柱状晶となり結晶体相互間で光の屈折が生じるからで
ある。そこで本発明でと笑気ガスならびに窒素ガスの供
給流量を互いに選択することにより、非晶状態の酸窒化
アルミニウムを析出させることにも成功した。したがっ
て、笑気ガスと窒素ガスの供給流量を適度に設定して非
晶状態の酸窒化アルミニウムを析出させ、さらに笑気ガ
スの流量を変化させることにより、合成される酸窒化ア
ルミニウムのNとOの配分比を任意に変えて屈折率を設
定できるようになる。
〔実施例〕
以下本発明の実施例を説明する。
第1図は本発明による合成方法に使用するCVD装置の
構造を示す断面図である。
第1図において、符号1は石英管などによって形成さ
れた反応管であり、その内部が反応室Aとなっている。
符号2はマイクロ波プラズマ発生装置である。2aはマイ
クロ波発振器であり、この実施例では、サイクロトロン
により2.45GHzのマイクロ波が発振される。2bは導波
管、2cは整合器、2dは反射板である。シリコン(Si)な
どの基板3は、反応室A内にて支持部材4上に設置され
る。支持部材4は、その上端にホルダ4aが設けられ、こ
のホルダ4aに絶縁基板3が設置される。ホルダ4aは、窒
化シリコン(Si3N4)などによって形成されている。ホ
ルダ4aの支持部材4bは石英管ならびに金属管により構成
されており、その内部に赤外線放射温度計の検出ヘッド
が収納されている。この検出ヘッドは光フアイバ5を介
して検出回路部(図示せず)に接続されている。上記検
出ヘッドから発せられる赤外線は石英管内を通過し、ホ
ルダ4a内にて基板3に照射される。よって反応室A内の
プラズマの影響を受けることなく、基板3の温度測定が
正確に行われるようになる。
反応室Aの上端にはガス供給ノズル6が配置されてい
る。このガス供給ノズル6は多重管であり、この実施例
の場合には三重管となっている。ソース供給部には、恒
温室11が設けられている。この恒温室11内はサーモスタ
ットにより常に一定の温度に保たれる。恒温室11の内部
にはバブラ12が配置されている。このバブラ12内にアル
ミニウム原子を含む反応性ガス源として臭化アルミニウ
ム(A1Br3)が充填されている。また13は導入ガスとし
て使用される水素ガス(N2)のボンベである。また符号
14は窒素原子を供給するための窒素ガス(N2)のボンベ
である。符号15は酸素原子を供給するための笑気ガス
(N2O)のボンベである。符号16はアルゴンガス(Ar)
を供給するためのボンベである。符号17a〜17dはそれぞ
れ流量調節器で、18a〜18dはバルブである。
前記ガス供給ノズル6は三重管であるが、笑気ガス
(N2O)は中心の管6aから反応室A内に供給される。ま
た窒素ガス(N2)は中間の管6bから、臭化アルミニウム
(A1Br3)はさらに外側の管6cからそれぞれ反応室Aへ
供給される。このように各ガスを三重管を用いて別々の
経路にて反応室Aへ供給することにより、管内にて各ガ
スが混合されるのを防止しまたプラズマにより管内壁に
合成物が析出されるのが防止される。
またアルゴンガス(Ar)は前記ガス供給ノズル6とは
別の経路にて反応室Aの上方(図では左上方)から供給
される。これはアルゴンガスを反応室A内のプラズマ発
生領域の外側から供給するためである。プラズマ中にそ
の外部からアルゴンガスを供給することにより、プラズ
マ中における中性粒子、イオン、電子などへの解離が促
進されるようになる。しかも同軸線路型マイクロ波プラ
ズマCVDの場合、プラズマが電界の影響を受けやすく、
反応室の管壁部分で電界が強く、反応させる基板が設置
されている中心部では弱くなってプラズマの領域が不均
一となるが、アルゴンガスをプラズマ域外から供給する
ことにより、プラズマ域が拡大するようになる。またア
ルゴンガスなどのような単原子分子の場合には、プラズ
マ中にて分解されると再結合しにくく、また再結合する
場合であっても周囲のエネルギーを奪うことがなく、安
定して分解を継続する。よって、これが一種の着火源に
なってプラズマ域が拡大されるものと予測される。これ
は従来のプラズマCVDにおいて真空度を高くしたのと同
じ状態であり、しかも真空圧を単純に上げた場合のよう
なデメリット、例えばエレクトロンの密度が上がり成膜
速度が低下するような不都合が生じるのを避けることが
できるようになる。このようなプラズマ域の拡大とラジ
カル解離率の向上により、安定した合成ができ、また成
膜速度も速まることになる。
ただし、アルゴンガスをプラズマ域外から供給するこ
とが必要であり、仮にアルゴンガスなどをノズルからプ
ラズマ中にて基板に直接吹きかけたりすると、逆にスパ
ッタ状態となり成膜速度が低下することになる。
また符号21は反応室A内を真空圧にするための排気管
であり、メカニカルブースタポンプ及びロータリポンプ
が接続されている。
なお、実施例の装置では、基板3の表面位置をマイク
ロ波の通路中心よりl1だけ高くし、ガス供給ノズル6の
下端位置を基板表面よりもl2だけ高くして、l1とl2を共
に40mmに設定している。これは反応室A内ではプラズマ
発生領域の中心から外れた上部または下部が最も合成が
促進されやすく、しかもプラズマの下部に基板を設置し
た場合には、ガス供給ノズル6の噴出口がプラズマ領域
中となり、管内で反応が生じ、管内面に合成物が析出し
てしまうからである。
合成例 以下は、上記CVD装置を使用して最も良好なAl−O−
N膜が合成された例についてその条件を記載したもので
ある。
上記において基板Siの(100)または(111)はミラー
指数であり、(ABC)とした場合、A軸とB軸は水平な
直交座標、C軸はA軸とB軸に垂直な座標であり、カッ
コ内の各数字は各軸の座標を示し、この座標によって示
される結晶面を有していることが表わされている。
なおこの合成例における各ガスの供給流量などは以下
の通りである。
Ar…175sccm A1Br3/H2…40sccm A1Br3バブラー温度…180℃ N2…50sccm N2O…10sccm 第2図と第3図は、上記の装置により且つ上記のガス
供給流量などの条件により基板3の表面に合成された膜
をオージェ電子分光分折法により分析した結果を示して
いる。横軸はオージェ効果による放出電子の強度(eV)
を示している。この図に示す通り、基板表面に、AlとO
とNとから成る膜が析出されていることが解る。なお
(Ar)のスペクトルは分析中の不純物と考えられ、析出
された物質の純度が高いものであることを示している。
また第3図は、横軸を合成時間(分)とし、各合成時間
において析出した物質を上記オージェ電子分光分析法に
より分析し、その各原子の検出スペクトル強度を測定し
たものである。この図から、析出した物質の組成は膜の
厚さ方向に対して均一であることが分かる。これはA1xO
yNzの組成の物質すなわち酸窒化アルミニウムが析出さ
れていることを示している。
次に、第4図では笑気ガス(N2O)の供給流量のみを
変化させたときの合成例を示している。第4図(A)は
析出された物質の成膜速度を示しており、(B)は析出
された物質におけるアルミニウム原子(黒丸)、酸素原
子(白丸)、窒素原子(三角)の成分比(%)を調べた
ものである。これらの図において横軸は笑気ガスの流量
(sccm)を示している。すなわち前記装置を使用した合
成方法において、笑気ガスの流量を変化させ、他のガス
の流量を一定にし、その結果合成された膜の成分比を測
定したものである。笑気ガス以外のガスの供給流量は以
下の通りである。
N2…50sccm(一定) A1Br3/N2…40sccm(一定) Ar…175sccm(一定) そして笑気ガス(N2O)の供給流量を0.1sccm〜50sccm
まで変化させた。その結果第4図(A)に示すように、
笑気ガスの流量を約5〜10sccm程度よりも多くすると成
膜速度は徐々に低下することが解る。また笑気ガスの流
量を変化させると、アルミニウム原子の成分比はほぼ一
定であるが酸素原子と窒素原子との成分比が変化するこ
とが解る。このように笑気ガスの供給流量を変化させる
ことにより、NとOの比を変化させることができ、その
結果、合成される酸窒化アルミニウムにおいてNとOと
の成分比に依存する屈折率を任意に設定することが可能
になる。
次に第5図(A)と(B)は第4図との比較のために
示したものであり、A1Br3/N2の流量を40sccm、Arの供
給流量を175sccmとし、さらにN2Oの流量を2sccmに固定
して、N2の流量のみを変化させたときの成膜速度ならび
にAl,O,Nの各原子の成分比を示したものである。たの図
に示すように、酸素ガスの供給流量のみを変化させたと
きには、その流量が少ないときには酸素と窒素の成分比
を変えることができるが、このときに成膜速度が極端に
低下し、また成膜速度が安定している領域では、窒素ガ
スの流量を変えても酸素と窒素の成分比がほとんど変化
しないことが解る。
以上の第4図と第5図に示す結果、合成された酸窒化
アルミニウムの屈折率を変化させるべく酸素と窒素との
成分比を変えるためには、笑気ガスの流量を変化させる
ことが最も良い方法であることが解る。
さらに第6図は、前記合成方法において、笑気ガスの
供給流量と窒素ガスの供給流量との関係を示すものであ
る。横軸は笑気ガスの流量(sccm)を示し、縦軸は窒素
ガスの供給流量(sccm)を示している。笑気ガスの供給
流量と窒素ガスの供給流量との相関関係により、合成さ
れる物質はほぼ3種類の状態に分けられる。中央のハッ
チングで示す領域を境としてその右側の領域では、非晶
状態の酸窒化アルミニウム(A1xOyNz)が合成される。
またハッチングで示す領域を境としてそれよりも左側の
領域では、c軸配向の結晶状態の窒化アルミニウム(Al
N)が合成される。そしてハッチングの領域は左右の各
領域の中間の領域であり、主に無配向状態の結晶性窒化
アルミニウムが合成される。すなわち第6図においてハ
ッチング領域よりも右側の領域となるように笑気ガスと
窒素ガスのそれぞれの供給流量を設定することにより、
非晶状態の酸窒化アルミニウムを合成できることが解
る。非晶状態の酸窒化アルミニウムは透光性が良好であ
るため、これを光導波路などの光学素子として使用する
ことができる。また第4図(B)に示すように、非晶状
態の酸窒化アルミニウムが合成される領域にて笑気ガス
の流量を変化させれば、NとOの成分比を変えることが
でき、この成分比により屈折率を任意に設定できるよう
になる。第4図(B)は、窒素ガスの供給流量を50sccm
に固定して笑気ガスの供給流量を変動させた場合を示し
ており、これは第6図中の横方向に延びる一点鎖線で示
した組成変化に相当する。窒素ガスの供給流量を50sccm
に固定した場合、笑気ガスの流量を約2sccmよりも低下
させると、無配向状態の結晶性窒化アルミニウムさらに
はc軸配向状態の結晶性窒化アルミニウムの合成領域と
なる。またαの範囲で示すように、笑気ガスの供給流量
を約2sccmから約10sccmの範囲で変化させれば、非晶状
態の酸窒化アルミニウムにおいて、第4図(B)に示す
ように、NとOとの成分比を変化させることができ、ま
た第4図(A)に示すように、成膜速度が低下しない領
域にて合成することが可能になる。また必ずしも窒素ガ
スの供給流量を50sccmに固定する必要はなく、これ以外
の供給流量に固定して笑気ガスの供給流量を変化させる
ことにより、非晶状態の酸窒化アルミニウムであってN
とOの成分比の変化したものを合成できることは同じで
ある。
以上のように、本発明による合成方法によって、透光
性の優れた非晶状態の酸窒化アルミニウムを合成でき、
且つ笑気ガスの供給流量を変化させることによって合成
された酸窒化アルミニウムの屈折率をある範囲内で任意
に設定することが可能になる。その結果、例えば第7図
に示すように、ガリウム−ヒ素などの基板31の表面に屈
折率の相違する酸窒化アルミニウムの薄膜32と33を合成
し、両膜32と33の境界34を光の透過・反射による分岐面
34とすることが容易に行なえるようになる。
第8図(A)は、第7図の断面図である。この第8図
(A)で示す断面形状とするためには、まず基板31の表
面にて符号32で示す成膜部分以外をマスキングして、こ
の基板31を第1図に示した反応室A内に設置する。そし
て笑気ガスの供給流量を選択し且つ他のガスを供給し、
プラズマを発生させて屈折率がn1の酸窒化アルミニウム
の膜32を合成する。次に33で示す部分以外をマスキング
し、再度反応室A内にて合成を行なうがこのときに笑気
ガスの流量を変えて屈折率がn2の酸窒化アルミニウムの
膜33を合成する。
また第8図(B)に示すような断面構成とすることも
可能である。この例ではマスキングして、基板31の表面
に屈折率がn1の酸窒化アルミニウムの膜32を合成する。
次に33の領域のマスキングを除去して、笑気ガスの供給
流量を変えて基板31ならびに前記膜32の上に屈折率がn2
の酸窒化アルミニウムの膜33を合成する。この例では、
34で示す部分が光の分岐面となる。
さらにCVD法による合成では、凹部や横側面にも回り
込むようにして膜を形成することができるため、例えば
第8図(C)に示すように、酸窒化アルミニウムの膜32
の縁面を傾斜面にし、33で示す酸窒化アルミニウムの膜
をこの傾斜面に回り込むようにして密着して合成するこ
とも可能である。
また、酸窒化アルミニウムは光学素子としてだけでな
く、絶縁膜として使用した場合にも良好な特性が得られ
る。例えば半導体レーザの保護膜として酸窒化アルミニ
ウムを使用すれば、ガリウム−ヒ素基板に対して密着性
のよい膜を形成できる。この場合、第1図に示す装置な
らびに前記方法を使用して、酸窒化アルミニウムの膜を
合成することが可能になる。
なお、前記表−1では、基板の温度が430℃である
が、基板の温度はこれ以外であっても合成が可能であ
り、実験において測定できた温度範囲は430℃〜520℃で
あった。さらに上記実施例では、マイクロ波の周波数が
2.45GHzであるが、本発明の方法はこの周波数に限られ
るものではない。
〔効果〕
以上のように本発明によれば、プラズマCVD法によ
り、低温にて酸窒化アルミニウムを高い成膜速度にて合
成できる。
また、アルミニウム源として臭化アルミニウムを使用
することにより、従来の塩化アルミニウムやトリメチル
アルミニウムを使用した場合のような不純物の混入がな
くなり、またトリメチルアルミニウムのような爆発的な
反応性がないため取り扱いが容易である。
また窒素源として笑気ガスを用いたので、この笑気ガ
スの供給流量を変化させることにより、NとOの成分比
を変化させることができ、屈折率を任意に設定すること
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による合成方法に使用するCVD装置の構
造を示す断面図、第2図と第3図は合成された物質の成
分を示す線図、第4図は、笑気ガスの供給流量を変化さ
せたときの成膜速度の変化ならびに酸素と窒素の成分比
の変化を示す線図、第5図は、窒素ガスの供給流量を変
化させたときの成膜速度の変化ならびに酸素と窒素の成
分比の変化を示す線図、第6図は笑気ガスと窒素ガスの
流量を変化させた場合に合成される物質の状態を示す説
明図、第7図は基板表面に酸窒化アルミニウムの膜を合
成して光導波路を形成した実施例を示す斜視図、第8図
(A)(B)(C)は成膜された光導波路を実施例別に
示す拡大断面図である。 1…反応管、A…反応室、3…基板、6…ガス供給ノズ
ル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 敏雄 宮城県仙台市泉区高森3丁目4番地の91 (72)発明者 佐々木 眞 宮城県仙台市若林区南小泉3丁目1番3 号 (56)参考文献 特開 昭60−159171(JP,A) 特開 昭60−17078(JP,A) 特公 昭62−34830(JP,B2) 特公 昭59−27302(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 16/00 - 16/56 G02B 6/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】臭化アルミニウムと、窒素原子を含む気体
    と、笑気ガスとを混合し、これらの混合気体をマイクロ
    波により放電させてプラズマ化し、基板表面に酸窒化ア
    ルミニウムの膜を析出させることを特徴とする酸窒化ア
    ルミニウムの合成方法。
  2. 【請求項2】笑気ガスの供給流量を変化させることによ
    り、析出された酸窒化アルミニウムの酸素原子と窒素原
    子との配分比を変えて屈折率を変化させる請求項1記載
    の酸窒化アルミニウムの合成方法。
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