JP2775340B2 - 合成膜の析出方法 - Google Patents

合成膜の析出方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ガラスプレス成型用ポンチの表面コート膜
などに有用なAl−O−N−C膜または高密度の窒化アル
ミニウム(AlN)膜を、プラズマCVD法により析出させる
合成膜の析出方法に関する。
〔従来の技術〕
セラミック材料のうち電気抵抗の高い安定した絶縁材
料などとして注目されているものに窒化アルミニウム
(AlN)がある。さらにこの窒化アルミニウムに酸素と
窒素とが含まれたAl−O−N−Cはその存在が文献にお
いて指摘されている。このAl−O−N−CはAlN内にC
とOとが固溶されている状態のものと、AlN内にCとO
とが混合されている状態のものがあることが知られてい
る。この固溶状態のものは硬度が非常に高くまた耐熱性
に優れていることからガラスプレス成型用金型の表面コ
ートなどに有用である。しかしながら、これまでこのAl
−O−N−Cが合成されたとの研究報告はなされていな
い。また窒化アルミニウムは、本発明の発明者らがその
合成に成功し、既に特許出願している。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のAl−O−N−Cについては、上記の如くこれま
で合成された例がなく、どのようなソースを使用しどの
ような方法により合成できるかが不明であった。また前
述のように先願として窒化アルミニウムの合成方法を出
願しているが(特願昭63−296784号)、窒化アルミニウ
ム内に酸素が不純物として混入して、特性の劣化を生じ
ており、また合成された膜内にオープンポアーの発生も
認められている。
本発明は以上のような課題を解決するために研究した
成果により成しとげられたものであり、比較的低温に
て、酸素と炭素とが固溶状態または混合状態となってい
るAl−O−N−C膜を合成しまたさらに高密度な窒化ア
ルミニウム膜を合成できる合成膜の析出方法を提供する
ことを目的としている。
〔課題を解決するための手段ならびに作用〕
本発明による合成膜の析出方法は、臭化アルミニウム
と、窒素原子を含む気体と、笑気ガスと、メタンガスと
を混合し、これらの混合気体をマイクロ波により放電さ
せてプラズマ化し、基板表面に少なくともアルミニウム
と窒素とを含む合成膜を析出させることを特徴とするも
のである。
上記手段において、笑気ガスの供給流量とメタンガス
の供給流量を選択することによりAl−O−N−C膜を析
出させることができる。
さらに、メタンガスの供給流量を微量にすることによ
り、酸素の混入がなくまたオープンポアーのない高密度
の窒化アルミニウム膜を析出させることができる。
本発明では、混合気体を放電させプラズマ化するため
にマイクロ波(例えば周波数が2.45GHZ)を使用し、こ
れにより500℃以下程度の低温にてAl−O−N−C膜さ
らには高密度の窒化アルミニウムを析出できるようにし
た。例えば、アルミニウム源として臭化アルミニウム
(AlBr3)が使用され、酸素源として笑気ガス(N2O)が
使用され、炭素源としてメタンガス(CH4)が使用さ
れ、窒素源として窒素ガス(N2)が使用される。さらに
はアルゴンガス(Ar)などを混合し、この混合ガスをプ
ラズマ中にて励起させ、合成して基板上に析出させるこ
とにより、上記合成膜を得ることができる。
マイクロ波プラズマCVD法においては、上記の各気体
を混合したものがマイクロ波によって放電されてプラズ
マ化される。これにより、AlとBr、NとH、AlとN、Al
とO、AlとC、CとO、AlとBrとHなどの組合わせの分
子状ラジカルが存在するようになり、さらにマイクロ波
によって励起されると、比誘電率ならびに誘電体損失角
とがマイクロ波の影響を受け、上記組合わせの分子状ラ
ジカルが共振状態となり、各々の元素ごとに分かれた原
子状ラジカルとなる。そしてこれが基板表面にて反応し
合成膜が析出されるものと想像される。
ここで上記各気体のうちの笑気ガスとメタンガスの供
給流量を多くすることにより、基板表面にAlとOとNと
Cを成分とする膜を析出させることができる。さらにメ
タンガスの供給流量をある範囲に選択することにより、
CとOとが固溶状態となったAl−O−N−C膜を析出で
きる。
さらに、メタンガスの供給流量を膜内にCが析出しな
い程度の微量にすることにより、酸素がCOXの状態とな
り、合成中の膜内に酸素が不純物として混入するのを防
止でき、酸素が混入しておらずまたオープンポアーのな
い高密度のAlN膜を得ることができる。
〔実施例〕
以下本発明の実施例を説明する。
第1図は本発明による合成方法に使用するCVD装置の
構造を示す断面図である。
第1図において、符号1は石英管などによって形成さ
れた反応管であり、その内部が反応室Aとなっている。
符号2はマイクロ波プラズマの導波管であり、サイクロ
トロンにより発振された2.45GHZのマイクロ波が導波管
2から送られる。符号2aは反射板である。シリコン(S
i)などの基板3は、反応室A内にて支持部材4上に設
置される。支持部材4は、その上端にホルダ4aが設けら
れ、このホルダ4aに前記基板3が設置される。ホルダ4a
は、窒化シリコン(Si3N4)などによって形成されてい
る。ホルダ4aの支持部4bは石英管ならびに金属管により
構成されており、その内部に赤外線放射温度計の検出ヘ
ッドが収納されている。この検出ヘッドは光ファイバ5
を介して検出回路部(図示せず)に接続されている。上
記検出ヘッドから発せられる赤外線は石英管内を通過
し、ホルダ4a内にて基板に照射される。よって反応室A
内のプラズマの影響を受けることなく、基板3の温度測
定が正確に行われるようになる。
反応室Aの上端にはガス供給ノズル6が配置されてい
る。このガス供給ノズル6は多重管であり、この実施例
の場合には三重管となっている。ソース供給部には、恒
温室11が設けられている。この恒温室11内はサーモスタ
ットにより常に一定の温度に保たれる。恒温室11の内部
にはバブラ12が配置されている。このバブラ12内にアル
ミニウム原子を含む反応性ガス源として臭化アルミニウ
ム(AlBr3)が充填されている。また13は導入ガスとし
て使用される水素ガス(H2)のボンベである。また符号
14は窒素原子を供給するための窒素ガス(N2)のボンベ
である。符号15は酸素原子を供給するための笑気ガス
(N2O)のボンベである。符号16は炭素原子を供給する
ためのメタンガス(CH4)のボンベであり、メタンガス
は前記窒素ガスと同じ経路にて供給される。また符号17
はアルゴンガス(Ar)を供給するためのボンベである。
符号18a〜18eはそれぞれのガスの流量調節器で、19a〜1
9eはそれぞれのガスの供給路に設けられたバルブであ
る。
前記ガス供給ノズル6は三重管であるが、笑気ガス
(N2O)は中心の管6aから反応室A内に供給される。ま
た窒素ガス(N2)とメタンガス(CH4)は中間の管6bか
ら、臭化アルミニウム(AlBr3)はさらに外側の管6cか
らそれぞれ反応室Aへ供給される。このように各ガスを
三重管を用いて別々の経路にて反応室Aへ供給すること
により、管内にて各ガスが混合されるのを防止しまたプ
ラズマにより管内壁に合成物が析出されるのが防止され
る。またメタンガスを中間の管6bから供給しているの
は、中心の管6aから供給すると、基板3の表面に析出さ
れる膜の中央部にて炭素がリッチになり過ぎ、また外側
の管6cから供給すると、膜の外側部分にて炭素がリッチ
になり過ぎるからである。
またアルゴンガス(Ar)は前記ガス供給ノズル6とは
別の経路20にて反応室Aの上方(図では左上方)から供
給される。これはアルゴンガスを反応室A内のプラズマ
発生領域の外側から供給するためである。プラズマ中に
その外部からアルゴンガスを供給することにより、プラ
ズマ中における中性粒子、イオン、電子などへの解離が
促進されるようになる。しかも同軸線路型マイクロ波プ
ラズマCVDの場合、プラズマが電界の影響を受けやす
く、反応室の管壁部分で電界が強く、反応させる基板が
設置されている中心部では弱くなってプラズマの領域が
不均一となるが、アルゴンガスをプラズマ域外から供給
することにより、プラズマ域が拡大するようになる。ま
たアルゴンガスなどのような単原子分子の場合には、プ
ラズマ中にて分解されると再結合しにくく、また再結合
する場合であっても周囲のエネルギーを奪うことがな
く、安定して分解を継続する。よって、これが一種の着
火源になってプラズマ域が拡大されるものと予測され
る。これは従来のプラズマCVDにおいて真空度を高くし
たのと同じ状態であり、しかも真空圧を単純に上げた場
合のようなデメリット、例えばエレクトロンの密度が上
がり成膜速度が低下するような不都合が生じるのを避け
ることができるようになる。このようなプラズマ域の拡
大とラジカル解離率の向上により、安定した合成がで
き、また成膜速度も速まることになる。
ただし、アルゴンガスをプラズマ域外から供給するこ
とが必要であり、仮にアルゴンガスなどをノズルからプ
ラズマ中にて基板に直接吹きかけたりすると、逆にスパ
ッタ状態となり成膜速度が低下することになる。
また符号21は反応室A内を真空圧にするための排気管
であり、メカニカルブースタポンプ及びロータリポンプ
が接続されている。
なお、実施例の装置では、基板3の表面位置をマイク
ロ波の通路中心よりl1だけ高くし、ガス供給ノズル6の
下端位置を基板表面よりもl2だけ高くして、l1とl2を共
に40mmに設定している。これは反応室A内ではプラズマ
発生領域の中心から外れた上部または下部が最も合成が
促進されやすく、しかもプラズマの下部に基板を設置し
た場合には、ガス供給ノズル6の噴出口がプラズマ領域
中となり、管内で反応が生じ、管内面に合成物が析出し
てしまうからである。
合成例 以下は、上記プラズマCVD装置を使用して、Al−O−
C−N膜ならびに高密度な窒化アルミニウムが合成され
た例についてその条件を記載したものである。
上記において基板Siの(100)または(111)はミラー
指数であり、(abc)とした場合、a軸とb軸は水平な
直交座標、c軸はa軸とb軸に垂直な座標であり、カッ
コ内の各数字は各軸の座標を示し、この座標によって示
される結晶面を有していることが表わされている。
なおこの合成例における各ガスの供給流量などは以下
の通りである。
Ar…175sccm AlBr3/H2…40sccm N2…50sccm なお、N2OとCH4の供給流量は変化させる。
合成結果 第2図は、上記装置で且つ上記条件により合成膜を析
出させた結果を表によって示している。
第2図において横軸は笑気ガス(N2O)の供給流量を
(sccm)で示し、縦軸はメタンガス(CH4)の供給流量
を(sccm)で示している。この表において白丸(○)で
示している領域と、黒丸(●)で示す領域と白抜きの四
角(□)で示す領域とで、析出された合成膜の特性が相
違する。後で詳しく説明するが、白丸(○)で示す領域
では、CとOとが固溶した状態のAl−O−C−Nが析出
されていることが確認され、また黒丸(●)で示す領域
では、オープンポアーのない高密度の窒化アルミニウム
(AlN)が析出されていることが確認された。また四角
(□)で示す領域ではアモルファス状態のAlとOとNと
Cとを成分とする膜が析出されていることが確認され
た。
ここで第3図の(A)(B)(C)(D)は、それぞ
れの供給流量の条件下で析出された膜の断面を走査型電
子顕微鏡により観察した写真である。これらの各図にお
いてSiはシリコンの基板3である。以下の表−2は各図
の膜が析出されたときの笑気ガスとメタンガスの流量な
らびに第2図の表のどの領域にあるかを示したものであ
る。
次に第4図(A)(B)(C)(D)は、笑気ガスと
メタンガスの供給流量を変えて析出された各膜をX線回
折法によって分析したものである。このX線回折法で
は、原子がある規則的な配向となっていると、X線を照
射したときに、ある角度にて大きなX線の吸収が表われ
る。この吸収角度は材料(物質)によって固有であり、
その吸収が表われた角度を基にJCPDS(Joint committee
on power diffraction standards)カードによりその
物質を知ることができる。以下の表−3は、第4図の各
図に示す膜が析出されたときの笑気ガスとメタンガスの
供給流量ならびに第2図のどの領域にある物質かを示し
ている。
このX線回折法による分析では、第4図(A)に示す
●の領域に析出された膜では、結晶性のAlNが存在して
いることが解る。また第4図(B)(C)に示す○の領
域に析出された膜も結晶性のAlNを含んでいることが解
る。ただし第4図(D)に示す□の領域に析出された膜
では、結晶性が見られず、アモルファス状態の物質であ
ることが予測できる。
さらに分析結果を説明する。以下は特に第2図におい
て○で示す領域に析出した膜がどのような物質であるか
を分析した結果である。
笑気ガス(N2O)の供給流量を0.3sccmとし、メタンガ
ス(CH4)の供給流量を20sccmに固定して、第2図にお
いて○で示す領域にある膜を合成した。第5図(A)
は、上記基板3の表面に合成された膜をオージェ電子分
光分析法により分析した結果を示している。これはスパ
ッタリングを5min行なった際に放出される物質を分光分
析したものである。横軸はオージェ効果による放出電子
の強度(eV)を示している。この図のスペクトルに示す
通り、基板表面に、AlとOとNとCから成る物質が析出
されていることが解る。なお(Ar)のスペクトルは分析
中の不純物と考えられ、析出された物質の純度が高いも
のであることが解る。また第5図(B)は、合成された
膜の組成がその各層において不変なものであるか否かに
ついて調べたものである。すなわち膜の表面から所定時
間スパッタリングし、スパッタされた物質の発光状態を
前記オージェ電子分光分析法により分析したものであ
る。第5図(B)において横軸はスパッタリング時間を
示しており、60(min)にて約1μm程度掘り込まれ
る。また縦軸はオージェ電子スペクトルの強度(第5図
(A)のスペクトルのピークツーピーク値)を測定した
ものである。この図に示す通り、合成された膜の厚さ方
向に対してAlとOとNとCからなる組成が均一であるこ
とが解る。
次に、メタンガス(CH4)と笑気ガス(N2O)の供給流
量を変化させたときに、合成された物質の組成がどのよ
うに変化するかを調べた。
第6図(A)(B)はその結果を示している。同図
(A)はN2Oの流量を0.2sccmに固定し、横軸に示すよう
にCH4の供給流量を変えたときの各原子の成分比(%)
を縦軸にて示している。また同図(B)は、CH4の供給
流量を5.0sccmに固定し、N2Oの供給流量を変化させたと
きの成分比(%)を示している。この第6図においても
第2図において○の領域にある析出物質はAlとOとNと
Cとからなるものであることが解る。
上記から前記○の領域に析出された膜がAlとOとNと
Cを成分としているもので、さらに第4図(B)(C)
から結晶性のものであることが解るが、さらにこれらの
各成分がどのような状態であるかを調べた結果が第7図
(A)(B)と第8図である。
先ず第7図(A)は、CH4が20sccmでN2Oが0.2sccmの
条件で析出された第2図における○の領域にある合成膜
の格子間距離を測定したものである。これはX線回折法
によるものであり、横軸にc軸方向の格子間距離c0(n
m)を示し、縦軸にa軸方向の格子間距離a0(nm)を示
している。この表において星印で示しているのが上記条
件により合成された物質である。この表に示す通り、上
記条件により合成された物質は、AlNとAl2OCとの格子定
数を結ぶ線上にあり、合成された物質が、AlNとAl2OCと
の固溶体となるAl−O−N−Cであることがわかる。さ
らに第7図(B)では、さらにCH4の供給流量を変え
て、第6図(A)の場合と同様に、炭素濃度を変えてい
った場合のa軸方向の格子間定数a0ならびにc軸方向の
格子間定数c0の変化を示している。この表からそれぞれ
の格子間定数a0とc0が炭素(C)の上昇と共に増加して
いることが分かる。このことは、合成されたAl−O−N
−C膜内の炭素が固溶体を形成していることを示してい
る。
さらに第8図は上記条件で合成され膜の表面を透過型
電子顕微鏡で観測した写真である。この図で示すように
析出された膜の組成は非常に均一で酸素などが混合され
ている状態ではない。
以上のことから第2図において○で示されている領域
に析出された膜は、CとOとが固溶状態となったAl−O
−N−Cであると考えられる。
さらに第9図(A)は上記の第2図において○の領域
にて析出された物質と、□の領域にて析出された物質と
のビッカース硬度を示している。第9図(A)において
AはCH4の供給流量が30sccmでN2Oの供給流量が0.3sccm
の条件で析出された物質、すなわち○の領域で析出され
た物質のビッカース硬度の測定結果を示している。一方
Bは、CH4の供給流量が30sccmでN2Oの供給流量が10sccm
の条件で析出された物質、すなわち□の領域で析出され
た物質のビッカース硬度の測定結果を示している。この
AとBの硬度測定値から、○の領域にて析出された物質
の硬度が非常に高いことが解り、このことからも○の領
域にて析出された物質がCとOとが固溶されたAl−O−
N−Cであることが解る。
さらに第9図(B)はCH4の供給流量を変化させて、
炭素濃度を上昇させた場合のビッカース硬度の測定結果
を示している。この表に示すように○の領域において合
成された膜は、炭素濃度の上昇と共に硬度が増加するこ
とが解り、炭素濃度が4.5%で、ビッカース硬度が2400
〜2700のきわめて高硬度の膜が得られることを示してい
る。
次に第2図において●で示す領域において析出された
物質についての分析結果を説明する。
第4図(A)において説明したように、●の領域の条
件で析出された合成膜は、X線回折法によれば、結晶性
のAlN膜であることが解る。さらに第10図は析出された
合成膜の表面を透過型電子顕微鏡により観察した写真で
ある。同図(A)はN2Oを0.3sccm、CH4を3sccmの流量に
て供給したときに析出された膜、すなわち第2図におい
て●の領域において析出された物質を示し、同図(B)
はN2Oを0.3sccm供給し、CH4の供給を止めた状態を示し
ている。同図(B)に示すようにCH4の供給を止めた場
合に析出される膜もAlNであるが、この場合には写真か
ら解るように酸素の混入が見られ、またオープンポアー
の発生も認められる。一方第10図(A)に示すように第
2図における●の領域において析出されたものは酸素の
混入やオープンポアーが発生しておらず、高密度な結晶
性のAlN膜であることが解る。
次に第2図において□で示す領域に析出される物質で
あるが、第4図(D)に示すオージェ電子分光分析法で
は、結晶性を有していないことが解り、さらに第6図
(B)によれば、AlとOとNとCとを成分とする膜であ
ることが解る。第11図は□の領域であるCH4とN2Oの供給
流量が共に10sccmであるときに析出された膜の表面を透
過型電子顕微鏡により観測したときの写真である。これ
らから□の領域において析出される膜はアモルファスの
状態でAlとOとNとCを成分とし、しかもCとOとが混
入した状態の物質であることが予測できる。
以上において、プラズマCVD法により析出された膜に
ついて説明したが、これらの物質のうち、Al−O−N−
Cはガラスプレス用のポンチの表面コートとして最適で
ある。すなわちAl−O−N−C膜は、耐熱性に優れてい
る。さらに炭素が含まれているため、ガラスプレス作業
を行なっていくうちに微量の炭素がポンチのコート膜表
面に析出し、ガラス材料の離型効果が期待できる。例え
ばBNやAlN膜をコーティングしたガラスプレスポンチで
は、耐熱性は期待できるが、プレス回数を例えば数百シ
ョット経るうちに表面にガラスが付着してレンズの光学
面(転写面)の性能が劣化するが、Al−O−N−C膜の
場合にはその離型性のために、数千ショットのオーダで
プレスを行なっても光学面の劣化は生じない。
このガラスプレスポンチに使用されるコート材料とし
ては、その硬度からみて第2図において○にて示す条件
で析出されたものが最適であるが、□で示す領域の条件
で析出されたものであっても炭素を含み且つ耐熱性を期
待できるため、使用可能である。
〔効果〕
以上のように本発明によれば、ガラスプレスポンチの
コート膜などとして最適なAl−O−N−C膜や、高密度
のAlN膜を、比較的低温の条件において析出できるよう
になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による析出方法に使用するプラズマCVD
装置の構造を示す断面図、第2図はメタンガスと笑気ガ
スの供給流量を変えたときに析出される物質の分布を示
す分布図、第3図(A)(B)(C)(D)は各分布領
域において析出された物質の断面の結晶構造を示す電子
顕微鏡写真、第4図(A)(B)(C)(D)は各分布
領域にて析出された物質X線回折法による成分の分析を
示す線図、第5図(A)(B)は析出された物質のオー
ジェ電子分光分析法による結果を示す線図、第6図
(A)(B)は笑気ガスとメタンガスの供給流量を変化
させたときの各原子の成分比の変化を示す線図、第7図
(A)(B)は析出された物質のX線回折法による格子
間距離を示す説明図、第8図は析出された物質の金属組
織を示す透過型電子顕微鏡写真、第9図(A)(B)は
析出された物質の硬度を示す説明図、第10図(A)
(B)と第11図は析出された物質の金属組織を示す透過
型電子顕微鏡写真である。 1……反応管、A……反応室、3……基板、6……ガス
供給ノズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 敏雄 宮城県仙台市泉区高森3丁目4番地の91 (72)発明者 佐々木 眞 宮城県仙台市若林区南小泉3丁目1番3 号 (56)参考文献 特開 平2−141496(JP,A) 特開 昭63−176393(JP,A) 特公 昭61−55591(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 16/00 - 16/56 C30B 29/38

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】臭化アルミニウムと、窒素原子を含む気体
    と、笑気ガスと、メタンガスとを混合し、これらの混合
    気体をマイクロ波により放電させてプラズマ化し、基板
    表面に少なくともアルミニウムと窒素とを含む合成膜を
    析出させることを特徴とする合成膜の析出方法
  2. 【請求項2】笑気ガスの供給流量とメタンガスの供給流
    量を選択することによりAl−O−N−C膜を析出させる
    請求項1記載の合成膜の析出方法
  3. 【請求項3】メタンガスの供給流量を微量にすることに
    より高密度の窒化アルミニウム膜を析出させる請求項1
    記載の合成膜の析出方法
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