JPH0818916B2 - 窒化アルミニウムの合成方法 - Google Patents

窒化アルミニウムの合成方法

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JPH0818916B2
JPH0818916B2 JP63296784A JP29678488A JPH0818916B2 JP H0818916 B2 JPH0818916 B2 JP H0818916B2 JP 63296784 A JP63296784 A JP 63296784A JP 29678488 A JP29678488 A JP 29678488A JP H0818916 B2 JPH0818916 B2 JP H0818916B2
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    • C30B25/00Single-crystal growth by chemical reaction of reactive gases, e.g. chemical vapour-deposition growth
    • C30B25/02Epitaxial-layer growth
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、低温で結晶性に優れ面粗度の良好な窒化ア
ルミニウム膜を高速度にて析出させることができる窒化
アルミニウムの合成方法に関する。
〔従来の技術〕
セラミック材料のうちの窒化アルミニウム(以下、Al
Nと記す)は、電気抵抗の高い安定した絶縁材料として
注目されている。多結晶のAlNは半導体の絶縁膜として
の用途が考えられ、単結晶のものはSAWデバイスとして
の用途が考えられ、またアモルファスのものは拡散マス
クなどの用途が考えられる。
このAlNの合成方法としては、CVD(Chemical Vapor D
eposition)、反応性スパッタリング法、イオンプレー
ティング法などが考えられるが、CVDによってAlNの薄膜
を合成することに関しては、月刊雑誌「工業材料」
((株)日刊工業新聞社発行)の第31巻第9号の55頁に
記載されている。これには、塩化アルミニウム(AlC
l3)とアンモニア(NH3)の混合ガスを使用し、1.200〜
1.250℃のSiC基板上にCVD法によってAlNを析出できるこ
とが記載されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来のAlNの合成方法では、1.200
〜1.250℃程度の高温でしか合成ができず、また表面の
粗い膜しか合成できなかった。このように高温によって
合成する場合には、各種デバイスの表面に直接膜を形成
することは不可能であり、絶縁膜などとして使用するこ
とが困難である。また例えばAlNを超硬材の表面に析出
させて、加熱成型金型を製作しようとする場合において
も、上記のような高温では超硬材が変質してしまう。ま
た従来のように面の粗い膜では、加熱成型金型として使
用することには不向きである。
本発明は上記課題を解決するものであり、低温下で、
結晶性に優れ面粗度の良好な窒化アルミニウム膜を高速
度にて析出させることができる窒化アルミニウムの合成
方法を提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、アルミニウムのハロゲン化物と、窒素原子
ならびに水素原子を含む気体とを混合し、この混合気体
をマイクロ波によって放電させてプラズマ化し、このプ
ラズマ領域内に配置した基板表面に窒化アルミニウムの
膜を析出させることを特徴としている。
また、特に好ましい構成としては、アルミニウムのハ
ロゲン化物は、臭化アルミニウムであり、マイクロ波の
周波数が2.45GHzである。
本発明では、混合気体を放電させプラズマ化するため
に例えば2.45GHzのマイクロ波を使用し、これにより、5
00℃以下程度の低温にてAlNを析出できるようにした。
これは、プラズマ中における励起が、物質の比誘電率と
誘電体損失角に関係することに着目したことによる。例
えば、ソースとして臭化アルミニウム(AlBr3)が使用
され、これと窒素ガス(N2)ならびに水素ガス(H2)が
混合されて、この気体がマイクロ波によって放電されて
プラズマ化されると、AlとBr、NとH、AlとN、AlとBr
とH、などの組み合わせのラジカルな結合が存在するよ
うになる。例えば2.45GHzのマイクロ波によって励起さ
れた場合には、比誘電率ならびに誘電体損失角とがマイ
クロ波の影響を受け、上記組み合わせのラジカルな結合
が共振状態となり、各々の元素ごとに分かれ、AlやNが
熱力学的平衡状態を保つようになる。そしてこれが基板
表面にて反応し、AlNの薄膜が形成される。この場合、A
lBr3とN2とのモル比を最適なもの(例えばN2/AlBr3のモ
ル比が15程度)とすれば、430℃程度の低温下におい
て、ミラー指数が(002)配向となった多結晶のAlNの薄
膜を得ることができる。また薄膜の表面粗さも非常に滑
らかなものとなる。
また、マイクロ波を使用したCVD法では、従来プラズ
マを安定させるために供給されていたアルゴン(Ar)な
どがなくても、混合気体が安定したプラズマ状態とな
る。したがって、(Ar)により逆スパッタが生じて成膜
速度が低下することもなくなる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
第1図は、本発明による合成方法に使用するCVD装置
の構造を示す断面図、第2図は、その一部分を示す拡大
断面図である。
第1図において、符号1は石英管などによって形成さ
れた反応管であり、その内部が反応室Aとなっている。
符号2はマイクロ波プラズマ発生装置である。2aはマイ
クロ波発振器であり、この実施例では、サイクロトロン
により2.45GHzのマイクロ波が発振される。2bは導波
管、2cは整合器、2dは反射板である。シリコン(Si)な
どの基板3は、反応室A内にてプラズマ領域内に配置さ
れ支持部材4上に設置される。第2図に拡大して示すよ
うに、支持部材4は、その上端にホルダ4aが設けられ、
このホルダ4aに基板3が設置される。ホルダ4aは窒化シ
リコン(SiN)などによって形成されている。ホルダ4a
には穴4gが設けられている。ホルダ4aの下は石英管4bで
ある。石英管4bの下端は金属管4fに接続されており、こ
の接続部には石英のスペーサ4c,4dならびにシールリン
グ4eが配置されている。金属管4f内には赤外線放射温度
計の検出ヘッド5が収納されている。この検出ヘッド5
は光ファイバ6を介して検出回路部(図示せず)に接続
されている。上記検出ヘッド5から発せられる赤外線は
石英管4b内を通過し、ホルダ4aの穴4gから基板3に照射
される。よって、反応室A内のプラズマの影響を受ける
ことなく、基板3の温度測定が正確に行なわれるように
なる。
反応室Aの上端にはガス供給ノズル7が配置されてい
る。このガス供給ノズル7は多重管であり、この実施例
の場合には二重管となっている。ソース供給部には、恒
温室11が設けられ、その内部にバブラ12が配置されてい
る。このバブラ12内に反応性ガス源として臭化アルミニ
ウム(AlBr3)が充填されている。また13は導入ガスで
ある水素ガス(H2)のボンベ、14は窒素ガス(N2)のボ
ンベである。また符号15は同じく窒素ガス(N2)のボン
ベである。16と17は流量調節器である。バブラ12側から
供給されるガスは、二重管のガス供給ノズル7の内管か
ら反応室A内に供給され、ボンベ15が使用される場合に
は、これから供給される窒素ガスはガス供給ノズル7の
外管から反応室Aに供給される。また21はメカニカルブ
ースタポンプ、22はロータリポンプである。両ポンプの
いずれかによって反応室A内の真空圧が設定される。
なお、実施例の装置では、基板の表面位置をマイクロ
波の通路中心よりもl1だけ高くし、ガス供給ノズル7の
下端位置を基板表面よりもl2だけ高くして、l1とl2を共
に40mmに設定している。これは、基板位置を下げると、
成膜されたAlNが分解しやすくなるからであり、またガ
ス供給ノズルの下端位置を下げると、ノズル内面に成膜
されやすくなるからである。
合成例 以下の表−1は、上記CVD装置を使用して最も良好なA
lN膜が合成された例についてその条件を記載したもので
ある。
上記において基板Siの(400)または(111)はミラー
指数であり、(ABC)とした場合、A軸とB軸は水平な
直交座標、C軸はA軸とB軸に垂直な座標であり、カッ
コ内の各数字は、各軸の座標を示し、この座標によって
示される結晶面を有していることが表わされている。
上記表−1の条件によって合成されたAlNの薄膜は以
下の表−2に示した通りである。
第3図〜第5図は、上記条件によって合成されたAlN
が多結晶で(002)配向であることを示す測定結果であ
る。
第3図は合成された膜に対する分析データを示してい
る。横軸はN2/AlBr3のモル比を示している。左側の縦軸
はX線回折によるデータを示している。これは公定分析
法のASTM(American Society for Testing and Materia
ls)におけるc0値をオングストロームによって示してい
る。(002)配向のAlNの場合には、ASTMによるc0値は4.
9720である。黒丸はc0値の測定点であり、これが4.9720
を示せば、(002)配向のAlNであることが確認できる。
右側の縦軸はWDX法による元素分析のデータを示してお
り、合成された物質のAlとNとの比を示している。白丸
はこのAl/N比の測定点である。この比が1であれば、合
成された物質がAlNであることが確認できる。第3図に
おいて(a)は上記表−1の条件すなわちN2/AlBr3のモ
ル比が15で合成したものの測定値を示している。また
(b)〜(d)は表−1の条件においてN2/AlBr3のモル
比を変えた場合に合成されたものの測定値を示してい
る。(a)〜(d)の各条件のモル比は以下の表−3に
示す通りである。
第3図ではモル比が(a)の場合、AlとNの比(白
丸)が1に非常に近く、またc0値(黒丸)はほぼ4.9720
である。(a)の場合の白丸は1よりもわずかに大きい
値となっているが、これは膜の内部応力によるものと思
われる。よって前記表−1の条件によって合成されたも
のは、(002)配向のAlNであることが確認できる。
第4図はX線回折のデータを2θの角度ごとに分析し
たスペクトルを示している。これは表−1に示す条件
(N2/AlBr3のモル比が15)によって合成されたものを分
析したものである。横軸は2θ、縦軸はX線の強度を示
している。この図におけるピークの位置から、合成され
たものが(002)配向のAlNであることが分かる。
また、第6図〜第8図は、N2/AlBr3のモル比が上記表
−3の(b)(c)(d)である場合のX線回折のデー
タを第4図と同様にして分析したものである。これらの
図から、モル比が15以外であっても、結晶の配向性がや
や劣るが(002)配向のAlNが合成されていることが分か
る。
第5図は、合成されたものをさらに詳しく調べるため
に、オージェ電子分析法(AES)により膜の表面分析を
行なった結果を示している。横軸は、電子エネルギー
(eV)を示している。また縦軸は、横軸の電子エネルギ
ーの単位エネルギー当りの検出電子数の微分値を示して
いる。この図は表−1の条件(モル比は15)によって合
成された膜を分析した結果である。この図に示す通り、
不純物の含有がなく、特に臭素(Br)が混入されていな
いことが分かる。また(O)(C)(Ar)などのスペク
トルは分析中のコンタミネーションであり、合成された
AlN膜の純度が非常に高いことが明らかである。
以上のように、表−1の条件によって多結晶で純度の
高いAlN膜が合成されたことが確認できる。
上記表−1の条件によって合成された膜は(002)配
向の多結晶のAlNであるため、表面が非常に平滑であ
り、表面の平均粗さRaは10nmであった。
また、前述のようにN2/AlBr3のモル比が必ずしも15で
なくてもAlNの合成が可能であるが、例えばモル比が35
の場合、表面硬度はビッカース硬さで2065であった。
なお、表−1では、基板の温度が430℃であるが、基
板の温度はこれ以外であっても合成が可能であり、実験
において測定できた温度範囲は430〜520℃であった。
さらに、上記実施例ではマイクロ波の周波数が2.45GH
zであるが、本発明の方法はこの周波数に限られている
ものではない。マイクロ波の周波数範囲としては、物質
の比誘電率と誘電体損失角とに影響を与えて、プラズマ
中に存在するAlとBr、NとH、AlとN、AlとBrとH、な
どの組み合わせのラジカルな結合を共振させて分離でき
ればよく、900MHz以上の周波数であれば、合成は可能で
ある。
またソースとしては必ずしもAlBr3に限られるもので
はなく、AlCl3などであってもAlNの合成は可能である。
〔効果〕
以上のように、本発明によれば、AlNを従来よりも低
温において合成できるようになる。よってディバイスに
対して直接成膜することが可能になり、ICなどの電子部
品、超硬材の表面にコーティングして工具や金型を製作
するなど、種々の用途に利用できるようになる。
また(002)配向の多結晶のAlNを合成でき、表面の平
滑な膜を得ることが可能になる。さらに成膜速度も従来
よりも速くなる。
また純度が高く、ハロゲンなどの混入されないものを
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の合成方法に使用されるCVD装置の一例
を示す断面図、第2図は装置の一部である基板支持部を
示す拡大断面図、第3図は本発明により合成された窒化
アルミニウムのX線回折データならびに元素分析データ
を示す線図、第4図はX線回折のデータをさらに2θ分
析したものを示す線図、第5図はAESによる分析結果を
示す線図、第6図〜第8図は第4図と同じ分析を条件を
変えて行なった結果を示す線図である。 A……反応室、3……基板、2a……マイクロ波発振器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 眞 宮城県仙台市南小泉3丁目1番3号 (56)参考文献 特開 昭63−176393(JP,A) 特開 昭60−255698(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムのハロゲン化物と、窒素原子
    ならびに水素原子を含む気体とを混合し、この混合気体
    をマイクロ波によって放電させてプラズマ化し、このプ
    ラズマ領域内に配置した基板表面に窒化アルミニウムの
    膜を析出させることを特徴とする窒化アルミニウムの合
    成方法。
  2. 【請求項2】アルミニウムのハロゲン化物は、臭化アル
    ミニウムである請求項1記載の窒化アルミニウムの合成
    方法。
JP63296784A 1988-11-22 1988-11-22 窒化アルミニウムの合成方法 Expired - Lifetime JPH0818916B2 (ja)

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