JP2756787B2 - 水溶性生理活性蛋白質製剤 - Google Patents

水溶性生理活性蛋白質製剤

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は水溶性生理活性蛋白質を投与するにおいて、
たとえば坐剤、フィルム状製剤等の製剤形態にて粘膜に
投与することによって粘膜より水溶性生理活性蛋白質を
吸収させることのできる製剤に関する。
〔従来技術・発明が解決しようとする課題〕
水溶性生理活性蛋白質は、経口的に投与した場合その
殆どが消化管内で加水分解されて活性が消失してしまう
ため、従来その投与は注射によるものが主として実用に
供されてきた。
注射の場合も、吸収代謝の問題から、持続型製剤が種
々検討されてきた。ところが、たとえば水溶性生理活性
蛋白質としてインシュリンを例にとれば、糖尿病患者に
おいては、毎日何回かの注射による投与を繰り返さなく
てはならないので、投与部位を方々に変えても、注射投
与できない程に結合織の増生が起こり、投与そのものが
苦痛となる。
これらの点に鑑みて、皮下への埋込み型製剤も提案さ
れているが、切開埋込み、使用後の取出しという技術的
に困難な操作を伴う上に、埋込み中の異物感と生体の異
物に対する拒絶反応など多くの問題点がある。
この点を解決すべく、インシュリン坐剤の提案(特開
昭62−267238号公報)もある。坐剤の投与個所としては
一般的に直腸が選ばれるが、直腸は消化管蛋白分解酵素
の活性の高い部位であるので、坐剤から溶出したインシ
ュリンは当該酵素の働きによって分解され、また粘膜組
織中に吸収されても蛋白分解酵素によりここでも加水分
解を受けるので分解を上まわる量を投与しなければなら
ないという問題点がある。
従って、本発明の目的は皮内、皮下、筋肉内、静脈内
への投与という煩雑な操作、その他の問題点のある投与
経路を採らずとも、外部(たとえば、粘膜)投与によっ
ても水溶性生理活性蛋白質が所期の薬理効果を発揮し
得、しかも投与時の吸収性に優れ、バイオアベラビリテ
ィーが高く、持続的に作用しうる製剤を提供することで
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は親水性高分子化合物、親水性低分子化合物、
水溶性生理活性蛋白質および蛋白分解酵素阻害剤を配合
してなる水溶性生理活性蛋白質製剤を提供するものであ
る。
本発明で使用される水溶性生理活性蛋白質は生理活性
を有し、粘膜から吸収され得、かつ水溶性のものであれ
ば特に制限はない。ここに水溶性の程度は、第11改正日
本薬局方の「溶けやすい」に該当する程度以上の水溶解
性を有すればよい。水溶性生理活性蛋白質の好ましい分
子量は1万以下であり、より好ましくは5000以下であ
る。
代表的な水溶性生理活性蛋白質としては、例えばイン
シュリン(分子量:約5800)、アンジオテンシンI、II
(分子量:1000〜1300)およびそのアナログ・バソプレ
ッシン(分子量:約1100)類、オキシトシン(分子量:
約1000)、コルチコトロピン(ACTH)(分子量:450
0)、アジュバンドペプチド、オピオイドペプチド、エ
ンドルフィン、エンケファリン、グルカゴン、ソマトス
タチン等があげられる。
本発明の製剤において親水性高分子化合物は、水溶性
生理活性蛋白質、蛋白分解酵素阻害剤などを分散させる
ための基剤として機能するものである。親水性高分子化
合物は、好ましくはその分子量が10万以上、好ましくは
30万以上、より好ましくは50万以上である。当該分子量
の上限には特に制限はないが、好ましくは200万以下、
より好ましくは150万以下である。親水性高分子化合物
としては、製剤上許容され得るものならいずれでもよい
が、代表的なものとしては下記のようなものがあげられ
る。
ポリカルボン酸およびその塩類〔たとえば、ポリアク
リル酸ソーダ、ポリビニルマレイン酸、アクリル酸、メ
チル(メタ)アクリル酸など〕または、無水カルボン酸
(とえば、無水マレイン酸)と他のモノマー〔たとえ
ば、メチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、ブチル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オク
チルアクリレートなど〕との共重合体、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど
のビニル系の親水性高分子化合物、ヒドロキシメチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロースなどのセルロース誘導体、キトサン、コラーゲ
ン、アルギン酸ソーダ、ゼラチンなどの天然高分子化合
物があげられる。親水性高分子化合物は1種または2種
以上を使用することができ、通常部分結晶化イオン結
合、架橋などにより構造上の成型性を持たせることが好
ましい。たとえば、ポリカルボン酸および無水カルボン
酸の少なくとも一種と酢酸ビニル重合体との相溶体の中
に水溶性生理活性蛋白質、親水性低分子化合物、さらに
必要に応じて吸収助剤を分散させること、ポリビニルア
ルコールの溶液に上記の如き各種成分を加えた上で部分
結晶化させること、放射線照射による架橋反応を用いる
ことによって当該成形性を付与させることなどによっ
て、親水性高分子化合物が本発明に供される。
上記親水性高分子化合物は、通常基剤として機能する
ものであるが、所望とする剤型に応じて、当該製剤の製
造用として通常使用される他の基剤を配合することが好
ましい。たとえば坐剤にあっては、ウイテップゾール、
カカオ脂、マクロゴール、グリセロゼラチン、鯨ロウ、
サラシミツロウ、プロピレングリコール、グリセリンな
どが必要に応じて使用される。なお、フィルム状製剤の
場合には、基剤としては上記親水性高分子化合物のみを
使用すれば十分である。
本発明で使用される親水性低分子化合物は次の目的で
配合されるものである。即ち、水溶性生理活性蛋白質
は、基剤中を拡散して生体表面に移行し、吸収されなけ
ればならず、その連続的パスが製剤中に施されていなけ
ればならないが、このパスはミクロ的でもよいし、製剤
全体がこのパスとなり得るものでもよい。しかして、親
水性低分子化合物は当該パスを施すために配合されるも
のである。従って、親水性低分子化合物はかかる機能を
有するものであればよい。
親水性低分子化合物は水溶性生理活性蛋白質が水溶性
のものであるから、粘膜や、投与雰囲気から水分を吸収
し、水溶性生理活性蛋白質を溶解させるものであればよ
い。かかるものとしては、たとえば分子量が10000以
下、好ましくは3000以下のものが例示され、その好まし
い例としては、たとえばポリオール系化合物があげられ
る。ポリオール系化合物としては、たとえばオリゴ糖、
2糖類、単糖類として、シュークロース、マンニトー
ル、ラクトース、L−アラビノース、D−エリスロー
ス、D−リボース、D−キシロース、D−グルコース、
D−マンノース、D−ガラクトース、ラルトース、セロ
ビオース、ゲンチオビオースなど、これ以外のポリオー
ルとしてグリセリンやポリエチレングリコール(MW200
〜3000)が例示される。親水性低分子化合物の他の例と
しては、N−メチルピロリドン、アルコール類(たとえ
ば、オリゴビニルアルコール、エタノール、エチレング
リコール、プロピレングリコールなど)が例示される。
親水性低分子化合物は1種または2種以上が選ばれる。
本発明の製剤は、粘膜などの蛋白分解酵素の存在する
雰囲気下においても使用されるものであり、当該蛋白分
解酵素による分解に基づくバイオアベラビリティの低下
という困難な問題があるが、この点は蛋白分解酵素阻害
剤の配合によって解決される。即ち、蛋白分解酵素阻害
剤の配合によって投与雰囲気中および粘膜に存在するの
蛋白分解酵素活性を抑え、吸収された水溶性生理活性蛋
白質が高率で薬理作用を発現するものである。これによ
り、安定した吸収と薬理効果を示すことになる。
蛋白分解酵素阻害剤としては、たとえばメシル酸ガベ
キサート(ガベキサート)、α−アンチトリプシン、
アプロチニン、ロイペプシン、α−マクログロブリ
ン、ペプスタチン、卵白または大豆トリプシンインヒビ
ターが例示され、これらは1種または2種以上が使用さ
れる。
この蛋白分解酵素阻害剤は、予め水溶性生理活性蛋白
質中に配合しておいてもよく、また親水性高分子化合物
中に配しておいてもよく、また製剤の粘膜などへの適用
面にコーティングまたは当該適用面の表面層に含ませて
おいてもよい。
本発明の製剤中には、さらに水溶性生理活性蛋白質の
吸収と拡散を助けるために、吸収助剤の添加を行うこと
が好ましい。
吸収助剤としては、たとえばサリチル酸ソーダおよび
その誘導体(たとえば、アセチルサリチル酸、サリチル
酸コリン、サリチルアミド)、アミノ酸およびその塩
(たとえば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、
プロリン、ヒドロキシプロリンなどのモノアミノカルボ
ン酸、セリンなどのオキシアミノ酸、アスパラギン酸、
グルタミン酸などの酸性アミノ酸、リジンなどの塩基性
アミノ酸、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩)、N−アセチルアミノ酸(たとえば、N−アセチル
アラニン、N−アセチルフェニルアラニン、N−アセチ
ルセリン、N−アセチルグリシン、N−アセチルリジ
ン、N−アセチルグルタミン酸、N−アセチルプロリ
ン、N−アセチルヒドロキシプロリン)およびその塩
(たとえば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)、
乳化剤として使用される物質(たとえば、オレイルリン
酸ソーダ、ラウリルリン酸ソーダ、ラウリル硫酸ナトリ
ウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアル
キルエステルなど)、カプロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピ
ロリドンカルボン酸、アルキル(C6-12)ピロリドンカ
ルボン酸エステル、N−アルキル(C6-12)−ピロリド
ン、プロリンアシル(C2-12)エステル等があげられ、
双極子能率の大きいものを使用することが好ましい。
水溶性生理活性蛋白質は、それぞれアミノ酸組成に差
があり立体構造上の差もあるので、吸収助剤の中からそ
れぞれに適したものを選ぶことが好ましい。
吸収助剤は投与目的物質の蛋白質の溶解度を変えると
か粘膜上の化学的特性を変え粘膜中への移行を促進する
ものと考えられるが、その詳細なメカニズムは不明であ
る。
本発明製剤における各成分の配合割合は、たとえば次
の通りである。即ち、水溶性生理活性蛋白質0.1〜20重
量部に対して、親水性高分子化合物20〜250重量部、好
ましくは50〜150重量部、親水性低分子化合物1〜50重
量部、好ましくは1〜30重量部、蛋白分解酵素阻害剤0.
001〜10重量部、好ましくは0.01〜1重量部、吸収助剤
0〜30重量部、好ましくは0〜20重量部である。
本発明製剤の製造方法の詳細は次の通りである。即
ち、水溶性生理活性蛋白質の水、有機溶媒(たとえば、
エタノールなどのアルコール類)溶液または分散液を調
製し、少量の乳化剤(たとえば、ポリオキシエチレンソ
ルビタンラウリルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、
ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキ
ルエステルなど)を加え均一に分散または溶解させ(そ
の際、酸性条件下、好ましくはpH5〜7、より好ましく
は5.5〜6.8の条件下に分散または溶解させることが好ま
しい)、そこに必要に応じて吸収促進剤を加え、さらに
親水性低分子化合物に蛋白分解酵素阻害剤溶液を均一に
分散させたものをまぜ、凍結乾燥等の手段によって乾燥
することによって粉末とする。この粉末を親水性高分子
物質溶液に加えて混合し、成型後、凍結乾燥等の乾燥を
行うことにより製剤化する。
本発明の製剤において、口腔粘膜内に適用するものは
湿浸状態で接着性を有するものであることが好ましく、
かつフィルム状またはシート状であることがその使用上
好ましい。
口腔内用としては、ポリカルボン酸と酢酸ビニル樹脂
とを混合したメタノール溶液に前述の水溶性生理活性蛋
白質、吸収促進剤、親水性低分子化合物、蛋白分解酵素
阻害剤などを加えた粉末を混合後キャストしてシート状
成型物を作成し、酢酸ビニルフィルムなどの基材にラミ
ネートすることにより調製されるものが、特に優れた特
性を有する。
蛋白分解酵素阻害剤は前述のように均一に混合(水溶
性生理活性蛋白質と)するものよいが、初期に効果を発
揮させるために、蛋白分解酵素阻害剤を抜いて前述と同
様に調製したフィルム製剤の表面(粘膜に貼付する側)
に蛋白分解酵素阻害剤を水溶液としてキャストし乾燥仕
上げすることもできる。
坐剤においても、上記製剤とその形状が違うのみで製
法は前述とほぼ同じである。蛋白分解酵素阻害剤を表層
に持ってくることは、坐剤の場合においてもより優れた
効果の得られることが多い。
〔実施例・実験例〕
実施例1 (インシュリン末の調製) インシュリン2g(26U/mg日本薬局方)を0.01Nクエン
酸と0.001%Tween80を溶かした水溶液500mlに溶解し、
フェニルアラニンナトリウム塩40gを溶解した。この溶
液を凍結乾燥し、微粉末(粒子径200〜400μm)を約42
g得た(インシュリン:1.24U/mg)。
〔プロテアーゼインヒビター末(PI末)の調製〕
メシル酸ガベキサート(MG)1gとラクトース49gを水5
00mlに溶解し、均一な溶液を凍結乾燥することによりメ
シル酸ガベキサートを2%含むラクトース粉末(MG末)
を得る。
インシュリン末10gとMG末5gを混合し、粉末Iを得
る。カルボキシビニルポリマー4.7部に酢酸ビニル樹脂
1500)4.7部をメタノール90部に溶解しジイソプロ
パノールアミン1部を加え均一な溶液を作る。このポリ
マー溶液100gを取り、粉末Iと均一に混合し、剥離処理
したポリエステルフィルム上にキャストした上で低温乾
燥してフィルム(50μm)を得る。
本フィルムを酢酸ビニル(厚さ80μm)にラミネート
して製剤を製造した。本製剤は2.48U/cm2のインシュリ
ン活性を持つものであった。
2×4cmのサイズで約20Uのインシュリン活性を持って
いた。
なお、最初に調製するインシュリン末の製造用に用い
るインシュリン量を第1表に示すようにそれぞれ1、
2、4および10gとすることによりインシュリン濃度を
変えることができる。
第1表において、各数字の単位はgである。
比較例1 実施例1においてメシル酸ガベキサートを含まないラ
クトースを用いる以外は実施例1と同様にして製剤を製
造した(インシュリン:2.48U/cm2)。
比較例2 インシュリンを直接実施例1で使用した親水性高分子
化合物の溶液に分散させて製剤を製造した(インシュリ
ン:2.48U/cm2)。
実施例2 実施例1のメシル酸ガベキサートに換えて、ロイペプ
シンを用いる以外は実施例1と同様にして製剤を製造し
た。
実施例3 実施例1で使用した親水性高分子化合物溶液をポリビ
ニルアルコール20%に換えた水溶液248gを用い、成型器
にて成型、凍結乾燥して坐剤を製造した(インシュリ
ン:100U/坐剤、0.5g)。
実施例3においても実施例1と同様にインシュリン末
の調製時にインシュリン量を変化させて、それぞれイン
シュリン量50、20、10U/坐剤のものを製造した。
比較例3 実施例3のインシュリン:20U/坐剤の製造においてプ
ロテアーゼインヒビターを抜いて坐剤を製造した。
試験例1〈放出性試験〉 37℃に加温した生理食塩水10mlに実施例1の製剤2×
2cmの小片(インシュリン:2.48U/cm2)と比較例2の同
一サイズ同含量の製剤小片を準備し、粘膜接着面を水に
浸してゆっくり撹拌する。0.5、1、2、4と溶出する
インシュリン量をEIA法により測定した。その結果は第
1図に示す通りである。
第1図に示した結果から明らかなように、本発明の製
剤は水溶性生理活性蛋白質の放出率が良く、また持続性
のあることが判る。
試験例2〈血糖降下作用検討〉 実施例1のそれぞれインシュリン:1.24、2.48、4.9
6、12.4U/cm2の製剤2×4cmサイズおよび比較例1、比
較例2の各製剤を3匹のビーグル犬の硬口蓋部に貼付
し、血糖値の変化を経済的に測定した。初期(貼付前
の)血糖値を100として計算した。その結果は第2図に
示す通りである。
第2図に示した結果から明らかなように実施例1の製
剤のうちインシュリン濃度の高いもの程血糖降下作用は
大きくまた持続している。プロテアーゼ阻害剤を加えな
いものはインシュリンが分解されている為、同量のイン
シュリンを含んでいるものに比べ血糖降下作用が弱まっ
ている。
親水性高分子化合物にインシュリンのみ加えたもので
は、放出が良くなくその作用は落ちている。
試験例3〈血糖降下作用検討〉 実施例3の坐剤についても、投与を肛門に挿入する以
外は、試験例2と同様にして、血糖降下作用を測定し
た。
第3図はその結果を示すものであり、被検ビーグル犬
3頭により得られた値の平均値をプロットしたものであ
る。
本試験においても、前述の実施例2と同様のことが言
える。即ち、坐剤のうちでも肛門坐剤においては、腸管
内蛋白消化酵素の活性が高く、インシュリンの分解され
る率が高い。これがプロテアーゼインヒビターによって
防止されているので、より高いバイオアベラビリティを
得ることができる。
〔発明の効果〕 以上の試験例から明らかなように、水溶性生理活性蛋
白質に親水性高分子化合物、親水性低分子化合物を配合
することにより、水溶性生理活性蛋白質の製剤からの放
出性が高められることが明らかである。
さらには、投与雰囲気、組織部位の蛋白分解酵素によ
る分解を蛋白分解酵素阻害剤により阻害することによ
り、バイオアベラビリティーが高められることが明らか
である。
しかして、たとえばインシュリンなどの活性蛋白の投
与は、従来は注射か埋込みかいずれかであり、患者にと
って投与が長期にわたる場合には極めて苦痛であるばか
りか、投与する部位すらなくなってくるのが実情であ
る。
これに対して、本発明の製剤は上述のように、粘膜
(たとえば直腸、膣、口腔内、鼻腔内、眼)に投与する
ことが可能であり、皮内、皮下、筋肉内、静脈内への投
与の際に伴う煩雑な操作を伴うことなく投与可能であ
り、また注射のように投与部位の硬結、結合織の増生等
の起こらないので、患者を選ぶことなく投与できる。
しかもこの粘膜投与によって、水溶性生理活性蛋白質
の薬理作用を持続的に全身に及ぼし得るものであり、か
つ水溶性生理活性蛋白質の吸収性、バイオアベラビリテ
ィーは極めて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 47/32 A61K 37/26 (56)参考文献 特開 昭60−69028(JP,A) 特開 昭56−138115(JP,A) 特開 昭62−267238(JP,A) 特開 昭56−138112(JP,A) 特開 昭53−15412(JP,A) 特開 昭62−135417(JP,A) 特開 昭56−100714(JP,A) 特開 昭60−116630(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子量が10万以上の親水性高分子化合物、
    分子量が1万以下の親水性低分子化合物、水溶性生理活
    性蛋白質および蛋白分解酵素阻害剤を配合してなる口腔
    内用のフィルム状又はシート状水溶性生理活性蛋白質製
    剤。
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