JP2755142B2 - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents

薄膜磁気ヘッド

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JP2755142B2
JP2755142B2 JP32603993A JP32603993A JP2755142B2 JP 2755142 B2 JP2755142 B2 JP 2755142B2 JP 32603993 A JP32603993 A JP 32603993A JP 32603993 A JP32603993 A JP 32603993A JP 2755142 B2 JP2755142 B2 JP 2755142B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜磁気ヘッドにかか
り、更に具体的には、記録媒体と摺動させて使用するV
TRなどの薄膜磁気ヘッドの先端部分における磁気飽和
に対する改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の薄膜磁気ヘッドとしては、例えば
特開平3−58308号に開示されたものがある。図1
0には、かかる従来例の薄膜磁気ヘッドが示されてい
る。同図中(A)は平面図,(B)は(A)の#A−#
A線に沿って矢印方向に見た断面図、同図(C)は磁気
コアの部分を示す斜視図である。以下の説明では、便宜
上薄膜磁気ヘッドの媒体対向面側を前,その反対側を
後,基板側を下,その反対側を上とそれぞれ表現する。
【0003】これらの図において、基板10上には絶縁
膜12,14が形成されており、絶縁膜14には下コア
16が形成されている。この下コア16上には、前部中
間コア18,20,後部中間コア22,24がそれぞれ
形成されている。
【0004】そして、前部中間コア18,20の間には
絶縁膜による磁気ギャップ26が形成されており、更に
後部中間コア22,24を巻回するようにコイル28が
形成されている。前部中間コア20,後部中間コア24
上には絶縁膜30中に上コア32が形成されている。コ
イル28はリード線34に接続されている。同図(A)
では、絶縁膜30は省略されている。
【0005】このような薄膜磁気ヘッドを同図(A)の
平面から見ると、上下コア16,32の形状はそれらの
後側(同図の右側)では広がっているが、コア先端部
(同図の左側)になるほど絞り込まれており、最終的に
は信号記録のトラック幅と略同一となる。幅が絞り込ま
れてトラック幅と同じになる位置を変曲点Pとすると、
この変曲点Pと前部中間コア18,20との後縁とは略
一致している。また、変曲点Pから前方の部分では、上
下コア16,32,前部中間コア18,20がほぼ同一
の面積となっている。
【0006】更に、同図(B)の断面からみると、コア
厚みは、媒体対向面から変曲点Pに至る寿命寸法(ギャ
ップ深さ)Lの範囲では、上下コア16,32に前部中
間コア18,20を加えた厚みとなっている。同図
(D)には、他の従来例の断面が示されている。この図
は、前記従来例の前部中間コアから後部中間コアに至る
部分に相当し、基板10上の下コア16上には、非磁性
層による磁気ギャップ26,絶縁層40,42が形成さ
れている。絶縁層42にはコイル28が形成されてお
り、その上に上コア32,保護膜44が形成されてい
る。この従来例の平面図は、同図(A)とほぼ同様であ
る。
【0007】同図(B)と(D)を比較すると、同図
(B)のものは、薄膜磁気ヘッドの磁気回路が上下のコ
アの他にそれらを接続する中間コアによって構成されて
おり、同図(D)よりも全体が絶縁層によって平坦に構
成されている。このため、フォトリソグラフィなどの薄
膜技術による各部のパターン形成を良好に行うことがで
き、優れた磁気特性を得ることができる。
【0008】ところで、このような薄膜磁気ヘッドをH
DD(Hard Disk Drive)に利用する場合には、ディス
クと常に接触しない状態で使用されるため、薄膜磁気ヘ
ッドの先端が磨耗することがない。従って、寿命寸法L
を、加工精度限界まで短くすることができる。具体的に
は1μm程度とすることができる。しかし、VTRなど
のように、薄膜磁気ヘッドを記録媒体に接触させて使用
する場合、使用による摩耗を考慮すると、先端の寿命寸
法Lは5〜10μm,あるいはそれ以上の長さを必要と
する。
【0009】また、最近の磁気記録システムでは、記録
密度の向上を図るために記録媒体の保磁力Hcが高くな
ってきており、磁気ヘッドにはそれに対応する大きな記
録能力が要求されるに至っている。このためには、磁気
ヘッドのコアに飽和磁束密度Bsの高い材料を使用する
とともに、その磁性材料の能力を最大限に引き出すこと
ができる構造が必要である。
【0010】しかし、従来の薄膜磁気ヘッドの構造の場
合、記録能力をコアの磁性材料の能力の最大にまで引き
出すためには、上下コアの厚みを寿命寸法以上の厚みと
する必要がある。この理由を、図11を参照して説明す
る。同図には、上述した従来の薄膜磁気ヘッドの前部分
が拡大して示されている。ここで、同図(B)に矢印で
示すように、磁束が上コア32から先端を通って下コア
16に流れる場合を想定する。
【0011】上コア32の磁束は、コアの広い部分(同
図(A)の扇状の部分)から先端の狭い部分に集まり、
変曲点Pの部分を通って先端に流れる。そして、トラッ
ク幅Trの先端部分では、前部中間コア20,磁気ギャ
ップ26,前部中間コア18を通って下コア16に流
れ、更に下コア16の後部へと戻る。このとき、先端の
磁気ギャップ26で漏れる磁束によって媒体(図示せ
ず)に信号が記録される。
【0012】このような薄膜磁気ヘッドにおける最大の
記録能力は、磁気ギャップ26を挟んでトラックを形成
する変曲点Pより先端のコアの部分に、磁性体の飽和磁
束密度Bsまで磁束を流したときである。このときの磁
束の量は、トラック幅Tr,寿命寸法Lに対し、 Tr×L×Bs ……………………………………………………(1) となる。
【0013】一方、変曲点Pの部分を流れる磁気飽和が
生じない最大磁束は、上下コア16,32の厚みをtと
すると、 Tr×t×Bs ……………………………………………………(2) である。
【0014】磁気飽和が生じないようにするためには、
両式が一致するはずである。従って、上下コア厚みtが
寿命寸法Lより短い場合、(1)式>(2)式となっ
て、変曲点Pの部分で磁気飽和が生ずることになる。こ
のため、磁気ギャップ26の部分には、最大能力の磁束
密度が供給されなくなる。この場合の供給量は、飽和磁
束密度Bsのt/Lとなる。よって、上下コア厚みtを
寿命寸法Lよりも大きくしなければ、磁性体の最大能力
に相当する記録能力を引き出すことはできない。このよ
うな理由から、上下コア厚みtとしては、5〜10μm
以上が必要となる。
【0015】しかし、5μm以上のコア厚みtを形成す
ることには、多くの問題がある。まず、加工上の問題が
ある。上下コア16,32は、スパッタリングなどで成
膜した磁性膜をエッチング加工したり、あるいはフレー
ムメッキといった工程で形成されるが、コア厚みtが大
きくなると形状の精度が悪くなる。また、磁気記録のト
ラック幅Trは、記録密度の向上に伴って10μm前後
から数μmと狭くなる傾向になり、このような狭トラッ
クのコアを形成することは、コア厚みtが大きいもので
は困難であり、生産性も極端に悪化する。
【0016】更に、磁気コアは、通常金属磁性体を使用
するため渦電流損失がある。最近のVTRなどでは、性
能向上のため使用する周波数も5MHzから10MHz
以上となっており、特にディジタルVTRやHDTVで
は20MHz以上の周波数を使用する。このため、コア
厚みtを大きくすることによって渦電流損失も多くな
り、実用的に支障を来すことになる。
【0017】このような不都合を改善するため、特願平
5−127821号として出願されたものがある。図1
2には、この先行技術の薄膜磁気ヘッドが示されてお
り、同図(A)は断面,(B)はコア部分の斜視図であ
る。また、同図(C)は本技術と前記従来例のコア部分
平面を比較したものである。これらの図に示すように、
この先行技術では、磁気ギャップ26を挟んで形成され
ている前部中間コア18,20は、その後縁が寿命寸法
L=0の略変曲点Pより後側に延長されている。他の構
成部分は前記従来例と同様である。
【0018】この先行技術によれば、前部中間コア1
8,20の後部とトラックを形成する先端との繋ぎ目部
分での磁気飽和は改善される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
先行技術においては、後部に延長した前部中間コア1
8,20の間隔が、ヘッド先端の磁気ギャップ26と同
じ厚みとなっている。このため、かかる隙間部分で漏れ
磁束が生じ、先端の磁気ギャップ26に供給される磁束
の量が減少することになる。また、この漏れ磁束を低減
するために前部中間コア18,20の延長部分を短くす
ると、今度は磁気飽和の恐れが生ずる。
【0020】本発明は、これらの点に着目したもので、
前記先行技術を更に改良して、磁気飽和や漏れ磁束の発
生を良好に低減するとともに、磁性材料の能力を最大限
に引き出して効率的な磁気記録,再生を行うことができ
る薄膜磁気ヘッドを提供することを、その目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、上コア,下コア,前部中間コア,後部中
間コアによって磁気回路が平坦に構成されており、前記
前部中間コア間には磁気ギャップが形成され、前記上コ
ア,前記下コアの前記前部中間コアに接する第1の部分
の幅はトラック幅と略同一であり、前記上コア,前記下
コアの前記前部中間コアに接しない第2の部分の幅は前
記トラック幅より大であり、前記上コア,前記下コアの
前記第1の部分は前記中間コアの後縁となる略変曲点を
介して前記第2の部分に連続している薄膜磁気ヘッドに
おいて、前記前部中間コアの後縁を上コア又は、下コア
の略変曲点よりも前記後部中間コア側に延長するととも
に、前記前部中間コアの延長部分に磁気ギャップよりも
厚い、非磁性体からなるスペーサを形成したことを特徴
とする。
【0022】他の発明によれば、前記薄膜磁気ヘッドに
おいて、トラック幅Tr,上下一方のコア厚みtu,一
方の中間コア厚みtm,一方の中間コアに相当するスペ
ーサ厚みtsに対して、中間コアの延長部分の概略の長
さLbは、 Lb≧Tr/2−0.2tu2/(tm−ts)+tu に設定される。
【0023】
【作用】本発明によれば、2層の前部中間コアの後縁
は、上下コアの変曲点より後側に延長される。これによ
って、変曲点付近における磁気飽和が防止される。ま
た、延長された2層の中間コアの間に、先端の磁気ギャ
ップより厚い非磁性体によるスペーサが形成される。こ
れによって、中間コアの延長部分における磁束の漏れが
低減される。これらにより、寿命寸法が長くても、十分
な記録能力が得られるようになる。また、他の発明によ
れば、延長部分の長さを規定することで、磁気飽和が防
止されるとともに、材料の性能を最大限に引き出すこと
ができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明による薄膜磁気ヘッドの一実施
例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1には、本実施例にかかる薄膜磁気ヘッドの主要部が
示されている。同図中、(A)は断面図,(B)はコア
部分の平面図である。これらの図に示すように、磁気ギ
ャップ70を挟んで形成されている前部中間コア56,
72はその後端が寿命寸法0の位置即ち変曲点Pより後
側に延長され、その延長された部分の中間コア間に非磁
性材料によるスペーサ65が形成されている。そして、
前部中間コア56,72の延長部分の長さは、後述する
条件を満たすように設定されている。
【0025】なお、スペーサは、同図(C)に66で示
すように、前部中間コア56のみに設けてもよいし、逆
に、前部中間コア72のみに設けてもよい(図示せ
ず)。このように一方の中間コアのみに設けるようにす
れば、後述するように製造工程を簡略化することができ
る。いずれにしても、技術的効果は同図(A)のものと
同様である。
【0026】次に、図2〜図6を参照しながら、前記従
来例の製造方法の例を説明する。まず、基板50上に絶
縁層52,下コア54を所定の厚みに形成し、表面を平
坦化する(図2(A)参照)。この工程を具体的に示す
と、図4(A)〜(D),あるいは同図(X)〜(Z)
のようになる。
【0027】第1番目の方法から説明すると、基板50
上に軟磁性膜53を形成するとともに(図4(A)参
照)、これをエッチングなどによりコア形状のパターン
の下コア54とする(図4(B)参照)。次に、下コア
54を含む基板50の主面上に絶縁膜51を所定の厚み
に形成し(図4(C)参照)、コアパターン54上に堆
積した絶縁膜51を研磨により除去して表面を平坦化す
る(図4(D)参照)。これによって、絶縁膜52と下
コア54を得る。
【0028】次に、第2番目の方法について説明する
と、基板50上に絶縁膜51を形成するとともに(図4
(X)参照)、これにコア形状の溝55を形成する(図
4(Y)参照)。そして、この溝55を含む基板50の
主面上に軟磁性膜53を形成するとともに(図4(Z)
参照)、絶縁膜52上に堆積した軟磁性膜53を研磨に
より除去して表面を平坦化する(図4(D)参照)。こ
れによって、溝55中に残った軟磁性膜53を下コア5
4とする。
【0029】次に、図2に戻って、絶縁膜52,下コア
54の上に、前記図4と同様の方法で前部中間コア5
6,後部中間コア58,絶縁膜60をそれぞれ形成する
(図2(B)参照)。そして、前部中間コア56及び絶
縁膜60の境界表面に、非磁性層を埋め込み形成するた
めの溝62をエッチングにより形成する(図2(C)参
照)。更に、絶縁膜60に、コイルを埋め込み形成する
ための多数の溝64をエッチングにより形成する(同図
(D)参照)。以上のようにして形成した溝62,64
に、Cuなどの金属材料を埋め込むとともに、主面を平
坦となるように研磨除去し、非磁性体によるスペーサ6
6及びコイル68を形成する(同図(E)参照)。
【0030】次に、基板50の主面上であって、後部中
間コアの形成領域を除いた部分に絶縁材料によるギャッ
プ材70を所定の厚さだけ形成する(図2(F)参
照)。また、図2(B)と同様の方法で、前部中間コア
72,後部中間コア74,及び絶縁膜76を主面上にそ
れぞれ形成する(図3(G)参照)。そして、図2
(D),(E)と同様の方法で、2層目のコイル78を
形成する(図3(H)参照)。
【0031】次に、前部中間コア72と後部中間コア7
4の形成領域を除いた部分に絶縁膜80を所定の厚さ形
成するとともに、図2(A)と同様の方法で上コア82
を形成する(図3(I)参照)。また、絶縁膜80にコ
イル78に接続するリード線84を形成する(図3
(J)参照)。そして、基板上に多数形成された各磁気
ヘッド素子のチップを切断し、所定のギャップ深さ(寿
命寸法)となるように研磨などの方法で媒体対向面を加
工して、図1(C)に示す本実施例の薄膜磁気ヘッドが
得られる。
【0032】なお、図1(A)の薄膜磁気ヘッドを得る
場合は、図2(F)の工程の次に、図5に示すスペーサ
67を形成する工程を行うようにすればよい。このスペ
ーサ67と図2(E)で形成したスペーサ66によって
図1(A)のスペーサ65が得られる。スペーサ67
は、例えば図4(A),(B)に示した工程で製造でき
る。
【0033】次に、図6を参照しながら、他の製造方法
について説明する。上述した製造方法の例では、スペー
サ66としてコイル68と同一の材料を用いたが、この
例では異なる材料,例えば非磁性絶縁材料を用いてスペ
ーサ90が形成される。
【0034】上述した図2(C)の工程までは前記製造
方法の工程と同様である。そしてその次に、溝62を含
む基板50の主面上に、例えばSiO2などの非磁性絶
縁材料の膜を形成し、更に不要部分を研磨除去して平坦
に形成する(図6(A)参照)。このようにしてスペー
サ90を埋め込み形成した後、コイルを埋め込み形成す
るための多数の溝92を、絶縁膜60にエッチングによ
り形成する(同図(B)参照)。そして、これらの溝9
2に、Cuなどのコイル材料を埋め込むとともに、主面
を平坦となるように研磨除去し、コイル68を形成する
(同図(C)参照)。以後、図2(F)の工程に続く。
【0035】次に、前記図1の他に図7〜図9を参照し
ながら、前記実施例の作用について説明する。コイル6
8,78に対する通電によって生ずる磁束は、ヘッド後
部からヘッド先端の方に流れる。このとき、図1(A)
に示すように、磁束の一部αが、変曲点Pよりも前の位
置で前部中間コア72の延長部分に流れ込み、その後ヘ
ッド先端に導かれる。残りの磁束βは、従来通り、上コ
ア82中を先端方向に流れ、その後前部中間コア72か
ら磁気ギャップ70へと流れる。
【0036】このように、上述した従来技術では変曲点
Pの部分で磁気飽和していたものが、本実施例によれ
ば、変曲点P付近における断面積が増大したことにより
磁気飽和が低減されるようになる。具体的には、前部中
間コア56,72の厚みからスペーサ65の厚み相当を
差し引いた分だけ断面積が増大しており、その分多くの
磁束を通すことができる。
【0037】また、本実施例では、スペーサ65(又は
66)が形成されているため、変曲点Pの部分より後方
において前部中間コア56,72の間隔が大きくなって
いる。このため、前部中間コア56,72の延長部分に
おける漏れ磁束が良好に低減されてほとんどなくなり、
効率の低下が防止される。
【0038】具体的な寸法について説明すると、例え
ば、各コア54,56,72,82の厚みがいずれも5
μmであるとし、磁気ギャップ70が0.2μm,スペ
ーサ65の厚みが2μmであるとする。このような寸法
の場合、ヘッド先端に流れる磁束は、従来と比較して、 (上コアの厚み+中間コアの延長部分の厚み)/上コアの厚み ={5+(5−2)}/5=8/5=1.6 ………(3) となり、60%ほど多くすることができる。すなわち、
前記(1),(2)式を参照すれば明らかなように、寿
命寸法Lが8μm以内であればコア部分の磁性材料の能
力の最大の記録能力を得ることができる。また、スペー
サ65の間隔は磁気ギャップ70の10倍もあるため、
このスペーサ部分における漏れ磁束の程度は直ギャップ
部分に対して1/10に減少する。
【0039】このように、本実施例の薄膜磁気ヘッドに
よれば、記録や再生の効率を落とすことなく、長い寿命
寸法でも充分な記録能力を得ることが可能となる。次
に、前部中間コア56,72の延長部分の適切な長さに
ついて検討する。図7には、前記実施例における前部中
間コア72と上コア82の部分が拡大して示されてい
る。同図においては、以下の説明の理解を容易にするた
め、スペーサ65のヘッド先端側部分がテーパ状ではな
く垂直状としている。同図において、前部中間コア72
の延長部分72Aの長さLbがある程度以下であると、
上コア82であって中間コア72の延長部分72A上部
に位置する部分,つまり磁束が上コア82からヘッド先
端部分に流れ込もうとする磁束流入領域ECで、再び磁
気飽和が発生する恐れがある。
【0040】逆に、中間コア72の延長部分72Aがあ
まり長いと、二層の前部中間コア56,72間のスペー
サ65の部分で漏れる磁束も多くなるとともに、コイル
68,78とコア先端との距離も長くなって効率が低下
するようになる。このような理由から、中間コア72の
延長部分72Aとしては、上コア82の磁束流入領域E
Cにおける磁気飽和が起こらない程度であって、かつ、
ヘッド先端まで最短となる長さが最適ということにな
る。なお、これらの点は、下コア54と前部中間コア5
6との関係においても同様であるので、以下、上コア8
2と前部中間コア72を代表して説明することとする。
【0041】次に、図8,図9を参照しながら、中間コ
ア72の延長部分72Aの長さLbの最適値を求めるた
め、上コア82の磁束流入領域ECに流れ込む磁束につ
いて考察する。図8には、前記磁束流入領域ECの部分
が抜き出して示されている。また、図9には、磁束流入
領域ECの側面が示されている。
【0042】ヘッド後部からヘッド先端側に流入する磁
束は、必ずこの磁束流入領域ECの部分を通る。まず、
同領域ECの後側のC1面に流れ込む磁束について検討
する。C1面の下に位置する中間コア72の延長部分7
2Aの厚みは、中間コア72の厚みtmからスペーサ6
5の厚みの半分であるtsを引いたtm−tsとなる。
そこで、C1面のtm−tsの部分[abcd]から流
入した磁束が[adef]の部分を通って中間コア72
に直接流れ込むものとする(図9,矢印FA参照)。
【0043】次に、磁束流入領域ECのC1面の残りの
上の部分[bghc]に流れ込む磁束は、この[bgh
c]の面積をそのままC3面に移動した領域を通って、
C3面の[ijkl]から上コア82の先端に流れ込む
ものとする(図9,矢印FB参照)。なお、[ijk
l]の厚みは、上コア82の厚みをtuとすると、tu
−(tm−ts)となる。
【0044】すると、C3面の残りの上の部分[ijn
m]から流出する磁束は、C2,C4面から流入する磁
束であるということになる。C2,C4面においては,
上述したC1面から流入した磁束が通る部分[gpjk
fab],[hoiledc]からは磁束が流れ込めな
いため、残りの[njpg],[mioh]の部分から
磁束が流入することになる(図9,矢印FC参照)。こ
こで、磁束の流出面積よりも流入面積の方が大きけれ
ば、この磁束流入領域ECにおける磁気飽和が防止され
る。すなわち、C3面の残りの上の部分[ijnm]の
1/2の面積よりも、残りの側面[njpg],[mi
oh]の面積の方が大きければよい。
【0045】次に、この面積の関係を図9を参照して求
める。同図において、1/4円agsの面積は、上コア
厚みtuに対し、tu2・π/4である。[gqrp]
の面積は、[rps]の面積が小さいのでこの部分を無
視すると、tu2−tu2・π/4=0.2tu2とな
る。線分nqはLb−tu,線分njはtm−tsであ
る。このため、[njpg]の面積S1は、 S1=(Lb−tu)(tm−ts)+0.2tu2 ………………(4)
【0046】この面積S1が図8における上コア先端上
部の[ijnm]の面積の1/2より大きければ、磁束
流入領域ECの部分における磁気飽和は生じない。先端
の[ijnm]の面積はTr・(tm−ts)であるの
で、 Tr・(tm−ts)/2≦S1 =(Lb−tu)(tm−ts)+0.2tu2 ………………(5) となる。
【0047】この条件から磁気飽和が生じない中間コア
72の延長部分72Aの長さLbを求めると、 Lb≧Tr/2−0.2tu2/(tm−ts)+tu ……………(6) となる。従って、最短寸法としては、 Lb=Tr/2−0.2tu2/(tm−ts)+tu ……………(7) となる。
【0048】これが、最適で効率よく最大の磁束をヘッ
ド先端に流すことができる中間コア72の延長部分72
Aの寸法である。上述した具体的な寸法条件でこの長さ
を導くと、トラック幅Tr=14μmの場合、Lb≒1
0μmとなる。
【0049】<他の実施例>なお、本発明は、何ら上記
実施例に限定されるものではなく、例えば次のようなも
のも含まれる。 (1)前記実施例ではコイルが2段に巻回されている
が、例えば1段とするなど必要に応じて適宜変更してよ
い。前記実施例に示した形状,寸法なども一例であり、
必要に応じて適宜変更してよい。 (2)本発明は、VTRの磁気ヘッドが好適な例である
が、媒体と接触するような場合であれば、DAT,FD
Dなど各種のものに適用可能である。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による薄膜
磁気ヘッドによれば、次のような効果がある。 (1)前部中間コアを後方に延長するとともに、延長部
分に磁気ギャップよりも厚みのあるスペーサを形成する
こととしたので、磁気飽和や漏れ磁束の発生を良好に低
減することができる。 (2)中間コアの延長部分の長さを最適値に規定するこ
ととしたので、磁性材料の能力を最大限に引き出して効
率的な磁気記録,再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による薄膜磁気ヘッドの実施例の主要部
を示す構成図である。
【図2】前記実施例の製造プロセスを示す説明図であ
る。
【図3】前記実施例の製造プロセスを示す説明図であ
る。
【図4】前記実施例の製造プロセスの一部を詳細に示す
説明図である。
【図5】前記実施例の他の製造プロセスの主要工程を示
す説明図である。
【図6】前記実施例の他の製造プロセスの主要工程を示
す説明図である。
【図7】前記実施例の磁束流入領域を示す説明図であ
る。
【図8】前記磁束流入領域の作用を示す説明図である。
【図9】前記磁束流入領域の側面を示す説明図である。
【図10】従来の薄膜磁気ヘッドの一例を示す説明図で
ある。
【図11】前記従来技術の作用を示す説明図である。
【図12】前記従来技術を改良した先行技術を示す説明
図である。
【符号の説明】
50…基板 54…下コア 56,72…前部中間コア 58,74…後部中間コア 65,66,67,90…スペーサ 68,78…コイル 70…磁気ギャップ 72A…延長部分 82…上コア EC…磁束流入領域 L…寿命寸法 Lb…延長部分の長さ tm…中間コア厚み ts…スペーサ厚み tu…上コア厚み P…変曲点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/31

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上コア,下コア,前部中間コア,後部中
    間コアによって磁気回路が平坦に構成されており、前記
    前部中間コア間には磁気ギャップが形成され、前記上コ
    ア,前記下コアの前記前部中間コアに接する第1の部分
    の幅はトラック幅と略同一であり、前記上コア,前記下
    コアの前記前部中間コアに接しない第2の部分の幅は前
    記トラック幅より大であり、前記上コア,前記下コアの
    前記第1の部分は前記中間コアの後縁となる略変曲点を
    介して前記第2の部分に連続している薄膜磁気ヘッドに
    おいて、 前記前部中間コアの後縁を上コア又は、下コアの略変曲
    点よりも前記後部中間コア側に延長するとともに、前記
    前部中間コアの延長部分に磁気ギャップよりも厚い、非
    磁性体からなるスペーサを形成したことを特徴とする薄
    膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜磁気ヘッドにおい
    て、トラック幅Tr,上下コアの一方の厚みtu,一方
    の中間コア厚みtm,一方の中間コアに相当するスペー
    サ厚みtsに対して、中間コアの延長部分の概略の長さ
    Lbを、 Lb≧Tr/2−0.2tu/(tm−ts)+tu としたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
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