JP2755044B2 - 写真印画紙用支持体 - Google Patents

写真印画紙用支持体

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JP2755044B2
JP2755044B2 JP4132730A JP13273092A JP2755044B2 JP 2755044 B2 JP2755044 B2 JP 2755044B2 JP 4132730 A JP4132730 A JP 4132730A JP 13273092 A JP13273092 A JP 13273092A JP 2755044 B2 JP2755044 B2 JP 2755044B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真印画紙用支持体に関
するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、
電子線を照射することにより硬化する樹脂(以下、電子
線硬化性樹脂と云う)の硬化体からなる少なくとも2層
以上の積層体の表面樹脂被覆層を有する写真印画紙用支
持体に関するものであり、この写真印画紙用支持体にお
いて各層間の接着性が改善され、かつ現像処理時に発生
する黄変が防止される。
【0002】
【従来の技術】従来、写真印画紙用支持体としては、い
わゆるバライタ紙が用いられ、これは強サイズ性、およ
び高強度を付与した紙の両面に、硫酸バリウムのような
白色顔料を塗布して製造されたものである。しかし、近
年、バライタ紙に代って、紙からなる基体の両面にポリ
オレフィン樹脂を被覆して製造されたポリオレフィン樹
脂被覆支持体が広く使用されるようになってきた。この
ような支持体は、ポリオレフィン被覆層が疎水性である
ため、バライタ紙に比較して、現像定着処理中に処理液
が支持体中に浸透しにくく、このため水洗時間や乾燥時
間が大幅に短縮されるという利点を有し、また、紙基体
への処理液の浸透がないため、支持体自体の伸縮が抑制
され、優れた寸法安定性を有するなどの長所を有してい
る。
【0003】しかしながら、このような支持体のポリオ
レフィン樹脂被覆層には、隠蔽力あるいは解像力を向上
させるために二酸化チタンのような無機白色顔料を配合
する必要があるが、このような顔料は樹脂中への分散性
が不良であり、また顔料中に含まれる揮発成分が溶融押
し出し工程において発泡し、樹脂被覆層に膜割れを発生
させるなどの問題を有している。このため、樹脂被覆層
中への顔料の配合量には限界があり、一般的には、二酸
化チタンを用いる場合、約20重量%をこえて多量に配
合することは困難であり、従って、このような従来の写
真印画紙用支持体を用いて得られた写真印画紙は、画像
鮮鋭性において十分満足できるものとはいえなかった。
【0004】近年になって、電子線硬化性樹脂を支持体
に塗布し、これに電子線照射を施して硬化した電子線硬
化樹脂被覆層を有する写真印画紙用支持体が提案されて
いる(例えば特公昭60−17104号、特公昭60−
17105号、特開昭57−49946号など)。この
方法によれば樹脂被覆層を形成する際に樹脂組成物を高
温に加熱する必要がなく、また顔料含有量を20〜80
重量%まで増加させることができ、従って、このような
支持体を用いて得られる写真印画紙の画像鮮鋭性は、ポ
リオレフィン樹脂被覆写真印画紙に比べて格段に向上し
ている。
【0005】しかしながら、上記のような電子線硬化樹
脂被覆層の上に写真乳剤層を設けて製造された写真印画
紙は、写真現像工程において現像処理薬品が樹脂被覆層
に吸着されて残留し、現像処理後に黄色に着色する現
象、すなわち黄変が発生したり、更に、長期間保存した
後、これに現像処理を施すと、製品として無視できない
程度にカブリが発生したり、あるいは感度が変化したり
する場合があることが判明した。
【0006】これらの問題を解決するために種々の改善
方法が提案されており、例えば特公平1−21495号
には、保存時の感度変化を抑制する手段として、電子線
硬化樹脂被覆層の上にポリエチレン樹脂被覆層を設ける
方法が開示されている。しかしこの方法では、ポリエチ
レン樹脂被覆層の厚さを厚くしなければカブリ低減の効
果は認められず、しかも顔料配合量の比較的少ないポリ
エチレン樹脂被覆層が電子線硬化樹脂被覆層の表面を覆
うために、電子線硬化性樹脂を利用する場合のメリット
の一つである画像鮮鋭性の向上を犠牲にしなければなら
ないなどの問題点を有している。
【0007】また、特開昭60−144736号には、
原紙と電子線硬化樹脂被覆層との間に遮蔽層を設けるこ
とにより、保存中に生ずる写真的感度の変化を抑制する
方法が提案されている。しかし、ここで遮蔽層形成用材
料として提案されているものでは、長期保存時のカブリ
防止という点に関してはなお不十分なものである。
【0008】さらに、特開昭62−61049号、およ
び62−141543号には、電子線硬化性樹脂とし
て、特定のポリマー、またはモノマーを使用して、カブ
リおよび黄変を防止する方法が提案されているが、これ
らの方法を用いても、必ずしも十分に満足すべき結果は
得られていない。
【0009】上記問題点のうち、カブリを防止する方法
として、本発明者らは、既に、支持体用原紙を製造する
際に、マグネシウム化合物を原紙に担持させることによ
り防止する方法が提案されている。
【0010】また、黄変を防止する方法として、表面樹
脂被覆層を2層以上の積層構造とした写真印画紙用支持
体が提案されている。このような写真印画紙用支持体
は、あらかじめ成型体面上で硬化された樹脂被覆層と、
シート状基材上に設けられた樹脂被覆層とを貼合せ、さ
らに硬化して一体化させることにより得られるものであ
る。しかしながら、このような構成の写真印画紙用支持
体は、黄変防止には有効であるが、電子線の照射によっ
て樹脂の架橋密度が高くなり、積層された樹脂被覆層の
層間に構造的な界面を生じ、各層間の接着性が不十分と
なり、その結果現像処理時に層間剥離を生じるという新
たな問題が発生している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電子線硬化
樹脂被覆層を設けた写真印画紙用支持体の有する前記の
如き欠点を解消し、現像処理時における黄変を抑制し、
適度な柔軟性を有し、かつ各層間の接着性が良好な写真
印画紙用支持体を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の電
子線硬化樹脂被覆層を有する写真印画紙用支持体の上記
問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、写真乳剤層
が設けられる側の表面樹脂被覆層を2層以上の多層構造
にし、さらに写真乳剤層と接する樹脂被覆層最外層を、
その最外表面が成形面上に密着し、その反対面が酸素濃
度が比較的高い雰囲気に露出している状態で電子線照射
されて1次硬化され、次にこの反対面が他の電子線硬化
樹脂に接合した状態で電子線により2次硬化されること
により、各層間の接着性が良好で、しかも最外表面の硬
化架橋密度が高く、従って黄変を抑制した写真印画紙用
支持体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明の写真印画紙用支持体
は、シート状基材と、前記シート状基材の写真乳剤層が
形成される側の面上に形成された表面樹脂被覆層と、前
記シート状基材の、他の側の面上に形成された裏面樹脂
被覆層とを有し、前記表面樹脂被覆層が、電子線を照射
することにより硬化する樹脂の硬化体からなる少なくと
も2層以上の電子線硬化樹脂層の積層体からなり、かつ
その最外層が、その最外表面が成形面に密着し、その反
対面が酸素濃度600ppm 以上の雰囲気に露出している
状態において電子線照射により1次硬化され、それによ
って最外表面は強く硬化され、前記反応面は弱く硬化さ
れ、かつ前記最外層の前記弱く硬化された反対面が他の
電子線硬化樹脂層に接合され、さらに電子線により2次
硬化されたものであって、前記最外層の最外表面が最も
高い硬化架橋密度を有し、かつ前記反対面が前記他の電
子線硬化樹脂に強く接着していることを特徴とするもの
である。
【0014】
【作用】本発明の写真印画紙用支持体を製造する具体的
方法において、先ず表面樹脂被覆層の最外層を形成する
ための電子線硬化性樹脂を、成形用基体のキヤスト面
(成形面)上に塗布し、この塗布層の一面が成形用基体
のキヤスト面(成形面)は密着し、この反対面が酸素濃
度が600ppm 以上の雰囲気に露出している状態で、こ
の塗布層に電子線を照射して1次硬化させ、最外層とな
る樹脂層を形成する。
【0015】これとは別に、シート状基材面上に電子線
硬化性樹脂を塗布して塗布層を形成し、前記成形用基体
上において、この塗布層と、前記最外層の前記反対面と
を貼合せ、再びこれに電子線を照射して2次硬化し、両
層を一体化させた後、これを成形面から剥離する。この
ようにすれば層間接着性が良好で、かつ最外層の最外表
面の最も高い硬化架橋密度に基づく優れた黄変防止性を
有する本発明の写真印画紙用支持体が製造される。
【0016】上記の方法により製造された本発明の写真
印画紙用支持体が、良好な層間接着性を有し、かつ黄変
防止性も改善されるのは次の理由による。まず、現像処
理工程において樹脂被覆層が黄変するのは、現像処理液
中に含まれている現像主薬が樹脂被覆層に吸着され、こ
れが酸化されて着色するためである。したがって、黄変
を防止するためには、最外層樹脂被覆層(特にその最外
表面)の架橋密度を高くし、かつ最外層樹脂被覆層への
現像主薬の吸着を少なくすればよい。しかしながら、最
外層樹脂被覆層の架橋密度を高くすると、最外層樹脂被
覆層とシート状基材面上に塗布した樹脂層との間の結合
力が低下し、その結果層間接着性が悪くなる。
【0017】また、電子線を照射して電子線硬化性樹脂
を硬化する場合、酸素が存在すると重合反応が阻害され
るため、一般には窒素ガスを還流して、酸素濃度が低い
雰囲気中で行われている。したがって、電子線量が同一
の場合、酸素濃度が高い場合には、酸素濃度が低い場合
よりも電子線硬化性樹脂の重合反応が阻害され、それだ
け樹脂の架橋密度が低く抑えられ、層間の結合力の低下
が少なくなり、接着性の良い樹脂被覆層が得られること
になる。
【0018】本発明においては、前述のように、最外層
を形成するときに、電子線硬化性樹脂を成形面上に塗布
し、次にこの塗布層の一面が成形面に密着し、その反対
面が600ppm 以上という酸素濃度が高い雰囲気に露出
している状態で前記塗布層に電子線を照射し、これを1
次硬化し、それによって1次硬化された最外層が形成さ
れる。この場合、最外層の、成形面に接する側の面(以
下、最外層表面と云う)は、反対側の面、すなわち、酸
素濃度が高い雰囲気に曝される側の面(以下、最外層裏
面と云う)に比べて、無酸素状態、あるいは酸素濃度が
極めて低い状態にあるため、形成される最外層の最外層
表面部分は強く硬化されるが、最外層裏面部分は弱く硬
化され、両部分の間に架橋密度の差が生じ、最外層表面
部分の方が最外層裏面部分よりも架橋密度が高くなる。
【0019】すなわち、形成される最外層の最外層表面
は、現像処理工程において現像処理液と接する面である
が、緻密な樹脂により形成されているため、現像主薬を
吸着することがなく、したがって黄変が防止される。一
方、最外層裏面は、他の樹脂被覆層と貼合わされる面で
あるが、樹脂の架橋密度が低くなるため、他の樹脂層と
の接着性が極めて良好である。
【0020】上記に説明したように、本発明の写真印画
紙用支持体は、表面樹脂被覆層の最外層の表裏面部分の
架橋密度を互に相違させることにより、(つまり最外層
裏面側部分の1次硬化架橋密度を低くし、最外層表面側
部分の1次硬化架橋密度を高くしておくことにより)、
層間接着性と黄変防止性との両方を改善したものであ
る。したがって、本発明において、表面樹脂被覆層を形
成するために使用する電子線硬化性樹脂としては、最外
層には高い架橋密度を得ることができる官能基の多い樹
脂を用いることが有利であり、その他の樹脂層には、架
橋密度が低く、柔軟性の良好な樹脂を形成するように、
官能基の少ない樹脂を用いることが好ましい。
【0021】本発明の表面樹脂被覆層の形成に用いられ
る電子線硬化性樹脂は、下記の化合物から選ぶことが出
来る。 (1)脂肪族、脂環族、および芳香族の、1〜6価のア
ルコール及びポリアルキレングリコールのアクリレート
化合物類 (2)脂肪族、脂環族、芳香族の、1〜6価のアルコー
ルにアルキレンオキサイドを付加させたもののアクリレ
ート化合物類 (3)ポリアクリロイルアルキルリン酸エステル類 (4)カルボン酸と、ポリオールと、アクリル酸との反
応生成物類 (5)イソシアネートと、ポリオールと、アクリル酸と
の反応生成物類 (6)エポキシ化合物とアクリル酸との反応生成物類 (7)エポキシ化合物と、ポリオールと、アクリル酸と
の反応生成物類
【0022】具体的に述べるならば、電子線硬化性樹脂
は、ポリオキシエチレンエピクロルヒドリン変性ビスフ
ェノールAジアクリレート、ジシクロヘキシルアクリレ
ート、エピクロルヒドリン変性ポリエチレングリコール
ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート、ヒドロキシビバリン酸エステルネオペンチルグリ
コールジアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレン
グリコールアクリレート、エチレンオキサイド変性フェ
ノキシ化リン酸アクリレート、エチレンオキサイド変性
フタル酸アクリレート、ポリブタジエンアクリレート、
カプロラクタン変性テトラヒドロフルフリルアクリレー
ト、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、
1,4−ブタジエンジオールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジアクリレート、およびネオペンチルグ
リコール変性トリメチロールプロパンジアクリレートな
どから選ばれることが好ましい。
【0023】本発明においては、これらの樹脂を単独で
使用してもよく、あるいはこれらの樹脂のうちの2種以
上を組み合わせて使用してもよいが、最外層形成に使用
する樹脂としては、高い架橋密度を与えるように、4個
以上の官能基を有する樹脂を用いることが有利であり、
その他の樹脂層には、1〜3個の官能基を有する樹脂を
用いることが好ましい。
【0024】本発明の表面樹脂被覆層には、印画紙とし
たときの画像の鮮鋭性を向上させるために、白色顔料を
含有させることが好ましい。白色顔料としては、主とし
て二酸化チタンが使用されるが、この他には、硫酸バリ
ウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、
および酸化マグネシウムなどのいずれも使用可能であ
る。
【0025】白色顔料の含有量は、表面樹脂被覆層の全
固形分重量の20〜80重量%であることが好ましい。
この含有量が20重量%未満では、得られる印画紙の写
真画像の鮮鋭性が十分でないことがあり、またそれが8
0重量%を超えると、得られる樹脂被覆層の柔軟性が低
下し、膜割れを生ずることがある。
【0026】白色顔料を、上記のような電子線硬化性樹
脂中に分散するには、3本ロールミル(スリーロールミ
ル)、2本ロールミル(ツーロールミル)、カウレスデ
ィゾルバー、ホモミキサー、サンドグラインダー、プラ
ネタリーミキサー、および超音波分散機などを使用する
ことができる。
【0027】また、樹脂組成物を、成形面あるいはシー
ト状基材表面に塗布する方法としては、例えばバーコー
ト法、エアードクターコート法、ブレードコート法、ス
クイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート
法、グラビアコート法およびトランスファーコート法な
どを利用できる。更にこのために、ファウンテンコータ
ーあるいはスリットダイコーター方式を用いることもで
きる。特に金属円筒形回転体の表面を成形用基体表面と
して利用する場合には、この成形面に傷を付けないため
の配慮から、ゴムロールを使用するロールコート法、あ
るいはオフセットグラビアコート法が用いられ、さらに
は非接触タイプのファウンテンコーターやスリットダイ
コーター法なども有利に用いられる。
【0028】本発明の表面樹脂被覆層の塗布量は、硬化
後の塗布量が2〜60g/m2 になるように調整される
ことが好ましい。
【0029】本発明において、電子線照射に用いられる
電子線加速器としては、バンデグラーフ型スキャニング
方式、ダブルスキャニング方式、カーテンビーム方式の
いづれでも使用できるが、比較的安価で大出力の得られ
るカーテンビーム方式のものが有利に用いられる。電子
線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであるこ
とが好ましく、また吸収線量としては、0.1〜6Mr
adであることが好ましく、0.2〜4Mradである
ことが特に好ましい。但し、成形面上で形成される最外
層の硬化には、シート状基材の劣化を考慮する必要がな
いため、更に高い線量の使用が可能である。
【0030】本発明において、表面樹脂被覆層の最外層
を形成する場合には、酸素濃度が600ppm以上、好
ましくは1000ppm以上の雰囲気中で塗布層に電子
線を照射して電子線硬化性樹脂の硬化を行なう。この場
合、共存するガスの種類やその濃度、並びに雰囲気の温
度、および湿度などは特に限定はなく、窒素などの不活
性ガスと共存しても差しつかえない。
【0031】次に、本発明の表面樹脂被覆層の形成に使
用される装置を添付図面によって説明する。
【0032】図1において、最外層を形成するための電
子線硬化性樹脂組成物3は、塗料容器2からオフセット
グラビアコーター等のコーター4a,4bを用いて金属
製ドラムからなる成形用基体5の表面上に塗布され、第
1の電子線照射装置6から照射される電子線により1次
硬化され、硬化膜7となる。この時、第1の電子線照射
装置6における電子線の照射は、酸素濃度が600ppm
以上、好ましくは1000ppm 以上の雰囲気中で行なわ
れる。一方、容器8中の電子線硬化性樹脂組成物9は、
コーター10a,10b,10cを用いてシート状基材
11上に塗布され、塗布層12が形成される。次いで、
塗布層12は、ガイドロール13により金属製ドラムか
らなる成形用基体5の上に導かれて前記硬化膜7と貼合
され、第2の電子線照射装置14からの電子線照射によ
り2次硬化合体されて表面樹脂被覆層が形成され、その
後ガイドロール15を経て、上記工程により作製された
写真印画紙用支持体16が成形用基体5から剥離され
る。
【0033】図2は、成形用基体としてフィルムを利用
する場合の実施例を示している。図2の製品において
は、金属ドラム5のかわりにポリエステルフィルムのよ
うな高分子フィルム17の表面を成形面として利用する
ものある。この場合も、図1の場合と同様に、第1の電
子線照射は、高酸素濃度の雰囲気すなわち、600pp
m以上、好ましくは1000ppm以上の酸素濃度の雰
囲気で行なわれる。また、第2の電子線照射は、図2に
示すように、成形用フィルム17を通して照射されても
よく、あるいは成形用フィルム17とは反対側のシート
状基材11の背面から照射されてもよい。成形用フィル
ム17は、巻き取ったあと再び繰り返し使用に供される
が、エンドレスベルト状のものであってもよい。また成
形用フィルム17は必ずしも高分子フィルムである必要
はなく、ベルト状の金属膜であってもよく、さらに金属
膜はエンドレスベルト状であってもよい。
【0034】図1および図2のいずれの場合も、最外層
となる硬化膜7は、都合2回の電子線照射を受けるた
め、最外層硬化膜(特にその最外表面部分)の架橋密度
が高くなり、現像処理における黄変が抑制され、さらに
耐水性および光沢が付与されるものである。
【0035】本発明の裏面樹脂被覆層は、従来から写真
印画紙用支持体の製造に用いられているポリオレフィン
樹脂のようなフィルム形成性合成樹脂により有利に形成
される。また、前述の電子線硬化性樹脂等により形成し
たものであってもよい。
【0036】本発明において、その裏面樹脂被覆層を形
成するためのポリオレフィン樹脂としては、エチレン、
又はα−オレフィン類、例えばプロピレンなどの単独重
合体、前記エチレンおよびα−オレフィンの少なくとも
2種の共重合体、および、これら各種重合体の少なくと
も2種の混合物などから選ぶことが出来る。特に好まし
いポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、直鎖型低密度ポリエチレン、およびこれ
らの混合物である。ポリオレフィン樹脂の分子量には特
に制限はないが、通常は20000〜200000の範
囲のものが用いられる。これらの樹脂を通常の溶融押出
し塗工法により被覆して、裏面樹脂被覆層を形成する。
また、ポリオレフィン樹脂には、必要に応じて、少量の
酸化防止剤、および滑剤を添加してもよい。
【0037】また、裏面樹脂被覆層を形成するために電
子線硬化性樹脂を用いる場合、前述の表面樹脂被覆層の
形成に用いられる化合物をすべて使用できる。更に裏面
樹脂被覆層の形成方法も、前述の表面樹脂被覆層の場合
と同様である。裏面樹脂被覆層の重量には特に制限はな
いが、通常10〜40g/m2 の範囲にあることが好ま
しい。
【0038】本発明に用いられるシート状基材は、一般
に写真用支持体の製造に用いられている原紙、すなわち
天然パルプを主成分とし、高白色度を有し、かつ表面の
平滑な原紙が有利に用いられる。
【0039】原紙を形成するための天然パルプとして
は、一般には、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広
葉樹混合パルプ等を主成分とするものが有利に用いられ
る。また、原紙中には一般に製紙で用いられているサイ
ズ剤、定着剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、pH調節
剤、顔料、染料等の添加剤が配合されていてもよい。更
に、表面サイズ剤、表面紙力剤、帯電防止剤等を適宜表
面に塗布したものであってもよい。また、印画紙にした
ときの長期保存時に発生するカブリを防止する目的でマ
グネシウム化合物を担持させてもよい。
【0040】さらに本発明において、シート状基材とし
て、プラスチックフィルムや、いわゆる合成紙を使用し
てもなんら差しつかえはない。例えば、ポリプロピレン
樹脂やポリエチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂を
含む熱可塑性樹脂組成物を溶融押出し法で形成したフィ
ルムを使用することもできる。また、シート状基材とし
て使用する、プラスチックフィルムや合成紙に、クレ
ー、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタ
ン、水酸化マグネシウムなどの顔料、ステアリン酸亜鉛
などの金属石鹸や各種の界面活性剤などの分散剤、有色
顔料などが含まれていてもよい。
【0041】
【実施例】本発明を下記実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0042】実施例1 シート状基材として、坪量180g/m2 の原紙を用
い、その片面上にコロナ放電による、活性化処理を施し
た後、これにポリエチレン樹脂を、塗工量が30g/m
2 となるように押し出し被覆法により被覆して裏面樹脂
被覆層を形成した。
【0043】次に、下記組成を有する最外層形成用電子
線硬化性樹脂組成物を、ペイントコンディショナーで1
時間混合分散させて調製した後、この組成物を、クロム
メッキを施した金属板からなる成形用基体の表面上に、
ワイヤーバーを用いて、硬化後の塗布量が5g/m2
なるように塗布し、この塗布層に、酸素濃度600ppm
の雰囲気中で、加速電圧:165kv,吸収線量:3Mard
の条件で電子線を照射してこれを1次硬化させ、最外層
を形成した。
【0044】 最外層形成用電子線硬化性樹脂組成物 成 分 配合量 ジペンタエリスリトールアクリレート 80重量部 (商標:ビームセット700、 荒川化学工業製) 二酸化チタン(商標:A220、石原産業製) 20重量部
【0045】これとは別に、下記組成の電子線硬化性樹
脂組成物を、ペイントコンディショナーで1時間混合分
散させて調製した後、この組成物を、前記原紙の裏面樹
脂被覆層を設けていない側の表面上に、ワイヤーバーを
用いて、硬化後の塗布量が20g/m2 になるように塗
布し、この塗布層を前記の金属板成形用基体表面上に塗
布硬化した最外層に貼合わせ、これに原紙の背面から加
速電圧:175kv、吸収線量:1.5Mardの条件で電子
線を照射して塗布層を2次硬化させて、前記最外層と合
体した表面樹脂被覆層を形成し、得られた写真印画紙支
持体を、金属板成形用基体表面から剥離した。
【0046】 電子線硬化性樹脂組成物 成 分 配合量 ウレタンアクリレートオリゴマー 36重量部 (商標:ビームセット550B、 荒川化学工業製) 2官能性アクリレートモノマー 24重量部 (商標:M−220、東亜合成製) 二酸化チタン 40重量部 (商標:A220、石原産業製)
【0047】実施例2 実施例1と同様の操作により、写真印画紙用支持体を作
製した。但し、最外層形成用電子線硬化性樹脂組成物の
1次硬化を、酸素濃度1000ppm の雰囲気中で行っ
た。
【0048】実施例3 実施例1と同様の操作により、写真印画紙用支持体を作
製した。但し、最外層形成用電子線硬化性樹脂組成物の
1次硬化を、大気中で行った。
【0049】比較例1 実施例1と同様の操作により、写真印画紙用支持体を作
製した。但し、最外層形成用電子線硬化性樹脂組成物の
1次硬化を、酸素濃度500ppm の雰囲気中で行った。
【0050】比較例2 実施例1と同様の操作により、写真印画紙用支持体を作
製した。但し、最外層形成用電子線硬化性樹脂組成物の
1次硬化を、酸素濃度100ppm の雰囲気中で行った。
【0051】比較例3 実施例1と同様の操作により、写真印画紙用支持体を作
製した。但し、最外層形成用電子線硬化性樹脂組成物の
塗布層を硬化させずに、原紙面に塗布した樹脂層と貼合
わせた後、これに電子線を照射して硬化させ、金属板成
形用基体表面から剥離し、写真印画紙用支持体を作成し
た。
【0052】性能テスト 上記実施例1〜3、および比較例1〜3の各々で得られ
た写真印画紙用支持体について、その接着性及び黄変防
止性についてテストし、評価した。但し、接着性および
黄変の評価は、次のようにして行った。1.接着性:供
試支持体の電子線硬化樹脂被覆層の表面にセロハンテー
プを貼付け、これを剥した時の樹脂被覆層の剥離状態を
観察して評価した。樹脂被覆層が全く剥離しなかったも
のを○、最外層の部分的な剥離が認められたものを△、
最外層の完全な剥離が認められたものを×、とする3段
階で評価した。
【0053】2.現像処理による黄変:供試支持体をダ
ースト自動現像機(商標:RCP20、ダースト社製)
を用いて現像処理し、現像処理前後の色調をTAPPI
−T524の方法に従って測定し、現像処理後のb値か
ら現像処理前のb値を引いた値(Δb値)を黄変の指標
として評価を行った。
【0054】テスト結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明の写真印画紙用支持体は、電子線
硬化性樹脂からなる被覆層を設けた場合の欠点、すなわ
ち、現像処理時の塗膜の黄変を防止し、樹脂被覆層の柔
軟性を保持し、かつ、樹脂被覆層を2層以上の多層構造
にした場合に生じる各層間の接着不良を防止したもので
あり、実用上極めて有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の写真印画紙用支持体の製造方法の一例
を示す工程説明図である。
【図2】本発明の写真印画紙用支持体の製造方法の他の
例を示す工程説明図である。
【符号の説明】
1…塗布液塗布硬化設備 2…塗料容器 3…電子線硬化性樹脂組成物 4…コーター 5…成形用基体 6…第1電子線照射装置 7…硬化膜 8…塗料容器 9…電子線硬化性樹脂組成物 10…コーター 11…シート状基体 12…塗布層 13…ガイドロール 14…第2電子線照射装置 15…ガイドロール 16…写真印画紙用支持体 17…成形用フィルム
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D21H 27/00 D21H 5/00 Z (56)参考文献 特開 昭57−120934(JP,A) 特開 昭60−17446(JP,A) 特開 昭61−201240(JP,A) 特開 平2−8838(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/79 B32B 27/10 D21H 19/20 D21H 19/80 D21H 25/00 D21H 27/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状基材と、前記シート状基材の写
    真乳剤層が形成される側の面上に形成された表面樹脂被
    覆層と、前記シート状基材の、他の側の面上に形成され
    た裏面樹脂被覆層とを有し、前記表面樹脂被覆層が、電
    子線を照射することにより硬化する樹脂の硬化体からな
    る少なくとも2層以上の電子線硬化樹脂層の積層体から
    なり、かつその最外層が、その最外表面が成形面に密着
    し、その反対面が酸素濃度600ppm 以上の雰囲気に露
    出している状態において電子線照射により1次硬化さ
    れ、それによって最外表面は強く硬化され、前記反応面
    は弱く硬化され、かつ前記最外層の前記弱く硬化された
    反対面が他の電子線硬化樹脂層に接合され、さらに電子
    線により2次硬化されたものであって、前記最外層の最
    外表面が最も高い硬化架橋密度を有し、かつ前記反対面
    が前記他の電子線硬化樹脂に強く接着していることを特
    徴とする写真印画紙用支持体。
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