JP2754450B2 - 建築物の壁構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、成形セメント板と仕上
げパネルより成る建築物の壁構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物の壁構造としては、例えば特開平
４−３５０２３６号公報に示すように、建築物の梁に複
数の成形セメント板を取付け、この成形セメント板に金
属製の支持部材を取付け、この支持部材に仕上げパネル
を取付けたものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】かかる外壁構造である
と成形セメント板を基準として仕上げパネルを取付ける
ので、仕上げパネルを正しく取付けできずにゆがみが多
く調整する必要がある。

【０００４】すなわち、建築物の上下の梁間に複数の成
形セメント板を取付けるので、その複数の成形セメント
板を鉛直に取付けるには大変面倒な基準出し作業が必要
となるし、そのようにしても鉛直に取付けることが困難
であり、複数の支持部材の取付け位置が建築物の室内外
側方向（以下面外方向という）にずれるから、複数の仕
上げパネルが面外方向に大きくゆがんで外観の見栄えが
悪くなる。また支持部材への仕上げパネルの取付けを面
倒な基準出しをしながら調整してゆがみをなくして外観
の見栄えを良くするためには、その作業が大変面倒とな
る。

【０００５】しかも、仕上げパネルに作用する風圧など
の外力は支持部、成形セメント板を介して梁で支持する
ことになり、成形セメント板自体の強度が弱いので仕上
げパネルに大きな外力が作用した時に成形セメント板が
破損することがある。

【０００６】そこで、本発明は前述の課題を解決できる
ようにした建築物の壁構造を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】建築物躯体に面内方向に
間隔を置いて複数取付けられた長尺の鉄骨間柱１の面外
方向中間部間に成形コンクリート板２が取付けられ、こ
の鉄骨間柱１の面外方向室外側端部に取付けられたパネ
ル方立材３に化粧パネル４を取付けてなる建築物の壁構
造。

【０００８】

【作 用】パネル方立材３を取付けた鉄骨間柱１を取
付ける際に、そのパネル方立材３を鉛直として基準を出
すことができ、その鉛直となったパネル方立材３に仕上
げパネル４を取付けることで仕上げパネルを面外方向に
ゆがむことなく取付けでき、従来のように大変面倒な基
準出し作業や調整作業をせずに仕上げパネル４を面外方
向にゆがむことなく正しく取付けできるし、仕上げパネ
ル４に作用する外力はパネル方立材３を介して鉄骨間柱
１で支持され、成形コンクリート材２には作用しないの
で仕上げパネル４に大きな外力が作用しても成形コンク
リート板２がゆがむことがない。

【０００９】

【実 施 例】図１と図２と図３に示すように、建築物
躯体に長尺な鉄骨間柱１が面内方向に間隔を置いて鉛直
に複数取付けられ、この隣接する鉄骨間柱１の面外方向
中間部間に複数の成形セメント板２の幅方向端部がそれ
ぞれ連結してあり、前記鉄骨間柱１の面外方向室外側端
部にパネル方立材３が取付けられ、そのパネル方立材３
に仕上げパネル４が取付けてある。

【００１０】このようであるから、あらかじめパネル方
立材３を取付けた鉄骨間柱１を取付ける際にパネル方立
材３が鉛直となるように取付けることで、パネル方立材
３が鉛直となり、そのパネル方立材３に仕上げパネル４
を取付けることで、仕上げパネル４を面外方向にゆがむ
ことなく取付けできるし、仕上げパネル４に作用する外
力は鉄骨間柱１で支持されて成形コンクリート板２に作
用しないから仕上げパネル４に大きな外力が作用しても
成形コンクリート板２が破損しない。

【００１１】次に各部の詳細を説明する。鉄骨間柱１は
一側板１０と他側板１１と連結板１２により断面Ｈ型と
なり、その連結板１２が面外方向に向うようにして取付
けられて一側板１０が室内側、他側板１１が室外側とな
り、その連結板１２の両側面における一側板１０寄りに
Ｌ字状断面の成形コンクリート板受材１３の一端片１４
がボルト等でそれぞれ固着され、その成形コンクリート
板受材１３の他端片１５が他側板１１と間隔を置いて相
対向して成形コンクリート板取付用の凹部を構成してい
る。この成形コンクリート板受材１３は実施例では長尺
材となっているが、短尺材として上下方向に間隔を置い
て複数取付けても良い。

【００１２】前記成形コンクリート板２は所定の厚さと
幅と長さを有する矩形板状となり、その上端部と下端部
には相互に嵌まり合う凸部２０と凹部２１が形成され、
幅方向に貫通した空洞部２２が上下方向に間隔を置いて
複数有し、その空洞部２２内に設けた裏板２３にボルト
２４を螺合することでほぼクランク型のクリップ２５の
取付片２５ａが成形コンクリート板２の室内側面２ａに
取付けられ、そのクリップ２５の押え片２５ｂが前記成
形コンクリート板受材１３の他端片１５に圧着して成形
コンクリート板２が鉄骨間柱１の連結板１２に連結され
ている。

【００１３】前記成形コンクリート板２の室外側面２ｂ
と鉄骨間柱１の他側板１１との間に縦シール材２６が装
着され、上下に隣接する成形コンクリート板２の室外側
上面２ｃと室外側下面２ｄとの間に横シール材２７が装
着してあり、この横シール材２７は前記縦シール材２６
と連続している。これにより、鉄骨間柱１と成形パネル
板２との間及び上下に隣接する成形コンクリート板２間
より雨水が室内側に侵入しないようになる。

【００１４】前記パネル方立材３は室内側縦板３０と室
外側縦板３１と一端板３２と他端板３３により中空断面
形状のアルミ押出型材となり、その中空部にコ字状でナ
ット３４が固着された裏板３５がビス３６で取付けら
れ、前記鉄骨間柱１の他側板１１よりボルト３７を前記
ナット３４に螺合して室内側縦板３０を他側板１１、つ
まり鉄骨間柱１の室外側端部に連結してあり、前記室外
側縦板３１の一対の凹溝３８に縦シール材３９がそれぞ
れ装着してある。

【００１５】前記パネル方立材３の一端板３２と他端板
３３には透孔４０が相対向して形成してあると共に、そ
の透孔４０よりも室内・外側寄りには室内側鉤片４１と
室外側鉤片４２が長手方向に連続して一体的に形成さ
れ、前記一端板３２の透孔４０と他端板３３の透孔４０
に亘ってパネル支持横ピン４３が挿通してあり、そのパ
ネル支持横ピン４３の両端部は室内側鉤片４１と室外側
鉤片４２間より突出している。

【００１６】前記仕上げパネル４は上枠５０と下枠５１
と左右縦枠５２と中間横枠５３より成る枠５４にアルミ
パネル５５を取付けて成り、その上枠５０と下枠５１の
長手方向両端寄りには取付金具５６の取付片５７がビス
５８でそれぞれ取付けられ、この取付金具５６の下向コ
字状片５９は上枠５０、下枠５１より室内側に突出して
いる。

【００１７】仕上げパネル４は取付金具５６の下向コ字
状片５９を前記パネル支持横ピン４３に上から嵌合して
取付けられ、固定ビス６０で固定され、上下に隣接する
仕上げパネル４の下枠５１と上枠５０間が湿式シール材
６１でシールされると共に、左右に隣接する仕上げパネ
ル４の縦枠５２間が湿式シール材６２でシールされる。

【００１８】次に施行順序を説明する。 鉄骨間柱１の他側板１１にパネル方立材３を取付ける
と共に、鉄骨間柱１の連結板１２に成形コンクリート板
受材１３を取付ける。 鉄骨間柱１を建築物躯体に面内方向に間隔を置いて複
数取付ける。この時、あらかじめ取付けたパネル方立材
３を鉛直となるように基準出しして取付ける。 隣接する鉄骨間柱１間に成形コンクリート板２を上か
ら順次挿入してクリップ２５で固定し、上下に隣接する
成形コンクリート板２の室外側上面２ｃと室外側下面２
ｄ間に横シール材２７を装着し、成形セメント板２の室
外側面２ｂと鉄骨間柱１の他側板１１との間に縦シール
材２６を装着してこの縦シール材２６と横シール材２７
を四周連続する。 仕上げパネル４の取付金具５６の下向コ字状片５９を
パネル方立材３に取付けたパネル支持横ピン４３に上か
ら嵌合してビス止めすることで仕上げパネル４を隣接す
るパネル方立材３間に亘って取付ける。

【００１９】以上の実施例では仕上げパネル４を枠体５
４にアルミパネル５５を取付けたものとしたが、枠体５
４に石材パネルを取付けたものとしても良いし、その仕
上げパネル４のパネル方立材３への取付け構造は前述の
ものに限ることはなく、例えばＬ型ファスナーを介して
取付けても良い。

【００２０】

【発明の効果】パネル方立材３を取付けた鉄骨間柱１を
取付ける際に、そのパネル方立材３を鉛直として基準を
出すことができ、その鉛直となったパネル方立材３に仕
上げパネル４を取付けることで仕上げパネル４を面外方
向にゆがむことなく取付けでき、従来のような大変面倒
な基準出し作業や調整作業をせずに仕上げパネル４を面
外方向にゆがむことなく正しく取付けできる。また、仕
上げパネル４に作用する外力はパネル方立材３を介して
鉄骨間柱１で支持され、成形コンクリート材２には作用
しないので仕上げパネル４に大きな外力が作用しても成
形コンクリート板２がゆがむことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す縦断面図である。

【図２】本発明の実施例を示すパネル方立材連結部の横
断面図である。

【図３】本発明の実施例を示す仕上げパネル取付部の横
断面図である。

【符号の説明】

１…鉄骨間柱、２…成形コンクリート板、３…パネル方
立材、４…仕上げパネル、２６…縦シール材、２７…横
シール材。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建築物躯体に面内方向に間隔を置いて複
   数取付けられた長尺の鉄骨間柱１の面外方向中間部間に
   成形コンクリート板２が取付けられ、この鉄骨間柱１の
   面外方向室外側端部に取付けられたパネル方立材３に化
   粧パネル４を取付けて成る建築物の壁構造。
2. 【請求項２】 上下に隣接する成形コンクリート板２間
   を横シール材２７でシールし、鉄骨間柱１の面外方向室
   外側と成形コンクリート板２の室外側面２ｂとの間を縦
   シール材２６でシールし、この縦シール材２６と前記横
   シール材２７を４周連続した請求項１記載の建築物の壁
   構造。