JPH069153Y2 - 建物隅部の壁パネル取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は軽量気泡コンクリート等から成る壁パネルを用
いて建物を構成するに際し、建物隅部に役物パネルを介
して該壁パネルを取付ける構造に関する。

〈従来の技術〉 軽量気泡コンクリート等から成るコンクリートパネルに
おいて、建物の隅部、所謂入隅部及び出隅部では壁パネ
ルを直交させて突き合せ接合する。通常この建物の隅部
には断面略Ｌ状の小パネル所謂役物パネルを別個配設
し、この役物パネルに夫々の壁パネルを当接させること
により建物を構成するものである。

上記軽量気泡コンクリート等の壁パネルを、所謂追回し
て、施工誤差を調整する様に建込む工法が用いられてい
る。この工法では、当然に施工誤差が隅部に集中するこ
ととなり、その為役物パネルの取付け位置調整、すなわ
ち出入調整を別個設けたスペーサを介挿して処理してい
る。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかしこのスペーサを用いる調整方法では、スペーサの
厚み分丈を調整できるが、それより小さい分の微調整が
できず、すなわち連続的な調整幅を得ることができな
い。しかも連続的な調整を行うには、厚さの異なる多く
のスペーサを用意しておかなければならないし、又調整
時間を大幅に要する。更に又、上記スペーサを介挿する
調整方法では、最終的に役物パネルを取付ける前に行わ
なければならない等施工上の不都合も生じている。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は上記問題点に鑑み案出したもので、隅柱に取付
けた保持金物の支持片と、役物パネルに固定した壁金物
の取付片とを水平位置の調整ができる状態に取付けたも
のである。

〈作用〉 特に支持片又は取付片に設けたボルト孔の少なくとも一
方を横長孔、所謂ルーズ孔として形成した為、横長孔内
に沿って出幅方向に連続的な調整幅を得ることができ、
微調整が可能となる。

〈実施例〉 次に図面に基づき本考案の建物隅部の壁パネル取付構造
を詳細に説明する。

第１図は、隅柱１に定着する保持金物２を示す斜視図で
ある。この保持金物２は、帯板状鋼板をＬ状に折曲した
保持枠材21と22から成る。保持枠材21の両端には定着片
21a,21bが設けられ、夫々に孔ｈ_１，ｈ_１が穿孔されて
いる。一方同様にして折曲された保持枠材22の両端を外
方に折り曲げて定着片22a,22bが形成され、各定着片22
a,22bにも同様に孔ｈ_２，ｈ_２が穿孔されている。

保持枠材22は例えば隅柱１の外面11,11側に位置するも
ので、外側には支持片23,23が略直交した状態に突設さ
れている。この支持片23,23には所定幅を有する横長孔
ｈ_３，ｈ_３が形成されている。

一方後述する如く、役物パネル３には壁金物４が取付け
られており、その取付片41,41は上記支持片23,23と相対
向した状態に設けられている。又この取付片41には孔
h₄,h₄が夫々穿孔されている。

次に第１図及び第２図の平断面概略図によって、本考案
に係る壁パネルの取付構造を更に詳細に説明する。先ず
隅柱１に対して保持金物２を取付けるには、隅柱１の内
面12,12側に保持枠材21を当接させ、又外面11,11側には
保持枠材22を当てがい、夫々の定着片21a,22aと21b,22b
との各孔ｈ_１，ｈ_２に締付けビスｂを挿入し、ナットｎ
によって圧縮する。

通常保持金物２の取付け高さは、役物パネル３の壁金物
４の高さ位置に整合する状態で定着される。この隅柱１
の外面11,11側には、軽量気泡コンクリート等から成る
壁パネルＰ_１，Ｐ_２が夫々立設されており、この壁パネ
ルＰ_１，Ｐ_２の為す隅部（第２図においては出隅部）に
役物パネル３が取付けられる。

役物パネル３としては、例えば出隅部の場合は壁パネル
Ｐ_１，Ｐ_２と同枠材にて断面略Ｌ状に形成し、その内側
に略Ｌ状を為す壁金物４をティックスｔ等によって取着
する。この壁金物４の両端には折曲した状態で夫々取付
片41,41が形成されており、取付片41,41の孔ｈ_４，ｈ_４
と支持片23,23の横長孔ｈ_３，ｈ_３を整合させ、バネワ
ッシャーｗを介して取付ボルトｖをナットＮに螺合し圧
締する。ナットＮは予め取付片41に溶着されており隅柱
１の外面12側から取付ボルトｖを緩め圧締することがで
きる。

斯かる状態において、役物パネル３が壁パネルＰ_１若し
くはＰ_２より突出した状態においては、取付ボルトｖを
緩めて役物パネル３自体の出幅を調整し、役物パネル３
の外面が壁パネルＰ_１及びＰ_２と面一状態となる様に調
整して取付ける。尚保持枠材22を上述した如く壁金物４
に取付けた状態にしておき、隅柱１の外面11,11に当接
させた状態において、内面12,12側から保持枠材21を当
てがい、締付けビスｂを介して取着するものであっても
よい。

第３図は第１図及び第２図で示した保持金物２と多少形
状を相異する保持金物２を示す。すなわち保持枠材22の
定着片22a,22bを、支持片23と一体的に形成したもので
ある。隅柱１の断面形状が小さい場合には、役物パネル
３と隅柱１自体の間隔が大きくなり、その為支持片23,2
3はより壁金物４方向へ延出されなければならない。こ
の場合支持片23の保持枠材22側には孔ｈ_２を穿孔できる
十分なスペースが生じるので、定着片22a,22bと支持片2
3,23を共一体的に形成し、孔ｈ_２の代わりに横長孔ｈ_３
を穿孔したものである。又同様に第４図の断面概略図で
は、保持枠材21と22の各定着片を支持片23,23と兼用し
た状態に形成したもの、すなわち孔ｈ_１，ｈ_２の代わり
に横長孔ｈ_３を形成し、この横長孔ｈ_３にバネワッシャ
ーｗを介して取付ボルトｖをナットＮに螺合させるもの
である。これにより保持枠材21と22を隅柱１自体に定着
させることができ、しかも締付けビスｂは不要となる。
換言すれば取付ボルトｖ１本で保持金物２の定着と壁金
物４との取付けを行い、又横長孔ｈ_３によって壁金物４
自体の水平位置の調整が可能である。

更に第５図は、建物の入隅部を構成する隅柱１に保持金
物２を定着させ、更に役物パネル３に固定した壁金物４
を介して役物パネル３を取付けるものである。役物パネ
ル３としては入隅部に設けられる為、上記出隅部の役物
パネル３とは反転した断面形状を為している。その為役
物金物４自体も役物パネル３の外側に夫々当接し、ティ
ックスｔ，ｔ…により取着された形状を為す。保持金物
２の支持片23と壁金物４との取付けは、前記同様に取付
ボルトｖをバネワッシャーｗを介してナットＮに螺合し
圧締するものである。しかも支持片23の横長孔ｈ_３によ
って役物パネル３の水平位置、所謂出幅を調整できるの
で、入隅部を形成するパネルＰ_１，Ｐ_２に対し、役物パ
ネル３を面一に配置した状態に取付けることも容易であ
る。

〈考案の効果〉 以上説明した様に、本考案の壁パネルの取付構造におい
ては、建物の入隅部及び出隅部何れにおいても役物パネ
ルの出幅位置調整が連続的に可能となり、面一に整合し
た建物の隅部が形成される。又スペーサ等を用いること
がないので施工能率が大幅にアップし、且つ作業時間が
短縮されるので施工コストも低減する等、極めて実用的
価値の大きい壁パネルの取付構造となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、保持金物を示す斜視図、 第２図は、本考案の隅部における取付状態を説明する平
断面概略図、 第３図は、本考案の他の実施例を示す平断面概略図、 第４図は、本考案の更に他の実施例を示す平断面概略
図、 第５図は、本考案の入隅部における取付構造を示す断面
概略図である。 １……隅柱，２……保持金物， 21,22……保持枠材， 21a,21b,22a,22b……定着片，23,23……支持片， ３……役物パネル，４……壁金物， 41,41……取付片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】隅柱の外面側で直交した壁パネル間に、断
   面略Ｌ状の役物パネルを配置し、前記隅柱に一対の保持
   枠材を定着してなる保持金物と、役物パネルに固定した
   壁金物とを取付けたものであって、 前記保持枠材のうち隅柱側の保持枠材に突設した支持片
   に、該隅柱と直交する方向に長孔の横長孔を設け、該横
   長孔と前記壁金物に設けた取付片の孔とにボルトを挿入
   して取付けたことを特徴とする建物隅部の壁パネル取付
   構造。