JP2753550B2 - 作動置換・重畳式ダイナミックレンジ改変回路 - Google Patents
作動置換・重畳式ダイナミックレンジ改変回路Info
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Description
【発明の詳細な説明】
本発明は、一般に信号のダイナミック・レンジ(Dyna
mic range)を変更する回路装置、すなわち、ダイナミ
ック・レンジを圧縮する圧縮器とダイナミック・レンジ
を伸張する伸張器に関する。本発明はオーディオ信号お
よびビデオ(テレビジョン)信号をふくむ色々の型式の
信号を処理するに有用であるが、本発明の説明は主とし
てオーディオ信号の処理について述べる。本発明の原理
は、公知技術を適用することにより本開示の実施例を設
計変更することによって、他の信号の処理に適用でき
る。例えば、ビデオ信号用の圧縮器及び伸張機は瞬時的
に作動することができ、音節制御回路(syllabic contr
ol circuitry)を必要としない。 圧縮器及び伸張器は通常は雑音低減を果たすために一
緒に(コンパンダ・シンテムとして)使用される。信号
は伝送もしくは記録の前に圧縮され、伝送チャンネルか
ら受信もしくは再生された後に伸張される。しかしなが
ら、圧縮器は単独で、伝送チャンネルの容量に適合させ
る等のために、圧縮された信号が当該目的に適当である
ときはその後の伸張をすることなく、ダイナミック・レ
ンジを低減すべく使用できる。さらに、圧縮器はある種
の製品、特に、圧縮された放送信号又は予め録音された
信号を伝送し若しくは記録するためのみに意図されてい
るオーディオ製品に、単独に使用されている。伸張器
は、ある種の製品、特に、すでに圧縮された放送信号又
は予め記録された信号を受信若しくは再生するべく意図
されたオーディオ製品に、単独に使用されている。ある
種の製品においては、信号を記録するための圧縮器及び
圧縮済み放送信号若しくは予め記録された信号を再生す
るための伸張器として、モード切り替え可能に作られて
いる。 圧縮器、伸張(長)器及びコンパンダ型の雑音低減シ
ステムの設計において、長期間追究されてきた目標は、
印加信号に対する圧縮器及び伸張器の高度な適合性であ
った。すなわち、例えば理想的圧縮器は予定の圧縮法則
に従って動的動作(作用)を提供する、主要(優勢)信
号成分周波数部分を除き、作動周波数スペクトル全体に
亘って一定の利得を提供しなければならない。この目標
は本発明者による1965年10月11日付け英国仮明細書第43
136号において、「整合等化(conformal equalizatio
n)」と呼ばれていることである。従って、前記文書
(本発明者によるそれぞれ1965年8月11日及び1966年1
月18日付け他の二つの英国仮明細書第34394号及び第023
68号及びそれらから導かれたその後の特許(米国特許第
3,846,719号及び米国特許第3,903,485号を含む)はとり
わけ今日では通常「帯域分離(band-splitting)法」及
び「滑動帯域(sliding band)法」として知られる技術
を含むいくつかの技術を使用して目標の達成が図られ
た。 帯域分離法によればスペクトルは各々が独立に動作を
受ける複数の周波数帯域に分割される。その方法では主
要信号成分がスペクトル全体の一部分のみの動的動作
(圧縮又は伸張)に影響を与える。これは主要信号成分
全体にわたり動的動作が影響される広帯域法と対照的で
ある。かくして帯域分離システムは広帯域分離システム
よりも遥に程度の大きな適合性若しくは整合性を与え
る。理論上、スペクトル全体を非常に多数の帯域に分割
することによって高度の適合性若しくは整合性あるシス
テムが与えられる。しかしながらそのような装置の複雑
さ及び費用がそれを非実際的としている。従って、設計
上の妥協点は満足できる性能を与えられる適当な数の周
波数帯域を選択することにより得られる。一つの良く知
られた、商業的に成功を収めた帯域分割式コンパンダ型
オーディオ雑音低減システム(通常A−型雑音低減シス
テムとして知られる)においては四つの帯域が使用され
る(「オーディオ雑音低減システム」と題するレイ・ド
ルビー著のジャーナル・オブ・オーディオエンジニアリ
ング・ソサイエティ(J.Audio Eng.Soc.)誌1967年10月
号,第15巻,第4号,383-388ページ)。 しかしながら、そのようなシステムは、帯域が分割さ
れていて問題が各々の帯域に限定される傾向を有するた
めに、問題の程度は低いとはいえ広帯域雑音低減システ
ムと同じことが問題になる。これらの問題は雑音低減シ
ステムの設計においてよく知られており、主要信号の成
分に呼応して利得の変化が生ずる場合、主要信号成分に
よっては覆われ(masked)ない周波数において生ずる雑
音低減効果の損失及び雑音変調及び信号変調に関連した
問題を含んでいる。そのような問題は主として、システ
ムが主要信号にたいして完全に整合的でありえないこと
の結果である。そのような雑音がどの程度耳につくかは
また、システムが完全な相補性からどの程度隔たってい
るかによる。例えば、もしも伝送チャンネルの応答が圧
縮器及び伸張器の通過帯域内で不規則又は予測不可能で
あれば、その時は信号変調効果は伸張器で補償されな
い。 主要信号成分とは、考慮している周波数帯域内で動的
動作を起こさせるような充分なレベルを有した信号成分
のことである。複雑な信号条件のもとでは一つ以上の信
号成分又は主要成分及び準主要成分があろう。圧縮器及
び伸張器の相補性に依存しているコンパンダにおいて
は、主要信号成分(及び動的動作によって影響を受ける
他の信号)を含んだ信号スペクトルが伸張器内でそれら
の正しいレベルに回復されるためには、ある定義された
圧縮/伸張法則にしたがって圧縮/伸張されなければな
らない。この必要条件を追究すると色々公知の適合技術
及びトラッキング・フィルタ技術や、所謂「単終端(si
ngle ended)」雑音低減システム(これは再生信号にの
み作動する)の有用性を排除してしまう。これらシステ
ムにおいてはフィルタ動作は予定の圧縮/伸張法則に従
わず、その動作は多重信号の存在下では予測不可能であ
る。 適合性又は整合性を増大させる目標に向かう研究にお
いて有用である別の方法は、滑動帯域法である。この方
法は制限(limiting)を達成するための信号依存性可変
ろ波(filtering)を使用する。一般的に、主要信号成
分は、主要信号成分を圧縮し、又は伸張するべく一つ又
はそれ以上の可変フィルタ(たとえばハイパス、ローパ
ス、シェルフ、ノッチ等)の遮断周波数又は転移周波数
を移動(shift)させる。 単一の高周波帯域においてのみ動作する滑動帯域シス
テムは再発行米国特許第28,426号及び米国特許第4,490,
691号に記載されている。このシステムはB−型雑音低
減として知られる消費者用コンパンダ型オーディオ雑音
低減用の基礎をなすものであるが、可変フィルタと直列
な固定ハイパスフィルタを二重路構成として有する。 「二重路構成」とは、動的動作のない主要路と動的動
作を備えた一つ以上の二次路すなわち側路を使用して圧
縮特性又は伸張特性が達成されるものである。上記の側
路は主要路の入力または出力から入力を得、その出力は
圧縮または伸張を与えるべく主要路と加算的に又は減算
的に結合される。一般的に、側路は、ある型の制限又は
可変減衰を与え、主要路への接続のされかたが、主要路
信号成分を(圧縮するため)昇圧する(boost)かまた
は(伸張するため)降圧する(buck)かを決定する。そ
のような二重路装置は米国特許第3,846,719号,米国特
許第3,903,485号,米国特許第4,490,691号および米国再
発行特許第28,326号に詳細に記載されている。 コンパンタ型オーディオ雑音低減システム用の、単一
路装置(例えば動的動作が単一信号路において達成され
るもの)における高周波可変シェルビング・フィルタ
(shelving filter)は、米国特許第3,911,371号に記載
されている。米国特許第3,665,345号の第1図及び第2
図の実施例では、側路が静止状態(quiescent conditio
n)において全パス(all-pass)特性を有した可変シェ
ルビング・フィルタをふくんでいる二重路装置が開示さ
れている。コンパンダ・システム用の可変シェルビング
応答を与える別の方法は、米国特許第3,934,190号に開
示されている。 これらの滑動帯域装置における一つの欠点は、主要高
周波信号成分があるとその可変フィルタ転移周波数が、
信号成分より上方に移動することにより、雑音低減が与
えられる周波数領域を低周波帯に制限してしまうことで
ある。その雑音低減の損失は帯域分割システムにおける
よりもより顕著に可聴であり、それに関連した副次効果
(雑音変調や信号変調)は滑動帯域システムに固有であ
る増倍効果のために固定帯域装置におけるよりもさらに
深刻であろう。この効果は滑動帯域システムが圧縮を与
える与え方に起因する。例えばもしも主要高周波信号が
あり、2dBの利得の低減がその周波数において必要とさ
れると、可変フィルタ遮断周波数はフィルタ勾配に沿っ
て、その大きさの減衰を与えるに必要な程度移動する。
しかしながら新しい遮断周波数からもっと低い周波数に
対しては効果は5又は10dB程度の動的動作となり、信号
変調又は雑音変調発生の恐れがあると共に雑音低減のす
べて又はほとんどが失われる結果となる。換言するとこ
の例では、主要信号の2dBの変化は主要信号から離れた
周波数において5又は10dBの変化を起こしうる。第1図
はこの効果を例示する理想化された圧縮器特性応答曲線
である(この書面では色々の応答特性曲線は圧縮器のも
のであり、各々の伸張器特性は圧縮器特性の相補的のも
のであることを了解されたい)。比較的にまれな条件の
下ではあるが非常に高い周波数の主要信号成分(例えば
シンバル)が滑動帯域フィルタを制御するとき、もしも
伸張器が適切に圧縮器を追跡しないと、主要信号以外の
中帯域信号成分にも耳ざわりな変調が生じる。この問題
は「中帯域変調効果」と呼ばれる。この問題を解決する
一つの方法は前記米国特許第4,490,691号に開示されて
いる。 固定帯域装置においては、同一の利得低減が主要信号
成分に呼応して周波数帯域(それが広帯域でも、帯域分
割システムの一つの周波数帯域でも)全域にわたり起こ
る。かくして信号若しくは雑音の変調が起こる一方、効
果の増倍は全く無い。即ち、主要信号成分のレベルにお
ける2dBの変化は主要信号成分から離れた周波数では2dB
を超える利得変化を起こさないであろう。しかしながら
雑音低減効果の観点から見ると、これは固定帯域装置の
不利な点であり、主要信号成分に応答して制限が起こる
ときは動作周波数帯域内のどこでも十分な雑音低減効果
は得られない。第2図はこの効果を例示する理想化され
た圧縮器特性応答曲線である。効果は増倍されないとは
いえ、この固定帯域動作が起こる周波数帯域全体にわた
り、雑音及び信号変調が起こる可能性がやはりある。 上記の欠点にもかかわらず、滑動帯域装置の利点は、
主要信号成分より上方周波数にて(周波数の下方へ作用
する滑動帯域システムの場合には主要信号成分より下
方)十分な雑音低減効果が得られることである。かくし
て各々の不利な点(例えば固定帯域では増倍はないが、
動作領域にわたり雑音及び信号変調があること、及び滑
動帯域では中帯域変調作用があること)を廃除し、しか
も固定帯域システムと滑動帯域システムの利点(例え
ば、固定帯域では変調作用の増倍がないこと及び滑動帯
域では主要信号周波数より上方で信号または雑音変調が
最小となること)を達成する装置が望ましい。本発明は
この組み合わせを与える。 本発明は固定帯および滑動帯域システムの利点のみが
得られる装置であるのみならず、複雑な回路を要せずに
主要信号に対する高度な整合性又は適合性を有する圧縮
器、伸張器およびコンパンダ・システムを達成すべく色
々な動的及び受動的な特性の利点が得られる装置にも一
般的に適用できる。 本発明は、圧縮器、伸張器及び圧伸器型雑音低減装置
を対象とした共形(適合的)等化の理想は、複数の圧縮
・伸長・等化特性が次々と重畳され、すなわち、重ねら
れ優勢信号の出現で隠蔽された特性が現れて作動状態に
なるまで、1以上の特性が隠蔽されるようにすることに
より理想に一層近づくことができるとの認識に基づく。
従って本発明によれば、1以上の隠れた特性を隠蔽し、
境界を定める傘、すなわち、包絡線を与える静(静止)
特性が改変され、先行技術の回路装置により与えられる
ものより一層効果的かつ適合的な等化を提供するため
に、優勢信号成分に応答して隠れた特性が現れるように
される。 特性のこの出現は『作動置換、すなわち、作動代行』
と描写できる。これは、1つ(又はそれ以上の)特性か
ら結果として生じる作動が、入力信号成分のレベル及び
スペクトル内容が変化するとき同一の周波数及びレベル
領域で作動する能力を有する1以上の他の特性作動によ
り置換される、すなわち、代行されるという意味におい
てである。当該置換は、優勢信号以外のあらゆる信号成
分の伝送が、圧縮器では最大になりかつ伸長器では最小
になるようにされるのが望ましい。本発明は、圧縮器、
伸長器及び圧伸器型雑音低減装置の設計者に対し、非実
用的で複雑な回路に頼ることなく応答特性の設定におい
てより大きな柔軟性を提供できる。本発明は、優勢及び
非優勢信号成分を識別しかつ動的作動、すなわち、動特
性作動を優勢信号成分のみに限定する改良された能力を
有する圧縮器、伸長器及び圧伸器型雑音低減装置を提供
する。主要信号成分があるときを除いて実質的に一定の
昇圧を維持する雑音低減エンコーダー(圧縮器)を与え
ることによって、雑音低減デコーダー(伸張器)は非常
に安定な雑音フロア(noise floor)を有する。このこ
とは高品質の雑音低減システムに重要なことである。 この発明に基づいて最良の重畳を与えるためには、装
置は実質的に完全な「動作置換」が得られるようにされ
ていることが必要である。動作置換装置では、主要信号
成分のレベルとスペクトル内容に応じてスペクトルの全
域又は一部にわたり特性が動的に出現する。動作置換は
潜在的特性を顕在化する。理想的には、重畳構造がある
ときは、スペクトルの全域又は一部内で最適の効果を与
えることができるときのみ特性が現われる。この場合そ
の特性はその領域内で十分に有効である。例えば、圧縮
器の場合、非主要信号成分にたいして、その理想的特性
は最高の信号出力を与えるものであり、伸張器の場合は
最低の信号出力を与えるものである。特性の有効性の交
差する領域(crossover region)を除いて、各々の特性
は非主要信号成分にたいして十分に効果がある。交差領
域では結合された特性全体は単独に作動するときのいか
なる特性の最大動作をも超えることはない。これら特性
は互いに隠されており、いずれの特定周波数においても
その時点における信号条件の下でいずれの特性が最大の
効果を有するかに応じてその一つ又はいくつかが出現す
る。 議論の目的のため、ある圧縮器システムにおける利得
が、非常に低レベルの信号が減衰することなくこの装置
を通過するように構成されている、としよう。すなわ
ち、最大可能な動作は利得1を与えるものである。ここ
で、何らかの方法により高レベル(主要)信号の存在の
下で可能な限り広い帯域にわたりこの利得を達成するこ
とが本システムの果たすべき役割である。 従って重畳された圧縮器においては第一のフィルタ及
び圧縮器素子の出力が注目される。この出力は全潜在的
動作の完了した部分(completed part)を表わす。その
動作の未完了部分はその入力から完了部分を差し引いた
ものである。未完了部分はしたがって何を寄与しうるか
を見るために引き出されて次の素子に入力される(入力
信号全体を第二の素子に入力することは、二重動作を結
果するから誤りであろう)。第二素子の出力はこの特定
の素子の、動作全体に対する寄与となる。その動作は
(成功するとすれば)第一素子の部分的に不適当な動作
を補助する。第一素子の出力が特定の周波数にて無視可
能であるという極端な場合、第2素子の動作は効果的に
第一素子の動作を置換する。 残りの潜在的動作は従って入力から初めの二つの素子
の出力を差し引いたものである。このようにしてこの差
信号は第三素子に入力され、それ以下の素子についても
同様にされる。もしも十分な素子があり、少なくともそ
れらのいくつかが、存在する主要信号に対する十分な弁
別性を有すれば、非主要周波数においてすべての素子利
得の和が所望の和である1に近づく。 主要周波数においては圧縮器全体の利得は1であって
はならず、チャンネルの過負荷を回避するために、かつ
伸張器による復元を可能にするために、特定された圧縮
法則に従わなければならない。 本発明による重畳効果はいろいろの回路装置により達
成されるが、その最も基本となるものは上記開示から導
かれるもの、すなわち、特に複数の素子に別々に入力を
与え、かつ素子出力を加算するものが効果的である。例
えば、もしも各々の素子が入力端、基準電位(例えば接
地電位)端、及び出力端を有すれば、第一素子への入力
は基準電位に相対的なその入力信号であり、その第二素
子への入力は第一素子の出力に相対する入力信号(例え
ば入力信号と第一素子の出力との差)であり、第三素子
(もしも第三素子があるとして)への入力は第一及び第
二素子の出力の和に相対する入力信号である。さらに素
子があれば以下同様である。これら素子の出力は加算さ
れて全体的出力を与える。これは入力と出力がまさに上
に述べたように利用される第3図のような回路構成を含
めた実質的に等価な多数の方法で与えることができる。 しかしながら、第4図に示すように、三端子回路がそ
れ程複雑でなく互いに結合されながらなお第3図の装置
と同一の結果を達成しうるもっと簡単な方法がある。そ
の入力は各素子の入力端子に印加される。第一素子入力
は規準電位に相対的である(例えばその第二端子が規準
電位に接続されている)。第二素子入力は第一素子の出
力に相対的である(例えばその第二端子が規準電位にで
はなくて第一素子の出力端子に接続される)。第三素子
入力は(第三素子があるとして)は第二素子の出力に相
対的である(例えば、第二端子が規準電位にではなくて
第二素子の出力素子に接続される)。それ以上の素子が
あれば、以下同様である。全体的出力は最後の素子の出
力端子にて取り出される。この後者装置は素子の「スタ
ック(stack)」と呼びうるもので、その簡単さのため
に本発明の実施に好ましい。しかしながら他の回路構成
も、もっと複雑さと費用がかかるが、同一の又は類似の
結果を与えることができる。例えば第5図は第3図から
第4図への変更を示す有用な別の構成を示す。第3図、
第4図及び第5図は互いに等価である。第5図は第3図
と第4図間の変更であり規準電位から一つを除いてすべ
ての第二端子を除去した場合の加算出力を維持するもの
である。 本発明は一般的に色々の動的特性及び受動的特性を有
する素子の組み合わせに適用できるが、実用的かつ説明
上非常に有用な組合わせは、固定帯域動的特性と滑動帯
域動的特性との重畳である。本発明の技術の教示を適用
することにより、これらの欠点を回避しつつこれら両者
の特性の利点が得られる。かくして、もしも滑動帯域特
性及び固定帯域特性が実質的に同一の周波数領域(広帯
域又は確定された帯域)及び同一のレベル領域にて重畳
されると、この重畳された組み合わせの入力特性は、い
ずれか一つの静止特性と同じに現われる。その理由は、
これら二つの静止特性は同一であるからである。主要信
号成分がその周波数領域内に現われると、各特性が動作
する−−恰もそれが単独に作動し、かつ滑動帯域特性が
単独に動作したときの滑動を起こすときのように、一様
にその周波数領域にわたり固定帯域特性がレベル降下す
る。 しかしながら、二つの動作はもはや他にたいしてある
程度独立ではない。静止状態では二つの特性は一つの状
態のように現われたが(第6A図)、これらの変化が起こ
ると二つが出現する。すなわち組みあわさった特性は主
要信号より上方(滑動帯域特性が上方又は下方のいずれ
に作動するかに応じて時には下方に)に出現し、主要信
号の周波数より下方(又は上方)の固定帯域特性のよう
に出現する。第6B図は滑動帯域が主要信号より上方にあ
る場合の例を示し、第6C図は動帯域が収容信号より下方
にある場合の例を示す。二つの動作領域が顕在化され、
主要信号の周波数にて分割されている。従って滑動帯域
特性が「露出」した領域は、固定帯域特性によって補完
される。実際、後者はフロア(floor)レベルすなわち
基礎レベル(foundation level)を与える。言い換える
と主要信号に呼応した動作の置換がある。その結果とし
て、固定帯域及び滑動帯域装置の両方の利点がそれらの
不利な点を回避しつつ得られる。主要信号の下(又は
上)の雑音低減の損失と中帯域変調効果を固定帯域特性
の存在により回避しつつ、最大雑音低減効果及び最小変
調効果が主要信号より上方(または下方)で得られる。
かくしてもしも滑動帯域特性が単独に動作していたら生
じたであろう主要周波数より下方(又は上方)の増倍効
果が起こらないが、滑動帯域特性の利点が主要周波数よ
り上方(または下方)で得られる。 高周波帯域及び低周波帯域がそれぞれ重畳された固定
帯域/滑動帯域特性をふくむ帯域分割装置を与えること
により、さらに高い適合性ある装置が達成される。その
高周波帯域では滑動帯域が周波数上方に作動する一方、
低周波帯域ではその滑動帯域は周波数下方に作動する。
静止状態では、本特性は全体として平坦な特性を与える
ように重畳する。穏やかなフィルタ勾配(例えば、6dB/
オクターブ)及び共通の静止コーナー周波数を周波数帯
域の中間に選択することにより(例えばオーディオ・シ
ステムの場合800Hz)、処理している帯域の全実質部分
にわたり高周波及び低周波帯域両方により優れた主要信
号トラッキングが可能である。高周波及び低周波帯域が
同一の低レベル利得を有するそのような装置の静止応答
は第7A図に示すように平坦である。 第7B図は、第22図,第23図及び24図(いすれの場合も
それぞれスペクトルのスキュウイングや不飽和回路は示
してない)の説明に関連して下に詳細に述べるような多
段圧縮器装置について、色々な周波数における単一の高
レベル主要信号のトラッキングを示す。第22図,第23図
及び第24図の圧へ器装置は16dBの低レベル利得を有する
二つの低周波段と24dBの低レベル利得を有する三つの高
周波段とを使用するので、第7B図に示したように静止応
答は低周波で16dBであり、高周波で24dBに上昇する。第
7B図の例ではいろいろの周波数(199Hz,200Hz,800Hz,1.
6kHz,3kHz,及び6kHz)における各高レベル(システムの
最大レベルの約20dB下に取られた基準レベルにたいして
0dB)のトーン(主要信号)に対しては、低レベルのト
ーン(−60dBから−70dBまで)はスペクトルを通して掃
引されており、主要信号の存在下の応答を示す。滑動帯
域応答は主要信号の上方及び下方に現われる。二つの主
要信号の存在は、最大雑音低減が最も重要(第7C図。第
7A図におけるように第7C図では高周波及び低周波帯域が
同一の低レベル利得を有する)となるそれら周波数より
上方および下方の周波数における主要信号と滑動帯域応
答との間に固定帯域応答を生ずる。 第7B図及び第7C図に示された良好なトラッキング動作
は帯域分割装置の二つの帯域各々の固定および滑動帯域
特性の両方を用いて可能にされる。例えば第7C図ではも
しも二つの固定帯域が使用されなかったならば二大主要
信号間の領域内に重大な被主要信号の欠陥(貧弱な雑音
低減効果)が生じたであろう。もしも所望とあらば、部
分的に高及び低周波帯域と重畳する中帯域(例えば通過
帯域400Hzから1.6kHz)もまた組み込むことができて、
極端に低周波の及び極端に高周波の両主要信号が同時に
存在するときは中周波数の雑音低減を改良することがで
きる。この中帯域素子の出力は高周波及び低周波スタッ
クの底部に印加しうる。この後者改善は実用的オーディ
オ雑音低減回路では必要とは思えない。 動作置換法は良好な信号トラッキングを可能にするこ
とに注目されたい。在来の高勾配(12dB/オクターブ又
はそれ以上)の高パス及び低パス可変フィルタを使用す
ることを考えよう。第一に、これらのフィルタ出力は静
止状態において平坦な特性をなすようには結合しないで
あろう。低周波及び高周波両方に類似の減衰形を使用す
れば、これは単極フィルタ(7A図)を用いてのみ可能で
ある。第二に、一つまたは両方のフィルタが滑動する
と、非主要信号欠陥が現われるであろう(貧弱な雑音低
減)。 本発明では段境界を確定しているフィルタは最適低レ
ベル応答を得るための単極フィルタである。信号がある
とき、追加的な単極滑動帯域シェルビング・フィルタが
使用され、二極フィルタに固有の過度の位相転移(位相
逆転)を起こすこと無く類似的二極が得られる。動作置
換法により固定帯域を介在させれば、応答をさらに調整
できる。いくつかのスタガー(離調)レベル段を用いる
ことにより、得られる応答をさらに複合する類似多重極
効果、すなわち実効的回路急峻性すなわち主要信号成分
と主要信号成分とを弁別する能力を与える。 圧縮器又は伸張器全体の動的回復特性(recovery cha
racteristics)に関して、動作置換法は更に性能の改良
に寄与する。固定帯域回路は少なくとも通過帯域では周
波数に事実上独立な回復時間を有する。滑動帯域回路は
スペクトルの通過帯域端にて非主要信号にたいして早い
回復時間を有し、スペクトルの停止帯域端(stop band
end)にて非主要信号に対し遅い回復時間を有する。従
って制御回路回復時間の選択は、この回復時間条件と、
得られる定常状態及び変調歪みの大きさとの妥協の問題
に帰する。しかしながら、この妥協は動作置換法の使用
によれば遥に容易になる。特に、固定帯域はシステム全
体に確定的かつ急速な回復時間を与え、その結果、滑動
帯域は他の場合に好ましいとされる時定数よりももっと
長い時定数を使用することができる。これにより低変調
歪み及び早い回復時間の両方が得られる。 本発明の好ましい実施例の基本的動作をより良く理解
するために、本装置を、各々が第8図に示すような広帯
域(周波数に独立の)抵抗性減衰器である二つの素子の
みから成るものに、簡単化することが有用である。各素
子の最大可能動作は利得1をを与えることである。R1
及びR2は第一の減衰器(R2は可変である)を含むが、
これは三端子回路であってその入力端にVinを受信し、
その第二端子が接地され、その出力は利得1のバッファ
Bを介して他の減衰器の第二端子に印加される。第二の
減衰器は別の三端子回路で、Vinをその入力端に受け、
その出力端には全体的結合出力をあたえるもので、R3
及びR4により構成される。後者は可変である。 初めにR2及びR4が非常に大きいと仮定しよう。する
といずれの回路もまったく減衰を与えず(R1とR3への
共通の入力からみて)、またVinが節n1およびn2(そ
れぞれR1とR2の節およびR3とR4の節)に存在しな
い。従って、R4にかかる電位がゼロでありかつR4に電
流が流れないので、VoutはVinに等しくなければならな
い。受動的三端子回路では、もしも接地への内部接続が
なければ、−入力のその出力への電圧伝達関数は他の入
力の出力に対する補数であることが知られている(例え
ば、もしも−入力に関する伝達関数が「t」であれば、
他の出力に関する伝達関数は「1−t」、すなわちその
補数、である。 つぎにR2が非常に大きいが、R4は非常に小さいと仮
定しよう。従ってこの下位素子は全く減衰を有さず、上
位素子(upper element)は最大の減衰を(R1及びR3
への共通の入力から見て)有する。従って、Vinは節n1
にあり、また、R4が非常に小さいので節n2にもなけれ
ばならない。上の回路の減衰が最大であるので、R3を
介しての入力からの寄与は全く無い。かくして出力はVi
nである。すなわち、伝達関数の観点から見ると、再上
部の回路の伝達関数はR3に印加された信号に関しては
ゼロであり、R4に印加された信号に関する相補的伝達
関数は1である。これら二つの伝達関数に由来する電圧
の和は、したがって、Vinである。 この一般的な場合についてこれら素子の逆転配置がそ
の結果に重要でないことを示すことは有用である。従っ
て上位素子は全く減衰を有さず、また下位素子は最大の
減衰を(R1及びR3への共通入力からみて)有する。し
たがって、節n2における電圧はVinであり、またR4が
大きくてそれを電流が流れないので出力電圧Voutもそう
である。伝達関数を考えると、再上部回路の伝達関数は
R3に印加された信号に関して1であり、R4に印加され
た信号に関するその相補的伝達関数はゼロである。二つ
の伝達関数に由来する電圧の和はしたがってVinであ
る。 従って、もしも両方の素子が(R1及びR3への入力か
ら見て)全く減衰を有しなければ、出力はVinである。
上記のことから、他方の素子の減衰があったとしてもそ
れにはかかわらずいずれかの素子が(R1およびR3への
入力から見て)減衰を有しなければ出力はまたVinであ
ることがわかる。 この解析は定常状態を基にして、電解効果トランジス
タ(FET)を可変抵抗素子として使用して減衰が与えら
れ、減衰が入力信号の一部の周波数帯域においてのみ効
果的であるもっと複雑な場合にたいして、拡張される。 本発明の動作に関していくつかの一般的観察結果が導
かれる。これらの結果は上に議論した簡単な回路装置に
対してのみならず本発明によって考慮されるもっと複雑
な回路装置におけるほとんどの信号条件の下でも成立す
ると信ぜられる。第一に、任意の素子の最高の伝達は出
力で示される。第二に、素子の特性はいずれの素子の最
大出力をも超えるような出力特性を生じない(たとえ
ば、その特性は過大な効果は与えない)。第三に一つの
素子の特性が、いずれが大きさにおいて大きいかに応じ
て他のものの特性によって隠される。他の回路装置を使
用してそのような結果を達成することは可能であるが、
本発明の回路装置は実現が簡単でありかつ所望の結果を
与えるので好ましい。 実用に際しては、一つの素子のみによって圧縮又は伸
張を与えるべく信号条件に応答して一つを残して他のす
べてが抑圧される(knocked out)場合に第一の結果は
特に有用である。この場合残りの素子はそれらの出しう
る限りの効果を与える(その効果はそれが主要信号によ
っていかに影響されるかに応じてその最大可能な効果よ
りも小さいことがありうる)。この例としては、同一の
周波数領域で作動する滑動帯域素子と固定帯域素子から
なる装置(例えば第6B図又は6C図に示すような応答を有
するもの)が挙げられよう。主要信号は、主要信号周波
数における又はその近くにおけるその効果を完全に抑圧
すべく滑動帯域素子を上方に(又は下方に)滑らせるこ
とができる。しかしながらこの固定帯域素子は十分に効
果的であり続ける(とはいえ、それは主要信号の存在の
ためその最大効果よりも多分小さいであろう)。これは
第6B図における主要信号の十分に下方かつ第6C図の主要
信号の十分に上方の周波数でのことである。しかし、交
差領域(第6B図及び第6C図の主要信号周波数にある)で
は、全体的応答は固定帯域応答から滑動帯域応答へ変化
し、全体的応答はいずれの素子の応答よりも幾分大きく
なるように少々の応答付加がある。この付加効果は一般
に、特性が最大効果未満で動作している動作領域が交差
する場合に起こる。この効果は1式の積の存在に反映さ
れている。 第二の結果は本発明の「定義アンブレラ」効果の基本
である。すなわち、特性を組み合わせた可能な最大効果
は、各々の特性の一番大きな効果よりも大きくはない。
しかし、特性がそれらの最大効果未満で動作するときは
上に述べた応答付加が交差領域で起こる。 第三の結果もまた本発明の基本であり、信号条件の変
化に応答して特性動作置換を可能成らしめる。 本発明はこのように、周波数帯域内の入力信号成分の
ダイナミック・レンジを改変するための、複数の回路素
子が相互接続されている回路を与える。この回路では、
各々が少なくともそれ自信の受動的または動的特性動作
を有し、しかも少なくとも一回路が動的特性動作を有
し、これら特性動作が実質的に同一の周波数及びレベル
の領域内で少なくとも部分的に動作するようにされてお
り、その回路素子は、入力信号成分の或レベルおよびス
ペクトル内容にたいして一回路素子の特性動作がその周
波数帯域の少なくとも一部でもう一つの特性動作の置換
をするように回路素子が相互接続されている。この回路
素子の相互接続は、特性の重畳により特性動作の置換を
与えるが、この場合、入力信号成分のレベルとスペクト
ル内容の任意的組合わせに対しても個々の特性動作が全
体的周波数帯域を定義するように、又は個々の特性動作
各々が全体的周波数帯域部分を定義するように、全体的
回路特性動作が複数の回路素子の個々の特性動作から導
かれ、個々の特性動作が、又は周波数帯域のすべて若し
くは一部を定義する特性動作が、他の任意の個々の特性
動作の効果又は同じ周波数領域内でもっと小さな効果を
有する特性動作の効果を抑制する。入力信号成分のレベ
ル及びスペクトル内容の任意の組合わせに対する全体的
特性動作はいずれの周波数においても、当該周波数にて
動作しうる任意の個々の特性より実質的に大きな効果を
有しない。 上記のそうご接続された二つの素子の組み合わせの全
体的電圧伝達関数は Vout=Vin[t1(s)+t2(s)−t1(s)t
2(s)] (式1) ここでVinは印加電圧。Voutは出力電圧、t1(a)及
びt2(s)は各素子の伝達関数である。 この式は上記の動作を確認する。すなわち、全体的出
力は伝達関数の和からそれらの積を引いたものである。
換言すると伝達関数が重畳しうる範囲にわたり伝達関数
の和から一つの因子が引かれる。この第三項の存在は本
発明の動作置換効果及び重畳効果にとって本質的であ
る。 固定帯域又は、滑動帯域の例でいうと、固定帯域及び
滑動帯域応答はそれぞれの特性を維持し、重畳しない。
重畳する領域(例えばそれらの実効ある部分の交差領
域)内で、重畳領域における全体的結果がいずれの素子
が単独に動作するよりも実質的に大きくないように、そ
れらは相互に影響する。 一般的に、第3図及び第8図ないし第11図に関して上
に述べたと同じように接続された多数の素子に同じ基本
的原理が当てはまる。とは言えその伝達関数式はもっと
複雑になる。もっと多数の素子の組合わせは、上記二素
子から外挿して、反復法によって解析できる。たとえ
ば、三素子の組み合わせに対しては初めに最初の二素子
を考え、それらの出力が恰も二素子の組み合わせにおけ
る単一素子の出力であるかのように考える。上記のよう
に相互接続されたこの三素子の組み合わせの全体的伝達
関数は次の形 Vout=Vin[t1(s)+t2(s)+t3(s)−t1
(s)t2(s) −t1(s)t3(s)−t2(s)t3(s)+t1
(s)t2(s)t3(s)] (式2) ここでVinは印加電圧、Voutは出力電圧、t1(s),t
2(s),t3(3)は各素子の伝達関数である。三つの伝
達関数の積である別の項がある点を除けば、二素子と同
一の一般的特徴がある。 実際的問題として、これら回路は利得と減衰の両方を
含みうる。素子間の利得1のバッファは、象徴的であ
り、もしもインピーダンスがあり負荷効果が回避されれ
ば省略できる。第8図の最も簡単な場合においてはバッ
ファBは省略してよく、もしもインピーダンスが適切で
あれば説n1及び可変抵抗R4間の直接接続をしてよい。
その結果得られる回路は、素子間にバッファが使用され
たら生じなかった相互作用を有するかも知れないが、回
路の性能はある種の用途には許容しうるものである。 第8図の回路を記述する上記式1は第9図にブロック
線図で示す等価回路を示唆する。その入力信号が加算さ
れる三路に印加される。それぞれブロック(6)及び
(8)に示すように第一路はブロック(2)内の伝達関
数R1(s)を含み、第二路はブロック(4)内の伝達
関数t2(s)を含み、第三路は伝達関数t1(s)及び
t2(s)の直列の組合わせを含む。第三路内の伝達関
数の積は、ブロック(12)内で加算されるときに引くよ
うにインバータ(10)によって反転される。そのような
形状はその付加的な複雑さのために非実用的ではあろう
が、にもかかわらずそれは同じ結果が代わりの回路装置
を用いて達成できることを例示する。式2は三素子につ
いて修正された同様な形状を示唆する。本発明の教示は
また、本発明の動作置換原理と重畳原理を使用するアル
ゴリズムを与える通常的ソフトウェア・プログラムによ
り制御される特定目的の又は汎用のデジタル・コンピュ
ータにも使用できよう。 第3図は本発明の概要を記載した等価装置を示す。4
個の三端子素子(14,16,18,および20)はそれぞれ伝達
関数t1(s),t2(s),t3(s),及びt4(s)を有
することが示されている。各素子は接地された第二端子
を有し、その第三端子出力は加算装置(22)に接続され
ている。入力信号Vinは接地に相対的に素子(14)の第
一端子と第一加算装置(24)とに印加される。素子(1
5)への入力は、加算装置(24)によっ入力Vinから素子
(14)の出力を引いたものである。素子(18)への入力
は加算装置(26)により素子(16)への入力から素子
(16)の出力を引いたものである。素子(20)への入力
は加算装置(28)により素子(18)への入力から素子
(18)の出力を引いたものである。 第4図もまた本発明の概要を述べるもので、第8図に
関連して述べた好ましい実施例をさらに一般的に例示す
る。第4図の装置において、四つの三端子素子(30,32,
34,および36)はそれぞれ伝達関数t1(s),t2(s),
t3(s),およびt4(s)を有することが示されてい
る。入力信号Vinは規準電位(接地として示されてい
る)に相対して素子(30,32,34,及び36)の第一端子に
印加される。素子(30)の第二端子のみが規準電位に接
続されている。素子(32)の(その第三端子からの)第
二端子への入力は素子(30)の出力である。素子(34)
の第二端子への入力は素子(30)の(その第三端子から
のに)出力である。素子(36)の第二単位への入力は素
子(18)の(その第三端子からの)出力である。全体的
出力は素子(36)の第三端子(6)と規準電位との間で
取られる。 この一般的装置は素子の積み重ね(stacking)という
ことができ、本発明を与える最も簡単にして最も効果的
方法であると信ぜられる。 第5図は本発明の概要にて言及した第3図及び第4図
の中間的装置で、別の可能な等価回路構造を例示する。
第4個の素子は第3図、第4図及び第5図では単に例示
の目的のために使用されている。本発明の教示にもとづ
く重畳効果はさらに下に説明するように少なくとも一つ
が動的である2個以上の素子を使用して達成できる。第
5図の装置においては4個の三端子素子(38,40,42,及
び44)はそれぞれ伝達関数t1(s),t2(s),t
3(s),t4(s)を有することが示されている。その入
力信号Vinは、(接地として示される)基準電位に相対
して素子(38,40,42、44)の第一端子に印加される。素
子(38)の第二端子のみが基準電位に接続されている。
素子(40)の第二端子への入力は素子(38)の(その第
三端子からの)出力である。素子(42)の第二端子への
入力は素子(38)の出力と素子(40)の出力から素子
(38)の出力を引いたもの(加算装置(48)にて得られ
る)との和として(加算装置(46)にて得られる。素子
(44)の第二端子への入力は加算装置(46)の出力端子
と素子(42)の出力(加算装置(52)で得られる)との
和(加算装置(50)にて得られる)である全体的出力は
素子(38)と、加算装置(48)と、加算装置(52)と、
加算装置(50)の出力を素子(44)の出力から引く加算
装置(56)とからの出力を結合する加算装置(54)から
得られる。 第4図の積み重ね装置は第10図に示すような分岐を導
入することによってさらに修正できる。そのような装置
は第4図におけるような直接的又は直接的結合で可能と
成るよりもっと複雑な重畳効果を作り出すのに有用であ
る。第10図の修正では積み重ねにおける第2「順位」の
素子は一つでなくて二つである。従って、入力Vinはそ
れぞれ伝達関数t1(s),t2(s),t3(s),t
4(s),を有するブロックの第一端子に印加される。
ブロック(58)の三端子回路の第二端子は基準電位(す
なわち接地)に接続され、その第三端子はブロック(6
0)及び(62)の第二端子に入力を行なう。ブロック(6
0,62)の第三端子からの出力は加算装置(64)で加算さ
れてブロック(66)の第二端子に印加される。全体的出
力はブロック(66)の第三端子から取り出される。他の
分岐装置も可能である。第10図の装置は本発明により素
子が構成されるほんの一例である。 第3図、第4図、第5図、及び第10図に示されていな
いが、素子間の結合は緩衝されていてもいなくてもよい
が、上に述べたように緩衝されたほうが好ましい。加え
て、これまでに示した一般的装置は三端子回路を採用す
るが、数個又はすべての素子が各々「浮動する(float
s)」または基準電位に接続される三または四端子回路
であるようにされたこれら教示に基ずく等価回路装置が
可能である。例えば、第3図から第5図及び第8図から
第10図までに固有な基本的「差動入力、加算出力」(di
fferential feed,summed output)装置を達成すべく、
変圧器や種々の孤立方法が使用できる。 本発明による任意の素子の結合に関して、全体的圧縮
器又は伸張器動作を与えるため、少なくとも一素子は圧
縮器又は伸張器関数である伝達関数を有しなければなら
ない。能動的である(例えば信号条件に応じて動的に変
動する特性を有する)素子はすべて、一般的に同一の方
向に(すなわち圧縮器又は伸張器動作を与えるように)
動作しなければならない。一つ以上の素子が受動的特性
(すなわち信号条件に応じては動的に特性が変動しな
い)を有してよい。動的特性が変動するに伴い受動的特
性が発現するように能動的素子が動的特性を有すべく、
一つの受動的素子を与えることは有用であろう。 本発明による素子の装置は単独に圧縮器及び伸張器と
して機能しうるが、米国特許第3、846、719号、米国特
許第3,903,485号、米国特許第4,490,691及び再発行米国
特許第28,426号に一般的に述べられている形式の二重路
圧縮器及び伸張器装置の一つはそれ以上の路面にそれら
を使用することが好ましい。 能動的素子はそれぞれそれら自身の制御回路によって
それらの可変条件を制御されることが好ましい。とは言
え、ある種の目的には単一の制御回路で一つ以上の能動
素子を制御することが許されよう。個別の制御回路が使
用される場合、これらの制御回路が各素子内においての
み信号に応答して独立に動作するようにこれら制御回路
が動作することは可能であるが、さらに以下に述べるよ
うに実際上は全体的回路性能は制御回路に付加的信号を
印加することにより改良できる。定常状態減衰器素子に
基ずくこの簡単な解析は、素子が制御回路を有し、また
これら制御回路系の素子及びシステム全体の諸部分と相
互関係を有する動的状態のもとでは、完全に当てはまら
ないかも知れないことは明らかであろう。 また、いくつかの能動的素子は主要信号に応答して動
的動作が始まるしきい値を有しうることも注意された
い。素子のスタック(積み重ね)の設計において、能動
的素子の間でいろいろのしきい値を選択することは種々
の主要信号状態に応答して種々の素子特性が発現するよ
うにシーケンスに影響を与えるようにできる利点があろ
う。しかしながら、一般的には重畳効果を達成するため
には能動的素子すなわち動的素子は一般的に同一レベル
範囲で能動的でなければならない。すなわち、動的動作
を起こさせる入力信号レベルは、数dBの変動を受けても
実質的に同一とすべきである。 第11図の装置は、種々の特性を備えた多重素子が有用
に結合された方法を例示し、また、スタック内の素子間
の相対的しきい値の設定を説明するのに、有用である。
理解の簡単と用意のため、概念を例示するのに必要な主
要成分のみがこの図(及び次の第13図から第16図まで)
に示されている。この装置は二重路圧縮器又は伸張器内
の雑音低減側路を形成し、又はその代わりとして、単独
の圧縮器を形成しうる。この装置は、いろいろの特性を
備えた多重素子が結合できる方法の一例に過ぎない。も
う一つの有用な素子の結合は、同一の周波数帯域内で上
方への動作及び下方への動作をする。滑動帯域特性を素
子に与えるようにすることである。 第11図には広帯域減衰器素子(68),固定帯域減衰器
素子(70),滑動帯域素子(72),第1の点周波数減衰
器素子(74),及び第2の点周波数減衰器素子(76)を
有する後素子スタックが示されている。ハイパス・フィ
ルタ(78及び80)はそれぞれ800Hzのコーナー周波数を
有し、素子(70,72)の伝達関数の一部を形成する。バ
ンドパス・フィルタ(82,84)は960Hz(4重ビデオテー
プレコーダにおけるヘッド回転に関連したオーディオ妨
害周波数)に中心があり、15.7kHz(525線テレビジョン
システムにおける水平走査周波数におけるオーディオ妨
害周波数)にてそれぞれ素子(74,76)の伝達関数の一
部を形成する。各素子はそれ自身の独立な制御回路(8
6,88,90,92,94)を有し、これらは本質的に、必要に応
じて周波数重み付けをされた利得又は広帯域利得を有し
うる増幅器を含む整流器兼平滑回路である。好ましく
は、各制御回路はそれぞれの素子の出力にのみ応答する
こと、すなわち制御信号が結合装置(89,91,93,95)を
用いて差動的に導出されること、が好ましい。(各素子
の底部から減算的な入力があることに注意されたい)。
これら制御回路は可変抵抗素子(96,98,100,012,104)
を制御するが、これらは実際はFETでよく、制御電圧は
それらのゲートに入力される。 固定帯域減衰器素子(68,70,74,76)は直列の抵抗器
(106,108,110,112)をそれぞれ有し、FETに関連して可
変電圧分割器を形成する。滑動帯域素子(72)は直列の
コンデンサ(114)を有してFETと関連して可変ハイパス
・フィルタを形成する。好ましい第4図スタック装置の
方法では、素子(68)は接地として示される基準電位に
相対して駆動され、他の素子はその下の素子の出力に相
対してバッファ(利得1のバッファ(116),(118),
(120),(122))を介して駆動される。各フィルタは
もしも含められると、やはり、その基準端子がその下の
素子の出力に接続されることに注意されたい。各素子は
信号レベルが当該素子内で上昇してそのレベルに達する
と可変素子内に変化が起こるように、しきい値を有す
る。各素子は最大10dBの動的動作を与えるものと仮定さ
れる。本装置の全体的出力は再上部の素子から利得1の
バッファ(124)までの出力として得られる。 静止状態では第11図の装置の定義包絡線10dBの動的動
作の広帯域である。信号成分が出現するとこれら成分の
周波数及びレベルに呼応していろいろの素子の特性が発
現する。これら信号成分に応答して素子の特性が出現す
る順序はそれぞれの素子の動作周波数領域とそれらの相
対的しきい値レベルとに依存する。 初めに二つの例を考えよう。もしもしきい値以下のレ
ベルから始まって、200Hzのトーンが現われると、広帯
域素子はやがて負けるが、他の素子は完全に効果的であ
り続ける。従って、第12A図に示すように、全体的特性
は800Hzの固定帯域及び滑動帯域のものであり、これら
後者は一致し、部分的に二つの点周波数特性(spot fre
quency characteristics)、すなわち、960Hz点周波数
特性の先端と滑動帯域特性を隠す。滑動帯域のハイパス
・フィルタは2kHzトーンに応答して上方に移動した。こ
の滑動帯域特性は1.5kHz点周波数特性を隠す。 第11図の装置において、各素子は制御信号が差動的に
導出される結果、それぞれの素子内の信号のみに応答す
るそれ自身の制御回路を有する。素子はそれぞれ差動的
又は非差動的であるとによらず完全な独立な制御回路を
有しえて、種々の交差接続が可能である。第13図及び第
14図に例示した交差接続は周波数の極端なところでの滑
動帯域素子内に適切な制御回路利得を維持しつつしきい
値を設定可能にする点で有用である。「パーキング(pa
rking)」と呼ぶ別の形式の交差接続を第16A図及び第16
B図に関連して述べる。 第13図を参照すると、周波数の上方に作動し、広帯域
静止特性を有する滑動シェルフ(sliding shelf)であ
る滑動帯域素子(128)にスタックされた固定帯域素子
(126)すなわち広帯域減衰器が示されている。コンデ
ンサのかわりに誘導性素子を代用すると周波数の下方に
動作する滑動シェルフができよう。実際的な問題とし
て、誘導子を疑似するためにジャイレータ(gyrator)
回路が使用される。この固定帯域素子は直列の抵抗器
(130)及び基準電位に接続された分路器FET(132)を
有する。これらFETのソースドレーン路の抵抗がそのゲ
ートに印加された制御電圧に応答して制御されるにとも
ない可変減衰器を形成する。固定の帯域素子の出力はバ
ッファ増幅器(134)を介して整流器兼平滑動回路(13
6)に印加される。滑動帯域素子(128)は並列コンデン
サ(138)と、バッファ(134)の出力にて固定帯域素子
の出力に接続されるFETにより分路される抵抗(140)
と、を含む。滑動帯域素子の出力はバッファ増幅器(14
4),付加任意の結合装置(150),及びFET(142)に制
御電圧を与える整流器兼平滑回路(146)に印加され
る。素子の結合出力はバッファ増幅器(144)から取り
出される。 第11図の装置に関連して述べたように、次の素子の制
御電圧を発生するのに 次の素子の出力を降圧(buck)すべく、一つの素子の
出力をスタックで使用することが可能である。これは第
11図においてのみならず第13図においても示されてお
り、バッファ(134)から来る滑動帯域素子の出力が、
バッファ(144)からくる固定帯域素子の出力から引か
れる。固定帯域素子からの降圧信号は(増幅又は減衰に
よって)滑動帯域素子出力より大きく又は小さくなるよ
うに取り扱うことができ、降圧信号の方向は固定帯域素
子出力が増大する際に降圧信号が減少するように反転で
きる。これらの原理は一般的に本発明による任意の配置
の連続的能動的素子に適用できる。 固定帯域素子からの加勢信号が固定帯域素子用の制御
回路ループ内に配置されたフィルタ(152)によって初
めに条件付けられる場合のさらに別の例が第14図に示さ
れている。代表的な場合、このフィルタは回路全体の動
作帯域内に配置されたハイパス・フィルタ又はローパス
・フィルタである。破線で示したフィルタのかけられて
いない降圧信号は、第13図の代わりの方法で(例えば、
付加任意的結合装置(150)について)同時的に印加で
きる。フィルタをかけられた降圧信号は第13図のフィル
タかけされない降圧信号に関して述べたように取り扱う
ことができる。 さらに別の制御回路結合法では一素子の制御回路にお
ける整流された信号を別の素子の制御回路のDC部分に入
力することが可能である。たとえば、第13図で、加算装
置(150)は整流器兼平滑回路(146)とFET(142)のゲ
ートとの間に配置でき、素子(126)からの降圧信号が
整流器兼平滑回路(136)の出力から取り出される。こ
の代わりの方法は上記の方法におけるようにAC結合若し
くは降圧について信号位相関係が正しくない場合に有利
である。しかしながら、不利点は第14図におけるように
結合された成分の選択的フィルタリングに適用できない
ことである。 いくつかの適用例では、一つの制御回路を除去して第
15図に示すように2個の素子用の共通の制御回路を使用
することが可能である。ただし、より整合的な効果を生
ずるには各素子にたいして個別の制御回路を使用するこ
とが好ましい。(第13図及び第15図で共通の成分に対し
ては同一の参照番号を使用した。)第15図では、整流器
兼平滑回路(136)からの固定帯域制御回路の出力はま
た、滑動帯域FET(142)をも制御すべくバッファ(14
8)を介して印加される。 第16A図は回路に「パーキング」と呼ばれる付加的特
徴が結合された設計変更例を示す。パーキングの概念
は、素子がそのしきい値以下にあるときは応答特性をそ
の静止レベルまたは周波数以外のあるレベルまたはある
周波数にプリセットしておくこと、すなわち「パーク」
させておくことが、しばしば有利であるとの認識に基づ
いている。固定帯域素子の場合、固定帯域制御回路は、
入力信号の変化に応答してより早く反応するように回路
が、ちょうどそのしきい値の下のレベルに、パークされ
る。検出器(153)は固定帯域制御信号を感知し、適当
な信号を発してそれを加算装置(155)に印加し、ここ
でそれが制御信号に加えられ、又は制御信号にとって代
り、固定帯域パーキング信号を与える。動作に際して
は、パーキング信号レベルは、固定帯域しきい値のちょ
うど下に設定されることが好ましい。しきい値の上で
は、固定帯域制御回路がパーキング検出器を排除し、こ
れにとって代わる。従って、検出器(153)は固定帯域
制御信号を感知して、固定帯域素子がそのしきい値以下
にあるときのみ、その所望のレベルに固定帯域制御回路
をパーキングさせるための正しい信号を与える。これら
の機能を与える検出器はいろいろの方法で与えられる。
適当な一つの装置は「完全なダイオード」回路で固定帯
域制御電圧を感知することである。そのような回路はよ
く知られており、感知された信号がバイアス電圧に上昇
すると正から負に回路がその出力を切り替えるようにバ
イアスされたオペレーションアンプを利用する。必要に
応じて適当にレベル調節された完全なダイオード回路出
力は所望のパーキング信号を与えるべく、固定帯域制御
信号にとって代わる最大値選択回路として動作する。 第16B図はパーキングを使用するスタック式固定帯域
及び滑動帯域素子の一般的な別の装置を示す。この場
合、滑動帯域素子(129)は、滑動帯域回路が下方に動
作するよう、誘導子(139)(実際的実施例ではジャイ
レータで疑似される)を有する。第16B図の装置では、
パーキングは固定帯域回路においてのみならず滑動帯域
回路においても与えられている。固定帯域回路に適用さ
れると同様に、パーキングの概念は、固定帯域アンブレ
ラ特性が存在するかぎり信号が印加されたときに動作が
起こる可能性のある周波数領域に滑動帯域を予め滑動さ
せる(それを「パーク」させる)ことが可能である、と
いう認識に基づいている。これは応答時間を改良し、変
調歪みを低減する。その静止状態においては、下方に動
作する滑動帯域は、通常はその広帯域状態内にある(い
かなるパーキング回路も存在しないとき)。すなわち、
高周波遮断は、もしも第19図に関連して以下に述べるよ
うな装置に使用されたなら、無限大になる、すなわち十
分に低周波停止帯域内にある。信号が現われると、帯域
は主要信号を減衰すべく下方に滑動する。会話及び音楽
では主要信号は100Hzないし1kHz領域内にある。したが
って約400Hzの遮断周波数に滑動帯域をパークさせてお
くことが有用である。この周波数は第19図の装置の低周
波パスバンドに入ったところである。パーキングの影響
は、信号が固定帯域しきい値の上に上昇すると、これは
固定帯域アンブレラの急速な低下又は消滅を示すので、
ただちに除去される。検出器(153)は、規準電圧に相
対して固定帯域制御信号を感知し、結合装置兼最大値選
択装置(151)を介して滑動帯域FET(142)に印加パー
キング信号を発生する。この信号が固定帯域しきい値の
上に上昇した後で、もしも印加された周波数が400Hzよ
りも低いと、滑動帯域制御回路が支配的となって、帯域
をさらに下方に滑動させる。もしも周波数が400Hzの上
であれば滑動帯域制御回路が依然支配的であるが、滑動
帯域制御回路は、遮断周波数が上方に滑動することを許
す。検出器(153)は、固定帯域制御信号を必ず感知す
るようにされており、その帯域素子がしきい値以下にあ
るときのみ、滑動帯域回路を所望の周波数にパーキング
させるための正しい信号レベルを与える。第16A図装置
に関して述べた検出器装置は第16B図装置についても適
している。 滑動帯域パーキング装置は高周波数滑動帯域回路に関
連しても使用できるが、利点は小さい、なぜならば起こ
りそうな印加信号周波数は高周波停止帯域周波数領域に
あるからである(第19図及び第20図等の装置を参照)。
これはすでに、低周波の場合とは対照的に、これはすで
に当を得ている状態である。 第16B図は、ジャイレータで疑似される誘導子(139)
によりえられる雑音低減についての上述したパーキング
回路に関する別の特徴を示す。スイッチ(157)として
示す分路器は誘導子(139)にまたがって接続される。
このスイッチは検出器(153)からの信号により制御さ
れる。固定帯域回路及び滑動帯域回路のしきい値の下
(これは検出器(153)により感知されるが)では、滑
動帯域回路(129)及び誘導子(139)が能動的である必
要はない。従って、ジャイレータ疑似誘導子は、回路が
それらのしきい値以下にあるときは分路器により短絡さ
れている。実用的回路では、この分路器はFETを使用し
て与えることができ、検出器(153)からの信号はこのF
ETのゲートに印加される。この代わりとして、分路器は
任意の入力点から適当な出力点にまたがる配置でよい。
ただし、これらに二点が同一の信号レベルを有するとす
る。能動的素子内の雑音を除去するために分路器を使用
することは任意の双線形(bi-linear)の、又は単線形
(uni-linear)の圧縮器又は伸張器回路でできる。なぜ
ならばそのような回路には全く動的を与えない入力信号
レベル領域があるからである。そのような分路器は必ず
しもパーキング回路には関連していない。第16図装置に
おいては、検出装置(153)から導出されるパーキング
信号は単に分路器の制御にたまたま適当であるに過ぎな
い。 第16A図及び第16B図の実施例の、パーキング及びジャ
イレータ分路器特性は第14図装置の意味では使用する必
要がない。例えばフィルタ(152)の使用は重要でな
い。このパーキングなる特徴は第11図の装置のような一
般の装置に適用できる。 第13図から第16B図の交差結合装置は、このように、
回路設計者が2個の素子のしきい値の相互作用の仕方を
決定する点において顕著な融通性を与える原理上、第13
図の装置のように、スタックされた素子夫々が別々のか
つ独立の完全な作動制御付き制御回路を有する場合、ス
タック順序は重要でない。すなわち任意の順序に配置さ
れた素子でも同一の結果が得られる。しかし、制御回路
に交差結合が全く無い場合または(降圧信号がフィルタ
(152)からのみある第14図におけるように)一部作動
制御のみを与える交差結合がある場合、素子のスタック
順序は全体的結果に影響するかもしれない。 固定帯域素子及び滑動帯域素子からなる二素子スタッ
ク(例えば第13図から第16図におけるように)の動作を
理解するために、コーナ周波数800Hzの固定単極ハイパ
ス・フィルタが前記二素子への入力にたいして並列に置
かれたとし、かつこの固定帯域素子の実効しきい値が−
62dBであり、滑動帯域素子のそれが−66dBであると考え
よう。各素子は最大10dBの減衰を与えると仮定する。た
とえば、もしも12kHzの信号が−66dBのレベルに印加さ
れると、滑動帯域特性のコーナ周波数は滑動しはじめる
が、全体的特性ほうらく線には何も起こらない。なぜな
らば固定帯域は依然非能動的であり、ほうらく線を支持
しているからである。変化された滑動帯域特性は隠され
ている。この状況は、第17A図に示すように、信号が固
定帯域しきい値の−62dBに連するまで続く。この図は、
静止状態のとき同一の包絡線を有するが、外見上の滑動
帯域は破線で示す変化を受けることを示す。信号レベル
が固定帯域しきい値の上数dBに増大すると固定帯域は減
衰を続け、滑動帯域は第17C図に示すように上方に移動
し続ける。 再発行米国特許第28,426号に記載されているように滑
動帯域FETの完全な減衰を得るためには、高レベルにあ
る制御信号ループ内に十分に高い利得を有することが必
要である。前記特許に開示された解決法は、ループ内に
高周波重み付けをした増幅を与えることである。しか
し、この方法の欠点は、ループ利得が低レベルにて高す
ぎる(従って帯域を必要以上に滑動させる)こと、また
十分に高い滑動帯域しきい値を維持するのが困難である
ことである。 第13図及び第14図に関して述べた交差結合法を用い
て、高信号レベル及び低信号レベル状態で所望のループ
利得を持った所望の滑動帯域しきい値を達成することが
可能である。もしも付加任意的結合装置(150)付きの
第13図装置が使用される(すなわち完全な降圧効果があ
る)と、この時は固定帯域しきい値の下では滑動帯域FE
T対する制御信号駆動が全くなく、非常に高いレベル状
態の下では固定帯域が負け(すなわち完全な減衰があ
る)、降圧はもはや与えられず、滑動帯域制御信号ルー
プ内には充分な利得が与えられる。 実際上は、十分な降圧を与える方法は必要以上の降圧
効果を与えるが、もしも降圧動作がより小さければ改善
された性能が達成される。たとえば滑動帯域制御信号ル
ープの実効高周波利得は、固定帯域が減衰されないかぎ
り約5dB減少され、それが減衰するにともない、固定帯
域が完全に減衰されるときにこの利得がゼロdBに達する
まで、降圧動作は減少する。高い滑動帯域しきい値が望
まれる適用例では、第14図装置は広帯域及び周波数選択
的降圧動作の両方の使用が可能である。高周波滑動帯域
素子の場合は、極端な高周波では降圧動作が最も望まし
いので、周波数選択性の降圧信号が、ハイパス・フィル
タ(152)を使用して導出される。極端な高周波では等
化された制御増幅器が最高の利得を与える。下にさらに
述べる実用定的一実施例では、遮断周波数1.6kHzが使用
される。低周波滑動帯域素子に対しては、高レベル低周
波数にて高ループ利得を与えることが必要条件である。
この場合、第14図の装置のフィルタ(152)はローパス
・フィルタである。さらに下に述べる実用的一実施例で
は、400Hzの遮断周波数が使用される。 上記のように非常に有用な構成は、各段が滑動帯域及
び固定帯域素子からなる、帯域分割式の高周波及び低周
波段に構成された圧縮器又は伸張器を与えることであ
る。平行な段は単独的ダイナミック・レンジ領域改変装
置として、又は米国特許第3,846,719号,米国特許第3,9
03,485号,再発行米国特許第28,426号,及び米国特許第
4,490,691号に述べられているような形式I又は形式II
の二重路装置における側路として、動作することができ
る。好ましくはそれぞれにおいて同一のコーナー周波数
を有する単極フィルタが、二つの段の結合された静止応
答が平坦となるように使用される。高周波及び低周波段
に対する有利なコーナー周波数はオーディオシステムの
場合約800Hzである。緩やかに傾斜する6dB/オクターブ
のフィルタ勾配を用いると、もしも高周波段が800Hzの
コーナー周波数を有すると、この段は100ないし200Hzの
低周波まで顕著な動作を与える。もしも低周波段もコー
ナー周波数800Hzを有すると、それは3kHzから6kHzの高
周波まで顕著な動作を与える。したがって、たとえば代
表的音楽における大抵のエネルギーを含む帯域である10
0Hzから6kHzまでの領域にある信号に対しては両方の段
が効果的であり信号追跡効果(tracking effect)を与
える。例えば、下にさらに説明するように、この領域に
ある単一の主要信号に対しては、全体的応答は主要信号
の上方及び下方の二つの滑動帯域の和である。一つ以上
の主要信号にたいして得られる特性は、それぞれ、最上
及び最低の主要信号間の固定帯域応答と、最上及び最低
主要信号の上及び下の滑動帯域応答と、である。 第18図では高周波段の実施例が示されている。その入
力内には遮断周波数800Hzの単極ハイパス・フィルタ(1
54)が配置されている。実際上は、このフィルタはそれ
以下の回路からこのフィルタを緩衝すべくオペレーショ
ン増幅器を含む。ハイパス・フィルタを通った入力信号
は固定帯域素子(156)と滑動帯域素子(158)とに印加
される。この固定帯域素子は入力抵抗(160)と、可変
抵抗として作動する分岐器FET(162)と、FET(162)の
ゲートに印加されるDC制御信号を発生する制御回路(16
4)とを含む。DC制御信号レベルが増大するにつれ、FET
抵抗は降下する。固定帯域制御回路(164)はそのルー
プ内にバッファ増幅器(166)と、約400Hzの遮断周波数
を有する単極ハイパス・フィルタ(168)と、整流器(1
72)(好ましくは全波)と、平滑回路(172)(これも
この制御ループの動作開始時間及び復旧時間定数を調整
するために使用される)とを含む。滑動帯域素子(15
8)は並列の入力抵抗(178)及びFETにより分路される
コンデンサ(180)を含む。この滑動帯域素子は、バッ
ファ増幅器(186),加算装置(188),高周波強調回路
(190),整流器(192)(好ましくは全波)、及び平滑
回路(194)を含む制御回路(184)を有する。この加算
回路もまた入力として、約1.6kHzの遮断周波数を持つハ
イパス・フィルタ(170)の前後で取られた降圧信号を
受信する。この降圧信号は適当に緩衝され、制御回路の
好ましからざる相互作用を回避する。フィルタ(170)
への入力はフィルタ(168)及び整流器(172)の間で取
られる。固定帯域素子(156)の出力はバッファ(198)
を介して滑動帯域素子に印加される。全体的出力は滑動
帯域素子(158)のバッファ(186)から取られる。 スタック固定帯域及び滑動帯域素子は一般的に上記の
ように作動する。固定帯域素子からの降圧信号成分を滑
動帯域素子の制御回路に入力するのは上記第14図の説明
に関して述べた理由のためである。フィルタ(170)に
たいして約1.6kHzのコーナー周波数が選ばれた。その理
由は滑動帯域の差動制御は高周波でのみ必要であるから
である。フィルタ(168)は、非常に低周波の成分に対
する固定帯域回路の鋭敏さを低減するために使用され
た。 第19図には低周波段の実施例が示されている。入力信
号は固定帯域素子(200)と滑動帯域素子(202)とに印
加される。固定帯域素子は、入力抵抗(204),可変抵
抗として作動される分路FET(206),及びFET(206)の
ゲートに印加されるDC制御信号を発生する制御回路(20
8)を含む。FET抵抗はDC制御信号レベルが増大すると降
下する。制御回路(208)はそのループ内にバッファ増
幅器(210),コーナー周波数約800Hzの第1の単極ロー
パス・フィルタ(212),コーナー周波数約1.6kHzを有
する第2ローパス・フィルタ(210),整流器(218)
(好ましくは全波)、及び平滑回路(220)(これもま
た制御ループの動作開始時間と復旧時間定数を調整する
ために使用される)を含む。 滑動帯域素子(202)はFET(228)により分路される
並列の入力抵抗(224)と誘導子(226)とを含む。実用
上、誘導子(226)は演算し増幅器(このような回路は
よく知られているので図示しない)を含むジャイレータ
回路によって疑似される。滑動帯域素子は、バッファ増
幅器(232),約800Hzのコーナー周波数を有する単極ロ
ーパス・フィルタ(234),加算回路(236),低周波強
調回路(238),整流器(240)(好ましくは全波)、及
び平滑回路(242)を含む制御回路(230)を有する。ロ
ーパス・フィルタ(234)は好ましくは、低周波段で発
生された好ましくない雑音を抑制するのを助けるために
示す位置に配置される。この代わりに、このフィルタは
第18図の高周波回路で行なわれたように、装置への入力
内に配置できる。加算回路(236)もまた入力として約4
00Hzのコーナー周波数を有するローパス・フィルタ(21
6)の前後で採られた降圧信号を受信する。この降圧信
号は適当に緩衝されて制御回路間の好ましくない相互作
用を回避する。フィルタ(216)への入力はフィルタ(2
14)と整流器(218)との間で採られる。固定帯域素子
(200)の出力はバッファ(247)を介して滑動帯域素子
に印加される。全体的出力は滑動帯域素子(202)のフ
ィルタ(234)から取られる。 動作上、低周波スタック固定帯域素子及び滑動帯域素
子は、一般的に、滑動素子が周波数下方へ作動すること
を除けば上記と同様に作動する。上記のとおり低周波段
における一つの相違は、帯域確定フィルタが、高周波に
おけるごとく入力内には配置されないで、段出力内に配
置されることである。固定帯域素子からの降圧信号を滑
動帯域素子の制御回路に入力することは上記第14図の説
明に関連して述べた理由のためである。フィルタ(21
6)にたいしては約400Hzのコーナー周波数が選ばれた。
その理由は滑動帯域の差動制御は低周波でのみ必要とさ
れるからである。フィルタ(212,214)は非常に高周波
の成分に対する滑動帯域回路の鋭敏性を低減するために
使用される。 第18図及び第19図に示した形式の高周波及び低周波段
は、圧縮器、伸張器、及び雑音低減コンバンダを作る構
成ブロックとして使用できる。例えば第18図及び第19図
に述べた形式の高周波及び低周波段は第20図及び第21図
に図示した方法で、二重路装置内の側路として使用でき
る。 第20図においては(米国特許第3,846,719号に一般的
に述べられている形式の)二重路装置が、入力信号が高
周波段(250)と、低周波段(252)と主要路(254)と
に印加される圧縮器(248)を有するものとして示され
ている。段(250,252)の出力は加算装置(256)にて加
算され、その後加算装置(258)で主要路信号成分と加
算されて用途のための圧縮器出力を伝送チャンネルに与
える。この側路信号成分は、従って主要路信号成分を昇
圧し、圧縮器動作を起こさせる。伝送チャンネル出力は
圧縮器(248)に相補的であるように構成された伸張器
(260)に印加されるが、これは伝送チャンネル出力を
受信し高周波段(250)と低周波段(252)の出力との和
を引く入力加算装置(262)を有する。これら出力は加
算装置(264)で加算される。側路信号成分はしたがっ
て主要路信号成分を降圧し、伸張器動作を起こさせる。 第21図では、(米国特許第3,903,485号に一般的に述
べられている形式の)形式IIの二重路装置が、入力信号
と、加算装置(272)で結合される高周波段(250)及び
低周波段(252)の出力の和と、を受信する入力加算装
置(270)を有する圧縮器(268)を備えたものとして、
示されている。この加算装置(272)は、その出力が主
要路(274)に印加され、この主要路がその圧縮器出力
を伝送チャンネルに、その入力を圧縮器(250,252)
に、与えるこの側路信号成分はしたがって主要路信号成
分を昇圧して圧縮器動作を起こさせる。この伝送チャン
ネル出力は圧縮器(258)に相補的であるように構成さ
れた伸張器(276)に印加される。段(250,252)の出力
は加算装置(280)で加算されてから加算装置(282)で
主要路信号成分から引かれ、伸張器出力を与える。側路
信号成分はこのように主要路信号成分を昇圧して伸張器
動作を起こさせる。 第20図及び第21図では各圧縮器及び伸張器の主要路
は、ダイナミック・レンジにたいして線形であり、側路
高周波段と低周波段との和のレベルは主要路の最大レベ
ルよりも小さい。これらの図及び下記第22図及び第23図
における伝送チャンネルは、任意の形式の記憶媒体もし
くは伝送媒体を含んでよく、また、圧縮器からのアナロ
グ信号成分を別の形(例えばデジタル)に符号化若しく
は変換する装置、その符号化された信号の記憶若しくは
伝送、及び符号化された信号を下のアナログ信号成分に
再変換若しくは複合する装置、を含むことができる。 ただ一つの高周波段と一つの低周波段のみが各圧縮器
及び伸張器で使用される第20図や第21図のような装置で
は、過度の最大圧縮若しくは伸張比に達しないようにし
て約10ないし12dBの雑音低減を与えることが実際的であ
る。第20図及び第21図装置はある種の用途に適当であろ
うが、いかなる一段にも不当な重荷をかけず、また過度
の圧縮若しくは伸張比を課することなく大きな全体的雑
音低減を達成するためには米国特許第4,490,691号の教
示を採用することが有用である。 第22図では圧縮器内に形式Iの二重路段3個の直列が
あり、伸張器内に3個の相補的段がある、一つの可能な
装置が示されている。この直列双線形回路のしきい値レ
ベルは、米国特許第4,490,691号の離調特性を採用して
離調されている(staggered)。この代わりとして、形
式IIの構成が使用できる。第22図の実施例もまた米国特
許第4,490,691号のスペクトル・スキュウイング(skewi
ng)と反飽和(antisaturation)特性を使用する。とは
言えこれらの特徴は高周波段及び低周波段を使用する多
重段装置には本質的ではない。 第22図のシステムの圧縮器部分は3個の段を有する。
それらは最高のしきい値レベルを有する高レベル段(28
4)と、中レベル段(286)と、最低のしきい値レベルを
有する低レベル段(288)とである。米国特許第4,490,6
91号に議論されているように、逆の順が可能ではある
が、これが離調された段の好ましい構成順である。第22
図のシステムの伸張器部分もまた圧縮器に相補的に配置
された3段を有する。それらは低レベル段(290)と、
中レベル段(292)と、高レベル段(294)とである。各
高レベル段と中レベル段は共に高周波段(250)と低周
波段(252)を有する。この低周波段は高周波段(250)
のみを有し、低周波段を有しない。各高周波段(250)
と各低周波段(252)は第18図及び第19図に関して述べ
た形式のものである。実用的回路では、高周波段と低周
波段が高レベル段、中レベル段、あるいは低レベル段の
いずれに配置されるかに応じて、それら段の間には幾分
の差異があるかも知れない。各圧縮器段(284,286,28
8)及び各伸張器段(290,292,294)が、例えば夫々8dB
の圧縮又は伸張を有すれば、その時は全体的コンパンダ
システムは高周波帯域(もしも高周波段が800Hzの遮断
周波数を有すれば800Hzの上)で24dBの雑音低減を与
え、低周波段(もしも低周波段が800Hz遮断周波数を有
すれば800Hzの下)で16dBの雑音低減を与える。そのよ
うな構成は例えば業務用に使用される形式の高品質オー
ディオ雑音低減システムに有用である。 第22図の実施例におけるような離調された従続接続
(cascading)は、圧縮及び伸張の大きさを増大するこ
とのみならず、(高周波段の帯域に相対の)疑似多重極
効果及び(低周波段の帯域に相対の)疑似2極効果を創
成することにも有用である。 かくして、回路に広範囲の周波数重畳を許し、帯域が
結合されたときに平坦な全体的周波数応答をゆるすた
め、各回路自体は単極帯域確定フィルタのみを有するだ
けであるが、2個又は3個の回路が従続接続されると全
体的効果は急峻性複合化(steepness compunding)段団
塊化(stage ganging effect)の効果を与えることを目
的とする。実際には2又は3極フィルタを与えることで
ある。2又は3極フィルタの付加的な鋭さは、それがシ
ステムに主要信号をさらに効果的に追跡させることを可
能にする点で、好ましい。すなわち急峻なフィルタ勾配
があることにより、主要信号成分に隣接した周波数は動
的動作による影響が可能なかぎり少なくされる。疑似2
極又は3極フィルタ効果は、各個別回路の単極フィルタ
の利点を維持しつつ上記効果、すなわち高周波回路と低
周波回路の出力を振幅と位相の両方について、完璧に結
合するという効果、をもたらす。全体的結果は、各回路
の雑音低減側路内の疑似2極フィルタ効果と組み合わさ
れて取られる多重段急峻複合効果によって、信号が印加
されるときのフィルタ動作がより複雑になる、というこ
とである。疑似2極フィルタ効果は、静止状態では単極
特性を有するが主要信号の存在化では2極特性の傾向を
持ち始めるという可変シェルフ特性のある滑動帯域回路
部分と直列に単極固定フィルタを使用することから生ず
る。動作置換を介しての固定帯域の介在は応答をさらに
調整する。 システムの圧縮器部分への入力は、ブロック(296)
として示される、低周波及び高周波スペクトル・スキュ
ーイング回路に印加される。実用的実施例では直列な二
つの回路網がある。それらは50Hz高パス単極シェルビン
グ部と20Hzハイパス単極フィルタ部とからなる二部の低
周波回路網と、(最大時、平坦な)12kHzパターワース
・ローパス・フィルタ回路網とである。 両回路網はよく知られたオペレーション増幅器能動フ
ィルタ法を使用して与えることができる。相補的デ・ス
キューイング回路網は伸張器の出力端のブロック(30
4)内に配置されている。 圧縮器部分内の各段(284,286,288)の主要路は、そ
れぞれ低周波及び高周波反飽和回路網(antisaturation
networks)(298,200,302)を含む。伸張器部分内には
それぞれ各段(290,292,294)の主要路内に相補的反飽
和回路網(304,306,308)が配置されている。米国特許
第4,490,691号に議論されているように、これらの回路
網を圧縮器のただ一段の主要路内及び一連の従続継続さ
れた離散的段の伸張器部分の一段内の相補的位置に配置
することが可能である。 第22図の形式Iの諸段もまた、それぞれ段(284,286,
292,294)の高周波及び低周波回路の出力を結合する加
算装置(310,312,314,316)を含む。これらの各段は、
段(288,290)の場合には側路出力を主要路に、他の段
の場合には側路の出力を主要路に、結合する主要路内加
算装置(318,320,322,324,326,328)を含む。 第22図は第18図及び第19図に関して述べた形式の高周
波回路かつ又は低周波回路を用いて構成できる圧縮器、
伸張器又はコンパンダ・システムのほんの一例である。
他の可能性ある例としては、次のものがあるが、これら
に限定されない。それらは、(1)圧縮器及び伸張器内
の単一の高周波回路、(2)それぞれ圧縮器および伸張
器内にある一高周波回路及び一低周波回路(第20図、第
21図の例に示されるようなもの)、及び(3)それぞれ
圧縮器及び伸張器内にある2個の高周波回路と一低周波
回路(例えば高レベル段(284,294)を省いた場合の第2
2図に示すような装置)である。別例(1)はドルピー
研究所により許諾されて広く使用されているB型の消費
者雑音低減システムとの両立性を与え、別例(3)はド
ルビー研究所により制作されて広く使用されているA型
業務用雑音低減システムとの両立性を与える。システム
設計者の目的に応じて他の構造が可能である。例えば第
22図の例の圧縮器及び伸張器部分に第四段が付加でき、
かつ又はその例の低レベル段に付加的に低周波回路を含
めることができる。 第22図の例に一般的に合致するシステムの実用的実施
例では、独特の回路及びスイッチ装置を用いてただ一組
の高レベル、中レベル及び低レベル段を使用することが
可能である。第23図はそのような実用的な実施例のブロ
ック線図である。この回路及びスイッチ装置は同時的に
符号化及び複合化が必要とされないすべての型の直列二
重路段付きコンパンダ・システムに適用できる。単極二
重スロースイッチがその圧縮モードから圧縮モードへの
システムの切り替えを与える。切り替えをこの簡単なも
のとするため、本装置は最後の段以外の各段に、相補的
主要路を使用する。 第23図を参照すると、システムへの入力は、亜音速及
び超音速の信号を除去するように意図されている(例え
ばこのフィルタは遮断周波数約10Hzの二極ハイパス・フ
ィルタ及び遮断周波数約50kHzの二極ローパス・フィル
タでよい)。ろ波された入力信号は第1及び第2の反転
バッファ増幅器(332,334)(適当な抵抗器332a,332b,3
32c,334a,334b,334c付きの加算オペレーション増幅器と
して構成される)を通過してシステム出力端に至る。シ
ステムの主要路は増幅器(332,334)であるバッファ(3
32,334)の間の点にて、三路への入力が導出される。こ
れら三路には、三段(340,342,344)[このうち最初の
二段(340,342)は補助的主要路を有する]に入力する
低周波数及び高周波数スペクトル・スキューイング回路
網(338)を含んだ第1路(336)と、低周波及び高周波
の反飽和回路網(352)をふくんでいて反飽和信号を発
生する第2段と、利得トリンミング路(354)とが含ま
れる。回路網(338)は第22図の回路網(296)に関連し
て述べたと同一の特性を有する。回路網(352)は第22
図の回路網(298,300,302)と疑似の特性を創成するた
めのものであるが、さらに適当なレベル及び極性の降圧
信号を発生するに必要となる増幅器を含む。これら三路
からの信号成分は加算回路(356)で結合され、その出
力はスイッチ装置(358)に印加される。すなわち、回
路網(352)は低周波及び高周波昇圧特性を有するの
で、信号が降圧方向に結合されるときは全体として低周
波及び高周波反飽和特性が得られる。 第1段(340)は好ましくは第22図におけるように、
高周波回路(250)及び低周波回路(252)を含む高レベ
ル段である。段(340)への入力は回路(250,252)及び
二次主要路(346)に入力される。各回路(例えば250,2
52,346)の出力は加算回路(346)で結合される。中レ
ベル段である第2段(342)は、加算装置(364)の出力
を受信してそれを別の高周波段(250)及び低周波段(2
52)に、及び二次主要路(348)に印加する。回路(25
0,252)及び路(348)の出力は、高周波回路(250)を
含んだ低レベル段(344)に出力を印加する加算装置(3
66)にて結合される。段(340,342,344)内の5個の回
路の雑音低減出力は、ブロック(352)からやる反飽和
降圧信号及びレベル・トリミング路(354)から来る信
号と共に、結合装置(356)に印加される。このレベル
・トリミングは数分の1dB程度である。 このスイッチ装置はその閉じたときの雑音低減「オ
フ」位置では加算装置(356)からの出力を接地するが
雑音低減「オン」位置では開いている単一の単極スロー
雑音低減オン/オフスイッチ(356)は出力はさらに単
極二重スロースイッチ(352)の共通位置に印加され
る。「圧縮」位置では、この加算装置出力はバッファ
(332,334)間の一点に印加される。「伸張」位置では
この加算装置出力はバッファ(332)の入力に印加され
る。 動作においては、雑音低減「オフ」位置へ雑音低減ス
イッチ(360)を閉じると、加算装置(356)の出力がバ
ッファ(334)に結合されるのを阻止する。なぜならば
その二つの加算入力のうち一つが接地されるからであ
る。圧縮/伸張モード・スイッチ(362)について言う
と、「圧縮」位置ではこの装置全体は、第22図の一部に
しめされるような形式Iの圧縮器の構成と本質的に等価
である。 すなわち、バッファ(332)を介する入力信号は三路
(336,350,354)に印加され、それらの和はスイッチ(3
62)及びバッファ(332)を介して出力に印加される。
スイッチ(362)の伸張位置では、結合装置(356)の出
力は帰還されるが、これら三路への入力と極性において
反対であり、従って第22図の形式Iの伸張器の複製とな
る。いずれのスイッチ位置でも、結合器(356)の出力
は増幅器(332)又は増幅器(334)により入力信号に印
加される。形式IIの圧縮器システムにも同じ原理が適用
できる。 圧縮器/伸張器の切り替えが簡単化されたことに加え
て、第23図装置は単一のスペクトル・スキューイング回
路網及び単一の反飽和回路網のみを必要とする。第23図
装置に単一のスペクトル・スキューイング回路網を使用
することが第22図装置と一つの小さな差異を結果する。
すなわち、第23図では回路網(338)は側路のみに影響
して一次主要路には影響しないが、第22図では回路網
(296)は主要路及び側路双方に影響する。しかし、米
国特許第4,490,691号に記載されているように、両方の
位置が許容可能な位置である。第22図の例と一般的に合
致するシステムの別の実用的実施例では、独特の回路及
びスイッチ装置を使用して、ただ一組の高レベル、中レ
ベル及び低レベル段を使用することも可能である第24図
はそのような実用的実施例のブロック線図である。この
回路及びスイッチ装置は同時的符号化及び複合化が必要
とされないすべての形式の直列二重路段付き圧縮器シス
テムに適用できる。単極二重スロースイッチがこのシス
テムの圧縮モードからその伸張モードへの切り替えを与
える。別のスイッチが雑音低減オフ位置を与える。この
場合補助的主要路が全く必要でない点で、第23図の実施
例におけるよりもさらに大きな単純性が与えられてい
る。必要とされる反飽和量は図示したようなただ一つの
低周波及びただ一つの高周波反飽和回路により与えるこ
とができる。第24図の装置は、加算されたときの並列的
組合わせが、導出された雑音低減側路信号を与えるよう
に、反転増幅器と並列に第22図の符号化器部分を利用す
る。例えば、この並列的組合わせは、主要路信号に雑音
低減信号の合わさったものから主要路信号を効果的に引
き算して雑音低減信号自体を与える。雑音低減信号を孤
立して導出することにより、システム全体は第24図及び
第25図に関連して説明するように容易に符号化モードか
ら複合モードに切り替えられる。 第24図を参照するが、第22図及び第23図における同様
の素子については同一の参照番号を使用する。この図で
システムへの入力は帯域通過フィルタ(330)を通過す
る。このろ波された入力信号は(適当な抵抗362a,332b,
364a,364bを持った加算演算増幅器として構成されてい
る)を通過してシステム出力に至る。バッファ(362,36
4)間の一点にて、反転増幅器(370)と並列な第22図の
システムの符号化(圧縮器)部分への入力が導出され
る。システムの主要路は(362)及び増幅器(362)の間
に与えられる。符号化器出力は加算抵抗(368)に印加
される。反転増幅器路は反転オペレーション増幅器(37
0),入力抵抗(370a),帰還抵抗(370b),及び加算
抵抗(370a)を含む。抵抗(370a,370b)は利得1を与
えるように選択される。加算抵抗(368,372)は、複号
器及び反転増幅器路がいずれかの増幅器(362又は364)
にて加算されるときはその結果得られた信号が導出され
た雑音低減信号となるように、同一値を有する。 圧縮/伸張切り替えは抵抗(368)(372)の接合部に
接続された、共通点を有する単一の二位置スイッチ(37
4)によって与えられる。「圧縮」位置では、加算抵抗
(368)(372)は加算増幅器(364)の入力に接続され
る。この増幅器はしたがって、主要路信号と雑音低減信
号を加算して圧縮を与える。「伸張」位置では、加算抵
抗(368,372)は加算増幅器(362)の入力に接続され
る。この増幅器はしたがって主要路信号か雑音低減信号
を引いて伸張を与える。スイッチ(375)の「オフ」位
置では雑音低減信号は接続されず、出力単にその入力で
ある。 第24図のスイッチ装置の動作は再発行米国特許卯28,4
26号に記載される形式Iの単一段二重路コンパンダ・シ
ステム用の先行技術スイッチを示す第25図を参照すると
一層よく理解できよう。入力信号は第1加算装置(37
4)に印加される。主要路(376)は加算装置(374)か
ら第2加算装置(378)まで延びる。雑音低減側路(38
9)は(これまでは単一の小回路である)はその入力を
主要路から導出し、その出力を、圧縮のため加算装置
(378)内の主要路信号と加算し、また反転器(384)内
での反転と加算装置(374)内での加算とにより主要路
信号から引き算し又は主要路信号を降圧するように、ス
イッチ(380)により切り替え可能にされている。スイ
ッチ(383)は雑音低減側路をオフ状態の時に開く。第2
4図は、複雑な多段システムにおいて全体的雑音低減信
号を表す雑音低減側路信号を、簡単に導出することが可
能であるということの認識に基づいている。 第24図の装置は第22図の複合器部分を符号器部分の代
わりに使用することにより改変することができる。さら
に、これらの原理は形式IIの装置にも等しく適用可能で
ある。第24図装置には第23図装置をしのぐ利点があるこ
とに注目されたい。第24図装置のスペクトル・スキュー
イング回路網の効果は第22図の構成のものと同一であ
る。該回路網は主要路及び側路の両方に影響する。この
ようにしてこのスペクトル・スキューイング回路網もま
たオーディオ・スペクトルの両極端にて、反飽和効果を
与える。この効果は反飽和回路網自身により与えられる
効果に重ねて、かつ上方で、起こる。 第26図は前記5個の回路の静止特性と、第22図の圧縮
器部分のように構成されたシステムの全体的装置又は圧
縮器モードで作動された第23図及び第24図のシステムの
静止特性を表す。いずれの場合もそれぞれスペクトル・
スキューイング及び反飽和回路網は含まれない。回路
(250,252)はそれぞれしきい値の下の低レベル信号状
態に対して最大8dBの圧縮を与える。従って、これらの
曲線は2個の低周波回路の加算的効果と3個の高周波回
路の加算的効果を示す。これら回路は、高周波にて24dB
の全体的圧縮を、また低周波にて16dBの圧縮を与える。
これらの曲線はまた、単極フィルタの6dB/オクターブ辺
縁(skirt)の実質的重畳をも示す。上記第7B図も参照
されたい。この図は主要信号の存在するときのこの同じ
装置の低レベル応答を示す。
mic range)を変更する回路装置、すなわち、ダイナミ
ック・レンジを圧縮する圧縮器とダイナミック・レンジ
を伸張する伸張器に関する。本発明はオーディオ信号お
よびビデオ(テレビジョン)信号をふくむ色々の型式の
信号を処理するに有用であるが、本発明の説明は主とし
てオーディオ信号の処理について述べる。本発明の原理
は、公知技術を適用することにより本開示の実施例を設
計変更することによって、他の信号の処理に適用でき
る。例えば、ビデオ信号用の圧縮器及び伸張機は瞬時的
に作動することができ、音節制御回路(syllabic contr
ol circuitry)を必要としない。 圧縮器及び伸張器は通常は雑音低減を果たすために一
緒に(コンパンダ・シンテムとして)使用される。信号
は伝送もしくは記録の前に圧縮され、伝送チャンネルか
ら受信もしくは再生された後に伸張される。しかしなが
ら、圧縮器は単独で、伝送チャンネルの容量に適合させ
る等のために、圧縮された信号が当該目的に適当である
ときはその後の伸張をすることなく、ダイナミック・レ
ンジを低減すべく使用できる。さらに、圧縮器はある種
の製品、特に、圧縮された放送信号又は予め録音された
信号を伝送し若しくは記録するためのみに意図されてい
るオーディオ製品に、単独に使用されている。伸張器
は、ある種の製品、特に、すでに圧縮された放送信号又
は予め記録された信号を受信若しくは再生するべく意図
されたオーディオ製品に、単独に使用されている。ある
種の製品においては、信号を記録するための圧縮器及び
圧縮済み放送信号若しくは予め記録された信号を再生す
るための伸張器として、モード切り替え可能に作られて
いる。 圧縮器、伸張(長)器及びコンパンダ型の雑音低減シ
ステムの設計において、長期間追究されてきた目標は、
印加信号に対する圧縮器及び伸張器の高度な適合性であ
った。すなわち、例えば理想的圧縮器は予定の圧縮法則
に従って動的動作(作用)を提供する、主要(優勢)信
号成分周波数部分を除き、作動周波数スペクトル全体に
亘って一定の利得を提供しなければならない。この目標
は本発明者による1965年10月11日付け英国仮明細書第43
136号において、「整合等化(conformal equalizatio
n)」と呼ばれていることである。従って、前記文書
(本発明者によるそれぞれ1965年8月11日及び1966年1
月18日付け他の二つの英国仮明細書第34394号及び第023
68号及びそれらから導かれたその後の特許(米国特許第
3,846,719号及び米国特許第3,903,485号を含む)はとり
わけ今日では通常「帯域分離(band-splitting)法」及
び「滑動帯域(sliding band)法」として知られる技術
を含むいくつかの技術を使用して目標の達成が図られ
た。 帯域分離法によればスペクトルは各々が独立に動作を
受ける複数の周波数帯域に分割される。その方法では主
要信号成分がスペクトル全体の一部分のみの動的動作
(圧縮又は伸張)に影響を与える。これは主要信号成分
全体にわたり動的動作が影響される広帯域法と対照的で
ある。かくして帯域分離システムは広帯域分離システム
よりも遥に程度の大きな適合性若しくは整合性を与え
る。理論上、スペクトル全体を非常に多数の帯域に分割
することによって高度の適合性若しくは整合性あるシス
テムが与えられる。しかしながらそのような装置の複雑
さ及び費用がそれを非実際的としている。従って、設計
上の妥協点は満足できる性能を与えられる適当な数の周
波数帯域を選択することにより得られる。一つの良く知
られた、商業的に成功を収めた帯域分割式コンパンダ型
オーディオ雑音低減システム(通常A−型雑音低減シス
テムとして知られる)においては四つの帯域が使用され
る(「オーディオ雑音低減システム」と題するレイ・ド
ルビー著のジャーナル・オブ・オーディオエンジニアリ
ング・ソサイエティ(J.Audio Eng.Soc.)誌1967年10月
号,第15巻,第4号,383-388ページ)。 しかしながら、そのようなシステムは、帯域が分割さ
れていて問題が各々の帯域に限定される傾向を有するた
めに、問題の程度は低いとはいえ広帯域雑音低減システ
ムと同じことが問題になる。これらの問題は雑音低減シ
ステムの設計においてよく知られており、主要信号の成
分に呼応して利得の変化が生ずる場合、主要信号成分に
よっては覆われ(masked)ない周波数において生ずる雑
音低減効果の損失及び雑音変調及び信号変調に関連した
問題を含んでいる。そのような問題は主として、システ
ムが主要信号にたいして完全に整合的でありえないこと
の結果である。そのような雑音がどの程度耳につくかは
また、システムが完全な相補性からどの程度隔たってい
るかによる。例えば、もしも伝送チャンネルの応答が圧
縮器及び伸張器の通過帯域内で不規則又は予測不可能で
あれば、その時は信号変調効果は伸張器で補償されな
い。 主要信号成分とは、考慮している周波数帯域内で動的
動作を起こさせるような充分なレベルを有した信号成分
のことである。複雑な信号条件のもとでは一つ以上の信
号成分又は主要成分及び準主要成分があろう。圧縮器及
び伸張器の相補性に依存しているコンパンダにおいて
は、主要信号成分(及び動的動作によって影響を受ける
他の信号)を含んだ信号スペクトルが伸張器内でそれら
の正しいレベルに回復されるためには、ある定義された
圧縮/伸張法則にしたがって圧縮/伸張されなければな
らない。この必要条件を追究すると色々公知の適合技術
及びトラッキング・フィルタ技術や、所謂「単終端(si
ngle ended)」雑音低減システム(これは再生信号にの
み作動する)の有用性を排除してしまう。これらシステ
ムにおいてはフィルタ動作は予定の圧縮/伸張法則に従
わず、その動作は多重信号の存在下では予測不可能であ
る。 適合性又は整合性を増大させる目標に向かう研究にお
いて有用である別の方法は、滑動帯域法である。この方
法は制限(limiting)を達成するための信号依存性可変
ろ波(filtering)を使用する。一般的に、主要信号成
分は、主要信号成分を圧縮し、又は伸張するべく一つ又
はそれ以上の可変フィルタ(たとえばハイパス、ローパ
ス、シェルフ、ノッチ等)の遮断周波数又は転移周波数
を移動(shift)させる。 単一の高周波帯域においてのみ動作する滑動帯域シス
テムは再発行米国特許第28,426号及び米国特許第4,490,
691号に記載されている。このシステムはB−型雑音低
減として知られる消費者用コンパンダ型オーディオ雑音
低減用の基礎をなすものであるが、可変フィルタと直列
な固定ハイパスフィルタを二重路構成として有する。 「二重路構成」とは、動的動作のない主要路と動的動
作を備えた一つ以上の二次路すなわち側路を使用して圧
縮特性又は伸張特性が達成されるものである。上記の側
路は主要路の入力または出力から入力を得、その出力は
圧縮または伸張を与えるべく主要路と加算的に又は減算
的に結合される。一般的に、側路は、ある型の制限又は
可変減衰を与え、主要路への接続のされかたが、主要路
信号成分を(圧縮するため)昇圧する(boost)かまた
は(伸張するため)降圧する(buck)かを決定する。そ
のような二重路装置は米国特許第3,846,719号,米国特
許第3,903,485号,米国特許第4,490,691号および米国再
発行特許第28,326号に詳細に記載されている。 コンパンタ型オーディオ雑音低減システム用の、単一
路装置(例えば動的動作が単一信号路において達成され
るもの)における高周波可変シェルビング・フィルタ
(shelving filter)は、米国特許第3,911,371号に記載
されている。米国特許第3,665,345号の第1図及び第2
図の実施例では、側路が静止状態(quiescent conditio
n)において全パス(all-pass)特性を有した可変シェ
ルビング・フィルタをふくんでいる二重路装置が開示さ
れている。コンパンダ・システム用の可変シェルビング
応答を与える別の方法は、米国特許第3,934,190号に開
示されている。 これらの滑動帯域装置における一つの欠点は、主要高
周波信号成分があるとその可変フィルタ転移周波数が、
信号成分より上方に移動することにより、雑音低減が与
えられる周波数領域を低周波帯に制限してしまうことで
ある。その雑音低減の損失は帯域分割システムにおける
よりもより顕著に可聴であり、それに関連した副次効果
(雑音変調や信号変調)は滑動帯域システムに固有であ
る増倍効果のために固定帯域装置におけるよりもさらに
深刻であろう。この効果は滑動帯域システムが圧縮を与
える与え方に起因する。例えばもしも主要高周波信号が
あり、2dBの利得の低減がその周波数において必要とさ
れると、可変フィルタ遮断周波数はフィルタ勾配に沿っ
て、その大きさの減衰を与えるに必要な程度移動する。
しかしながら新しい遮断周波数からもっと低い周波数に
対しては効果は5又は10dB程度の動的動作となり、信号
変調又は雑音変調発生の恐れがあると共に雑音低減のす
べて又はほとんどが失われる結果となる。換言するとこ
の例では、主要信号の2dBの変化は主要信号から離れた
周波数において5又は10dBの変化を起こしうる。第1図
はこの効果を例示する理想化された圧縮器特性応答曲線
である(この書面では色々の応答特性曲線は圧縮器のも
のであり、各々の伸張器特性は圧縮器特性の相補的のも
のであることを了解されたい)。比較的にまれな条件の
下ではあるが非常に高い周波数の主要信号成分(例えば
シンバル)が滑動帯域フィルタを制御するとき、もしも
伸張器が適切に圧縮器を追跡しないと、主要信号以外の
中帯域信号成分にも耳ざわりな変調が生じる。この問題
は「中帯域変調効果」と呼ばれる。この問題を解決する
一つの方法は前記米国特許第4,490,691号に開示されて
いる。 固定帯域装置においては、同一の利得低減が主要信号
成分に呼応して周波数帯域(それが広帯域でも、帯域分
割システムの一つの周波数帯域でも)全域にわたり起こ
る。かくして信号若しくは雑音の変調が起こる一方、効
果の増倍は全く無い。即ち、主要信号成分のレベルにお
ける2dBの変化は主要信号成分から離れた周波数では2dB
を超える利得変化を起こさないであろう。しかしながら
雑音低減効果の観点から見ると、これは固定帯域装置の
不利な点であり、主要信号成分に応答して制限が起こる
ときは動作周波数帯域内のどこでも十分な雑音低減効果
は得られない。第2図はこの効果を例示する理想化され
た圧縮器特性応答曲線である。効果は増倍されないとは
いえ、この固定帯域動作が起こる周波数帯域全体にわた
り、雑音及び信号変調が起こる可能性がやはりある。 上記の欠点にもかかわらず、滑動帯域装置の利点は、
主要信号成分より上方周波数にて(周波数の下方へ作用
する滑動帯域システムの場合には主要信号成分より下
方)十分な雑音低減効果が得られることである。かくし
て各々の不利な点(例えば固定帯域では増倍はないが、
動作領域にわたり雑音及び信号変調があること、及び滑
動帯域では中帯域変調作用があること)を廃除し、しか
も固定帯域システムと滑動帯域システムの利点(例え
ば、固定帯域では変調作用の増倍がないこと及び滑動帯
域では主要信号周波数より上方で信号または雑音変調が
最小となること)を達成する装置が望ましい。本発明は
この組み合わせを与える。 本発明は固定帯および滑動帯域システムの利点のみが
得られる装置であるのみならず、複雑な回路を要せずに
主要信号に対する高度な整合性又は適合性を有する圧縮
器、伸張器およびコンパンダ・システムを達成すべく色
々な動的及び受動的な特性の利点が得られる装置にも一
般的に適用できる。 本発明は、圧縮器、伸張器及び圧伸器型雑音低減装置
を対象とした共形(適合的)等化の理想は、複数の圧縮
・伸長・等化特性が次々と重畳され、すなわち、重ねら
れ優勢信号の出現で隠蔽された特性が現れて作動状態に
なるまで、1以上の特性が隠蔽されるようにすることに
より理想に一層近づくことができるとの認識に基づく。
従って本発明によれば、1以上の隠れた特性を隠蔽し、
境界を定める傘、すなわち、包絡線を与える静(静止)
特性が改変され、先行技術の回路装置により与えられる
ものより一層効果的かつ適合的な等化を提供するため
に、優勢信号成分に応答して隠れた特性が現れるように
される。 特性のこの出現は『作動置換、すなわち、作動代行』
と描写できる。これは、1つ(又はそれ以上の)特性か
ら結果として生じる作動が、入力信号成分のレベル及び
スペクトル内容が変化するとき同一の周波数及びレベル
領域で作動する能力を有する1以上の他の特性作動によ
り置換される、すなわち、代行されるという意味におい
てである。当該置換は、優勢信号以外のあらゆる信号成
分の伝送が、圧縮器では最大になりかつ伸長器では最小
になるようにされるのが望ましい。本発明は、圧縮器、
伸長器及び圧伸器型雑音低減装置の設計者に対し、非実
用的で複雑な回路に頼ることなく応答特性の設定におい
てより大きな柔軟性を提供できる。本発明は、優勢及び
非優勢信号成分を識別しかつ動的作動、すなわち、動特
性作動を優勢信号成分のみに限定する改良された能力を
有する圧縮器、伸長器及び圧伸器型雑音低減装置を提供
する。主要信号成分があるときを除いて実質的に一定の
昇圧を維持する雑音低減エンコーダー(圧縮器)を与え
ることによって、雑音低減デコーダー(伸張器)は非常
に安定な雑音フロア(noise floor)を有する。このこ
とは高品質の雑音低減システムに重要なことである。 この発明に基づいて最良の重畳を与えるためには、装
置は実質的に完全な「動作置換」が得られるようにされ
ていることが必要である。動作置換装置では、主要信号
成分のレベルとスペクトル内容に応じてスペクトルの全
域又は一部にわたり特性が動的に出現する。動作置換は
潜在的特性を顕在化する。理想的には、重畳構造がある
ときは、スペクトルの全域又は一部内で最適の効果を与
えることができるときのみ特性が現われる。この場合そ
の特性はその領域内で十分に有効である。例えば、圧縮
器の場合、非主要信号成分にたいして、その理想的特性
は最高の信号出力を与えるものであり、伸張器の場合は
最低の信号出力を与えるものである。特性の有効性の交
差する領域(crossover region)を除いて、各々の特性
は非主要信号成分にたいして十分に効果がある。交差領
域では結合された特性全体は単独に作動するときのいか
なる特性の最大動作をも超えることはない。これら特性
は互いに隠されており、いずれの特定周波数においても
その時点における信号条件の下でいずれの特性が最大の
効果を有するかに応じてその一つ又はいくつかが出現す
る。 議論の目的のため、ある圧縮器システムにおける利得
が、非常に低レベルの信号が減衰することなくこの装置
を通過するように構成されている、としよう。すなわ
ち、最大可能な動作は利得1を与えるものである。ここ
で、何らかの方法により高レベル(主要)信号の存在の
下で可能な限り広い帯域にわたりこの利得を達成するこ
とが本システムの果たすべき役割である。 従って重畳された圧縮器においては第一のフィルタ及
び圧縮器素子の出力が注目される。この出力は全潜在的
動作の完了した部分(completed part)を表わす。その
動作の未完了部分はその入力から完了部分を差し引いた
ものである。未完了部分はしたがって何を寄与しうるか
を見るために引き出されて次の素子に入力される(入力
信号全体を第二の素子に入力することは、二重動作を結
果するから誤りであろう)。第二素子の出力はこの特定
の素子の、動作全体に対する寄与となる。その動作は
(成功するとすれば)第一素子の部分的に不適当な動作
を補助する。第一素子の出力が特定の周波数にて無視可
能であるという極端な場合、第2素子の動作は効果的に
第一素子の動作を置換する。 残りの潜在的動作は従って入力から初めの二つの素子
の出力を差し引いたものである。このようにしてこの差
信号は第三素子に入力され、それ以下の素子についても
同様にされる。もしも十分な素子があり、少なくともそ
れらのいくつかが、存在する主要信号に対する十分な弁
別性を有すれば、非主要周波数においてすべての素子利
得の和が所望の和である1に近づく。 主要周波数においては圧縮器全体の利得は1であって
はならず、チャンネルの過負荷を回避するために、かつ
伸張器による復元を可能にするために、特定された圧縮
法則に従わなければならない。 本発明による重畳効果はいろいろの回路装置により達
成されるが、その最も基本となるものは上記開示から導
かれるもの、すなわち、特に複数の素子に別々に入力を
与え、かつ素子出力を加算するものが効果的である。例
えば、もしも各々の素子が入力端、基準電位(例えば接
地電位)端、及び出力端を有すれば、第一素子への入力
は基準電位に相対的なその入力信号であり、その第二素
子への入力は第一素子の出力に相対する入力信号(例え
ば入力信号と第一素子の出力との差)であり、第三素子
(もしも第三素子があるとして)への入力は第一及び第
二素子の出力の和に相対する入力信号である。さらに素
子があれば以下同様である。これら素子の出力は加算さ
れて全体的出力を与える。これは入力と出力がまさに上
に述べたように利用される第3図のような回路構成を含
めた実質的に等価な多数の方法で与えることができる。 しかしながら、第4図に示すように、三端子回路がそ
れ程複雑でなく互いに結合されながらなお第3図の装置
と同一の結果を達成しうるもっと簡単な方法がある。そ
の入力は各素子の入力端子に印加される。第一素子入力
は規準電位に相対的である(例えばその第二端子が規準
電位に接続されている)。第二素子入力は第一素子の出
力に相対的である(例えばその第二端子が規準電位にで
はなくて第一素子の出力端子に接続される)。第三素子
入力は(第三素子があるとして)は第二素子の出力に相
対的である(例えば、第二端子が規準電位にではなくて
第二素子の出力素子に接続される)。それ以上の素子が
あれば、以下同様である。全体的出力は最後の素子の出
力端子にて取り出される。この後者装置は素子の「スタ
ック(stack)」と呼びうるもので、その簡単さのため
に本発明の実施に好ましい。しかしながら他の回路構成
も、もっと複雑さと費用がかかるが、同一の又は類似の
結果を与えることができる。例えば第5図は第3図から
第4図への変更を示す有用な別の構成を示す。第3図、
第4図及び第5図は互いに等価である。第5図は第3図
と第4図間の変更であり規準電位から一つを除いてすべ
ての第二端子を除去した場合の加算出力を維持するもの
である。 本発明は一般的に色々の動的特性及び受動的特性を有
する素子の組み合わせに適用できるが、実用的かつ説明
上非常に有用な組合わせは、固定帯域動的特性と滑動帯
域動的特性との重畳である。本発明の技術の教示を適用
することにより、これらの欠点を回避しつつこれら両者
の特性の利点が得られる。かくして、もしも滑動帯域特
性及び固定帯域特性が実質的に同一の周波数領域(広帯
域又は確定された帯域)及び同一のレベル領域にて重畳
されると、この重畳された組み合わせの入力特性は、い
ずれか一つの静止特性と同じに現われる。その理由は、
これら二つの静止特性は同一であるからである。主要信
号成分がその周波数領域内に現われると、各特性が動作
する−−恰もそれが単独に作動し、かつ滑動帯域特性が
単独に動作したときの滑動を起こすときのように、一様
にその周波数領域にわたり固定帯域特性がレベル降下す
る。 しかしながら、二つの動作はもはや他にたいしてある
程度独立ではない。静止状態では二つの特性は一つの状
態のように現われたが(第6A図)、これらの変化が起こ
ると二つが出現する。すなわち組みあわさった特性は主
要信号より上方(滑動帯域特性が上方又は下方のいずれ
に作動するかに応じて時には下方に)に出現し、主要信
号の周波数より下方(又は上方)の固定帯域特性のよう
に出現する。第6B図は滑動帯域が主要信号より上方にあ
る場合の例を示し、第6C図は動帯域が収容信号より下方
にある場合の例を示す。二つの動作領域が顕在化され、
主要信号の周波数にて分割されている。従って滑動帯域
特性が「露出」した領域は、固定帯域特性によって補完
される。実際、後者はフロア(floor)レベルすなわち
基礎レベル(foundation level)を与える。言い換える
と主要信号に呼応した動作の置換がある。その結果とし
て、固定帯域及び滑動帯域装置の両方の利点がそれらの
不利な点を回避しつつ得られる。主要信号の下(又は
上)の雑音低減の損失と中帯域変調効果を固定帯域特性
の存在により回避しつつ、最大雑音低減効果及び最小変
調効果が主要信号より上方(または下方)で得られる。
かくしてもしも滑動帯域特性が単独に動作していたら生
じたであろう主要周波数より下方(又は上方)の増倍効
果が起こらないが、滑動帯域特性の利点が主要周波数よ
り上方(または下方)で得られる。 高周波帯域及び低周波帯域がそれぞれ重畳された固定
帯域/滑動帯域特性をふくむ帯域分割装置を与えること
により、さらに高い適合性ある装置が達成される。その
高周波帯域では滑動帯域が周波数上方に作動する一方、
低周波帯域ではその滑動帯域は周波数下方に作動する。
静止状態では、本特性は全体として平坦な特性を与える
ように重畳する。穏やかなフィルタ勾配(例えば、6dB/
オクターブ)及び共通の静止コーナー周波数を周波数帯
域の中間に選択することにより(例えばオーディオ・シ
ステムの場合800Hz)、処理している帯域の全実質部分
にわたり高周波及び低周波帯域両方により優れた主要信
号トラッキングが可能である。高周波及び低周波帯域が
同一の低レベル利得を有するそのような装置の静止応答
は第7A図に示すように平坦である。 第7B図は、第22図,第23図及び24図(いすれの場合も
それぞれスペクトルのスキュウイングや不飽和回路は示
してない)の説明に関連して下に詳細に述べるような多
段圧縮器装置について、色々な周波数における単一の高
レベル主要信号のトラッキングを示す。第22図,第23図
及び第24図の圧へ器装置は16dBの低レベル利得を有する
二つの低周波段と24dBの低レベル利得を有する三つの高
周波段とを使用するので、第7B図に示したように静止応
答は低周波で16dBであり、高周波で24dBに上昇する。第
7B図の例ではいろいろの周波数(199Hz,200Hz,800Hz,1.
6kHz,3kHz,及び6kHz)における各高レベル(システムの
最大レベルの約20dB下に取られた基準レベルにたいして
0dB)のトーン(主要信号)に対しては、低レベルのト
ーン(−60dBから−70dBまで)はスペクトルを通して掃
引されており、主要信号の存在下の応答を示す。滑動帯
域応答は主要信号の上方及び下方に現われる。二つの主
要信号の存在は、最大雑音低減が最も重要(第7C図。第
7A図におけるように第7C図では高周波及び低周波帯域が
同一の低レベル利得を有する)となるそれら周波数より
上方および下方の周波数における主要信号と滑動帯域応
答との間に固定帯域応答を生ずる。 第7B図及び第7C図に示された良好なトラッキング動作
は帯域分割装置の二つの帯域各々の固定および滑動帯域
特性の両方を用いて可能にされる。例えば第7C図ではも
しも二つの固定帯域が使用されなかったならば二大主要
信号間の領域内に重大な被主要信号の欠陥(貧弱な雑音
低減効果)が生じたであろう。もしも所望とあらば、部
分的に高及び低周波帯域と重畳する中帯域(例えば通過
帯域400Hzから1.6kHz)もまた組み込むことができて、
極端に低周波の及び極端に高周波の両主要信号が同時に
存在するときは中周波数の雑音低減を改良することがで
きる。この中帯域素子の出力は高周波及び低周波スタッ
クの底部に印加しうる。この後者改善は実用的オーディ
オ雑音低減回路では必要とは思えない。 動作置換法は良好な信号トラッキングを可能にするこ
とに注目されたい。在来の高勾配(12dB/オクターブ又
はそれ以上)の高パス及び低パス可変フィルタを使用す
ることを考えよう。第一に、これらのフィルタ出力は静
止状態において平坦な特性をなすようには結合しないで
あろう。低周波及び高周波両方に類似の減衰形を使用す
れば、これは単極フィルタ(7A図)を用いてのみ可能で
ある。第二に、一つまたは両方のフィルタが滑動する
と、非主要信号欠陥が現われるであろう(貧弱な雑音低
減)。 本発明では段境界を確定しているフィルタは最適低レ
ベル応答を得るための単極フィルタである。信号がある
とき、追加的な単極滑動帯域シェルビング・フィルタが
使用され、二極フィルタに固有の過度の位相転移(位相
逆転)を起こすこと無く類似的二極が得られる。動作置
換法により固定帯域を介在させれば、応答をさらに調整
できる。いくつかのスタガー(離調)レベル段を用いる
ことにより、得られる応答をさらに複合する類似多重極
効果、すなわち実効的回路急峻性すなわち主要信号成分
と主要信号成分とを弁別する能力を与える。 圧縮器又は伸張器全体の動的回復特性(recovery cha
racteristics)に関して、動作置換法は更に性能の改良
に寄与する。固定帯域回路は少なくとも通過帯域では周
波数に事実上独立な回復時間を有する。滑動帯域回路は
スペクトルの通過帯域端にて非主要信号にたいして早い
回復時間を有し、スペクトルの停止帯域端(stop band
end)にて非主要信号に対し遅い回復時間を有する。従
って制御回路回復時間の選択は、この回復時間条件と、
得られる定常状態及び変調歪みの大きさとの妥協の問題
に帰する。しかしながら、この妥協は動作置換法の使用
によれば遥に容易になる。特に、固定帯域はシステム全
体に確定的かつ急速な回復時間を与え、その結果、滑動
帯域は他の場合に好ましいとされる時定数よりももっと
長い時定数を使用することができる。これにより低変調
歪み及び早い回復時間の両方が得られる。 本発明の好ましい実施例の基本的動作をより良く理解
するために、本装置を、各々が第8図に示すような広帯
域(周波数に独立の)抵抗性減衰器である二つの素子の
みから成るものに、簡単化することが有用である。各素
子の最大可能動作は利得1をを与えることである。R1
及びR2は第一の減衰器(R2は可変である)を含むが、
これは三端子回路であってその入力端にVinを受信し、
その第二端子が接地され、その出力は利得1のバッファ
Bを介して他の減衰器の第二端子に印加される。第二の
減衰器は別の三端子回路で、Vinをその入力端に受け、
その出力端には全体的結合出力をあたえるもので、R3
及びR4により構成される。後者は可変である。 初めにR2及びR4が非常に大きいと仮定しよう。する
といずれの回路もまったく減衰を与えず(R1とR3への
共通の入力からみて)、またVinが節n1およびn2(そ
れぞれR1とR2の節およびR3とR4の節)に存在しな
い。従って、R4にかかる電位がゼロでありかつR4に電
流が流れないので、VoutはVinに等しくなければならな
い。受動的三端子回路では、もしも接地への内部接続が
なければ、−入力のその出力への電圧伝達関数は他の入
力の出力に対する補数であることが知られている(例え
ば、もしも−入力に関する伝達関数が「t」であれば、
他の出力に関する伝達関数は「1−t」、すなわちその
補数、である。 つぎにR2が非常に大きいが、R4は非常に小さいと仮
定しよう。従ってこの下位素子は全く減衰を有さず、上
位素子(upper element)は最大の減衰を(R1及びR3
への共通の入力から見て)有する。従って、Vinは節n1
にあり、また、R4が非常に小さいので節n2にもなけれ
ばならない。上の回路の減衰が最大であるので、R3を
介しての入力からの寄与は全く無い。かくして出力はVi
nである。すなわち、伝達関数の観点から見ると、再上
部の回路の伝達関数はR3に印加された信号に関しては
ゼロであり、R4に印加された信号に関する相補的伝達
関数は1である。これら二つの伝達関数に由来する電圧
の和は、したがって、Vinである。 この一般的な場合についてこれら素子の逆転配置がそ
の結果に重要でないことを示すことは有用である。従っ
て上位素子は全く減衰を有さず、また下位素子は最大の
減衰を(R1及びR3への共通入力からみて)有する。し
たがって、節n2における電圧はVinであり、またR4が
大きくてそれを電流が流れないので出力電圧Voutもそう
である。伝達関数を考えると、再上部回路の伝達関数は
R3に印加された信号に関して1であり、R4に印加され
た信号に関するその相補的伝達関数はゼロである。二つ
の伝達関数に由来する電圧の和はしたがってVinであ
る。 従って、もしも両方の素子が(R1及びR3への入力か
ら見て)全く減衰を有しなければ、出力はVinである。
上記のことから、他方の素子の減衰があったとしてもそ
れにはかかわらずいずれかの素子が(R1およびR3への
入力から見て)減衰を有しなければ出力はまたVinであ
ることがわかる。 この解析は定常状態を基にして、電解効果トランジス
タ(FET)を可変抵抗素子として使用して減衰が与えら
れ、減衰が入力信号の一部の周波数帯域においてのみ効
果的であるもっと複雑な場合にたいして、拡張される。 本発明の動作に関していくつかの一般的観察結果が導
かれる。これらの結果は上に議論した簡単な回路装置に
対してのみならず本発明によって考慮されるもっと複雑
な回路装置におけるほとんどの信号条件の下でも成立す
ると信ぜられる。第一に、任意の素子の最高の伝達は出
力で示される。第二に、素子の特性はいずれの素子の最
大出力をも超えるような出力特性を生じない(たとえ
ば、その特性は過大な効果は与えない)。第三に一つの
素子の特性が、いずれが大きさにおいて大きいかに応じ
て他のものの特性によって隠される。他の回路装置を使
用してそのような結果を達成することは可能であるが、
本発明の回路装置は実現が簡単でありかつ所望の結果を
与えるので好ましい。 実用に際しては、一つの素子のみによって圧縮又は伸
張を与えるべく信号条件に応答して一つを残して他のす
べてが抑圧される(knocked out)場合に第一の結果は
特に有用である。この場合残りの素子はそれらの出しう
る限りの効果を与える(その効果はそれが主要信号によ
っていかに影響されるかに応じてその最大可能な効果よ
りも小さいことがありうる)。この例としては、同一の
周波数領域で作動する滑動帯域素子と固定帯域素子から
なる装置(例えば第6B図又は6C図に示すような応答を有
するもの)が挙げられよう。主要信号は、主要信号周波
数における又はその近くにおけるその効果を完全に抑圧
すべく滑動帯域素子を上方に(又は下方に)滑らせるこ
とができる。しかしながらこの固定帯域素子は十分に効
果的であり続ける(とはいえ、それは主要信号の存在の
ためその最大効果よりも多分小さいであろう)。これは
第6B図における主要信号の十分に下方かつ第6C図の主要
信号の十分に上方の周波数でのことである。しかし、交
差領域(第6B図及び第6C図の主要信号周波数にある)で
は、全体的応答は固定帯域応答から滑動帯域応答へ変化
し、全体的応答はいずれの素子の応答よりも幾分大きく
なるように少々の応答付加がある。この付加効果は一般
に、特性が最大効果未満で動作している動作領域が交差
する場合に起こる。この効果は1式の積の存在に反映さ
れている。 第二の結果は本発明の「定義アンブレラ」効果の基本
である。すなわち、特性を組み合わせた可能な最大効果
は、各々の特性の一番大きな効果よりも大きくはない。
しかし、特性がそれらの最大効果未満で動作するときは
上に述べた応答付加が交差領域で起こる。 第三の結果もまた本発明の基本であり、信号条件の変
化に応答して特性動作置換を可能成らしめる。 本発明はこのように、周波数帯域内の入力信号成分の
ダイナミック・レンジを改変するための、複数の回路素
子が相互接続されている回路を与える。この回路では、
各々が少なくともそれ自信の受動的または動的特性動作
を有し、しかも少なくとも一回路が動的特性動作を有
し、これら特性動作が実質的に同一の周波数及びレベル
の領域内で少なくとも部分的に動作するようにされてお
り、その回路素子は、入力信号成分の或レベルおよびス
ペクトル内容にたいして一回路素子の特性動作がその周
波数帯域の少なくとも一部でもう一つの特性動作の置換
をするように回路素子が相互接続されている。この回路
素子の相互接続は、特性の重畳により特性動作の置換を
与えるが、この場合、入力信号成分のレベルとスペクト
ル内容の任意的組合わせに対しても個々の特性動作が全
体的周波数帯域を定義するように、又は個々の特性動作
各々が全体的周波数帯域部分を定義するように、全体的
回路特性動作が複数の回路素子の個々の特性動作から導
かれ、個々の特性動作が、又は周波数帯域のすべて若し
くは一部を定義する特性動作が、他の任意の個々の特性
動作の効果又は同じ周波数領域内でもっと小さな効果を
有する特性動作の効果を抑制する。入力信号成分のレベ
ル及びスペクトル内容の任意の組合わせに対する全体的
特性動作はいずれの周波数においても、当該周波数にて
動作しうる任意の個々の特性より実質的に大きな効果を
有しない。 上記のそうご接続された二つの素子の組み合わせの全
体的電圧伝達関数は Vout=Vin[t1(s)+t2(s)−t1(s)t
2(s)] (式1) ここでVinは印加電圧。Voutは出力電圧、t1(a)及
びt2(s)は各素子の伝達関数である。 この式は上記の動作を確認する。すなわち、全体的出
力は伝達関数の和からそれらの積を引いたものである。
換言すると伝達関数が重畳しうる範囲にわたり伝達関数
の和から一つの因子が引かれる。この第三項の存在は本
発明の動作置換効果及び重畳効果にとって本質的であ
る。 固定帯域又は、滑動帯域の例でいうと、固定帯域及び
滑動帯域応答はそれぞれの特性を維持し、重畳しない。
重畳する領域(例えばそれらの実効ある部分の交差領
域)内で、重畳領域における全体的結果がいずれの素子
が単独に動作するよりも実質的に大きくないように、そ
れらは相互に影響する。 一般的に、第3図及び第8図ないし第11図に関して上
に述べたと同じように接続された多数の素子に同じ基本
的原理が当てはまる。とは言えその伝達関数式はもっと
複雑になる。もっと多数の素子の組合わせは、上記二素
子から外挿して、反復法によって解析できる。たとえ
ば、三素子の組み合わせに対しては初めに最初の二素子
を考え、それらの出力が恰も二素子の組み合わせにおけ
る単一素子の出力であるかのように考える。上記のよう
に相互接続されたこの三素子の組み合わせの全体的伝達
関数は次の形 Vout=Vin[t1(s)+t2(s)+t3(s)−t1
(s)t2(s) −t1(s)t3(s)−t2(s)t3(s)+t1
(s)t2(s)t3(s)] (式2) ここでVinは印加電圧、Voutは出力電圧、t1(s),t
2(s),t3(3)は各素子の伝達関数である。三つの伝
達関数の積である別の項がある点を除けば、二素子と同
一の一般的特徴がある。 実際的問題として、これら回路は利得と減衰の両方を
含みうる。素子間の利得1のバッファは、象徴的であ
り、もしもインピーダンスがあり負荷効果が回避されれ
ば省略できる。第8図の最も簡単な場合においてはバッ
ファBは省略してよく、もしもインピーダンスが適切で
あれば説n1及び可変抵抗R4間の直接接続をしてよい。
その結果得られる回路は、素子間にバッファが使用され
たら生じなかった相互作用を有するかも知れないが、回
路の性能はある種の用途には許容しうるものである。 第8図の回路を記述する上記式1は第9図にブロック
線図で示す等価回路を示唆する。その入力信号が加算さ
れる三路に印加される。それぞれブロック(6)及び
(8)に示すように第一路はブロック(2)内の伝達関
数R1(s)を含み、第二路はブロック(4)内の伝達
関数t2(s)を含み、第三路は伝達関数t1(s)及び
t2(s)の直列の組合わせを含む。第三路内の伝達関
数の積は、ブロック(12)内で加算されるときに引くよ
うにインバータ(10)によって反転される。そのような
形状はその付加的な複雑さのために非実用的ではあろう
が、にもかかわらずそれは同じ結果が代わりの回路装置
を用いて達成できることを例示する。式2は三素子につ
いて修正された同様な形状を示唆する。本発明の教示は
また、本発明の動作置換原理と重畳原理を使用するアル
ゴリズムを与える通常的ソフトウェア・プログラムによ
り制御される特定目的の又は汎用のデジタル・コンピュ
ータにも使用できよう。 第3図は本発明の概要を記載した等価装置を示す。4
個の三端子素子(14,16,18,および20)はそれぞれ伝達
関数t1(s),t2(s),t3(s),及びt4(s)を有
することが示されている。各素子は接地された第二端子
を有し、その第三端子出力は加算装置(22)に接続され
ている。入力信号Vinは接地に相対的に素子(14)の第
一端子と第一加算装置(24)とに印加される。素子(1
5)への入力は、加算装置(24)によっ入力Vinから素子
(14)の出力を引いたものである。素子(18)への入力
は加算装置(26)により素子(16)への入力から素子
(16)の出力を引いたものである。素子(20)への入力
は加算装置(28)により素子(18)への入力から素子
(18)の出力を引いたものである。 第4図もまた本発明の概要を述べるもので、第8図に
関連して述べた好ましい実施例をさらに一般的に例示す
る。第4図の装置において、四つの三端子素子(30,32,
34,および36)はそれぞれ伝達関数t1(s),t2(s),
t3(s),およびt4(s)を有することが示されてい
る。入力信号Vinは規準電位(接地として示されてい
る)に相対して素子(30,32,34,及び36)の第一端子に
印加される。素子(30)の第二端子のみが規準電位に接
続されている。素子(32)の(その第三端子からの)第
二端子への入力は素子(30)の出力である。素子(34)
の第二端子への入力は素子(30)の(その第三端子から
のに)出力である。素子(36)の第二単位への入力は素
子(18)の(その第三端子からの)出力である。全体的
出力は素子(36)の第三端子(6)と規準電位との間で
取られる。 この一般的装置は素子の積み重ね(stacking)という
ことができ、本発明を与える最も簡単にして最も効果的
方法であると信ぜられる。 第5図は本発明の概要にて言及した第3図及び第4図
の中間的装置で、別の可能な等価回路構造を例示する。
第4個の素子は第3図、第4図及び第5図では単に例示
の目的のために使用されている。本発明の教示にもとづ
く重畳効果はさらに下に説明するように少なくとも一つ
が動的である2個以上の素子を使用して達成できる。第
5図の装置においては4個の三端子素子(38,40,42,及
び44)はそれぞれ伝達関数t1(s),t2(s),t
3(s),t4(s)を有することが示されている。その入
力信号Vinは、(接地として示される)基準電位に相対
して素子(38,40,42、44)の第一端子に印加される。素
子(38)の第二端子のみが基準電位に接続されている。
素子(40)の第二端子への入力は素子(38)の(その第
三端子からの)出力である。素子(42)の第二端子への
入力は素子(38)の出力と素子(40)の出力から素子
(38)の出力を引いたもの(加算装置(48)にて得られ
る)との和として(加算装置(46)にて得られる。素子
(44)の第二端子への入力は加算装置(46)の出力端子
と素子(42)の出力(加算装置(52)で得られる)との
和(加算装置(50)にて得られる)である全体的出力は
素子(38)と、加算装置(48)と、加算装置(52)と、
加算装置(50)の出力を素子(44)の出力から引く加算
装置(56)とからの出力を結合する加算装置(54)から
得られる。 第4図の積み重ね装置は第10図に示すような分岐を導
入することによってさらに修正できる。そのような装置
は第4図におけるような直接的又は直接的結合で可能と
成るよりもっと複雑な重畳効果を作り出すのに有用であ
る。第10図の修正では積み重ねにおける第2「順位」の
素子は一つでなくて二つである。従って、入力Vinはそ
れぞれ伝達関数t1(s),t2(s),t3(s),t
4(s),を有するブロックの第一端子に印加される。
ブロック(58)の三端子回路の第二端子は基準電位(す
なわち接地)に接続され、その第三端子はブロック(6
0)及び(62)の第二端子に入力を行なう。ブロック(6
0,62)の第三端子からの出力は加算装置(64)で加算さ
れてブロック(66)の第二端子に印加される。全体的出
力はブロック(66)の第三端子から取り出される。他の
分岐装置も可能である。第10図の装置は本発明により素
子が構成されるほんの一例である。 第3図、第4図、第5図、及び第10図に示されていな
いが、素子間の結合は緩衝されていてもいなくてもよい
が、上に述べたように緩衝されたほうが好ましい。加え
て、これまでに示した一般的装置は三端子回路を採用す
るが、数個又はすべての素子が各々「浮動する(float
s)」または基準電位に接続される三または四端子回路
であるようにされたこれら教示に基ずく等価回路装置が
可能である。例えば、第3図から第5図及び第8図から
第10図までに固有な基本的「差動入力、加算出力」(di
fferential feed,summed output)装置を達成すべく、
変圧器や種々の孤立方法が使用できる。 本発明による任意の素子の結合に関して、全体的圧縮
器又は伸張器動作を与えるため、少なくとも一素子は圧
縮器又は伸張器関数である伝達関数を有しなければなら
ない。能動的である(例えば信号条件に応じて動的に変
動する特性を有する)素子はすべて、一般的に同一の方
向に(すなわち圧縮器又は伸張器動作を与えるように)
動作しなければならない。一つ以上の素子が受動的特性
(すなわち信号条件に応じては動的に特性が変動しな
い)を有してよい。動的特性が変動するに伴い受動的特
性が発現するように能動的素子が動的特性を有すべく、
一つの受動的素子を与えることは有用であろう。 本発明による素子の装置は単独に圧縮器及び伸張器と
して機能しうるが、米国特許第3、846、719号、米国特
許第3,903,485号、米国特許第4,490,691及び再発行米国
特許第28,426号に一般的に述べられている形式の二重路
圧縮器及び伸張器装置の一つはそれ以上の路面にそれら
を使用することが好ましい。 能動的素子はそれぞれそれら自身の制御回路によって
それらの可変条件を制御されることが好ましい。とは言
え、ある種の目的には単一の制御回路で一つ以上の能動
素子を制御することが許されよう。個別の制御回路が使
用される場合、これらの制御回路が各素子内においての
み信号に応答して独立に動作するようにこれら制御回路
が動作することは可能であるが、さらに以下に述べるよ
うに実際上は全体的回路性能は制御回路に付加的信号を
印加することにより改良できる。定常状態減衰器素子に
基ずくこの簡単な解析は、素子が制御回路を有し、また
これら制御回路系の素子及びシステム全体の諸部分と相
互関係を有する動的状態のもとでは、完全に当てはまら
ないかも知れないことは明らかであろう。 また、いくつかの能動的素子は主要信号に応答して動
的動作が始まるしきい値を有しうることも注意された
い。素子のスタック(積み重ね)の設計において、能動
的素子の間でいろいろのしきい値を選択することは種々
の主要信号状態に応答して種々の素子特性が発現するよ
うにシーケンスに影響を与えるようにできる利点があろ
う。しかしながら、一般的には重畳効果を達成するため
には能動的素子すなわち動的素子は一般的に同一レベル
範囲で能動的でなければならない。すなわち、動的動作
を起こさせる入力信号レベルは、数dBの変動を受けても
実質的に同一とすべきである。 第11図の装置は、種々の特性を備えた多重素子が有用
に結合された方法を例示し、また、スタック内の素子間
の相対的しきい値の設定を説明するのに、有用である。
理解の簡単と用意のため、概念を例示するのに必要な主
要成分のみがこの図(及び次の第13図から第16図まで)
に示されている。この装置は二重路圧縮器又は伸張器内
の雑音低減側路を形成し、又はその代わりとして、単独
の圧縮器を形成しうる。この装置は、いろいろの特性を
備えた多重素子が結合できる方法の一例に過ぎない。も
う一つの有用な素子の結合は、同一の周波数帯域内で上
方への動作及び下方への動作をする。滑動帯域特性を素
子に与えるようにすることである。 第11図には広帯域減衰器素子(68),固定帯域減衰器
素子(70),滑動帯域素子(72),第1の点周波数減衰
器素子(74),及び第2の点周波数減衰器素子(76)を
有する後素子スタックが示されている。ハイパス・フィ
ルタ(78及び80)はそれぞれ800Hzのコーナー周波数を
有し、素子(70,72)の伝達関数の一部を形成する。バ
ンドパス・フィルタ(82,84)は960Hz(4重ビデオテー
プレコーダにおけるヘッド回転に関連したオーディオ妨
害周波数)に中心があり、15.7kHz(525線テレビジョン
システムにおける水平走査周波数におけるオーディオ妨
害周波数)にてそれぞれ素子(74,76)の伝達関数の一
部を形成する。各素子はそれ自身の独立な制御回路(8
6,88,90,92,94)を有し、これらは本質的に、必要に応
じて周波数重み付けをされた利得又は広帯域利得を有し
うる増幅器を含む整流器兼平滑回路である。好ましく
は、各制御回路はそれぞれの素子の出力にのみ応答する
こと、すなわち制御信号が結合装置(89,91,93,95)を
用いて差動的に導出されること、が好ましい。(各素子
の底部から減算的な入力があることに注意されたい)。
これら制御回路は可変抵抗素子(96,98,100,012,104)
を制御するが、これらは実際はFETでよく、制御電圧は
それらのゲートに入力される。 固定帯域減衰器素子(68,70,74,76)は直列の抵抗器
(106,108,110,112)をそれぞれ有し、FETに関連して可
変電圧分割器を形成する。滑動帯域素子(72)は直列の
コンデンサ(114)を有してFETと関連して可変ハイパス
・フィルタを形成する。好ましい第4図スタック装置の
方法では、素子(68)は接地として示される基準電位に
相対して駆動され、他の素子はその下の素子の出力に相
対してバッファ(利得1のバッファ(116),(118),
(120),(122))を介して駆動される。各フィルタは
もしも含められると、やはり、その基準端子がその下の
素子の出力に接続されることに注意されたい。各素子は
信号レベルが当該素子内で上昇してそのレベルに達する
と可変素子内に変化が起こるように、しきい値を有す
る。各素子は最大10dBの動的動作を与えるものと仮定さ
れる。本装置の全体的出力は再上部の素子から利得1の
バッファ(124)までの出力として得られる。 静止状態では第11図の装置の定義包絡線10dBの動的動
作の広帯域である。信号成分が出現するとこれら成分の
周波数及びレベルに呼応していろいろの素子の特性が発
現する。これら信号成分に応答して素子の特性が出現す
る順序はそれぞれの素子の動作周波数領域とそれらの相
対的しきい値レベルとに依存する。 初めに二つの例を考えよう。もしもしきい値以下のレ
ベルから始まって、200Hzのトーンが現われると、広帯
域素子はやがて負けるが、他の素子は完全に効果的であ
り続ける。従って、第12A図に示すように、全体的特性
は800Hzの固定帯域及び滑動帯域のものであり、これら
後者は一致し、部分的に二つの点周波数特性(spot fre
quency characteristics)、すなわち、960Hz点周波数
特性の先端と滑動帯域特性を隠す。滑動帯域のハイパス
・フィルタは2kHzトーンに応答して上方に移動した。こ
の滑動帯域特性は1.5kHz点周波数特性を隠す。 第11図の装置において、各素子は制御信号が差動的に
導出される結果、それぞれの素子内の信号のみに応答す
るそれ自身の制御回路を有する。素子はそれぞれ差動的
又は非差動的であるとによらず完全な独立な制御回路を
有しえて、種々の交差接続が可能である。第13図及び第
14図に例示した交差接続は周波数の極端なところでの滑
動帯域素子内に適切な制御回路利得を維持しつつしきい
値を設定可能にする点で有用である。「パーキング(pa
rking)」と呼ぶ別の形式の交差接続を第16A図及び第16
B図に関連して述べる。 第13図を参照すると、周波数の上方に作動し、広帯域
静止特性を有する滑動シェルフ(sliding shelf)であ
る滑動帯域素子(128)にスタックされた固定帯域素子
(126)すなわち広帯域減衰器が示されている。コンデ
ンサのかわりに誘導性素子を代用すると周波数の下方に
動作する滑動シェルフができよう。実際的な問題とし
て、誘導子を疑似するためにジャイレータ(gyrator)
回路が使用される。この固定帯域素子は直列の抵抗器
(130)及び基準電位に接続された分路器FET(132)を
有する。これらFETのソースドレーン路の抵抗がそのゲ
ートに印加された制御電圧に応答して制御されるにとも
ない可変減衰器を形成する。固定の帯域素子の出力はバ
ッファ増幅器(134)を介して整流器兼平滑動回路(13
6)に印加される。滑動帯域素子(128)は並列コンデン
サ(138)と、バッファ(134)の出力にて固定帯域素子
の出力に接続されるFETにより分路される抵抗(140)
と、を含む。滑動帯域素子の出力はバッファ増幅器(14
4),付加任意の結合装置(150),及びFET(142)に制
御電圧を与える整流器兼平滑回路(146)に印加され
る。素子の結合出力はバッファ増幅器(144)から取り
出される。 第11図の装置に関連して述べたように、次の素子の制
御電圧を発生するのに 次の素子の出力を降圧(buck)すべく、一つの素子の
出力をスタックで使用することが可能である。これは第
11図においてのみならず第13図においても示されてお
り、バッファ(134)から来る滑動帯域素子の出力が、
バッファ(144)からくる固定帯域素子の出力から引か
れる。固定帯域素子からの降圧信号は(増幅又は減衰に
よって)滑動帯域素子出力より大きく又は小さくなるよ
うに取り扱うことができ、降圧信号の方向は固定帯域素
子出力が増大する際に降圧信号が減少するように反転で
きる。これらの原理は一般的に本発明による任意の配置
の連続的能動的素子に適用できる。 固定帯域素子からの加勢信号が固定帯域素子用の制御
回路ループ内に配置されたフィルタ(152)によって初
めに条件付けられる場合のさらに別の例が第14図に示さ
れている。代表的な場合、このフィルタは回路全体の動
作帯域内に配置されたハイパス・フィルタ又はローパス
・フィルタである。破線で示したフィルタのかけられて
いない降圧信号は、第13図の代わりの方法で(例えば、
付加任意的結合装置(150)について)同時的に印加で
きる。フィルタをかけられた降圧信号は第13図のフィル
タかけされない降圧信号に関して述べたように取り扱う
ことができる。 さらに別の制御回路結合法では一素子の制御回路にお
ける整流された信号を別の素子の制御回路のDC部分に入
力することが可能である。たとえば、第13図で、加算装
置(150)は整流器兼平滑回路(146)とFET(142)のゲ
ートとの間に配置でき、素子(126)からの降圧信号が
整流器兼平滑回路(136)の出力から取り出される。こ
の代わりの方法は上記の方法におけるようにAC結合若し
くは降圧について信号位相関係が正しくない場合に有利
である。しかしながら、不利点は第14図におけるように
結合された成分の選択的フィルタリングに適用できない
ことである。 いくつかの適用例では、一つの制御回路を除去して第
15図に示すように2個の素子用の共通の制御回路を使用
することが可能である。ただし、より整合的な効果を生
ずるには各素子にたいして個別の制御回路を使用するこ
とが好ましい。(第13図及び第15図で共通の成分に対し
ては同一の参照番号を使用した。)第15図では、整流器
兼平滑回路(136)からの固定帯域制御回路の出力はま
た、滑動帯域FET(142)をも制御すべくバッファ(14
8)を介して印加される。 第16A図は回路に「パーキング」と呼ばれる付加的特
徴が結合された設計変更例を示す。パーキングの概念
は、素子がそのしきい値以下にあるときは応答特性をそ
の静止レベルまたは周波数以外のあるレベルまたはある
周波数にプリセットしておくこと、すなわち「パーク」
させておくことが、しばしば有利であるとの認識に基づ
いている。固定帯域素子の場合、固定帯域制御回路は、
入力信号の変化に応答してより早く反応するように回路
が、ちょうどそのしきい値の下のレベルに、パークされ
る。検出器(153)は固定帯域制御信号を感知し、適当
な信号を発してそれを加算装置(155)に印加し、ここ
でそれが制御信号に加えられ、又は制御信号にとって代
り、固定帯域パーキング信号を与える。動作に際して
は、パーキング信号レベルは、固定帯域しきい値のちょ
うど下に設定されることが好ましい。しきい値の上で
は、固定帯域制御回路がパーキング検出器を排除し、こ
れにとって代わる。従って、検出器(153)は固定帯域
制御信号を感知して、固定帯域素子がそのしきい値以下
にあるときのみ、その所望のレベルに固定帯域制御回路
をパーキングさせるための正しい信号を与える。これら
の機能を与える検出器はいろいろの方法で与えられる。
適当な一つの装置は「完全なダイオード」回路で固定帯
域制御電圧を感知することである。そのような回路はよ
く知られており、感知された信号がバイアス電圧に上昇
すると正から負に回路がその出力を切り替えるようにバ
イアスされたオペレーションアンプを利用する。必要に
応じて適当にレベル調節された完全なダイオード回路出
力は所望のパーキング信号を与えるべく、固定帯域制御
信号にとって代わる最大値選択回路として動作する。 第16B図はパーキングを使用するスタック式固定帯域
及び滑動帯域素子の一般的な別の装置を示す。この場
合、滑動帯域素子(129)は、滑動帯域回路が下方に動
作するよう、誘導子(139)(実際的実施例ではジャイ
レータで疑似される)を有する。第16B図の装置では、
パーキングは固定帯域回路においてのみならず滑動帯域
回路においても与えられている。固定帯域回路に適用さ
れると同様に、パーキングの概念は、固定帯域アンブレ
ラ特性が存在するかぎり信号が印加されたときに動作が
起こる可能性のある周波数領域に滑動帯域を予め滑動さ
せる(それを「パーク」させる)ことが可能である、と
いう認識に基づいている。これは応答時間を改良し、変
調歪みを低減する。その静止状態においては、下方に動
作する滑動帯域は、通常はその広帯域状態内にある(い
かなるパーキング回路も存在しないとき)。すなわち、
高周波遮断は、もしも第19図に関連して以下に述べるよ
うな装置に使用されたなら、無限大になる、すなわち十
分に低周波停止帯域内にある。信号が現われると、帯域
は主要信号を減衰すべく下方に滑動する。会話及び音楽
では主要信号は100Hzないし1kHz領域内にある。したが
って約400Hzの遮断周波数に滑動帯域をパークさせてお
くことが有用である。この周波数は第19図の装置の低周
波パスバンドに入ったところである。パーキングの影響
は、信号が固定帯域しきい値の上に上昇すると、これは
固定帯域アンブレラの急速な低下又は消滅を示すので、
ただちに除去される。検出器(153)は、規準電圧に相
対して固定帯域制御信号を感知し、結合装置兼最大値選
択装置(151)を介して滑動帯域FET(142)に印加パー
キング信号を発生する。この信号が固定帯域しきい値の
上に上昇した後で、もしも印加された周波数が400Hzよ
りも低いと、滑動帯域制御回路が支配的となって、帯域
をさらに下方に滑動させる。もしも周波数が400Hzの上
であれば滑動帯域制御回路が依然支配的であるが、滑動
帯域制御回路は、遮断周波数が上方に滑動することを許
す。検出器(153)は、固定帯域制御信号を必ず感知す
るようにされており、その帯域素子がしきい値以下にあ
るときのみ、滑動帯域回路を所望の周波数にパーキング
させるための正しい信号レベルを与える。第16A図装置
に関して述べた検出器装置は第16B図装置についても適
している。 滑動帯域パーキング装置は高周波数滑動帯域回路に関
連しても使用できるが、利点は小さい、なぜならば起こ
りそうな印加信号周波数は高周波停止帯域周波数領域に
あるからである(第19図及び第20図等の装置を参照)。
これはすでに、低周波の場合とは対照的に、これはすで
に当を得ている状態である。 第16B図は、ジャイレータで疑似される誘導子(139)
によりえられる雑音低減についての上述したパーキング
回路に関する別の特徴を示す。スイッチ(157)として
示す分路器は誘導子(139)にまたがって接続される。
このスイッチは検出器(153)からの信号により制御さ
れる。固定帯域回路及び滑動帯域回路のしきい値の下
(これは検出器(153)により感知されるが)では、滑
動帯域回路(129)及び誘導子(139)が能動的である必
要はない。従って、ジャイレータ疑似誘導子は、回路が
それらのしきい値以下にあるときは分路器により短絡さ
れている。実用的回路では、この分路器はFETを使用し
て与えることができ、検出器(153)からの信号はこのF
ETのゲートに印加される。この代わりとして、分路器は
任意の入力点から適当な出力点にまたがる配置でよい。
ただし、これらに二点が同一の信号レベルを有するとす
る。能動的素子内の雑音を除去するために分路器を使用
することは任意の双線形(bi-linear)の、又は単線形
(uni-linear)の圧縮器又は伸張器回路でできる。なぜ
ならばそのような回路には全く動的を与えない入力信号
レベル領域があるからである。そのような分路器は必ず
しもパーキング回路には関連していない。第16図装置に
おいては、検出装置(153)から導出されるパーキング
信号は単に分路器の制御にたまたま適当であるに過ぎな
い。 第16A図及び第16B図の実施例の、パーキング及びジャ
イレータ分路器特性は第14図装置の意味では使用する必
要がない。例えばフィルタ(152)の使用は重要でな
い。このパーキングなる特徴は第11図の装置のような一
般の装置に適用できる。 第13図から第16B図の交差結合装置は、このように、
回路設計者が2個の素子のしきい値の相互作用の仕方を
決定する点において顕著な融通性を与える原理上、第13
図の装置のように、スタックされた素子夫々が別々のか
つ独立の完全な作動制御付き制御回路を有する場合、ス
タック順序は重要でない。すなわち任意の順序に配置さ
れた素子でも同一の結果が得られる。しかし、制御回路
に交差結合が全く無い場合または(降圧信号がフィルタ
(152)からのみある第14図におけるように)一部作動
制御のみを与える交差結合がある場合、素子のスタック
順序は全体的結果に影響するかもしれない。 固定帯域素子及び滑動帯域素子からなる二素子スタッ
ク(例えば第13図から第16図におけるように)の動作を
理解するために、コーナ周波数800Hzの固定単極ハイパ
ス・フィルタが前記二素子への入力にたいして並列に置
かれたとし、かつこの固定帯域素子の実効しきい値が−
62dBであり、滑動帯域素子のそれが−66dBであると考え
よう。各素子は最大10dBの減衰を与えると仮定する。た
とえば、もしも12kHzの信号が−66dBのレベルに印加さ
れると、滑動帯域特性のコーナ周波数は滑動しはじめる
が、全体的特性ほうらく線には何も起こらない。なぜな
らば固定帯域は依然非能動的であり、ほうらく線を支持
しているからである。変化された滑動帯域特性は隠され
ている。この状況は、第17A図に示すように、信号が固
定帯域しきい値の−62dBに連するまで続く。この図は、
静止状態のとき同一の包絡線を有するが、外見上の滑動
帯域は破線で示す変化を受けることを示す。信号レベル
が固定帯域しきい値の上数dBに増大すると固定帯域は減
衰を続け、滑動帯域は第17C図に示すように上方に移動
し続ける。 再発行米国特許第28,426号に記載されているように滑
動帯域FETの完全な減衰を得るためには、高レベルにあ
る制御信号ループ内に十分に高い利得を有することが必
要である。前記特許に開示された解決法は、ループ内に
高周波重み付けをした増幅を与えることである。しか
し、この方法の欠点は、ループ利得が低レベルにて高す
ぎる(従って帯域を必要以上に滑動させる)こと、また
十分に高い滑動帯域しきい値を維持するのが困難である
ことである。 第13図及び第14図に関して述べた交差結合法を用い
て、高信号レベル及び低信号レベル状態で所望のループ
利得を持った所望の滑動帯域しきい値を達成することが
可能である。もしも付加任意的結合装置(150)付きの
第13図装置が使用される(すなわち完全な降圧効果があ
る)と、この時は固定帯域しきい値の下では滑動帯域FE
T対する制御信号駆動が全くなく、非常に高いレベル状
態の下では固定帯域が負け(すなわち完全な減衰があ
る)、降圧はもはや与えられず、滑動帯域制御信号ルー
プ内には充分な利得が与えられる。 実際上は、十分な降圧を与える方法は必要以上の降圧
効果を与えるが、もしも降圧動作がより小さければ改善
された性能が達成される。たとえば滑動帯域制御信号ル
ープの実効高周波利得は、固定帯域が減衰されないかぎ
り約5dB減少され、それが減衰するにともない、固定帯
域が完全に減衰されるときにこの利得がゼロdBに達する
まで、降圧動作は減少する。高い滑動帯域しきい値が望
まれる適用例では、第14図装置は広帯域及び周波数選択
的降圧動作の両方の使用が可能である。高周波滑動帯域
素子の場合は、極端な高周波では降圧動作が最も望まし
いので、周波数選択性の降圧信号が、ハイパス・フィル
タ(152)を使用して導出される。極端な高周波では等
化された制御増幅器が最高の利得を与える。下にさらに
述べる実用定的一実施例では、遮断周波数1.6kHzが使用
される。低周波滑動帯域素子に対しては、高レベル低周
波数にて高ループ利得を与えることが必要条件である。
この場合、第14図の装置のフィルタ(152)はローパス
・フィルタである。さらに下に述べる実用的一実施例で
は、400Hzの遮断周波数が使用される。 上記のように非常に有用な構成は、各段が滑動帯域及
び固定帯域素子からなる、帯域分割式の高周波及び低周
波段に構成された圧縮器又は伸張器を与えることであ
る。平行な段は単独的ダイナミック・レンジ領域改変装
置として、又は米国特許第3,846,719号,米国特許第3,9
03,485号,再発行米国特許第28,426号,及び米国特許第
4,490,691号に述べられているような形式I又は形式II
の二重路装置における側路として、動作することができ
る。好ましくはそれぞれにおいて同一のコーナー周波数
を有する単極フィルタが、二つの段の結合された静止応
答が平坦となるように使用される。高周波及び低周波段
に対する有利なコーナー周波数はオーディオシステムの
場合約800Hzである。緩やかに傾斜する6dB/オクターブ
のフィルタ勾配を用いると、もしも高周波段が800Hzの
コーナー周波数を有すると、この段は100ないし200Hzの
低周波まで顕著な動作を与える。もしも低周波段もコー
ナー周波数800Hzを有すると、それは3kHzから6kHzの高
周波まで顕著な動作を与える。したがって、たとえば代
表的音楽における大抵のエネルギーを含む帯域である10
0Hzから6kHzまでの領域にある信号に対しては両方の段
が効果的であり信号追跡効果(tracking effect)を与
える。例えば、下にさらに説明するように、この領域に
ある単一の主要信号に対しては、全体的応答は主要信号
の上方及び下方の二つの滑動帯域の和である。一つ以上
の主要信号にたいして得られる特性は、それぞれ、最上
及び最低の主要信号間の固定帯域応答と、最上及び最低
主要信号の上及び下の滑動帯域応答と、である。 第18図では高周波段の実施例が示されている。その入
力内には遮断周波数800Hzの単極ハイパス・フィルタ(1
54)が配置されている。実際上は、このフィルタはそれ
以下の回路からこのフィルタを緩衝すべくオペレーショ
ン増幅器を含む。ハイパス・フィルタを通った入力信号
は固定帯域素子(156)と滑動帯域素子(158)とに印加
される。この固定帯域素子は入力抵抗(160)と、可変
抵抗として作動する分岐器FET(162)と、FET(162)の
ゲートに印加されるDC制御信号を発生する制御回路(16
4)とを含む。DC制御信号レベルが増大するにつれ、FET
抵抗は降下する。固定帯域制御回路(164)はそのルー
プ内にバッファ増幅器(166)と、約400Hzの遮断周波数
を有する単極ハイパス・フィルタ(168)と、整流器(1
72)(好ましくは全波)と、平滑回路(172)(これも
この制御ループの動作開始時間及び復旧時間定数を調整
するために使用される)とを含む。滑動帯域素子(15
8)は並列の入力抵抗(178)及びFETにより分路される
コンデンサ(180)を含む。この滑動帯域素子は、バッ
ファ増幅器(186),加算装置(188),高周波強調回路
(190),整流器(192)(好ましくは全波)、及び平滑
回路(194)を含む制御回路(184)を有する。この加算
回路もまた入力として、約1.6kHzの遮断周波数を持つハ
イパス・フィルタ(170)の前後で取られた降圧信号を
受信する。この降圧信号は適当に緩衝され、制御回路の
好ましからざる相互作用を回避する。フィルタ(170)
への入力はフィルタ(168)及び整流器(172)の間で取
られる。固定帯域素子(156)の出力はバッファ(198)
を介して滑動帯域素子に印加される。全体的出力は滑動
帯域素子(158)のバッファ(186)から取られる。 スタック固定帯域及び滑動帯域素子は一般的に上記の
ように作動する。固定帯域素子からの降圧信号成分を滑
動帯域素子の制御回路に入力するのは上記第14図の説明
に関して述べた理由のためである。フィルタ(170)に
たいして約1.6kHzのコーナー周波数が選ばれた。その理
由は滑動帯域の差動制御は高周波でのみ必要であるから
である。フィルタ(168)は、非常に低周波の成分に対
する固定帯域回路の鋭敏さを低減するために使用され
た。 第19図には低周波段の実施例が示されている。入力信
号は固定帯域素子(200)と滑動帯域素子(202)とに印
加される。固定帯域素子は、入力抵抗(204),可変抵
抗として作動される分路FET(206),及びFET(206)の
ゲートに印加されるDC制御信号を発生する制御回路(20
8)を含む。FET抵抗はDC制御信号レベルが増大すると降
下する。制御回路(208)はそのループ内にバッファ増
幅器(210),コーナー周波数約800Hzの第1の単極ロー
パス・フィルタ(212),コーナー周波数約1.6kHzを有
する第2ローパス・フィルタ(210),整流器(218)
(好ましくは全波)、及び平滑回路(220)(これもま
た制御ループの動作開始時間と復旧時間定数を調整する
ために使用される)を含む。 滑動帯域素子(202)はFET(228)により分路される
並列の入力抵抗(224)と誘導子(226)とを含む。実用
上、誘導子(226)は演算し増幅器(このような回路は
よく知られているので図示しない)を含むジャイレータ
回路によって疑似される。滑動帯域素子は、バッファ増
幅器(232),約800Hzのコーナー周波数を有する単極ロ
ーパス・フィルタ(234),加算回路(236),低周波強
調回路(238),整流器(240)(好ましくは全波)、及
び平滑回路(242)を含む制御回路(230)を有する。ロ
ーパス・フィルタ(234)は好ましくは、低周波段で発
生された好ましくない雑音を抑制するのを助けるために
示す位置に配置される。この代わりに、このフィルタは
第18図の高周波回路で行なわれたように、装置への入力
内に配置できる。加算回路(236)もまた入力として約4
00Hzのコーナー周波数を有するローパス・フィルタ(21
6)の前後で採られた降圧信号を受信する。この降圧信
号は適当に緩衝されて制御回路間の好ましくない相互作
用を回避する。フィルタ(216)への入力はフィルタ(2
14)と整流器(218)との間で採られる。固定帯域素子
(200)の出力はバッファ(247)を介して滑動帯域素子
に印加される。全体的出力は滑動帯域素子(202)のフ
ィルタ(234)から取られる。 動作上、低周波スタック固定帯域素子及び滑動帯域素
子は、一般的に、滑動素子が周波数下方へ作動すること
を除けば上記と同様に作動する。上記のとおり低周波段
における一つの相違は、帯域確定フィルタが、高周波に
おけるごとく入力内には配置されないで、段出力内に配
置されることである。固定帯域素子からの降圧信号を滑
動帯域素子の制御回路に入力することは上記第14図の説
明に関連して述べた理由のためである。フィルタ(21
6)にたいしては約400Hzのコーナー周波数が選ばれた。
その理由は滑動帯域の差動制御は低周波でのみ必要とさ
れるからである。フィルタ(212,214)は非常に高周波
の成分に対する滑動帯域回路の鋭敏性を低減するために
使用される。 第18図及び第19図に示した形式の高周波及び低周波段
は、圧縮器、伸張器、及び雑音低減コンバンダを作る構
成ブロックとして使用できる。例えば第18図及び第19図
に述べた形式の高周波及び低周波段は第20図及び第21図
に図示した方法で、二重路装置内の側路として使用でき
る。 第20図においては(米国特許第3,846,719号に一般的
に述べられている形式の)二重路装置が、入力信号が高
周波段(250)と、低周波段(252)と主要路(254)と
に印加される圧縮器(248)を有するものとして示され
ている。段(250,252)の出力は加算装置(256)にて加
算され、その後加算装置(258)で主要路信号成分と加
算されて用途のための圧縮器出力を伝送チャンネルに与
える。この側路信号成分は、従って主要路信号成分を昇
圧し、圧縮器動作を起こさせる。伝送チャンネル出力は
圧縮器(248)に相補的であるように構成された伸張器
(260)に印加されるが、これは伝送チャンネル出力を
受信し高周波段(250)と低周波段(252)の出力との和
を引く入力加算装置(262)を有する。これら出力は加
算装置(264)で加算される。側路信号成分はしたがっ
て主要路信号成分を降圧し、伸張器動作を起こさせる。 第21図では、(米国特許第3,903,485号に一般的に述
べられている形式の)形式IIの二重路装置が、入力信号
と、加算装置(272)で結合される高周波段(250)及び
低周波段(252)の出力の和と、を受信する入力加算装
置(270)を有する圧縮器(268)を備えたものとして、
示されている。この加算装置(272)は、その出力が主
要路(274)に印加され、この主要路がその圧縮器出力
を伝送チャンネルに、その入力を圧縮器(250,252)
に、与えるこの側路信号成分はしたがって主要路信号成
分を昇圧して圧縮器動作を起こさせる。この伝送チャン
ネル出力は圧縮器(258)に相補的であるように構成さ
れた伸張器(276)に印加される。段(250,252)の出力
は加算装置(280)で加算されてから加算装置(282)で
主要路信号成分から引かれ、伸張器出力を与える。側路
信号成分はこのように主要路信号成分を昇圧して伸張器
動作を起こさせる。 第20図及び第21図では各圧縮器及び伸張器の主要路
は、ダイナミック・レンジにたいして線形であり、側路
高周波段と低周波段との和のレベルは主要路の最大レベ
ルよりも小さい。これらの図及び下記第22図及び第23図
における伝送チャンネルは、任意の形式の記憶媒体もし
くは伝送媒体を含んでよく、また、圧縮器からのアナロ
グ信号成分を別の形(例えばデジタル)に符号化若しく
は変換する装置、その符号化された信号の記憶若しくは
伝送、及び符号化された信号を下のアナログ信号成分に
再変換若しくは複合する装置、を含むことができる。 ただ一つの高周波段と一つの低周波段のみが各圧縮器
及び伸張器で使用される第20図や第21図のような装置で
は、過度の最大圧縮若しくは伸張比に達しないようにし
て約10ないし12dBの雑音低減を与えることが実際的であ
る。第20図及び第21図装置はある種の用途に適当であろ
うが、いかなる一段にも不当な重荷をかけず、また過度
の圧縮若しくは伸張比を課することなく大きな全体的雑
音低減を達成するためには米国特許第4,490,691号の教
示を採用することが有用である。 第22図では圧縮器内に形式Iの二重路段3個の直列が
あり、伸張器内に3個の相補的段がある、一つの可能な
装置が示されている。この直列双線形回路のしきい値レ
ベルは、米国特許第4,490,691号の離調特性を採用して
離調されている(staggered)。この代わりとして、形
式IIの構成が使用できる。第22図の実施例もまた米国特
許第4,490,691号のスペクトル・スキュウイング(skewi
ng)と反飽和(antisaturation)特性を使用する。とは
言えこれらの特徴は高周波段及び低周波段を使用する多
重段装置には本質的ではない。 第22図のシステムの圧縮器部分は3個の段を有する。
それらは最高のしきい値レベルを有する高レベル段(28
4)と、中レベル段(286)と、最低のしきい値レベルを
有する低レベル段(288)とである。米国特許第4,490,6
91号に議論されているように、逆の順が可能ではある
が、これが離調された段の好ましい構成順である。第22
図のシステムの伸張器部分もまた圧縮器に相補的に配置
された3段を有する。それらは低レベル段(290)と、
中レベル段(292)と、高レベル段(294)とである。各
高レベル段と中レベル段は共に高周波段(250)と低周
波段(252)を有する。この低周波段は高周波段(250)
のみを有し、低周波段を有しない。各高周波段(250)
と各低周波段(252)は第18図及び第19図に関して述べ
た形式のものである。実用的回路では、高周波段と低周
波段が高レベル段、中レベル段、あるいは低レベル段の
いずれに配置されるかに応じて、それら段の間には幾分
の差異があるかも知れない。各圧縮器段(284,286,28
8)及び各伸張器段(290,292,294)が、例えば夫々8dB
の圧縮又は伸張を有すれば、その時は全体的コンパンダ
システムは高周波帯域(もしも高周波段が800Hzの遮断
周波数を有すれば800Hzの上)で24dBの雑音低減を与
え、低周波段(もしも低周波段が800Hz遮断周波数を有
すれば800Hzの下)で16dBの雑音低減を与える。そのよ
うな構成は例えば業務用に使用される形式の高品質オー
ディオ雑音低減システムに有用である。 第22図の実施例におけるような離調された従続接続
(cascading)は、圧縮及び伸張の大きさを増大するこ
とのみならず、(高周波段の帯域に相対の)疑似多重極
効果及び(低周波段の帯域に相対の)疑似2極効果を創
成することにも有用である。 かくして、回路に広範囲の周波数重畳を許し、帯域が
結合されたときに平坦な全体的周波数応答をゆるすた
め、各回路自体は単極帯域確定フィルタのみを有するだ
けであるが、2個又は3個の回路が従続接続されると全
体的効果は急峻性複合化(steepness compunding)段団
塊化(stage ganging effect)の効果を与えることを目
的とする。実際には2又は3極フィルタを与えることで
ある。2又は3極フィルタの付加的な鋭さは、それがシ
ステムに主要信号をさらに効果的に追跡させることを可
能にする点で、好ましい。すなわち急峻なフィルタ勾配
があることにより、主要信号成分に隣接した周波数は動
的動作による影響が可能なかぎり少なくされる。疑似2
極又は3極フィルタ効果は、各個別回路の単極フィルタ
の利点を維持しつつ上記効果、すなわち高周波回路と低
周波回路の出力を振幅と位相の両方について、完璧に結
合するという効果、をもたらす。全体的結果は、各回路
の雑音低減側路内の疑似2極フィルタ効果と組み合わさ
れて取られる多重段急峻複合効果によって、信号が印加
されるときのフィルタ動作がより複雑になる、というこ
とである。疑似2極フィルタ効果は、静止状態では単極
特性を有するが主要信号の存在化では2極特性の傾向を
持ち始めるという可変シェルフ特性のある滑動帯域回路
部分と直列に単極固定フィルタを使用することから生ず
る。動作置換を介しての固定帯域の介在は応答をさらに
調整する。 システムの圧縮器部分への入力は、ブロック(296)
として示される、低周波及び高周波スペクトル・スキュ
ーイング回路に印加される。実用的実施例では直列な二
つの回路網がある。それらは50Hz高パス単極シェルビン
グ部と20Hzハイパス単極フィルタ部とからなる二部の低
周波回路網と、(最大時、平坦な)12kHzパターワース
・ローパス・フィルタ回路網とである。 両回路網はよく知られたオペレーション増幅器能動フ
ィルタ法を使用して与えることができる。相補的デ・ス
キューイング回路網は伸張器の出力端のブロック(30
4)内に配置されている。 圧縮器部分内の各段(284,286,288)の主要路は、そ
れぞれ低周波及び高周波反飽和回路網(antisaturation
networks)(298,200,302)を含む。伸張器部分内には
それぞれ各段(290,292,294)の主要路内に相補的反飽
和回路網(304,306,308)が配置されている。米国特許
第4,490,691号に議論されているように、これらの回路
網を圧縮器のただ一段の主要路内及び一連の従続継続さ
れた離散的段の伸張器部分の一段内の相補的位置に配置
することが可能である。 第22図の形式Iの諸段もまた、それぞれ段(284,286,
292,294)の高周波及び低周波回路の出力を結合する加
算装置(310,312,314,316)を含む。これらの各段は、
段(288,290)の場合には側路出力を主要路に、他の段
の場合には側路の出力を主要路に、結合する主要路内加
算装置(318,320,322,324,326,328)を含む。 第22図は第18図及び第19図に関して述べた形式の高周
波回路かつ又は低周波回路を用いて構成できる圧縮器、
伸張器又はコンパンダ・システムのほんの一例である。
他の可能性ある例としては、次のものがあるが、これら
に限定されない。それらは、(1)圧縮器及び伸張器内
の単一の高周波回路、(2)それぞれ圧縮器および伸張
器内にある一高周波回路及び一低周波回路(第20図、第
21図の例に示されるようなもの)、及び(3)それぞれ
圧縮器及び伸張器内にある2個の高周波回路と一低周波
回路(例えば高レベル段(284,294)を省いた場合の第2
2図に示すような装置)である。別例(1)はドルピー
研究所により許諾されて広く使用されているB型の消費
者雑音低減システムとの両立性を与え、別例(3)はド
ルビー研究所により制作されて広く使用されているA型
業務用雑音低減システムとの両立性を与える。システム
設計者の目的に応じて他の構造が可能である。例えば第
22図の例の圧縮器及び伸張器部分に第四段が付加でき、
かつ又はその例の低レベル段に付加的に低周波回路を含
めることができる。 第22図の例に一般的に合致するシステムの実用的実施
例では、独特の回路及びスイッチ装置を用いてただ一組
の高レベル、中レベル及び低レベル段を使用することが
可能である。第23図はそのような実用的な実施例のブロ
ック線図である。この回路及びスイッチ装置は同時的に
符号化及び複合化が必要とされないすべての型の直列二
重路段付きコンパンダ・システムに適用できる。単極二
重スロースイッチがその圧縮モードから圧縮モードへの
システムの切り替えを与える。切り替えをこの簡単なも
のとするため、本装置は最後の段以外の各段に、相補的
主要路を使用する。 第23図を参照すると、システムへの入力は、亜音速及
び超音速の信号を除去するように意図されている(例え
ばこのフィルタは遮断周波数約10Hzの二極ハイパス・フ
ィルタ及び遮断周波数約50kHzの二極ローパス・フィル
タでよい)。ろ波された入力信号は第1及び第2の反転
バッファ増幅器(332,334)(適当な抵抗器332a,332b,3
32c,334a,334b,334c付きの加算オペレーション増幅器と
して構成される)を通過してシステム出力端に至る。シ
ステムの主要路は増幅器(332,334)であるバッファ(3
32,334)の間の点にて、三路への入力が導出される。こ
れら三路には、三段(340,342,344)[このうち最初の
二段(340,342)は補助的主要路を有する]に入力する
低周波数及び高周波数スペクトル・スキューイング回路
網(338)を含んだ第1路(336)と、低周波及び高周波
の反飽和回路網(352)をふくんでいて反飽和信号を発
生する第2段と、利得トリンミング路(354)とが含ま
れる。回路網(338)は第22図の回路網(296)に関連し
て述べたと同一の特性を有する。回路網(352)は第22
図の回路網(298,300,302)と疑似の特性を創成するた
めのものであるが、さらに適当なレベル及び極性の降圧
信号を発生するに必要となる増幅器を含む。これら三路
からの信号成分は加算回路(356)で結合され、その出
力はスイッチ装置(358)に印加される。すなわち、回
路網(352)は低周波及び高周波昇圧特性を有するの
で、信号が降圧方向に結合されるときは全体として低周
波及び高周波反飽和特性が得られる。 第1段(340)は好ましくは第22図におけるように、
高周波回路(250)及び低周波回路(252)を含む高レベ
ル段である。段(340)への入力は回路(250,252)及び
二次主要路(346)に入力される。各回路(例えば250,2
52,346)の出力は加算回路(346)で結合される。中レ
ベル段である第2段(342)は、加算装置(364)の出力
を受信してそれを別の高周波段(250)及び低周波段(2
52)に、及び二次主要路(348)に印加する。回路(25
0,252)及び路(348)の出力は、高周波回路(250)を
含んだ低レベル段(344)に出力を印加する加算装置(3
66)にて結合される。段(340,342,344)内の5個の回
路の雑音低減出力は、ブロック(352)からやる反飽和
降圧信号及びレベル・トリミング路(354)から来る信
号と共に、結合装置(356)に印加される。このレベル
・トリミングは数分の1dB程度である。 このスイッチ装置はその閉じたときの雑音低減「オ
フ」位置では加算装置(356)からの出力を接地するが
雑音低減「オン」位置では開いている単一の単極スロー
雑音低減オン/オフスイッチ(356)は出力はさらに単
極二重スロースイッチ(352)の共通位置に印加され
る。「圧縮」位置では、この加算装置出力はバッファ
(332,334)間の一点に印加される。「伸張」位置では
この加算装置出力はバッファ(332)の入力に印加され
る。 動作においては、雑音低減「オフ」位置へ雑音低減ス
イッチ(360)を閉じると、加算装置(356)の出力がバ
ッファ(334)に結合されるのを阻止する。なぜならば
その二つの加算入力のうち一つが接地されるからであ
る。圧縮/伸張モード・スイッチ(362)について言う
と、「圧縮」位置ではこの装置全体は、第22図の一部に
しめされるような形式Iの圧縮器の構成と本質的に等価
である。 すなわち、バッファ(332)を介する入力信号は三路
(336,350,354)に印加され、それらの和はスイッチ(3
62)及びバッファ(332)を介して出力に印加される。
スイッチ(362)の伸張位置では、結合装置(356)の出
力は帰還されるが、これら三路への入力と極性において
反対であり、従って第22図の形式Iの伸張器の複製とな
る。いずれのスイッチ位置でも、結合器(356)の出力
は増幅器(332)又は増幅器(334)により入力信号に印
加される。形式IIの圧縮器システムにも同じ原理が適用
できる。 圧縮器/伸張器の切り替えが簡単化されたことに加え
て、第23図装置は単一のスペクトル・スキューイング回
路網及び単一の反飽和回路網のみを必要とする。第23図
装置に単一のスペクトル・スキューイング回路網を使用
することが第22図装置と一つの小さな差異を結果する。
すなわち、第23図では回路網(338)は側路のみに影響
して一次主要路には影響しないが、第22図では回路網
(296)は主要路及び側路双方に影響する。しかし、米
国特許第4,490,691号に記載されているように、両方の
位置が許容可能な位置である。第22図の例と一般的に合
致するシステムの別の実用的実施例では、独特の回路及
びスイッチ装置を使用して、ただ一組の高レベル、中レ
ベル及び低レベル段を使用することも可能である第24図
はそのような実用的実施例のブロック線図である。この
回路及びスイッチ装置は同時的符号化及び複合化が必要
とされないすべての形式の直列二重路段付き圧縮器シス
テムに適用できる。単極二重スロースイッチがこのシス
テムの圧縮モードからその伸張モードへの切り替えを与
える。別のスイッチが雑音低減オフ位置を与える。この
場合補助的主要路が全く必要でない点で、第23図の実施
例におけるよりもさらに大きな単純性が与えられてい
る。必要とされる反飽和量は図示したようなただ一つの
低周波及びただ一つの高周波反飽和回路により与えるこ
とができる。第24図の装置は、加算されたときの並列的
組合わせが、導出された雑音低減側路信号を与えるよう
に、反転増幅器と並列に第22図の符号化器部分を利用す
る。例えば、この並列的組合わせは、主要路信号に雑音
低減信号の合わさったものから主要路信号を効果的に引
き算して雑音低減信号自体を与える。雑音低減信号を孤
立して導出することにより、システム全体は第24図及び
第25図に関連して説明するように容易に符号化モードか
ら複合モードに切り替えられる。 第24図を参照するが、第22図及び第23図における同様
の素子については同一の参照番号を使用する。この図で
システムへの入力は帯域通過フィルタ(330)を通過す
る。このろ波された入力信号は(適当な抵抗362a,332b,
364a,364bを持った加算演算増幅器として構成されてい
る)を通過してシステム出力に至る。バッファ(362,36
4)間の一点にて、反転増幅器(370)と並列な第22図の
システムの符号化(圧縮器)部分への入力が導出され
る。システムの主要路は(362)及び増幅器(362)の間
に与えられる。符号化器出力は加算抵抗(368)に印加
される。反転増幅器路は反転オペレーション増幅器(37
0),入力抵抗(370a),帰還抵抗(370b),及び加算
抵抗(370a)を含む。抵抗(370a,370b)は利得1を与
えるように選択される。加算抵抗(368,372)は、複号
器及び反転増幅器路がいずれかの増幅器(362又は364)
にて加算されるときはその結果得られた信号が導出され
た雑音低減信号となるように、同一値を有する。 圧縮/伸張切り替えは抵抗(368)(372)の接合部に
接続された、共通点を有する単一の二位置スイッチ(37
4)によって与えられる。「圧縮」位置では、加算抵抗
(368)(372)は加算増幅器(364)の入力に接続され
る。この増幅器はしたがって、主要路信号と雑音低減信
号を加算して圧縮を与える。「伸張」位置では、加算抵
抗(368,372)は加算増幅器(362)の入力に接続され
る。この増幅器はしたがって主要路信号か雑音低減信号
を引いて伸張を与える。スイッチ(375)の「オフ」位
置では雑音低減信号は接続されず、出力単にその入力で
ある。 第24図のスイッチ装置の動作は再発行米国特許卯28,4
26号に記載される形式Iの単一段二重路コンパンダ・シ
ステム用の先行技術スイッチを示す第25図を参照すると
一層よく理解できよう。入力信号は第1加算装置(37
4)に印加される。主要路(376)は加算装置(374)か
ら第2加算装置(378)まで延びる。雑音低減側路(38
9)は(これまでは単一の小回路である)はその入力を
主要路から導出し、その出力を、圧縮のため加算装置
(378)内の主要路信号と加算し、また反転器(384)内
での反転と加算装置(374)内での加算とにより主要路
信号から引き算し又は主要路信号を降圧するように、ス
イッチ(380)により切り替え可能にされている。スイ
ッチ(383)は雑音低減側路をオフ状態の時に開く。第2
4図は、複雑な多段システムにおいて全体的雑音低減信
号を表す雑音低減側路信号を、簡単に導出することが可
能であるということの認識に基づいている。 第24図の装置は第22図の複合器部分を符号器部分の代
わりに使用することにより改変することができる。さら
に、これらの原理は形式IIの装置にも等しく適用可能で
ある。第24図装置には第23図装置をしのぐ利点があるこ
とに注目されたい。第24図装置のスペクトル・スキュー
イング回路網の効果は第22図の構成のものと同一であ
る。該回路網は主要路及び側路の両方に影響する。この
ようにしてこのスペクトル・スキューイング回路網もま
たオーディオ・スペクトルの両極端にて、反飽和効果を
与える。この効果は反飽和回路網自身により与えられる
効果に重ねて、かつ上方で、起こる。 第26図は前記5個の回路の静止特性と、第22図の圧縮
器部分のように構成されたシステムの全体的装置又は圧
縮器モードで作動された第23図及び第24図のシステムの
静止特性を表す。いずれの場合もそれぞれスペクトル・
スキューイング及び反飽和回路網は含まれない。回路
(250,252)はそれぞれしきい値の下の低レベル信号状
態に対して最大8dBの圧縮を与える。従って、これらの
曲線は2個の低周波回路の加算的効果と3個の高周波回
路の加算的効果を示す。これら回路は、高周波にて24dB
の全体的圧縮を、また低周波にて16dBの圧縮を与える。
これらの曲線はまた、単極フィルタの6dB/オクターブ辺
縁(skirt)の実質的重畳をも示す。上記第7B図も参照
されたい。この図は主要信号の存在するときのこの同じ
装置の低レベル応答を示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は先行技術による滑動帯域増倍効果を例示する、
理想化された圧縮器特性応答曲線である。 第2図は先行技術による固定帯域制限効果(limiting e
ffect)を例示する、理想化された圧縮器特性応答曲線
である。 第3図は本発明の実施に有用な回路構成を一般的に例示
するブロック線図である。 第4図は第3図の構成と等化な回路構成であって本発明
の実施に好ましいものを一般的に例示するブロック線図
である。 第5図は第3図の構成から第4図の構成への変更を示す
有用な、別の回路構成のブロック線図である。 第6A図は本発明に基づいて重畳された固定帯域素子及び
滑動帯域素子の静止応答を示す、理想化された圧縮器特
性応答曲線である。 第6B図は滑動帯域が周波数上方に作動する場合の理想化
された圧縮器特性応答曲線であって、本発明に基づいて
重畳された固定帯域素子及び滑動帯域素子のしきい値の
わずかに上における応答を示す図である。 第6C図は滑動帯域が周波数下方に作動する場合の理想化
された圧縮器特性応答曲線であって、本発明に基づいて
重畳された固定帯域素子及び滑動帯域素子のしきい値の
わずかに上における応答を示す図である。 第7A図は高周波及び低周波回路の静止応答を示す理想化
された圧縮器特性応答曲線であって、それぞれの回路が
本発明により重畳された固定帯域素子及び滑動帯域素子
を有し、該回路が共通のコーナー周波数800Hzを有する
ときの図である。 第7B図は第7A図に関して引用したと同一の高周波及び低
周波回路のトラッキング応答を示す理想化された圧縮器
特性応答曲線であって、いろいろの周波数に主要信号が
あるときの図である。 第7C図は第7A図に関連して引用した高周波及び低周波回
路と同一の回路の応答を示す理想化された圧縮器特性応
答曲線であって、二つの主要信号が存在するときの図で
ある。 第8図は本発明の好ましい実施例の基本的な動作を説明
するに有用な回路略線図である。 第9図は本発明の実施のための、等化な装置を示すブロ
ック線図である。 第10図は本発明を実施するための修正された装置を例示
するブロック線図である。 第11図は本発明に基づいて多重の特性動作が相互に連係
される方法を示す、一部をブロック略線とする図であ
る。 第12A図は第11図の装置の動作を理解するに有用な理想
化された圧縮器特性応答曲線である。 第12B図は第11図の装置の動作を理解するに有用なさら
に理想化された圧縮器特性応答曲線である。 第13図は、固定帯域素子と滑動帯域素子が相互に積み重
ねられた本発明の実施例であってそれぞれの素子が別個
の制御回路を有し、任意選択的な交差結合が一方の制御
回路の素子から他方の素子へ与えられているものの、一
部をブロック略線図とする図である。 第14図は第13図の実施例の修正例であって、一つの素子
の制御回路からもう一つの素子への結合にフィルタが含
まれる場合の図である。 第15図は第13図の実施例の修正例であって共通の制御回
路が二つの素子に与えられている場合の図である。 第16A図は第14図の実施例の修正例であって固定帯域素
子がその正規の静止レベルではないレベルにパークされ
る場合の図である。 第16B図は第14図の実施例の別の修正例であって固定帯
域素子がその正規の静止レベルでないレベルにパークさ
れており、また固定帯域コーナー周波数がその正規の静
止周波数にパークされている場合の図である。本図はま
た本発明の他の局面、すなわちジャイレータ疑似素子に
対する分路をも示す。 第17A図は第13図から第16図までの構成に示した形式の
回路の静止応答を示す、理想化された圧縮器特性応答曲
線である。 第17B図は第13図から第16図に示した形式の回路のしき
い値の少し上における応答を示す、理想化された圧縮器
特性応答曲線である。 第17C図は第13図ないし第16図の装置に示した回路の素
子しきい値のさらに高いレベルにおける応答を示す、理
想化された圧縮器特性応答曲線である。 第18図は本発明による高周波固定帯域段/滑動帯域段の
実施例の一部をブロック略線図とする図である。第19図
は本発明による低周波固定帯域段/滑動帯域段の実施例
を示す、一部をブロック略線図、とする図である。 第20図は第18図及び第19に関連して述べた形式の高周波
及び低周波段を使用する形式Iの二重路装置を示すブロ
ック線図である。 第21図は第18図及び第19図に関連して述べた形式の高周
波及び低周波段を使用する形式IIの二重路装置を示すブ
ロック線図である。 第22図は第18図及び第19図に関して述べた形式の高周波
回路及び低周波回路を使用した直列離調段を有するコン
パンダ・システムのブロック線図である。 第23図は第18図及び第19図に関して述べた高周波及び低
周波回路を使用する切り替え可能な圧縮器/伸張器の、
一部をブロック略線図とする図であって、切り替えを簡
単化するための二次主要路の使用を例示する図である。 第24図は第18図及び第19図に関して述べた高周波及び低
周波回路を使用する切り替え可能な圧縮器/伸張器の、
一部をブロック略線図とする図であって、切り替えを簡
単化するために第22図の装置の圧縮器部分と並列に反転
増幅器を使用することを示す図である。 第25図は第24図の動作を説明に有用な先行技術による切
り替え装置のブロック線図である。 第26図は第22図、第23図及び第24図の装置に関連した特
性圧縮応答曲線である。 126,156,200……滑動帯域素子 128,158,202……固定帯域素子 284〜288……高、中、低レベル圧縮器スタック 290〜294……高、中、低レベル伸張器スタック 340〜344……コンパンダ・システム
理想化された圧縮器特性応答曲線である。 第2図は先行技術による固定帯域制限効果(limiting e
ffect)を例示する、理想化された圧縮器特性応答曲線
である。 第3図は本発明の実施に有用な回路構成を一般的に例示
するブロック線図である。 第4図は第3図の構成と等化な回路構成であって本発明
の実施に好ましいものを一般的に例示するブロック線図
である。 第5図は第3図の構成から第4図の構成への変更を示す
有用な、別の回路構成のブロック線図である。 第6A図は本発明に基づいて重畳された固定帯域素子及び
滑動帯域素子の静止応答を示す、理想化された圧縮器特
性応答曲線である。 第6B図は滑動帯域が周波数上方に作動する場合の理想化
された圧縮器特性応答曲線であって、本発明に基づいて
重畳された固定帯域素子及び滑動帯域素子のしきい値の
わずかに上における応答を示す図である。 第6C図は滑動帯域が周波数下方に作動する場合の理想化
された圧縮器特性応答曲線であって、本発明に基づいて
重畳された固定帯域素子及び滑動帯域素子のしきい値の
わずかに上における応答を示す図である。 第7A図は高周波及び低周波回路の静止応答を示す理想化
された圧縮器特性応答曲線であって、それぞれの回路が
本発明により重畳された固定帯域素子及び滑動帯域素子
を有し、該回路が共通のコーナー周波数800Hzを有する
ときの図である。 第7B図は第7A図に関して引用したと同一の高周波及び低
周波回路のトラッキング応答を示す理想化された圧縮器
特性応答曲線であって、いろいろの周波数に主要信号が
あるときの図である。 第7C図は第7A図に関連して引用した高周波及び低周波回
路と同一の回路の応答を示す理想化された圧縮器特性応
答曲線であって、二つの主要信号が存在するときの図で
ある。 第8図は本発明の好ましい実施例の基本的な動作を説明
するに有用な回路略線図である。 第9図は本発明の実施のための、等化な装置を示すブロ
ック線図である。 第10図は本発明を実施するための修正された装置を例示
するブロック線図である。 第11図は本発明に基づいて多重の特性動作が相互に連係
される方法を示す、一部をブロック略線とする図であ
る。 第12A図は第11図の装置の動作を理解するに有用な理想
化された圧縮器特性応答曲線である。 第12B図は第11図の装置の動作を理解するに有用なさら
に理想化された圧縮器特性応答曲線である。 第13図は、固定帯域素子と滑動帯域素子が相互に積み重
ねられた本発明の実施例であってそれぞれの素子が別個
の制御回路を有し、任意選択的な交差結合が一方の制御
回路の素子から他方の素子へ与えられているものの、一
部をブロック略線図とする図である。 第14図は第13図の実施例の修正例であって、一つの素子
の制御回路からもう一つの素子への結合にフィルタが含
まれる場合の図である。 第15図は第13図の実施例の修正例であって共通の制御回
路が二つの素子に与えられている場合の図である。 第16A図は第14図の実施例の修正例であって固定帯域素
子がその正規の静止レベルではないレベルにパークされ
る場合の図である。 第16B図は第14図の実施例の別の修正例であって固定帯
域素子がその正規の静止レベルでないレベルにパークさ
れており、また固定帯域コーナー周波数がその正規の静
止周波数にパークされている場合の図である。本図はま
た本発明の他の局面、すなわちジャイレータ疑似素子に
対する分路をも示す。 第17A図は第13図から第16図までの構成に示した形式の
回路の静止応答を示す、理想化された圧縮器特性応答曲
線である。 第17B図は第13図から第16図に示した形式の回路のしき
い値の少し上における応答を示す、理想化された圧縮器
特性応答曲線である。 第17C図は第13図ないし第16図の装置に示した回路の素
子しきい値のさらに高いレベルにおける応答を示す、理
想化された圧縮器特性応答曲線である。 第18図は本発明による高周波固定帯域段/滑動帯域段の
実施例の一部をブロック略線図とする図である。第19図
は本発明による低周波固定帯域段/滑動帯域段の実施例
を示す、一部をブロック略線図、とする図である。 第20図は第18図及び第19に関連して述べた形式の高周波
及び低周波段を使用する形式Iの二重路装置を示すブロ
ック線図である。 第21図は第18図及び第19図に関連して述べた形式の高周
波及び低周波段を使用する形式IIの二重路装置を示すブ
ロック線図である。 第22図は第18図及び第19図に関して述べた形式の高周波
回路及び低周波回路を使用した直列離調段を有するコン
パンダ・システムのブロック線図である。 第23図は第18図及び第19図に関して述べた高周波及び低
周波回路を使用する切り替え可能な圧縮器/伸張器の、
一部をブロック略線図とする図であって、切り替えを簡
単化するための二次主要路の使用を例示する図である。 第24図は第18図及び第19図に関して述べた高周波及び低
周波回路を使用する切り替え可能な圧縮器/伸張器の、
一部をブロック略線図とする図であって、切り替えを簡
単化するために第22図の装置の圧縮器部分と並列に反転
増幅器を使用することを示す図である。 第25図は第24図の動作を説明に有用な先行技術による切
り替え装置のブロック線図である。 第26図は第22図、第23図及び第24図の装置に関連した特
性圧縮応答曲線である。 126,156,200……滑動帯域素子 128,158,202……固定帯域素子 284〜288……高、中、低レベル圧縮器スタック 290〜294……高、中、低レベル伸張器スタック 340〜344……コンパンダ・システム
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.周波数帯域内で入力信号成分のダイナミックレンジ
を改変する回路であって、 複数の回路素子(14-20、30-36、38-44、58-62、66)に
して、 前記回路素子の数をnとするとき、各回路素子がt1
(s)、t2(s)・・・tn(s)で表される電圧伝達関
数を有し、該伝達関数は周波数に依存するか又はダイナ
ミックレンジを改変するか若しくは周波数に依存すると
共にダイナミックレンジを改変するものであり、 該回路素子の少なくとも1つが少なくともダイナミック
レンジを改変する伝達特性を有し、 該回路素子が少なくとも部分的に同一周波数及びレベル
内で作動する伝達特性を有する回路素子と、 該回路素子を相互接続する素子(22-28、46-56、64)に
して、電圧Vinで表される入力信号が印加されたとき、
出力電圧Voutが下式で表されるように設けられる相互接
続素子 とから成るダイナミックレンジ改変回路。 2.前記相互接続素子が前記回路素子(14-20)を相互
接続し、該回路の出力が該回路要素の個々の出力の有効
和でありかつ各回路要素への有効入力が前記入力信号及
び1以上の該他の回路要素の個々の出力又は基準電圧か
ら得られる差動信号であるようにする、請求項1の回
路。 3.前記回路素子(30-36)がそれぞれ3端子回路網と
して表され、各第1端子及び各第2端子が入力端子で、
各第3端子が出力端子であり、第2端子から第3端子へ
の伝達特性が第1端子から第3端子への伝達特性の補数
であり、該入力信号が該回路要素の各々の第1端子と結
合され、前記相互接続素子が配列された回路要素を相互
接続し、第1回路要素(30)が基準電位と結合され、各
回路要素(30-34)の第3端子が連続した回路要素(30-
36)の第2端子と結合され、該出力が最後の回路要素
(36)の第3端子から得られる、請求項1の回路。 4.前記相互接続素子が少なくとも1つの分岐を含む配
列された該回路要素を相互接続し、回路素子(58)の第
3端子が2以上の回路素子(60、62)の第2端子と結合
され、それが又それらの第3端子から得られる出力を有
するか又は1以上の回路要素(66)の第2端子と結合し
た第3端子を有するようにされる、請求項3の回路。 5.該回路は該入力信号のダイナミックレンジを圧縮す
るためのものであり、ダイナミックレンジを改変する伝
達特性を有する少なくとも2つの回路素子(126、128)
を備え、該ダイナミックレンジを改変する伝達特性がダ
イナミックレンジを低減させる特性であり、該回路が特
性作動置換を行い、 該回路を通した該入力信号の低レベル成分の伝送が最大
になるようにされる、請求項1乃至4のいずれか1つの
回路。 6.該回路は該入力信号のダイナミックレンジを伸長す
るためのものであり、ダイナミックレンジを改変する伝
達特性を有する少なくとも2つの回路素子(126、128)
を備え、該ダイナミックレンジを改変する伝達特性がダ
イナミックレンジを増大させる特性であり、該回路が特
性作動置換を行い、 該回路を通した該入力信号の低レベル成分の伝送が最小
になるようにされる、請求項1乃至4のいずれか1つの
回路。 7.ダイナミックレンジを改変する伝達特性を有する少
なくとも2つの回路素子(126、128)を備え、該ダイナ
ミックレンジを改変する伝達特性が、閾値を越えた各々
の回路要素の信号成分のレベル、スペクトル内容に応答
する、請求項1乃至6のいずれか1つの回路。 8.各々がダイナミックレンジを改変する伝達特性を有
する2つの回路素子(126、128)を備え、前記回路要素
の一方(126)が固定周波数帯域内でダイナミックレン
ジを改変させる固定帯域回路要素で、前記回路要素の他
方(128)が滑動周波数帯域内でダイナミックレンジを
改変させる滑動帯域回路要素である、請求項7の装置。
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US74496385A | 1985-06-17 | 1985-06-17 | |
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US5451949A (en) * | 1993-02-16 | 1995-09-19 | Dolby Laboratories Licensing Corporation | One-bit analog-to-digital converters and digital-to-analog converters using an adaptive filter having two regimes of operation |
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