JP3317966B2 - 民生用及び準職業用オーディオ・コンプレッサ、エクスパンダ、及び雑音低減回路 - Google Patents

民生用及び準職業用オーディオ・コンプレッサ、エクスパンダ、及び雑音低減回路

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  • Reduction Or Emphasis Of Bandwidth Of Signals (AREA)
  • Signal Processing Not Specific To The Method Of Recording And Reproducing (AREA)
  • Tone Control, Compression And Expansion, Limiting Amplitude (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、概して、オーディオ信号のダイナミック・
レンジを変更する回路構成、すなわち、ダイナミック・
レンジを圧縮するコンプレッサ、及びダイナミック・レ
ンジを伸長するエクスパンダに関する。
背景技術 I.概要 コンプレッサ及びエクスパンダは、通常、雑音低減の
目的で(コンパンダ・システムとして)組み合わせて使
用され、信号を伝送又は記録する前に圧縮し、受信又は
再生した後に伸長する。しかし、圧縮された信号が最終
目的に対して十分である場合には、伝送チャネルの容量
に適合させるためにダイナミック・レンジを下げるべく
コンプレッサを単独で用い、その後伸長を行わないこと
もある。加えて、或る種のオーディオ・プログラム、特
に、圧縮された放送又は記録信号を伝送又は記録するこ
とのみを企図するオーディオ・プログラムにおいては、
コンプレッサを単独で用いる。或る種のオーディオ・プ
ログラム、とりわけ、圧縮された放送又は記録済み信号
を受信又は再生することのみを企図するオーディオ・プ
ログラムにおいては、エクスパンダを単独で用いる。或
る種の製品においては、信号を記録する際にはエクスパ
ンダとして動作し、圧縮された放送又は記録済み信号を
再生する際にはコンプレッサとして動作する、切り替え
可能な形態の動作の単一の装置が形作られている。
II.適応性、最少処理原理 コンプレッサ、エクスパンダ、及びコンパンダ型の雑
音低減系で探し求め続けられた目標は、印加信号に対す
るコンプレッサ及びエクスパンダの適応性の問題であ
る。この目標を実現する設計思想は、1965年のA型雑音
低減方式に始まり、高品質の職業用への適応性のある信
号処理方式である近年のスペクトル記録(SR:Spectrl R
ecording)方式で最高潮に達する、レイ・M・ドルビー
(Ray M.Dolby)による一連の開発と洗練の成功への基
盤となった。
基本となるこの設計思想は、最近では「最少処理原理
(Least Treatment Principle)」と表現されている
が、[オーディオ・エンジニアリング協会誌、1987年3
月35巻3号の99ページから118ページ中のの100ページの
レイ・ドルビーによる論文、「スペクトル記録過程」
(“The Spectral Recording Process",by Ray Dolby,
J.Audio Eng.Soc.,35,No.3,1987 March,p.99−118 at p
age 100)]は、1965年10月11日にレイ・M・ドルビー
により出願されたイギリス特許第43136号中に述べられ
ている「正角等化(“conforml equalization")」の考
え方にその起源がある。最少処理原理によれば、最良の
信号処理方法とは最少の処理を行うことである。エンコ
ーダの動作の目標は、デコーダで相応する減衰を与える
ことを条件にして、信号の総ての周波数成分に対して固
定の所定の利得を与えることである。もし1つ又は2つ
以上の特定の周波数において大きな信号成分が現れるな
らば、複号化の過程中の信号復元に関し所定の圧縮法則
に従って、これらの周波数においてのみ利得を減衰させ
るべきである。言い換えれば、総ての周波数成分がコン
プレッサによって常に最大に増強される状態が保たれる
べきである。特定の周波数においてこの増強を抑制しな
ければならないとしたら、この効果をその他の周波数の
低レベル信号成分には及ぼしてはならない。
A.適応技法 上述のイギリス特許(レイ・M・ドルビーによりそれ
ぞれ1965年8月11日及び1966年1月18日に出願された別
の2つの特許、イギリス特許第34394号及び第02368号と
共に)と、これらから誘導された継続特許(アメリカ合
衆国特許第3,846,719号、及びアメリカ合衆国特許第3,9
03,485号を含む)とでは、幾つかの適応的信号処理技
法、とりわけ、今日「帯域分割(“bandsplittin
g")」、「固定帯域(“fxed band")、及び「移動帯域
(“sliding band")」として周知の技法が用いられて
いる。
レイ・M・ドルビーによる最近の特許、アメリカ合衆
国特許第4,736,433号、及び上述の論文、「スペクトル
記録過程」では、スペクトル変化に対して極めて応答性
が大きい、「作用置換(“action substitution)」と
して周知の、新型の圧縮及び伸長作用を指向している。
作用置換技法によれば、固定帯域及び帯域移動用回路素
子を共に用いることもできる独特の構成によって両回路
形式の最良の性能を引き出し、これらの回路をそれぞれ
単独に用いる場合よりも一層高度の適応性を成就してい
る。固定帯域、移動帯域、及び作用置換回路の動作の基
本的な原理については、以下に論じる。
1.旧型適応技法 a.帯域分割 帯域分割方法によると、スペクトルは、各帯域に独立
して作用が及ぶ、複数の周波数帯域に分割される。この
方法では、支配的な信号成分によって全スペクトルにわ
たる動的作用が及ぼされる広帯域法とは対照的に、支配
的な信号成分によって総合的なスペクトルの一部分内に
しか動的作用(圧縮及び伸長)が及ぼされない。したが
って、帯域分割方法系では広帯域法システムに比して一
層高度の適応性又は適合性が得られる。
理論的には、高度の適応性又は適合性を具える帯域分
割方法系は、総合的なスペクトルを極めて多くの周波数
帯域に分割することで得られる。しかし、このようなや
り方は、複雑さと費用の点で実用的ではない。その結
果、満足できる性能を具える合理的な周波数帯域分割の
数を選ぶことでの設計上の妥協が行われる。
商業的に成功を収めている周知の帯域分割コンパンダ
型雑音低減系、A型雑音低減系として周知の系では、4
つの周波数帯域の各帯域、すなわち、80Hz低域通過の帯
域1、80Hzから3kHzまでの帯域通過の帯域2、3.3kHz帯
域通過の帯域3、4.9kHz帯域通過の帯域4で動作する固
定帯域回路を用いている。A型雑音低減の基本的な素子
については、オーディオ・エンジニアリング協会誌1967
年10月の第15巻第4号383ページから388ページのレイ・
M・ドルビーによる論文、「オーディオ雑音低減システ
ム」(“An Auio Noise Reduction System",by Ray M.D
olby,J.Adio Eng.Soc.,October 1967,Vol.15,No.4,pp.8
3−388)中に叙述されている。更に最近の商業的に成功
を収めている周知の帯域分割コンパンダ型雑音低減系、
上述のスペクトル記録として周知の系では、800Hzで緩
やかに重複する、低域周波数帯域と高域周波数帯域との
2つの周波数帯域を用いている。各帯域では固定帯域・
移動帯域作用置換回路が動作する。スペクトル記録につ
いてはより詳細に以下で述べる。A型雑音低減系及びSR
系の種々の形式の製品(エンコーダ、デコーダ、及びエ
ンコーダ・デコーダ)が、ドルビー・ラボラトリーズ
(Dolby Laboratories)社により製造され、販売されて
いる。
b.移動帯域 適応性又は順応性を増大させる目標へ向けての有用な
研究手段は、滑動帯域、即ち、移動帯域(可変フィル
タ)技術である。同技術は、限定を達成するために信号
依存可変濾波を用いる。概して、優勢信号成分が、1つ
又はそれ以上の可変フィルタ(例えば、広域濾波、低域
濾波、棚状、ノッチ等)の遮断又はターンオーバ周波数
を移し換えて優勢信号成分を圧縮又は伸長させるように
する。
単一高周波帯域のみで作動する移動帯域システムが、
米国特許第Re28,426号及び米国特許第4,490,691号に記
載される。このシステムは、B型雑音低減(NR)として
知られる周知の消費者コンパンディング(圧縮伸長)型
オーディオ雑音低減システムの基礎をなし、2重路配列
(2重路は以下に記載される)の形で可変フィルタと直
列の固定された高周波濾波フィルタを有する側路を含
む。高周波数において約10dBに及ぶ総合動的効果が得ら
れる。
2倍にも及ぶ動的効果を発揮するシステム、C型雑音
低減システムとして周知のシステムについては、オーデ
ィオ・エンジニアリング協会誌1983年3月の第31巻第3
号98ページから113ページのレイ・M・ドルビーによる
論文、「民生用の20dBオーディオ雑音低減システム」
(“A 20dB Audio Noise Reduction System for Consum
er Applications",by Ray M.Dolby,J.Adio Eng.Soc.,Ma
rch 1983,Vol.31,No.3,pp.98113)中に叙述されてい
る。C型雑音低減システムの1つの局面に関しては、上
述のレイ・M・ドルビーのアメリカ合衆国特許第4,490,
691号中でも説明されている。C型雑音低減システムに
は、2つのエクスパンダとコンプレッサの従属接続の構
成が具えられており、圧縮及び伸長の総合的な最大比率
を目立って増加させることなく総合的な動的作用を増大
させるように、それぞれのエクスパンダとコンプレッサ
の動的作用が食い違いにされる。
C型雑音低減では、後に述べるスペクトル非対称化
(spectral skewing)と呼ばれる技法を用いて、一定の
条件の下でのエクスパンダ・コンプレッサの追随誤差に
対する感度を下げる。これについても下に述べるが、更
に開発された飽和防止によって、媒体の周波数依存性の
過負荷の傾向を減少させることで、取扱い可能な有効信
号レベルを増大させる。スペクトル非対称化及び飽和防
止もまた、後に更に述べるスペクトル記録(SR)系にお
いて用いられている。
移動帯域構成の1つの短所は、支配的な高域信号成分
が存在する際に、可変フィルタの転換周波数がこの高域
信号成分より上の周波数に移動することによって雑音低
減が得られる低域周波数の周波数領域が制約されること
である。この雑音低減の減少は帯域分割方法系に比して
聴感上一層感知され易く、移動帯域系において不可避の
逓倍効果が起因して、これに関連する副作用(雑音変調
及び信号変調)が固定帯域構成に比して一層厳しいもの
となる。
この逓倍効果は、移動帯域系で圧縮が行われる方法に
よって生じる。もし、例えば、支配的な高域信号があ
り、その周波数において2dBの利得低下が要求されるな
らば、可変フィルタの遮断周波数をフィルタの傾斜に沿
ってこの減衰量が得られる程度まで移動させなければな
らない。しかし、低域周波数に関してはこの新しい遮断
周波数から外れて、この効果が例えば、聴取可能な信号
又は雑音変調を伴う結果、雑音低減効果の総て若しくは
大部分を失って、5dB乃至10dBの動的効果となり得る。
言い換えると、この例において、支配的な信号での2dB
の変化によって、この支配的信号から外れる周波数では
5dB乃至10dBの変化を生じ得る。第1図は、この効果を
示す理想化されたコンプレッサの周波数応答曲線であ
る。(当明細書全体を通して、種々の図面に示されてい
る周波数応答曲線はコンプレッサに関するものであり、
それぞれのエクスパンダ周波数応答曲線はこれらのコン
プレッサ周波数応答曲線に対して相補的なものであると
して理解される)。
極く希にある条件下では、非常に高い周波数の支配的
信号成分(例えばシンバルの音)によって移動帯域フィ
ルタが制御されると、もしエクスパンダが適正にコンプ
レッサに追随しなければ、同時に存在する中音帯域の非
支配的信号成分に聴取可能な変調を生じることがある。
(相補的雑音低減系においては、エンコーダで発生され
る制御信号がデコーダで正確に再現さなければならな
い)。この効果は、「中音帯域変調効果(“mid−band
moulation effect")」と呼ばれる。後に述べるこの問
題を解決する1つの方法、スペクトル非対称化について
は、前述のアメリカ合衆国特許第4,490,691号中で説明
されている。
c.固定帯域 固定帯域配列では、優勢信号成分に応答して当該周波
数帯域(広帯域又は帯域分割システムの1周波数帯域で
あろうとなかろうと)全体に亘って同一量の利得低減が
起こる。固定帯域要素は、米国特許第4,498,055号で論
じられているように、可変利得又は可変損失装置として
構成される。従って、信号又は雑音変調が起こり得る
が、一方では作用効果が増大されることはない。即ち、
優勢信号成分の2dBのレベル変化は、同成分から離れた
周波数における2dB以上の変化を惹き起こすことはな
い。しかし、雑音低減効果の観点から見ると、これは固
定帯域の配列の欠点である。即ち、優勢信号に成分に応
答して限定が起こるとき作動周波数帯域以内のあらゆる
場所において十分な雑音低減効果は得られない。図2
は、この効果を例示する理想化された圧縮器特性応答で
ある。それが増大されることはないが、固定帯域作用が
起こる全周波数帯域全体を通して雑音及び信号変調の潜
在的可能性が存在する。
2.作用置換 a.固定帯域と移動帯域との組み合わせ 上記欠点にもかかわらず、移動帯域配列の利点は、優
勢信号成分より上方の周波数において(周波数と共に下
降する移動帯域システムの場合には優勢信号より下方に
おいて)十分な雑音低減効果が得られることである。従
って、固定帯域及び移動帯域システムのそれぞれの欠点
(例えば、固定帯域の欠点は、増倍されないがその作動
範囲全体に亘る雑音及び信号変調であり、移動帯域の欠
点は中間帯域変調効果である)なしに固定帯域及び移動
帯域システムの利点(例えば、固定帯域の利点は変調作
用の増倍がなく、また、移動帯域の利点は優勢信号周波
数より上方では信号又は雑音変調が最少になることであ
る。)を達成させる配列が望ましい。上記作用置換技術
は、移動帯域及び固定帯域の各利点のこのような組合せ
を可能にするものである。
b.作用置換の原理 作用置換は、レイ・M・ドルビーによるアメリカ合衆
国特許第4,736,433号の主題であるが、支配的信号成分
が現れ、隠された特性が露呈して作用を及ぼすまで、複
数の圧縮・伸長・等化特性を、これらの1つ又は2つ以
上が隠蔽されるように相互に重畳又は合成する、コンプ
レッサ、エクスパンダ及びコンパンダ型雑音低減を構成
することによって、正角等化の理想系を一層緊密に得る
ことができるという認識に基盤を置いている。かくし
て、作用置換技法により、以前の回路構成よりも一層効
果的な適応的等化を提供するために、潜在特性の1つま
たは2つ以上を隠蔽している定義を決定する休止特性が
改変され、潜在特性が支配的信号成分に応答して発現す
るようになる。
この特性の現出を、入力信号成分のレベル及びスペク
トル内容が変化する時に同一の周波数とレベル領域で動
作する能力を持つ1つ又は2つ以上の別の特性作用で1
つの特性(又は2つ以上の特性)から生じる作用を置換
するという点から、「作用置換」と呼ぶことができる。
この置換は、非支配的信号成分に関しては、変換がコン
プレッサで最大化され、エクスパンダで最少化されるよ
うな形で行われることが望ましい。
作用置換を用いるコンプレッサ、エクスパンダ及びコ
ンパンダ型雑音低減システムは、支配的信号成分と非支
配的信号成分とを弁別し、動的作用を支配的信号成分に
対してのみに制限する能力を有する。支配的信号成分が
ある時以外には一定の増幅を維持する雑音低減エンコー
ダ(コンプレッサ)を備えることにより、雑音低減デコ
ーダ(エクスパンダ)では非常に安定な雑音基盤を持つ
ことになるが、これは高品質の雑音低減系にとっては重
要なことである。
作用置換は、概して各種の動的及び受動的特性を有す
る要素の組合せに適用され得るが、実際的に非常に有用
な特性の組合せは、固定帯域動的特性及び移動帯域動的
特性を積重ねること、即ち、特性の重畳である。従っ
て、実質的に同一周波数範囲(広帯域又は規定帯域)及
びレベル範囲において固定帯域動的特性及び移動帯域動
的特性が重畳されるならば、重畳された組合せの静特性
は、2つの静特性が同一なので、それぞれ1方のみを取
った静特性と同一であるように見える。それらの周波数
範囲内で優勢信号成分が現れると、各特性が反応する。
即ち、固定帯域特性は、それが単独で行うのと同様に周
波数範囲に亘って一様にレベルが低下し、移動帯域特性
もまた、それが単独で行うのと同様に移動する。
移動帯域及び固定帯域作用はもはや単独ではなく、そ
れぞれが或る程度まで互いに作用する。これらの変化が
起こると、静止状態では(図5A)1つの特性のように見
えた2つの特性が現れる。即ち、優勢信号周波数より上
方(又は移動帯域が上方向又は下方向周波数のいずれに
作用するかに依存して下方)の移動帯域特性としての特
性と、優勢信号周波数より下方(又は上方)の固定帯域
特性としての特性との組合わされた特性が現れる。
図5Bは移動帯域が優勢信号の上方にある例を示し、図
5Cは移動帯域が優勢信号の下方にある例を示す。優勢信
号の周波数において分割される2過程の作動が現され
る。従って、移動帯域特性がむき出しにしていた領域
が、事実上底レベル又は基礎レベルを与える固定帯域特
性によって補足される。換言すると、優勢信号に応答し
て作用置換がなされる。
作用置換配列はこのように固定帯域及び移動帯域配列
双方の利点を得ると同時にそれらの欠点を回避する。即
ち、移動帯域特性が作動する優勢信号より上方(又は下
方)では最大雑音低減効果及び最小変調効果が得られ、
同時に固定帯域特性の存在によって優勢信号より下方
(又は上方)では雑音低減及び中間帯域変調効果の損失
が避けられる。従って、移動帯域特性が単独で作動する
ならば起こるような、優勢信号より下方(又は上方)で
は増倍効果はなく、同時に優勢信号より上方(又は下
方)では移動帯域特性の利点が得られる。
III.雑音低減系についてのその他の基本的概念 A.相補性 支配的信号成分は、対象となる周波数帯域内で動的作
用を及ぼすに実質的に十分なレベルを有する信号成分で
ある。複合的な信号状態では、支配的信号成分、又は支
配的信号成分及び副次的支配的信号成分が2つ以上存在
することもある。コンプレッサ及びエクスパンダが相補
性に依存するコンパンダ・システムにおいては、支配的
信号成分(及び動的作用によって影響されたその他の信
号)を含めて総ての信号スペクトルをエクスパンダ中で
の正しいレベルに復元するために、総ての信号成分は所
定の圧縮・伸長法則に従って圧縮、伸長されなければな
らない。この要求により、コンパンダ・システムにおい
て有用であるとして周知の、種々の適応的追随型フィル
タ技法、及びいわゆる「シングル・エンド」雑音低減シ
ステム(再生信号についてのみ動作する)は、フィルタ
作用が所定の圧縮・伸長法則の影響下になく、多重信号
が存在する際にはその作用が予測できないので有用では
ない。
支配的信号成分を含めて総ての信号スペクトルをエク
スパンダ中での正しいレベルに復元するためには、エク
スパンダの特性がコンプレッサの特性と整合していなけ
ればならない。これは、例えば、コンプレッサを高利得
増幅器の帰還ループ中に配置してエクスパンダを製作す
ることにより達成される。しかし、エクスパンダをコン
プレッサと正確に整合させるには、エクスパンダに入力
される信号がコンプレッサから出力される信号と同一で
なければならない。この要求は、エクスパンダ入力とコ
ンプレッサ出力とが、例えば、短い線材で接続されるの
であれば容易に満足されるが、周波数及びレベルに依存
する制限及び誤差を有する実際上の媒体がエクスパンダ
とコンプレッサとの間に介在すると一層難しくなる。媒
体での誤差は、エクスパンダとコンプレッサとの間の周
波数及びレベルに依存する追随誤差によって形成され、
雑音低減系はこの誤差を許容するように設計される他は
ない。
A型、B型、及びC型雑音低減では総て、コンプレッ
サの入力に配置される単純な帯域制限フィルタを用い
て、媒体の最高伝送周波数より上の周波数における入力
信号によって生じる追随誤差を低減している。もう1つ
の雑音低減システム、dbx II(登録商標)では上記の
フィルタの代わりに、入力に配置される帯域幅制限フィ
ルタを備えて回路を制御している。単独又は帯域幅制限
フィルタと共に用いられるスペクトル非対称化では、媒
体での誤差によって生じる誤差が著しく低減される。
1.スペクトル非対称化 スペクトル非対称化は、米国特許第4,490,691号に十
分に記載されているので、ここでは簡単に記載される。
スペクトル非対称化は、オーディオスペクトルの極限に
向かう周波数において雑音低減回路の雑音低減効果を低
下させることによって、トラッキング(追従)誤差を生
じさせる媒体における誤差の可能性を低減させる。その
ような周波数において低レベル雑音に対する耳の感度が
低下するので、可聴な雑音低減効果を増加させることな
くこの雑音低減効果は断念され得る。
スペクトル非対称化の伝統的実施形態では、圧縮器は
オーディオ周波数帯域、例えば、約10kHz以上及び約50H
z以下の極限に近い周波数における信号を鋭く減衰させ
る回路に続く。これは、圧縮器に入るそのような信号の
レベルを低下させ、従って、オーディオ帯域の中間周波
数における信号の寄与に関して当該信号の圧縮器制御信
号への寄与を低減させる。従って、圧縮器の作用は、主
として中間周波数信号によって制御される。
圧縮器のスペクトル非対称化回路によって具体化され
る周波数応答は、伸長器に入る信号内になお存在する。
従って、伸長器の作用も同様に主として中間帯域信号に
より制御される。圧縮器及び伸長器の動的作用は、誤差
をより受けにくい信号によって制御されるのでトラッキ
ングは改良される。伸長器の出力に配置されるスペクト
ル反非対称化回路は、信号の原周波数応答を復帰させ、
その結果、媒体の雑音レベルを増幅させる。しかし、低
レベル雑音に対して耳の感度が低くなる周波数において
のみ雑音レペルが増加するので、総合的可聴雑音レベル
を増加させることなく意味のあるスペクトル非対称化効
果が得られ得る。
スペクトル非対称化の更なる長所は、オーディオ周波
数帯域の極限に近い周波数での信号が媒体に対して現れ
るレベルがスペクトル非対称化によって下げられるの
で、媒体中のレベル依存性の誤差(例えば、テープの飽
和)によって引き起こされる追随誤差の可能性が低減さ
れることである。多くの媒体において、レベル依存性の
誤差が生じるレベルはオーディオ周波数帯域の極限の片
側若しくは両側に向けて下がるので、これは重要な長所
である。
a.スペクトル非対称化の短所 スペクトル非対称化は、雑音低減系に対する信号条件
整備の付帯的機能と見なすことができる。スペクトル非
対称化によって、コンプレッサ及びエクスパンダが動作
する信号の平衡状態が変化するが、それにも拘らず雑音
低減回路が動作する方法自体には何の影響をも与えな
い。更に詳しく言うと、たとえオーディオ周波数帯域の
極限に近い周波数でこの組み合わせの雑音低減効果が低
減されても、雑音低減回路自体によって作り出される雑
音低減効果の量がスペクトル非対称化により低減される
ことはない。かくして、このような周波数において、雑
音低減回路の圧縮率の尖頭値若しくは平均値がスペクト
ル非対称化により下がることはない。媒体における所定
の誤差によって生じる追随不良の量がそれによって減少
することになるので、低めの圧縮率が望ましい。
スペクトル非対称化が動作する周波数において、動的
作用が開始、終了する入力レベルがスペクトル非対称化
によって上昇させられることも、スペクトル非対称化の
更なる短所である。これは、スペクトル非対称化を行わ
ないことと比較して、媒体におけるレベル依存性誤差を
生じる信号レベルにおいて、コンプレッサによって顕著
な圧縮(したがって、誤差の逓倍効果も)が与えられる
可能性が高くなることを意味する。この効果は、媒体に
与える信号レベルを減少させることによってのみ改善さ
れる。
結局、コンプレッサに対して実際に加えることのでき
るスペクトル非対称化の量は、エクスパンダへのスペク
トル非対称化回復の必要量によって制約される。もしコ
ンプレッサでのスペクトル非対称化回路によって非常に
大きな量の減衰が加えられるならば、平坦な総合的周波
数応答特性を復元するために、位相変位及び雑音を伴う
非常に大きな量の増幅がエクスパンダには必要である。
かくして、実際のスペクトル非対称化回路には棚型若し
くは谷型特性が具わることになり、これによってその効
果が制限される。
2.飽和防止 飽和防止、即ち、反飽和は、米国特許第4,490,691号
に十分に記載され、従って、ここでは簡単に述べるに止
める。反飽和は、媒体のレベル依存誤差により生じるミ
ストラッキングを防止するさらなる方法である。それ
は、圧縮器において媒体に示される信号レベルを低減さ
せ、こうして媒体過負荷が起こる入力信号レベルを増加
させるように作動する。反飽和回路は、2重回路の主路
に配置され、こうして高レベルにおいてのみ圧縮器の周
波数応答を変化させる。これは、あらゆるレベルにおい
て同一量だけ周波数応答を変化させる慣習的スペクトル
非対称化とは対照的である。主路のみに配置される反飽
和回路は、圧縮制御回路に関して影響を与えない。しか
し、それは、側路信号に関して主路信号の振幅を低減さ
せるために、圧縮比は低減させる。最後に、相補的反飽
和回路は、平坦な総合周波数応答を復帰させるために伸
長器の主路には必要である。
B.2重通路 2重路配列では、本質的に動的作用のない主路及び動
的作用を有する1つ又はそれ以上の2次的又は側路を用
いて圧縮又は伸長特性が達成される。側路は、その入力
を主路の入力又は出力から取り、圧縮又は伸長を与える
ためにその出力が主路と加算的若しくは減算的に結合さ
れる。概して、側路はある種の限定又は可変減衰を与
え、それが主路と接続される方法で、主路信号成分を増
幅(圧縮するために)するか若しくは減衰(伸長するた
めに)するかが決められる。このような2重路配列は、
米国特許第3,846,719号、3,903,485号、4,490,691号、
4,736,433号、4,922,535号及びRe28,426号に詳述され
る。固定帯域、移動帯域及び作用置換回路は、2重路又
は単一路配列として実施され得るが、一定の利点を有す
る2重路実施形態が望ましい。
C.I型及びII型の構成 コンプレッサ、エクスパンダ、コンパンダ、及び雑音
低減コンパンダを作り出す際に、2重通路構成又は単一
通路構成として実現される固定帯域、移動帯域、及び作
用置換回路をブロック構成として用いることもできる。
例えば、第3図及び第4図に示すように、これらの回路
を2重通路構成における副通路として用いることができ
る。
第3図では、固定帯域、移動帯域、及び作用置換回路
2と主通路3とに対して入力信号を中で印加するコンプ
レッサ1を具える、I型2重通路構成(アメリカ合衆国
特許第3,846,719号中で大まかに叙述されている形式
の)が示されている。ここで回路2の出力は合計装置4
中で主通路信号成分と合計されて、伝送チャネルに印加
するためのコンプレッサ出力が与えられる。かくして、
コンプレッサ作用が生じる主通路信号成分が副通路信号
成分によって増強される。伝送チャネル出力は、コンプ
レッサ1に対する相補的な形に形成されていて、伝送チ
ャネル出力を受け取り、固定帯域、移動帯域、及び作用
置換回路2の出力を減算する入力合計装置を具えるエク
スパンダ5に対して印加される。かくして、エクスパン
ダ作用を生じる主通路信号成分が副通路信号成分によっ
て拡張される。
第4図では、固定帯域、移動帯域、及び作用置換回路
2と主通路3の入力及び出力信号を受け取る入力合計装
置4を有するコンプレッサ6を具える、II型2重通路構
成(アメリカ合衆国特許第3,903,485号中で大まかに叙
述されている形式の)が示されている。入力合計装置4
によって、伝送チャネルに対するコンプレッサの出力
と、コンプレッサの回路2に対する入力とが与えられ
る。かくして、副通路信号成分によって、コンプレッサ
作用が生じる主通路信号成分が増強(加算的に組み合わ
せ)される。この伝送チャネル出力は、コンプレッサ6
に対して相補的に形作られているエクスパンダ7に印加
される。この入力信号は、固定帯域、移動帯域、及び作
用置換回路2と主通路3とに対して印加される。ここ
で、回路2の出力は、合計装置4中で主通路信号成分か
ら減算されて、エクスパンダ出力が与えられる。かくし
て、エクスパンダ作用を生じる主通路信号成分が副通路
信号成分によって拡張(減算的に組み合わせ)される。
第3図及び第4図において、各コンプレッサ及びエク
スパンダの主通路はダイナミック・レンジに関して線形
であり、副通路回路出力のレベルは主通路の最大レベル
よりも小さい。当明細書の図全般における伝送チャネル
には、総ての形式の記憶又は伝送媒体を含めることがで
き、また、コンプレッサからのアナログ信号成分を別の
形態(例えば、ディジタル)に変換又は符号化するため
の装置と、この符号化信号の記憶又は伝送と、この符号
化信号を元のアナログ信号成分に再変換又は複号化する
ための装置を含めることもできる。
D.変調制御 上述のA型、B型、及びC型システム、及び以下に述
べるSRシステムにおいて、電界効果型トタンジスタ(FE
T)のソースとドレイン間の通路が電圧制御型可変抵抗
器(固定帯域回路においては可変減衰器の可変素子を形
成し、移動帯域回路においては可変フィルタの可変素子
を形成)として用いられている。入力信号から誘導され
る直流制御電圧は、FETのゲートに印加される。この派
生物として、望ましい動的作用を達成するのに必要な、
整流、平滑、及び制御電圧振幅の調整が含まれる。制御
電圧が増大するにつれて、固定帯域回路においては減衰
を増加させ、移動帯域回路においてはフィルタの境界周
波数を休止状態から遠くへ離すように移動させることに
よって制限の度合いを増加させる。
A型、B型、及びその他の周知のコンパンダのシステ
ムでの制御回路構成の1つの短所は、直流制御電圧が、
制御回路に達する通過帯域信号と阻止帯域信号との線形
加算組み合わせから形成されることである。移動帯域シ
ステムにおける固定帯域回路の場合、通過帯域は特定の
回路が動作する周波数帯域であり、阻止帯域はこのシス
テムで取り扱われる信号スペクトルの残りである。移動
帯域回路の場合、通過帯域は可変フィルタの通過帯域内
の周波数帯域であり、阻止帯域はこの通過帯域の外側の
周波数帯域である。理想的な回路において、圧縮と伸長
は、固定帯域の通過帯域又は移動帯域の通過帯域の外側
の信号(休止状態にあろうとなかろうと)のレベルによ
って影響されてはならない。この問題については、アメ
リカ合衆国特許第4,498,055号,及びアメリカ合衆国特
許第4,922,535号中で説明されている。
アメリカ合衆国特許第4,498,055号,及びアメリカ合
衆国特許第4,922,535号中で示唆されていることによれ
ば、直流制御信号の形成は、入力のレベルが増大するに
つれて直流制御信号の阻止帯域成分に対する感度が下が
るように、レベル依存的方法で変化させられる。実施例
においては、これは変調制御信号と呼ばれる信号と制御
信号とを逆にする(減算的に組み合わせる)ことで達成
されている。固定帯域回路の場合、この制御信号によっ
て、利得変化が、支配的な制御信号が基準レベル以上に
増強されない(圧縮の場合)ことを保証するために必要
である以上にはならないことが保証される。移動帯域回
路の場合、この制御信号によって、可変フィルタの周波
数移動の量が、支配的な制御信号が基準レベル以上に増
強されない(圧縮の場合)ことを保証するために必要で
ある以上にはならないことが保証される。
E.オーバシュート 急激に変化する波形を(オーバシュートを最小化すべ
く)処理する能力と信号変調及び雑音変調を最小化する
要望との平衡を取る必要があることが、コンパンダ形式
の雑音低減系の基本的な設計上の対立点となる。コンプ
レッサ(又はエクスパンダ)の入力信号の急激な振幅変
化に応答する能力は、立上がり時間、又は装置が入力振
幅変化に応答して利得を変化させる(若しくは、フィル
タの境界周波数を変化させる)のに必要な時間に直接の
関係がある。立上がり時間が長いと変調ひずみが減る傾
向となる。装置が利得、若しくは、フィルタの境界周波
数を変化させることのできる以上に急激な入力信号の振
幅変化が(制御回路の遅れによって)生じると、オーバ
シュートが生じる。例えば、もし、コンプレッサが(或
る安定状態の入力条件によって)2倍の利得を持ち、こ
のコンプレッサの圧縮法則に従って望ましい利得を提供
すべく利得を下げることができないような振幅に突然入
力信号が倍増したとすると、入力信号の振幅の跳躍の度
合いと急峻さによっては、出力信号が望ましい振幅を超
え、装置の望ましい出力を超える可能性もある。かかる
出力の増加をオーバシュートと呼ぶ。
オーバシュートは、通常、圧縮の度合いに等しい値の
最大振幅を有する。このオーバシュートは、入力信号が
適切に変化するか、若しくは、もし入力信号が新しい高
レベルに止まるならば、コンプレッサ利得をコンプレッ
サの圧縮法則によって指示される利得に下げるように制
御回路の時間遅れが追い付くまで続く。オーバシュート
は、コンプレッサからの出力を取り扱うチャネル又は装
置を過負荷にすることがあり得るので、望ましくない。
職業用SRシステム、及び初期のA型、B型、及びC型
システムにおけるオーバシュート抑制技法の議論につい
ては、上述のアメリカ合衆国特許第4,922,535号中で説
明されている。
IV.職業用スペクトル記録(SR) A型の雑音低減の創始者が1986年に改良型オーディオ
信号処理システム、職業用のスペクトル記録(SR)を紹
介し、販売を開始した。この職業用のSRシステムは、そ
の後継システム及び広範に用いられているA型の雑音低
減と同様に、今や成功裡に商業化されている公知の職業
用のシステムとなっている。
スペクトル録音システムでは、それぞれ各副段で作動
する固定帯域及び移動帯域回路の特性作用を共働作用的
に結合する作用置換技術の実施形態によって動的作用が
与えられる。作用置換技術と、800Hzのクロスオーバ周
波数上下の広い作用重複を可能にする単極フィルタとを
用いることで、事実上オーディオ周波数帯域のあらゆる
場所の信号に高度に適合する総合的な動的作用を与え
る。言い換えると、広範に重複する周波数帯域で作動す
る固定帯域及び移動帯域要索の作用置換に基づいて、SR
符号化作用は高度に周波数選択的かつ適応的に構成され
る。総合効果は、本質的に可変幅及び可変的に位置付け
られる周波数帯域の効果、即ち、信号のレベル及び周波
数内容の双方に順応する殆ど無限に化変的な特性であ
る。
スペクトル記録系において得られる動的作用によっ
て、上述した最小処理の法則が実現される。かくして、
エンコーダのコンプレッサ作用によって、総ての信号成
分が最大に増大された状態に保たれる。特定の周波数に
おいてこの増大を削減しなければならない時には、他の
周波数での低レベルの信号成分についての効果は最少化
される。この形式の圧縮の聴感上の効果は、信号は増強
され、輝いて聞こえるが、目立った動的圧縮効果を感じ
ないことである。耳では、主として、1つの周波数での
信号成分が他の周波数での信号成分上で幾分取り除かれ
ることによる利得変化の効果によって、動的作用が検出
される。もし圧縮信号における動的作用を耳で検出でき
ないならば、1)複号された信号において雑音変調効果
が画然となる可能性は低く、2)もし記録若しくは伝送
チャネルで利得又は周波数特性の誤差があったとして
も、複号された信号において信号変調効果が画然となる
可能性は低い。
上述の職業用のスペクトル記録系については、1987年
3月のオーディオ技術協会誌第35巻第3号99ページから
118ページまでのレイ・ドルビーによる論文、「スペク
トル記録過程」(“The Spectral Recording Prcess",b
y Ray Dolby,J.Audio Eng.Soc.,Vol.35,No.3,March 198
7,pp.99−118)中に叙述されている。スペクトル記録系
の諸局面については、総てドルビーの特許である、アメ
リカ合衆国特許第4,490,691号、アメリカ合衆国特許第
4,498,055号、アメリカ合衆国特許第4,736,433号、及び
アメリカ合衆国特許第4,922,535号中で説明されてい
る。
スペクトル記録は、M・ドルビー及びドルビー・ラボ
ラトリーズによって創始された先行のA型、B型、及び
C型のシステムと或る基本的な技法を分けあっている。
例えば、これらは総て、主信号通路が主として高レベル
の信号の伝達を受け持ち、系に対して独自の特性を具え
る側路信号が符号化状態では加算的に、複号化状態では
減算的に主信号に組み合わされることによって、総合的
な相補的作用が得られる、相補的2重通路系である。
スペクトル記録では、M・ドルビーによるアメリカ合
衆国特許第4,490,691号中で示唆されているように、動
的作用の食い違い状になった地域と共に多段直列構成が
用いられている。高レベル及び中レベル段は、800Hzの
クロスオーバ周波数を有する高域周波数用と低域周波数
用の両方の副次段を具えている。低レベル段は、800Hz
の高域通過特性を有する高域周波数用の副次段のみを具
えている。スペクトル記録エンコーダでは、各段の出力
が主信号通路と組み合わされる時に、低域周波数で約16
dB、高域周波数で約24dBまでの総合的動的効果が得られ
るように、各段は約8dBの低レベル利得を具えている。
このスペクトル記録エンコーダには、相反特性が具えら
れている。
職業用のスペクトル記録系では、上述したように、レ
ベル依存性の低域周波数用と高域周波数用の飽和防止が
用いられており、これによって、符号化された信号にお
いて、雑音に対して耳が鈍感になる周波数極限において
スペクトル記録符号化信号を記録又は伝送する媒体の飽
和の可能性を下げるために、信号レベルが増大するにつ
れて低域周波数と高域周波数の区域で増加する緩やかな
ロールオフが与えられる。
スペクトル記録系では、これもまた上述したように、
低域周波数及び高域周波数のスペクトル非対称化、すな
わち、記録又は伝送媒体の低域周波数と高域周波数の極
限区域でのあらゆる不確実性を減らために主としてスペ
クトル記録デコーダの脆弱性を減らすことを目的とし
て、符号化信号の低域周波数及び高域周波数極限におい
て急峻で深く減少する方法を用いる。
スペクトル記録系では、飽和防止とスペクトル非対称
化の両方とも相補的であり、デコーダには逆飽和防止と
逆スペクトル非対称化が具えられる。基本的な飽和防止
とスペクトル非対称化の技法は、前記のアメリカ合衆国
特許第4,490,691号中に示唆されている。
職業用のスペクトル記録系でもまた、上述したような
変調制御と呼ばれる技法を用いて、不必要な信号成分の
あらゆる変調への抵抗力を持たせることで固定及び移動
帯域の両方の性能を改善している。
V.民生用スペクトル記録(S型) A.基本的な要求 ダイナミック・レンジの改良、少ない雑音変調、過渡
応答の改良、符号化・複号化周波数及びレベルについて
の誤差の改良、及び低域周波数と高域周波数での飽和の
大幅な削減といった、スペクトル記録の諸利点を民生用
及び準職業用の記録及び伝送系に導入することが望まし
い。不都合なことに、職業用のSRシステムは、とりわけ
低域周波数用の回路が複雑であり、これらの製品を民生
用又は準職業用に用いるには費用と複雑さの点で適しな
い。これに加えて、職業用のSRシステムは、職業用の記
録系で動作するように設計されており、民生用又は準職
業用の機器のダイナミック・レンジよりも実質的に広い
ダイナミック・レンジを具えている。
B.両立性についての要求 スペクトル記録の主要な技法と長所を実現する民生用
及び準職業用の雑音低減システムでは、広く普及してい
るB型雑音低減システムとの両立性を具えていなければ
ならない。カセット・テープの製造者は「単一種類の在
庫」(例えば、特定の記録済みカセットの複製の総てを
B型で符号化すること)で記録済みカセットを発売する
ことを強く望んでいることが、かかるカセット両立性を
具えていなければならないことの1つの重要な理由とな
る。その結果、スペクトル記録の基本的要素を実現する
新型の民生用のシステムでは、B型デコーダのみを具え
るシステム、更に、雑音低減を具えていないシステムで
も満足な再生を行えなければならない。
オーディオ信号処理系の両立性の問題については、ア
メリカ合衆国特許第4,815,068号中で論考されている。
この特許の明細書によると、視聴試験によって、システ
ムの両立性の問題に関する聴感上の効果は以下の項目で
特徴付けられることが分かったとしている。すなわち、
これらの項目は、(1)画然とした安定状態効果、すな
わち、例えば低域周波数又は高域周波数での強調(例え
ばスペクトル不平衡)のような再生信号の周波数内容の
変化と、(2)周波数スペクトルの一部における信号及
び雑音がスペクトルの別の部分の信号のレベルによって
レベル的に変化する、普通「ポンピング」と呼ばれる、
動的効果とである。聴感上これらの効果を許容できる程
度は、レベルに依存しているが、一般的に、高いレベル
では許容し難いものとなる。
再生信号におけるかかる不安定さは安定状態効果より
も一層聴取者に感知され易いので、動的効果を除去する
か、若しくは最小化することが望ましい。安定状態効果
では、耳を引き付ける音の変化がないので、殆どの聴取
者に気付かれる可能性は低い。安定状態効果では、鋭敏
な聴取者さえも、収録時の差異によるものであるかのよ
うに思われる。勿論、完全に相補的な符号化・複号化
「両立性」構成と部分的に相補的な符号化・複号化「両
立性」構成との間で直接的なA/B比較を行えば、再生信
号における若干の差異が露呈するであろう。しかし、実
際の状況では、かかる比較はできず、聴取可能なきっか
けは再生信号自体の中にしかない。
動的安定性が達成されず、主要な信号がある時に低レ
ベル動的効果がある場合には、主観的に最も不愉快な聴
取可能な効果は、かかる低レベル動的効果に悩まされる
再生信号成分中の過剰よりも、むしろ、信号の不全に起
因する効果であることが分かっている。かかる不全はし
ばしば「信号息継ぎ(“signal suck−out")」効果と
呼ばれる。かかる条件下では、低レベル信号を聴取可能
なレベルから聴取不能なレベルへとレベル的に下げる、
レベル変動又はポンピングがとりわけ聴感上聞き辛いも
のとなる。
かくして、もし信号が複号化される際に、エンコーダ
によって、各周波数において少なくとも十分な若しくは
余分な信号が供給されるならば、聴感上満足なものとな
る。この法則は、信号充足又は信号剰余の法則(the Pr
nciple of Signal Sufficiency or Signal Surplus)と
呼ばれる。言い換えると、もし複号化誤差があるとすれ
ば、この誤差は積極的に信号の過剰を与えるものである
べきである。信号の不全よりはむしろ過剰の方が聴感上
許容される。
数デシベル程度、例えば、主要な若しくは支配的な信
号が存在する際における低レベル状態のような2、3、
又は4dB程度の低レベル信号の信号の不全は、殆どの聴
取者にとって聴感上許容されるものであるが、これが6
又は12dB程度ともなると、殆どの聴取者にとって許容さ
れないものとなる。これとは対照的に、主要な信号が存
在する際における10、12、15dB程度、更には、それ以上
の低レベル信号の剰余でさえも、殆どの聴取者にとって
聴感上一般的に許容されるものとなることが分かってい
る。
かくして、信号充足の法則に従って、もし、あらゆる
周波数又は時点において再生信号中で主要な信号が存在
する際における低レベル信号又は環境が、元の信号より
も数デシベル以上低くなく、しかも、元の信号よりも10
乃至15dB程度以上に高くなければ、この再生の構成はエ
ンコーダと両立性を持つと考えて良い。B型システム及
び本発明で主として操作されているのは低レベル信号で
あるので、この両立性の問題は、主要な若しくは支配的
な信号が存在する際におけるかかる低レベル信号に関連
している。かかるシステムにおいては、高レベルの主要
な若しくは支配的な信号は実質的に影響を受けない。
上に述べたように、記録済みカセットは、必ずしも購
買客の総てがB型のデコーダを具えたカセット・テープ
・プレイヤを所有しているのではないという事実にも拘
らず、単一種類在庫方式で発売されている。しかし、雑
音低減を搭載していないかかるテープ・プレイヤは、比
較的厳密でない聴取に用いられる典型的には安価なシス
テムである。かかるシステムの殆どのものでは、高音域
の大量の削減又はロールオフがある。このロールオフに
よって、B型で符号化されたカセット・テープの音の特
性が主観的には実質的に正常なものに戻される。符号化
過程での高域周波数成分の低いレベルでの増強によっ
て、上述の高音域ロールオフは十分に補償される。その
結果、B型符号化カセット・テープでは、B型複号化を
具えていない形式のシステムで再生される際に、殆どの
聴取者にとって許容される音が再現される。
もし記録済みのB型複号化カセットの代わりになる形
式の単一種類在庫方式をカセット・テープの製造者から
問題提起されるとしたら、単純化されたスペクトル記録
システムに関する両立性への要求は、上で論じたよりも
一層厳密なものとなろう。かかるシステムでは、雑音低
減デコーダを搭載していないカセット・デッキを所有す
るユーザに加えて、B型雑音低減を搭載しているカセッ
ト・デッキのシステムのユーザの殆どによって受け入れ
られる音の再現ができなければならない。B型カセット
再生を搭載しているシステムの所有者の多くは、比較的
厳格な聴取者であると思われる。
発明の開示 本発明の示唆するところにより、作用置換の長所とス
ペクトル記録のその他の長所が、スペクトル記録の基本
的な要素を実現する、比較的単純で安価な構成で、か
つ、民生用及び準職業用での使用に適する形で達成され
る。本発明の好ましい実施例では、集積回路を用いて実
現するのに適するように、総合的な回路の複雑さは十分
に抑えられている。したがって、部品及び製造の費用
は、今日まで個別部品でしか実現されていない職業用の
SRと比較して、実質的に低くなっている。
これに加えて、本発明の好ましい実施例の符号化・複
号化特性によって、符号化された音のプログラムがB型
雑音低減デコーダを用いて再生される際に殆どの聴取者
にとって受け入れられるものとなるように、確立された
B型雑音低減システムとの実質的な両立性が得られる。
この特性によってまた、雑音低減複号化を具えていない
システムを所有する殆どの聴取者にとって受け入れられ
る再生も行われる。
上で述べたように、職業用のSRシステムの低域周波数
用の回路は、とりわけ複雑である。例えば、低域周波数
用の作用置換副段の移動帯域回路にはジャイレーターを
用いる必要がある。更に、幾つかの理由から、或る程度
の低域周波数の雑音低減を行うことが望ましい。これら
の理由としては、1)残留雑音及びハムを除去するこ
と、2)一層平衡の取れた雑音スペクトルを得ること、
及び、3)B型、及び雑音低減のない再生システムと一
層良好な両立性を得ることが挙げられる。これに加え
て、カセット・テープの複製業者によって、また、民生
用カセット録音・再生機で用いられている、IEC標準規
格の3180μsの低域周波数用のエンファシスを補償する
ために、低域周波数用のデエンファシスを与えることが
望まれるので、デコーダ中での相補的エンファシスに起
因する付加的雑音を克服するために或る程度の低域周波
数の雑音低減を行うことが必要になる。しかし、カセッ
ト・テープの雑音が高域周波数に集中していることと、
カセットの記録媒体の走行速度がオープン・リールの職
業用の録音システムの15ips(inch per second)又は30
ipsの走行速度と比較して遅いことによってプリント・
スルーが少ないことから、民生用カセット録音・再生機
では職業用のSRシステムに比較してより少ない低域周波
数の雑音低減しか必要としない。
これらの要件を満たすために、より高度の単純性を維
持すると同時に、本発明のシステムでは、職業的SRシス
テムの高周波帯域コーナ周波数が800Hzから400Hzに下げ
られ、また、低周波帯域で2つの作用置換が用いられる
代わりに、200Hzのコーナ周波数を有する実質的により
小さな低周波帯域で作動する単一固定副段を用いる。低
周波数帯域のコーナ周波数200Hzと高周波数帯域のコー
ナ周波数400Hzとの間の見かけのギャップは、事実上ギ
ャップではない。即ち、高周波帯域の実質的により大き
いダイナミックレンジでとられる帯域のゆるい勾配(6d
B/オクターブ)は、2つの帯域間の滑らかな遷移に帰着
する。
本発明による符号器の望ましい実施形態では、2つの
作用スタガ配列・直列接続2重路段、即ち、高レベル段
及び低レベル段が用いられる。従って、多重段から得ら
れる既知の利点、即ち、精度と再現性、低い歪、低い行
き過ぎ量及びスペクトル識別を向上させる作用複合など
が保持される。
高レベル段は、閾値未満の低レベル信号につき約12dB
の電圧上昇を与える作用置換配列形で約400Hzのコーナ
周波数を有する、高周波固定帯域及び移動体域要素を用
いる。また、高レベル段は、閾値未満の低レベル信号に
つき約10dBの電圧上昇を与える、約200Hzのコーナ周波
数を有する低周波固定帯域可変要素をも有する。
低レベル段は、閾値未満の低レベル高周波信号につき
約12dBの電圧上昇を与える作用置換配列形で約400Hzの
コーナ周波数を有する、高周波固定帯域及び移動帯域要
素を用いる。低レベル段は、低周波動的作用は与えな
い。
オーディオカセットデッキ(職業的アナログオーディ
オレコーダと比較して)に存在する実質的により高い最
低雑音を補償するために、作用置換副段の固定帯域要素
と共に高周波棚状フィルタが用いられる。1実施形態で
は、フィルタは固定帯域要素への入力路に配置される。
代わりの実施形態では、フィルタは固定帯域回路の出力
路において固定帯域回路制御回路用の分岐点前に配置さ
れる。両方の場合において、フィルタは副段の固定帯域
回路の高周波数に対する感度をその下方遮断周波数以上
に低減させる。従って、移動帯域フィルタコーナ周波数
を実質的に上方に移動させる優勢高周波信号の存在下に
おいて、それはすべての高周波雑音低減作用の遮断を抑
制する。
総合配列は、高周波数において約24dBに及ぶ雑音低減
及び低周波数において約10dBに及ぶ雑音低減を与える。
先行技術のB型及びC型雑音低減は、低周波数において
雑音低減は与えなかった。低周波雑音低減を加えること
によって、本システムは低周波雑音及びハムを抑制する
のみならず、よりバランスのとれた雑音スペクトルを与
えると共にさらに以下に述べるように両立性が向上され
る。
本発明の1実施形態では、入力路のスペクトル非対称
化ネットワークは、約50Hzのコーナ周波数及び約6dBの
深さを有する単極高帯域濾波棚状応答と、約10Hzのコー
ナ周波数及び約17dBの深さを有する2極低帯域濾波棚状
応答とを有する。このネットワークの高域周波数の部分
は、前記アメリカ合衆国特許第4,490,691号中で説明さ
れているように、伝統的なスペクトル非対称化ネットワ
ークの形で機能する。このネットワークの低域周波数の
部分によって、低域周波数のスペクトル非対称化効果が
与えられ、更なる利点として、IEC標準規格の3180μs
の低域周波数の録音用エンファシスを補償する低域周波
数のデエンファシスが与えられる。1つの代替的な実施
例では、低域周波数のスペクトル非対称化ネットワーク
のみが入力信号通路中に配置されている。このネットワ
ークは、約80Hzの境界周波数と約8dB(約32Hzで0とな
る)の深さを有する。高域周波数のスペクトル非対称化
は、約12.8kHzの境界周波数を有する入力信号通路中の
高域周波数の作用置換段に対する低域通過ネットワー
ク、すなわち、高レベル段中の単極ネットワーク及び低
レベル段中の双極ネットワークとによって行われる。前
記アメリカ合衆国特許第4,490,691号中ではこのスペク
トル非対称化ネットワークを雑音低減側の通路中に配置
することを企図しているが、同特許ではこれは好ましい
位置ではないと述べている。この代替的な実施例では、
以下に説明する或る種の長所が更に得られる。
本発明の第3の実施例では、低域周波数のスペクトル
非対称化フィルタはまた、側路、この場合は低域周波数
の固定帯域副段の入力に移されている。低域周波数の作
用置換副段中の高域周波数のスペクトル非対称化フィル
タの双極特性もまた、48kHz以上の周波数において単極
特性となってデコーダにおける安定性の余裕度を改善す
るように変更されている。
1実施形態では、低レベル段の主路における反飽和ネ
ットワークは、高周波数においてのみ作動し、約3400Hz
における極及び約2300Hzにおける零点を持つ低帯域濾波
棚状応答を有する。代わりの実施形態では、高周波反飽
和ネットワークは高レベル及び低レベルの両段の主路に
配置される。高レベル段では反飽和ネットワークは、約
6dB(約12kHzにおける零点)の深さを持つ6kHzのコーナ
周波数(極)を有する。低レベル段では反飽和ネットワ
ークは、約10dB(約15kHzにおける零点)の深さを持つ5
kHzのコーナ周波数を有する。
本発明の第3の実施例では、高レベル段中の高域周波
数の飽和防止特性は、ここでもまたデコーダにおける安
定性の余裕度を改善するように棚型から谷型に変更され
ている。低域周波数のスペクトル非対称化回路を入力か
ら側路に移動させたことによって失われた飽和防止効果
を復元させるべく、低域周波数の飽和防止機能が高レベ
ル段に対して付加される。最終的に、同じ10dBの棚型の
深さを維持するように、低レベル段中の飽和防止特性の
下側境界周波数(極)は約1kHz持ち上げられ、上側境界
周波数(0)は高い方に動かされる。
この総合的な構成は、レベル上と周波数応答特性上の
誤差、又は媒体の飽和効果から生じる実質的な録音・再
生校正誤差に原因する録音及び再生機器間の追随不良に
関してB型雑音低減及びC型雑音低減に対する改善を行
う点で強健である。この改善は、スペクトル非対称化と
飽和防止のみでなく、作用置換と固定帯域の高域周波数
において高域周波数の棚型フィルタもを用いていること
の結果であると考えられる。
第6図に、本発明の低域周波数及び高域周波数の副段
とコンプレッサ状態で動作しているシステムとの休止状
態の特性が、スペクトル非対称化と飽和防止ネットワー
クを無視した形で示されている。かくして、これら曲線
によって、高域周波数で24dB、低域周波数で10dBに低下
する総合的な圧縮を行う、1つの低域周波数の副段と2
つの高域周波数の副段との付加的効果が示される。これ
ら曲線によってまた、200Hzの境界周波数の低域周波数
の帯域と400Hzの境界周波数の高域周波数の帯域との6dB
/octave応答特性の裾の部分の滑らかな重複の様子も示
されている。
本発明の構成は、高域周波数帯域が重ね合わせの固定
帯域・移動帯域特性から成り、低域周波数帯域が固定帯
域特性から成る、帯域分割構成の1形式である。高域周
波数帯域において、移動帯域は周波数の高い方に向けて
作用する。緩やかなフィルタの傾斜(6dB/octave)と休
止境界周波数とを周波数帯域の中間点の近傍又は直ぐ下
(約200Hzから400Hzの領域)に選ぶことによって、処理
されている帯域の実質的な部分全体にわたって高域周波
数及び低域周波数による支配的信号への良好な追随が可
能となる。
高周波作用置換副段が周波数帯域の大部分に亘って作
動し、固定帯域低周波副段用のオーディオ帯域の小部分
のみが残されるように、公称静止コーナ周波数は、職業
的SRで用いられるコーナ周波数800Hzより幾分低い。さ
らに、職業的スペクトル録音で用いられるような800Hz
よりはむしろ400Hzのコーナ周波数が、標準的消費者用
カセットテープシステムの雑音スペクトルによりよく適
合する。
本発明のシステムのエンコーダの符号化特性によっ
て、B型のデコーダ及び雑音低減複号化を具えていない
システムとの両立性に関する良好な基盤が与えられる。
本発明のシステムでは、職業用SRにおけると同様な最少
処理の法則を実施しており、B型のデコーダ及び雑音低
減複号化を具えていないシステムには信号余剰の法則を
実施している。オーディオ帯域全般にわたっての雑音低
減、とりわけ、高域周波数の帯域での作用置換を行うこ
とによって、このシステムでは符号化過程で極めて周波
数選択的な圧縮が行われる。すなわち、コンプレッサに
よって総ての信号成分が常に十分に増強される傾向にあ
り、特定の周波数でこの増強を下げなければならない際
には、この増強の削減は基本的に他の周波数での低レベ
ル信号成分には及ばない。
この形式の圧縮の聴感上の効果は、未複号化信号は増
強されてより輝くが、画然とした動的圧縮効果は全くな
いように聞こえる(動的効果は、主として1つの周波数
の信号成分が別の周波数の信号成分で幾分取り除かれた
ことによる利得の変化によって聴感上感知される)こと
である。結果として、格別な複号化を何も行わずに再生
される符号化信号は、コンプレッサの周波数適応性によ
って殆ど総ての信号条件に対してポンピング効果を免
れ、低域周波数及び高域周波数でのエンファシスにおけ
る変化があるので、厳格な聴取者には信号が圧縮された
のみであるかのように識別される。符号化された信号の
動的安定性によっても、B型の再生デコーダを用いる場
合のポンピング効果の発生は低減される。
(1)高域周波数副段中の作用置換と、(2)高域周波
数の2つの副段と、(3)低域周波数の副段とを用いる
ことによって、B型雑音低減複号化又は雑音低減なしで
符号化信号が再生される際に、信号の息継ぎではなく信
号の余剰があることが保証されるので、信号充足の法則
が満足される。
B型の再生は、輝いて聞こえる符号化信号の高域周波
数の不平衡を或る程度復元する傾向がある。例えば、本
発明の好ましい実施例において、エンコーダによって24
dBまでの高域周波数の圧縮と、10dBまでの低域周波数の
圧縮とが行われる。一般的な条件において、B型の複号
化では10dBまでの高域周波数の圧縮が行われ、その結
果、高域周波数で14dBまで、低域周波数で10dBまで出力
信号が増強される。かくして、高域周波数に対する低域
周波数のスペクトルの不平衡の可能性は僅か4dBまでに
低減される。この結果として未だ幾分かの圧縮を残す
が、スペクトルは平衡が取れている。上でのべたよう
に、安定状態効果は、聴取者の注意を引き付ける音の変
化がないので、動的効果に比して殆どの聴取者に気付か
れる可能性が低い。
安定状態の平衡が取れた低域周波数及び高域周波数の
応答特性効果は、聞き逃がされる傾向があることが分か
っている。したがって、符号化信号の低域周波数及び高
域周波数の領域のスペクトル非対称化ロールオフがB型
及び非複号化の再生で復元されない程度までは、周波数
スペクトル上の平衡又は対称効果によって、結果として
の再生が殆どの聴取者にとって受け入れられるものとな
る。
雑音低減複号化なしの再生では高域周波数に対する低
域周波数のスペクトルに14dBの不平衡を生じるが、この
極端な条件は低レベルの信号条件においてのみ起きる。
実際上は、雑音低減複号化なしのシステムのユーザはカ
セットの録音物を高レベル信号で聞く可能性が高い。更
に、B型符号化に関して上で述べたように、かかるシス
テムは媒体及び低レベル信号の高域周波数が増強されて
いることによってしばしば利益を受けることがある。ポ
ピュラー音楽のボーカルの多くの録音では、声の質が主
観的に増強されている。最終的に、飽和防止回路によっ
て、多くの種類のプログラム素材で高レベルの録音が可
能となり、雑音低減複号化なしのシステムの聴取者も大
きな信号対雑音比を享受することができる。
図面の簡単な説明 第1図は、先行技術の移動帯域の多重効果を示す、理
想化されたコンプレッサの応答特性曲線である。
第2図は、先行技術の固定帯域の制限効果を示す、理
想化されたコンプレッサの応答特性曲線である。
第3図は、先行技術のI型2重通路構成を示す概念図
である。
第4図は、先行技術のII型2重通路構成を示す概念図
である。
第5A図は、先行技術の作用置換技法によって重ね合わ
される固定帯域及び移動帯域素子の休止状態応答特性を
示す、理想化されたコンプレッサの応答特性曲線であ
る。
第5B図は、先行技術の作用置換技法によって重ね合わ
される固定帯域及び移動帯域素子のしきい値より僅かに
上の、移動帯域が周波数の高い方に作用している応答特
性を示す、理想化されたコンプレッサの応答特性曲線で
ある。
第5C図は、先行技術の作用置換技法によって重ね合わ
される固定帯域及び移動帯域素子のしきい値より僅かに
上の、移動帯域が周波数の低い方に作用している応答特
性を示す、理想化されたコンプレッサの応答特性曲線で
ある。
第6図は、コンプレッサ状態で動作している本発明に
よる高域周波数及び低域周波数の副段と総合的なシステ
ムとの休止状態応答特性をスペクトル非対称化と飽和防
止ネットワークを無視した状態で示す、コンプレッサの
応答特性曲線である。
第7A図は、第10図、第11図、及び第12図に関連して述
べた形式の高域周波数及び低域周波数の副段を用いる直
列の食い違い段を具える、本発明のコンパンダ・システ
ムの概念図である。
第7B図は、第14図、第18図に示すコンプレッサ、又は
第7A図のコンプレッサ部分に示すコンプレッサと、適切
な増幅器の負帰還ループ中に第14図、第18図に示すコン
プレッサ、又は第7A図のコンプレッサ部分に示すコンプ
レッサを配置することによって形成されるエクスパンダ
とを具える、本発明のコンパンダ・システムの概念図で
ある。
第8図は、固定帯域及び移動帯域素子を用いる2素子
の作用置換副段の概念図である。
第9A図は、第8図の構成中に示される形式の作用置換
副段の応答特性を移動帯域素子のしきい値より上でしか
も固定帯域素子のしきい値より下にある信号に関して示
す、理想化されたコンプレッサの応答特性曲線である。
第9B図は、第8図の構成中に示される形式の副段の両
方の素子のしきい値の僅かに上の応答特性を示す、理想
化されたコンプレッサの応答特性曲線である。
第9C図は、第8図の構成中に示される形式の副段の素
子のしきい値の遥かに上の応答特性を示す、理想化され
たコンプレッサの応答特性曲線である。
第10図は、本発明のコンプレッサ、エクスパンダ、又
はコンパンダのシステムに使用するための固定帯域及び
移動帯域素子を用いる高域周波数作用置換副段の実施例
の回路の部分的な回路概念図である。
第11図は、第10図の実施例による高域周波数副段の信
号流れ図である。
第12図は、本発明のコンプレッサ、エクスパンダ、又
はコンパンダのシステムに使用するための低域周波数固
定帯域副段の実施例の回路の部分的な回路概念図であ
る。
第13図は、第10図及び第12図の実施例で用いる変調制
御信号を誘導するための回路の実施例の部分的な回路概
念図である。
第14図は、第15図及び第16図に関連して述べる形式
の、高域周波数及び低域周波数副段を用いる直列の食い
違い段を具える、本発明の代替的実施例のコンプレッサ
の概念図である。
第15図は、本発明のコンプレッサ、エクスパンダ、又
はコンパンダのシステムに使用するための固定帯域及び
移動帯域素子を用いる高域周波数副段の1つの実施例の
部分的な回路概念図である。
第16図は、本発明のコンプレッサ、エクスパンダ、又
はコンパンダのシステムに使用するための低域周波数副
段の本発明の代替的実施例の部分的な回路概念図であ
る。
第17図は、第15図、第16図、及び第19図の回路の実施
例で用いる変調制御信号を誘導するための、本発明の代
替的実施例の回路の部分的な回路概念図である。
第18図は、第19図及び第20図に関連して述べる形式
の、高域周波数及び低域周波数副段を用いる直列の食い
違い段を具えるコンプレッサの本発明のもう1つの好ま
しい代替的実施例の概念図である。
第19図は、本発明のコンプレッサ、エクスパンダ、又
はコンパンダのシステムに使用するための固定帯域及び
移動帯域素子を用いる高域周波数作用置換副段の本発明
のもう1つの好ましい代替的実施例の部分的な回路概念
図である。
第20図は、本発明のコンプレッサ、エクスパンダ、又
はコンパンダのシステムに使用するための低域周波数副
段の本発明のもう1つの好ましい代替的実施例の部分的
な回路概念図である。
第21図は、本発明の第3の好ましい実施例のコンプレ
ッサに関して、種々の入力レベルについて周波数に対す
る出力レベルを描いた曲線を示す。
第22A図は、本発明の第3の好ましい実施例のコンプ
レッサに関して、高域周波数作用置換副段の周波数範囲
内の種々の周波数における入力レベルに対する圧縮の傾
斜を描いた曲線を示す。
第22B図は、本発明の第3の好ましい実施例のコンプ
レッサに関して、低域周波数作用置換副段の周波数範囲
内の種々の周波数における出力レベルに対する圧縮の比
率を示す。
第23A図は、本発明の第3の好ましい実施例のコンプ
レッサに関して、低域周波数副段の周波数範囲内の1つ
の周波数について入力レベルに対する圧縮の傾斜を描い
た曲線を示す。
第23B図は、本発明の第3の好ましい実施例のコンプ
レッサに関して、低域周波数副段の周波数範囲内の1つ
の周波数について入力レベルに対する圧縮の比率を描い
た曲線を示す。
発明を実施するための望ましい形態 第7A図において、本発明のコンプレッサ及びエクスパ
ンダを具えるコンパンダの実施例の総てが示されている
が、これらの中には、コンプレッサでは2つの直列のI
型2重通路副段と、エクスパンダでは2つの相補的な段
が存在する。直列双線形段のしきい値レベルは、食い違
いになっており、アメリカ合衆国特許第4,490,691号の
動的作用置換レベル食い違いの局面の諸特徴を利用して
いる。これに替えて、II型構成を用いることもできる。
第7A図の実施例ではまた、アメリカ合衆国特許第4,490,
691号のスペクトル非対称化の特徴と飽和防止の局面の
諸特徴も利用している。本発明を2重通路又は単一通路
の構成で実現することもできるが、上で論じたように2
重通路の実施例には幾つかの長所があり、好ましい。本
発明のコンプレッサの1つの代替的実施例を第14図に示
す。本発明のコンプレッサのもう1つの好ましい代替的
実施例を第18図に示す。
デコーダは、コンプレッサに対して相補的であり、第
7A図に示すデコーダの構成によって実現できる。これに
替えて、第7B図に示すように、適切な増幅器の負帰還ル
ープ中にエンコーダを配置する周知の技法を用いること
もできる。第7B図に示すコンプレッサは、第7A図に示す
コンプレッサ部分のコンプレッサ、第14図又は第18図に
示すコンプレッサ、若しくは、これ以外の或る種の構成
のコンプレッサでも良い。
第7A図のシステムのコンプレッサ部分には2つの段、
より高いしきい値レベルを有する高レベル段10と、より
低いしきい値レベルを有する低レベル段12とが具えられ
ている。アメリカ合衆国特許第4,490,691号中で論考さ
れているように、逆の配列も可能ではあるが、これが食
い違い段の好ましい配列順序である。しきい値は、これ
以上になるとコンプレッサ又はエクスパンダ中で動的作
用が開始される信号振幅のレベルである。第7A図のシス
テムのコンプレッサ部分にはまた、コンプレッサに対し
て相補的に設けられる2つの段、すなわち、低レベル段
14′と高レベル段16′とが具えられている。
各高レベル段には、高域周波数の作用置換副段24(2
4′)と、低域周波数の作用置換副段28(28′)とが具
えられている。低レベル段には、高域周波数作用置換副
段26(26′)のみが具えられ、低域周波数作用置換副段
はない。高域周波数副段24(24′)の各々は、第8図、
及び第9A図から第9C図までと、とりわけ第10図に関連し
て概略述べる形式のものである。低域周波数副段28(2
8′)の各々は、第12図に関連して述べる形式のもので
ある。実際の回路において、高域周波数作用置換副段24
(24′)と26(26′)との間には、高レベル段と低レベ
ル段とでのそれぞれの位置関係の結果としての幾分かの
差異がある。この差異については、第10図の実施例の論
考の中で注意が払われている。
もし高域周波数作用置換コンプレッサ副段(24及び2
6)の各々と高域周波数作用置換エクスパンダ副段(2
4′及び26′)の各々とで、例えば、それぞれ12dBの圧
縮又は伸長があり、低域周波数固定帯域コンプレッサ副
段28と低域周波数固定帯域エクスパンダ副段28′とで、
例えば、それぞれ10dBの圧縮又は伸長があるとすれば、
高域周波数の帯域[もし高域周波数副段(24及び26)及
び(24′及び26′)が400Hzの遮断周波数を有するとす
れば、400Hzの領域以上]で24dBの雑音低減と、低域周
波数の帯域[もし低域周波数副段(28及び28′)が200H
zの遮断周波数を有するとすれば、200Hzの領域以下]で
10dBの雑音低減とが、この総合的なコンパンダ・システ
ムにより得られる。かかる構成は、例えば、民生用及び
準職業用に使用される形式の高品質オーディオ雑音低減
システムにおいて有用である。
システムのコンプレッサ部分に対する入力は、ブロッ
ク18として示されるような高域周波数及び低域周波数の
スペクトル非対称化ネットワークに印加される。実施例
においては、このネットワークは、6dBの深さを有する5
0Hzの低域通過単極棚型フィルタと、17dBの深さを有す
る10kHzの高域通過双極棚型フィルタとである。このス
ペクトル非対称化ネットワークは、f0=25Hz、f1=50H
z、f2=12,200Hz、f3=40,800Hz、f4=7,980Hz、Q=0.
63であるとして、実質的に以下の形のラプラス領域の電
圧変換関数を具えている。
すなわち、 周知の演算増幅器アクティブ・フィルタの技法を用いて
このネットワークを実現することできる。スペクトル非
対称化回復ネットワークは、エクスパンダの出力のブロ
ック12中に配置されている。
低レベル段12の主通路には、高域周波数飽和防止ネッ
トワーク22が含まれている。この飽和防止ネットワーク
は、ここで、f6=3,400Hz、f7=2,400Hzであるとして、
実質的に以下の形のラプラス領域の電圧変換関数を具え
ている。
すなわち、 相補的な飽和防止ネットワーク23は、エクスパンダ部分
中の低レベル段14の主通路中に配置されている。
第7A図のI型の段にはまた、それぞれ高レベル段10及
び16中の高域周波数及び低域周波数副段の出力を組み合
わせる合計装置30及び30′も含まれている。これらの段
には、側路出力を主通路に結合することによって側路信
号を主通路出力に組み合わせる、それぞれの合計装置32
及び32′と34及び34′が含まれている。実際の回路で
は、合計装置32及び32′で合計装置30及び30′を分担さ
せ、高域周波数及び低域周波数副段を中で合計しても良
い。
動作の際には、作用置換副段の固定帯域及び移動帯域
回路は、両方の回路の形式の最良の特徴を発揮する方法
で動作する。この動作を「作用置換」と叙述しても良
い。何れの特性の作用置換副段においても、固定帯域の
動的作用が最良の性能を発揮する時には何時でもこれが
用いられ、これによって利点がある時には何時でも移動
帯域の動作を置換する。この方法によって、両方の方法
の最良の特徴が各々の欠点なしに得られる。
この置換は、連続的で周波数ごとに効果を発揮する。
例えば、所与の高域周波数副段24又は26からの出力は、
第9A図から第9C図の方法では、支配的信号成分までの下
の周波数に対しては固定帯域から、支配的信号成分より
上の周波数に対しては移動帯域からのものとなる。低域
周波数副段28からの出力は、固定帯域の応答特性(例え
ば、200Hzの低域通過帯域決定フィルタによって作られ
る帯域全般にわたって均一の応答特性)となる。
高域周波数副段24及び26は、各々固定帯域及び移動帯
域動的作用素子から作り出される2素子の作用置換スタ
ックである。作用置換素子のこの「スタック」構成につ
いては、アメリカ合衆国特許第4,736,433号、及び上述
の論文「スペクトル記録過程」(102ページの第3図)
の中で説明されている。これに替えて、機能的に同等の
「減算(“substructive")」トポロジーを用いても良
い(アメリカ合衆国特許第4,736,433号、及び上記の論
文の102ページの第2図)。
説明の目的で、例えば、境界周波数400Hzの固定単極
高域通過フィルタが2個のかかる素子の入力に直列に配
置されていると仮定しよう。第8図には、フィルタ40
と、移動帯域素子42と、固定帯域素子44とを具えるスタ
ック構成が示されている。固定帯域及び移動帯域回路に
は並列に信号が与えられ、出力信号は移動帯域回路42か
ら取り出される。第10図の実施例に関連して分かること
であるが、移動帯域可変フィルタは固定帯域の出力を参
照する。すなわち、固定帯域の出力は移動帯域可変抵抗
素子の底部端に直接供給される。この結合によって、前
に述べた作用置換動作が生じる。総合的な出力は、総て
の周波数において固定帯域及び移動帯域のうちの寄与の
大きい方になる。もし固定帯域出力が無視できる程度に
小さいという信号状況があれば、移動帯域が取って代わ
る。逆に、もし移動帯域の寄与が非常に小さいか若しく
は全くないという信号状況があれば、移動帯域可変抵抗
素子を通して固定帯域からの出力が出力に依然として供
給される。この方法で、1つの回路の作用は、信号条件
によって要求されるように、別の回路の作用に置換され
る。第14図から第17図まで、及び第18図から第20図まで
の実施例で用いられている構成は、第8図のスタック構
成の、アメリカ合衆国特許第4,736,433号の第11図の方
法で移動帯域素子制御信号の微分誘導を行った変形であ
る。
例示の目的で、12kHzにおいて固定帯域素子の効果的
通過帯域しきい値が−62dBで、移動帯域素子の効果的通
過帯域しきい値が−66dBであり、各素子が最大12dBの増
強を行うことができるとしよう。もし、例えば、12kHz
の信号が−66dBで印加されたならば、移動帯域の特性の
境界周波数は600Hzに移動するが、固定帯域は未だ能動
しておらず総合的な特性の包絡線を支えているので、包
絡線には何も変化が生じない。この新しい移動帯域の特
性は隠されている。第9図にこの状況が示されている。
すなわち、総合的な特性は休止状態の固定帯域の応答特
性であり、移動帯域の応答特性はその休止状態の応答特
性から上の周波数に移動されている。総合的な特性の包
絡線は、信号が固定帯域素子の−62dBのしきい値に達す
るまで、固定帯域の休止状態の応答特性と同じ儘であ
る。信号がこのしきい値より数dB上になると、固定帯域
が減衰し始めて、移動帯域特性の上部が顕され、信号レ
ベルが上がるにつれて上向きに移動しながらこれが継続
する。この状況に対する総合的な特性と移動帯域の応答
特性は、第9B図に示されている。信号レベルが固定帯域
のしきい値より更に数dB上がると、第9図に示されるよ
うに、固定帯域は減衰し続け、移動帯域はは上向きに移
動し続ける。第9A図から第9C図までに示される曲線は、
コンピュータ・モデルで作成されたものである。
第10図では、高域周波数副段24(24′)及び26(2
6′)(第7図)の1つの実施例が示され、回路の安定
状態と過渡制御局面の両方が表されている。上で述べた
差異に加えて、低レベル段と高レベル段は、低レベル段
に関しては交流及び直流回路利得が増加するという点で
差異がある。その他の概念図も同様であるが、この数値
は素子を決定する基本的なパラメータのみを示してい
る。実際の回路では、勿論、緩衝、増幅、減衰といった
他の詳細項目が含まれる。
各副段は、各々自身の制御回路を持つ、底部の固定帯
域回路、上部の移動帯域回路から成る。固定帯域回路及
び移動帯域回路には並列に信号が供給され、出力は移動
帯域回路から取り出される。移動帯域可変フィルタは固
定帯域の出力を参照する。すなわち、固定帯域の出力は
移動帯域可変抵抗素子154の底部端に直接供給される。
この結合によって、上で説明した作用置換の動作が生じ
る。
入力信号は単極高速通過フィルタ102を通して供給さ
れる。実際には、種々の図全般にわたってこのフィルタ
は、バッファとして作用する演算増幅器の入力にある受
動型RCフィルタとして形作られている。低レベル段12及
び高レベル段10の両方とも、400Hzの遮断周波数を具え
ている。
この濾波された入力信号は固定帯域回路104及び移動帯
域回路106に印加される。出力は移動帯域回路から取り
出され、バッファ158を通して供給される。かくして、
この回路の総合的な休止状態(副段しきい値)の応答特
性は、400Hz高域通過ネットワークの応答特性となる。
約3.2kHzの境界周波数と12dBの深さを持つ棚型応答特
性を具える低域通過フィルタ107が、固定帯域回路104の
入力信号通路に設けられている。かかるフィルタの応答
特性を、f0=12,800Hz、f1=3,200Hzであるとして、以
下の形のラプラス領域の電圧変換関数として表すことが
できる。
すなわち、 このフィルタのパラメータは、2つの性能パラメータ
の平衡を取ることによって得られる。境界周波数が低け
れば低い程、固定帯域によって、高域周波数の信号が存
在する際の増強を行うことができるが、一杯に増強を行
った時には雑音低減効果はより少なくなる。棚型が深け
れば深い程、固定帯域によって、棚の周波数より高い周
波数の信号が存在する際の増強を行うことができるが、
信号の周波数より直ぐ下の周波数での雑音低減効果の損
失は大きくなる。カセット・レコーダの雑音スペクトル
によってもこの棚型の設計は影響を受けた。
この固定帯域素子には、入力抵抗器108と、橋絡可変
抵抗素子110と、可変抵抗素子の制御入力に対して印加
される直流制御信号を発生する制御回路112とが含まれ
ている。橋絡可変抵抗素子110として、また、種々の図
の実施例の全般にわたって、可変変換増幅器を用いても
良い。
可変抵抗素子には、線形の抵抗対制御信号を具えてい
ることが望ましい。実施例の1つにおいて、可変抵抗素
子110は電流入力に応答し、印加される直流は電流であ
る。この可変抵抗素子の抵抗値は、直流制御信号が増大
するにつれて低下して、固定帯域フィルタの増幅度を低
下させる。この関係を以下のように表すことができる。
すなわち、 低域通過フィルタ107によって、固定帯域回路の遮断
周波数以下の固定帯域回路の感度が下げられる。かくし
て、支配的な音の周波数がフィルタの遮断周波数より高
くなるにつれて、固定帯域回路のしきい値が上がり、固
定帯域回路の感度が下がる。その結果、フィルタ107の
遮断周波数より高い周波数の信号が存在する際に、固定
帯域によってより大きな圧縮(又は、より大きな雑音低
減)が行われる。これにより、雑音変調の低減が得られ
る。
電界効果トランジスタ(FET)のゲートに対して印加
する電圧を制御することによってソースとドレイン間の
通路を可変損失装置(可変抵抗器)として用いること
が、固定帯域の装置を実施する際の慣習になっている。
同様に、移動帯域システムでもFETのゲートに対して印
加する電圧を制御することによってソースとドレイン間
の通路を可変損失装置(可変抵抗器)として用いてい
る。A型、B型、C型、及びSRシステムの職業用の実施
例においても、FETをこの様な形で用いている。これに
ついても、アメリカ合衆国特許第Re 28,426号,アメリ
カ合衆国特許第4,490,691号、及びアメリカ合衆国特許
第4,922,535号の叙述を見て欲しい。
FETの非線形応答特性によって回路の望ましい動的作
用の固有の部分が形成されたが、個々のFETの応答特性
は或る程度のばらつきの影響を受け、FETの非線形応答
特性は必ずしも回路の望ましい動的特性にはならない。
これに加えて、接合型電界効果トランジスタ(J−FE
T)を集積回路で実現することは容易ではない。FETを可
変素子として用いる先行技術を利用することはできる
が、非線形素子と線形可変抵抗素子との組み合わせによ
って、回路の集積を容易に達成する一方で、設計者がこ
の動的回路特性を適正化し、このFET特性のばらつきの
問題を回避することができる。この非線形素子の特性に
よって回路の圧縮率が決定される。
作用置換副段の固定帯域に対しては、対数関数が用い
られている。圧縮の開始は大まかであるが、圧縮の特性
は入力レベルが上昇するにつれて振幅制限回路の特性に
近付く。かくして、終了点(動的作用が停止し、特性が
高信号レベルにおいて線形になる、主通路と側路の2重
線形特性中の区域)は(入力レベルにおいて)コンプレ
ッサのしきい値から過度に離れることはない。これに替
えて、温度依存効果を回避するために、一連の固定べき
数法則関数(例えば、V2及びV8の2つの項)を用いても
良い。かかる関数によって、入力レベルが上昇するにつ
れて圧縮率を上昇させ続けるようにもできる。
作用置換副段の移動帯域回路に対して固定べき数法則
関数が用いられている結果として、この回路の圧縮率は
入力信号レベルにつれては上昇しない。可変フィルタに
よる側路中における位相変位が入力信号レベルと共に上
昇して、主通路に対する側路の寄与を減衰単独によって
与えられるよりも低下させるので、圧縮率を上昇させる
必要はない。これに加えて、移動帯域コンプレッサに対
しては、固定べき数法則関数では、対数関数では圧縮特
性が周波数と共に変化するところを、圧縮特性が周波数
と共に変化しないコンプレッサが提供される。更に、固
定べき数法則関数によって、圧縮曲線の形状全般への制
御が可能となる。
かくして、それぞれの対数関数及び固定べき数法則関
数によって、回路設計者が圧縮曲線の形状全般を制御す
ることが可能となる。圧縮曲線の開始点及び終了点がな
だらかで大まかに決定される時、追随不良は最少化され
る。相殺する要求は、総合的な回路の動的作用が雑音基
盤の上と動作環境の最大レベルの下で生じるように制限
されなければならないことである。食い違いになってい
る2重線形段に対しては、この非線形素子の選択によっ
て、良好な総合的特性を具えるエンコーダを設計するた
めに必要な自由度が与えられる。
第11図には、高域周波数の副段の信号の流れ図が示さ
れている。
ここで、 f0は高域周波数帯域を決定するフィルタの周波数=400H
z、 f1は移動帯域の移動フィルタの休止周波数=200Hz、 f2は固定帯域棚型フィルタの0周波数=12,800Hz、 f3は固定帯域棚型フィルタの極周波数=3,200Hz、 ωは2πfn、 ASCは側路の信号利得、 VOSは、固定帯域可変素子及び制御回路のオフセット電
圧、 VTは300゜Kにおいて(q/kT)=25mV、 G1は固定帯域制御回路の利得、 G2は移動帯域制御回路の利得、 Nは移動帯域の可変素子及び制御回路の固定べき数、 GSBは移動帯域制御回路の主出力、 GFBは固定帯域制御回路の主出力、 である。
VOS、G1、及びG2は、高レベル段と低レベル段とでは
異なる。
第10図及び第11図を精査すると、パラメータが上記の
ものである時、各固定帯域回路はラプラス領域で以下の
形の電圧変換関数を有することが分かる。
すなわち、 であり、また、パラメータが上記のものである時、各移
動帯域回路はラプラス領域中で以下の形の電圧変換関数
を有することが分かる。
すなわち、 第10図の叙述に戻って、固定帯域可変抵抗素子110か
らの固定帯域出力は重み付けフィルタ116を経由して2
つの制御回路、すなわち、主(通過帯域及び阻止帯域)
制御信号回路、及び通過帯域制御信号回路に供給され
る。この構成は、アメリカ合衆国特許第4,498,055号及
びアメリカ合衆国特許第4,922,535号の第21図に類似し
ている。主制御回路においては、信号はブロック128中
で整流され、組み合わせ装置129中で変調制御信号MC3に
よって桔抗される。この制御信号の誘導については第13
図に関連して以下で述べる。結果として得られる直流電
圧は、約8msの時定数(個々、及び他の総ての回路にお
ける総合的な安定状態制御信号の特性は平均値応答型で
あり、これが実際の圧縮・伸長システムでは重要な事柄
である)を有する平滑回路130で平滑される。その後、
この制御信号は、入力に印加される2つの信号の中で大
きなものを出力に受け渡す、最大値選択回路122の1つ
の入力に対して供給される。
固定帯域の出力は、通過帯域制御回路120にも供給さ
れる。この回路は、800Hzの単極高域通過フィルタ132
と、全波整流器134と、平滑回路(約8msの)136とから
成る。この通過帯域制御信号は、最大値選択回路の別の
入力に対して印加される。最大値選択回路の出力はブロ
ック124中の約160msの時定数で更に平滑されて、非線形
関数回路である可変抵抗器駆動回路126を経由して固定
帯域可変抵抗器110を制御すべく用いられる。第2の積
分器124が第1の積分器(回路118、又は回路120)と共
同することによって、脈動のない直流制御電圧が供給さ
れるばかりではなく、制御回路112の立上がり及び解除
の時定数が調整される。積分器124の抵抗阻止の間を繋
ぐダイオード(図示されていない)によって、一定の条
件の下での時定数が短縮される。ブロック124の入力及
び出力における電圧が著しく異なる状態になると、第2
の積分器の放電時間が第1の積分器の放電時間と同じに
なるように短縮される。かかるダイオードがブロック16
8に関しても同じ目的で繋がれている。
非線形関数要素126は、当該関数(式)による第2積
分器124から印加される入力電圧に応答して指数関数を
有する電流出力を発生させる。
Iout=kexp{(Vin−VOS)/VT} 指数電流関数は、トランジスタのベースをある電圧で駆
動してコレクタから電流を得ることによって容易に得ら
れる。」付記すると、実際の回路では、周知の技術を用
いて、ある電圧オフセット(残留偏差)がトランジスタ
のベースに印加される。
単純な信号(単一の支配的な信号)及び複雑な信号
(2つ以上の支配的な信号)の状況下で最適な性能を得
るために、上で述べた2重制御関数の構成が用いられて
いる。変調制御信号MC3は周波数の重み付けと量につい
て、変調制御が最も有用となる単純な信号に関して最適
化される。しかし、複雑な信号の状況下では、ここで発
生された変調制御信号は不適正となり、その結果の変調
制御は必要以上に大きなもの、すなわち、主制御回路か
らの直流電圧が必要以上に小さいものとなる。この条件
下においいては、側路回路からの制御信号は、最大値選
択回路を経由して、固定帯域コンプレッサ回路の総合的
作用を制御すべく同相となる。
固定帯域素子の出力は、単位1の総合的利得を有する
バッファ114を通して供給されて、移動帯域フィルタに
対する基準を与え、これが固定帯域回路の唯一の信号出
力となる。
移動帯域素子106には、可変抵抗素子154で橋絡されて
いる並列入力抵抗器150及びコンデンサ152と、可変抵抗
素子の制御入力に対して印加される直流制御信号を発生
する制御回路156とが含まれている。抵抗器150の存在に
よって、可変高域通過フィルタの特性に棚型(「可変高
域通過棚型フィルタ」)応答特性を持たせることにな
る。コンデンサ152と抵抗器150との時定数によって、可
変高域通過棚型フィルタの下部周波数の固定の境界周波
数が決定される。回路の実施例においては、この境界周
波数は約200Hzである。コンデンサ152と可変抵抗素子15
4との時定数によって、可変高域通過棚型フィルタの上
部周波数の可変の境界周波数が決定される。可変抵抗素
子154が高い値である時には、これらの2つの境界周波
数が重複し、可変高域通過棚型フィルタは全帯域通過の
特性となる。
可変抵抗素子154は、線形の入力信号対抵抗特性を具
えていることが望ましい。1つの実施例においては、可
変抵抗素子154は電流入力に応答し、印加される直流制
御信号は電流である。可変抵抗素子154の抵抗は、直流
制御信号が増加するにつれて低下し、移動帯域フィルタ
の境界周波数を上昇させる。この関係は、以下のように
示すことができる。
すなわち、 移動帯域制御信号は、制御回路156によって回路の出
力から誘導される。この信号は、10kHz(低レベル段で
は8kHz)の単極高域通過重み付けネットワーク160を通
して供給され、整流される。この整流信号は、組み合わ
せ装置163中で変調制御信号MC1と桔抗する。MC1は単極
高域通過特性を具えているので、整流制御信号とMC1と
の間の比率によって信号の減衰が監視される(この減衰
によって移動帯域作用の終了停止効果が作り出され
る)。この結果、先ず最初にブロック166中で約8msまで
の時定数、最終的にブロック168中で約80msまでの時定
数での平滑化が生じる。この平滑化信号は、その後、非
線形関数回路である可変抵抗駆動回路170を経由して移
動帯域可変抵抗素子154を制御するために用いられる。
副段の固定帯域回路における場合と同様に、第2の積分
器が第1の積分器と共同することによって、脈動のない
直流制御電圧が供給されるばかりではなく、制御ループ
の立上がり及び解除の時定数が調整される。移動帯域回
路においては、発生された変調制御電圧上にある複雑な
信号の効果が高域通過重み付けネットワーク160によっ
て相殺されるので、単一の制御回路で十分である。
非線形関数素子170によって、固定べき数法則関数を
有する電流出力が、第2積分器から印加された信号に応
答して以下の関数により発生される。
すなわち、Nは1より大きい正の数であるとして、 Iout=k(Vin それぞれ所定の利得を備える対数・常数回路を直列順次
接続することによる在来の方法で、かかる関数を得るこ
ともできる。
上で述べたように、FETを可変素子として用いる先行
技術を用いることもできるが、非線形素子と線形可変抵
抗素子の組み合わせが好ましい。
高域周波数の作用置換副段からの総合的な出力は、移
動帯域素子106のバッファ158から取り出される。
第10図には、高域周波数副段に関するオーバシュート
制限構成も示されている。この高域周波数副段において
は、制御回路整流器128及び162からの平滑化されていな
い整流信号は、適切な変調制御信号によって桔抗され、
それぞれ最終平滑回路124及び168、とりわけ、これらの
回路中のコンデンサに対して、ダイオード装置135及び1
37を経由して供給される。
職業用雑音低減システムとA型、B型、及びC型シス
テムに共通して、本発明の構成中のオーバシュート制限
しきい値は、安定状態しきい値よりも僅かに高い。オー
バシュート制限しきい値を適切な安定状態しきい値より
も約10dB上に設定し、その後、オーバシュート制限効果
を徐々に調整することが望ましい。最終的な結果とし
て、殆どの音楽信号に対してはオーバシュート制限器は
希にしか動作せず、コンプレッサは十分に平滑化された
信号によって制御されることになる。コンプレッサが動
作する際には、効果が制御されているので変調ひずみは
最少化される。オーバシュート制限器の動作にきっかけ
を与える過渡状態に続いて、比較的安定な状態ではある
が、なお変化する信号条件においては、信号レベルの増
大と共にオーバシュート制限効果を徐々に調整するか、
若しくは低減させる。この作用によって、システムの変
調ひずみが更に低減することが保証される。
この回路構成によって、回路設計者が相対的なしきい
値と漸増的なオーバシュート制限とを調整できることに
なる。しきい値は、安定状態及びオーバシュート制限回
路中の増幅器の相対的利得を調整することによって設定
される。以下で更に詳細に説明するように、制御信号が
誘導されるコンデンサに対してオーバシュート制限回路
を結合するダイオードを可変抵抗器として動作させるこ
とによって、漸増的なオーバシュート制限効果が達成さ
れる。その他の更に複雑な回路を用いてこの機能を達成
することもできる。オーバシュート制限効果を徐々に調
整するか、若しくは低減させることは、高いレベルの信
号においてオーバシュート制限信号に桔抗する変調制御
信号によると同時に、非常に高いレベルの信号において
オーバシュート制限回路の利得を低下させる制限回路に
よって達成される。
再び第10図を参照すると、高域周波数固定帯域回路に
おいてオーバシュート制限信号が主制御回路118の全波
整流器128から誘導される。安定状態の制御信号の場合
と同様に、この整流信号は組み合わせ装置中のMC3によ
って桔抗され、オーバシュート制限しきい値が安定状態
の存続期間の条件に対して適切なものとなる。適切な交
流及び直流条件が増幅器段133中に設定される。オーバ
シュート制限側の回路の利得は、安定状態の制御回路の
利得よりも小さい。結果としてのオーバシュート制限信
号は、ダイオード装置135によって、さいしゅう平滑回
路124、とりわけ、この平滑回路のコンデンサに結合さ
れる。
移動帯域回路においては、2つのオーバシュート制限
信号、1次及び2次制限信号が用いられる。1次オーバ
シュート制限信号は、組み合わせ装置163中の平滑化さ
れたMC1(MC1によって安定状態の特性が制御される)で
あるMC2によって桔抗されている制御回路整流器162から
誘導され、適切な交流及び直流条件が増幅器段135中に
設定され、ダイオード装置167を経由して最終平滑回
路、とりわけ、この平滑回路のコンデンサに結合され
る。固定帯域の場合と同様に、オーバシュート制限側の
回路の利得は、単位1よりも小さい。固定帯域の場合の
状況と異なり、制御回路中の信号とMC1との間に一定若
しくは好ましい位相関係が存在しないので、MC2を作り
出すための平滑化が必要であるが、この平滑化によって
信頼度の高い効果的な抵抗作用を生じさせることが可能
になる。
1次オーバシュート制限回路のこの効果は殆どの過渡
的信号状況、すなわち、単独の衝撃性又は突発的な信号
に対して、副しきい値信号レベルから始めて最大化され
ることが好ましい。1次オーバシュート制限信号が誘導
される方法に原因して、オーバシュート制限信号の振幅
は、周波数が上昇するに従って制御信号の振幅よりも早
く下がる。これにより、200Hzから800Hzの領域における
信号に対してオーバシュート制限が不十分となる。これ
を補償するために、固定帯域回路オーバシュート制限の
1部分が移動帯域制御回路に対して供給される。この補
足的信号を移動帯域2次オーバシュート制御信号と呼
ぶ。
これらの固定帯域及び移動帯域制御回路(それぞれ15
6及び118)には更に、「駐車(“parking")」機能が含
まれている。移動帯域回路156においては、駐車回路176
が結合ダイオード178によって第2の積分器168に結合さ
れている。固定帯域回路118においては、駐車回路180が
結合ダイオード182によって第2の積分器124に結合され
ている。これらの駐車回路は、大まかに言って、アメリ
カ合衆国特許第4,736,433号中に叙述されている駐車回
路と同じ方法である。固定帯域回路の駐車回路180によ
って平滑化回路124中のコンデンサへの充電が行われ、
制御回路がそのしきい値の僅か下の値に保たれる。移動
帯域回路の駐車回路176もこれと同じ方法で動作し、移
動帯域フィルタの境界周波数が特定の周波数より下に下
がるのを防ぐ。これらの駐車回路の効果は、制御回路を
更に迅速に反応できるようにすることで、或る信号条件
下での雑音低減性能及び過渡応答特性を改善することで
ある。移動帯域においては、駐車回路によって、移動帯
域の境界周波数がこの回路の入力フィルタの境界周波数
よりも僅かに上に固定される。
第12図には、低域周波数固定帯域副段28(第7A図)の
安定状態及び過渡制御の局面が示されている。高域周波
数固定帯域副段の場合と同じように、素子を決定する基
本的なパラメータにみを示してある。この副段は、第10
図と関連して述べた高域周波数副段の固定帯域回路と類
似している。
第12図を参照すると、入力信号は、200Hz帯域決定低
域通過フィルタ(このフィルタの位置は作用置換副段の
フィルタの位置とは変わっている)を通して、抵抗器18
2及び可変抵抗素子184によって与えられる可変減衰器回
路に印加される。単極400Hz低域通過フィルタ186によっ
て、制御回路の周波数重み付けが行われる。主制御回路
188によってブロック190中の濾波された信号が全波整流
され、その結果としての直流信号は、約15msの時定数を
有する平滑回路によってブロック194中で平滑化され
た、組み合わせ装置192中の変調制御信号MC4によって抵
抗され、最大値選択器回路196の1つの入力に供給され
る。この最大値選択器回路は、高域周波数副段の場合と
同じ目的と動作形態を持っている。
この低域周波数固定帯域副段にもまた、「駐車」機能
が含まれている。駐車回路210は、結合ダイオード212に
よって第2の積分コンデンサ206に結合されている。こ
の駐車回路210は、第10図の固定帯域駐車回路180と同じ
方法で動作する。すなわち、駐車回路210によって平滑
化回路206中のコンデンサへの充電が行われ、制御回路
がそのしきい値の僅か下の値に保たれる。
固定帯域副段の400Hzの周波数で重み付けられた出力
はまた、通過帯域制御回路198に対しても供給される。
ここで制御信号は更に100Hzの単極低域通過フィルタ200
によって重み付けられ、ブロック204中の約15msの時定
数を有する平滑化回路によって平滑されて、最大値選択
器の他の入力に対して供給されて用いられる。これらの
2つの信号の中の大きいものが最終平滑化回路(約300m
sの)206に受け渡され、非線形回路である可変抵抗駆動
回路を経由して固定帯域可変抵抗器184を制御するため
に用いられる。回路208によって、第10図の回路126に類
似の特性が与えられる。
高域周波数副段に大まかに類似している方法で、可変
素子の出力からの平滑化されていない整流信号は、適切
な変調制御信号によって桔抗され、ダイオード装置を経
由して最終平滑化回路、とりわけ、かかる回路の各コン
デンサに対して供給される。
低域周波数の固体帯域副段によって、組み合わせ装置
216中のMC4に対して単純に整流器214の出力を抵抗させ
ることによって1次オーバシュート制限信号が発生され
る。適切な交流及び直流の条件が増幅器214中で設定さ
れ、その後、総合的なオーバシュート制限信号がダイオ
ード装置220を経由して、固定帯域回路の最終平滑化回
路206、とりわけ、かかる回路のコンデンサに対して供
給される。オーバシュート制限側の回路の利得は、安定
状態制御回路の利得よりも小さい。
アメリカ合衆国特許第3,846,719号、アメリカ合衆国
特許第Re28,426号、及びアメリカ合衆国特許第4,490,69
1号中での構成と、これらに基づく商品化実施例(A
型、B型、及びC型のシステム)とにおいて、雑音低減
信号(側路からの)は高レベルの信号条件下で極度に制
限され、減衰されている。低レベルしきい値から始ま
る、これらのシステムを特徴付ける低高調波ひずみと、
低いオーバシュートと、低い変調歪みとは、これらの大
きな制限又は減衰に拠っている。
アメリカ合衆国特許第4,498,055号中で説明されてい
るように、これ程までに低いしきい値とこれ程までに強
力な制限を用いることは、或る条件の下では不必要なこ
とである。とりわけ、雑音低減信号が主通路信号に関し
て同相条件から離れている際には、しきい値を上げるこ
ともできる。更に、所与の周波数において適切な水準の
制限が生じた(望ましい総合的な圧縮法則を作り出すた
めに)後には、信号レベルが上昇するにつれて制限を続
ける必要がなくなる。むしろ、入力信号レベルが上昇す
るにつれて雑音低減信号の水準を上昇させて、主通路信
号レベルの目立った小部分を安定させることができる。
例えば、第10図に関連して直ぐ上で述べた作用置換副
段の固定帯域回路と、第12図及びアメリカ合衆国特許第
4,922,535号の作用置換副段とにおいて、アメリカ合衆
国特許第4,498,055号の示唆を応用することによって、
通過帯域(同相)周波数領域で在来の性能が得られる。
しかし、阻止帯域領域では、制限しきい値を上げること
ができるので、制限の度合いが下がる。
アメリカ合衆国特許第4,922,535号中で論考されてい
るように、移動帯域回路において同様な考慮が適用され
る。B型移動帯域回路(アメリカ合衆国特許第4,490,69
1号中で詳細に叙述されている)において、固定フィル
タの後に可変フィルタが置かれている。これは効果的で
再現性のある構成であることが分かっている。しかし、
通過帯域の外側の周波数では、大きな位相角が生じるの
で、純粋な双極フィルタによって総合的な振幅の減算が
行われる。したがって、ここで用いられてきたフィルタ
の形式は、準双極フィルタ(単極固定フィルタに可変棚
型特性を加えたもの)のみである。
第7A図の構成の実施例においては、可変フィルタの休
止切り替え点と固定フィルタの切り替え点とに1オクタ
ーブの差を有する、同様な構成を用いている。しきい値
より上では特定の周波数で、可変フィルタは、総合的な
(主通路及び側路信号を加えた)圧縮法則を作り出すの
に必要な切り替え周波数へ移動する。入力信号のレベル
が上昇につれ、また、単位1の総合的な利得が得られる
と、可変フィルタを更に移動させる理由がなくなる。こ
の時点で、アメリカ合衆国特許第4,498,055号及びアメ
リカ合衆国特許第4,922,535号中で示唆されている変調
制御構成によって可変フィルタを更に移動させることが
押し進められて、これにより、複号化の間に生じる不必
要な信号変調と雑音低減効果の阻害とが防止される。
固定及び移動帯域の両方での上記の効果は、変調制御
回路と呼ばれる回路によって作り出される。適切に濾波
された、若しくは周波数重み付けされた主通路からの信
号は整流され、或る場合には平滑されて、種々の回路の
制御回路で作り出された制御信号に対抗して供給され
る。その高レベルでの結果によって、回路の制御信号と
変調制御信号との間の平衡若しくは均衡が生み出される
ことになる。この条件の下では、入力信号が上昇するこ
とに伴って適切な可変フィルタの利得の減少と移動が生
じることはない。
アメリカ合衆国特許第4,498,055号中で述べられてい
るように、多重段装置中で変調制御技法を実施する際
に、各回路から変調制御回路を誘導する必要はない。第
13図に、第11図及び第12図の実施例で用いられている変
調制御(MC)信号を誘導するための好ましい構成が示さ
れている。
アメリカ合衆国特許第4,922,535号中で説明されてい
るように、職業用SRシステムでは、MC1からMC8まで命名
されている8つの変調制御信号が用いられている。本発
明のシステムでは、これらの中でMC1からMC3まで及びMC
6の4つの変調制御信号のみが用いられており、これら
は第2段の合計装置(コンプレッサ中の加算器34、及び
エクスパンダ中の加算器32′)から誘導されている。本
発明のシステムでは低域周波数の移動帯域段を用いてい
ないので、MC4及びMC5は必要ない。職業用SRシステムで
は、MC4によって低域周波数の作用置換副段の移動帯域
の部分が制御され、MC5は低域周波数の移動帯域のオー
バシュート制限回路を制御するために用いられる。しか
し、変調制御信号の番号付けの順番での抜けによる混乱
を防ぐために、当出願においては職業用SRシステムのMC
6をMC4と呼ぶ。したがって、当出願におけるMC4は、職
業用SRシステムのMC6とは同じものではない。
第13図には、変調制御回路の更なる詳細が示されてい
る。MC3は高域周波数副段24及び26(第7A図)に対して
用いられ、MC4は低域周波数副段26(第7A図)に対して
用いられる。
MC3によって高域周波数移動帯域回路が制御される。
立上がり点からの信号は、それぞれ約200Hzと400Hzの境
界周波数を持つ直列接続された単極の低域周波数のフィ
ルタ258及び260によって重み付けられ、ブロック262中
で整流され、高域周波数固定帯域回路の安定状態及び過
渡制御(オーバシュート制限)回路の両方に逆位相で供
給される。
MC4によって低域周波数固定帯域副段が制御される。
立上がり点からの信号は、それぞれ約200Hzと400Hzの境
界周波数を持つ直列接続された単極の低域周波数フィル
タ264及び266によって重み付けられ、ブロック268中で
整流され、低域周波数固定帯域副段の安定状態及び過渡
制御(オーバシュート制限)回路の両方に逆位相で供給
される。
変調制御体系の副作用として、高信号レベルにおいて
側路からの雑音低減信号の振幅が、変調制御を用いない
A型、B型、及びC型のシステムにおける状況と比較し
て高いことが挙げられる。このため、前に挙げたシステ
ムにおける(例えば、アメリカ合衆国特許第1Re 28,42
6号の第4図におけるクリッパ・ダイオード)ような単
純なオーバシュート制限のダイオードを用いることはで
きない。したがって、職業用SRシステム及びアメリカ合
衆国特許第4,922,535号中のように、迅速ではあるが制
御された形で制御回路の立上がり時間を低減させるため
に、安定状態制御回路の部分にオーバシュート制限側面
回路を並列に用いる。
第14図には、直列のI型2重通路段2つを有する、本
発明によるコンプレッサの代替的な実施例が示されてい
る。第7A図の実施例におけると同じように、直列の2重
線形回路のしきい値は、アメリカ合衆国特許第4,490,69
1号の動的作用食い違い局面を用いて、直列の2重線形
回路のしきい値が食い違いになっている。これに替え
て、II型構成を用いることもできる。第14図の実施例で
はまた、アメリカ合衆国特許第4,490,691号のスペクト
ル非対称化と飽和防止局面をも用いている。2重通路若
しくは単一通路構成を用いて本発明を実施することもで
きるが、2重通路は上で論じたように或る種の利点を備
えているので、2重通路を実施する方が好ましい。デコ
ーダは、エンコーダに対して相補的であり、エンコーダ
を高利得増幅器の帰還ループ中に配置する周知の技法、
若しくは、第7A図の構成の方法で実現できる。
第7図及び第14図中の対応する素子には関連する参照
番号を付してあるが、第14図の参照番号は第7図で用い
られている番号に300を加えてある。第14図のシステム
のコンプレッサ部分には2つの段、すなわち、高いしき
い値を有する高レベル段310と、低いしきい値を有する
低レベル段312とが具えられている。低レベル段には、
高域周波数作用置換副段326のみが具えられ、低域周波
数副段はない。高域周波数副段324及び326の各々は、第
9A図から第9C図までに関連して大まかに、第7図及び第
10図に関連して更に明確に述べた形式のものである。高
域周波数副段324には、高域周波数移動帯域素子346及び
高域周波数固定帯域素子348が含まれ、高域周波数副段3
26には、高域周波数移動帯域素子350及び高域周波数固
定帯域素子352が含まれている。低域周波数副段328は、
第16図に関連して述べた形式のものである。実際の回路
においては、高域周波数副段324と326との間には、高域
周波数の段と低域周波数の段におけるそれぞれの位置の
結果として幾らかの差異がある。この差異については、
第15図の実施例を論考する際に注意を払う。
もし高域周波数作用置換コンプレッサ副段(324及び3
26)の各々、及び相補的エクスパンダ中の高域周波数作
用置換エクスパンダ副段(図示されていない)の各々
に、例えば、それぞれ12dBの圧縮又は伸長が備えられ、
また、もし低域周波数固定帯域コンプレッサ副段328、
及び相補的エクスパンダ中の低域周波数固定帯域エクス
パンダ副段に、例えば、それぞれ10dBの圧縮又は伸長が
備えられているとすれば、第14図のコンプレッサ及びそ
の相補的エクスパンダを用いるコンパンダ・システムの
総合的によって、高域周波数帯域(もし高域周波数副段
324及び426に400Hzの遮断周波数が備えられているとす
れば、400Hzの領域より上)で24dB、低域周波数帯域
(もし低域周波数副段328に200Hzの遮断周波数が備えら
れているとすれば、200Hzの領域より下)で10dBの雑音
低減が与えられる。かかる構成は、例えば第7A図の実施
例で有用であるように、民生及び準職業用途で使用され
る形式の高品質オーディオ雑音低減システムにおいても
有用である。
このシステムのコンプレッサ部分に対する入力は、ブ
ロック340として示されている低域周波数スペクトル非
対象化ネットワークに印加される。実際には、このネッ
トワークは、800Hzの極を有し32Hzで0(深さ約8dB)と
なる低域通過単極棚型部である。このスペクトル非対称
化ネットワークは、f0=32Hz、f1=80Hzであるとして、
実質的に以下の形のラプラス領域での電圧変換関数を有
する。
すなわち、 周知の演算増幅器能動フィルタ技法を用いて、このネッ
トワークを実現できることもできる。相補的なスペクト
ル非対称化回復ネットワークは、エクスパンダ(図示さ
れていない)中に配置されている。
第14図の実施例高域周波数スペクトル非対称化ネット
ワークは大きな棚型を具え、その作用は第7A図の実施例
よりも高い周波数で開始される。この変化によって、典
型的なカセット・テープが3180μsの低域周波数の記録
等価の結果として飽和する周波数領域において、高い信
号レベルの50Hzで約3dBの減衰が与えられる、より良好
な飽和効果が与えられる。
高域周波数スペクトル非対称化は、それぞれの高域周
波数作用置換副段324及び326に対する入力にあるネット
ワーク342及び344によって得られる。実際には、12.8kH
zの境界周波数を有するネットワーク324とネットワーク
344は、同じ境界周波数を有する双極の低域通過フィル
タである。既知の演算増幅器能動フィルタ技法を用いて
これらのネットワークを実現することができる。
高域周波数スペクトル非対称化フィルタをコンプレッ
サの入力から2つの各段の各々の側路入力に再配置する
ことによって、在来のスペクトル非対称化にある幾つか
の欠点なしにスペクトル非対称化の目的を達することが
可能になる。先ず、媒体の顕著な誤差が生じ易い周波数
において信号に対する感度を下げる当初の目的は、単純
にかかる周波数において側路に対して入力を減衰させる
ことによって達成される。これによって、在来のスペク
トル非対称化と同様の形の信号の周波数重み付けが得ら
れる。適切な増幅器の負帰還ループ中にコンプレッサを
配置することによって安定なエクスパンダを作るよう
に、高域周波数で棚型特性を持たせるためには第7A図に
示される在来のスペクトル非対称化が必要となる。この
棚型特性によって、ここで得られるスペクトル非対称化
の量が制限される。かかる制限は側路のスペクトル非対
称化の場合には適用せず、第14図のスペクトル非対称化
ネットワーク342及び344はそれぞれ単純な単極及び双極
低域通過フィルタである。かかるフィルタの効果は周波
数が上昇するにつれて増大し続けるが、それによって総
合的なコンプレッサ利得を単位1よりも下げることはあ
り得ないので、かかるフィルタを用いることができる。
非棚型フィルタを側路スペクトル非対称化に用いるこ
とができることによって、周波数が上昇するにつれてス
ペクトル非対称化の量を増大させる重要な性能上の長所
が発揮される。例えば、バイアス効果を低減する側路ス
ペクトル非対称化の優れた能力について考えてみよう。
高品質のテープ・レコーダは総て、通常民生用では60kH
zと250kHzの間の何れかの周波数の大振幅の超音波バイ
アス信号を用いて、記録過程の線形化を図っている。も
しこのバイアス信号が雑音低減処理装置に入ると、これ
によってコンプレッサ特性が実質的に変化させられる。
バイアス発生器は、通常、テープ・レコーダが再生を行
っている時には動作せず、その際雑音低減回路は複号化
状態にあるので、バイアスによってエクスパンダの特性
が変化させられることはない。正常なエクスパンダはバ
イアスで変化させられたコンプレッサ特性に追従するこ
とはできず、その結果、符号化・複号化の重大な追従不
良が生じる。たとえエクスパンダが動作している時にバ
イアス信号が存在していたとしても(例えば、記録中に
テープからのモニタを行う3ヘッド式のテープ・レコー
ダにおけるように)、コンプレッサ及びエクスパンダへ
のバイアス漏洩の量(バイアス効果)がコンプレッサ及
びエクスパンダにおける量と正確に同等となる可能性は
低いので、依然として追従不良が存在することになる。
バイアスがコンプレッサ及びエクスパンダへ入るのを
防ぐために、同調式トラップを含む種々のフィルタ技法
が用いられている。これらのフィルタによって、音質が
低下(リンギングによって)することがあり、記録可能
な帯域幅を狭められることもある。上で述べたような単
極又は双極低域通過特性を有する側路スペクトル非対称
化はバイアス周波数において大量の減衰を与えるので、
かかる回路によってコンプレッサ及びエクスパンダのバ
イアス妨害に対する耐性が大幅に改善される。高域周波
数および低域周波数での側路スペクトル非対称化によっ
てまた、FM多重パイロット音や低域周波数のフリッカ雑
音といった、その他の形態の信号によって引き起こされ
るコンプレッサ・エクスパンダの追従不良も改善され
る。バイアス妨害を防止する以外の他の理由のためにも
入力の帯域幅を制限するフィルタを用いることは良い習
慣ではあるのでフィルタを維持すべきではあるが、この
フィルタはオーディオ帯域の通常の限界よりも遥かに離
れた境界周波数を有する単極帯域通過特性のものである
べきである。
在来の形で動作する雑音低減回路に対する付属品とし
て働く代わりに、側路スペクトル非対称化回路は雑音低
減回路に十分に総合されて、雑音低減回路の動作する方
法を変化させる。スペクトル非対称化回路によって、そ
れが動作する周波数領域中での側路信号が減衰され、そ
の結果、かかる周波数で得られる圧縮が低減される。代
って、これによりせん頭圧縮率が低減され、その結果、
追従不良が低減される。更に、主通路の減衰がないの
で、側路スペクトル非対称化によって、在来のスペクト
ル非対称化にあるようなコンプレッサ終了点のレベルの
上昇はなくなる。事実、コンプレッサ終了点のレベルは
周波数の上昇と共に次第に下がり、民生用テープ機器に
おいて望ましい特徴であるテープの飽和するレベルもま
た周波数の上昇と共に次第に下がる。
スペクトル非対称化を側路に配置することの更なる利
点は、この配列によってコンプレッサに利益がもたらさ
れると同時にエクスパンダにも利益があることである。
第7A図に示されるエクスパンダにおいて、スペクトル非
対称化回復回路はエクスパンダの出力にあり、その結
果、外来信号がエクスパンダ制御信号に寄与して、それ
によってエクスパンダの特性が改変されるのを防ぐ。側
路スペクトル非対称化によって、コンプレッサ及びエク
スパンダの両方の中の制御信号に対する外来信号の寄与
が防止され、その結果、コンプレッサから出てきた信号
に加えての信号がエクスパンダの入力に存在する用途で
の雑音低減システムの精度が高められる。
側路スペクトル非対称化はその位置のために高レベル
において動作しなくなるので、媒体に対して与えられる
レベルが減少し、その結果、レベル依存性の媒体の誤差
(テープの飽和のような)が生じる可能性が下がる。主
通路中に印加される飽和防止の量を増大させることによ
って、この不全を修復できる。飽和防止の量を増大させ
ることによって、圧縮率が増大し、その結果、側路スペ
クトル非対称化を用いる利点の幾分かが損なわれる。し
かし、第14図の構成によって、周波数領域、及び飽和防
止の量が、周波数領域、及びスペクトル非対称化の量か
ら完全に独立のものとなり、これによって、種々の用途
に対して回路特性を適正化すべく種々のパラメータの平
衡を取ることが可能となる。第14図及び第15図に示され
るパラメータは高品質のコンパクト・カセット・レコー
ダに用いるべく適正化されている。
エクスパンダの側路中の同一のネットワーク(図示さ
れていない)によって、相補的なスペクトル非対称化回
復が行われる。
高レベル及び低レベル段310及び312の主通路には、そ
れぞれの高域周波数飽和防止ネットワーク356及び358が
含まれている。飽和防止ネットワーク356は、f8=6,000
Hz、f9=12,000Hzであるとして、実質的に以下の形のラ
プラス領域での電圧変換関数を有する。
すなわち、 飽和防止ネットワーク358は、f6=5,000Hz、f7=15,0
00Hzであるとして。実質的に以下の形のラプラス領域で
の電圧変換関数を有する。
すなわち、 相補的な飽和防止ネットワークは、エクスパンダ(図
示されていない)中に配置されている。2つの飽和防止
ネットワークを用い、第10図の単一の飽和防止ネットワ
ークに関してネットワークの遮断周波数を変更すること
によって、飽和防止の応答特性が改良され、第14図の実
施例のスペクトル非対称化ネットワーク構成によって作
り出される飽和防止の減少が補償される。
第14図のI型段にはまた、それぞれの主通路を具える
高レベル及び低レベル段310及び312の出力を組み合わせ
る合計装置332及び334が含まれている。第14図にはま
た、変調制御信号MC3を作用置換副段素子346、348、35
0、及び352に対して、変調制御信号MC4を低域周波数固
定帯域副段328に対して印加する、変調制御回路もブロ
ック354として示されている。
動作に際して、第14図の実施例の作用置換副段は、第
7A図に関連して述べたのと同じ方法で動作する。しか
し、上で述べたように、第14図から第17図までの実施例
の積み重ね構成では、移動帯域素子制御信号の微分誘導
を用いている。
第15図には、高域周波数副段(324及び326)の実施例
が示され、回路の安定状態及び過渡状態の制御の両方の
局面が表されている。以下で述べる差異に加えて、交流
及び直流回路の利得が低レベル段に関して増加している
という点で高レベルと低レベル段とは異なっている。他
の概念図の場合と同様に、この図では、基本的なパラメ
ータを決定する素子のみが示されており、実際の回路で
は、勿論、緩衝、増幅、及び減衰といったその他のパラ
メータが含まれる。精密さと簡略化の目的で、第15図と
第10図との間の差異についてのみ述べることとする。第
15図と第10図の対応する素子では、関連する番号が付し
てあるが、第10図の参照番号に対して第15図の参照番号
には300を加えてある。
第15図の実施例では、第10図の高域周波数帯域決定フ
ィルタ102には、高域周波数スペクトル非対称化ネット
ワーク342及び344(第14図)が含まれている。組み合わ
された帯域決定及びスペクトル非対称化ネットワーク
は、ブロック403として示されている。高レベル段高域
周波数の副段の入力フィルタは、f1=406Hz、f2=12,60
0Hzであるとして、実質的に以下の形のラプラス領域で
の電圧変換関数を有する。
すなわち、 低レベル段の高域周波数の副段の入力フィルタは、f1
406Hz、f2=13,300Hz、Q=0.88であるとして、実質的
に以下の形のラプラス領域での電圧変換関数を有する。
すなわち、 移動帯域素子制御信号の微分誘導を行うために、抵抗
器408と可変素子410との接合点における固定帯域素子の
出力は、移動帯域素子制御回路に対して供給される信号
から組み合わせ装置459中で除される。移動帯域制御信
号を微分誘導することによって、移動帯域のしきい値が
効果的に上昇させられ、移動帯域が雑音によって誤って
制御されるのが防がれる。低信号レベルにおいて、固定
帯域制御素子410で発生される微分電圧(かかる条件の
下で比較的高い値を有する)は、顕著であり、したがっ
て、組み合わせ装置459の出力の信号の振幅(したがっ
て、移動帯域素子制御信号の振幅)を大幅に減少させ
る。高信号レベルにおいては、固定帯域制御素子410の
値が低い時に、素子410からの微分電圧の効果は少な
く、移動帯域素子制御信号が十分な効果を発揮する。
移動帯域のしきい値を上昇させることについての部分
誘導移動帯域制御信号の有効性は、フィルタ・ネットワ
ーク107を入力から第10図の実施例の固定帯域素子104に
再配置することによって、高域周波数において増強され
る。ここでこのフィルタはブロック409と標識され、固
定帯域及び移動帯域素子との間に配置される。このフィ
ルタの再配置は、固定帯域素子の動作には影響しない。
固定帯域素子制御回路では、依然濾波された信号を受け
取る。固定帯域素子から移動帯域制御素子454の底部端
に対して供給される信号もまた、前と同じように濾波さ
れている。しかし、組み合わせ装置に供給される微分信
号は濾波されない。フィルタ459の下側より上の周波数
ではこの微分信号の振幅(また、それによる移動帯域制
御回路への影響)は、もしフィルタ407が第10図のフィ
ルタの位置にあったならば持ったであろうレベルよりも
12dBまで大きくなる。
第10図の実施例のフィルタ160は、高レベル及び低レ
ベル段の両方とも6kHzの境界周波数を具えるように改変
されている。このフィルタ160はブロック461として示さ
れている。
固定帯域素子の制御回路412において、フィルタ116
(第10図)の境界周波数は約400Hzに上昇されている
(第15図のフィルタ417)。
この素子の制御回路は、8msの時定数回路130及び136
(第10図)を取り除くことによって単純化されている。
その代りに、第15図の実施例においては、最大値選択器
422は平滑化されていない整流信号で動作し、これによ
って160msの時定数回路を従える単一の8msの時定数回路
に信号を供給する。
駐車回路176(第10図)は、第15図の実施例からは省
かれている。
第15図の実施例には、固定帯域及び移動帯域制御信号
の最大振幅を制限するための回路、制限回路477及び486
とこれら回路それぞれの結合ダイオード479及び482とが
付加されている。ここで、駐車回路によって積分器中の
コンデンサの電圧を可変素子426のしきい値より僅か下
に維持することで回路の立上がり時間が改善され、制限
回路によって、復帰時間が改善され、高レベル信号の条
件下でコンデンサの電圧が過剰なレベルに上昇するのを
防ぐことで回路間の両立性が強化される。高レベル信号
が停止すると、コンデンサの電圧は、より低い最低レベ
ルを具えているので、新しい信号の条件に対して適切な
新しいレベルに一層迅速に低下することができる。
第16図には、低域周波数固定帯域副段328(第14図)
の安定状態及び過渡状態が示されている。高域周波数副
段の場合と同様に、基本的なパラメータを決定する素子
のみが示されている。この回路は、第15図に関連して述
べた高域周波数副段固定帯域回路に類似している。精密
さと便宜のために、第16図と第12図との間の差異につい
てのみ述べることとする。第12図及び第16図中の素子に
は関連する参照番号が付してあり、第16図中での参照番
号には第12図中で用いられている番号に300を加えてあ
る。
高域周波数副段の場合と同様に、この制御回路は、最
大値選択器を平滑化されていない整流信号で動作させる
ことによって単純化されている。これにより、最大値選
択器496と300msの時定数回路との間に配置される単一の
15msの時定数回路によって2つの15msの時定数回路194
及び204(第12図)を置換することを可能にする。
第16図ではオーバシュート制限信号の誘導は第12図に
対して変わっている。整流器214及び組み合わせ装置216
(第12図)は省略され、第16図では、オーバシュート信
号は主制御回路488の出力から単純に誘導される。平滑
化素子194(第12図)が第16図では省略されているの
で、この信号はオーバシュート制限信号の適切な源とな
る。
制限回路524とダイオード522とが低域周波数制御信号
の最大振幅を制限すべく付加されている。
第17図には、第14図、第15図、及び第16図で用いられ
る変調制御回路の詳細が更に示されている。MC1からMC3
までは高域周波数副段324及び326(第14図)のために用
いられ、MC4は低域周波数副段328(第14図)のために用
いられる。精密さと便宜のために、第17図と第13図との
間の差異についてのみ述べることとする。第13図及び第
17図中の素子には関連する参照番号が付してあり、第17
図中での参照番号には第13図中で用いられている番号に
300を加えてある。第17図の実施例では、第13図の100Hz
全帯域通過フィルタは省かれている。これに加えて、1m
sの時定数を有する2段積分器256の代わりに、12msの時
定数を有する単一段積分器257が用いられている。
第18図から第20図までには、本発明によるコンプレッ
サの好ましい実施例が示されている。第18図から第20図
までに示されている実施例は第14図から第17図までに示
されている実施例の進化、発展したものであるので、第
14図から第16図までに付随する叙述は第18図から第20図
までに対しても、以下に述べる差異を除いては、同じく
適切である。第14図から第16図まで及び第18図から第20
図までの図中の素子には関連する参照番号が付してあ
り、後者の3つの図中では参照番号に前者の3つの図中
で用いられている番号に文字Aを加えてある。第17図に
は、両方の実施例に関する変調制御信号の誘導が示され
ている。
好ましい実施例(第18図)では、このシステムのコン
プレッサ部分に対する入力は、低域周波数スペクトル非
対称化ブロック340(第14図)に対して印加される代わ
りに、主通路の入力と側路中の高レベル段310Aの入力フ
ィルタとに対して直接印加される。第18図の実施例で
は、低域周波数スペクトル非対称化は、高レベル段310A
中の低域周波数固定帯域328Aの入力に配置されている、
ブロック360Aによって行われる。低域周波数スペクトル
非対称化ネットワークは第18図では別のブロック360Aと
して示されているが、低域周波数固定帯域328(第14
図)に対する入力にある低域周波数決定フィルタ480
(第16図)を、328A(第18図)と同じ位置で帯域通過フ
ィルタ328(第20図)に変更することによって、その機
能を単純に実現することができる。これに替えて、これ
らの低域周波数決定フィルタ及びスペクトル非対称化機
能に対して別のフィルタを用いることもできる。
実施例の実現においては、帯域通過フィルタ490Aの高
域通過(例えば、低域周波数のスペクトル非対称化)部
分は33Hzでの境界周波数を有する単極部であり、低域通
過(例えば、低域周波数の帯域決定)部分は240Hzでの
境界周波数を有する単極部である。後者の周波数は、別
の好ましい値の部品が用いられているので、第14図の実
施例の対応する低域通過フィルタ480の200Hzの境界周波
数とは異なっている。組み合わせの低域周波数帯域決定
及び低域周波数スペクトル非対称化機能を有する、高レ
ベル段310中の低域周波数固定帯域副段328Aの入力フィ
ルタ490Aは、f1=33Hz、f2=240Hzであるとして、実質
的に以下の形のラプラス領域での電圧変換関数を有す
る。
すなわち、 周知の演算増幅器能動フィルタ技法を用いて、このネッ
トワークを実現することができる。エクスパンダの側路
中の同一のネットワーク(図示されていない)によっ
て、相補的なスペクトル非対称化回復が行われる。
第18図の実施例の低域周波数スペクトル非対称化ネッ
トワーク360Aは、第7図及び第14図中の実施例中の対応
するネットワークよりも低い周波数で動作する。しか
し、第18図の実施例の低域周波数スペクトル非対称化ネ
ットワーク360Aの効果は、非常に低い周波数では、フィ
ルタ360Aは棚型特性ではなく単純な高域通過特性を具え
ているので、他の2つの実施例のネットワークの効果よ
りも大きい。この特性上の変化は、複号化状態において
正確な相補的特性を作り出すために作用を制限する必要
のない側路中にこのスペクトル非対称化フィルタを配置
することによって可能になる。
高域周波数スペクトル非対称化は、ネットワーク324A
及び344Aによって行われる。ここでもまた、第18図中に
は別のブロックが示されているが、この回路の実際で
は、第14図中の高域周波数作用置換副段324及び326の各
々の入力において単一の帯域通過フィルタ(第15図中の
403)が、高域周波数スペクトル非対称化ネットワーク
及び作用置換副段の高域周波数帯域決定入力フィルタの
両方として働く、第14図中に示されている構成が用いら
れている。これに替えて、スペクトル非対称化及び高域
周波数帯域決定フィルタの機能を与えるために別個のフ
ィルタを用いることもできる。
第18図の実施例の実際においては、高レベル段310Aの
高域周波数作用置換副段324Aの入力帯域通過フィルタ40
3A(第19図)には、406Hzの境界周波数を持つ単極の高
域通過(高域周波数の帯域決定)特性と、12.6kHzの境
界周波数を持つ単極の低域通過(スペクトル非対称化)
特性とが具えられている。第14図の実施例のブロック40
3中で用いられている対応する周波数とこれらの周波数
との僅かな差異は、異なる好ましい値の部品を用いてい
ることの単純な結果である。高域周波数帯域決定フィル
タと高域周波数スペクトル非対称化との組み合わせの機
能を有する、高レベル段310Aの高域周波数作用置換副段
324Aの入力フィルタ403Aは、f1=406Hz、f2=12,600Hz
であるとして、実質的に以下の形のラプラス領域での電
圧変換関数を有する。
すなわち、 低レベル段312A中の高域周波数作用置換副段326Aに対
する入力帯域通過フィルタ403A(第15図)には、406Hz
の境界周波数を持つ単極の高域通過(高域周波数の帯域
決定)特性と、13.3kHzの境界周波数を持つ双極の低域
通過(スペクトル非対称化)特性とが具えられている。
第14図の実施例のブロック403中で用いられている対応
する周波数とこれらの最初の2つの周波数との僅かな差
異は、異なる好ましい値の部品を用いていることの単純
な結果である。
帯域通過フィルタ403Aのこの低域通過特性の傾斜は、
48kHz以上の周波数においては単極の特性に変化する。
これにより、テープ・レコーダのバイアス周波数のよう
な超音波周波数では、スペクトル非対称化効果が低減さ
れる。しかし、このスペクトル非対称化効果をもってし
ても、第10図の構成に対して第18図の実施例では、バイ
アス又はその他の超音波周波数によって引き起こされる
追随不良を防止する点で、大幅な卓越性が残される。超
音波周波数でのスペクトル非対称化特性の傾斜を下げる
ことの主たる利点は、これによってデコーダの安定性の
余裕が(エンコーダが高利得増幅器の帰還ループ中に配
置されている典型的な形にある際に)増加することであ
る。
高域周波数帯域決定フィルタと高域周波数スペクトル
非対称化との組み合わせの機能を有する、低レベル段31
2Aの高域周波数作用置換副段(326A)の入力フィルタ40
3Aは、f1=406Hz、f2=48,000Hz、f3=13,300Hz、Q=
0.88であるとして、実質的に以下の形のラプラス領域で
の電圧変換関数を有する。
すなわち、 周知の演算増幅器能動フィルタ技法を用いて、このネ
ットワークを実現することができる。エクスパンダの対
応する側路中の同一のネットワーク(図示されていな
い)によって、相補的なスペクトル非対称化回復が行わ
れる。
低レベル及び高レベル段310A及び312Aの主通路には、
それぞれの飽和防止ネットワーク356A及び358Aが含まれ
ている。これら両方のネットワークによって高域周波数
飽和防止作用が与えられ、これに加えて、高レベル段31
0A中の飽和防止ネットワーク356Aによって低域周波数の
飽和防止作用が与えられて、低域周波数スペクトル非対
称化ネットワーク360Aを側路に移動したことにより失わ
れた飽和防止効果が置換される。
組み合わせの低域周波数及び高域周波数の飽和防止ネ
ットワーク356Aは、総合的な帯域通過様の特性を有す
る。低域周波数の飽和防止効果は、150Hzの高域境界周
波数及び60Hzの低域境界周波数を有する単極棚型特性に
よって与えられる。これらの周波数は、第14図の実施例
中で低域周波数スペクトル非対称化ネットワーク340に
用いられている周波数よりも大幅に高い。しかし、低域
周波数スペクトル非対称化ネットワーク340(第14図)
がコンプレッサ入力に配置されているのに対して、飽和
防止ネットワーク356A(第18図)は、側路中の低域周波
数帯域328Aからの減衰されていない低域周波数信号によ
ってその作用が効果を弱めれている主通路中に配置され
ている。上で述べた境界周波数と共に、飽和防止ネット
ワーク356Aの低域周波数の部分によって、信号の総合的
なレベルは、コンプレッサ出力361Aにおいて第14図の実
施例中で低域周波数スペクトル非対称化ネットワーク34
0によって低減されているのとほぼ同じ量まで低減され
る。基準レベル(カセット・テープに関しては200nWb/
m)より5dB高い入力レベルにおいて、飽和防止ネットワ
ーク356Aのこの低域周波数部分によってコンプレッサ出
力361Aにおける信号のレベルは約3dBから5dBまで低減さ
れ、これにより、カセット・テープに関してI.E.C.標準
規格で要求されている厄介な3180μsの低域周波数プリ
エンファシスが効果的に相殺される。高レベルにおいて
は更に大きな低域周波数の飽和防止が与えられ、低レベ
ルにおいてはこの効果は低減される。
高レベル段310A中のブロック356Aの高域周波数飽和防
止効果は、第14図の実施例において用いられている単純
な単極棚型特性の代わりに25kHzのノッチ周波数を有す
る高域周波数のノッチ特性によって与えられる。25kHz
以上では、このノッチ・フィルタの減衰は次第に0に近
付き、これにより、第14図の棚型特性に比較して(エン
コーダが高利得増幅器の帰還ループ中に配置される典型
的な形の時に)デコーダの安定性の余裕の有用性が増加
する。多くの民生用及び準職業用テープ・レコーダで用
いられている通常の記録増幅器の構成では超音波周波数
で応答特性が大幅に低減されているので、上記の結果と
しての超音波周波数における飽和防止効果の量の低減に
よってかかる周波数における顕著なテープの過負荷の問
題を生じることはない。更に、この棚型特性は低レベル
段中に保持されていて、これによってかかる周波数にお
いて約10dBの飽和防止効果が生み出される。
飽和防止ネットワーク356Aは、f1=60Hz、f2=150H
z、f3=25,000Hz、Q=0.707であるとして、実質的に以
下の形のラプラス領域での電圧変換関数を有する。
すなわち、 飽和防止ネットワーク358Aによって低レベル段312A中
の高域周波数の飽和防止が行われるが、このネットワー
クは第14図の実施例における飽和防止ネットワークに類
似の単極棚型ネットワークである。しかし、低域境界周
波数は5kHzから6kHzに移動している。棚型の深さは基本
的に変わっていない。飽和防止ネットワーク358Aは、f6
=6,000Hz、f7=17,600Hzであるとして、実質的に以下
の形のラプラス領域での電圧変換関数を有する。
すなわち、 相補的な飽和防止ネットワークは、エンコーダ(図示さ
れていない)中に配列されている。
第19図には、高レベル段310A及び低レベル段312Aの高
域周波数のそれぞれの作用置換副段324A及び326A(第18
図)の好ましい実施例が、回路の安定状態及び過渡状態
制御の局面を含めて示されている。反復を避けて、第19
図の実施例と第15図の実施例との間の差異についてのみ
論考することにする。第15図及び第19図中の対応する素
子には関連する参照番号を付してあるが、第19図の参照
番号には第15図の参照番号に文字Aを加えてある。
第15図の入力帯域通過フィルタ403と第18図の入力帯
域通過フィルタ403Aとの間の差異については、高域周波
数スペクトル非対称化についての上での叙述に関連して
既に述べられている。
フィルタ461Aの境界周波数は、高レベル段310A(第18
図)中においてのみ6kHzから8kHzに変わっている。低レ
ベル段312A(第18図)中のフィルタ461Aの境界周波数
は、6kHzのままである。これらの境界周波数を食い違い
にすることによって、移動帯域制御回路の雑音に対する
感度と高域周波数の圧縮率との間でのより良い妥協が行
われる。
第15図の固定帯域制御回路中の制限回路486は、第19
図の実施例では省かれている。しかし、移動帯域制御回
路456A(第18図)には、帯域の過剰な移動を防ぐべく制
限回路477Aが保持されている。
信号コンプレッサ及びエクスパンダの多くはレベル依
存性の作用を有するので、これらの作用を基準レベルに
対するレベルで決定付けることが慣習となっている。発
明者の1人(ドルビー)によって発明された装置におけ
る基準レベルは、一般に「ドルビー」レベルと呼ばれ
る。以下の電圧変換方程式には、あらゆるドルビー・レ
ベルに対しても変換関数を計算できるVref項が含まれて
いる。Vref項は、当明細書中の諸所で提示されている変
換関数では省かれているが、1Vr.m.s.のドルビー・レベ
ルに対して有効である。
基準レベルに対するあらゆるレベルにおいて、 f2は、固定帯域棚型フィルタの0周波数=12,800Hz、 f3は、固定帯域棚型フィルタの極周波数=3,200Hz G1Hは、制御回路の利得=200、 Vrefは、r.m.s.基準レベル電圧、 VOSHは、制御素子の偏寄電圧=3.6 であるとして、ラプラス領域での高レベルの高域周波数
の固定帯域コンプレッサは、以下の形の電圧変換関数で
ある。
すなわち、 基準レベルに対するあらゆるレベルにおいて、 f2は、固定帯域棚型フィルタの0周波数=12,800Hz、 f3は、固定帯域棚型フィルタの極周波数=3,200Hz G1Lは、制御回路の利得=663、 Vrefは、r.m.s.基準レベル電圧、 VOSLは、制御素子の偏寄電圧=6.0 であるとして、ラプラス領域での低レベルの高域周波数
の固定帯域コンプレッサは、以下の形の電圧変換関数で
ある。
すなわち、 基準レベルに対するあらゆるレベルにおいて、 f1は、移動帯域可変高域帯域通過棚型フィルタの低域境
界周波数=200Hz、 G2Hは、制御通路利得=1,610、 Vrefは、r.m.s.基準レベル電圧、 Nは、制御素子のべき数=1.5、 ASCHは、側路信号利得=3.05 であるとして、ラプラス領域での高レベルの高域周波数
の移動帯域コンプレッサは、以下の形の電圧変換関数で
ある。
すなわち、 基準レベルに対するあらゆるレベルにおいて、ラプラ
ス領域での低レベルの高域周波数の移動帯域コンプレッ
サは、 f1は、移動帯域可変高域帯域通過棚型フィルタの低域境
界周波数=200Hz、 G2Lは、制御通路利得=4,900、 Vrefは、r.m.s.基準レベル電圧、 Nは、制御素子のべき数=1.5、 ASCLは、側路信号利得=3.4 であるとして、以下の形の電圧変換関数である。
すなわち、 第20図には、回路の安定状態及び過渡状態の制御の局
面を含めて、低域周波数副段328A(第18図)の好ましい
実施例が示されている。第20図の実施例は、以下で論考
する2つの変化を除いて、第16図の実施例と同等であ
る。第16図及び第20図の実施例の対応する素子には関連
する参照番号が付してあるが、第20図の参照番号には第
16図中で用いられている番号に文字Aを加えてある。
第16図の入力低域通過フィルタ480と第20図の帯域通
過フィルタ490Aとの差異については、低域周波数のスペ
クトル非対称化の叙述に関連して既に述べた。
低域周波数の固定帯域制御信号の最大振幅を制限する
ために第16図中で第10図の実施例に加えた制限回路524
及びダイオード522は、不必要であることが分かってい
るので、第20図の実施例からは取り除かれている。
基準レベルに対するあらゆるレベルにおいて、ラプラ
ス領域での低域周波数の固定帯域コンプレッサは、 G1Fは、制御回路の利得=213、 Vrefは、r.m.s.基準レベル電圧、 VOSFは、制御素子の偏寄電圧=6.0 であるとして、以下の形の電圧変換関数である。
すなわち、 第18図、第19図、及び第20図に示される実施例に関す
る変調制御信号は第17図に示されるように誘導されるの
で、これについてはこれ以上論じない。
第21図には、第18図から第20図までに示されるコンプ
レッサのコンピュータ・モデルに関する周波数対出力レ
ベルの曲線が、種々の入力レベルについて描かれてい
る。高レベルと低レベル曲線を比較することで、飽和防
止ネットワーク(高レベル)及びスペクトル非対称化
(低レベル)の総合的特性に対するレベル依存性の影響
が分かる。
第22図には、第18図から第20図までに示されるコンプ
レッサのコンピュータ・モデルに関する圧縮率対入力レ
ベル(第22A図)又は出力レベル(第22B図)の曲線が、
高域周波数帯域中の種々の周波数について描かれてい
る。コンプレッサが広範囲の入力レベルにわたって作用
しているが、誤差が聴感上最も知覚され、レベル依存性
の誤差が生じ易い高レベル(約10dB及びそれ以上)での
コンプレッサの作用は、誤差が聴感上より知覚され難
く、レベル依存性の誤差がより生じ難い中レベル(約−
40dBと約−15dBの間)での作用よりも大幅に小さいこと
が分かる。もし作用があれば雑音によって誤差が生じる
であろう低レベル(約−45dB以下)においても、非常に
小さな作用しかない。
顕著な動的作用を生じる入力レベル(約1.5又はそれ
以上の圧縮率)の範囲は、約−50dBから約−5dB又は−1
0dBまで(約40dBから45dBの範囲)である。これに比し
て、顕著な動的作用を生じる出力レベルの範囲は、約−
30dBから−10dBまで(約20dBの範囲)である。これは、
高域周波数において名目上24dBの圧縮率であることを示
す。更に厳格には、それぞれの入力及び出力曲線下での
区域を比較することによって圧縮を決定する。
第22A図及び第22B図中に示されるように、第18図から
第20図までのコンプレッサは、圧縮された出力レベルの
デシベルで表現して約2倍の範囲のレベルの、広い入力
レベル範囲にわたって作用する。同様な性能は、これ以
外のコンプレッサ及びエクスパンダ構成によって与えら
れ、当明細書中で説明されている。
高及び低入力信号レベルで動的作用を行わない(固定
利得)一方で(例えば、アメリカ合衆国特許第4,736,43
3号中で説明されている「2重線形」特性のように)、
高域周波数においては、総合的な最大圧縮(伸長)率の
顕著な増大を伴うことなく、入力信号レベルの広範囲に
わたって動的作用を行うことが、本発明のコンプレッサ
及びエクスパンダの重要な特質である。本発明で開示さ
れている実施例においては、高レベル及び低レベル段を
食い違いにすることによってこの結果を達成している。
しかし、とりわけディジタル信号処理技法がもし用いら
れるならば、単一段構成に用いることによって同様な結
果を得ることもできよう。したがって、最も広く解釈す
れば、本発明は食い違いの高域周波数段を直列に接続す
る用法には限定されない。
第23図には、第18図から第20図までに示されるコンプ
レッサのコンピュータ・モデルに関する200Hzにおける
入力レベル(第23A図)又は出力レベル(第23B図)対圧
縮率の曲線が描かれている。200Hzにおける信号は、主
としてコンプレッサの低域周波数副段の作用によって影
響されるが、特性作用の重複による高域周波数副段の作
用によっても幾分かは影響される。したがって、200Hz
における圧縮は、低域周波数副段によって与えられる最
大10dBよりも幾分大きい。
第23A図及び第23B図を吟味すると、作用が単一の副段
から主として生じる200Hzといった低域周波数では、コ
ンプレッサは、高域周波数において作用する場合に比し
て、より狭い入力レベルの範囲で作用する。低域周波数
でコンプレッサが作用する中間のレベルはより狭いの
で、極く僅か作用を生じるか若しくは全く作用を生じな
い高レベル及び低レベルの区域はより大きいことが分か
る。かくして、低域周波数におけるコンプレッサは、望
ましい2重線形特性をも示す。高域周波数の区域(第23
A図及び第23B図)での最大圧縮率は約2.4であり、これ
は低域周波数での約1.8乃至1.9の圧縮率よりも目立って
大きくはない。
第18図から第20図までに示されるコンプレッサ、及び
そのエクスパンダは実際には3つの線形集積回路の組で
実現され、これらを単一のチップで実現することが開発
中である。これに加えて、この回路中の総てのパラメー
タが精密な数学的項目によって決定されるという事実
は、これらコンプレッサ及びエクスパンダをディジタル
的に実現することもできることを意味する。もし、例え
ば、記録されるべき信号が既にディジタル形式で存在す
るならば、これらコンプレッサ及びエクスパンダをディ
ジタル的に実現することがとりわけ有用となろう。これ
に替えて、アナログ対ディジタル変換器を用いて、アナ
ログ信号をディジタル化することもできる。ディジタル
信号は、当明細書で述べている数学的定義に従ってディ
ジタル信号を操作べくプログラム化されているディジタ
ル信号コンプレッサを用いて処理されることになろう。
最終的に、数学的に操作された(すなわち、圧縮)信号
は、テープ上に通常の方法で記録されることになるアナ
ログ信号に再変換される。再生においては、再生ヘッド
からの信号は増幅され、ディジタル形式に変換されるこ
とになろう。この信号はディジタル信号プロセッサによ
って数学的に操作されて、必要なエクスパンダ特性が実
現される。再生増幅器中のアナログ信号、若しくはディ
ジタル信号プロセッサ中でディジタル信号に追加の操作
を行うことによって、アナログ信号に対して通常の再生
等化を適用することができよう。最終的に、このディジ
タル信号はアナログ信号に再変換される。
低価格、高品質の、アナログ対ディジタル変換器、デ
ィジタル対アナログ変換器、及びディジタル信号プロセ
ッサ用のチップを開発する膨大な努力が払われているの
で、これらの努力の結果、当明細書で述べているコンプ
レッサ及びエクスパンダの全アナログ式の実現に必要な
非常に複雑な線形集積回路に対しても、究極的に費用上
の利点がもたらされることになろう。
更なる可能性として、総ての信号処理をアナログ領域
で行い、総ての制御回路をディジタル領域で実現するこ
とが挙げられる。
フロントページの続き (72)発明者 ドルビー、レー・ミルトン アメリカ合衆国、94118 カリフォルニ ア州サン・フランシスコ、ジャクソン・ ストリート 3340 (72)発明者 コゼッテ、スタンレー・ジーン アメリカ合衆国、94122 カリフォルニ ア州サン・フランシスコ、トゥエンティ ーナインス・アベニュー 1270 (56)参考文献 特開 昭62−276910(JP,A) 特開 昭57−41015(JP,A) 特開 昭57−41016(JP,A) 特開 昭57−48835(JP,A) 特開 昭63−119327(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03G 5/00 - 11/08

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オーディオ信号のダイナミックレンジを改
    変する回路、即ち、圧縮器又は伸長器であって、 概して約200Hzから下方に伸びる低周波数帯域で約10dB
    に及んで、圧縮器の場合には該オーディオ信号を圧縮
    し、伸長器の場合には該オーディオ信号を伸長する固定
    帯域特性を有する第1副段であって、前記オーディオ信
    号及び固定帯域動的作用回路を濾波する、約200Hzのコ
    ーナ周波数を有する低域濾波器を含む第1副段と、 第2及び第3副段であって、概して約400Hzから上方に
    伸びる高周波数帯域で約24dBに及んで圧縮器の場合には
    該オーディオ信号を圧縮し、伸長器の場合には該オーデ
    ィオ信号を伸長するおのおのが固定帯域・移動帯域作用
    置換特性を有し、前記作用置換回路の各々が固定帯域動
    的作用回路及び移動帯域動的作用回路を有する第2及び
    第3副段と、 前記第1副段が前記第2及び第3副段と並列であり、前
    記第1副段及び前記第2副段の並列結合が前記第2副段
    と直列に縦続接続され、第2及び第3副段の各々の動的
    作用レベルがスタガー回路配列されることからなるダイ
    ナミックレンジ改変装置。
  2. 【請求項2】前記固定帯域第1副段と、前記作用置換第
    2副段又は前記作用置換第3副段のいずれかとが第1段
    を構成し、前記第2又は第3作用置換副段が第2段を構
    成する、請求項1の回路。
  3. 【請求項3】前記第1及び第2段が、それぞれ2重路で
    あり、前記第1段では作用置換副段が第1側路にありか
    つ前記固定帯域副段が第2側路にあり、前記第2段では
    作用置換副段が側路にある、請求項2の回路。
  4. 【請求項4】前記回路が、該作用置換副段の各入力にお
    いて高周波スペクトル非対称化ネットワーク及び低周波
    スペクトル非対称化ネットワークをさらに含む、請求項
    3の回路。
  5. 【請求項5】各スペクトル非対称化ネットワークは、該
    周波数がオーディオ周波数範囲の中心から離れるにつれ
    てその減衰が増大するような特性を有する、請求項4の
    回路。
  6. 【請求項6】前記低周波スペクトル非対称化ネットワー
    クは、約33Hzのコーナ周波数を持つ高域濾波応答を有す
    る、請求項4又は5の回路。
  7. 【請求項7】前記固定帯域第1副段は、その入力路に帯
    域限定フィルタを有し、前記低周波スペクトル非対称化
    ネットワーク及び帯域限定フィルタが単一帯域濾波フィ
    ルタ内に組み合わされる、請求項6の回路。
  8. 【請求項8】前記帯域濾波フィルタは、f1=33Hz、f2
    240Hzであるとき、次式の形のラプラス領域電圧変換関
    数を有する、請求項7の回路。 V0(s)/Vin=(s/2πf1)/(1+s/2πf1)・1/(1+s/2πf2)
  9. 【請求項9】前記高周波スペクトル非対称化ネットワー
    クが、約12.8kHzのコーナ周波数を有する低域濾波フィ
    ルタ応答を有する、請求項4乃至8のいずれか1つの回
    路。
  10. 【請求項10】各作用置換副段はその入力路に帯域限定
    フィルタを有し、各スペクトル非対称化ネットワーク及
    び帯域限定フィルタが単一帯域濾波フィルタ内に組み合
    わされる、請求項9の回路。
  11. 【請求項11】該作用置換副段の1帯域濾波フィルタの
    スペクトル非対称化低域濾波特性が単極フィルタ応答を
    有し、該作用置換副段の他の帯域濾波フィルタのスペク
    トル非対称化低域濾波特性が、特定周波数に及ぶまで双
    極フィルタ応答を有し、その周波数を超えると単極フィ
    ルタ応答を有する、請求項10の回路。
  12. 【請求項12】前記作用置換副段の帯域濾波フィルタ
    は、f1=406Hz、f2=12,600Hzであるとき、次式の形の
    ラプラス領域電圧変換関数を有し、 V0(s)/Vin=(s/2πf1)/(1+s/2πf1)・1/(1+s/2πf2) 前記他の作用置換副段の帯域濾波フィルタは、f1=406H
    z、f2=48,000Hz,f3=13,300,Q=0.88であるとき、次式
    の形のラプラス領域電圧変換関数を有する、請求項11の
    回路。 V0(s)/Vin=(s/2πf1)/(1+s/2πf1)・ (1+s/2πf2)/{1+(s/Q2πf3)+ (s/2πf3
  13. 【請求項13】圧縮器の場合には前記第1段は、その主
    路に低周波反飽和ネットワーク及び第1高周波反飽和ネ
    ットワークをさらに含み、前記第2段は、その主路に第
    2高周波反飽和ネットワークをさらに含み、伸長器の場
    合には前記第1段は、該圧縮器の第1段の対応する反飽
    和ネットワークのものと相補的な特性を有する低周波反
    飽和ネットワークと、その主路において該圧縮器の第1
    段の対応する反飽和ネットワークのものと相補的な特性
    を有する第1高周波反飽和ネットワークとをさらに有
    し、前記第2段はその主路に該圧縮器の第2段の反飽和
    ネットワークのものと相補的な特性を有する第2高周波
    反飽和ネットワークをさらに含む、請求項3乃至12のい
    ずれか1つの回路。
  14. 【請求項14】圧縮器の場合には 前記低周波反飽和ネットワークは高域濾波棚状応答を有
    し、 前記第2高周波反飽和ネットワークは低域濾波棚状応答
    を有し、 伸長器の場合には、 前記低周波反飽和ネットワークは高域濾波棚状応答と相
    補的応答を有し、 前記第2高周波反飽和ネットワークは低域濾波棚状応答
    と相補的応答を有する、請求項13の回路。
  15. 【請求項15】圧縮器の場合には前記低周波反飽和ネッ
    トワークは、f1=60Hz、f2=150Hzであるとき、次式の
    形のラプラス領域電圧変換関数を有し、 V0(s)/Vin(s)=2πf1/2πf2・(1+s/2πf1)/(1+s/2πf2) 前記第2高周波反飽和ネットワークは、f6=6000Hz、f7
    =17,600Hzであるとき、次式の形のラプラス領域電圧変
    換関数を有し、 V0(s)/Vin(s)=(1+s/2πf6)/(1+s/2πf7) 伸長器の場合には前記低周波反飽和ネットワーク及び前
    記第2高周波反飽和ネットワークはそれぞれ圧縮器の反
    飽和ネットワークに相当するそれと相補的な電圧変換関
    数を有する、請求項14の回路。
  16. 【請求項16】各作用置換副段は、該固定帯域回路の入
    力路に位置する該固定帯域回路の感度を低減させる感度
    低減フィルタを含む、請求項1乃至15のいずれか1つの
    回路。
  17. 【請求項17】各作用置換段で固定帯域回路及び移動帯
    域回路の各々がその動的作用を制御する制御回路を有
    し、該移動帯域制御回路の入力が該移動帯域回路の出力
    から得られ、固定帯域制御回路の入力が、該固定帯域制
    御回路の感度を低減させる感度低減フィルタを通して固
    定帯域回路の出力から得られる、請求項1乃至15のいず
    れか1つの回路。
  18. 【請求項18】該感度低減フィルタが棚状応答を有する
    低域濾波フィルタである、請求項16又は17の回路。
  19. 【請求項19】該感度低減フィルタは、f2がフィルタ零
    周波数で、f3がフィルタ極周波数であるとき、次式の形
    のラプラス領域電圧変換関数を有する、請求項18の回
    路。 V0(s)/Vin(s)=(1+s/2πf2)/(1+s/2πf3
  20. 【請求項20】該感度低減フィルタの極周波数が約3.2k
    Hzであり、該感度低減フィルタの零周波数が約12.8kHz
    である、請求項19の回路。
  21. 【請求項21】各作用置換副段において、 該固定帯域回路及び移動帯域回路がそれぞれ該回路の動
    的作用を決める可変要素を有し、該変要素が制御回路に
    より制御され、 該固定回路の該可変要素と制御回路の組合せが、指数特
    性を有し、 該移動帯域回路の該可変要素と制御回路の組合せが固定
    冪指数法則特性を有する請求項1乃至20のいずれか1つ
    の回路。
  22. 【請求項22】各作用置換副段において該固定帯域回路
    の該制御回路及び該移動回路の該制御回路がそれぞれ制
    御信号を発生させると共に該制御信号の最大振幅レベル
    を限定する手段を含む、請求項21の回路。
  23. 【請求項23】各作用置換副段において、 該可変要素及び各固定帯域回路の制御回路が、オフセッ
    ト電圧をさらに含み、 f2=固定帯域緩傾斜フィルタ零周波数 f3=固定帯域緩傾斜フィルタ極周波数 G1=高周波固定帯域制御回路利得 Vrcf=RMS基準レベル電圧 VOS=可変要素及び制御回路オフセット電圧のときに
    は、 各固定帯域回路が次式の形のラプラス領域電圧変換関数
    を有し、 V0(s)/Vin(s)=1/1+ exp(G1V0(s)/Vref−VOS)・ (1+s/2πf2)/(1+s/2πf3) f1=移動帯域可変高周波濾波緩傾斜フィルタ G2=移動帯域制御回路利得 Vref=RMS基準レペル電圧 N=移動帯域可変要素及び制御回路の固定冪指数 ASC=側路の信号利得のときには、 各移動帯域回路が次式の形のラプラス領域電圧変換関数
    を有し、 V0(s)/Vin(s)=(s+2πf1)ASC/{s+2πf1[(G2V0(s)/Vref)+1]} GIF=制御回路利得 Vref=RMS基準レベル電圧 VOSF=制御要素オフセット電圧のときには、 固定帯域副段の可変要素及び制御回路がオフセット電圧
    をさらに含み、 固定帯域副段が次式の形のラプラス領域電圧変換関数を
    有する、請求項16及び21の組合せ回路。 V0(s)/Vin(s)=1/{1+exp[(GIFV0(s)/Vrcf-VOSF]}
  24. 【請求項24】パラメータ値が下記の通りである、請求
    項23の回路。 f1=200Hz,f2=12,800Hz,f3=3,2000 G1=200(第1段) =663(第2段) G2=1,610(第1段) =4,900(第2段) VOS=3.6V(第1段) =6.0V(第2段) N=1.5 ASC=3.05(第1段) =3.4(第2段) GIF=213 VOSF=6.0
  25. 【請求項25】各可変要素が線形特性を有し、各それぞ
    れの制御回路が所望の指数又は固定冪指数特性を有す
    る、請求項21乃至24のいずれか1つの回路。
  26. 【請求項26】請求項1.オーディオ信号のダイナミック
    レンジを改変する方法、即ち、圧縮又は伸長する方法で
    あって、 概して約200Hzから下方に伸びる低周波数帯域で約10dB
    に及んで、圧縮する場合には該オーディオ信号を圧縮
    し、伸長する場合には該オーディオ信号を伸長する固定
    帯域特性を有する第1副段であって、前記オーディオ信
    号及び固定帯域動的作用回路を濾波する、約200Hzのコ
    ーナ周波数を有する低域濾波器を含む第1副段と、 第2及び第3副段であって、概して約400Hzから上方に
    伸びる高周波数帯域で約24dBに及んで圧縮する場合には
    該オーディオ信号を圧縮し、伸長する場合には該オーデ
    ィオ信号を伸長するおのおのが固定帯域・移動帯域作用
    置換特性を有し、前記作用置換回路の各々が固定帯域動
    的作用回路及び移動帯域動的作用回路を有する第2及び
    第3副段と、 前記第1副段が前記第2及び第3副段と並列であり、前
    記第1副段及び前記第2副段の並列結合が前記第2副段
    と直列に縦続接続され、第2及び第3副段の各々の動的
    作用レベルがスタガー回路配列されることからなるダイ
    ナミックレンジ改変方法。
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