JP2752837B2 - 水産加工用原料魚の処理方法及びそのための処理剤 - Google Patents

水産加工用原料魚の処理方法及びそのための処理剤

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JP2752837B2
JP2752837B2 JP4087342A JP8734292A JP2752837B2 JP 2752837 B2 JP2752837 B2 JP 2752837B2 JP 4087342 A JP4087342 A JP 4087342A JP 8734292 A JP8734292 A JP 8734292A JP 2752837 B2 JP2752837 B2 JP 2752837B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水産練り製品、冷凍食
品、惣菜類等に使用される水産加工用原料魚に適用可能
な処理方法及びそのための処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、スケトウタラ、南方タラ等の
タラ類、メルルーサ類、ニシン類、サバ類、イワシ類、
アジ類、サケ類等の多獲性魚類は、例えばすり身原料魚
として広く使用されている。また、これらを原材料とし
たすり身は、生すり身、冷凍すり身として、水産練り製
品、冷凍食品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、惣菜類等に
利用されている。
【0003】ここで、図1に基づき、現在行われている
水産加工用原料魚の処理方法の一例について簡単に説明
する。通常、漁船等によって捕獲された原料魚1は、船
内にて一旦冷凍して保存される。そして、原料魚1は解
凍された後、頭部、内臓等の不可食部分を除去する前処
理工程を経ることによって、ドレスまたはフィレ2の状
態になる。この後、ドレスまたはフィレ2はローラ式ま
たはスタンプ式の採肉機にかけられる。この採肉工程に
よって、約数ミリ大の粒状魚肉片(落とし身)3が製造
される。
【0004】更に、前記落とし身3は1回乃至数回水に
晒され、この水晒し工程により魚肉中の血液及び脂肪等
が除去される。また、前記水晒し工程の後、落とし身3
は回転篩、スクリュープレス等により脱水される。そし
て、添加剤が添加された魚肉は、擂潰、塩ずり、仕上げ
ずり等の工程を経て、すり身製品P1 または冷凍すり身
製品P2 となる。尚、前記水晒し以降の工程は、一般に
すり身加工と呼ばれるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記水晒し
によって魚肉を漂白(脱色)するためには、イオンの少
ない水を多量に用い、長時間にわたって魚肉の処理を行
う必要がある。そのため、製造コスト及び製造効率の観
点からみて不利である。また、水晒しに必要な脱イオン
水を魚船内に多量に確保しておくことは、技術的にもコ
スト的にも極めて困難である。
【0006】更に、近年にあっては水晒しによる前記方
法以外の方法として、薬剤を用いて魚肉の漂白を行う方
法、または薬剤処理と水晒しとを併用する方法等が提案
されている。そして、この種の薬剤としては、例えば、
脂肪酸エステル、糖アルコール、油脂、蛋白質等の乳化
剤や、オゾン、次亜塩素酸類、過酸化水素等の酸化剤等
が知られている。
【0007】しかし、この種の薬剤の処理はタラ類のよ
うな白身魚では比較的有効である反面、ニシン類、イワ
シ類、サバ類等ではさほど有効ではない。従って、魚肉
を確実に漂白するためには多量の薬剤を用いる必要があ
り、コスト的に不利になる。
【0008】ところが、次亜塩素酸類のような薬剤を多
量に使用した場合、魚肉の黄色化、テクスチャーの悪化
または塩素臭の残留というように、魚肉の品質が著しく
損なわれる。また、過酸化水素にあってはガンを誘発さ
せる虞れがあるため、食品安全性の観点から事実上使用
が禁止されているという事情がある。更に、オゾンにあ
っては、魚肉の黄色化、薬剤臭の残留といった問題は生
じないものの、取扱いが難しいという問題等がある。
【0009】上記事情に鑑み発明者らが鋭意研究を重ね
たところ、特定の薬剤を組み合わせて使用することによ
り、どのような魚種であっても魚肉の品質劣化を伴うこ
となく確実に魚肉を漂白・脱色することができるという
結果を得た。しかも、所定濃度のオゾンと、所定濃度の
次亜ハロゲン酸またはその塩とを含む処理剤を用いて魚
肉を処理することにより、特に好適な結果が得られるこ
とを知見した。そこで、本発明者らはこの知見に基づき
本発明を完成させた。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明では、オ
ゾンと、次亜ハロゲン酸(HXO,但しXはハロゲン)
またはその塩(MeXO,但しMeは金属)とを含有す
る水産加工用原料魚のための処理剤としている。
【0011】また、水産加工用原料魚から採取される原
料魚の可食部分を、オゾンと、次亜ハロゲン酸(HX
O,但しXはハロゲン)またはその塩(MeXO,但し
Meは金属)とを含有する水溶液で処理することとして
いる。
【0012】本発明によると、上記薬剤に由来するであ
ろう発生期の酸素によって、可食部分中の血液及び脂肪
等の不純物が酸化・除去され、魚肉の漂白及び脱色を確
実に行うことができる。この場合、両薬剤間における何
らかの化学的相互作用によって、魚肉の黄色化、テクス
チャーの悪化及び薬剤臭の残留というような魚肉の品質
劣化が防止される。また、漂白性が向上するため、水晒
しに必要な水の量を従来の方法に比して低減することも
可能になる。
【0013】更に、本発明の処理方法及び処理剤は、サ
バ類、タラ類、イワシ類、サンマ類、ハマチ類、サケ
類、マス類、ニシン類、アジ類、メルルーサ類等に適用
することができる。即ち、従来のように特定の魚種にし
か適用できないということはなく、白身魚にも青身魚に
も充分に適用することができる。
【0014】以下に、本発明の水産加工用原料魚の処理
方法及びそのための処理剤について更に詳細に説明す
る。前記処理剤にはオゾンと、次亜ハロゲン酸(HX
O,但しXはハロゲン)またはその塩(MeXO,但し
Meは金属)とが含まれている。
【0015】オゾンは、水に可溶でかつ極めて強い酸化
力を有する気体であり、例えば乾燥した酸素中で放電を
行うことによって得られる。また、前記次亜ハロゲン酸
とは、次亜塩素酸(HClO)、次亜臭素酸(HBr
O)、次亜ヨウ素酸(HIO)等をいい、次亜ハロゲン
酸塩とは、それらの金属化合物をいうものである。前記
次亜ハロゲン酸塩を構成する金属Meとしては、例えば
K,Na等のようなアルカリ金属、Ca,Sr,Ba等
のようなアルカリ土類金属等がある。
【0016】例えば、この種のものの代表例である次亜
塩素酸(HClO)は、水溶液としてのみ存在し、その
水溶液は強い酸化作用を有している。前記次亜塩素酸
は、例えば酸化水銀を四塩化炭素に懸濁し、塩素を通じ
てから水で処理することによって得られる。また、その
カルシウム塩である次亜塩素酸カルシウムは、極めて強
い漂白作用及び殺菌作用を有し、一般にはさらし粉の主
成分として知られている。
【0017】前記各物質はイオンを多く含まない水(軟
水)に溶解されることが好ましく、更には脱イオン水に
溶解されることが良い。これは、水に含まれる各種イオ
ンにより魚肉が影響を受けることを防止するためであ
る。
【0018】そして、この処理剤の水溶液中には、1×
10-3ppm〜50ppmのオゾンと、10ppm〜1
×105 ppmの次亜ハロゲン酸またはその塩(正確に
は有効塩素濃度)とが含有されることが望ましい。
【0019】これらの物質の含有量が前記範囲未満であ
ると、魚肉を充分に漂白及び脱色することができない。
一方、前記範囲を越えると、処理剤のコストが高くなり
好適でない。尚、前記オゾンの濃度は0.05ppm〜
5ppm程度で、次亜ハロゲン酸またはその塩の濃度は
100ppm〜1×104 ppm程度であることがより
好ましい。
【0020】次に、前記水溶液の処理方法及び処理時期
について、先に示した図1を参照しながら説明する。図
1に示すように、原料魚1は前処理工程を経ることによ
って、不可食部分のみが除去され、ドレスまたはフィレ
2の状態になる。そして、前処理以降であれば、何れの
段階においても魚肉に対する前記水溶液の処理が可能で
ある。
【0021】この場合、ドレスまたはフィレ2状の魚肉
よりも、採肉工程を経て落とし身3にされた魚肉に対し
て処理が行われることが好適である。その理由は、魚肉
を落とし身3にするとドレスまたはフィレ2の状態より
も表面積が大きくなり、前記水溶液が効率良く作用する
からである。従って、比較的低い濃度で短時間に処理し
たとしても、漂白・脱色作用を充分に得ることができ
る。また、処理ムラの発生を防止することができる。
【0022】前記水溶液の処理は、魚肉を水溶液に一定
時間浸漬したり、魚肉に水溶液を噴霧することにより行
われる。また、添加剤を混合する際に水溶液を加えると
いう処理方法も良い。そして、水溶液処理時における液
温は、魚肉の肉質を損なわない範囲内において、できる
だけ高温に保持しておくことが好適である。
【0023】更に、水溶液のpHは、処理を通じて5.
0〜11.0の範囲内に設定されることが好ましい。そ
の理由は、pHが5.0未満になると魚肉が変色し易く
なり、pHが11.0を越えると処理ムラが発生し易く
なるからである。
【0024】また、pHを好適範囲に維持するために
は、前記水溶液に緩衝作用を付与することが好適であ
る。そのためには、水溶液に無機酸若くはその塩または
有機酸若くはその塩を適宜組み合わせて添加するという
方法がある。
【0025】
【実施例】以下、本発明を具体化した各実施例及びそれ
らに対する各比較例について詳細に説明する。 〔実施例1〕本実施例1では、マアジのフィレに対して
漂白・脱色処理を行った後、かまぼこに類する生すり身
製品を製造した。次に、その手順について述べる。
【0026】実施例1−1 においては、漂白・脱色用の
処理剤として、オゾン及び次亜塩素酸ナトリウムを含む
処理剤(三慶株式会社製,商品名:パワフルピュアエー
ス)を用いた。そして、予めこの処理剤を所定量の脱イ
オン水で希釈して、処理剤を表1に示すような濃度の水
溶液に調整した。
【0027】次いで、原料魚であるマアジから頭部、内
臓等の不可食部分を除去し、魚肉を水洗した後に、その
魚肉を裁断してフィレ状にした。そして、1000重量
部の前記水溶液中に200重量部のフィレを浸漬し、2
4時間保持した。このときの水溶液の液温は10℃であ
る。
【0028】前記水溶液からフィレを取り出しかつ水洗
した後に、そのフィレをローラ式採肉機にかけて数ミリ
大の落とし身とした。この落とし身を5倍量の脱イオン
水を用いて3回水晒しした後、回転篩にかけて脱水肉と
した。この脱水肉をサイレントカッターを用いて擂潰し
た後、脱水肉100重量部に対して2.7重量部の食塩
を添加し、15分間の塩ずりを行った。更に、脱水肉に
バレイショデンプン5重量部を添加し、10分間の仕上
げずりを行った。前記脱水肉を合成樹脂製のチューブに
充填し、90℃で50分間ボイルすることにより、かま
ぼこ様の生すり身製品を得た。
【0029】また、実施例1−2 においては、漂白・脱
色用の処理液として、オゾン及び次亜塩素酸カルシウム
を含む処理剤(三慶株式会社製,商品名:ニュービュー
ティフルピュアエース)を用いた。そして、この処理剤
を所定量の脱イオン水で希釈して、処理剤を表1に示す
ような濃度の水溶液に調整した。次いで、上述の手順に
従ってフィレを漂白・脱色した後、前記実施例1−1 と
同様の工程を適用して、生すり身製品を製造した。
【0030】更に、前記実施例1−1 ,1−2 に対する
比較例1−1 として、オゾン水製造装置(新日本技研株
式会社製,商品名:パルゾンエース D.0-40 AOC-30F )
を使用して、表1に示すような濃度のオゾンガス水溶液
を作成した。
【0031】比較例1−2 では、次亜塩素酸ナトリウム
(旭硝子株式会社製,商品名:アサヒラック)を脱イオ
ン水に溶解して、表1に示す濃度の水溶液を作成した。
加えて、比較例1−3 として、脱イオン水のみの区を設
定した。
【0032】次いで、前記水溶液と脱イオン水とを各々
用いて、フィレの漂白・脱色を行った後、前記実施例1
−1 と同様の方法によって、それぞれ生すり身製品を製
造した。
【0033】以下に、前記5種の生すり身製品を用いて
官能試験を行った結果を表1に示す。本官能試験におい
ては、(1)製品の漂白性の良否、(2)塩素臭の有
無、(3)テクスチャーの良否の三点について評価を行
った。尚、前記(1)及び(3)については、コントロ
ール区である比較例1−3 を基準として、良否を評価し
た。
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかなように、生すり身製品の
漂白性を比較した結果、各実施例1−1 ,1−2 の漂白
性は、各比較例に比して極めて優れていた。一方、オゾ
ンを用いた比較例1−1 では比較例1−3 と殆ど差はな
く、漂白性に優れているとは言い難いものであった。
【0036】また、次亜塩素酸ナトリウムを用いた比較
例1−2 では、全体として魚肉の色合いは薄くなってい
た。その反面、製品が黄色味を帯びており、好適である
とは言い難かった。そして、前記比較例1−2 について
は、次亜塩素酸ナトリウムに由来する塩素が製品に残留
し、製品に塩素特有の不快な刺激臭がした。尚、テクス
チャーについては各製品間に特に差は認められず、それ
ぞれ良好であった。
【0037】以上の結果から、各実施例1−1 ,1−2
の生すり身製品は、その品質において各比較例より総合
的に優れており、各実施例1−1 ,1−2 にて行った漂
白処理が有効であったことが判明した。 〔実施例2〕本実施例2では、マアジの落とし身に対し
て漂白・脱色処理を行った後、かまぼこに類する生すり
身製品を製造した。また、表2に示されるように、魚肉
の処理に用いる薬剤の種類は、基本的には前記実施例1
と同様である。但し、本実施例2では、水溶液中の次亜
塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム及びオゾンの
濃度は、実施例1の場合に比して少ない。次に、生すり
身製品の製造手順について述べる。
【0038】先ず、実施例1にてフィレ状にした魚肉を
ローラ式採肉機にかけて数ミリ大の落とし身とした。こ
の落とし身200重量部を1000重量部の各水溶液中
に浸漬し、24時間保持した。このときの水溶液の液温
は10℃である。
【0039】以下、前記実施例1の手順に従って水晒し
工程以降の諸工程を行い、所望の生すり身製品を製造し
た。前記5種の生すり身製品を用いた官能試験の結果を
表2に示す。尚、評価項目及び評価方法については前記
実施例1の場合と同一である。
【0040】
【表2】
【0041】表2にから明らかなように、本官能試験に
おいても実施例1の官能試験にて得られた結果とほぼ同
様の傾向が認められた。また、比較例2−2 では、前記
比較例1−2 の場合より更に製品の黄色味が強かった。
【0042】一方、本実施例2−1 ,2−2 の製品は、
何れの比較例よりも漂白性に優れ、かつテクスチャーも
申し分ないものであった。また、製品に不快な塩素臭が
残留することもなかった。
【0043】従って、各実施例2−1 ,2−2 の製品は
比較例2−1 ,2−2 ,2−3 に比して総合的に優れて
おり、各実施例にて行った漂白処理が有効であったこと
が判明した。
【0044】尚、落とし身状態の魚肉に漂白処理を行な
う場合、水溶液の濃度はフィレ状態の魚肉に処理する際
よりも低濃度で良いことが実証された。 〔実施例3〕本実施例3では、マサバのフィレに対して
漂白・脱色処理を行った後、かまぼこに類する生すり身
製品を製造した。また、表3に示されるように、魚肉の
処理に用いる薬剤の種類は、基本的には前記実施例1と
同様である。但し、本実施例3−1,3−2 では、12
00ppmの炭酸水素ナトリウムを添加することによ
り、各水溶液に緩衝作用が付与されている。
【0045】本実施例3では、先ず原料魚を裁断してフ
ィレ状にした後、1000重量部の水溶液中に前記フィ
レ200重量部を浸漬した。このとき水溶液の液温は1
0℃とし、浸漬時間は24時間とした。
【0046】前記水溶液からフィレを取り出しかつ水洗
した後、前記実施例1の手順に従って採肉工程以降の諸
工程を行い、所望の生すり身製品を製造した。前記5種
の生すり身製品を用いた官能試験の結果を表3に示す。
尚、評価項目及び評価方法については前記実施例1の場
合と同一である。
【0047】
【表3】
【0048】表3にから明らかなように、本官能試験に
おいても実施例1の官能試験にて得られた結果とほぼ同
様の傾向が認められた。また、比較例3−2 では、前記
比較例1−2 の場合より更に製品の黄色味が強かった。
【0049】一方、本実施例3−1 ,3−2 の製品は、
何れの比較例よりも漂白性に優れ、かつテクスチャーも
申し分ないものであった。また、製品に不快な塩素臭が
残留することもなかった。
【0050】従って、これらの製品は比較例3−1 ,3
−2 ,3−3 に比して総合的に優れており、各実施例3
−1 ,3−2 の処理が有効であったことが判明した。
尚、実施例3−1 ,3−2 において、水溶液のpHの変
動は比較例3−1 ,3−2 ,3−3 よりも小さかった。
よって、前記実施例3−1 ,3−2 では、水溶液のpH
値は漂白処理全般にわたり好適範囲に維持されることが
示唆された。 〔実施例4〕本実施例4では、マサバの落とし身に対し
て漂白・脱色処理を行った後、かまぼこに類する生すり
身製品を製造した。また、表4に示されるように、魚肉
の処理に用いる薬剤の種類は、基本的には前記実施例3
と同様である。但し、本実施例4−1,4−2 では、前
記炭酸水素ナトリウムとは異なり、炭酸水素カリウム
(100ppm)によって各水溶液に緩衝作用を付与し
ている。
【0051】本実施例4では、先ずフィレ状の魚肉をロ
ーラ式採肉機にかけて数ミリ大の落とし身とした。その
後、この落とし身を5倍量の脱イオン水を用いて3回水
晒しした後、回転篩にかけて脱水肉とした。そして、こ
の脱水肉に対し、所定時間の間前記水溶液を噴霧した。
【0052】以下、前記実施例1の方法に従って擂潰等
の諸工程を行い、所望の生すり身製品を製造した。前記
5種の生すり身製品を用いた官能試験の結果を表4に示
す。尚、評価項目及び評価方法については前記実施例1
の場合と同一である。
【0053】
【表4】
【0054】本官能試験においても実施例1にて得られ
た結果とほぼ同様の傾向が認められた。また、比較例4
−1 ,4−2 の製品では、比較例4−3 に比してテクス
チャーが悪くなっていた。
【0055】一方、本実施例4−1 ,4−2 の製品は、
何れの比較例よりも漂白性に優れ、かつテクスチャーも
申し分ないものであった。また、製品に不快な塩素臭が
残留することもなかった。よって、これらの製品は各比
較例4−1 ,4−2 ,4−3に比して総合的に優れてお
り、各実施例4−1 ,4−2 における漂白処理の有効性
が証明された。 〔実施例5〕本実施例5では、白身魚であるスケソウタ
ラを原料魚として使用した。そして、そのフィレに対し
て漂白・脱色処理を行った後、かまぼこに類する生すり
身製品を製造した。また、実施例5−1,5−2 では、
表5に示されるように次亜塩素酸ナトリウムの代わりに
次亜臭素酸ナトリウムを用いた。
【0056】そして、原料魚を裁断してフィレ状にした
後、実施例1と同一条件及び方法によって前記フィレを
浸漬した。前記水溶液からフィレを取り出しかつ水洗し
た後、前記実施例1の手順に従って採肉工程以降の諸工
程を行い、所望の生すり身製品を製造した。前記5種の
生すり身製品を用いた官能試験の結果を表5に示す。
尚、評価項目及び評価方法については上述の通りであ
る。尚、実施例5−1 ,5−2 の水溶液には塩素が含ま
れていないため、臭素臭の有無について調査した。
【0057】
【表5】
【0058】本官能試験においても上記官能試験の結果
とほぼ同様の傾向が認められた。即ち、実施例5−1 ,
5−2 は製品の漂白性に優れ、かつテクスチャーも申し
分なかった。また、製品に不快な臭素臭が残留すること
もなかった。よって、これらの製品が比較例5−1 ,5
−2 ,5−3 に比して総合的に優れており、実施例5−
1 ,5−2 における漂白処理の有効性が証明された。 〔実施例6〕本実施例6では、スケソウタラの落とし身
に対して漂白・脱色処理を行った後、かまぼこに類する
生すり身製品を製造した。また、表6に示されるよう
に、魚肉の処理に用いる薬剤の種類は、基本的には前記
実施例5と同様である。但し、本実施例6−1,6−2
では、水溶液中のオゾンの濃度は実施例5の場合に比し
て少ない。次に、生すり身製品の製造手順について述べ
る。
【0059】先ず、実施例5にてフィレ状にした魚肉を
ローラ式採肉機にかけて数ミリ大の落とし身とした。こ
の落とし身を前記実施例1の手順に従って水晒しした
後、脱水肉とした。この脱水肉に前記水溶液を適宜添加
し、サイレントカッターを用いてその脱水肉を擂潰し
た。
【0060】以下、前記実施例1の手順に従って塩ずり
以降の工程を実施し、所望の生すり身製品を製造した。
前記5種の生すり身製品を用いた官能試験の結果を表6
に示す。尚、評価項目及び評価方法については、前記実
施例6の通りである。
【0061】
【表6】
【0062】本官能試験においても上記官能試験の結果
とほぼ同様の傾向が認められた。即ち、実施例6−1 ,
6−2 は製品の漂白性に優れ、かつテクスチャーも申し
分なかった。また、製品に不快な臭素臭が残留すること
もなかった。よって、これらの製品が比較例6−1 ,6
−2 ,6−3 に比して総合的に優れており、実施例6−
1 ,6−2 における漂白処理の有効性が証明された。
【0063】上記の各実施例1〜6の結果を勘案する
と、本発明の処理方法及び処理剤が従来のものに比して
極めて優れているという結論に達する。また、本発明は
魚種にを問わず有効であるという結論にも達する。
【0064】尚、本発明は上記実施例に限定されること
はなく、以下に示すように変更することが可能である。
例えば、 (a)本発明の適用は、前記すり身製品P1 及び冷凍す
り身製品P2 のみに限定されるわけではない。図1に示
すように、本発明は、落とし身製品P3 及び冷凍落とし
身製品P4 を製造する際の漂白・脱色処理方法または処
理剤として適用することができる。 (b)また、本発明の処理液を処理した後に、例えば次
亜硫素酸塩等の還元剤を処理しても良い。 (c)本発明の処理剤を用いた漂白・脱色処理は、前処
理工程以降の工程において複数回に分けて行っても良
い。このような処理によれば、一回の処理における処理
剤の濃度を低濃度にすることができる。 (d)魚肉を処理剤に浸漬する際には、例えば処理剤を
攪拌したり、両者に超音波振動等を与えたりすることが
好適である。その理由は、上述のような物理的処理を並
行して行うことにより、処理時間を短縮できるからであ
る。また、処理濃度を低くしても、処理ムラが生じ難く
なるという利点もある。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の加工用原
料魚の処理方法及びそのための処理剤によれば、どのよ
うな魚種であっても魚肉の品質劣化を伴うことなく、確
実に魚肉を漂白・脱色することができるという優れた効
果を奏する。また、水晒しに必要な水を節約できるとい
う優れた効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】加工用原料魚の処理工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 原料魚。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オゾンと、次亜ハロゲン酸(HXO,但し
    Xはハロゲン)またはその塩(MeXO,但しMeは金
    属)とを含有する水産加工用原料魚のための処理剤。
  2. 【請求項2】加工用原料魚から採取される原料魚(1)
    の可食部分を、オゾンと、次亜ハロゲン酸(HXO,但
    しXはハロゲン)またはその塩(MeXO,但しMeは
    金属)とを含有する水溶液で処理することを特徴とする
    水産加工用原料魚の処理方法。
  3. 【請求項3】前記水溶液中には、1×10-3ppm〜5
    0ppmのオゾンと、10ppm〜1×105 ppmの
    次亜ハロゲン酸またはその塩とが含有されることを特徴
    とする請求項2に記載の水産加工用原料魚の処理方法。
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