JP2749619B2 - 活性化ヒトプロテインcとヒトプロテインcインヒビターの複合体の測定方法および測定試薬 - Google Patents

活性化ヒトプロテインcとヒトプロテインcインヒビターの複合体の測定方法および測定試薬

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は活性化ヒトプロテインCとヒトプロテインC
インヒビターの複合体(以下APC−PCI ComplexまたはCI
Cと略記する)の測定方法および測定試薬に関する。さ
らに詳しくは、APC−PCI Complex(CIC)を二抗体サン
ドイッチ法を利用する酵素免疫測定法によって測定する
測定方法および測定試薬に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
ヒトプロテインC(以下PCと略記する)はビタミンK
依存性血漿蛋白質の一つで、糖含量23%の二本鎖から成
る分子量約62000の蛋白質であり、血液凝固の生理的制
御因子として、非常に重要な役割を果たしている。PCは
循環血液中では通常、不活性型の前駆酵素として存在す
る。なんらかの原因により凝固系が作動しトロンビンが
生成されると、トロンビンは速やかに血管内皮細胞表層
に存在するトロンボモジュリンと結合し、トロンビン−
トロンボモジュリン複合体を形成する。PCは、このトロ
ンビン−トロンボモジュリン複合体により活性化され、
活性化ヒトプロテインC(以下APCと略記する)とな
る。APCは凝固反応の補酵素である活性化第VIII因子と
活性化第V因子を分解し凝固反応を制御する。
血液中にはAPCに対するインヒビターとしてプロテイ
ンCインヒビター(以下PCIと略記する)が存在する。P
CIは分子量57000の一本鎖糖蛋白質で、APCと等モルのア
シル結合による複合体を形成し、APCを阻害する。
ヒトの血中PCの測定法には、生物活性測定法と免疫学
的測定法とが報告されている。また、PCIについても生
物活性測定法と免疫学的測定法とが確立されている。し
かし、APC−PCI Complex(CIC)の測定については未だ
有用かつ実用的な方法ならびに試薬が提供されていな
い。なお、PCおよびPCIの精製および測定法について参
考のために下記文献1)〜3)を列挙する。
1) Suzuki K.Nishioka J.Hashimoto S.,Protein C I
nhibitor,Purification from Human Plasma and Charac
terization,J.Biol.Chem.,1983;258:163 2) Suzuki K.Stenflo J.Dahlback B.Teodorsson B.,
Inactivation of Human Coagulation Focto V by Activ
ated Protein C,J.Biol.Chem.,1983;258:1918 3) 鈴木 宏治,プロテインC,臨床検査,1984;28:25 さて、播種性血管内凝固症候群(Disseminated intra
vascular coagulation:DICと略す)とは、全身の主とし
て細小血管内に血栓が多発し、止血障害、血栓による諸
臓器障害・ショック・末梢循環不全を呈する病態であ
る。DIC発症の基礎疾患としては、悪性腫瘍が45.2%と
最も多く、次いで感染症、白血病、肝疾患の順となって
おり、これらの疾患において早期にDICを発見し、早期
に治療することがDICに対する最善の対策である。
現在、DICのスクリーニング方法としては、血小板
数、プロトロンビン時間、血漿フィブリノゲン・血清FD
P(フィブリン−フィブリノゲン分解物)が測定されて
いる。その他補助診断として、血漿アンチトロンビンII
I、血漿α−プラスミンインヒビターが測定されてい
る。また、DICにおいては、PCおよびPCIが正常人に比較
して低下している。
しかしながら、これらのスクリーニング方法により早
期にDICを診断することは困難であり、より早期に診断
を可能とする臨床検査方法が求められていた。
〔課題を解決するための手段〕
かかる実情に鑑み本発明者は、APC−PCI Complex(CI
C)を簡便に測定することができ、とりわけ臨床検査の
場において多数の検体を同時に処理することのできる実
用的な方法を求めて検討を行った。その結果、抗ヒトプ
ロテインCモノクローナル抗体(以下抗PC抗体と略記す
る)および抗ヒトプロテインCインヒビターモノクロー
ナル抗体(以下抗PCI抗体と略記する)を使用する二抗
体サンドイッチ酵素免疫測定法を実施することにより課
題が解決されることを見出し、また、本発明試薬は、DI
Cの早期診断を可能とすることも知るに至り、本発明を
完成した。
即ち、本発明は、APC−PCI Complex(CIC)を二抗体
サンドイッチ法を利用する酵素免疫測定法によって測定
するにあたり、検体として、血清または血漿にバリウム
塩を添加することにより該複合体を沈澱として分離した
後、この沈澱を溶解したものを用い、当該測定に係わる
固相化用抗体として抗PCI抗体を使用し、酵素標識抗体
用として抗PC抗体を使用することを特徴とする測定方
法、及びAPC−PCI Complex(CIC)を二抗体サンドイッ
チ法を利用する酵素免疫測定法によって測定し、かつ検
体として、血清または血漿にバリウム塩を添加すること
により該複合体を沈澱として分離した後、この沈澱を溶
解したものを用いて測定する試薬において、当該測定に
係わる固相化用抗体として抗PCI抗体が含まれ、酵素標
識抗体用として抗PC抗体が含まれることを特徴とする測
定試薬を提供するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
APC−PCI Complex(CIC)を二抗体サンドイッチ酵素
免疫測定法で測定するためには、APCと反応する抗APC抗
体と、PCIと反応する抗PCI抗体が必要である。APCとPC
は共通抗原性を持つので抗PC抗体の使用が可能である。
本発明に係わる抗PC抗体は例えば次のように製造され
るが、市販の抗PC抗体を使用することもできる。
まずPCを用意する。このためにはヒト血漿にバリウム
塩を加えて沈澱後、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)
溶出し、DEAE−Sephacel、Heparin−Sepharoseにより精
製する。精製方法は前記文献2)に詳細に述べられてい
る。
用意したPC50μgを同容量のフロイント完全アジュバ
ントと共にBALB/cマウスの腹腔内に投与し、さらに15μ
gを2週間後に尾静脈内へ投与し、3日後に脾臓細胞を
採取し、Khler and Milsteinの方法(下記文献4)
参照)によりミエローマ細胞株P3U1と細胞融合し、限界
希釈法により3回クローニングを行い、抗PC抗体産生セ
ルラインとして確立される。
本発明に係わるモノクローナル抗PCI抗体は次のよう
に製造される。
まずPCIを用意する。このためにはヒト血漿にバリウ
ム塩を加え、PCなどのビタミンK依存生蛋白質を除き、
その上清にPEG−6000を加え、その沈澱を集め、溶出
し、DEAE−Sepharose、硫酸アンモニウム分画、Dextran
Sulfate−Agarose Chromatography、Ultrogel AcA44、
DEAE−Sephacel Chromatographyにより精製する。精製
方法は前記文献1)に詳細に述べられている。
用意したPCI50μgを同容量のフロイント完全アジュ
バントと共にBALB/cマウスの腹腔内に投与し、さらに15
μgを2週間後に尾静脈内へ投与し、3日後に脾臓細胞
を採取し、Khler and Milsteinの方法(下記文献
4)参照)によりミエローマ細胞株P3U1と細胞融合し、
限界希釈法により3回クローニングを行い、抗PCI抗体
産生セルラインとして確立される。
4) Khler G.Milstein C.,Deviation of specific
antibody−producing culture and tumor lines by ce
ll fusion,Eur.J.Immunol.,1976;6:511 次に本発明における二抗体サンドイッチ法を利用する
API−PCI Complex(CIC)の酵素免疫測定法は次のよう
に実施される。
測定系全体の構成要素は固相、固相コート用の抗PCI
抗体(第一抗体)、標準抗原、標識用抗PC抗体(第二抗
体)、酵素および基質である。固相としては、例えばエ
ンザイムイムノアッセイ用マイクロタイタープレートの
ウエルあるいはポリスチレン等のプラスチックビーズを
用いればよい。測定に先立ち抗PCIモノクローナル抗体
を炭酸緩衝液に溶解し、4℃で一夜放置すれば固相表面
はコートされる。しかし、モノクローナル抗体によって
コートされていない表面部分もあるので、この部分に対
しては牛血清アルブミンをリン酸緩衝液に溶解してウエ
ルに加え、二時間室温に放置して牛血清アルブミンによ
ってコートする。
酵素標識抗PC抗体(抗PC抗体は『抗ヒトプロテイン
C』としてバイオスコット社−コスモ・バイオ株式会社
販売より入手することもできる)は次のように製造すれ
ば良い。酵素としてはアルカリホスファターゼ、グルコ
ースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシ
ダーゼ等を使用することができる。測定に先立ち、酵素
を抗PC抗体にグルタールアルデヒド、あるいはマレイミ
ド化合物により結合せしめてコンジュゲートとし、本発
明の測定方法の実施のための試薬の一部として予め準備
しておくことができる。結合方法は、例えば下記文献
5)のマレイミド法により標識すれば良い。
5) Yoshitake S.Imagawa M.Ishikawa E.et al.,Mild
and Efficient Conjugation of Rabbit Fab′ and Hor
seradish Peroxidase Using a Maleimide Compound and
Its Use for Enzyme Immunoassay,J.Biochem.,1982;9
2:1413 基質は選択した酵素に応じて適宜使用すれば良い。例
えば酵素としてアルカリフォスファターゼを選択した場
合においてp−ニトロフェニルフォスフェートを、また
ペルオキシダーゼを選択した場合においてはo−フェニ
レンジアミン、あるいはABTS(2,2′−アジノ−ビス
(3′−エチルベンゾチアゾリンスルホン酸))を発色
剤として使用し、過酸化水素を基質として使用すれば良
い。
測定は二抗体サンドイッチ法を利用する酵素免疫測定
法における手順に従って行う。測定に先立って血清、血
漿等の検体の前処理としてバリウム塩を添加する。添加
後1時間撹拌し遠心分離して沈澱を得る。この操作によ
りγ−カルボキシグルタミン酸を有するPC,APC,APC−PC
I Complex(CIC)はバリウム塩と結合して沈澱し、検体
中の大部分の未反応のPCIは上清に残り、APC−PCI Comp
lex(CIC)と分離される。この操作を行わない場合に
は、大部分の未反応のPCIが固相の抗PCI抗体と反応する
ためにAPC−PCI Complex(CIC)の測定は不可能であ
る。沈澱にEDTA含有トリス緩衝液を加えて溶解し検体と
する。検体の測定は後記実施例に示されるごとく抗PCI
抗体をコートした固相に液体を加えてイキュベートす
る。固相を洗浄後、酵素標識抗PC抗体を加えて再びイン
キュベートし、洗浄し、最後に基質を加えてインキュベ
ートする。反応を停止せしめてから、基質の分解量を分
光光度計を用いて測定する。
次に、本発明の測定試薬は本発明の測定方法の実施に
直接使用する試薬であり、測定方法におけると同一の目
的を達成するものである。従って本発明測定試薬の具体
的態様を示せば次のごとくなる。
即ち、本発明測定試薬は固相化反応PCI抗体、酵素標
識抗PC抗体を必須の構成要素として含み、また測定の実
施の便益のために適当なる標準抗原、前処理剤、抗原希
釈液、反応溶液、基質、基質溶解後、反応停止液等がセ
ット中に添付されることは自由であり、これらは本発明
を限定するものではない。
後記実験例によって示されるごとく、本発明測定試薬
によってDICの早期診断が可能であり、本発明測定試薬
はDICの診断試薬として使用することができる。
本発明の効果は次のごとく要約される。
まず本発明は従来測定が不可能であったAPC−PCI Com
plex(CIC)を、二抗体サンドイッチ法を利用する酵素
免疫測定法により測定するものであり、操作が単純簡明
であり、臨床検査の場に対して実用性が高い。また、DI
Cないし深部静脈血栓の早期診断を可能とする。
〔実施例〕
以下に記載する実施例をもって本発明を更に具体的に
説明する。
実施例1 1) 新鮮血漿4に塩酸ベンザミジン(10mM)、フル
オロリン酸ジイソプロピル(DFP)(1mM)、フッ化フェ
ニルメチルスルホニル(PMSF)(1mM)およびダイズト
リプシンインヒビター(50mg/)を加え、1M BaCl2を3
20ml滴下した。以下の精製操作は、すべて4℃で行っ
た。1時間撹拌後、5000回転で30分間遠心し、上清を採
取し固形PEG−6000を60g/加えた。1時間撹拌後、500
0回転で15分間遠心し、沈澱を廃棄した。更に上清に固
形PEG−6000を60g/加え、1時間撹拌後、5000回転で3
0分間遠心し沈澱を採取した。沈澱に0.05Mトリス−塩酸
緩衝液pH7.5(0.1M NH4Cl、塩酸ベンザミジン(10m
M)、DFP(1mM)、PMSF(1mM))を500ml加えて溶解し
た。溶解に使用した緩衝液と同一の緩衝液で平衡化した
DEAE−Sepharose CL−6Bカラムにかけ、素通り画分を採
取した。採取液に硫酸アンモニウム粉末を加えて50%飽
和とし、1時間撹拌後、8000回転で15分間遠心し、上清
を採取した。更に硫酸アンモニウム粉末を加えて70%飽
和とし、1時間撹拌後、8000回転で30分間遠心し、沈澱
を採取した。沈澱に0.05Mトリス−塩酸緩衝液pH7.0(0.
1M NaCl、酸ベンザミジン(1mM)、DFP(0.1mM)、PMSF
(0.1mM))を加えて溶解し、同一緩衝液に対して透析
した。Dextran Sulfate−Agaroseカラムにかけ、PCI画
分に硫酸アンモニウム粉末を加えて80%飽和とした。10
000回転で15分間遠心し沈澱を採取し、溶解可能な最小
液量の0.05Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5(0.15M NaCl)に
溶解した後、AcA−44 Ultrogelカラムにかけ、PCI画分
を集め0.05Mトリス−塩酸緩衝液pH9.0に透析した。透析
後、DEAE−Sephacelにかけ、精製PCIを得た。その最終
回収率は9%であった。
2) 精製したPCI50μgを同容量のフロイント完全ア
ジュバントと共にBELB/cマウス(メス、8週齢)の腹腔
内に投与し、更に15μgを2週間後に尾静脈内へ投与
し、3日後に脾臓細胞を摘出し、ミエローマ細胞株P3U1
と細胞融合した。細胞融合はポリエチレングリコール40
00を用いてKhler and Milsteinの方法(文献4))
で行った。次に96ウエルマイクロプレートを用いて限界
希釈法によりPCIと反応するハイブリドーマを3回クロ
ーニングし、抗PCI抗体産生セルラインとして確立し
た。セルラインの保存培地としては牛胎児血清を10%に
含むRPMI1640培地を使用した。セルラインよりモノクロ
ーナル抗PCI抗体を常法により得た。
3) 得られた抗体PCI抗体を0.1M炭酸緩衝液pH9.3で3
μg/mlに希釈し、96ウエルマイクロプレートに1ウエル
につき100μずつ注入し、4℃で一夜放置した。0.05M
トリス−塩酸緩衝液pH7.5(0.2M NaCl、0.5%牛血清ア
ルブミン、0.05%Tween−20、0.05mM EDTA、0.02%チメ
ロサル)で三回洗浄後、5%牛血清アルブミン(0.5%
ゼラチン、リン酸緩衝液pH7.5)150μを注入して2時
間放置し、前記緩衝液で三回洗浄して、抗体コート固相
を用意した。
実施例2 1) 新鮮血漿4.4に塩酸ベンザミジン(10mM)、DFP
(1mM)、PMSF(1mM)およびダイズトリプシンインヒビ
ター(50mg/)を加え、1M BaCl2を350ml滴下した。以
下の精製操作はすべて4℃で行った。1時間撹拌後、50
00回転で30分間遠心し、沈澱を採取した。沈澱に0.15M
NaCl(5mM塩酸ベンザミジン)pH7.4を700ml加えて二回
洗浄した。バリウム塩に吸着した蛋白質は、0.2M EDTA
pH7.4(5mM塩酸ベンザミジン、0.1mM DFP)を660ml添加
することにより溶出した。懸濁液を1時間撹拌後、5000
回転で30分間遠心し、沈澱を除去した。上清を0.1Mリン
酸緩衝液pH6.0(1mM塩酸ベンザミジン)に透析したの
ち、透析に使用した緩衝液と同一の緩衝液で平衡化した
DEAE−Sephacelカラムにかけ、0.1Mから0.7M NaClまで
の直線的濃度勾配(0.1Mリン酸緩衝液pH6.0、1mM塩酸ベ
ンザミジン)で溶出し、PC画分を採取した。採取液を0.
05Mトリス−塩酸緩衝液pH8.0(1mM塩酸ベンザミジン)
に対して透析した。透析後、DFPを1mMになるように、PM
SFを0.1mMになるように添加した。0.05Mトリス−塩酸緩
衝液pH8.0(1mM塩酸ベンザミジ)で平衡化したDEAE−Se
phacelカラムにかけ、0Mから0.5M NaClまで直線的濃度
勾配(0.05Mトリス−塩酸緩衝液pH8.0、1mM塩酸ベンザ
ミジン、2mM CaCl2)で溶出し、PC画分を採取した。採
取液を50mMイミダゾール緩衝液pH6.0(1mM塩酸ベンザミ
ジン)に透析した。透析により生じた沈澱を20000回転
で10分間遠心して除去した。上清にCaCl2を2mMになるよ
うに加え、50mMイミダゾール緩衝液pH6.0(1mM塩酸ベン
ザミジン、2mM CaCl2)で平衡化したHeparin−Sepharos
eカラムにかけ、0Mから0.8M NaClまで直線的濃度勾配
(50mMイミダゾール緩衝液pH6.0、1mM塩酸ベンザミジ
ン)で溶出し、精製PCを採取した。その最終回収率は25
%であった。
2) 精製したPC50μgを同容量のフロイント完全アジ
ュバンドと共にBELB/cマウス(メス、8週齢)の腹腔内
に投与し、更に15μgを2週間後に尾静脈内へ投与し、
3日後に脾臓細胞を摘出し、エミローマ細胞株P3U1と細
胞融合した。細胞融合はポリエチレングリコール4000を
用いてKhler and Milsteinの方法(文献4))で行
った。次に96ウエルマイクロプレートを用いて限界希釈
法によりPCと反応するハイブリドーマを3回クローニン
グし、抗PC抗体産生セルラインとして確立した。セルラ
インの保存培地としては牛胎児血清を10%に含むRPMI16
40培地を使用した。セルラインよりモノクローナル抗PC
抗体を常法により得た。
3) 抗PC抗体5mgを0.1M酢酸緩衝液pH4.2で透析した
後、ブタ胃・ペプシン0.2mgを加え37℃で24時間インキ
ュベートした。pHを7.0に合わせた後、Ultrogel AcA44
カラムにかけて0.1Mリン酸緩衝液pH7.0でゲル濾過を行
い、F(ab′)を得る。F(ab′)を0.1Mリン酸緩
衝液pH6.0に透析した後、0.1Mメルカプトエチルアミン
(0.1Mリン酸緩衝液pH6.0、5mM EDTA)50μを添加し3
7℃で90分間インキュベートした。0.1Mリン酸緩衝液pH
6.0(5mM EDTA)で平衡化したSephadex G25カラムに通
して透析を行い、Fab−SHを得た。一方、酵素として西
洋ワサビ・ペルオキシダーゼ(HRPと略す)2mgを0.1Mリ
ン酸緩衝液pH7.0に溶解し、N−スクシンイミゾル−4
−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カ
ルボキシレート0.7mg(N,N−ジメチルホルムアミドに溶
解する)を添加し30℃で60分間インキュベートした。0.
1Mリン酸緩衝液pH6.0で平衡化したSephadex G25カラム
に通して透析を行い、マレイミド化HRPを得た。Fab−SH
とマレイミド化HRPとを混合して4℃で一夜間インキュ
ベートし、0.1Mリン酸緩衝液pH6.5で平衡化したUltroge
l AcA44カラムでゲル濾過を行いHRP標識抗PC抗体を得
た。
実施例1で得られた抗体コート固相および実施例2で
得られた酵素標識抗体を組み合わせてセットとし、本発
明測定試薬とした。
実施例3 被検血漿あるいは血清の前処理は、次のように行っ
た。血漿あるいは血清検体150μに0.38%クエン酸ナ
トリウム(0.1Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5、0.15M NaC
l)600μを加えた後、1M BaCl2を60μ滴下し、1時
間氷冷下で撹拌後、15000回転で5分間遠心し沈澱を得
た。沈澱に0.2M EDTA(0.1Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5、
0.15M NaCl)50μを加えて溶解し、アッセイ緩衝液と
して、0.05Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5(0.2M NaCl、0.5
%牛血清アルブミン、0.05%Tween−20、0.05mM EDTA、
0.02%チメロサール)を250μ加え、そのうちの100μ
を被検検体として使用した。
実施例4 実施例1における抗体コート固相に1ウエル当たり実
施例3の被検検体100μを注入し、室温で一夜間イン
キュベートする。0.05Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5(0.2M
NaCl、0.5%牛血清アルブミン、0.05%Tween−20、0.0
5mM EDTA、0.02%チメロサール)で三回洗浄後、実施例
2における酵素標識抗体100μを加えて室温で60分間
インキューベートする。0.05Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5
(0.2M NaCl、0.5%牛血清アルブミン、0.05%Tween−2
0、0.05mM EDTA、0.02%チメロサール)で三回洗浄後、
2mg/ml濃度のo−フェニレンジアミン(クエン酸緩衝液
pH4.65、0.03%過酸化水素)100μを加えて室温に30
分間放置し、分光光度計により波長490nmの吸光度を測
定する。
〔発明の効果〕
以下に記載する実験例をもって本発明の効果を説明す
る。
実験例1 試料および方法 正常ヒト血漿1ml当たり1M BaCl20.4mlを加えて氷冷下
60分間撹拌し、APC−PCI Complex(CIC)を吸着除去し
た血漿(試料a)を用意した。次に試料aに、前記実施
例2で得られたPCを活性化したAPCと実施例1で得られ
たPCIを反応させて調製したAPC−PCI Complex(CIC)の
標準品を160ng/mlになるように加え、標準抗原溶液とし
た。前記実施例3および4におけると同じ手順に従って
測定を行った。
結 果 結果を図1に示す。図1の横軸は、被検検体中のAPC
−PCI Complex(CIC)の濃度を表し、縦軸は波長490nm
の吸光度値を表す。図1より本発明はAPC−PCI Complex
(CIC)に対して特異性が高く、かつ検量性が良いこと
が判明した。
実験例2 試料および方法 DIC患者血漿50例、ワーファリン服用患者血漿19例、
肝臓疾患患者血漿10例および健康成人血漿20例について
前記実施例3および5におけると同じ手順に従って測定
を行った。
結 果 結果を図2に示す。図2の左欄は健康成人血漿につい
てであり、APC−PCI Complex(CIC)の測定値の平均は
0.57ng/mlであった。また、ワーファリン服用患者血漿
および肝臓疾患患者血漿のAPC−PCI Complex(CIC)の
測定値の平均は、それぞれ0.37ng/ml、1.64ng/mlであっ
た。それに対して、DIC患者血漿のAPC−PCI Complex(C
IC)の測定値の平均は3.23ng/mlであり、高い値を示
し、DICの診断に有用であることが判明した。
実験例3 試料および方法 急性前骨髄球性白血病患者1例の経過観察を40日にわ
たる長期間行い、FDP、PCI、PCの測定と同時に、前記実
施例3および4におけると同じ手順に従ってAPC−PCI C
omplex(CIC)の測定を行った。
結 果 結果を図3に示す。APC−PCI Complex(CIC)の測定
値は、他の凝固検査の測定値に比較して早期に高値を示
し、DICの早期診断が可能となることが判明した。
【図面の簡単な説明】
図1は実験例1の結果を示すグラフであり、本発明測定
方法によるAPC−PCI Complex(CIC)と波長490nmの吸光
度値との間の関係を表すグラフである。 図2は実験例2の結果を示すグラフであり、健康成人お
よび各種疾患患者のAPC−PCI Complex(CIC)の測定値
を表すものである。 図3は実験例3の結果を示すグラフであり、一人の急性
前骨髄球性白血病患者のFDP、PCI、PC、APC−PCI Compl
ex(CIC)の測定値を経時的に追跡した結果である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 15/06 (56)参考文献 Thrombosis and Ha emostasis 60[2](1988) P.334−339 Fed.Proc.46[3](1987) P.716 2337 Blood 66[1](1985)P.59 −63 J.Biol.Chem.,1983 [258]P.163 J.Biol.Chem.,1983 [258]P.1918

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性化ヒトプロテインCとヒトプロテイン
    Cインヒビターの複合体を二抗体サンドイッチ法を利用
    する酵素免疫測定法によって測定するにあたり、検体と
    して、血清または血漿にバリウム塩を添加することによ
    り該複合体を沈澱として分離した後、この沈澱を溶解し
    たものを用い、当該測定に係わる固相化用抗体として抗
    ヒトプロテインCインヒビターモノクローナル抗体を使
    用し、酵素標識抗体用として抗ヒトプロテインCモノク
    ローナル抗体を使用することを特徴とする測定方法。
  2. 【請求項2】活性化ヒトプロテインCとヒトプロテイン
    Cインヒビターの複合体を二抗体サンドイッチ法を利用
    する酵素免疫測定法によって測定し、かつ検体として、
    血清または血漿にバリウム塩を添加することにより該複
    合体を沈澱として分離した後、この沈澱を溶解したもの
    を用いて測定する試薬において、当該測定に係わる固相
    化用抗体として抗ヒトプロテインCインヒビターモノク
    ローナル抗体が含まれ、酵素標識抗体用として抗ヒトプ
    ロテインCモノクローナル抗体が含まれることを特徴と
    する測定試薬。
  3. 【請求項3】測定試薬が播種性血管内凝固症候群の診断
    試薬である請求項2記載の測定試薬。
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J.Biol.Chem.,1983[258]P.1918
Thrombosis and Haemostasis 60[2](1988)P.334−339

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